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特開2024-43521冗長車両ブレーキシステム並びにその電子制御ユニット及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043521
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】冗長車両ブレーキシステム並びにその電子制御ユニット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/94 20060101AFI20240322BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240322BHJP
   B60T 8/176 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60T8/94
B60T8/17 B
B60T8/176 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150062
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】202211132960.4
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レンルイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】イーチェン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョー ホウ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246BA02
3D246CA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB01
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246HA64A
3D246HC01
3D246JA12
3D246JB02
3D246JB11
3D246JB12
3D246JB30
3D246JB36
3D246JB41
3D246LA15Z
3D246LA63Z
3D246MA21
3D246MA23
(57)【要約】
【課題】本開示は、車両用の冗長ブレーキシステム並びにその電子制御ユニット及びその制御方法を提供する。
【解決手段】冗長ブレーキシステムは、車両のメインブレーキシステムに結合されている。電子制御ユニットは、メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルへの運転者入力状況及び車両速度状況を示すセンサ信号を受信するように構成された受信モジュールと、ステータス信号に基づいてメインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと判断されたときに、冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能を起動するように構成された起動モジュールと、ブレーキアシスト機能の起動時に、センサ信号に基づいて、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように構成されたブレーキアシストモジュールと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のメインブレーキシステムに結合された車両用の冗長ブレーキシステムのための電子制御ユニットであって、
前記メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルへの運転者入力状況及び車両速度状況を示すセンサ信号を受信するように構成された受信モジュールと、
前記ステータス信号に基づいて前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと判断されたときに、前記冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能を起動するように構成された起動モジュールと、
前記ブレーキアシスト機能を実装するための複数のブレーキアシストモードを格納するブレーキアシストモジュールであって、前記ブレーキアシスト機能が起動された後、前記センサ信号に基づいて前記複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように構成されており、かつ、ブレーキペダル入力状況の変化及び車両速度の変化に対する応答に従って、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む前記複数のブレーキアシストモード間をスイッチングするように更に構成されているブレーキアシストモジュールと、
を備える電子制御ユニット。
【請求項2】
前記起動モジュールは、
-前記メインブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能が、前記ステータス信号に基づいて正常に動作していると決定される状況、及び、
-前記車両速度が、第1の車両速度閾値を下回る状況であって、任意選択的に、前記第1の車両速度閾値は、前記車両のクリープ速度である、状況
のうちの少なくとも1つが満たされたときに、前記冗長ブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能を起動しないように更に構成されている、
請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記センサ信号に基づいて、実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つは、
前記センサ信号が、運転者から前記ブレーキペダルへの入力がないことを示すときに、前記ブレーキアシストモジュールがいかなるブレーキアシスト動作も実行しない前記スタンバイモードが実行されると決定されることを含む、
請求項1又は2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記センサ信号が、前記ブレーキペダルを前記運転者が押し下げたことを示すときに、前記第1のアシスト調整可能モードを実行するように決定されることを含み、
前記第1のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記センサ信号に基づいて前記運転者の所望のブレーキ圧力を計算し、
前記冗長ブレーキシステムが、決定されたアシスト増幅係数に従って前記車両のブレーキを制御し得るように、予め定められていて前記運転者の所望のブレーキ圧力と前記アシスト増幅係数との間の相関関係を包含する増幅係数曲線を採用して、前記運転者の前記所望のブレーキ圧力に対応するアシスト増幅係数を決定する
ように構成されている、
請求項1又は2に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記第1のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記車両の走行安定性に関連付けられた機能が起動されていることを示す信号を受信ユニットが受信した場合に、前記アシスト増幅係数を前記車両の運転安定性に関連付けられた機能が起動された瞬間の値で維持する
ように更に構成されている、
請求項4に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記センサ信号が、前記ブレーキペダルを前記運転者が解放したことを示すときに、前記第2のアシスト調整可能モードが実行されると決定されることを含み、
