(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043507
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電動自転車の駆動ユニットを動作させる方法、および、電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20240322BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146684
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10 2022 209 775.0
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ビンダー,ユリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単で安価な構造で、駆動特性を運転者個人の要望にフレキシブルに適合する電動自転車を提供する。
【解決手段】本発明は、電動自転車(100)の駆動ユニット(102)を動作させる方法であって、電動自転車(100)のクランク駆動装置(104)のケイデンスを検知するステップと、検知されたケイデンスに依存して、かつ駆動ユニット(102)の出力特性マップにもとづいて駆動力を生成するように駆動ユニット(102)を制御して動作させるステップと、を包含する方法に関し、出力特性マップは、駆動ユニット(102)の駆動力と瞬時ケイデンスとの間の予め定められた関係を定義する出力特性曲線を有し、出力特性マップが最大出力領域を有し、最大出力領域内で、出力特性曲線が駆動ユニット(102)の最大駆動力を定義し、最大出力領域は、電動自転車(100)の運転者によって決定可能なケイデンス領域内に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車(100)の駆動ユニット(102)を動作させる方法であって、次のステップ、すなわち、
-前記電動自転車(100)のクランク駆動装置(104)のケイデンス(60)を検知するステップと、
-前記検知されたケイデンス(60)に依存して、かつ前記駆動ユニット(102)の出力特性マップ(50)にもとづいて駆動力(70)を生成するように、前記駆動ユニット(102)を制御して動作させるステップと、を包含し、
-前記出力特性マップ(50)は、前記駆動ユニット(102)の前記駆動力(70)と前記瞬時ケイデンス(60)との間の予め定められた関係を定義する出力特性曲線(5)を有し、
-前記出力特性マップ(50)は最大出力領域(55)を有し、前記最大出力領域内で、前記出力特性曲線(5)が前記駆動ユニット(102)の最大駆動力(75)を定義し、
-前記最大出力領域(55)は、前記電動自転車(100)の運転者によって決定可能なケイデンス領域(65)内に位置する、方法。
【請求項2】
前記出力特性曲線(5)は、前記最大出力領域(55)全体内で一定である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力特性曲線(5)は、ゼロのケイデンス(60)と第1のケイデンス(61)との間にある第1の線形領域(51)を有し、前記第1の線形領域(51)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記出力特性曲線(5)は、前記第1のケイデンス(61)と第2のケイデンス(62)との間にある第2の線形領域(52)を有し、前記第2のケイデンス(62)は、前記決定可能なケイデンス領域(65)の最小ケイデンスに相当し、前記第2の線形領域(52)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の線形領域(52)は、前記第1の線形領域(51)より低い勾配を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のケイデンス(61)は、前記第1の線形領域(51)に位置する第1の点(21)によって定義され、前記第1の点は、予め定められた第1の出力差(31)が前記最大駆動力(75)の下に位置する、請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の出力差(31)は、少なくとも50W、好ましくは少なくとも100W、特に最大350W、特に好ましくは200Wである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記出力特性曲線(5)は、前記第2の線形領域(52)に隣接する第3の線形領域(53)を有し、前記第3の線形領域(53)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例し、前記