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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043499
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】樹脂フィルムおよびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240322BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240322BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240322BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240322BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240322BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240322BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240322BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240322BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240322BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
C08G18/00 030
C08G18/32 046
C08L75/04
C08L63/00 A
C08K3/013
C08K3/22
C08K3/36
B32B15/08 J
C08J5/18 CEZ
C08J5/18 CFC
H05K1/03 610L
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143370
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】111135100
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】595009383
【氏名又は名称】長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANG CHUN PLASTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F., No.301, Songkiang Rd., Zhongshan Dist Taipei City,Taiwan 104
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】林 軒民
(72)【発明者】
【氏名】陳 智富
(72)【発明者】
【氏名】杜 安邦
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F071AA42
4F071AA58
4F071AB26
4F071AC12
4F071AC19
4F071AF29Y
4F071AF54
4F071AF58
4F071AF62
4F071AG05
4F071AG28
4F071AG34
4F071AH13
4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4F071BC12
4F100AA08A
4F100AA13A
4F100AA14A
4F100AA15A
4F100AA16A
4F100AA18
4F100AA19A
4F100AA20A
4F100AA21A
4F100AA25A
4F100AA34A
4F100AA37A
4F100AB17B
4F100AB33B
4F100AC05A
4F100AC10A
4F100AD00A
4F100AD11A
4F100AG00A
4F100AH03A
4F100AK31A
4F100AK53A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA23A
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4F100YY00A
4J002BD15Y
4J002CD00X
4J002CD04X
4J002CD05X
4J002CK02W
4J002DA016
4J002DA036
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4J002DE146
4J002DE236
4J002DF016
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DK006
4J002DL006
4J002EN017
4J002ER027
4J002EU117
4J002FD016
4J002FD01Y
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4J002FD070
4J002FD147
4J002FD157
4J002GQ00
4J034BA02
4J034CA12
4J034CA15
4J034CA17
4J034CB03
4J034CB04
4J034CC01
4J034CC34
4J034CC44
4J034CC61
4J034CC65
4J034DA03
4J034DK05
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA11
4J034HA14
4J034HB03
4J034HC12
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC68
4J034JA02
4J034JA14
4J034JA32
4J034KB02
4J034KB04
4J034KD12
4J034KE02
4J034LA22
4J034MA02
4J034MA03
4J034MA04
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】本発明により、銅張積層板の誘電体材料として使用できる、銅箔との接着性、耐熱性に優れた樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有する、樹脂フィルムに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有する、樹脂フィルム。
【請求項2】
前記フーリエ変換赤外分光分析が、フーリエ変換赤外分光分析装置を用いて、フーリエ変換赤外分光装置に樹脂フィルムを配置し、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法を用いて信号強度AおよびBを測定して行われ、
前記フーリエ変換赤外分光装置の分解能が1cm-1であり、前記スペクトルのスキャン数が12であり、前記信号強度が各波長における吸光度である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルが、2943cm-1~2990cm-1の信号強度C、および0.05≦C/B≦0.4を有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
エポキシ樹脂およびシアネート樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂が共役不飽和結合を有するエポキシ樹脂である、請求項4に記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が芳香族エポキシ樹脂である、請求項5に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有するフェノールと芳香族アルデヒドの縮合物のエポキシド、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、キサンテンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ポリ(トリグリシジルイソシアヌレート)およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項4に記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
