(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043473
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】音響装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/12 20060101AFI20240322BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240322BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20240322BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240322BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H04R3/12 Z
H04R1/00 310F
H04R7/04
H04R1/02 102B
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039037
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022147573
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松濤 寛
(72)【発明者】
【氏名】天谷 純治
(72)【発明者】
【氏名】中道 登志夫
【テーマコード(参考)】
3D020
5D016
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BD05
5D016AA01
5D017AE11
5D017AE12
5D017AE16
5D220AA01
5D220AA04
5D220AA05
5D220AA31
(57)【要約】
【課題】車両に搭載されるパネルスピーカからの音響を聴取しやすくする。
【解決手段】単一のパネルを複数の振動アクチュエータで振動させて音響を出力するパネルスピーカを制御する音響装置であって、当該複数の振動アクチュエータのそれぞれを、コンテンツに含まれる各チャネルの音響信号で振動するステレオモードと、当該複数の振動アクチュエータを同一の音響信号で駆動するモノラルモードとを選択する制御部を備える、音響装置とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のパネルを複数の振動アクチュエータで振動させて音響を出力するパネルスピーカを制御する音響装置であって、
当該複数の振動アクチュエータのそれぞれを、コンテンツに含まれる各チャネルの音響信号で振動するステレオモードと、当該複数の振動アクチュエータを同一の音響信号で駆動するモノラルモードとを選択する制御部を備える、
音響装置。
【請求項2】
前記パネルスピーカは、車両に設置され、
前記制御部は、前記車両のシートの着席状況に基づいて、前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記車両は複数列のシートを有し、
前記制御部は、前記複数列のシートの各列の着席状況に基づいて、前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記パネルスピーカは、前記車両の2列目シートの近傍に設置され、
前記制御部は、前記車両の3列目シートに着席する乗員が存在する場合、前記モノラルモードを選択する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項5】
前記パネルスピーカは、前記車両の2列目シートの近傍に設置され、
前記制御部は、前記車両の2列目シートに着席する乗員が存在し、3列目シートに着席する乗員が存在しない場合、前記ステレオモードを選択する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項6】
前記パネルスピーカは、前記車両の1列目シートの前方に設置され、
前記制御部は、前記車両の2列目以降のシートに着席する乗員が存在する場合、前記モノラルモードを選択する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項7】
前記パネルスピーカは、前記車両の1列目シートの前方に設置され、
前記制御部は、前記車両の1列目シートに着席する乗員が存在し、2列目以降のシートに着席する乗員が存在しない場合、前記ステレオモードを選択する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項8】
前記パネルスピーカは、車両にパネルの角度を調整可能に設置され、
前記制御部は、前記角度に応じて前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項9】
前記パネルスピーカは、車両にパネルのダッシュボードまたは天井に、角度を調整可能に設置され、
前記制御部は、前記角度に応じて前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記角度が所定の範囲にある場合に前記モノラルモードを選択し、前記角度が前記所定の範囲にない場合に前記ステレオモードを選択する、
請求項8に記載の音響装置。
【請求項11】
前記パネルスピーカは、車両に設置され、
前記制御部は、前記車両の速さに応じて前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両の速さが所定値以上である場合、前記モノラルモードを選択する、
