IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭有機材工業株式会社の特許一覧

特開2024-435廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法
<>
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図1
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図2
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図3
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図4
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図5
  • 特開-廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000435
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
G01N23/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099201
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】河津 洋
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001CA01
2G001HA13
2G001JA09
2G001LA09
2G001MA04
2G001NA10
2G001NA11
2G001NA12
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】再生砂の製造工程を追跡することができる廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法を提供する。
【解決手段】廃砂管理システムは、所定量の廃砂から含有金属を除去する除去装置と、除去装置によって含有金属の一部が除去された廃砂に対して有害金属成分を含むか否かを検査する検査装置と、検査装置によって検査された廃砂を計測する第1計測装置と、第1計測装置によって計測された廃砂の量と、検査装置による検査結果とを組にして記憶する記憶部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃砂管理システムであって、
所定量の廃砂から含有金属を除去する除去装置と、
前記除去装置によって含有金属の一部が除去された廃砂に対して有害金属成分を含むか否かを検査する検査装置と、
前記検査装置によって検査された廃砂を計測する第1計測装置と、
前記第1計測装置によって計測された廃砂の量と、前記検査装置による検査結果とを組にして記憶する記憶部と、
を有することを特徴とする廃砂管理システム。
【請求項2】
前記除去装置に導入される前記所定量の廃砂を計測する第2計測装置を更に有し、
前記除去装置、前記検査装置、及び、前記第1計測装置は、前記第2計測装置によって計測された前記所定量の廃砂を処理単位として、除去、検査、及び、計測を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の廃砂管理システム。
【請求項3】
前記廃砂は鉱さいであり、
前記除去装置は、鉄塊、及び、砂鉄を含む磁性体を除去する磁性体除去部、及び/又は、アルミニウム、銅、真鍮、及び、マグネシウムを含む非磁性体を除去する非磁性体除去部を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃砂管理システム。
【請求項4】
前記検査装置は、前記廃砂に対してX線を照射するX線照射部、前記X線照射部によりX線が照射された廃砂から放出されるX線光子を検出する検出部、及び、前記検出部による前記X線光子の検出結果に基づいて、前記廃砂が有害金属成分を含むか否を判定する判定部を含むことを特徴とする請求項3に記載の廃砂管理システム。
【請求項5】
前記所定量は、1台のトラックに積載可能な量、1個のフレコン包装が可能な量、1つの鉄箱に積載可能な量、1台の脱着装置付きコンテナ車に積載可能な量、又は、1台の粉粒体運搬車に積載可能な量である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃砂管理システム。
【請求項6】
廃砂管理方法であって、
所定量の廃砂から除去装置によって含有金属を除去し、
含有金属の一部が除去された廃砂に対して有害金属成分を含むか否かを検査装置によって検査し、
検査された廃砂を計測装置によって計測し、
計測された廃砂の量と検査結果とを組にして記憶部に記憶する、