前記第2のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記センサ信号に基づいて前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配を計算し、
前記冗長ブレーキシステムが、決定されかつ実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配に従って、前記車両がかけているブレーキを終了させるように、前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配及びブレーキ圧力減少勾配閾値に基づいて、実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配を決定する
ように構成されている、
請求項1又は2に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配及び前記ブレーキ圧力減少勾配閾値に基づいて決定されかつ実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配は、
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配が前記ブレーキ圧力減少勾配閾値よりも速くブレーキ圧力を減少させるときに、実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配が、前記ブレーキ圧力減少勾配閾値として決定されることと、
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配が前記ブレーキ圧力減少勾配閾値よりも遅く前記ブレーキ圧力を減少させるときに、実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配が、前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配として決定されることと、
を含む、
請求項6に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記ブレーキアシストモードが前記第1のアシスト調整可能モードにあり、かつ、前記車両速度が第2の車両速度閾値よりも低い場合、前記車両の運転安定性に関する機能が起動されたときに、前記ブレーキ圧力保持モードが実行されると決定されることを含み、
前記ブレーキ圧力保持モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、前記冗長ブレーキシステムを制御して所定のブレーキ圧力で車両ブレーキを実行するように構成されている、
請求項1又は2に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記ブレーキアシストユニットは、ブレーキアシストモデルを含み、
前記ブレーキアシストモデルは、前記複数のブレーキアシストモード、及び、前記複数のブレーキアシストモード間のスイッチング状態を含み、
前記スイッチング状態は、前記ブレーキペダルへの運転者入力の変化及び車両速度の変化に対応する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブレーキアシスト制御ユニット。
【請求項10】
前記スイッチング状態は、
前記第1のアシスト調整可能モードと前記スタンバイモードとの間の、前記第2のアシスト調整可能モードと前記ブレーキ圧力保持モードとの間の、それぞれの双方向スイッチングと、
前記ブレーキ圧力保持モードから前記スタンバイモードへの一方向スイッチングと、
前記ブレーキ圧力保持モードから前記第2のアシスト調整可能モードへの一方向スイッチングと、
前記第2のアシスト調整可能モードから前記スタンバイモードへの一方向スイッチングと、を含む、
請求項9に記載のブレーキアシスト制御ユニット。
【請求項11】
車両用の冗長ブレーキシステムであって、
前記車両のメインブレーキシステムの2つのブレーキ回路とそれぞれ流体的に相互作用するように構成された2つのブレーキ回路と、
前記メインブレーキシステムのメインブレーキシリンダと前記車両の4つのブレーキホイールシリンダとの間に接続された4つの弁と、
前記メインブレーキシリンダ内のブレーキ流体を前記4つのブレーキホイールシリンダの一部又は全部にポンプ注入するためのブレーキアシストを生成するように構成されたモータと、
前記4つの弁及び前記モータを電気的に動作させ、かつ、前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったときに前記ブレーキアシスト機能を実行する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子制御ユニットと、
を備える冗長ブレーキシステム。
【請求項12】
車両用の冗長ブレーキシステムを制御する方法であって、任意選択的に、前記方法は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子制御ユニット、又は、請求項11に記載の冗長ブレーキシステムによって実施され、前記方法は、
前記車両の前記メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、前記ブレーキペダルへの運転者入力状況及び車両速度状況を示すセンサ信号を受信することと、
前記ステータス信号に基づいて、前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態にあると決定したときに、前記冗長ブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能を起動することと、
前記ブレーキアシスト機能が起動された後、前記センサ信号に基づいて、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように決定することと、
前記ブレーキペダルへの運転者入力の変化及び車両速度の変化に従って、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む前記複数のブレーキアシストモード間で前記ブレーキアシストモードをスイッチングすることと、
を含む、方法。
【請求項13】
実行可能な命令を記憶している機械可読記憶媒体であって、当該実行可能な命令は、実行されたときに、1つ又は複数のプロセッサに請求項12に記載の制御方法を実施させるためのものである、機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両ブレーキの技術分野、特に、冗長車両ブレーキシステム並びにその電子制御ユニット及び制御方法、並びに、対応する機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の安全とは、事故を回避し、歩行者及び搭乗者の安全を確保するための車両の性能を指す。自動車の安全には、エアバッグ及びシートベルトなどの受動的安全、並びに、自動緊急ブレーキなどの能動的安全が含まれる。車両のブレーキシステム(ブレーキと称されることもある)の性能は、車両の能動的安全性を特徴付ける重要な安全指標である。
【0003】
