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特開2024-43522コンデンサデバイス製造に用いられるデバイスとプロセスにおける電気接続の改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043522
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】コンデンサデバイス製造に用いられるデバイスとプロセスにおける電気接続の改善
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20240322BHJP
   H01G 9/052 20060101ALI20240322BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01G9/012 303
H01G9/012 305
H01G9/052
H01G9/00 290D
H01G9/00 290H
【審査請求】有
【請求項の数】42
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150093
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】63/407,407
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン サミー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ポルトラク
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アンドリュー ラムズボトム
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エー.アゴスト
(57)【要約】
【課題】本明細書では、改善されたコンデンサを提供する。
【解決手段】当該コンデンサは、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含む。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。少なくとも1つのアノードノードまたはアノードノード残部には、アノードワイヤのそれぞれが電気的に接触している。封入材はコンデンサ本体を封入する。アノードノードまたはアノードノード残部の少なくとも一部は、外部終端と電気的に接続されている。カソード外部終端は、カソードと電気的に接触している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
アノードと、前記アノード上の誘電体と、前記誘電体上のカソードとを備える、コンデンサ本体と、
前記アノードと電気的に接触し、前記コンデンサ本体から延在する少なくとも2本のアノードワイヤと、
前記アノードワイヤのそれぞれが電気的に接触している、少なくとも1つのアノードノードまたはアノードノード残部と、
前記コンデンサ本体を封入する封入材と、
前記少なくとも1つのアノードノードまたはアノードノード残部の少なくとも一部と電気的に接続されている外部終端と、
前記カソードと電気的に接触しているカソード外部終端と、を含む、コンデンサ。
【請求項2】
前記外部終端が前記封入材上のメタライゼーション層であり、前記メタライゼーション層が前記アノードノードまたはアノードノード残部のそれぞれと電気的に接触し、前記メタライゼーション層が外部終端である、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記外部終端がリードフレーム部分である、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記外部終端への前記電気接続が、導電性ペースト、はんだ、または他の適合する導電性材料を含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記アノードが金属を含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記金属が、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、それらの合金、並びにそれらの導電性酸化物からなる群から選択されるバルブ金属である、請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記アノードが溝付きである、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記カソードが二酸化マンガンまたは導電性ポリマーを含む、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、またはポリチオフェンから選択される、請求項8に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記ポリチオフェンがポリ 3,4 エチレンジオキシチオフェンである、請求項9に記載のコンデンサ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記アノードノードが可撓性アノードノードである、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記可撓性アノードノードが複数の前記アノードワイヤと電気的に接触している、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記可撓性アノードノードがすべての前記アノードワイヤと電気的に接触している、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項14】
各前記アノードワイヤと電気的に接触する1つの別個のアノードノードを備える、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項15】
複数の前記アノードワイヤと電気的に接触する1つのアノードノードを備える、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項16】