ことを特徴とする廃砂管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属溶湯の鋳造には珪砂等の砂を固めた鋳型が用いられる。この鋳型をばらすと、金属等の異物が混じった廃砂(鋳物廃砂とも称される。)が発生する。現在、この廃砂を回収、及び、再生して再生砂(鋳物再生砂とも称される。)を製造し、さらに製造した再生砂を再び鋳型の材料として用いる手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-102215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造された再生砂が正しく検査されたものであるかを追跡することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、再生砂の製造工程を追跡することができる廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る廃砂管理システムは、所定量の廃砂から含有金属を除去する除去装置と、除去装置によって含有金属の一部が除去された廃砂に対して有害金属成分を含むか否かを検査する検査装置と、検査装置によって検査された廃砂を計測する第1計測装置と、第1計測装置によって計測された廃砂の量と、検査装置による検査結果とを組にして記憶する記憶部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一側面に係る廃砂管理システムにおいて、除去装置に導入される所定量の廃砂を計測する第2計測装置を更に有し、除去装置、検査装置、及び、第1計測装置は、前記第2計測装置によって計測された所定量の廃砂を処理単位として、除去、検査、及び、計測を行うことが好ましい。
【0008】
本発明の一側面に係る廃砂管理システムにおいて、廃砂は鉱さいであり、除去装置は、鉄塊、及び、砂鉄を含む磁性体を除去する磁性体除去部、及び/又は、アルミニウム、銅、真鍮、及び、マグネシウムを含む非磁性体を除去する非磁性体除去部を含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一側面に係る廃砂管理システムにおいて、検査装置は、廃砂に対してX線を照射するX線照射部、X線照射部によりX線が照射された廃砂から放出されるX線光子を検出する検出部、及び、検出部によるX線光子の検出結果に基づいて、廃砂が有害金属成分を含むか否を判定する判定部を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の一側面に係る廃砂管理システムにおいて、所定量は、1台のトラックに積載可能な量、1個のフレコン包装が可能な量、1つの鉄箱に積載可能な量、1台の脱着装置付きコンテナ車に積載可能な量、又は、1台の粉粒体運搬車に積載可能な量であることが好ましい。
【0011】
本発明の一側面に係る廃砂管理方法は、所定量の廃砂から除去装置によって含有金属を除去し、含有金属の一部が除去された廃砂に対して有害金属成分を含むか否かを検査装置によって検査し、検査された廃砂を計測装置によって計測し、計測された廃砂の量と検査結果とを組にして記憶部に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃砂管理システム、及び、廃砂管理方法は、再生砂の製造工程を追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】廃砂管理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】除去装置の構成を示すブロック図である。
図3】検査装置の構成を示すブロック図である。
図4】管理装置の構成を示すブロック図である。
図5】廃砂管理システムにおける再生砂の製造工程を示すフローチャートである。
図6】各工程の実施時刻、及び、付帯情報を記憶するデータベースである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、廃砂管理システム1の概略構成の一例を示す図である。廃砂管理システム1は、鉱さいである廃砂100(鋳物廃砂とも称される。)から再生砂200(鋳物再生砂とも称される。)を製造すると共に、製造した再生砂200の品質を管理するためのシステムである。なお、説明の便宜上、この廃砂管理システム1によって製造される砂を再生砂200と称しているが、廃砂管理システム1によって製造される砂を他所に運搬して、運搬した砂に対してさらなる加工を施したものを再生砂200と称してもよい。この廃砂管理システム1は、検査前計測装置2、ベルトコンベア3、除去装置4、検査装置5、検査後計測装置6、確認装置7、及び、管理装置8等を含んで構成される。
【0016】
検査前計測装置2は、除去装置4に導入される所定量の廃砂100を計測する。検査前計測装置2は、所定量の廃砂100を計測した後、この廃砂100をベルトコンベア3へ投入する。ここで、除去装置4、検査装置5、及び、検査後計測装置6は、この検査前計測装置2によって計測された所定量の廃砂100を処理単位として、除去、検査、及び、計測を行う。所定量は、1台の脱着装置付きコンテナ車300(フックロール(登録商標)とも称される。)に積載可能な量である。検査前計測装置2は、少なくとも、所定量の廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを管理装置8へ送信する。
【0017】
ベルトコンベア3は、検査前計測装置2によって計測された所定量の廃砂100を検査後計測装置6へ運搬する。ベルトコンベア3による廃砂100の運搬経路には、除去装置4、及び、検査装置5が設けられている。
【0018】
除去装置4は、ベルトコンベア3によって運搬される所定量の廃砂100から含有金属を除去する。除去装置4は、少なくとも、所定量の廃砂100から含有金属を除去した時刻を管理装置8へ送信する。除去装置4の動作を開始するタイミングは、後述する物体検出センサ45によるベルトコンベア3上の廃砂100の検出、管理装置8からの開始信号の受信、又は、後述する操作部43からのユーザの入力をトリガとしてもよい。
【0019】