自律運転の開発に伴い、車両の能動的安全に対するより高度な要件が提唱されている。これに関して、車両上に2組のブレーキシステムを設定する、すなわち、メインブレーキシステム、及び、ブレーキシステムの故障の場合のバックアップとして冗長ブレーキシステムを設定するための解決策が提案されている。この冗長バックアップブレーキシステムは、メインブレーキシステムが故障した場合に自動運転車両にブレーキ支援を提供し、それによって、これらの車両の能動的安全を大幅に向上させることができる。しかしながら、既存の冗長バックアップブレーキシステムは、自律運転の使用シナリオに対する多くの設計スキームを有し、運転者の運転モードにおけるブレーキ支援の需要は十分には考慮されていない。例えば、メインブレーキシステムが故障し、かつ、車両が運転者運転モードにある場合、既存の冗長バックアップブレーキシステムは、適正なブレーキパワーアシストを提供することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに関連して、本開示は、車両が運転者運転モードにあるときに、メインブレーキシステムが故障した場合、ブレーキペダルに対する異なる運転者入力及び異なる速度条件に対し、かくして、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを提供し、かつ、車両の能動的安全を更に強化するための正確なブレーキアシストを提供し得る、改良された技術的解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、車両用の冗長ブレーキシステムのための電子制御ユニットであって、冗長ブレーキシステムが、車両のメインブレーキシステムに結合されており、電子制御ユニットが、メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルに対する運転者入力状況及び車両速度状況を示すセンサ信号を受信するように構成された受信モジュールと、ステータス信号に基づいてメインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと決定されたときに、冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能を起動するように構成された起動モジュールと、アシスト機能を達成するための複数のブレーキアシストモードを格納するブレーキアシストモジュールであって、ブレーキアシスト機能が起動された後、センサ信号に基づいて複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを決定しかつ実行するように構成されており、かつ、ブレーキペダルに対する運転者入力の変化及び車両速度の変化に基づいて、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む複数のブレーキアシストモード間でブレーキアシストモードをスイッチングするように更に構成されているブレーキアシストモジュールと、を備える電子制御ユニットが提供される。
【0006】
本開示の他の態様によれば、車両用の冗長ブレーキシステムであって、車両のメインブレーキシステムの2つのブレーキ回路にそれぞれ流体接続されるように構成された2つのブレーキ回路と、メインブレーキシステムのメインブレーキシリンダと車両の4つのブレーキホイールシリンダとの間に接続された4つの弁と、メインブレーキシリンダ内のブレーキ流体を4つのブレーキホイールシリンダの一部又は全部にポンプ注入するためのブレーキアシストを生成するように構成されたモータと、4つの弁及びモータを電気的に動作させ、かつ、メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったときにブレーキアシスト機能を実行するための、上述の電子制御ユニットと、を備える、冗長ブレーキシステムが提供される。
【0007】
本開示の他の態様によれば、車両用の冗長ブレーキシステムを制御するための方法であって、任意選択的に、方法が、上述の電子制御ユニット又は上述の冗長ブレーキシステムによって実行され、方法が、車両のメインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルに対する運転者入力の状況及び車両速度状況を示すセンサ信号を受信することと、ステータス信号に基づいて、メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと決定した後、冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能を起動することと、ブレーキアシスト機能が起動された後、センサ信号に基づいて、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように決定することと、ブレーキペダルに対する運転者の入力の変化及び車両速度の変化に従って、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む複数のブレーキアシストモード間でブレーキアシストモードをスイッチングすることと、を含む、方法が提供される。
【0008】
本開示の他の態様によれば、実行可能な命令を記憶している機械可読記憶媒体であって、当該実行可能な命令は、実行されたときに、1つ又は複数のプロセッサに上述の制御方法を実施させるためのものである、機械可読記憶媒体が提供される。
【0009】
本開示の主要な態様の概要は、これらの態様の基本的な理解を可能にするために上記において与えられている。この概要は、本開示の任意又は全ての態様の範囲を限定することを意図するものではない。この概要の目的は、後に与えられる詳細な説明の序論として、これらの態様のいくつかの実装形態を簡略化された形式で与えることである。
【0010】
本開示の技術的態様は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。これらの図面は、単なる例示目的であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による冗長ブレーキシステムの概略図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1の冗長ブレーキシステムのための電子制御ユニットの概略ブロック図である。
図3】本開示の一実施形態による、図2の電子制御ユニットによって実装されるブレーキアシスト制御プロセスのフローチャートである。
図4】本開示の一実施形態によるブレーキアシストモデルを概略的に示す。
図5図3のブレーキアシスト制御プロセスに使用される例示的なグラフである。
図6】調整可能なアシスト増幅係数の一例を概略的に示す。
図7図3で使用されるブレーキアシスト制御プロセスの別のグラフである。
図8】本開示の一実施形態による、車両用の冗長ブレーキシステムのための制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の例は、車両が運転者運転モードにあるときに、バックアップシステムとしての冗長ブレーキシステムによってブレーキ支援をメインブレーキシステムに提供するための解決策に関する。
【0013】
以下、本開示の特定の実施形態を添付の図面と併せて説明する。
【0014】
図1は、車両のメインブレーキシステム10に油圧結合された、本開示の一実施形態による車両(図示せず)の冗長ブレーキシステム20を概略的に示している。メインブレーキシステム10は、例えば、一体型パワーブレーキシステムである。
【0015】
図1を参照すると、一例においては、冗長ブレーキシステム20とメインブレーキシステム10とは、以下の態様により油圧結合され得る。2つのブレーキシステム10と20との間に、油圧インタフェースHI_1-HI_4が、2つのブレーキシステムが空間において互いに分離された構造ユニットとして形成されるように配置されている。これらの油圧インタフェースHI_1-HI_4は、互いに分離し得る。2つのブレーキシステム10及び20は、これらの油圧インタフェースHI_1-HI_4を介してかつ4つの油圧ラインBC_1-BC_4を介して油圧結合されている。
【0016】
図1を続けて参照すると、メインブレーキシステム10は、電子制御ユニット11、メインブレーキシリンダ12、ストロークセンサ13、ペダルストロークシミュレータ14、モータ15、プランジャ16、プランジャ制御弁17A-17B、回路解放弁18A-18B、及び、圧力形成弁19A-19Dを備える。
【0017】
