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特開2024-43529高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043529
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240322BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240322BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
H01L21/31 F
F17C13/02 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151621
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0117259
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】(Gosaek-dong) 1F., 65, Omokcheon-ro 152beon-gil, Gwonseon-gu, Suwon-si, Gyeonggi-do, Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム グンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヘソン
【テーマコード(参考)】
3E172
5F045
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB11
3E172AB16
3E172BA06
3E172BB03
3E172CA02
3E172DA41
3E172EA02
3E172EA12
3E172EB02
3E172EB15
5F045AA00
5F045AC00
5F045AC12
5F045BB20
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EE02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス漏れによる発火危険を構造的に予防できる、ガスボックスアセンブリを提供すること。
【解決手段】内部空間を備えるハウジングと、前記内部空間に配置され、高圧処理装置のチャンバに工程ガスを供給するように構成される供給モジュールと、前記チャンバでの対象物に対する処理によるガスを排気するように構成される排気モジュールと、前記内部空間に前記ハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填するように構成されて、外部空気が前記内部空間に流入することを遮断する充填モジュールとを含む、高圧処理装置用ガスボックスアセンブリを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を備えるハウジング;
前記内部空間に配置され、高圧処理装置のチャンバに工程ガスを供給するように構成された供給モジュール;
前記チャンバでの対象物の処理によるガスを排気するように構成される排気モジュール;及び
前記内部空間に前記ハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填するように構成されて、外部空気が前記内部空間に流入することを遮断する充填モジュールを含む、高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項2】
前記保護ガスの充填による前記内部空間の圧力は、
前記工程ガスの供給による前記チャンバの圧力より外部圧力に偏った値である、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項3】
前記保護ガスの充填による前記内部空間の圧力は、
前記供給モジュール内を流動する工程ガスの圧力より低い値である、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項4】
前記内部空間の環境を感知する感知モジュール;及び
前記充填モジュールを制御するように構成される制御モジュールをさらに含み、
前記制御モジュールは、
前記感知モジュールの感知結果に基づいて、前記充填モジュールを制御する、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項5】
前記感知モジュールは、圧力ゲージを含み、
前記制御モジュールは、
前記圧力ゲージで感知された前記内部空間の圧力が設定圧力未満であると、前記保護ガスを充填して前記内部空間が前記設定圧力に到達するように前記充填モジュールを制御する、請求項4に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項6】
前記内部空間の環境を感知する感知モジュール;
前記内部空間のガスを排出するように構成される排出モジュール;及び
前記排出モジュールを制御するように構成される制御モジュールをさらに含み、
前記制御モジュールは、