第3の線形領域(53)が負の勾配を有する、請求項4から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記出力特性曲線(5)は、前記第3の線形領域(53)に隣接する一定領域(54)をさらに有し、前記一定領域において、前記出力特性曲線(5)が一定の低下駆動力(77)を定義する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の線形領域(53)は、第3のケイデンス(63)と第4のケイデンス(64)との間に位置し、前記第3のケイデンスは、前記決定可能なケイデンス領域(65)の最大ケイデンスに相当し、前記第4のケイデンス(64)は第4の点(24)によって定義され、前記第4の点は、予め定められた第2の出力差(32)が前記最大駆動力(75)の下に位置する、および/または前記予め定められたケイデンス差(57)が第3のケイデンス(63)の上に位置する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の出力差(32)は、少なくとも20W、好ましくは少なくとも50W、特に最大200W、特に好ましくは100Wであり、および/または前記ケイデンス差(57)は、少なくとも2rpm、好ましくは少なくとも5rpm、特に最大20rpm、特に好ましくは10rpmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電動自転車であって、駆動ユニット(102)と、前記駆動ユニット(102)を制御して操作するように設定された制御ユニット(103)とを備え、前記制御ユニット(103)は、さらに、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定されている、電動自転車。
【請求項13】
前記電動自転車(100)の運転者のユーザ入力を受信するように設定された入力ユニット(109)をさらに備え、前記入力ユニット(109)は、前記ユーザ入力にもとづく信号を前記制御ユニット(103)に伝送するように設定されている、請求項12に記載の電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自転車の駆動ユニットを動作させる方法および電動自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者によって生成される運転者トルクをモータ力で補助するための駆動ユニットを備える電動自転車が知られている。その際、モータによる補助の駆動力の制御は、運転者によるペダル操作のケイデンスに依存して行われることが多い。その場合、通常、最大モータトルクを特定の決定されたケイデンスまで利用できるように設計される。多くの場合、このケイデンスに隣接して、所定の動力出力に制限される一定出力領域が続く。その場合、ケイデンスが増加するにつれてトルクが減少し、それにより一定の動力出力が得られる。したがって、電動自転車の運転者にとって、例えばこの決定されたケイデンスの領域においてエネルギー効率が最適であるため、多くの場合、運転者は自身の走行の仕方をそれに相応に適合させる。
【発明の概要】
【0003】
これに対して、請求項1の特徴を有する本発明による方法は、電動自転車の駆動ユニットの特にフレキシブルに適合可能な動力出力を可能にするために、簡単で安価な可能性が提供されるという利点を提供する。その場合、特に、電動自転車の運転者は、個人の走行挙動に動力出力を最適に適合させることができる。このことは、次のステップ、すなわち、
-電動自転車のクランク駆動装置のケイデンスを検知するステップと、
-検知されたケイデンスに依存して、かつ追加的に、駆動ユニットの出力特性マップにもとづいて、駆動力を生成するように駆動ユニットを制御して動作させるステップと、を包含する電動自転車の駆動ユニットを動作させる方法によって達成される。
その場合、出力特性マップは、生成されるべき駆動ユニットの駆動力と検知された瞬時ケイデンスとの間の予め定められた、特に数学的関係を定義する出力特性曲線を有する。出力特性マップは最大出力領域を有し、最大出力領域内で、出力特性曲線が駆動ユニットの最大駆動力を定義する。その場合、最大出力領域は、電動自転車の運転者によって決定可能であるケイデンス領域内に位置する。
【0004】
換言すると、この方法では、電動自転車の駆動ユニットが提供する駆動力の制御が出力特性マップに依存して行われる。出力特性マップは、特に運転者のペダル操作によって生成されるケイデンスに依存して、それぞれ生成されるべき駆動力の高さを出力特性曲線によって一意的に定義する。その場合、出力特性マップの、駆動ユニットの可能な最大駆動力、つまり出力特性曲線によって定義された最大駆動力の領域を、電動自転車の運転者によって所望のケイデンス領域にフレキシブルに適合させることができる。特にその場合、それぞれケイデンス領域の下限と上限を運転者が決定することができる。したがって、殊に、出力特性曲線の最大値はケイデンス領域内にある。