ブレーキ流体は、メインブレーキシリンダ12内に格納されており、4つのホイールFL、RR、RL及びFRの4つのブレーキホイールシリンダCFL、CRR、CRL及びCFRの流体接続に使用される。ストロークセンサ13は、ブレーキペダル(BP)に接続されたジョイスティックOLの動作ストロークを測定し、かつ、測定されたストローク信号を電子制御ユニット11に送信するために使用される。ペダルストロークシミュレータ14は、ブレーキペダル(BP)のストロークをシミュレートし、シミュレーション結果の信号を電子制御ユニット11に送信する。モータ15は、プランジャ16を電子的に動作させる。モータ15は、圧力形成弁19A-19Dの各々を個別に制御することができ、それにより、各ブレーキシリンダの圧力が個別に制御され得る。明確にするために、メインブレーキシステム10の主要の構成要素のみが図1に示されていることが理解される。メインブレーキシステム10はまた、図示されていない他の構成要素を備え得る。例えば、メインブレーキシステム10はまた、圧力形成弁19A-19Dに対応する4つの減圧弁(すなわち、出口弁)を含む。
【0018】
メインブレーキシステム10が正常な動作をしているとき、すなわち、メインブレーキシステム10の正常なブレーキアシスト機能の下で、メインブレーキシステム10は、電子制御ユニット11を介してブレーキアシスト機能を実装している。
【0019】
本開示は、メインブレーキシステム10の電子制御ユニット11がブレーキアシスト機能をどのように実装するかを制限するものではないことに留意されたい。本開示の例は、メインブレーキシステム10のブレーキアシスト機能が故障し、かつ、車両が運転者運転モードにあるとき、冗長ブレーキシステム20の電子制御ユニット21がどのようにブレーキアシスト機能を実行するかに関連する。図1を続けて参照すると、冗長ブレーキシステム20は、電子制御ユニット21、モータ22、2つの圧力発生器23A及び23B並びに4つの弁24A、24B、25A及び25Bを備える。
【0020】
2つの圧力発生器23A及び23Bと2つのブレーキ回路BC3及びBC4とは流体接続されており、圧力発生器23Aはブレーキ回路BC3に流体接続されており、圧力発生器23Bは、ブレーキ回路BC4に流体接続されている。2つの圧力発生器23A及び23Bは、例えば、それぞれピストンポンプとして実装されている。モータ22は、圧力発生器23A及び23Bを駆動して、メインブレーキシリンダ12からブレーキホイールシリンダCFL、CRR、CRL及びCFR内にブレーキ流体をポンプ注入するためのブレーキアシストを生成する。4つの弁24A、24B、25A、25Bは、ブレーキ回路BC3に流体接続された弁24A及び25A、並びに、ブレーキ回路BC4に流体接続された弁24B及び25Bを含み得る。弁24A及び25Aは、モータ22の電気制御下で、正常の遮断位置から貫流位置にスイッチングすることができる高圧オン-オフ弁として実装され得る。弁25A及び25Bは、モータ22の電気的動作下で、最初の位置において貫流であり、無段階に遮断位置に移行することができる切替弁として実装され得る。したがって、切替弁25A及び25Bは、例えば、切替弁25A及び25Bに流体接続されたラインの流れ断面を無限に調整することによって、対応する電気操作によって遂行される冗長ブレーキシステム20による異なるブレーキ圧力の設定を可能にする、絞り機構として機能する。
【0021】
請求項に記載の「電子制御ユニット」は、冗長ブレーキシステム20の電子制御ユニット21を指すことに留意されたい。請求項に記載の「モータ」は、冗長ブレーキシステム20のモータ22を指す。
【0022】
図2を参照すると、電子制御ユニット21は、受信モジュール211、起動モジュール212、及び、ブレーキアシストモジュール213を含み得る。当然のことながら、これらのモジュールの名称は機能上のものであり、それらの実装形態又は物理的な場所を制限することが意図されるものではない。例えば、これらのモジュールは、同一のチップ若しくは回路上、又は、異なるチップ若しくは回路上に実装され得る。
【0023】
電子制御ユニット21及びそのモジュールは、ハードウェア若しくはソフトウェア、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組合せにおいて実装され得る。ハードウェアにおいて実装される部分については、それらは1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、データ信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理装置(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、それらの機能を実行するように設計された電子ユニット、又は、それらの組合せによって実装され得る。ソフトウェアによって実装される部分については、それらはマイクロコード、プログラムコード、又は、コードスニペットによって実装され得、記憶コンポーネントなどの機械可読記憶媒体にも格納され得る。
【0024】
一例においては、電子制御ユニット21は、メモリ及びプロセッサを含むように実装されている。メモリは、プロセッサによって実行されたときに本開示の一例によるプロセッサにブレーキアシスト制御方法を実行させる命令を包含する。
【0025】
図3は、本開示の300の一実施形態によるブレーキアシスト制御プロセスを示している。ブレーキアシスト制御プロセス300は、冗長ブレーキシステム20の電子制御ユニット21によって実装され得るため、関連する上記の説明もここに適用される。
【0026】
図3を参照すると、ブロック302において、受信モジュール211は、メインブレーキシステム10のステータスを示すステータス信号とブレーキペダル(BP)に対する運転者の入力及び車両速度を示すセンサ信号とを受信する。
【0027】
一例においては、受信モジュール211は、以下の態様により上述のステータス信号を受信し得る。メインブレーキシステム10及び冗長ブレーキシステム20は、オンボードバスを介して通信される。メインブレーキシステム10は、メインブレーキシステム10のステータスのセルフテストを行い、検出されたステータスを示すステータス信号(例えば、メインブレーキシステム10のブレーキアシスト機能が正常、異常又は無効であることを示す)をオンボードバスに送信する。したがって、冗長ブレーキシステム20の受信モジュール211は、メインブレーキシステム20のステータスを示すステータス信号をオンボードバスから受信することができる。
【0028】
一例においては、受信モジュール211は、以下の態様によりブレーキペダル(BP)に対する運転者の入力を示すセンサ信号を受信し得る。ブレーキペダル(BP)に対する運転者の入力は、上述のストロークセンサ13及び/又はペダルストロークシミュレータ14によって測定され得る。加えて、ブレーキペダル(BP)に対する運転者の入力はまた、ブレーキペダル(BP)上の運転者によって及ぼされる力(「筋力」又は「運転者の力」とも称される)を測定する力センサ(図示せず)などの他のセンサによって測定されるものとしてもよい。更に、測定されたセンサ信号は、オンボードバスに送信される。したがって、冗長ブレーキシステム20の受信モジュール211は、ブレーキペダル(BP)に対する運転者の入力を示すセンサ信号をオンボードバスから受信することができる。
【0029】
一例においては、受信モジュール211は、以下の態様により車両速度を示すセンサ信号を受信し得る。車両速度は、ホイール速度センサによって測定され得る。ホイール速度センサは、測定されたセンサ信号をオンボードバスに送信する。したがって、冗長ブレーキシステム20の受信モジュール211は、車両速度を示すセンサ信号をオンボードバスから受信することができる。
【0030】
ブロック304においては、起動モジュール212は、受信したステータス信号及び/又はセンサ信号に基づいて、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能を起動するかどうかを決定する。
【0031】