前記シアネート樹脂が、ビスフェノールAジシアネート、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールFジシアネート、ビスフェノールSジシアネート、フェノールシアネート樹脂、ビフェニルジシアネート、ビフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2‐ビス(4‐シアネート)フェニルプロパン、1,1‐ビス(4‐シアネートフェニルメタン)、ビス(4‐シアネート‐3,5‐ジメチルフェニル)メタン、1,3‐ビス(4‐シアネートフェニル‐1‐(メチルエチリデン)ベンゼン、ビス(4‐シアネートフェニル)スルフィド、ビス(4‐シアネートフェニル)エーテル、ジシクロペンタジエン構造を含むフェノールシアネート樹脂およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項4に記載の樹脂フィルム。
【請求項9】
フィラーを更に含み、フィラーの量は、樹脂フィルムの固形分に基づいて70重量%~88重量%である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項10】
前記フィラーは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素アルミニウム、炭化ケイ素、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、石英、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、焼成カオリン、プリアン、マイカ、ハイドロタルサイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、ガラスビーズ、セラミックウィスカー、カーボンナノチューブ、チタン酸ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項7に記載の樹脂フィルム。
【請求項11】
カーボンブラックを更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項12】
アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される硬化促進剤を更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項13】
前記樹脂フィルムが25μm~300μmの厚さを有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項14】
誘電体層と、前記誘電体層の表面を覆う銅箔とを含む銅張積層板であって、前記誘電体層が、請求項1~13のいずれか1項に記載の樹脂フィルムから供される、銅張積層板。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを含む、封止材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2022年9月16日に出願された台湾特許出願第11135100号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、樹脂フィルム、特に銅箔との接着性および耐熱性に優れた樹脂フィルム、および上記樹脂フィルムの用途を提供する。
【背景技術】
【0003】
プリント回路基板(PCB)は、電子機器の基板として使用することができ、他の電子部品を搭載し、部品を電気的に接続して安定した回路動作環境を提供することができる。プリント回路基板は主に銅張積層板から形成され、銅張積層板は誘電体層と導電層として使用される銅箔を重ね合わせて形成されている。
【0004】
電子機器の発達と性能の進歩に伴い、ICの構成は小型化、軽量化、薄型化し、高密度多層プリント配線板が要求されている。そのため、プリント配線板にはより優れた寸法安定性が求められ、また、配線接続の断線を避けるため、プリント配線板の誘電体層には銅箔との接着性、耐熱性が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、銅張積層板の誘電体材料として使用できる、銅箔との接着性、耐熱性に優れたフィルム材料を提供することである。本発明のフィルム材料は、従来の液体材料や粉末材料と比較して、均一な厚さで提供されるため、大面積の誘電体材料を提供する点で有利である。
【0006】
従って、本発明の目的は、樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルが、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有する、樹脂フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、フーリエ変換赤外分光法は、フーリエ変換赤外分光装置を用いて、フーリエ変換赤外分光装置に樹脂フィルムを配置し、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法を用いて信号強度AおよびBを測定して行われ、
前記フーリエ変換赤外分光装置の分解能が1cm-1であり、前記スペクトルのスキャン数が12であり、前記信号強度が各波長における吸光度である。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2943cm-1~2990cm-1の信号強度C、および0.05≦C/B≦0.4を有する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、エポキシ樹脂およびシアネート樹脂を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、エポキシ樹脂は、共役不飽和結合を有するエポキシ樹脂であり、好ましくは、芳香族エポキシ樹脂である。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有するフェノールと芳香族アルデヒドの縮合物のエポキシド、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、キサンテンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ポリ(トリグリシジルイソシアヌレート)およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、シアネート樹脂は、ビスフェノールAジシアネート、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールFジシアネート、ビスフェノールSジシアネート、フェノールシアネート樹脂、ビフェニルジシアネート、ビフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2‐ビス(4‐シアネート)フェニルプロパン、1,1‐ビス(4‐シアネートフェニルメタン)、ビス(4‐シアネート‐3,5‐ジメチルフェニル)メタン、1,3‐ビス(4‐シアネートフェニル‐1‐(メチルエチリデン)ベンゼン、ビス(4‐シアネートフェニル)スルフィド、ビス(4‐シアネートフェニル)エーテル、ジシクロペンタジエン構造を含むフェノールシアネート樹脂およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、フィラーを更に含み、フィラーの量は、樹脂フィルムの固形分に基づいて、70重量%~88重量%である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、フィラーは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素アルミニウム、炭化ケイ素、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、石英、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、焼成カオリン、プリアン、マイカ、ハイドロタルサイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、ガラスビーズ、セラミックウィスカー、カーボンナノチューブ、チタン酸ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、カーボンブラックを更に含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される硬化促進剤を更に含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、25μm~300μmの厚さを有する。