前記感知モジュールの感知結果に基づいて前記供給モジュール及び前記排気モジュールの少なくとも1つから前記内部空間へのガス漏れが発生したと判断した場合、前記排出モジュールを作動させるように構成される、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項7】
前記制御モジュールは、
前記内部空間のガスに対する排出過程で、前記ガスを希釈するために前記内部空間に前記保護ガスを充填するように前記充填モジュールを制御する、請求項6に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項8】
前記充填モジュールは、
前記内部空間に前記保護ガスの流量を調節して充電するように構成されるガス調節充填器を含む、請求項7に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項9】
前記充填モジュールは、
前記ガスの排出過程で内部空間に最大設定流量で保護ガスを充填するように構成される非常開閉充填器を含む、請求項7に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項10】
前記感知モジュールは、
圧力ゲージ及びガス感知器の少なくとも1つを含み、
前記制御モジュールは、
前記圧力ゲージで感知された内部空間の圧力が設定圧力を超過するか、前記ガス感知器が前記工程ガスを感知した場合、前記ガス漏れが発生したと判断する、請求項6に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項11】
前記内部空間の環境を感知する感知モジュール;
前記内部空間に前記外部空気を流入させるように構成された流入モジュール;及び
前記流入モジュールを制御するように構成される制御モジュールをさらに含み、
前記制御モジュールは、
前記感知モジュールにより感知された前記内部空間の酸素濃度に基づいて流入モジュールを作動させて前記内部空間の酸素濃度が設定酸素濃度に到達するように制御する、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項12】
前記対象物は、半導体基板を含み、
前記工程ガスは、水素、重水素、フッ素、アンモニア及び塩素の少なくとも1つを含み、
前記保護ガスは、不活性ガスを含む、請求項1に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項13】
内部空間を備えるハウジング;
前記内部空間に配置され、高圧処理装置のチャンバにおいて処理工程用ガスの発火点より高い温度で対象物に対する処理が行われることによるガスを排気するように構成される排気モジュール;及び
前記内部空間に前記ハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填するように構成されて、外部空気が前記内部空間に流入することを遮断する充填モジュールを含む、高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項14】
前記内部空間の環境を感知する感知モジュール;
前記内部空間のガスを排出するように構成される排出モジュール;及び
前記排出モジュールを制御するように構成される制御モジュールをさらに含み、
前記制御モジュールは、
前記感知モジュールの感知結果に基づいて前記排気モジュールから前記内部空間へのガス漏れが発生したと判断した場合、前記排出モジュールを作動させるように構成される、請求項13に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【請求項15】
前記内部空間の環境を感知する感知モジュール;
前記内部空間に前記外部空気を流入させるように構成される流入モジュール;及び
前記流入モジュールを制御するように構成される制御モジュールをさらに含み、
前記制御モジュールは、
前記感知モジュールにより感知された前記内部空間の酸素濃度に基づいて前記流入モジュールを作動させて、前記内部空間の酸素濃度が設定酸素濃度に到達するよう制御する、請求項13に記載の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧処理装置のチャンバに対してガスを供給するか、そのチャンバからガスを排気するために使用されるガスボックスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体素子の製造工程の実行中に、半導体基板には多様な処理が行われている。前記処理の例としては、酸化、窒化、シリサイド、イオン注入及び化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)工程などがある。半導体素子の界面特性を改善するための水素または重水素熱処理工程もある。
【0003】
処理に使われるガスは、高圧でチャンバに供給されて半導体基板に作用する。ガスはガスボックスによりチャンバに供給され、また、チャンバから排気される。
【0004】