起動モジュール212は、メインブレーキシステム10が上述のステータス信号に基づいて機械的バックアップ状態に入ったと決定したときに、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能を起動する。例えば、メインブレーキシステムのブレーキ機能が故障したときに、「機械的バックアップ状態」が発生する。例えば、メインブレーキシステム10のステータス信号に基づいて、メインブレーキシステム10がソフトウェア制御を失った又は動力を失った又はハードウェアの故障/劣化に遭遇した、及び、メインブレーキシステム10が機械的バックアップ状態に入ったと決定される。
【0032】
起動モジュール212は、以下の条件(1)及び(2)のうちの少なくとも1つが満たされたとき、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能を起動しない。
【0033】
(1)メインブレーキシステム10のブレーキアシスト機能が正常に動作していることが、上記のステータス信号に基づいて決定される。例えば、メインブレーキシステム10が、そのステータス信号を所定の頻度でオンボードバスに送信する。したがって、メインブレーキシステム10が正常に動作しているとき、起動モジュール212は、メインブレーキシステム10が所定の時間間隔で正常に動作していることを示すセンサ信号を受信することができ、起動モジュール212は、これに基づいて、メインブレーキシステム10のブレーキアシスト機能が正常に動作していると決定する。
【0034】
(2)車両速度が、第1の車両速度閾値よりも低い。第1の車両速度閾値は予め定められており、クリープ車両速度、又は、適当にクリープ車両速度を調整することによって得られる車両速度とされ得る。ここで、クリープ速度は、運転者がアクセルペダル又はブレーキペダルを踏まないときの、車両が平らな地面上において運転していると仮定した、惰行速度を指す。第1の車両速度閾値は、実際の車両実験によって較正されることも可能である。例えば、車両がより重い場合、第1の車両速度閾値はより低く較正され、車両が比較的軽い場合、第1の車両速度閾値は比較的高く較正される。
【0035】
第1の車両速度閾値は、低速として理解されるべきである。低速では、ブレーキ支援がない場合であっても、運転者の力(すなわち、運転者の筋力)だけで車両に安全にブレーキをかけるのを補助することができる。したがって、車両速度が十分に低い(すなわち、第1の車両速度閾値を下回る)ときは、ブレーキアシスト機能を起動させる必要はない。
【0036】
ブロック306においては、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能が起動された後、ブレーキアシストモジュール213は、受信したセンサ信号に基づいて、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように決定する。複数のブレーキアシストモードは、予め決定されており、ブレーキアシストモジュール213に格納されている。複数のブレーキアシストモードには、スタンバイモード(MODE_1)、第1のアシスト調整可能モード(MODE_2)、第2のアシスト調整可能モード(MODE_3)、及び、ブレーキ圧力保持モード(MODE_4)が含まれる。各ブレーキアシストモードの制約、及び、各ブレーキアシストモードにおける以下の動作モードについて、以下に説明する。
【0037】
一例においては、上述の複数のブレーキアシストモード及びそれらの間のスイッチング状態を含むブレーキアシストモデルが、ブレーキアシストモジュール213に格納されている。ブレーキアシストモジュール213は、このブレーキアシストモデルを使用して、どのブレーキアシストモードを実行するか、又は、どのブレーキアシストモードにスイッチングするかを決定する。これらのスイッチング状態は、ブレーキペダルに対する運転者入力の変化及び車両速度の変化に対応する。これらのスイッチング状態には、第1のアシスト調整可能モードとスタンバイモードとの間の、第2のアシスト調整可能モードとブレーキ圧力保持モードとの間の、それぞれの双方向スイッチング、ブレーキ圧力保持モードからスタンバイモードへの一方向スイッチング、ブレーキ圧力保持モードから第2のアシスト調整可能モードへの一方向スイッチング、並びに、第2のアシスト調整可能モードからスタンバイモードへの一方向スイッチングが含まれる。
【0038】
ブレーキアシストモデルは、状態機械によって表現され得る。図4は、状態機械の一例を示している。図4の「矢印」の方向は、モードスイッチングの方向を示している。例えば、図4を参照すると、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能が起動された後に、スタンバイモード(MODE_1)に入る。次に、スタンバイモード(MODE_1)から第1のアシスト調整可能モード(MODE_2)にスイッチングされる。次に、車両は、第1のアシスト調整可能モード(MODE_2)から第2のアシスト調整可能モード(MODE_3)にスイッチングする。次に、スタンバイモード(MODE_1)から第2のアシスト調整可能モード(MODE_3)に戻る。この例のシナリオは、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能が起動された後、運転者がブレーキペダル(BP)に力を加えず(「スタンバイモードに入る」に対応する)、次に、運転者がブレーキペダル(BP)を押し下げ(「第1のアシスト調整可能モードにスイッチングする」に対応する)、次に、ブレーキペダルを解放し(「第2のアシスト調整可能モードにスイッチングする」に対応する)、最終的に、運転者がブレーキペダル(BP)に加える力がゼロである(「スタンバイモードに戻る」に対応する)ことであり得る。
【0039】
上述の状態機械に加えて、ブレーキアシストモデルは、上述の複数のブレーキアシストモード及びその間のスイッチング状態を包含する表など、他の方法により表されるものとしてもよいことを理解されたい。
【0040】
以下に、各ブレーキアシストモード、及び、各ブレーキアシストモードにおいてブレーキアシストモジュール213によって実行されるブレーキアシスト動作について、詳細に説明する。
【0041】
ブロック3061を参照すると、一例においては、センサ信号が、運転者からブレーキペダル(BP)に対する入力がないことを示すとき、ブレーキアシストモジュール213はスタンバイモードを実行すると決定する。スタンバイモードにおいては、ブレーキアシストモジュール213は、いかなるアシスト動作も実行しない。ここで、運転者がブレーキペダル(BP)を押圧しないなどのシナリオにおいては、運転者からブレーキペダル(BP)に対する入力がない。
【0042】
ブロック3062を参照すると、一例においては、センサ信号が、運転者がブレーキペダル(BP)を押し下げかつ運転者がブレーキペダル(BP)に圧力閾値を超える力を加えることを示すとき、ブレーキアシストモジュール213は、第1のアシスト調整可能モードを実行すると決定する。圧力閾値は、運転者のブレーキの必要性を正確に特定するように予め定められている。例えば、運転者の足が不注意でブレーキペダル(BP)をたたく場合を区別するために、圧力閾値が、運転者がブレーキペダルの押し下げを正確に特定し得るかどうかを決定するために使用される。ここで、圧力閾値は、ゼロ又は負の値であっても、非常に小さい圧力値として理解されるべきである。
【0043】
第1のアシスト調整可能モードにおいては、ブレーキアシストユニット213によって実行されるブレーキアシスト動作は、以下の、センサ信号に基づいて運転者の所望のブレーキ圧力を計算するステップを含む。例えば、運転者の所望のブレーキ圧力は、ジョイスティックOLの動作ストローク、又は、運転者がブレーキペダルに加える運転者の力に基づいて決定される。本開示は、センサ信号に基づいて運転者の所望のブレーキ圧力の計算を可能にする例が本開示に適用可能である限り、センサ信号(例えば、ブレーキペダルストローク又は運転者の力を示すセンサ信号)に基づいて運転者の所望のブレーキ圧力をどのように決定され得るかに関して限定されるものではない。次に、運転者の所望のブレーキ圧力に対応するアシスト増幅係数は、アシスト増幅係数曲線によって決定され、その結果、冗長ブレーキシステム20は、決定されたアシスト増幅係数に従って車両ブレーキアシストを実行する。事前に描かれ、ブレーキアシストユニット213に格納され得るアシスト増幅係数曲線は、アシスト増幅係数と運転者の所望のブレーキ圧力との間の対応を表す。