【0005】
したがって、この方法は、駆動ユニットの動力出力を、運転者によるペダル操作に依存して簡単に、特にフレキシブルに適合させることができるという利点を提供する。特に、それによって、運転者は、最大動力出力の領域を運転者個人の走行の仕方に最適に適合させることができる。したがって、例えば、平均的に高ケイデンスで踏むスポーティーな自転車運転者は、最大出力領域を自身の好みのケイデンスに合わせて決定することができる。それによって、電動自転車の前進に関して個人的に最適な効率と並んで、各運転者に特別に高い走行快適性を提供することができる。
【0006】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形態を示す。
【0007】
好ましくは、出力特性曲線は、最大出力領域全体内で一定である。すなわち、決定可能なケイデンス領域全体にわたって最大駆動力が一定である。したがって、運転者は、ペダルを踏むときに、駆動ユニットのモータ力で運転者の好みのケイデンス領域(Frequenz-Bereich)内で最適に補助され得る。
【0008】
特に好ましくは、出力特性曲線は、ゼロのケイデンスと第1のケイデンスとの間に位置する第1の線形領域を有する。その場合、第1の線形領域において、駆動力がケイデンスに正比例するように定義されている。したがって、特に、出力特性曲線は、第1の線形領域において、ゼロより大きい予め定められた勾配を有する直線として定義される。したがって、ケイデンスが上昇すると、駆動ユニットによって生成される駆動力が連続的に上昇する。
【0009】
殊に、出力特性曲線は、第1のケイデンスと第2のケイデンスとの間にある第2の線形領域を有する。特に、第2のケイデンスは第1のケイデンスより大きい。その場合、第2のケイデンスは、運転者によって決定可能なケイデンス領域の最小ケイデンスに相当する。第2の線形領域において、駆動力はケイデンスに正比例するように定義される。したがって、出力特性曲線を2つの別々の線形領域に分割することによって、個人の走行の仕方の最適な効率に特にフレキシブルに適合させることができる。
【0010】
さらに好ましくは、第2の線形領域は第1の線形領域より低い勾配を有する。特に、第2の線形領域の勾配は、第1の線形領域の勾配の最大90%、好ましくは最大70%である。したがって駆動力を最適化して提供することができ、その場合、一方ですべてのケイデンスで運転者を高度に補助すること、他方で所望のケイデンス領域内で最大駆動力を提供することを確保することができる。
【0011】
特に好ましくは、第1のケイデンスは、第1の線形領域に位置する第1の点によって定義され、第1の点は、予め定められた第1の出力差が最大駆動力の下に位置する。すなわち、第1のケイデンスは第2のケイデンスより低く、特に、第1の線形領域の終点によって定義される。その場合、第2のケイデンスと第1のケイデンスとの間のケイデンス差は、特に第1の出力差と第1の線形領域とによって求められる。それにより、第1の線形領域と最大出力領域との間の特に有利な移行を可能にすることができる。
【0012】
殊に、第1の出力差は少なくとも50W、好ましくは少なくとも100W、特に最大350W、特に好ましくは200Wである。
【0013】
好ましくは、出力特性曲線は、第2の線形領域にじかに隣接して配置された第3の線形領域を有する。第3の線形領域において、駆動力はケイデンスに正比例するように定義される。その場合、第3の線形領域が負の勾配を有する。すなわち、決定可能なケイデンス領域の最大ケイデンスより大きいケイデンスでは駆動力の低下が行われる。したがって、駆動ユニットの動作方式の最適領域を正確に定義して提供することができ、許容される最大出力の超過を確実に回避することができる。
【0014】
殊に、出力特性曲線は、特により高いケイデンスの方向に、第3の線形領域に直接隣接する一定領域をさらに有し、この一定領域内で、出力特性曲線が一定の低下駆動力(Reduktions-Antriebsleistung)を定義する。すなわち、第3の線形領域の最大ケイデンスを超えると、ケイデンスがさらに上昇しても駆動ユニットの駆動力は一定のままである。したがって、特に、この一定領域において、駆動力は決定可能なケイデンス領域より低い。したがって、ケイデンスに依存した駆動ユニットの特に簡単な制御が提供され得る。
【0015】
さらに好ましくは、第3の線形領域は、第3のケイデンスと第4のケイデンスとの間に位置する。その場合、第3のケイデンスは、決定可能なケイデンス領域の最大ケイデンスに相当する。その場合、第4のケイデンスは第4の点によって定義され、第4の点は、予め定められた第2の出力差が最大駆動力の下に位置する、および/または予め定められたケイデンス差の分だけ第3のケイデンスの上に位置する。その場合、第3のケイデンスは、決定可能なケイデンス領域の最大ケイデンスに相当する。特に、その場合、第3の線形領域が予め定められた勾配になる。