請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記パネルスピーカは、車両に設置され、
前記制御部は、前記音響装置に電源が投入されたタイミング、または前記車両の速さが第1の所定値以上になったのちに第2の所定値以下になったタイミング、または前記車両のドアが開閉されたタイミングで、前記ステレオモードまたは前記モノラルモードを選択する、請求項1に記載の音響装置。
【請求項14】
単一のパネルを複数の振動アクチュエータで振動させて音響を出力するパネルスピーカを制御する制御部によって実行される制御方法であって、
当該複数の振動アクチュエータのそれぞれを、コンテンツに含まれる各チャネルの音響信号で駆動するステレオモードと、当該複数の振動アクチュエータを、同一の音響信号で駆動するモノラルモードとを選択する、
制御方法。
【請求項15】
前記パネルスピーカは、車両の天井に、前記パネルスピーカのパネル面と前記天井の面とのなす角度を調整可能に設置され、
前記制御部は、前記角度が、第1の角度より小さい場合は前記ステレオモードを選択し、前記角度が前記第1の角度と等しいか大きい第2の角度以上の時は前記モノラルモードを選択する、
請求項1に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置、制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車などの車両において、乗員が視聴するディスプレイが設置されることがある。また、当該ディスプレイには、表示画面(ディスプレイパネル)を振動させることにより音響を出力するパネルスピーカが含まれることがある。当該パネルスピーカが複数のチャネルの音響を出力するステレオ再生機能を有することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に設置されるディスプレイがステレオ再生機能を有するパネルスピーカを含む際、パネルスピーカからの音響を、当該パネルスピーカの近傍のシートの乗員は十分な音量で視聴可能である。しかし、パネルスピーカから離れたシートの乗員は、パネルスピーカからの音響を、ロードノイズなどの影響で聴取しにくいことがある。例えば、パネルスピーカが車両の前方のダッシュボード(前列(1列目)のシートの前)に設置される場合、パネルスピーカから離れたシートは、後列のシート(2列目以降のシート)である。このとき、パネルスピーカの近傍のシートは、前列(1列目)のシートである。前列(1列目)のシートは、運転席や助手席のシートである。また、例えば、3列以上のシートを有する車両において、2列目以降のシートの乗員用のパネルスピーカが2列目シート12の近傍(前)に設置される場合。パネルスピーカから離れたシートは、3列目以降のシートである。このとき、パネルスピーカの近傍のシートは、2列目のシートである。
【0005】
開示の実施形態は、車両に搭載されるパネルスピーカからの音響を聴取しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、単一のパネルを複数の振動アクチュエータで振動させて音響を出力するパネルスピーカを制御する音響装置である。当該音響装置は、当該複数の振動アクチュエータのそれぞれを、コンテンツに含まれる各チャネルの音響信号で振動するステレオモードと、当該複数の振動アクチュエータを同一の音響信号で駆動するモノラルモードとを選択する制御部を備える。
【0007】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録した情報処理装置が読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。なお、情報処理装置は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、パソコンやサーバと呼ばれることもある。
【発明の効果】
【0008】
開示の実施形態は、車両に搭載されるパネルスピーカからの音響を聴取しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる音響装置を含むシステムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、車両に設置されるパネルスピーカの例1を示す図である。
【
図3】
図3は、車両に設置されるパネルスピーカの例2を示す図である。
【
図4】
図4は、音響装置100の動作フローの例を示す図である。
【
図5】
図5は、変形例の車両に設置されるパネルスピーカの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0011】
〔実施形態〕
(構成例)
図1は、本実施形態にかかる音響装置を含むシステムの構成例を示す図である。
図1のシステムは、音響装置100、表示装置200、パネルスピーカ300、入力装置400、車両制御装置500を含む。パネルスピーカ300は、表示装置200の表示画面を振動させることにより音響を出力するスピーカである。表示装置200、パネルスピーカ300、入力装置400は、一体化して、1つの入出力装置であってもよい。
図1のシステムは、例えば、3列以上のシート(座席)を有する乗用車などの車両に搭載される。音響装置100は、制御部102、記憶部104、入出力IF(Interface)106、通信I
F(Interface)108を含む。これらは、互いにバスによって接続される。音響装置1