ガスの供給、排気の過程でガスが漏れると、周辺汚染だけでなく発火による火災などの問題が発生する可能性がある。処理工程の温度が高くなるにつれて、特に排気されるガスの温度も高くなるため、ガスボックスでの発火の恐れもさらに大きくなる。処理温度がガスの自然発火温度以上の場合であれば、漏れによる発火の恐れがさらに大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、処理工程が高温で実行されても、工程実行時にガスボックスからのガス漏れによる発火危険を構造的に予防できる、高圧処理装置用ガスボックスアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を実現するための本発明の一側面による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリは、内部空間を備えるハウジングと、前記内部空間に配置され、高圧処理装置のチャンバに工程ガスを供給するように構成される供給モジュールと、前記チャンバでの対象物に対する処理によるガスを排気するように構成される排気モジュールと、前記内部空間に前記ハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填するように構成されて、外部空気が前記内部空間に流入されることを遮断する充填モジュールとを含んでもよい。
【0007】
ここで、前記保護ガスの充填による前記内部空間の圧力は、前記工程ガスの供給による前記チャンバの圧力より前記外部圧力に偏った値であってもよい。
【0008】
ここで、前記保護ガスの充填による前記内部空間の圧力は、前記供給モジュール内を流動する前記工程ガスの圧力より低い値であってもよい。
【0009】
ここで、前記内部空間の環境を感知する感知モジュールと、前記充填モジュールを制御するように構成される制御モジュールとがさらに含まれ、前記制御モジュールは、前記感知モジュールの感知結果に基づいて前記充填モジュールを制御してもよい。
【0010】
ここで、前記感知モジュールは、圧力ゲージを含み、前記制御モジュールは、圧力ゲージで感知された前記内部空間の圧力が設定圧力未満であると、前記保護ガスを充填して前記内部空間が前記設定圧力に到達するように前記充填モジュールを制御してもよい。
【0011】
ここで、前記内部空間の環境を感知する感知モジュールと、前記内部空間のガスを排出するように構成される排出モジュールと、前記排出モジュールを制御するように構成される制御モジュールとがさらに含まれ、前記制御モジュールは、前記感知モジュールの感知結果に基づいて前記供給モジュール及び前記排気モジュールの少なくとも1つから前記内部空間へのガス漏れが発生したと判断した場合、前記排出モジュールを作動させるように構成されてもよい。
【0012】
ここで、前記制御モジュールは、前記内部空間のガスに対する排出過程で、前記ガスを希釈するために前記内部空間に前記保護ガスを充填するように前記充填モジュールを制御してもよい。
【0013】
ここで、前記充填モジュールは、前記内部空間に前記保護ガスの流量を調節して充電するように構成されるガス調節充填器を含んでもよい。
【0014】
ここで、前記充填モジュールは、前記ガスの排出過程で前記内部空間に最大設定流量で前記保護ガスを充填するように構成される非常開閉充填器を含んでもよい。
【0015】
ここで、前記感知モジュールは、圧力ゲージ及びガス感知器の少なくとも1つを含み、前記制御モジュールは、前記圧力ゲージで感知された前記内部空間の圧力が設定圧力を超過するかまたは前記ガス感知器が前記工程ガスを感知した場合、前記ガス漏れが発生したと判断してもよい。
【0016】
ここで、前記内部空間の環境を感知する感知モジュールと、前記内部空間に前記外部空気を流入させるように構成される流入モジュールと、前記流入モジュールを制御するように構成される制御モジュールがさらに含まれ、前記制御モジュールは、前記感知モジュールにより感知された前記内部空間の酸素濃度に基づいて流入モジュールを作動させて前記内部空間の酸素濃度が設定酸素濃度に到達するよう制御してもよい。
【0017】
ここで、前記対象物は半導体基板を含み、前記工程ガスは、水素、重水素、フッ素、アンモニア及び塩素の少なくとも1つを含み、前記保護ガスは不活性ガスを含んでもよい。
【0018】
本発明の他の一側面による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリは、内部空間を備えるハウジングと、前記内部空間に配置され、高圧処理装置のチャンバにおいて処理工程用ガスの発火点より高い温度で対象物に対する処理が行われることによるガスを排気するように構成される排気モジュールと、前記内部空間に前記ハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填するように構成されて、外部空気が内部空間に流入することを遮断する充填モジュールとを含んでもよい。
【0019】
ここで、前記内部空間の環境を感知する感知モジュールと、前記内部空間のガスを排出するように構成される排出モジュールと、前記排出モジュールを制御するように構成される制御モジュールとがさらに含まれ、前記制御モジュールは、前記感知モジュールの感知結果に基づいて前記排気モジュールから前記内部空間へのガス漏れが発生したと判断した場合、前記排出モジュールを作動させるように構成されてもよい。
【0020】
ここで、前記内部空間の環境を感知する感知モジュールと、前記内部空間に前記外部空気を流入させるように構成される流入モジュールと、前記流入モジュールを制御するように構成される制御モジュールとがさらに含まれ、前記制御モジュールは、前記感知モジュールにより感知された前記内部空間の酸素濃度に基づいて前記流入モジュールを作動させて前記内部空間の酸素濃度が設定酸素濃度に到達するように制御してもよい。