【0016】
特に好ましくは、第2の出力差は、少なくとも20W、殊に少なくとも50W、特に最大200W、特に好ましくは100Wである。代替的または追加的に、ケイデンス差は、少なくとも2rpm、好ましくは少なくとも5rpm、特に最大20rpm、特に好ましくは10rpmである。特に回毎分がrpmとみなされる。
【0017】
さらに、本発明は、駆動ユニットと制御ユニットとを備える電動自転車に至る。制御ユニットは、駆動ユニットを制御して操作するように設定されている。さらに、制御ユニットは、上記の方法を実行するように設定されている。したがって、電動自転車は、簡単で安価な設計上の構造で、駆動特性をそれぞれの運転者個人の要望に特にフレキシブルに適合することを可能にする。
【0018】
好ましくは、電動自転車は、電動自転車の運転者のユーザ入力を受信するように設定された入力ユニットをさらに備える。その場合、入力ユニットは、ユーザ入力にもとづく信号を制御ユニットに伝送するように設定されている。したがって、特に、駆動ユニットの制御に適格に影響を及ぼすことができるようにするために、電動自転車の運転者によって入力ユニットを用いて所望のケイデンス領域を入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施例による電動自転車を作動させる方法が実行される電動自転車の簡略化した模式図である。
【
図2】好ましい実施例による方法を実行する際に使用される出力特性マップの簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施例を詳しく説明する。
【0021】
図1は、電動自転車100の簡略化した模式図を示す。電動自転車100は、電気モータとして形成された駆動ユニット102を備える。駆動ユニット102は、電動自転車100のボトムブラケット108の領域に配置されていて、クランク駆動装置104を介して加えられる電動自転車100の運転者の人力による踏力を電気モータで生成されるトルクによって補助するように企図されている。
【0022】
さらに、電動自転車100は電気エネルギー貯蔵器110を備え、この電気エネルギー貯蔵器によって駆動ユニット102に電気エネルギーを供給することができる。さらに、駆動ユニット102に制御ユニット103が一体化されている。
【0023】
その場合、制御ユニット103は、電動自転車100の運転者のペダル操作に依存して駆動ユニット102を操作するように設定されている。詳細には、駆動ユニット102は、運転者がペダルを踏む際にモータで補助するために、運転者の筋力で生成される運転者トルクに依存してモータトルクが生成されるように制御して操作される。その場合、駆動ユニット102が生成する駆動力を、運転者がクランク駆動装置104を操作するケイデンスに依存して制御することが企図されている。例えば、ケイデンスは、ケイデンスセンサ107によって検出され得る。
【0024】
その場合、制御ユニット103は、駆動ユニット102を動作させる方法を実行するように設定されている。方法によって、走行動作中、すなわち特に電動自転車100の移動中、ケイデンスに依存して駆動ユニット102の最適化された操作を行うことができる。
【0025】
次に、
図2を参照しながら方法の手順を詳しく説明する。
【0026】
図2は、好ましい実施例により方法を実行する場合に使用される出力特性マップ50の簡略化した図を示す。出力特性マップ50は、駆動ユニット102によって生成される駆動力70と検知された瞬時ケイデンス60との間の予め定められた関係を定義する出力特性曲線50を含む。
【0027】
方法において、駆動ユニット102の制御された動作は、駆動ユニット102が検知されたケイデンス60に依存して、出力特性曲線5に従って定義された駆動力70を生成するように行われる。
【0028】
図2に見て取れるように、出力特性曲線5は、駆動力70とケイデンス60との間の様々な関係が生成される異なった領域を有する。これらの領域について以下に説明する。
【0029】
出力特性マップ50の座標の原点から、すなわちそれぞれゼロである駆動力70とケイデンス60から出力特性曲線5の第1の線形領域51がある。第1の線形領域51において、駆動力70はケイデンス60に正比例して生成される。その場合、第1の線形領域51は第1のケイデンス61まで延びる。
【0030】
第1の線形領域51に続いて、すなわち第1のケイデンス61から直接、より高いケイデンス60に向かって出力特性曲線5の第2の線形領域52がある。第2の線形領域52において、駆動力70は、同様にケイデンス60に正比例するように定義されている。その場合、第2の線形領域52は、第1の線形領域51より低い勾配を有する。その場合、第2の線形領域52は第2のケイデンス62まで延びる。