00は、例えば、コンピュータを搭載するカーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどによって実現され得る。3列以上のシートを有する車両は、複数列のシートを有する車両の例である。
【0012】
図2は、車両に設置されるパネルスピーカの例1を示す図である。
図2は、車両10を横から見た図である。
図2の車両10の右側が車両10の前方を示し、左側が車両10の後方を示す。車両10の天井には、接続部600を介して、パネルスピーカ300(及び表示装置200)が設置されている。パネルスピーカ300は、接続部600により、開閉可能に取り付けられる。接続部600は、車両10の天井及びパネルスピーカ300に接続される。接続部600は、車両10の車軸と平行な回転軸を有する。接続部600は、パネルスピーカ300のパネル(表示装置200の表示画面)を、車両10の天井とほぼ平行な位置(収納位置)から、車両10の天井の面と直交する位置を介して、やや下向きの位置まで、移動させることができる。パネルスピーカ300のパネル(表示装置200の表示画面)が、車両10の天井とほぼ平行な位置(収納位置)であるとき、当該パネルの面(表示装置200の表示画面)は上向きである。
【0013】
また、車両10は、前方から、1列目シート11、2列目シート12、3列目シート13を備え、各シートには、乗員が着席することができる。1列目シート11、2列目シート12、3列目シート13は、それぞれ、複数のシートを含みうる。パネルスピーカ300は、2列目シート12の近傍に設置されている。ここで、2列目シート12の近傍は、2列目シート12の前であって、1列目シート11の後ろ(1列目シート11の背面を含む)である。パネルスピーカ300(及び表示装置200)は、車両10の2列目以降のシートに着席する乗員が表示装置200の表示画面を見られる位置に設置される。ここで
、パネルスピーカ300のパネル(表示装置200の表示画面)と、車両10の天井の面とのなす角の角度(開閉角度)を、θとする。開閉角度θが第1の範囲(例えば、90度以上120度未満)である場合、2列目シートに着席する乗員も、3列目シートに着席する乗員も、表示装置200の表示画面を見ることができる。開閉角度θが第1の範囲と異なる第2の範囲(例えば、120度以上)である場合、2列目シートに着席する乗員は、表示装置200の表示画面を見ることができるが、3列目シートに着席する乗員は、表示装置200の表示画面を見ることが難しい。3列目シートに着席する乗員が表示画面を見ない場合、開閉角度θを第2の範囲とすることで、2列目シートに着席する乗員は、表示装置200の表示画面をより見やすくなる。即ち、3列目シートに着席する乗員が表示装置200の表示画面を見る場合、開閉角度θは、第1の範囲とされる。また、2列目シートに着席する乗員が表示装置200の表示画面を見るが、3列目シートに着席する乗員が表示装置200の表示画面を見ない場合、開閉角度θは、第2の範囲とされる。
図2では、開閉角度θは第1の範囲であり、2列目シートに着席する乗員も、3列目シートに着席する乗員も、表示装置200の表示画面を見ることができる。パネルスピーカ300のパネル(表示装置200の表示画面)が収納位置であるとき、開閉角度θは、ほぼ0である。
【0014】
図3は、車両に設置されるパネルスピーカの例2を示す図である。
図3は、開閉角度θを第2の範囲とした場合の例を示す。
図3の例では、開閉角度θを第1の範囲よりも大きい第2の範囲とすることで、2列目シートに着席する乗員は、表示装置200の表示画面をより見やすくなる。開閉角度θが第2の範囲である場合、3列目シートに着席する乗員が表示装置200の表示画面を見ることを想定していない。ここでは、開閉角度θが第2の範囲である場合、3列目シートに着席する乗員は、表示装置200の表示画面を見られないとする。
【0015】
音響装置100は、DVD(Digital Versatile Disc)などに格納される映像、CD(Compact Disc)などに格納される音楽、テレビ放送、ラジオ放送などの音響情報を含むコンテンツのデータを取得し、表示装置200、パネルスピーカ300により、当該コンテンツのデータに基づく、映像、音響を出力する。音響情報には、少なくとも2つのチャネル(例えば、左チャネル及び右チャネル)の音響情報が含まれる。コンテンツは、例えば、一定の時間をかけて再生される、映画などの動画像(動画)、音楽などの音響などである。
【0016】
制御部102は、音響装置100全体の制御を行う中央処理演算装置(Central Processing Unit)である。制御部102はプロセッサとも呼ばれる。ただし、制御部102は
、単一のプロセッサに限定されるものではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の制御部102がマルチコア構成であってもよい。制御部102は、記憶部104に記憶されたプログラムを作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器等の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。制御部102は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用LSI(Large Scale Integration)、その他のデジタル回路等を含んでもよい。
【0017】