10本以下の前記アノードワイヤを備える、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項17】
3 5本の前記アノードワイヤを備える、請求項16に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記アノードワイヤが平行である、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記アノードワイヤが同一平面上にある、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記アノードワイヤが前記コンデンサ本体の共通面から延在する、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項21】
前記アノードワイヤが前記コンデンサ本体の共通面から延在していない、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項22】
コンデンサを形成する方法であって、
アノード、前記アノード上の誘電体、前記誘電体上のカソードを含むコンデンサ本体であって、少なくとも2本のアノードワイヤが前記アノードと電気的に接触して前記コンデンサ本体から延在する、コンデンサ本体を形成することと、
少なくとも1つのアノードノードを前記アノードワイヤのそれぞれに電気的に接続することと、
前記コンデンサ本体と、前記アノードワイヤ及びアノードノードの少なくとも一部とを封入することと、
前記各アノードノードと電気的に接触し、外部終端に相当するメタライゼーション層を形成することと、
前記カソードと電気的に接触するカソード外部終端を形成することと、を含む、コンデンサ形成方法。
【請求項23】
前記コンデンサ本体を封入する封入材を形成することを更に含み、前記メタライゼーション層が封入材面上にある、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項24】
前記メタライゼーションを形成する前に、前記コンデンサをダイシングすることを更に含み、前記ダイシングで少なくとも1つのアノードノード残部を形成し、前記メタライゼーション層は前記アノードノード残部と電気的に接触する、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項25】
前記アノードが金属を含む、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項26】
前記金属が、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、それらの合金、並びにそれらの導電性酸化物からなる群から選択されるバルブ金属である、請求項25に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項27】
前記アノードが溝付きである、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項28】
前記カソードが二酸化マンガンまたは導電性ポリマーを含む、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項29】
前記カソードが二酸化マンガンまたは導電性ポリマーを含む、請求項28に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項30】
前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、またはポリチオフェンから選択される、請求項29に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項31】
前記ポリチオフェンがポリ 3,4 エチレンジオキシチオフェンである、請求項30に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項32】
少なくとも1つの前記アノードノードが可撓性アノードノードである、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項33】
前記可撓性アノードノードが複数の前記アノードワイヤと電気的に接触している、請求項32に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項34】
前記可撓性アノードノードがすべての前記アノードワイヤと電気的に接触している、請求項32に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項35】
各前記アノードワイヤと電気的に接触する1つの別個のアノードノードを備える、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項36】
複数の前記アノードワイヤと電気的に接触する1つのアノードノードを備える、請求項1に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項37】
10本以下の前記アノードワイヤを備える、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項38】
3 5本の前記アノードワイヤを備える、請求項37に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項39】
前記アノードワイヤが平行である、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項40】
前記アノードワイヤが同一平面上にある、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項41】
前記アノードワイヤが前記コンデンサ本体の共通面から延在する、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項42】