【発明の効果】
【0021】
前記のように構成される本発明による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリによれば、処理チャンバに工程ガスを供給するための供給モジュールとチャンバから処理によるガスを排気するための排気モジュールとがハウジングの内部空間に設置され、その内部空間にハウジングの外部圧力より高い圧力で保護ガスを充填する充填モジュールを備えるため、外部空気は内部空間に流入しなくなる。その結果、供給モジュールや排気モジュールから工程ガスが内部空間に漏れたとしても、漏れた工程ガスが外部空気(酸素)に触れて発火する可能性を構造的に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリに対する概念図である。
図2図1の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの制御的構成を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の他の一実施例による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリに対する概念図である。
図4図3の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの一制御方式を説明するためのフローチャートである。
図5図3の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの他の制御方式を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施例による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリについて添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書では、異なる実施例でも同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に置き換えられる。
【0024】
図1は、本発明の一実施例による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリに対する概念図である。
【0025】
本図面を参照すると、高圧処理装置用ガスボックスアセンブリ100は、高圧処理装置HAにガスを供給し、それからガスを排気するための構成である。
【0026】
高圧処理装置HAについて先に説明すると、次のとおりである。高圧処理装置HAは、内部チャンバICと外部チャンバECを有するように構成される。
【0027】
内部チャンバICは、処理のための対象物を収容する収容空間を形成する。内部チャンバICは、高圧及び高温の作業環境で汚染を減少させるために非金属材、例えば、石英で製作されてもよい。図面上には簡略化されているが、内部チャンバICの下段には前記収容空間を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより前記収容空間が開放され、前記対象物はホルダー(図示せず)に装着されたまま内部チャンバICに投入される。内部チャンバICの外側に配置されるヒータ(図示せず)の作動により、内部チャンバICは数百~数千℃に達するように加熱される。高温工程の工程温度に応じては、内部チャンバICに投入されるガスとして水素が使われると、水素はその発火点である575℃以上に加熱されることもある。前記対象物は、例えば、半導体基板であってもよい。その場合、前記ホルダーは前記半導体基板を複数層に積層できるウェハボート(wafer boat)であってもよい。
【0028】
外部チャンバECは内部チャンバICを包むように形成される。内部チャンバICとは異なり、外部チャンバECは汚染問題から自由であるため、外部チャンバECは金属材で製作されてもよい。外部チャンバECも下部にはドアを備えるが、内部チャンバICのドアが開放される時、外部チャンバECのドアも一緒に下降して開放できる。
【0029】
以下、ガスボックスアセンブリ100について説明する。ガスボックスアセンブリ100は、ハウジング110、供給モジュール120、排気モジュール130、充填モジュール140、排出モジュール150、及び感知モジュール160を含んでもよい。
【0030】
ハウジング110は内部空間111を備える構成である。ハウジング110は、概ね長方形の胴体を有する。ハウジング110には、作業者が内部空間111に接近して後述の供給モジュール120などを交換/修理するためのドア(図示せず)を備えられてもよい。内部空間111には供給モジュール120及び排気モジュール130などが設置されてもよい。
【0031】
供給モジュール120は、高圧処理装置HA、具体的に、チャンバ(IC及びEC)に対してガスを供給するための構成である。供給モジュール120は、半導体工場のユーティリティライン(ガス供給ライン)に連通される。供給モジュール120は、内部チャンバICに連通される第1供給ライン121と外部チャンバECに連通される第2供給ライン125を有する。
【0032】