【0044】
図5は、アシスト増幅係数曲線の一例を示しており、水平座標は、運転者の所望のブレーキ圧力と固定ブレーキ圧力(例えば、運転者が500Nの筋力でブレーキペダルを押し下げたときの対応するブレーキ圧力)との間の比率を表し(pDriver/pMech_500N)、垂直座標は、アシスト増幅係数を表し、曲線は、アシスト増幅係数と上述のブレーキ圧力の比率との間の相関関係を表す。したがって、運転者の所望のブレーキ圧力に対応するアシスト増幅係数は、アシスト増幅係数曲線に従って得られ得る。
【0045】
アシスト増幅係数曲線は、以下の態様によりプロットされ得るものである。まず、アシスト増幅係数の開始値はゼロに設定され、これは運転者の所望のブレーキ圧力(ゼロ)に対応する。次に、ブレーキ圧力に対応するアシスト増幅係数は、車両の安全に関する規制において指定された固定ブレーキ圧力によって提供される車両の減速度に基づいて計算される。例えば、車両の安全に関する規制によれば、高い粘着係数を有する道路上において、運転者が500Nの運転者の力をブレーキペダルに加えると、車両は、6.44m/sの減速度を提供する必要があり、その結果、ブレーキペダル力500Nでのアシスト増幅係数がもたらされ、較正点が与えられる。次に、アシスト増幅係数曲線が、ゼロ値点と結果として生じた較正点との間に曲線を描くことによって得られ、その結果、ブレーキプロセスが滑らかなプロセスとなり得る。この曲線のプロットは、実際の車両実験及び/又はモデル計算に基づいて実現され得る。アシスト増幅係数曲線を得た後、運転者の所望のブレーキ圧力は、曲線によって決定されたアシスト増幅係数に基づいて決定され得る。
【0046】
加えて、アシストブレーキ係数は調整可能である。例えば、アシスト増幅係数は、決定されたアシストブレーキ係数に基づいて増加又は減少させることができる。図6は、調整可能なパワーブレーキ係数の一例を示している。図6を参照すると、水平座標は、運転者によってブレーキペダルに加えられる運転者の力を指し(PEDAL FORCE)、垂直座標は、車両の減速度を指し、L1~L3は、異なる運転者の力に対応する車両の減速度を表し、ここで、L1は、運転者の力のみによる車両減速度を表し(すなわち、ブレーキアシストがない)、L2は、上述のアシスト増幅の曲線から計算された車両減速度を表し、L3は、冗長ブレーキシステム20のブレーキアシスト機能に基づいて提供され得る他のアシスト増幅係数に対応する車両減速度を表す(「他のアシスト増幅係数」は、アシスト増幅係数曲線からアシスト増幅係数に基づいて調整され、得られたアシスト増幅係数であると理解され得る)。一例においては、上述のアシスト増幅係数曲線に基づいてアシスト増幅係数を計算した後、実際の適用シナリオに基づいて、アシスト増幅係数は、増加(L2からL3への車両減速度の変化に対応する)又は減少(L2からL1への車両減速度の変化に対応する)させられ得る。
【0047】
続けてブロック3062を参照すると、この例においては、受信ユニット211が、車両の運転安定性に関する機能が起動されたことを示す信号を受信したとき、ブレーキアシストユニット213は、車両の安定性に関連付けられた機能が起動された瞬間の値でアシスト増幅係数を維持することとなる。車両の安定性に関する機能には、例えば、アンチロック機能が含まれる。アンチロック機能が起動されていることを示す信号は、冗長ブレーキシステムのアンチロック機能モジュールによって提供される。したがって、受信ユニット211は、アンチロック機能モジュールから、アンチロック機能が起動されていることを示す信号を受信することができる。この場合、アシスト増幅係数は、制限され、すなわち、一定にされ、運転者がブレーキペダル上においてより多くの筋力を及ぼしたとき、ブレーキ圧力は、依然として増幅されるが、固定比率(すなわち、車両の安定性に関する機能が起動された瞬間の比率)によってのみ増幅される。
【0048】
ブロック3063を参照すると、一例においては、センサ信号が、ブレーキペダル(BP)を運転者が解放したことを示したとき、ブレーキアシストユニット213は、第2のアシスト調整可能モードを実行すると決定する。運転者がブレーキペダルを解放するシチュエーションは、運転者がブレーキペダルにより少ない筋力を及ぼしたことを示すセンサ信号に基づいて決定され得る。
【0049】
第2のアシスト調整可能モードにおいては、ブレーキアシストユニット213によって実行されるブレーキアシスト動作は、以下のステップを含む。まず、所望のブレーキ圧力減少勾配が、センサ信号に基づいて計算される。次に、実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配が、運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配及びブレーキ圧力減少勾配閾値に基づいて決定され、それにより、冗長ブレーキシステム20は、実際に適用される、決定されたブレーキ圧力減少勾配に従って、車両がかけているブレーキを終了させる。例えば、運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配がブレーキ圧力減少勾配閾値よりも速くブレーキ圧力を低下させたときに、実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配は、ブレーキ圧力減少勾配閾値として決定される。運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配がブレーキ圧力減少勾配閾値よりも遅くブレーキ圧力を低下させたときに、実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配は、運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配として決定される。
【0050】
したがって、車両がブレーキを終了させる速度を制限するために、ブレーキ圧力減少勾配閾値を使用することが有利である。例えば、運転者の足がブレーキペダル(BP)を突然解放した場合、運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配は非常に大きくなるであろう。ブレーキ圧力減少勾配が制限されていない場合、ブレーキペダル(BP)は素早く跳ね返り、運転者の足に当たるであろう。上述のブレーキ圧力減少勾配閾値を使用することにより、ブレーキペダルの急速なリバウンドを回避することができる。
【0051】
図7は、ブレーキ圧力減少勾配のグラフの一例を示しており、水平座標は、時間(TIME)を指し、垂直縦座標は、ブレーキ圧力(PRESSURE)を指し、灰色の曲線は、運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配を表し、黒色の曲線は、ブレーキ圧力減少勾配閾値を表している。黒色の曲線は、直線として実現され得、すなわち、ブレーキ圧力減少勾配閾値は、一定に設定され得る。図7に示すように、灰色の曲線は、黒色の曲線を下回っており、運転者の所望のブレーキ圧力終了レートが、ブレーキ圧力減少勾配閾値に基づくブレーキ圧力終了レートよりも著しく速いことを示している。したがって、車両は、ブレーキ圧力減少勾配閾値(すなわち、黒色の曲線)に従ってブレーキが終了させられるべきである。
【0052】