前記アノードワイヤが前記コンデンサ本体の共通面から延在していない、請求項22に記載のコンデンサ形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、本書に援用されている、2022年9月16日に出願された係属中の米国特許出願第63/407,407号に対して優先権を主張している。
【0002】
本発明は、コンデンサの製造の改善、並びに、それによって形成される改善されたコンデンサに関する。より具体的には、本発明は、複数のアノードワイヤを備える固体電解コンデンサの形成の改善、並びに、アノードワイヤを外部終端に接続する方法の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
固体電解コンデンサは、当該技術分野において幅広く採用されている。固体電解コンデンサは、容量結合として機能するコンデンサ本体を備え、コンデンサ本体のアノードは、通常、バルブ金属の粉末を所望の形状にプレスして形成したものである。アノードワイヤは、アノードに取り付けられるか、アノードから延在する。誘電体がアノード上に形成され、カソードが誘電体上に形成されてコンデンサ本体が完成される。
【0004】
複数のアノードワイヤがコンデンサの等価直列抵抗(ESR)を改善できることは当技術分野では周知の事実である。複数のアノードワイヤは、特許文献1に記載されている溝付きアノード(但し、これに限定される訳ではない)とともに使用する場合に特に有利な効果を発揮する。残念ながら、アノードワイヤとアノード体との間の界面をかく乱することなく複数のアノードワイヤをリードフレームに取り付けることは相当困難である。従って、複数のアノードワイヤに期待される利点の多くは、アノードワイヤのリードフレームへの接着不良や容量結合の損傷により実現されずじまいである。
【0005】
一例として、図1及び図2は、リードフレーム10と、アノード面14から延在するアノードワイヤ12とコンデンサ本体16との関係を概略的に図示する。通常の製造上のバラツキにより、アノードワイヤがすべてリードフレームに接触しているわけではないため、アノードワイヤが歪んでいるか、アノードワイヤとアノード本体との間の界面がかく乱しているか、或いは隙間が何らかの形で埋められていない限り溶接部を形成することはできず、あまり実用的とは言えない。アノードワイヤがアノードから延在しているか、取り付けられているアノードを製造することは通常の製造環境では相当困難である。アノードワイヤはカソード体の表面から等距離にあり、互いに平行であるため、一般的なリードフレームに溶接するためには、適切な位置にあることが必要だ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,342,775号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンデンサの製造、特にアノードが複数のアノードワイヤを含む場合の改善は、長年解決を求められてきた課題である。本願では、コンデンサの形成に用いられる改善されたプロセス、及び、それによって形成される改善されたコンデンサが提供される。
【0008】
本発明は、コンデンサの形成に用いられる改善されたプロセス、及び、それによって形成される改善されたコンデンサに関する。
【0009】
改善されたプロセスの利点としては、アノード、アノード体とアノードワイヤとの界面、或いは形成中、特にアノードワイヤとリードフレームの溶接中におけるアノードワイヤを損傷することなく、複数のアノードワイヤを含むコンデンサを形成できることが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態では、コンデンサを提供する。当該コンデンサは、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含む。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。各アノードノードは、複数のアノードワイヤのそれぞれに溶接される。封入材がコンデンサ本体上に形成され、その一部がダイシングされてアノードノードの一部が露出し、アノードノード残部を形成する。メタライゼーション層は、封入材の一部とアノードノード残部の少なくとも一部の上に形成され、その結果、アノードノード残部と電気的に接触する封入材面上に端子を形成する。
【0011】
本発明の更に別の実施形態では、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含むコンデンサを提供する。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。各アノードノードは、複数のアノードワイヤのそれぞれに溶接される。コンデンサ本体のカソード部分は、好ましくは導電性接着剤を用いてリードフレームのカソード部分に取り付けられるが、これに限定される訳ではない。アノードノードはリードフレームのアノード部分に近接し、アノードノードとリードフレームとの間に導電性ペーストが配置され、アノードノードとリードフレームとの間に電気接続を形成する。適切なペーストで、製造時の公差により距離が変わる、各アノードノードとリードフレームとの間の隙間を埋めることができる。当該ペーストは、金属充填接着剤や他の導電性ペーストからなり、塗布してコンデンサ部品を組み立てると、その後硬化して恒久的な結合を形成する。ペーストは、樹脂フラックス内のはんだから形成されてもよく、その場合は、はんだペーストを加熱してアノードノード及びリードフレームに結合する。アノードノードとリードフレームとの間の接続を形成するために固体はんだを使用してもよい。当該実施形態では、はんだは、通常、加熱によって液化され、アノードノードとリードフレーム面を濡らす。はんだの液体形態は、各アノードノードとリードフレームとの間の可変隙間に適合できるという利点を有する。
【0012】