【0018】
本発明の別の目的は、誘電体層と、誘電体層の表面を覆う銅箔とを備える銅張積層板であって、誘電体層が前述の樹脂フィルムから供される、銅張積層板を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、前記の樹脂フィルムを含む封止材料を提供することである。
【0020】
本発明の上記目的、技術的特徴、および利点をより明らかにするために、以下、本発明をいくつかの具体的な実施形態に関して詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のいくつかの具体的な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は様々な実施形態で具体化することができ、本明細書中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【0022】
更に説明しない限り、明細書、特に添付の特許請求の範囲に記載されている「a」、「the」等の表現は、単数形および複数形の両方を含むものとする。
【0023】
追加的に説明しない限り、本明細書中において溶液、混合物、組成物、または樹脂フィルム中の成分を説明する場合、各成分の量は、乾燥重量に基づいて、すなわち、溶剤の重量に関係なく計算される。例えば、樹脂フィルム100重量部が溶剤20重量部およびフィラー40重量部からなる場合、樹脂フィルムの固形分は80重量部であり、フィラーの量は樹脂フィルムの固形分に基づいて50重量%である。
【0024】
1.樹脂フィルム
本発明は、樹脂フィルムの赤外線スペクトル信号強度比A/Bを制御することにより、樹脂フィルムの金属箔(例えば、銅箔)への接着性および樹脂フィルムの耐熱性を向上させることが可能である。本発明の樹脂フィルムおよびその用途の詳細な説明は、以下の通りである。
【0025】
1.1.樹脂フィルムの赤外スペクトル特性
本発明の樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有する。例えば、A/B値は、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72‐1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、または1.95、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、信号強度Aと信号強度Bとの比(A/B)は、0.7~1.9である。2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aは、シアネート官能基の吸収ピークを表し、1472cm-1~1523cm-1の信号強度Bは、ベンゼン環の炭素‐炭素二重結合の吸収ピークを表す。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、A/B値が特定の範囲内にある場合、A/B値が高いほどトリアジンを形成しやすいため、‐Nの孤立電子対電子が多くなり、樹脂フィルムの銅箔への接着性が高くなると考えられる。A/B値が小さいと、‐Nの孤立電子対電子が少なくなり、樹脂フィルムと銅箔との接着性が低くなる。しかし、A/B値が特定の範囲の上限を超えると、トリアジンが過剰になるため、樹脂フィルムが脆くなり、銅箔に効果的に接着することができない。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、更に2943cm-1~2990cm-1の信号強度Cを有し、信号強度Cと信号強度Bの比(C/B)は、0.05≦C/B≦0.4である。例えば、C/B値は、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.40、或いは本明細書中に記載の値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。信号強度Cは、組成物中の‐CH単結合の吸収ピークを表す。信号強度Cの増加は、A/B値の減少をもたらし、逆もまた同様である。
【0027】
本発明の樹脂フィルムの赤外スペクトル特性は、フーリエ変換赤外分光装置を用いて、以下のように測定することができる:フーリエ変換赤外分光装置に樹脂フィルムを入れ、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法を用いて信号強度AおよびBを測定し、フーリエ変換赤外分光装置の分解能が1cm-1、スペクトルのスキャン数が12、信号強度がそれぞれの波長における吸光度である。
【0028】
本発明において、信号強度とは、特定の波長範囲内の樹脂フィルムの光吸光度であり、その単位は任意単位(a.u.)である。信号強度Aは、2205cm-1~2322cm-1の吸収ピークの始点と終点を結ぶ線(すなわち、ピークの両側の最低点における接線)で定義される積分面積を算出することにより求められる。信号強度Bは、1472cm-1~1523cm-1の吸収ピークの始点と終点を結ぶ線で定義される積分面積を算出することにより得られる。信号強度Cは、2943cm-1~2990cm-1の吸収ピークの始点と終点を結ぶ線で定義される積分面積を計算することによって得られる。
【0029】
フーリエ変換赤外分光法で求めた本発明の樹脂フィルムのA/B値および/またはC/B値は、樹脂フィルムの構成または樹脂フィルムの乾燥条件を制御することにより調整することができる。例えば、異なる樹脂、硬化剤、または硬化促進剤を使用することにより、A/B値およびC/B値を調整することができる。乾燥条件としては、これらに限定されるものではないが、乾燥温度や乾燥時間などが挙げられる。本発明の技術分野における当業者であれば、対象出願の明細書の開示とその通常の技能に基づいて、所望のA/B値およびC/B値を得るために適切な構成または条件を選択することができる。
【0030】
1.2.樹脂フィルムの構成要素
1.2.1.エポキシ樹脂およびシアネート樹脂
フーリエ変換赤外分光法で求めたA/B値が0.70≦A/B≦1.95を満足することを前提に、樹脂フィルムの構成は必要に応じて調整することができる。本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、樹脂フィルムの樹脂成分としてエポキシ樹脂およびシアネート樹脂を含むか、または、樹脂フィルムの樹脂成分が本質的にエポキシ樹脂およびシアネート樹脂とから成る、または、樹脂フィルムの樹脂成分がエポキシ樹脂およびシアネート樹脂から成る。「樹脂フィルムの樹脂成分が本質的にエポキシ樹脂およびシアネート樹脂から成る」という表現は、樹脂フィルムの樹脂成分の総重量に基づいて、エポキシ樹脂およびシアネート樹脂の合計量が少なくとも80重量%、より具体的には、少なくとも85重量%であることを意味する。例えば、樹脂フィルムの樹脂成分の総重量に基づいて、エポキシ樹脂とシアネート樹脂の合計量は、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%であってもよい。
【0031】
エポキシ樹脂は、共役不飽和結合を有する脂肪族エポキシ樹脂、共役不飽和結合を有する芳香族エポキシ樹脂を含む共役不飽和結合を有するエポキシ樹脂であってもよく、共役不飽和結合を有する芳香族エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の例としては、限定されるわけではないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂(アルキルフェノールエポキシ樹脂)、ビフェニルエポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有するフェノールと芳香族アルデヒドの縮合物のエポキシド、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、キサンテンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ポリ(トリグリシジルイソシアヌレート)が挙げられる。前述のエポキシ樹脂は、単独または任意の組み合わせで使用してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、ナフタレンエポキシ樹脂およびビフェニルエポキシ樹脂を含む。