【0031】
第2の線形領域52に続いて、すなわち第2のケイデンス52から直接、より高いケイデンス60に向かって最大出力領域55があり、この最大出力領域内では出力特性曲線5が一定である。詳細には、出力特性曲線5は、最大出力領域55において、駆動ユニット102の最大駆動力75を定義する。その場合、最大駆動力75は、殊に、例えば駆動ユニット102の、型式に応じて生成可能な最大の出力に相当し得る予め定められた値である。
【0032】
その場合、最大出力領域55は、第2のケイデンス62から第3のケイデンス63まで延び、第2のケイデンスと第3のケイデンスは、これらの間にケイデンス領域65を定義する。この方法では、電動自転車100の運転者のユーザ入力によって、このケイデンス領域65をフレキシブルに適合させることができる。詳細には、第2のケイデンス62と第3のケイデンス63を運転者のユーザ入力によってフレキシブルに決定することができる。それによって、運転者は、駆動ユニット102の動作方式が常に個人的に好むケイデンス領域65内で最大駆動力75を生成するようにこれをフレキシブルに適合させることができる。それによって、電動自転車100での走行時に各運転者の個々に応じて特別に高い走行快適性を提供することができる。
【0033】
ケイデンス領域65の決定は、例えば入力ユニット109(
図1を参照)を介したユーザ入力によって行うことができる。その場合、ユーザ入力は信号として、殊に入力ユニット109から制御ユニット103へ伝送される。
【0034】
第1の線形領域51の第1の勾配は、好ましくは固定的に定義されている。
【0035】
第2の線形領域52の第2の勾配は、殊に以下の規則をもとにして明らかになる。詳細には、第2の線形領域52は、第1の線形領域上に位置する第1の点21と、最大駆動力75の高さにあるX軸60に対して平行の直線上に位置するとともに、追加的に第2のケイデンス62によって定義される第2の点22との間に接続線を形成する。その場合、第1の点21は、より低いケイデンス60の方向に、例えば200Wの予め定められた第1の出力差31の分だけ最大駆動力75の下に位置する第1の線形領域51上の点によって一意的に定義されている。すなわち、第1のケイデンス61は、第2のケイデンス62および第1の出力差31から間接的に求められる。
【0036】
第3のケイデンス63からより高いケイデンス60に向かって、駆動力70が同様にケイデンス60に正比例するように定義された第3の線形領域53がさらに続き、第3の線形領域53は負の勾配を有する。すなわち、第3のケイデンス63以降はケイデンス60が高くなるにつれて駆動力70が低下する。
【0037】
その場合、第3の線形領域53の勾配は、例えば100Wなどの予め定められた第2の出力差32と、例えば10rpmである予め定められたケイデンス差57とによって定義される。したがって、第3の線形領域53は、第3のケイデンス63から第4のケイデンス64まで、すなわち出力特性曲線5上の第3の点23と第4の点24との間に延びる。
【0038】
第4のケイデンス64もしくは第4の点24から一定領域54が続き、出力特性曲線5は、この一定領域において、予め定められた第2の出力差32に従って最大駆動力75より低い一定の低下駆動力77を定義する。
【符号の説明】
【0039】
21 第1の点
22 第2の点
23 第3の点
24 第4の点
31 出力差
32 出力差
5 出力特性曲線
50 出力特性マップ
51 第1の線形領域
52 第2の線形領域
53 第3の線形領域
54 一定領域
55 最大出力領域
57 ケイデンス差
60 ケイデンス
61 第1のケイデンス
62 第2のケイデンス
63 第3のケイデンス
64 第4のケイデンス
65 ケイデンス領域
70 駆動力
75 最大駆動力
77 低下駆動力
100 電動自転車
102 駆動ユニット
103 制御ユニット
104 クランク駆動装置
105
107 ケイデンスセンサ
108 ボトムブラケット
109 入力ユニット
110 電気エネルギー貯蔵器
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
第2の線形領域52に続いて、すなわち第2のケイデンス62から直接、より高いケイデンス60に向かって最大出力領域55があり、この最大出力領域内では出力特性曲線5が一定である。詳細には、出力特性曲線5は、最大出力領域55において、駆動ユニット102の最大駆動力75を定義する。その場合、最大駆動力75は、殊に、例えば駆動ユニット102の、型式に応じて生成可能な最大の出力に相当し得る予め定められた値である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車(100)の駆動ユニット(102)を動作させる方法であって、次のステップ、すなわち、