第1供給ライン121を介しては、内部チャンバICに対して対象物の処理のためのガスとして、例えば、水素/重水素、フッ素、アンモニア、塩素、窒素などが選択的に供給される。第2供給ライン125を介しては外部チャンバECに対して不活性ガスとして、例えば、窒素またはアルゴンが供給される。外部チャンバECに投入されたガスは、具体的に、外部チャンバECと内部チャンバICとの間の空間に供給される。内部チャンバICに投入される水素などと外部チャンバECに投入される窒素などは全て工程ガスと通称されてもよい。これらにより対象物に対する高圧処理工程が行われるためである。
【0033】
内部チャンバIC及び外部チャンバECに供給されるガスは、大気圧より高い圧力として、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧を形成するように供給されてもよい。内部チャンバICに供給されるガスの圧力が第1圧力であり、外部チャンバECに供給されるガスの圧力が第2圧力である場合、前記第2圧力は前記第1圧力と連関して設定される。例えば、前記第2圧力は前記第1圧力と実質的に同一であるか、それより多少大きく設定されてもよい。そのような圧力関係は、内部チャンバIC内のガスが漏れず、内部チャンバICが破損しないようにする利点を提供する。
【0034】
前記第1圧力と前記第2圧力間の関係設定及び維持のために、第1供給ライン121には調節供給器122が設置されてもよい。調節供給器122は、内部チャンバICに対するガス投入量を計測して供給することができる。例えば、調節供給器122は、ガスの流量を計測して投入量を算出するMFC(Mass Flow controller)であってもよい。調節供給器122の後流には開閉供給器123が設置されて、第1供給ライン121に対する開閉を行う。第2供給ライン125には開閉供給器127が設置されてもよい。開閉供給器127は調節供給器122とは異なり流量を計測することはなく、外部チャンバECの圧力に基づいて開閉が調節される。
【0035】
排気モジュール130は、チャンバ(IC及びEC)から対象物の処理によるガスを排気するための構成である。前記処理によるガスは、前記工程ガスだけでなく、対象物から由来したパーティクルなどが混合された混合ガスであり得る。また、前記処理によるガスは高温工程により高い温度を有し、例えば、前記工程ガスの発火点より高い温度を有するガスであり得る。排気モジュール130は半導体工場のユーティリティライン(ガス排気ライン)に連通されることができる。
【0036】
排気モジュール130は、内部チャンバICからガスを排気するための第1排気ライン131と、外部チャンバECからガスを排気するための第2排気ライン135とを有する。第1排気ライン131は内部チャンバICの上部に連通され、また、外部チャンバECの外に延長されてもよい。第1排気ライン131には排気バルブ133を設置される。第2排気ライン135は外部チャンバECに連通され、また、それには排気バルブ137が設置されてもよい。第2排気ライン135は第1排気ライン131に統合される。その場合、第1排気ライン131に沿って排気される水素などは、第2排気ライン135に沿って排気される窒素などに希釈されて濃度が低くなる。
【0037】
充填モジュール140は、内部空間111に対して保護ガスを充填するための構成である。前記保護ガスは、例えば、不活性ガスであってもよい。前記不活性ガスは、例えば、窒素やアルゴンを含む。
【0038】
前記保護ガスの充填によって、内部空間111の圧力(第3圧力)は前記第1圧力及び前記第2圧力とは異なる特徴を有する。前記第3圧力はハウジング110の外部圧力(通常、大気圧)よりは高いが、前記第1圧力及び前記第2圧力よりは低い。具体的に、前記第3圧力は前記第1圧力及び前記第2圧力よりは前記外部圧力に偏った値であり、大気圧より若干高い水準である。例えば、前記第3圧力は大気圧より数十ないし数百Pa程度高い圧力であってもよい。前記第3圧力は外部の空気(酸素)が内部空間111に流入することを遮断できる程度に設定されれば十分である。
【0039】
前記第3圧力は、また、供給モジュール120を流動するガス(工程ガス、具体的には対象物の処理のためのガス)の圧力より低い。その場合、内部空間111に位置する供給モジュール120のガスライン121、125にクラックなどが発生しても、前記保護ガスが前記クラックなどを介して内部チャンバICに流れ込まなくなる。それにより、前記クラックなどによっても、内部チャンバICにおいて対象物の処理のためのガスの設定された組成が損なわれることは発生しない。
【0040】
排出モジュール150は、内部空間111のガスを排出するように構成される。内部空間111のガスは、前記保護ガスが主となるが、前記工程ガスが混合されたものでもあってもよい。後者は供給モジュール120や排気モジュール130から前記工程ガスの漏れが発生した場合に該当する。
【0041】
排出モジュール150は内部空間111に連通する排出ダクト151を備える。排出ダクト151は半導体工場のユーティリティライン(ガス排気ライン)に連通できる。排出ダクト151にはゲートバルブ155が設置されてもよい。内部空間111のガスに対する排出が必要な場合、ゲートバルブ155は制御モジュール170(図2参照)の制御下で開放される。
【0042】