【0032】
本発明の樹脂フィルムに使用できる市販のエポキシ樹脂製品の例としては、限定されるわけではないが、Chang Chun Plastics社から入手できるBE188、Chang Chun Plastics社から入手できるbfe170、Nippon Kayaku社から入手できるNC‐3000シリーズのエポキシ樹脂、Mitsubishi Chemical社から入手できるjER(登録商標)YXシリーズのエポキシ樹脂、DIC社から入手できるEPICLON(登録商標)HP‐4032エポキシ樹脂、SHIN‐A T&C社から入手できるSE80シリーズが挙げられる。
【0033】
シアネート樹脂の例としては、限定されるわけではないが、ビスフェノールAジシアネート、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールFジシアネート、ビスフェノールSジシアネート、フェノールシアネート樹脂、ビフェニルジシアネート、ビフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2‐ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1‐ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4‐シアネート‐3,5‐ジメチルフェニル)メタン、1,3‐ビス(4‐シアネートフェニル‐1‐(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4‐シアネートフェニル)スルフィド、ビス(4‐シアネートフェニル)エーテル、およびジシクロペンタジエン構造含有フェノールシアネート樹脂が挙げられる。前記シアネート樹脂は、単独で、または任意の組み合わせで使用してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、ビスフェノールE型シアネート樹脂およびフェノールシアネート樹脂を含む。
【0034】
本発明の樹脂フィルムに使用できる市販のシアネート樹脂製品の例としては、限定されるわけではないが、LONZA社から入手できるBA‐230S、LONZA社から入手できるPT‐S60、LONZA社から入手できるLVT‐50、LONZA社から入手できるPT30、LONZA社から入手できるLECyが挙げられ、ここでBA‐230SおよびLECyがビスフェノールシアネート樹脂であり、PT‐S60,LVT‐50およびPT30がフェノールシアネート樹脂である。
【0035】
シアネート樹脂に含まれる‐OCN結合の量を調整することにより樹脂フィルムのA値を、エポキシ樹脂に含まれる共役不飽和炭素‐炭素結合の量を調整することにより樹脂フィルムのB値を、シアネート樹脂およびエポキシ樹脂に含まれるメチル量を調整することにより樹脂フィルムのC値を調整することが可能であることが分かった。従って、少なくとも前述のパラメータを調整することにより、樹脂フィルムのA/B値およびC/B値を制御することが可能である。
【0036】
樹脂フィルムのA/B値が所定の範囲内であることを前提に、樹脂フィルム中のエポキシ樹脂の量は、必要に応じて調整することが可能である。例えば、樹脂フィルムの固形分量を基準として、エポキシ樹脂の量を2重量%~25重量%とすることが可能である。例えば、樹脂フィルムの固形分に基づいて、エポキシ樹脂の量は、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、または25重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムの固形分に基づいて、エポキシ樹脂の量は、5重量%~18重量%である。
【0037】
樹脂フィルムのA/B値が所定の範囲内であることを前提として、樹脂フィルム中のシアネート樹脂の量は、必要に応じて調整することが可能である。例えば、樹脂フィルムの固形分量を基準として、シアネート樹脂の量を1重量%~25重量%とすることができる。例えば、樹脂フィルムの固形分に基づいて、シアネート樹脂の量は、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、または25重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムの固形分に基づいて、シアネート樹脂の量は、1重量%~19重量%である。
【0038】
1.2.2.フィラー
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、樹脂フィルムの機械的強度、熱伝導性、および寸法安定性を適応的に改善するためのフィラーを更に含む。
【0039】
好適なフィラーの例としては、限定されるわけではないが、シリカ(中空シリカ、球状珪砂などを含む)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素アルミニウム、炭化ケイ素、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、 酸化ジルコニウム、石英、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、焼成カオリン、プリアン、マイカ、ハイドロタルサイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、ガラスビーズ、セラミックウィスカー、カーボンナノチューブ、およびチタン酸ストロンチウムが挙げられる。前記のフィラーは、単独または任意の組み合わせで使用してもよい。
【0040】
フィラーの形状は、特に限定されない。例えば、フィラーは、球状、繊維状、板状、粒状、フレーク状、針状等の形状を有することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。更に、フィラーの大きさも特に限定されない。例えば、球状や粒状のフィラーの場合、フィラーの平均粒子サイズは10μm未満、好ましくは0.1μm~5μmであってもよい。
【0041】
また、フィラーの樹脂フィルムの他の成分との相溶性を向上させるために、樹脂フィルムに添加する前に、フィラーをカップリング剤で表面改質してもよい。カップリング剤の例としては、限定されるわけではないが、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、重合度の低いポリシロキサンなどが挙げられる。
【0042】
フィラーの量は、必要に応じて調整することができる。一般に、樹脂フィルムの固形分に基づいて、フィラーの量は、50重量%~90重量%であってもよい。例えば、樹脂フィルムの固形分に基づいて、フィラーの量は、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、または90重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。本発明の好ましい実施形態において、多層プリント配線板の高い寸法安定性の要求を満たすために、フィラーの量は、樹脂フィルムの固形分に基づいて、好ましくは70重量%~88重量%である。フィラーの量が所定の範囲内であると、樹脂フィルムの寸法安定性に優れることができ、より具体的には、熱膨張係数や反りの点で優れる。
【0043】
1.2.3.その他の任意成分