-前記電動自転車(100)のクランク駆動装置(104)のケイデンス(60)を検知するステップと、
-前記検知されたケイデンス(60)に依存して、かつ前記駆動ユニット(102)の出力特性マップ(50)にもとづいて駆動力(70)を生成するように、前記駆動ユニット(102)を制御して動作させるステップと、を包含し、
-前記出力特性マップ(50)は、前記駆動ユニット(102)の前記駆動力(70)と前記瞬時ケイデンス(60)との間の予め定められた関係を定義する出力特性曲線(5)を有し、
-前記出力特性マップ(50)は最大出力領域(55)を有し、前記最大出力領域内で、前記出力特性曲線(5)が前記駆動ユニット(102)の最大駆動力(75)を定義し、
-前記最大出力領域(55)は、前記電動自転車(100)の運転者によって決定可能なケイデンス領域(65)内に位置する、方法。
【請求項2】
前記出力特性曲線(5)は、前記最大出力領域(55)全体内で一定である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力特性曲線(5)は、ゼロのケイデンス(60)と第1のケイデンス(61)との間にある第1の線形領域(51)を有し、前記第1の線形領域(51)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出力特性曲線(5)は、前記第1のケイデンス(61)と第2のケイデンス(62)との間にある第2の線形領域(52)を有し、前記第2のケイデンス(62)は、前記決定可能なケイデンス領域(65)の最小ケイデンスに相当し、前記第2の線形領域(52)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の線形領域(52)は、前記第1の線形領域(51)より低い勾配を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のケイデンス(61)は、前記第1の線形領域(51)に位置する第1の点(21)によって定義され、前記第1の点は、予め定められた第1の出力差(31)が前記最大駆動力(75)の下に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の出力差(31)は、少なくとも50W、好ましくは少なくとも100W、特に最大350W、特に好ましくは200Wである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記出力特性曲線(5)は、前記第2の線形領域(52)に隣接する第3の線形領域(53)を有し、前記第3の線形領域(53)において、前記駆動力(70)が前記ケイデンス(60)に正比例し、前記第3の線形領域(53)が負の勾配を有する、請求項4から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記出力特性曲線(5)は、前記第3の線形領域(53)に隣接する一定領域(54)をさらに有し、前記一定領域において、前記出力特性曲線(5)が一定の低下駆動力(77)を定義する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の線形領域(53)は、第3のケイデンス(63)と第4のケイデンス(64)との間に位置し、前記第3のケイデンスは、前記決定可能なケイデンス領域(65)の最大ケイデンスに相当し、前記第4のケイデンス(64)は第4の点(24)によって定義され、前記第4の点は、予め定められた第2の出力差(32)が前記最大駆動力(75)の下に位置する、および/または前記予め定められたケイデンス差(57)が第3のケイデンス(63)の上に位置する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の出力差(32)は、少なくとも20W、好ましくは少なくとも50W、特に最大200W、特に好ましくは100Wであり、および/または前記ケイデンス差(57)は、少なくとも2rpm、好ましくは少なくとも5rpm、特に最大20rpm、特に好ましくは10rpmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電動自転車であって、駆動ユニット(102)と、前記駆動ユニット(102)を制御して操作するように設定された制御ユニット(103)とを備え、前記制御ユニット(103)は、さらに、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定されている、電動自転車。
【請求項13】
前記電動自転車(100)の運転者のユーザ入力を受信するように設定された入力ユニット(109)をさらに備え、前記入力ユニット(109)は、前記ユーザ入力にもとづく信号を前記制御ユニット(103)に伝送するように設定されている、請求項12に記載の電動自転車。
【外国語明細書】