ブロック3064を参照すると、一例においては、ブレーキアシストモードが第1のアシスト調整可能モードにあり、かつ、車両速度が第2の車両速度閾値を下回る場合、ブレーキ圧力保持モードは、車両の運転安定性に関する機能(例えば、アンチロック機能)が起動されたときに実行されるように決定される。ここで、第2の車両速度閾値は、予め定められており、低速としても理解されるべきである。第2の車両速度閾値は、第1の車両速度閾値と同等であってもよく、又は、それとは異なっていてもよい。
【0053】
ブレーキ圧力保持モードにおいては、ブレーキアシストユニット213は、所定のブレーキ圧力に従って車両ブレーキを動作させ、すなわち、ブレーキ圧力は保持されている。所定のブレーキ圧力は、車両の運転安定性に関する機能によって要求されたブレーキ圧力に関連付けられている。例えば、アンチロック機能が起動されたとき、機能は40バールのブレーキ圧力を要求し、その場合、車両ブレーキアシストは、40バールのブレーキ圧力に従って実行される。ブレーキ圧力の保持は、運転者がブレーキペダルを解放したとき、又は、車両の安定性に関する機能がオフになったときに、キャンセルされ得る。
【0054】
この例は、車両が第1のアシスト調整可能モードにあり、アンチロック機能が起動されかつブレーキ圧力保持に入ったときに、車両速度が低レベルまで減少したということであり得る。ホイールが回復したことが確認されると、車両は、ブレーキ圧力保持モードから第1のアシスト調整可能モードにスイッチングすることとなる。
【0055】
図8は、本開示の一実施形態による、車両用の冗長ブレーキシステムのための制御方法800を示している。方法800は、上述の冗長ブレーキシステム20又はその電子制御ユニット21によって実行され得、そのため、上記の説明はここでも適用される。
【0056】
図8を参照すると、ブロック802においては、車両のメインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号と、ブレーキペダルに対する運転者の入力及び車両速度を示すセンサ信号とが受信される。
【0057】
ブロック804においては、ステータス信号に基づいて、メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと決定されたときに、冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能が起動される。
【0058】
ブロック806においては、ブレーキアシスト機能の起動時に、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つが、センサ信号に基づいて実行されるように決定され、複数のブレーキアシストモードは、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード、及び、ブレーキ圧力保持モードを含む。
【0059】
ブロック808においては、ブレーキペダルに対する運転者入力の変化及び車両速度の変化に応じて、車両は、複数のブレーキアシストモード間でブレーキアシストモードをスイッチングする。
【0060】
本開示はまた、実行されたときに、1つ又は複数のプロセッサに上述の方法800を実施させるための実行可能な命令を記憶している機械可読記憶媒体を提供する。
【0061】
プロセッサは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は、それらの任意の組合せを使用して実装され得ることを理解されたい。これらのプロセッサがハードウェア又はソフトウェアとして実装されるかは、特定の実施形態及びシステムに課される全体的な設計上の制約に依存することとなる。例として、本開示に与えられるプロセッサ、プロセッサの任意の部分、又は、プロセッサの任意の組合せは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理装置(PLD)、状態機械、ゲート論理、ディスクリートハードウェア回路、及び、本開示に記述される様々な機能を実行するように構成された装置として実装され得る。他の好適な処理コンポーネント。本開示に与えられるプロセッサ、プロセッサの任意の部分、又は、プロセッサの任意の組合せの機能は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、又は、他の好適なプラットフォームによって実行されるソフトウェアとして実装され得る。
【0062】
セット、コード、コードスニペット、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、パッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行スレッド、手順、関数などを表すものとして広くみなされるべきであることを理解されたい。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体上に存在し得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、メモリを含み得る。メモリは、例えば、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストライプ)、光ディスク、スマートカード、フラッシュメモリ装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、又は、リムーバブルディスクであり得る。メモリは、本開示の様々な態様において、プロセッサから分離されていることが示されているが、メモリは、プロセッサ(例えば、キャッシュ又はレジスタ)内に配置されるものとしてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態を上記において説明したが、これらの実施形態は、単に例として与えられており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物による置換は、本開示の範囲及び主題内において行われる全ての修正、置換及び変更を網羅することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のメインブレーキシステムに結合された車両用の冗長ブレーキシステムのための電子制御ユニットであって、
前記メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルへの運転者入力状況及び車両速度示すセンサ信号を受信するように構成された受信モジュールと、
前記ステータス信号に基づいて前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったと判断されたときに、前記冗長ブレーキシステムのブレーキアシスト機能を起動するように構成された起動モジュールと、
前記ブレーキアシスト機能を実装するための複数のブレーキアシストモードを格納するブレーキアシストモジュールであって、前記ブレーキアシスト機能が起動された後、前記センサ信号に基づいて前記複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように構成されており、かつ、前記ブレーキペダルへの前記運転者入力状況の変化及び前記車両速度の変化に対する応答に従って、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む前記複数のブレーキアシストモード間をスイッチングするように更に構成されているブレーキアシストモジュールと、
を備える電子制御ユニット。
【請求項2】
前記起動モジュールは、
-前記メインブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能が、前記ステータス信号に基づいて正常に動作していると決定される状況、及び、
-前記車両速度が、第1の車両速度閾値を下回る状況であって、任意選択的に、前記第1の車両速度閾値は、前記車両のクリープ速度である、状況