本発明の樹脂フィルムは、製造時の樹脂フィルムの加工性を適応的に改善するため、または作製された誘電体材料の物理化学的特性を改善するために、他の任意成分を更に含んでもよい。任意成分の例としては、限定されるわけではないが、当該技術分野で既知の溶剤、硬化促進剤、エラストマー、難燃剤、および添加剤が挙げられる。エラストマーの例としては、限定されるわけではないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびスチレン‐アルケン共重合体が挙げられる。難燃剤の例としては、限定されるわけではないが、リン含有難燃剤および臭素含有難燃剤が挙げられる。溶剤の例としては、限定されるわけではないが、トルエン、γ-ブチロラクトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノン、アセトン、キシレン、メチルイソブチルケトン、N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN‐メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。硬化促進剤の例としては、限定されるわけではないが、アミン系硬化促進剤(DETDA‐80)、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が挙げられる。当該技術分野で既知の添加剤の例としては、限定されるわけではないが、カーボンブラック、分散剤、強靭化剤、粘度調整剤、チキソトロピー剤、消泡剤、レベリング剤、表面改質剤、安定剤、および酸化防止剤が挙げられる。任意成分は、単独または任意の組み合わせで使用してもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは更に溶媒を含み、樹脂フィルムの総重量に基づいて、溶媒の量は3重量%~16重量%であってもよい。例えば、樹脂フィルムの総重量に基づいて、溶媒の量は、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、または16重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムはカーボンブラックを更に含み、樹脂フィルムの固形分に基づいて、カーボンブラックの量は0.1重量%~1重量%であってもよい。例えば、樹脂フィルムの固形分に基づいて、カーボンブラックの量は、0.1重量%、0.15重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、0.45重量%、0.5重量%、0.55重量%、0.6重量%、0.65重量%、0.7重量%、0.75重量%、0.8重量%、0.85重量%、0.9重量%、0.95重量%、または1重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。カーボンブラックを使用すると、本発明の樹脂フィルムを黒色にすることができ、配線パッケージのビルドアップ工程における効果的な遮蔽配線設計に有利である。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、硬化反応を促進し、樹脂組成物の硬化反応温度を低下させるために、硬化促進剤を更に含む。硬化促進剤の量は、特に限定されない。一般に、樹脂フィルムの固形分に基づいて、硬化促進剤の量は、0.1重量%~3重量%であってもよい。例えば、樹脂フィルムの固形分に基づいて、硬化促進剤の量は、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%,1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%または3重量%、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。
【0047】
1.3.樹脂フィルムの他の特性
本発明の樹脂フィルムは、半硬化フィルム(Bステージ)である。すなわち、樹脂フィルムは、溶剤を含まないか、少量の溶剤しか含まないようにドライベークされており、樹脂フィルムの樹脂成分は、ある程度のオリゴマー化を起こしていてもよいが、完全硬化はしていない。本発明の樹脂フィルムは、均一な厚さで提供されるため、大面積の誘電体材料を提供する上で有利である。また、本発明の樹脂フィルムは、銅箔との接着性、耐熱性に優れている。更に、樹脂フィルムがフィラーを多量に含む好ましい実施形態において、樹脂フィルムが優れた寸法安定性を有することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、樹脂フィルムは、25μm~300μmの厚さを有することが可能である。例えば、樹脂フィルムは、厚さが25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、または300μm、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。厚さは、必要性に応じて調整することができる。
【0049】
1.4.樹脂フィルムの作製
本発明の樹脂フィルムの作製方法は、特に限定されるものではない。当業者であれば、本願明細書の開示内容に基づいて、樹脂フィルムの作製を実施することができる。
【0050】
例えば、本発明の樹脂フィルムは、樹脂成分、フィラーおよび任意成分を含む樹脂フィルムの各原料を撹拌機で均一に混合し、成分を溶剤に溶解または分散させて均一溶液を得て、この均一溶液をキャリアフィルム上に均一にコーティングし、適当な乾燥温度下で適当な乾燥時間をかけて乾燥を行って、半硬化樹脂フィルムを得ることにより、作製することができる。溶媒は、樹脂フィルムの原料を溶解または分散させることができるが、原料と反応しない不活性な溶媒であれば如何なるものでもよい。溶媒の例については、前述した通りである。
【0051】
樹脂フィルムの成分の反応度合い、ひいてはA/B値やC/B値は、乾燥温度および乾燥時間によって影響され得ることが分かった。従って、乾燥温度および乾燥時間を制御することによって、樹脂フィルムのA/B値を調整することも可能である。本発明のいくつかの実施形態において、乾燥温度は80℃~120℃であってもよい。例えば、乾燥温度は、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、または120℃、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、乾燥時間は5分~25分であってもよい。例えば、乾燥時間は、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、または25分、或いは本明細書中に記載の値の任意の2つの間の範囲内であってもよい。
【0052】
本発明の樹脂フィルムの作製が完了した後、樹脂フィルムを室温に置き、2日以内にFTIR分析を行い、そのFTIR特性を測定することができる。あるいは、FTIR分析を適時に行うことができない場合、樹脂フィルムを0℃~-40℃で保存し、次いで室温に置いて室温まで温め、2日以内にFTIR分析に付すことができる。
【0053】
本発明の樹脂フィルムの例示的な作製工程は、以下に提供される実施例においてより詳細に説明される。
【0054】
2.樹脂フィルムの用途
本発明の樹脂フィルムは、プリント回路基板(PCB)の誘電体材料として使用することができる。従って、本発明は、誘電体層と、誘電体層の表面を覆う銅箔とを備え、誘電体層が本発明の樹脂フィルムから設けられる銅張積層板も提供する。具体的には、本発明の銅張積層板は、誘電体層として1枚の樹脂フィルムまたは複数の樹脂フィルムを重ね合わせたものを用い、誘電体層の少なくとも一方の外面に銅箔を重ね合わせ、誘電体層と銅箔とを備える多層体を設け、この多層体にホットプレス加工を施して金属張積層板を得るという方法で作製できる。
【0055】
また、本発明の樹脂フィルムは、封止に使用することも可能である。従って、本発明は、前記樹脂フィルムを含む、封止材料も提供する。
【実施例0056】
3.実施例
3.1.試験方法
以下、本発明を実施形態により更に具体的に説明すると、試験機器および試験方法は以下の通りである。
【0057】
[赤外分光法試験]
作製した厚さ160μmの乾燥樹脂フィルムを、5cm×5cmの試料に切断する。この試料をフーリエ変換赤外分光装置に入れ、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法により、2205cm-1~2322cm-1の信号強度A、1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、2943cm-1~2990cm-1の信号強度Cを測定する。フーリエ変換赤外分光装置の分解能は1cm-1、スペクトルのスキャン数は12、信号強度はそれぞれの波長における吸光度である(a.u.)。計算方法は、特定範囲内のピークの始点と終点を結ぶ線(ピークの両側の最下点における接線)で定義される積分面積を計算するものである。積分面積の算出には、マシンソフトウェア「PerkinElmer Spectrum Ver 10.5.3」が使用される。
【0058】
[銅箔への接着性試験]。