記憶部104は、制御部102がプログラムやデータを記憶したり、作業領域を展開したり、動作の設定情報などを記憶したりする記録媒体である。記憶部104には、コンテンツのデータなどが格納され得る。記憶部104は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard-disk Drive)
、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等である。記憶部104は、制御部102に直接、接続されてもよい。
【0018】
入出力IF106は、表示装置200、パネルスピーカ300、入力装置400などの装置との間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力IF106は、ディスプレイなどの映像を出力する表示装置200、音響を出力するパネルスピーカ300、入力装置400などと接続される。
【0019】
通信IF108は、通信ネットワーク等を介して他の情報処理装置などと通信をする通信インタフェースである。通信IF108は、車両の動作を制御する車両制御装置500などと通信可能に接続される。通信IF108は、通信ネットワークを介して、他の情報処理装置から、音響装置100で再生する映像などのコンテンツのデータを取得してもよい。
【0020】
なお、上記の構成要素はそれぞれ複数個、設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。また、上記の構成要素は、車両に搭載される装置(例えば、カーナビゲーションシステム等)の構成要素に含まれるとしてもよい。
【0021】
表示装置200は、映像や文字情報を表示する表示画面を有するディスプレイである。表示装置200は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等である。表示装置200は、音
響装置100と通信可能に接続される。車両内に複数の表示装置200が設置されてもよい。表示装置200は、制御部102の制御によって映像(画像)を再生(出力)し得る。
【0022】
パネルスピーカ300は、音楽や音声などの音響を出力するスピーカである。パネルスピーカ300は、例えば、ディスプレイパネルなどの平面状のパネルを振動させることにより音響を出力するスピーカである。ここでは、パネルスピーカ300は、表示装置200の表示画面に接続される振動アクチュエータが当該表示画面(振動パネル)を振動させることにより音響(音波)を出力(放出)する。パネルスピーカ300は、少なくとも2つの振動アクチュエータを含む。各振動アクチュエータは、振動板となるパネル(振動パネル)に配置される。各振動アクチュエータは、独立に制御され得る。各振動アクチュエータが独立に制御されることで、複数のチャネル(例えば、左チャネル及び右チャネル)による音響が出力されうる。例えば、パネルスピーカ300が2つの振動アクチュエータを含む場合、一方の振動アクチュエータが左チャネルに対応し、他方の振動アクチュエータが右チャネルに対応する。表示装置200及びパネルスピーカ300は、1列目シート11の後部等に設置されてもよい。パネルスピーカ300は、制御部102の制御によって、音響を出力し得る。左チャネル及び右チャネルは、それぞれ、第1チャネル及び第2チャネルの例である。
【0023】
入力装置400は、例えば、利用者が音響装置100を操作する際に情報を入力する装置である。入力装置400は、キーボード、リモートコントローラ(リモコン)、ポインティングデバイス、タッチパネルなどである。入力装置400としてのタッチパネルは、表示装置200の表示画面に設けられてもよい。入力装置400と、音響装置100の通信IF108とは、有線で通信可能に接続されても、無線(電波、赤外線など)で通信可能に接続されてもよい。
【0024】
表示装置200、パネルスピーカ300、入力装置400は、車両10の車室内の2列目以降のシートでテレビ放送やDVD映像等楽しむための装置であり、いわゆる、リアシートエンターテイメント(RSE:Rear Seat Entertainment)システム用の装置である
。
【0025】
車両制御装置500は、音響装置100等が搭載される車両の走行を制御する装置である。車両制御装置500は、音響装置100の要求に応じて、車両10の走行状態(車両10の走行スピードなど)や、各座席に乗員が着席しているか否か、車両10に設置されるパネルスピーカ300の開閉角度などの情報を、音響装置100に出力する。車両制御装置500は、周知の手段により、車両10の速さ(走行スピード)の情報を、車両10内のセンサなどから取得し得る。車両制御装置500は、各座席に乗員が着席しているか否かの情報を、例えば、各座席に設置される重量センサ等により取得し得る。車両制御装置500は、パネルスピーカ300の開閉角度θを、パネルスピーカ300の開閉角度θを検出するセンサ等により取得し得る。
【0026】
(動作例)
図4は、音響装置100の動作フローの例を示す図である。ここでは、音響装置100の制御部102は、記憶部104に格納される映像などのコンテンツのデータを読み出し、表示装置200及びパネルスピーカ300で、1つのコンテンツ(例えば、映画などの映像)を再生しているとする。当該コンテンツには、2チャネル(左チャネル及び右チャネル)の音響情報が含まれているとする。なお、コンテンツには3チャネル以上の音響情報が含まれていてもよい(例えば、左チャネル、右チャネル、センターチャネル、右後方チャネル、左後方チャネル、サブウーファチャネルの合計5チャネル等)。また、また、各チャネルの音響情報は必ずしもステレオの右チャネル/左チャネル等に対応するものでなくてもよい。たとえば、楽曲のボーカルと各楽器のパートに対応してもよいし、アナウンスとBGM(Back Ground Music)に対応してもよい。また、コンテンツが映像を含む