検査装置5は、ベルトコンベア3による廃砂100の運搬経路において、除去装置4の下流に設けられる。検査装置5は、除去装置4によって含有金属の一部が除去された廃砂100に対して有害金属成分を含むか否かを検査する。検査装置5は、検査結果に基づいて、含有金属の一部が除去された廃砂100が鋳型材料として再利用可能な再生砂200であるか、鋳型材料として利用不可能な廃棄砂400であるかを判定する。検査装置5は、少なくとも、検査を実行した時刻と、検査結果とを管理装置8へ送信する。除去装置4の開始タイミングは、後述する物体検出センサ55によるベルトコンベア3上の廃砂100の検出、管理装置8からの開始信号の受信、又は、後述する操作部53からのユーザの入力をトリガとしてもよい。
【0020】
検査後計測装置6は、検査装置5によって検査された廃砂100を計測する。検査後計測装置6は、廃砂100を計測した後、この廃砂100をコンテナ500へ投入する。検査後計測装置6は、少なくとも、検査装置5によって検査された廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを管理装置8へ送信する。なお、コンテナ500には、識別番号600が付されている。
【0021】
確認装置7は、検査後計測装置6によって計測された廃砂100が投入されたコンテナ500を撮影して、確認画像を生成するためのカメラである。確認装置7は、少なくとも、コンテナ500を撮影した時刻と、確認画像とを管理装置8へ送信する。確認装置7によって生成された確認画像には、コンテナ500の識別番号600に対応する画素領域が含まれている。なお、再生砂200が投入されたコンテナ500は、確認装置7による撮影後、脱着装置付きコンテナ車300に積載されて、再生砂200を鋳型材料とした鋳型を作成するための工場等に運搬される。また、廃棄砂400が投入されたコンテナ500は、確認装置7による撮影後、敷地内に保管される。廃棄砂400は、後に産業廃棄物として処理される。なお、確認装置7は、後述するデータベースにおいて、コンテナ500の識別番号600と、コンテナ500に投入される廃砂100の検査結果とを対応付けて確認できれば、カメラに限らない。例えば、確認装置7は、コンテナ500に添付される情報保持体(一次元コードや二次元コード等)からコンテナ500の識別番号600を読み取るコードリーダ等であってもよい。
【0022】
管理装置8は、廃砂管理システム1に含まれる各構成から送信される各種情報、及び、データを管理する。例えば、管理装置8は、検査後計測装置6によって計測された廃砂100の量と、検査装置5による検査結果とを組にして記憶する記憶部81を含んで構成される。
【0023】
図2は、除去装置4の構成を示すブロック図である。図2に示すように、除去装置4は、磁性体除去部41、非磁性体除去部42、操作部43、及び、処理部44等を含んで構成される。
【0024】
磁性体除去部41は、鉄塊、及び、砂鉄を含む磁性体を除去する。例えば、磁性体除去部41は、1500G~3000G程度の磁束密度の磁場を発生する磁力選別装置を備えており、この磁力選別装置を用いて、ベルトコンベア3によって運搬される廃砂100から、鉄塊等の大きな磁性体と、砂鉄等のやや小さな磁性体とを除去する。
【0025】
非磁性体除去部42は、アルミニウム、銅、真鍮、及び、マグネシウムを含む非磁性体を除去する。例えば、非磁性体除去部42は、3000~10000G程度の永久磁石が組み込まれたロール型の磁極回転子を1800~2500回転で回転させることで磁界を発生し、この磁界によって廃砂100に含まれる非磁性体であるアルミニウム、銅、真鍮、及び、マグネシウム等の金属に渦電流を発生させる。さらに、非磁性体除去部42は、この渦電流と磁極回転子の磁界との間に発生する電磁気力による反発力を利用して、渦電流が発生する非磁性体をベルトコンベア3の左右に飛ばして、渦電流が発生しない非磁性体(すなわち、含有金属が除去された廃砂100)を分別する。
【0026】
これにより、除去装置4は、廃砂100から、鉄塊、及び、砂鉄を含む磁性体、並びに、アルミニウム、銅、真鍮、及び、マグネシウムを含む非磁性体を除去することができる。なお、図2に示す除去装置4には、磁性体除去部41、及び、非磁性体除去部42の両方が含まれるが、必要に応じて、磁性体除去部41、又は、非磁性体除去部42が含まれるようにしてもよい。
【0027】
操作部43は、除去装置4に対するユーザの入力操作を受け付ける。操作部43は、例えば、キーパッド、又は、キーボードを備える。操作部43は、表示部と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部43は、ユーザの入力操作に応じた信号を生成して処理部44に供給する。
【0028】
処理部44は、除去装置4の動作を統括的に制御する、一又は複数個のプロセッサ、及び、その周辺回路を含んで構成される。処理部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部44は、物体検出センサ45によるベルトコンベア3上の廃砂100の検出、又は、管理装置8からの開始信号の受信をトリガとして、自動で除去装置4の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御すると共に、各種の処理を実行する。なお、処理部44は、操作部43からの入力に基づいて、各構成の動作を制御すると共に、各種の処理を実行してもよい。また、処理部44は、磁性体除去部41、及び、非磁性体除去部42のそれぞれの動作を制御する他に、磁性体除去部41のみの動作を制御しても、非磁性体除去部42のみの動作を制御してもよい。
【0029】
図3は、検査装置5の構成を示すブロック図である。この検査装置5は、蛍光X線分析法を用いた蛍光X線分析装置である。図3に示すように、検査装置5は、X線照射部51、検出部52、操作部53、及び、処理部54等を含んで構成される。