作製した乾燥樹脂フィルムを85℃~120℃の条件下に置き、1オンス電解銅箔(Chang Chun copper foil社、グレード:PLS)の処理面に5~10kgf/cmの面圧でプレスし、次いで、オーブン内で180℃3時間エージング処理を行い、銅張積層板(1)を得る。
【0059】
この銅張積層板(1)をプレッシャークッカー試験用のチャンバーに入れ、温度120℃および圧力0.2MPaを48時間かけて、銅張積層板(2)を得る。
【0060】
銅張積層板(1)および銅張積層板(2)をそれぞれ10cm×3.5cm(MD方向×TD方向)の大きさに切断する。各銅張積層板の接着面をボンディングシートとポリプロピレンシートとに貼り合わせた後、185℃で100kgf/cmの圧力で120秒間プレスし、その後、170℃で1時間エージング処理を行い、次いで3.5mmのほとんどエッチングされていないテープに貼り付けてウェットエッチングを行い、試料(1)および試料(2)をそれぞれ得る。
【0061】
試料(1)および試料(2)の引張強度をIPC‐TM‐650の試験方法2.4.9に準じて試験した。引張力が0.7kgf/cmより大きい場合は「○」、引張力が0.5~0.7kgf/cmの場合は「△」、引張力が0.5kgf/cmより小さい場合は「×」として試験結果が記録される。
【0062】
[ガラス転移温度および熱膨張係数試験]
作製した樹脂フィルムを180℃のオーブンに入れ、3時間エージングを行って、硬化物を得る。この硬化物を5mm×15mmの試料に切断し、この試料を熱機械分析装置(TMA)(TA社から入手可能)を用いて、引張加重法(tensile weighting method)に従って分析する。試料を熱機械分析装置にセットした後、応力50mN、加熱速度10℃/分、試験温度範囲室温から280℃の試験条件で、2回連続して測定を行う。ガラス転移温度(Tg)、50℃から120℃までの平均線膨張係数CTE1、180℃から240℃までの平均線膨張係数CTE2が記録されている。線熱膨張係数の単位はppm/℃である。樹脂フィルムのガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れる。また、樹脂フィルムの熱膨張係数が小さいほど、寸法安定性に優れる。
【0063】
[反り試験]
作製した厚さ160μmの乾燥樹脂フィルムを、10cm×25cmの試料に切断する。この試料をオーブン(C‐SUN社製、型番:SMO-1B)に入れ、150℃で4時間エージングを行う。エージング後の試料の端部における横方向(TD)の反り量を測定する。計算方法は、水平面から試料の端部の反りの最高点までの距離を計算する。反りが2cmより小さい場合は「○」、2~3cmの場合は「△」、3cm以上の場合や樹脂フィルムが破れている場合は「×」と記録する。反り値が大きい(反る距離が長い)、または樹脂フィルムが破断している場合は、寸法安定性が悪いことを示す。
【0064】
[ゲルタイム試験]
150℃のホットプレート上に、樹脂フィルム1~2gを載せる。ストリクル(または掻き板;strickle)を用いて樹脂フィルムを移動させながら、流動性がなくなるまでの時間GTを測定する。
【0065】
3.2.樹脂フィルムの作製
[実施例1]
プラネタリーミキサー(型番:ARV‐310)を用いて、ナフタレン型エポキシ樹脂(型番:EPICLON(登録商標)HP‐4032、DIC社から入手可能)4.31重量%、ビフェニル型エポキシ樹脂(型番:NC‐3000、Nippon Kayaku社から入手可能)3.08重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂(型番:LECy、LONZA社から入手可能)9.67重量%、フェノール系シアネート樹脂(型番:PT30、LONZA社から入手可能)4.16重量%、アミン系硬化促進剤0.41重量%、カーボンブラック0.37重量%、球状珪砂フィラー78.00重量%(以上いずれも固形分基準)を3本ロール混練機で混合分散し、これに溶剤を加えて均一な溶液とした。溶媒の量は、固形分100重量部に対して、9.04重量部である。
【0066】
均質溶液をPETキャリアフィルム上に均一に塗布した。この湿潤フィルムを、巻き線型ロッドおよびコーティングロッドで掻き取った。その後、湿潤フィルムを100℃のオーブンで10分間乾燥させて、半硬化樹脂フィルムを得て、樹脂フィルムの成形結果を観察した。
【0067】
[実施例2]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂5.75重量%、ビフェニルエポキシ樹脂4.11重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂7.94重量%、フェノールシアネート樹脂3.42重量%、アミン系硬化促進剤0.41重量%、カーボンブラック0.37重量%、球状珪砂フィラー78.00重量%(以上、いずれも固形分基準)、および固形分100重量部に対して溶剤11.29重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥時間は5分に調整した。
【0068】
[実施例3]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂9.52重量%、ビフェニルエポキシ樹脂6.81重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂3.42重量%、フェノールシアネート樹脂1.47重量%、アミン系の硬化促進剤0.41重量%、カーボンブラック0.37重量%、球状珪砂フィラー78.00重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤9.28重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥時間は5分に調整した。
【0069】
[実施例4]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂7.50重量%、ビフェニルエポキシ樹脂5.35重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂10.36、フェノールシアネート樹脂4.46重量%、アミン系硬化促進剤0.46重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー71.33重量%(以上、いずれも固形分基準)、および固形分100重量部に対して溶剤9.95重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度は120℃に調整した。
【0070】
[実施例5]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂5.87重量%、ビフェニルエポキシ樹脂4.19重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂8.11重量%、フェノールシアネート樹脂3.49重量%、アミン系硬化促進剤0.40重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー77.40重量%(以上、いずれも固形分基準)、および固形分100重量部に対して溶剤12.00重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度は120℃に調整し、乾燥時間は5分に調整した。
【0071】
[実施例6]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂3.53重量%、ビフェニルエポキシ樹脂2.48重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂4.85重量%、フェノールシアネート樹脂2.09重量%、アミン系硬化促進剤0.20重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー86.31重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤15.15重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度は120℃に調整した。
【0072】