本発明の更に別の実施形態では、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含むコンデンサを提供する。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。単一のアノードノードが複数のアノードワイヤのそれぞれに溶接され、アノードノードは各アノードワイヤの個々の面に適合する素材である。好ましくは、アノードノードは、コンプライアンスをサポートし得る特性を有する材料から作り上げられる。一例として、アノードワイヤとアノード体との間の脆弱な界面を損傷する力よりも少ない力で任意のアノードワイヤから次のアノードワイヤへ変形できる金属ワイヤ材を使用する方法がある。当該実施形態ではワイヤ状を採用しているが、コンデンサ本体を損傷しないほどのより低い変形力が得られる形状や材質を有する、他の形態のアノードノード材を使用してもよい。アノードワイヤには、リボン、可変直径ワイヤ、複合材などが含まれるが、これらに限定される訳ではない。封入材がコンデンサ本体上に形成され、その一部がダイシングされてアノードノードの一部が露出し、アノードノード残部を形成する。メタライゼーション層は、封入材の一部とアノードノード残部の少なくとも一部の上に形成され、その結果、アノードノード残部と電気的に接触する封入材面上に端子を形成する。
【0013】
本発明の更に別の実施形態では、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含むコンデンサを提供する。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。単一のアノードノードが複数のアノードワイヤのそれぞれに溶接され、アノードノードは各アノードワイヤの個々の面に適合する素材である。コンデンサ本体のカソード部分は、好ましくは導電性接着剤を用いてリードフレームのカソード部分に取り付けられるが、これに限定される訳ではない。アノードノードはリードフレームのアノード部分に近接し、アノードノードとリードフレームとの間に導電性ペーストが配置され、アノードノードとリードフレームとの間に電気接続を形成する。
【0014】
本発明の更に別の実施形態では、コンデンサを提供する。当該コンデンサは、アノードと、アノード上の誘電体と、誘電体上のカソードとを備えるコンデンサ本体を含む。少なくとも2本のアノードワイヤがアノードと電気的に接触し、コンデンサ本体から延在する。更に、少なくとも1つのアノードノードまたはアノードノード残部を備え、アノードワイヤの各アノードワイヤは、少なくとも1つのアノードノードまたはアノードノード残部と電気的に接触している。封入材はコンデンサ本体を封入する。アノードノードまたはアノードノード残部の少なくとも一部は、外部終端と電気的に接続されている。カソード外部終端は、カソードと電気的に接触している。
【0015】
本発明の更に別の実施形態では、コンデンサの形成方法を提供する。当該方法は、アノード、前記アノード上の誘電体、前記誘電体上のカソードを含むコンデンサ本体であって、少なくとも2本のアノードワイヤが前記アノードと電気的に接触してコンデンサ本体から延在する、コンデンサ本体を形成することと、少なくとも1つのアノードノードを前記アノードワイヤのそれぞれに電気的に接続することと、コンデンサ本体と、アノードノードワイヤ及びアノードノードの少なくとも一部を封入することと、各アノードノードと電気的に接触し、封入材の面上に外部終端に相当するメタライゼーション層を形成することと、カソードと電気的に接触するカソード外部終端を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術の実施形態の概略端面図。
図2】従来技術の実施形態の概略斜視図。
図3】本発明の一実施形態の概略端面図。
図4】本発明の一実施形態の概略斜視図。
図5】本発明の一実施形態の概略断面図。
図6】本発明の一実施形態の概略断面図。
図7】本発明の一実施形態の概略断面図。
図8】本発明の一実施形態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、コンデンサの製造プロセスの改善、並びに、それによって形成される改善されたコンデンサに関する。より具体的には、本発明は、ワイヤの曲げや歪みを必要とすることなく、あるいはアノード体とアノードワイヤとの間の界面をかく乱することなく、各アノードワイヤが外部終端と電気的に接触することで外部終端との接触を形成する、複数のアノードワイヤを備えるコンデンサを形成するプロセスに関する。更に具体的には、本発明は、少なくとも1つのアノードノードの使用に関するものであり、コンデンサ本体をダイシングしてアノードノードまたはその残部を露出し、続いてメタライゼーションを行うことで、アノードノードと直接電気的に接触する外部終端を形成する。
【0018】
下記にて、本発明を、本明細書の内容を更に明確にするために添付された図面を参照して説明する。当該図面は、明細書を構成する不可欠の一部であるが、提示されているものに限定される訳ではない。各図面において要素が同じである場合は、同じように番号付けがなされる。
【0019】
本発明の一実施形態について、図3を参照して説明する。図3には、コンデンサ前駆体が概略的に示されている。本発明の目的上、コンデンサ前駆体は、アノード側で外部終端されておらず、場合によっては封入化コンデンサ本体である。コンデンサ前駆体18は、コンデンサ本体16を備え、コンデンサ本体のアノードの共通面14から延在する少なくとも2本のアノードワイヤ12を有する。当該アノードワイヤは、場合によっては同一平面上にあってもよい。少なくとも1つのアノードノード20は、好ましくは溶接によってアノードワイヤに取り付けられる。
【0020】
アノードワイヤの数は、追加のアノードワイヤを有するために必要な表面積によって定められる。当業者には周知のことであるが、静電容量を考慮すれば、アノードとカソードの重畳領域をなるべく拡大する方が望ましい。各アノードワイヤはコンデンサ本体面の一部を占めているが、カソードとアノードは電気的に接触できないため、当該部分はカソードの形成には適していない。従って、アノードワイヤの数を増やすと、必然的に、カソード形成に利用可能なコンデンサ本体上の表面積が減少する。実際のところ、アノードワイヤの数は、2本以上、約10本以下である。より好ましくは、アノードワイヤの数は、約3本~約5本である。一実施形態では、アノードワイヤは平行であることが好ましい、また、一実施形態では、ほぼ同一平面上にあることが好ましいが、これに限定される訳ではない。
【0021】