のうちの少なくとも1つが満たされたときに、前記冗長ブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能を起動しないように更に構成されている、
請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記センサ信号に基づいて、実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記センサ信号が、前記ブレーキペダルへの運転者入力がないことを示すときに、実行されると決定される前記スタンバイモードであって、前記ブレーキアシストモジュールがいかなるブレーキアシスト動作も実行しない前記スタンバイモード含む、
請求項に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記センサ信号が、前記ブレーキペダルを前記運転者が押し下げたことを示すときに、実行されると決定される前記第1のアシスト調整可能モード含み、
前記第1のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記センサ信号に基づいて前記運転者の所望のブレーキ圧力を計算し、
前記冗長ブレーキシステムが、決定されたアシスト増幅係数に従って前記車両のブレーキを制御し得るように、予め定められていて前記運転者の所望のブレーキ圧力と前記アシスト増幅係数との間の相関関係を包含する増幅係数曲線を採用して、前記運転者の前記所望のブレーキ圧力に対応するアシスト増幅係数を決定する
ように構成されている、
請求項に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記第1のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記車両の走行安定性に関連付けられた機能が起動されていることを示す信号を受信ユニットが受信した場合に、前記アシスト増幅係数を前記車両の運転安定性に関連付けられた機能が起動された瞬間の値で維持する
ように更に構成されている、
請求項4に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記センサ信号が、前記ブレーキペダルを前記運転者が解放したことを示すときに、実行されると決定される前記第2のアシスト調整可能モード含み、
前記第2のアシスト調整可能モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、
前記センサ信号に基づいて前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配を計算し、
前記冗長ブレーキシステムが、決定されかつ実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配に従って車両レーキの実行を終了させるように、前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配及びブレーキ圧力減少勾配閾値に基づいて、実際に適用されるブレーキ圧力減少勾配を決定する
ように構成されている、
請求項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配及び前記ブレーキ圧力減少勾配閾値に基づいて決定されかつ実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配は、
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配が前記ブレーキ圧力減少勾配閾値よりも速くブレーキ圧力を減少させるときに、実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配として決定される前記ブレーキ圧力減少勾配閾値
前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配が前記ブレーキ圧力減少勾配閾値よりも遅く前記ブレーキ圧力を減少させるときに、実際に適用される前記ブレーキ圧力減少勾配として決定される前記運転者の所望のブレーキ圧力減少勾配
を含む、
請求項6に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
前記センサ信号に基づいて実行されると決定される複数のブレーキアシストモードのうちの前記対応する1つは、
前記ブレーキアシストモードが前記第1のアシスト調整可能モードにあり、かつ、前記車両速度が第2の車両速度閾値よりも低い場合、前記車両の運転安定性に関する機能が起動されたときに、実行されると決定される前記ブレーキ圧力保持モード含み、
前記ブレーキ圧力保持モードにおいて、前記ブレーキアシストモジュールは、前記冗長ブレーキシステムを制御して所定のブレーキ圧力で車両ブレーキを実行するように構成されている、
請求項に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記ブレーキアシストモジュールは、ブレーキアシストモデルを含み、
前記ブレーキアシストモデルは、前記複数のブレーキアシストモード、及び、前記複数のブレーキアシストモード間のスイッチング状態を含み、
前記スイッチング状態は、前記ブレーキペダルへの前記運転者入力状況の変化及び前記車両速度の変化に対応する、
請求項に記載の電子制御ユニット。
【請求項10】
前記スイッチング状態は、
前記第1のアシスト調整可能モードと前記スタンバイモードとの間の、前記第2のアシスト調整可能モードと前記ブレーキ圧力保持モードとの間の、それぞれの双方向スイッチングと、
前記ブレーキ圧力保持モードから前記スタンバイモードへの一方向スイッチングと、
前記ブレーキ圧力保持モードから前記第2のアシスト調整可能モードへの一方向スイッチングと、
前記第2のアシスト調整可能モードから前記スタンバイモードへの一方向スイッチングと、を含む、
請求項9に記載の電子制御ユニット。
【請求項11】
車両用の冗長ブレーキシステムであって、
前記車両のメインブレーキシステムの2つのブレーキ回路とそれぞれ流体的に相互作用するように構成された2つのブレーキ回路と、
前記メインブレーキシステムのメインブレーキシリンダと前記車両の4つのブレーキホイールシリンダとの間に接続された4つの弁と、
前記メインブレーキシリンダ内のブレーキ流体を前記4つのブレーキホイールシリンダの一部又は全部にポンプ注入するためのブレーキアシストを生成するように構成されたモータと、
前記4つの弁及び前記モータを電気的に動作させ、かつ、前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態に入ったときに前記ブレーキアシスト機能を実行する、請求項に記載の電子制御ユニットと、
を備える冗長ブレーキシステム。
【請求項12】
車両用の冗長ブレーキシステムを制御する方法であって
前記車両の前記メインブレーキシステムのステータスを示すステータス信号、並びに、ブレーキペダルへの運転者入力状況及び車両速度示すセンサ信号を受信することと、
前記ステータス信号に基づいて、前記メインブレーキシステムが機械的バックアップ状態にあると決定したときに、前記冗長ブレーキシステムの前記ブレーキアシスト機能を起動することと、
前記ブレーキアシスト機能が起動された後、前記センサ信号に基づいて、複数のブレーキアシストモードのうちの対応する1つを実行するように決定することと、
前記ブレーキペダルへの前記運転者入力状況の変化及び前記車両速度の変化に従って、スタンバイモード、第1のアシスト調整可能モード、第2のアシスト調整可能モード及びブレーキ圧力保持モードを含む前記複数のブレーキアシストモード間で前記ブレーキアシストモードをスイッチングすることと、
を含む、方法。
【請求項13】
実行可能な命令を記憶している機械可読記憶媒体であって、当該実行可能な命令は、1つ又は複数のプロセッサにより実行されたときに、前記1つ又は複数のプロセッサに請求項12に記載の制御方法を実施させるためのものである、機械可読記憶媒体。
【外国語明細書】