[実施例7]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂10.21重量%、ビフェニルエポキシ樹脂7.28重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂14.10重量%、フェノールシアネート樹脂6.07重量%、アミン系の硬化促進剤0.40重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー61.40重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤5.70重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度は120℃に調整し、乾燥時間は25分に調整した。
【0073】
[実施例8]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂8.82重量%、ビフェニルエポキシ樹脂6.30重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂12.19重量%、フェノールシアネート樹脂5.25重量%、アミン系硬化促進剤0.55重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー66.35重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤9.09重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度を120℃に調整し、乾燥時間を5分に調整した。
【0074】
[比較例1]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂2.60重量%、ビフェニルエポキシ樹脂1.87重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂11.71重量%、フェノールシアネート樹脂5.04重量%、アミン系硬化促進剤0.41重量%、カーボンブラック0.37重量%、球状珪砂フィラー78.00重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤10.44重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。
【0075】
[比較例2]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂10.75重量%、ビフェニルエポキシ樹脂7.71重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂1.93重量%、フェノールシアネート樹脂0.83重量%、アミン系硬化促進剤0.41重量%、カーボンブラック0.37重量%、球状珪砂フィラー78.00重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤12.73重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥時間を5分に調整した。
【0076】
[比較例3]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂2.15重量%、ビフェニルエポキシ樹脂1.53重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂2.97重量%、フェノールシアネート樹脂1.28重量%、アミン系の硬化促進剤0.20重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー91.33重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤17.15重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度を120℃に調整し、乾燥時間を5分に調整した。
【0077】
[比較例4]
成分の量を以下の:ナフタレンエポキシ樹脂5.88重量%、ビフェニルエポキシ樹脂4.19重量%、ビスフェノールE型シアネート樹脂8.11重量%、フェノールシアネート樹脂3.49重量%、アミン系硬化促進剤0.40重量%、カーボンブラック0.54重量%、球状珪砂フィラー77.39重量%(以上、いずれも固形分基準)、固形分100重量部に対して溶剤11.58重量部に調整したこと以外は、実施例1の作製手順を繰り返して、樹脂フィルムを作製した。また、乾燥温度を140℃に調整し、乾燥時間を5分に調整した。
【0078】
実施例1~8および比較例1~4の成形結果を表1‐1に示す。
【0079】
表1‐1に示すように、実施例1~8の樹脂フィルムの成形結果は良好であった。一方、比較例2~4の成形結果は、破壊または不良であった。
【0080】
3.3.樹脂フィルムの試験
実施例1~8および比較例1~4の樹脂フィルムの赤外分光信号強度、銅箔との接着性、ガラス転移温度、熱膨張係数、反り、ゲルタイム等の特性または性質を、前述の試験方法に従って試験し、その結果を表2‐1および表2‐2に示す。
【0081】
【0082】
*NAは流動性が極めて悪く、ゲルタイム試験が行えないことを意味する。
【0083】
表2‐1および表2‐2に示すように、本発明の実施例1~8の樹脂フィルムは、銅箔との接着性に優れ、ガラス転移温度が高いことから、耐熱性に優れていることが分かる。これに対し、比較例1は、A/B値が1.95より高い場合に銅箔との接着性が悪く、比較例2~比較例4は、A/B値が0.70より低い場合に銅箔との接着性が悪く、ガラス転移温度が低く、耐熱性が劣ることを意味する。特に、実施例5と比較例4との比較から、樹脂フィルムの原料が同一であっても、A/B値が0.70未満となるように乾燥条件を調整すると、本発明の効果が得られないことが分かる。このことは、A/B値に関する技術的特徴が、本発明の効果を得るための特別な技術的特徴の1つであることを示している。また、実施例1~6と実施例7~8との比較から、A/B値が0.70≦A/B≦1.95を満足することを前提として、フィラーの量を70~88重量%に調整する場合、熱膨張係数を更に改善することができ、かつ樹脂フィルムの反りを改善できる、すなわち寸法安定性を更に向上できることが分かる。
【0084】
以上の実施例は、本発明の原理と効果を説明し、その発明的特徴を示すものである。この技術分野の当業者は、その原理を逸脱することなく、記載された本発明の開示および示唆に基づいて、様々な修正および置換を進めることができる。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義される通りである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂およびシアネート樹脂を含む樹脂フィルムであって、
樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有する、樹脂フィルム。
【請求項2】
前記フーリエ変換赤外分光分析が、フーリエ変換赤外分光分析装置を用いて、フーリエ変換赤外分光装置に樹脂フィルムを配置し、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法を用いて信号強度AおよびBを測定して行われ、