ものであれば、当該映像に含まれるオブジェクトそれぞれに関連付けられた音響情報(人物のセリフ、車両のエンジン音、飛行機やヘリの爆音、動物の鳴き声等)に対応付けられていてもよい。制御部102は、コンテンツのデータを、通信IF108、通信ネットワークを介して、他の情報処理装置などから取得してもよい。
図3の動作フローは、例えば、所定時間(例えば、5秒間、1分間、10分間など)毎に実行される。
【0027】
S101では、音響装置100の制御部102は、音響装置100に車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定する。音響装置100に車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在しない場合、3列目シート13の乗員に対する音響の配慮をしなくてよい。音響装置100に車両10のシートに着席する乗員が存在するか否かは、車両10の着席状況の例である。
【0028】
制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500に、車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報を要求する。車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報は、3列目シートに設置される重量センサが示す重量の情報である。当該重量センサは、3列目シートの着席面に設置され、着席面にかかる重量を測定する。ここでは、車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報は、当該重量の情報であるとする。車両制御装置500は、音響装置100から要求を受信すると、重量センサにより、3列目シートの着席面にかかる重量を測定する。車両制御装置500は、測定した重量の情報を音響装置100に送信する。音響装置100の制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500から重量の情報を取得する。
【0029】
制御部102は、当該重量が所定値(例えば、15kg)以上であるとき、3列目シート13に着席する乗員が存在すると判定する。制御部102は、当該重量が所定値(例えば、15kg)未満であるとき、3列目シート13に着席する乗員が存在しないと判定する。このとき、3列目シート13には、何もないか、乗員ではない物などが置かれていると考えられる。3列目シート13に着席する乗員が存在すると判定した場合(S101;YES)、処理がS103に進む。3列目シート13に着席する乗員が存在しないと判定
した場合(S101;NO)、処理がS105に進む。
【0030】
車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報は、重量センサが示す情報に限られず、例えば3列目シート13に設置されたシートベルトの装着状態を示す情報でもよい。制御部102は当該情報がシートベルトが装着されていることを示しているとき、3列目シート13に着席する乗員が存在すると判定することができる。また、車両10の3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報は、例えば、車室内に設置されたカメラの映像を解析した結果の情報であってもよい。制御部102は当該カメラの映像をパターンマッチング等の手法で解析した結果、3列目シート13の位置に人物が存在するとの情報が得られたとき、3列目シート13に着席する乗員が存在すると判定することができる。
【0031】
S102では、音響装置100の制御部102は、パネルスピーカ300の開閉角度θが、3列目シート13に着席する乗員が表示装置200の表示画面を見られる第1の範囲内であるか否かを判定する。開閉角度θが第1の範囲である場合、3列目シート13に着席する乗員が表示装置200の表示画面を見ていると考えられる。即ち、3列目シート13に着席する乗員がパネルスピーカ300から出力される音響を聴いていると考えられる。よって、音響装置100は、3列目シート13に着席する乗員に対する音響の配慮をすることを求められる。開閉角度θが第2の範囲である場合、3列目シート13に着席する乗員が表示装置200の表示画面を見ていないと考えられる。よって、音響装置100は、3列目シート13に着席する乗員に対する音響の配慮をしなくてもよい。
【0032】
制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500に、パネルスピーカ300の開閉角度θの情報を要求する。車両制御装置500は、音響装置100から要求を受信すると、パネルスピーカ300の開閉角度θを測定するセンサにより、開閉角度θを測定する。車両制御装置500は、測定した開閉角度θの情報を音響装置100に送信する。音響装置100の制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500から開閉角度θの情報を取得する。
【0033】
開閉角度θが第1の範囲(例えば、90度以上120度未満)である場合(S102;YES)、処理がS103に進む。制御部102は、開閉角度θが第1の範囲(例えば、90度以上120度未満)でない場合(S102;NO)、処理がS105に進む。ここで、開閉角度θが第1の範囲(例えば、90度以上120度未満)でない場合、開閉角度θは第2の範囲(例えば、120度以上)である。