本発明の一実施形態を、図4を参照して説明する。図4では、コンデンサ前駆体が概略的に示されており、アノードノード20は、複数のアノードワイヤ12と接触し、好ましくは全てのアノードワイヤと接触するする可撓性アノードノードであるが、これに限定される訳ではない。
【0022】
本発明の一実施形態を、図5を参照して説明する。図5では、図4のコンデンサ前駆体を封入材22に封入する。この時、アノードワイヤ12とアノードノード20を少なくとも部分的に封入する。アノードノード20は、説明の便宜上、すべてのアノードワイヤと接触する可撓性ノードとして図示するが、これに限定される訳ではない。その結果、封入化コンデンサ前駆体24が形成される。封入化コンデンサ前駆体はダイシングされ(26)、アノードノードの少なくとも一部を露出させる。図6によると、露出面にメタライゼーションを施して金属終端28を形成し、それによってアノードノードの露出部分との金属結合が形成され、アノードノードへの電気接続、好ましくは直接電気接続が可能となる。アノードワイヤへの電気的接続は、少なくともアノードノードを介して行われることが好ましい。カソード終端は図5及び図6には図示されていない。金属終端は、コンデンサ本体の側面29まで延在し、基板または回路基板のトレースへの取り付けを容易にしてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態を、図7の概略側断面図に図示する。図7において、コンデンサ本体は、アノード30、アノード上の誘電体32、誘電体上のカソード34を備える。カソードとアノードは電気的に接触していないことを留意すること。複数のアノードワイヤ12がアノードから延在している。ダイシング後に残るアノードノードの部分であるアノードノード残部21は、少なくとも1つのアノードワイヤと電気的に接触し、前述した外部終端28と電気的に接触する。カソード外部終端36は、カソードと電気的に接触している。封入材22は、外部終端28及びカソード外部終端36の少なくとも一部とともにコンデンサ本体を封入する。各終端は、回路トレースへの電気接続を可能にするために、封入部を越えて延在する。
【0024】
本発明の特別な特徴は、共通面から延在しておらず、必ずしも平行ではなく、また同一平面上に存在するわけではない複数のアノードワイヤを利用できることである。本発明の一実施形態を、コンデンサの断面概略図を図示している図8を参照して説明する。図8には、コンデンサ本体116が図示されている。コンデンサ本体は、溝付きアノード130を備え、溝付きアノードの少なくとも一部に誘電体132を有し、誘電体の少なくとも一部にカソード134を有する。アノードワイヤ112は、アノードから、必要によってアノードの様々な面から延在し、アノードに取り付けられるか、或いは、アノードに埋め込まれる。アノードワイヤ及び外部終端128と電気的に接触しているアノードノード残部121は、本願の説明からも分かるように、ダイシング後の端面114または側面114’のメタライゼーションによって形成されることが好ましい。カソードリード136はカソードと電気的に接続されている。
【0025】
アノードは導体である。好ましいアノードは金属であり、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、NbOなどの導電性酸化物からなる群から選択されたバルブ金属が好ましい。本発明では、アノードワイヤに関する制限は特にない。本発明の実証に特に適した実施形態では、アノードワイヤがアノードと同じ金属を含む。
【0026】
本発明では、誘電体に関する制限は特にない。アノード材の酸化物は、当技術分野において十分に確立された使用法や製造上の便宜を鑑みて選択した、特に適切な誘電体であるが、これに限定される訳ではない。
【0027】
カソード層は特に限定されず、誘電体上に導電性ポリマーや二酸化マンガンを含むカソード層を含む、コンデンサ分野で一般的に用いられるものであればよい。導電性ポリマー層は、現場(in situ)重合、ワンポット重合、電気化学重合、または予備重合ポリマー浸漬などの当技術分野で周知の方法を用いて形成することができる。特に好ましい導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、それらの誘導体が挙げられる。本発明の実証に好ましいポリマーは、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体である。追加のカソード層は、本発明の実証に特に適した炭素含有層及び金属含有層とカソード外部終端との接続を容易にするために、導電性ポリマー層または二酸化マンガン層上に形成されることが好ましい。
【0028】
表面のメタライゼーションは当技術分野では周知のものであり、本発明では特に限定しない。通常、めっき、スパッタリング、蒸着、焼結、拡散、コーティング、導電性材料、好ましくは金属の塗布から選択される方法を用いてメタライゼーションを行う。メタライゼーション層には、適切な導電性を得るために、単一金属、合金、または一連の金属を用いてもよい。メタライゼーションに使用される金属は、メタライゼーション層がはんだ付け可能であり、アノードノードへの電気的接続、好ましくは金属結合を形成することができれば、特に制限はない。メタライゼーションに特に好ましい金属は、銅である。
【0029】
アノードノードはアノードワイヤに溶接できる素材で、露出後にメタライゼーションを行い、外部終端を形成する。ノード材が、所定の設計を鑑みて選択されたメタライゼーション方法と互換性があることが好ましい。一般的に採用されるメタライゼーションは銅メッキであり、ノード材は銅または銅合金を含むことが好ましい。当該方法に適している他の素材としてはアルミニウムが挙げられる。選択したプロセスと互換性のあるノード材を使用すれば、スパッタリング、フレーム溶射、蒸着/化学蒸着などの他のメタライゼーション方法も適用できる。
【0030】
本発明を好ましい実施形態を参照として説明したが、本発明がこれらの実施形態に限定される訳ではない。当業者であれば、具体的には述べられていなくとも、添付の特許請求の範囲から逸脱しない範囲内でその他の実施形態や改良を模索することができるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【外国語明細書】