前記フーリエ変換赤外分光装置の分解能が1cm-1であり、前記スペクトルのスキャン数が12であり、前記信号強度が各波長における吸光度である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルが、2943cm-1~2990cm-1の信号強度C、および0.05≦C/B≦0.4を有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が共役不飽和結合を有するエポキシ樹脂である、請求項に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂が芳香族エポキシ樹脂である、請求項に記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有するフェノールと芳香族アルデヒドの縮合物のエポキシド、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、キサンテンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ポリ(トリグリシジルイソシアヌレート)およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記シアネート樹脂が、ビスフェノールAジシアネート、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールFジシアネート、ビスフェノールSジシアネート、フェノールシアネート樹脂、ビフェニルジシアネート、ビフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2‐ビス(4‐シアネート)フェニルプロパン、1,1‐ビス(4‐シアネートフェニルメタン)、ビス(4‐シアネート‐3,5‐ジメチルフェニル)メタン、1,3‐ビス(4‐シアネートフェニル‐1‐(メチルエチリデン)ベンゼン、ビス(4‐シアネートフェニル)スルフィド、ビス(4‐シアネートフェニル)エーテル、ジシクロペンタジエン構造を含むフェノールシアネート樹脂およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項に記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
フィラーを更に含み、フィラーの量は、樹脂フィルムの固形分に基づいて70重量%~88重量%である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項9】
前記フィラーは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素アルミニウム、炭化ケイ素、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、石英、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、焼成カオリン、プリアン、マイカ、ハイドロタルサイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、ガラスビーズ、セラミックウィスカー、カーボンナノチューブ、チタン酸ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項に記載の樹脂フィルム。
【請求項10】
カーボンブラックを更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項11】
アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される硬化促進剤を更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項12】
前記樹脂フィルムが25μm~300μmの厚さを有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項13】
誘電体層と、前記誘電体層の表面を覆う銅箔とを含む銅張積層板であって、前記誘電体層が、請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂フィルムから供される、銅張積層板。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを含む、封止材料。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂およびシアネート樹脂を含む樹脂フィルムであって、
樹脂フィルムをフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で特性評価する場合、前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルは、2205cm-1~2322cm-1の信号強度Aおよび1472cm-1~1523cm-1の信号強度B、並びに0.70≦A/B≦1.95を有し、
前記樹脂フィルムが30μm~300μmの厚さを有する、樹脂フィルム。
【請求項2】
前記フーリエ変換赤外分光分析が、フーリエ変換赤外分光分析装置を用いて、フーリエ変換赤外分光装置に樹脂フィルムを配置し、650cm-1~4000cm-1の範囲の吸収スペクトルを測定し、減衰全反射法を用いて信号強度AおよびBを測定して行われ、
前記フーリエ変換赤外分光装置の分解能が1cm-1であり、前記スペクトルのスキャン数が12であり、前記信号強度が各波長における吸光度である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
前記樹脂フィルムのフーリエ変換赤外スペクトルが、2943cm-1~2990cm-1の信号強度C、および0.05≦C/B≦0.4を有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が共役不飽和結合を有するエポキシ樹脂である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂が芳香族エポキシ樹脂である、請求項4に記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有するフェノールと芳香族アルデヒドの縮合物のエポキシド、ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、キサンテンエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、ポリ(トリグリシジルイソシアヌレート)およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記シアネート樹脂が、ビスフェノールAジシアネート、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールFジシアネート、ビスフェノールSジシアネート、フェノールシアネート樹脂、ビフェニルジシアネート、ビフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2‐ビス(4‐シアネート)フェニルプロパン、1,1‐ビス(4‐シアネートフェニルメタン)、ビス(4‐シアネート‐3,5‐ジメチルフェニル)メタン、1,3‐ビス(4‐シアネートフェニル‐1‐(メチルエチリデン)ベンゼン、ビス(4‐シアネートフェニル)スルフィド、ビス(4‐シアネートフェニル)エーテル、ジシクロペンタジエン構造を含むフェノールシアネート樹脂およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
フィラーを更に含み、フィラーの量は、樹脂フィルムの固形分に基づいて70重量%~88重量%である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項9】
前記フィラーは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素アルミニウム、炭化ケイ素、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、石英、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイト、焼成カオリン、プリアン、マイカ、ハイドロタルサイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、ガラスビーズ、セラミックウィスカー、カーボンナノチューブ、チタン酸ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項8に記載の樹脂フィルム。
【請求項10】
カーボンブラックを更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項11】
アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される硬化促進剤を更に含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項12】
誘電体層と、前記誘電体層の表面を覆う銅箔とを含む銅張積層板であって、前記誘電体層が、請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂フィルムから供される、銅張積層板。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを含む、封止材料。
【外国語明細書】