【0034】
S103では、音響装置100の制御部102は、車両10の速さ(走行スピード)が所定値以上であるか否かを判定する。車両10の速さが所定値以上である場合、車両10の車室内の騒音が大きいと考えられる。よって、3列目シートの乗員に対する音響の配慮が求められる。
【0035】
制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500に、車両10の速さ(走行スピード)の情報を要求する。車両制御装置500は、音響装置100から要求を受信すると、車両10の速さの情報を取得する。車両制御装置500は、取得した車両10の速さの情報を音響装置100に送信する。音響装置100の制御部102は、通信IF108を介して、車両制御装置500から車両10の速さの情報を取得する。
【0036】
車両10の速さが所定値(例えば、30km/h)以上である場合(S103;YES)、処理がS104に進む。車両10の速さが所定値(例えば、30km/h)未満である場合(S103;NO)、処理がS105に進む。車両10が走行している場合に車両10内の騒音が大きくなることを鑑み、制御部102は、所定値を、例えば、0km/h
としてもよい。
【0037】
S104では、制御部102は、パネルスピーカ300からの音響の出力をモノラルモードにする。即ち、制御部102は、パネルスピーカ300から出力される音響情報(音響信号)のうち、左チャネルの音響情報(音響信号)と、右チャネルの音響情報(音響信号)とを足し合わせて統合したモノラル音響情報を生成する。制御部102は、モノラル音響情報を、パネルスピーカ300の左チャネルに対応する振動アクチュエータ、及び、パネルスピーカ300の右チャネルに対応する振動アクチュエータに出力する。パネルスピーカ300は、左チャネルに対応する振動アクチュエータ及びパネルスピーカ300の右チャネルに対応する振動アクチュエータを、モノラル音響情報に基づいて振動させ、モノラル音響情報に基づく音響を出力する。モノラルモードは、左チャネルの音響情報と、右チャネルの音響情報とを足し合わせたモノラル音響情報に基づく音響を出力するモードである。これにより、後述のステレオモードより音圧の高い音響(モノラル音響)が出力される。具体的には、単一のパネルが、同じ信号で振動する複数の振動アクチュエータにより加振されることにより振動が強め合って、より音圧の高い音響を出力することが出来る。
【0038】
なお、モノラルモードで出力される音響は、左チャネルの音響情報と、右チャネルの音響情報とを足し合わせたモノラル音響情報に基づくものに限られない。例えば左チャネルに対応する振動アクチュエータと右チャネルに対応する振動アクチュエータの両方を左チャネルまたは右チャネルのうちのどちらか一方の音響情報に基づいて振動させてもよいし、また、コンテンツが左チャネルおよび右チャネル以外の他のチャネルの音響情報(例えば、センターチャネル、ボーカル、アナウンス、BGM等)を含む場合、当該他のチャネルの音響情報に基づいて振動アクチュエータを振動させてもよい。
【0039】
要するに、実施形態におけるモノラルモードとは、パネルスピーカ300に備えられた複数の振動アクチュエータを同一の音響情報で振動させるモードである。
【0040】
S105では、制御部102は、パネルスピーカ300からの音響の出力をステレオモードにする。即ち、制御部102は、パネルスピーカ300から出力される音響情報(音響信号)のうち、左チャネルの音響情報(音響信号)を、パネルスピーカ300の左チャネルに対応する振動アクチュエータに出力する。また、制御部102は、パネルスピーカ300から出力される音響情報(音響信号)のうち、右チャネルの音響情報(音響信号)を、パネルスピーカ300の右チャネルに対応する振動アクチュエータに出力する。パネルスピーカ300は、左チャネルに対応する振動アクチュエータを、左チャネルの音響情報に基づいて振動させ、左チャネルに基づく音響を出力する。また、パネルスピーカ300は、右チャネルに対応する振動アクチュエータを、右チャネルの音響情報に基づいて振動させ、右チャネルに基づく音響を出力する。これにより、臨場感のある音響(ステレオ音響)が出力される。ステレオモードは、左チャネルの音響情報に基づく音響と、右チャネルの音響情報に基づく音響とを独立に制御して出力するモードである。
なお、ステレオモードでは3チャネル以上の音響を出力してもよい。例えばパネルスピーカ300が左右と中央の三つの振動アクチュエータを備える場合に、上述の右チャネルと左チャネルに加えて、中央のアクチュエータをセンターチャネルの音響情報で振動させセンターチャネルに基づく音響を出力させてもよい。また、例えば中央のアクチュエータを楽曲のボーカルの音響情報に基づいて振動させ、左右のアクチュエータを各楽器のパートの音響情報に基づいて振動させてもよい。さらに、例えば中央のアクチュエータをアナウンスの音響情報に基づいて振動させ、左右のアクチュエータをBGMの音響情報に基づいて振動させてもよい。
また、コンテンツが映像を含み、パネルスピーカ300が表示パネル兼ねるものである場合、表示パネルに表示されている映像に含まれるオブジェクトの表示位置に近い位置に
備えられたアクチュエータを、当該オブジェクトに関連付けられた音響情報(人物のセリフ、車両のエンジン音、飛行機やヘリの爆音、動物の鳴き声等)に基づいて振動させ、オブジェクトの表示位置からそのオブジェクトに関連付けられて音響を出力させてもよい。