【0030】
X線照射部51は、廃砂100に対してX線を照射する。X線照射部51は、X線を発生するX線管球、X線管球に印加する高電圧を発生する高電圧発生部、並びに、X線管球、及び、高電圧発生部で発生する熱を排出するための冷却機構等を含んで構成される。これらの構成は、ハウジングに収められる。X線照射部51は、例えば、管電圧を40kV、管電流を95mAに設定して、廃砂100に対してX線を照射する。
【0031】
検出部52は、X線照射部51によりX線が照射された廃砂100から放出されるX線光子(蛍光X線)を検出する。検出部52は、半導体検出器、又は、比例計数管等のエネルギー分散型X線検出器であり、入射したX線光子が持つエネルギーに比例した電荷を発生する。検出部52は、この電荷量に比例した電圧信号に変換し、さらに電圧信号をA/D変換してデジタル値として出力する。なお、検出部52は、波長分散型X線検出器であってもよい。
【0032】
操作部53は、検査装置5に対するユーザの入力操作を受け付ける。操作部53は、例えば、キーパッド、又は、キーボードを備える。操作部53は、表示部と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部53は、ユーザの入力操作に応じた信号を生成して処理部54に供給する。
【0033】
処理部54は、検査装置5の動作を統括的に制御する、一又は複数個のプロセッサ、及び、その周辺回路を含んで構成される。処理部54は、例えば、CPUを備える。処理部54は、物体検出センサ55によるベルトコンベア3上の廃砂100の検出、又は、管理装置8からの開始信号の受信をトリガとして、自動で検査装置5の各種処理が適切な手順で実行されるように、自動で各構成の動作を制御すると共に、各種の処理を実行する。なお、処理部54は、操作部53からの入力に基づいて検査装置5の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御すると共に、各種の処理を実行してもよい。
【0034】
処理部54は、判定部541を機能ブロックとして備える。判定部541は、検出部52によるX線光子の検出結果に基づいて、廃砂100が有害金属成分を含むか否を判定する。例えば、処理部54は、検出部52によって生成される電圧信号から電圧パルスの波高を得てエネルギースペクトルを生成する。処理部54は、検出部52から出力されたX線光子の信号をエネルギーごとに弁別し、エネルギーごとに入射回数を計数して、X線強度としてエネルギースペクトルを得る。さらに、処理部54は、このエネルギースペクトルから廃砂100内の元素分布を視覚的に確認するためのマッピング像を生成し、このマッピング像に基づいて、廃砂100に対して有害金属成分を含むか否を判定する。なお、廃砂100に含まれる可能性がある有害金属成分は、カドミウム、鉛、水銀、及び/又は、クロムである。
【0035】
図4は、管理装置8の構成を示すブロック図である。図4に示すように、管理装置8は、記憶部81、表示部82、操作部83、及び、制御部84等を含んで構成される。記憶部81、表示部82、操作部83、及び、制御部84は、バス85を介して相互に接続される。
【0036】
記憶部81は、例えば、半導体記憶装置を含み、制御部84での処理に用いられるプログラム、及び、データ等を記憶する。例えば、記憶部81は、検査後計測装置6によって計測された廃砂100の量と、検査装置5による検査結果とを組にして記憶する。記憶部81は、制御部84による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部81にインストールされる。
【0037】
表示部82は、画像を表示する。表示部82は、例えば、液晶ディスプレイ、又は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部82は、制御部84から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0038】
操作部83は、管理装置8に対するユーザの入力操作を受け付ける。操作部83は、例えば、キーパッド、キーボード、又は、マウスを備える。操作部83は、表示部82と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部83は、ユーザの入力操作に応じた信号を生成して制御部84に供給する。
【0039】
制御部84は、管理装置8の動作を統括的に制御する、一又は複数個のプロセッサ、及び、その周辺回路を含んで構成される。制御部84は、例えば、CPUを備える。制御部84は、記憶部81に記憶されているプログラム、及び、操作部83からの入力に基づいて管理装置8の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御すると共に、各種の処理を実行する。
【0040】
図5は、廃砂管理システム1における再生砂200の製造工程を示すフローチャートである。廃砂管理システム1は、予め記憶部81に記憶されているプログラムに基づき主に制御部84により廃砂管理システム1の各要素と協働して実行される。
【0041】
まず、検査前計測装置2は、所定量の廃砂100を計測する。検査前計測装置2は、所定量の廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを管理装置8へ送信する(ステップS1)。また、管理装置8の記憶部81は、検査前計測装置2から送信された所定量の廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを記憶する。