要するに、実施形態におけるステレオモードとは、パネルスピーカ300に備えられた複数のアクチュエータを異なる音響情報で振動させるモードである。
【0041】
S101からS103までのステップの順序は、変更されてもよい。また、S101からS103までのステップのうち、いずれか1つまたは2つのステップが省略されてもよい。
【0042】
例えば、S103のステップを最初に行う場合、3列目シートに着席する乗員の有無にかかわらず、車両10のスピードに基づいて、音響のモードを変更することができる。この場合、車両10のスピードが所定値以上の場合(すなわち、車両10内の騒音が大きい場合)、3列目シートに着席する乗員の有無にかかわらず、パネルスピーカ300からの音響を聴きやすくすることができる。
【0043】
例えばS102のステップを最初に行う場合、3列目シートに着席する乗員の有無を検出することなしに、パネルスピーカ300の開閉角度θに基づいて、音響のモードを変更することができる。開閉角度θが第1の範囲(例えば、90度以上120度未満)である場合、3列目シート13に着席する乗員が表示装置200の表示画面を見ている、即ち、3列目シート13に着席する乗員がパネルスピーカ300から出力される音響を聴いている蓋然性が高いと考えられるため、音響のモードを変更することによってパネルスピーカ300からの音響を聴きやすくすることができる。これにより、3列目シートに着席する乗員の有無を検出する手段を別途設けなくても、3列目シートに着席する乗員の有無に応じた適切な音響のモードに変更することが出来る。
【0044】
なお、制御部102が音響のモードを変更するタイミングは、着席状態や、開閉角度θが変化したときに直ちに変更してもよいが、他のタイミングで変更してもよい。例えば、例えば車両に乗員が乗り込み走行可能になったタイミング(言い換えると音響装置100に電源が投入されたタイミング)で一度だけ変更し、その後車両の使用中(言い換えると音響装置100に電源が投入されている間)は変更しないようにしてもよい。また、車両の速度が第1の所定値(例えば10km/h)以上になったのちに、車両の速度が第2の所定値以下(例えば5km/h)以下になったタイミングで変更するようにしてもよい。第2の所定値は、第1の所定値未満とする。さらに制御部102は、車両のドアの開閉を監視し、車両のドアの開閉があった場合に音響のモードを変更してもよい。このようにすれば、音響のモードが過度に頻繁に変わることにより、乗員が違和感を感じることを防止することが出来る。
【0045】
また、S101からS103までのステップの代わりに、制御部102は、車両10の乗員に、入力装置400を介して、採用する音響モード(モノラルモード又はステレオモード)を入力させてもよい。制御部102は、入力された音響モードに基づいて、音響の出力(S104またはS105)を行う。これにより、車両10の乗員が所望する音響モードで音響の出力を行うことができる。また、制御部102は、S101からS103までと異なる他の条件に基づいて、採用する音響モードを決定してもよい。
【0046】
(変形例)
上記の例では、2列目シート12の近傍にパネルスピーカ300が設置される例について説明した。変形例では、1列目シート12の近傍(前)にパネルスピーカ300が設置される例について説明する。ここでは、主として、上記の例との相違点について説明する。ここでは、音響装置100は、2列目シート12及び3列目シート13の乗員に対する
音響について考慮する。
【0047】
図5は、変形例の車両に設置されるパネルスピーカの例を示す図である。
図5の例では、表示装置200、パネルスピーカ300は、車両10の1列目シートの前方(例えば、ダッシュボード)に設けられる。また、変形例1では、S101において、音響装置100の制御部102は、音響装置100に車両10の2列目シート12及び3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定する。音響装置100に車両10の2列目シート12及び3列目シート13に着席する乗員が存在しない場合、2列目シート12及び3列目シートの乗員に対する音響の配慮をしなくてよい。また、制御部102は、車両制御装置500に、車両10の2列目シート12、3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報を要求する。車両10の2列目シート12に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報は、3列目シート13に着席する乗員が存在するか否かを判定できる情報と同様に取得できる。
【0048】
車両10は、3列以上のシートを備える車両ではなく、2列(前列及び後列)のシートを備える車両であってもよい。2列のシートを備える車両は、複数列のシートを有する車両の例である。
【0049】
また、変形例においてもパネルスピーカ300はチルト機構等によってパネルの向く角度を変更可能であってもよく、当該角度に応じてモノラルモードとステレオモードを選択してもよい。例えばパネル面が上を向いて水平の状態(パネルの法線方向が垂直の状態)を0度、車両の後方を向いて垂直な状態(パネルの法線方向が水平の状態)を90度とし、パネルの角度が第1の範囲(例えば、45度以上70度未満)ではステレオモード、第2の範囲(例えば70度以上)モノラルモードを選択するようにしてもよい。パネルの角度が第1の範囲(例えば、45度以上70度未満)では、パネルの法線方向は斜め上を向いており、車両の1列目のシート11に着席する乗員が見やすく、逆に2列目のシート12や3列目のシート13に着席する乗員にはやや見づらい角度であり、この場合は2列目や3列目の乗員は考慮せず、ステレオモードを選択し、1列目のシート11に着席する乗員にステレオ音響を出力することが出来る。パネルの角度が第2の範囲(例えば70度以上)ではパネルの法線方向は水平に近く、2列目のシート12や3列目のシート13に着席する乗員にも見やすい角度である。この場合は2列目や3列目の乗員も考慮して、モノラルモードを選択し、2列目や3列目の乗員にも聞き取りやすい音響を出力することが出来る。
【0050】
(他の変形例)
他の変形例としてパネルが車両の天井に取り付けられているときに、パネル面が天井面に対してほぼ平行な状態のときに、ステレオモードを選択するようにしてもよい。
【0051】
具体的には、例えばパネル面が水平の状態(パネルの法線方向が垂直の状態)を0度、パネル面が車両の前後方に対して垂直な状態(パネルの法線方向が水平の状態)を90度とし、パネルの角度が第1の範囲(例えば、10度未満)において、ステレオモードを選択することができる。なお、ここでいう「パネルの角度」とは天井面とパネル面のなす角度、または天井面の法線方向とパネル面の法線方向との成す角度と言い換えることもでき、〔実施形態〕および
図2、
図3等に記載されている「開閉角度θ」と同義のものである。
【0052】
パネルの角度が第1の範囲(例えば、10度未満)では、パネル面が天上面に平行に収納されている状態である。なお、この状態ではパネル面は上を向いて(つまり天井面と向き合って)いても、下を向いて(天井面に背を向けて)いてもよい。
【0053】
パネルの角度が第1の範囲(例えば、10度未満)では車両のどのシートの乗員にとってもパネルが見やすい状態であるとは言えず、表示装置200には何も表示させないのが好ましい。しかしながら、この状態でもパネルスピーカ300を単なるステレオスピーカとして機能させることが出来る。
【0054】
このようにすることで、パネルが天井面に収納されているときでもパネルスピーカ300をステレオスピーカとして利用でき、乗員が、例えばラジオやCDなど映像を伴わない音声を聴いているときに、車両のドアなどに備えられたスピーカに加え、車両の天井からもステレオ音響を出力することで、乗員はあたかも広いリスニングルームで音を聞いているような感覚を得ることが出来る。
【0055】
また、ステレオ音響を出力する際、出力されるステレオ音響に既知の残響音付加処理(典型的にはリバーブ処理)などを施すことによって、乗員はより広い(例えばホールのような)空間で音を聞いているような感覚を得ることが出来る。
【0056】
さらに、本変形例において、パネルの角度が第2の範囲(例えば、10度以上)において、モノラルモードを選択することができる。
【0057】
パネルの角度が第2の範囲(例えば、10度以上)では、パネルが天井面から展開されて(起き上がって)いる状態である。
【0058】
この状態では車両乗員は表示装置200に表示されているコンテンツを観ることが出来る状態であり、表示装置200にコンテンツの映像を表示させつつ、パネルスピーカ300から、このコンテンツに含まれる音響を出力することで、乗員は映像と音響が一体化したコンテンツを視聴することが出来る。
【0059】
そして、この時にモノラルモードを選択することで、パネルスピーカ300から音圧の高い音響を出力することが出来、乗員が感じる映像と音響との一体感をより高めることが出来る。
【0060】
なお、第1の範囲と第2の範囲は必ずしも接続していなくてもよく、例えば第2の範囲が45度以上であってもよい。この場合、パネルの角度が第1の範囲と第2の範囲の間、すなわち、10度以上、45度未満にある場合は、ステレオモードを選択してもよいしモノラルモードを選択してもよく、またどちらも選択しなくても(すなわち音響を出力しなくても)よい。
【0061】
(実施形態の作用、効果)
音響装置100は、複数の振動アクチュエータを備えるパネルスピーカ300に音響を出力させる。音響装置100は、3列目シート13に着席する乗員の有無(着席状況)、パネルスピーカ300の開閉角度θ、車両10の速さ(走行スピード)に基づいて、パネルスピーカ300における音響モードを決定(選択)する。音響装置100は、3列目シート13に着席する乗員(パネルスピーカ300から離れたシートに着席する乗員)が音響を聴取しやすくなるように、音響モードを決定する。音響装置100は、パネルスピーカ300の複数のアクチュエータでモノラル再生させることで、ステレオ再生時に比べ音圧を上げることができ、3列目シートに着席する乗員にも十分な音量で音響を届けることができる。また、音響装置100は、3列目シートに着席する乗員がいない場合、2列目シートに着席する乗員に向けてステレオ再生により臨場感のある音を届けることができる。
【0062】
開示の構成は、上記の実施形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。上
記の実施形態は、適宜、可能な限り組み合わせて実施することができる。
【0063】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0064】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ
等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 車両
11 1列目シート
12 2列目シート
13 3列目シート
100 音響装置
102 制御部
104 記憶部
106 入出力IF
108 通信IF
200 表示装置
300 パネルスピーカ
400 入力装置
500 車両制御装置