【0042】
次に、除去装置4は、ベルトコンベア3によって運搬される所定量の廃砂100から含有金属を除去する。除去装置4は、所定量の廃砂100から含有金属を除去した時刻を管理装置8へ送信する(ステップS2)。また、管理装置8の記憶部81は、除去装置4から送信された所定量の廃砂100から含有金属を除去した時刻を記憶する。
【0043】
次に、検査装置5は、除去装置4によって含有金属の一部が除去された廃砂100に対して有害金属成分を含むか否かを検査する。検査装置5は、廃砂100に有害金属成分が含まれない場合、この廃砂100を再生砂200と判定する。また、検査装置5は、廃砂100に有害金属成分が含まれる場合、この廃砂100を廃棄砂400と判定する。検査装置5は、検査を実行した時刻と、検査結果とを管理装置8へ送信する(ステップS3)。また、管理装置8の記憶部81は、検査装置5から送信された検査を実行した時刻と、検査結果とを管理装置8を記憶する。
【0044】
次に、検査後計測装置6は、検査装置5によって検査された廃砂100を計測する。検査後計測装置6は、検査装置5によって検査された廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを管理装置8へ送信する。(ステップS4)。また、管理装置8の記憶部81は、検査後計測装置6から送信された廃砂100を計測した時刻と、廃砂100に関する計測情報とを記憶する。
【0045】
最後に、確認装置7は、検査後計測装置6によって計測された廃砂100が投入されたコンテナ500を撮影して、確認画像を生成する。確認装置7は、少なくとも、コンテナ500を撮影した時刻と、確認画像とを管理装置8へ送信する(ステップS5)。また、管理装置8の記憶部81は、確認装置7から送信されたコンテナ500を撮影した時刻と、確認画像とを記憶し、一連の再生砂200の製造工程を終了する。
【0046】
図6は、再生砂200の製造工程における各工程の実施時刻、及び、付帯情報を記憶するデータベースである。図6に示すデータベースは、廃砂管理システム1の検査前計測装置2、除去装置4、検査装置5、検査後計測装置6、及び、確認装置7のそれぞれから管理装置8へ送信された各種情報、及び、データを一元的に管理するためのものである。
【0047】
図6に示すように、データベースには、廃砂管理システム1の各構成において実施された処理内容、これらの処理内容に対応する付帯情報、及び、処理の実施時刻が対応付けて記憶されている。また、廃砂管理システム1の各構成において実施された処理内容に対応付けて管理番号が付されている。この管理番号は、図5に示す一連の再生砂200の製造工程に対応する組番号と、この製造工程に含まれる各工程(処理内容)に対応する個別番号とを含んでいる。すなわち、データベースにより、一連の再生砂200の製造工程ごとに、一連の再生砂200の製造工程に含まれる各工程が管理されている。
【0048】
ユーザは、図6に示すデータベースにより、一連の再生砂200の製造工程ごとに、一連の再生砂200の製造工程に含まれる処理内容が一元的に管理されているため、一連の再生砂200の製造工程によって得られた情報、及び、データを瞬時に把握することができる。
【0049】
例えば、ユーザは、処理単位ごとの廃砂100に対して、検査装置5による検査結果を瞬時に把握することができる。また、ユーザは、一連の再生砂200の製造工程で製造された再生砂200の量、及び、再生砂200の検査結果を併せて把握することができる。また、再生砂200の検査結果と、コンテナ500の識別番号600とが一元的に管理されているため、ユーザは、再生砂200、又は、廃棄砂400が積載されたコンテナ500の識別番号600を把握することができる。また、検査前に計測された廃砂100の量と、磁性体、及び、非磁性体の除去、並びに、検査が実施された後に計測された廃砂100の量とが一元的に管理されているため、ユーザは、一連の再生砂200の製造工程で廃砂100から除去された含有金属の量を把握することができる。
【0050】
以上詳述したように、廃砂管理システム1は、検査前計測装置2、除去装置4、検査装置5、検査後計測装置6、及び、確認装置7のそれぞれから管理装置8へ送信された各種情報、及び、データを管理する。このとき、廃砂管理システム1は、データベースによって、一連の再生砂200の製造工程ごとに、一連の再生砂200の製造工程に含まれる各工程を一元的に管理する。これにより、廃砂管理システム1は、再生砂200の製造工程を追跡することができ、製造された再生砂が正しく検査されたものであるかを追跡することができる。
【0051】
ここで、処理単位としての所定量は、1台の脱着装置付きコンテナ車300に積載可能な量の他に、1台のトラックに積載可能な量、1台のフレコン包装が可能な量、1つの鉄箱に積載可能な量、又は、1台の粉粒体運搬車(ジェットパック(登録商標)とも称される)に積載可能な量であってもよい。
【0052】
また、処理部34、処理部44、及び、制御部84は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。
【0053】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 廃砂管理システム
2 検査前計測装置
4 除去装置
5 検査装置
6 検査後計測装置
7 確認装置
8 管理装置
41 磁性体除去部
42 非磁性体除去部
51 X線照射部
52 検出部
81 記憶部
541 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6