感知モジュール160は、内部空間111の環境を感知するために、圧力ゲージ161とガス感知器165を備えてもよい。圧力ゲージ161は、内部空間111におけるガス圧力を感知するためのものである。ガス感知器165は、内部空間111に漏れた前記工程ガス(具体的に、水素などの活性ガス)、ひいては、外部から流入する酸素などのガスを感知するためのものである。
【0043】
ガスボックスアセンブリ100の制御的構成は、図2を参照して説明する。図2は、図1の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの制御的構成を説明するためのブロック図である。
【0044】
本図面(及び、図1)を参照すると、ガスボックスアセンブリ100は、前述の供給モジュール120、排気モジュール130、充填モジュール140などに加えて、制御モジュール170、及び格納モジュール180をさらに含んでもよい。
【0045】
制御モジュール170は、供給モジュール120、排気モジュール130、充填モジュール140、及び排出モジュール150などを制御する構成である。制御モジュール170は感知モジュール160の感知結果に基づいて、充填モジュール140及び排出モジュール150などを制御する。
【0046】
格納モジュール180は、制御モジュール170が制御のために参照できるデータ、プログラムなどを格納する構成である。
【0047】
このような構成によれば、制御モジュール170は感知モジュール160の感知結果に基づいて、内部空間111に前記保護ガスが充填されるようにするか、前記工程ガスの漏れによって内部空間111のガスが排出されるようにする。前者のために制御モジュール170は充填モジュール140を制御し、後者のために制御モジュール170は排出モジュール150を制御する。
【0048】
制御モジュール170は、排出モジュール150と共に充填モジュール140も制御することで、内部空間111のガスを排出する場合に内部空間111に前記保護ガスが投入されるようにする。これにより、内部空間111に前記工程ガスが漏れた場合、前記工程ガスの濃度を希釈させることができる。前記保護ガスの投入は、前記工程ガスの排出を促進することもある。
【0049】
制御モジュール170は、内部空間111のガスを排出するとともに、高圧処理装置HAのチャンバのガスも排気することができる。これは、ガスボックスアセンブリ100の漏れによる問題の発生時に、前記チャンバでの処理もこれ以上進行できないためである。前記チャンバの排気のために、制御モジュール170は排気モジュール130を制御することができる。
【0050】
以上のガスボックスアセンブリ100の他の形態について図3ないし図5を参照して説明する。
【0051】
まず、図3は、本発明の他の実施例による高圧処理装置用ガスボックスアセンブリに対する概念図である。
【0052】
本図面を参照すると、ガスボックスアセンブリ200は、前述の実施例のガスボックスアセンブリ100と概ね同一であるが、充填モジュール240に関する具体的な構成が提示されている点、流入モジュール290が追加された点で多少異なる。高圧処理装置HA(図1参照)の構成は本図面では省略する。
【0053】
充填モジュール240は、内部空間211に対する給気のために内部空間211に連通される調節ライン241とバイパスライン245を備える。調節ライン241は半導体工場のユーティリティライン(ガス供給ライン)に直接連結され、バイパスライン245は調節ライン241から分岐される。
【0054】
調節ライン241にはガス調節充填器242が設置されてもよい。ガス調節充填器242は正常作動モードで内部空間211に前記保護ガスを供給する構成である。ガス調節充填器242は前記保護ガスの供給流量を調節して、内部空間211に対する設定圧力を維持する機能を担当する。このために、ガス調節充填器242は圧力ゲージ261で感知した圧力に基づいて制御される。
【0055】
バイパスライン245には非常開閉充填器246が設置されてもよい。非常開閉充填器246は、前記保護ガスの供給流量を調節して充填するものではない。これは非常作動モード{内部空間211のガスを排出するモード}で内部空間211に前記保護ガスを最大設定流量で供給する構成である。これはまた、正常作動モードでは閉鎖状態を維持する。前記保護ガスが内部空間211に対して大量に供給されることにより、内部空間211内の漏れガスは希釈されたままより迅速に排出できる。
【0056】
調節ライン241にはレギュレータ243とマニュアルバルブ244も設置できる。レギュレータ243は、前記ユーティリティラインから流入する前記保護ガスの流量を調節して、前記最大設定流量を変更できるようにする。マニュアルバルブ244は調節ライン241を介する前記保護ガスの流動自体を断続するための手動バルブである。
【0057】
流入モジュール290は内部空間211に外部空気を流入させるための構成である。流入モジュール290は、具体的に、制御モジュール170(図2参照)の制御に従って開閉されるダンパーであってもよい。排出モジュール150が作動する状態で前記ダンパーが開放されると、外部空気は内部空間211に流入することができる。
【0058】
以上の構成による内部空間211に対するガス制御方式は、図4及び図5を参照して説明する。
【0059】
図4は、図3の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの一制御方式を説明するためのフローチャートである。
【0060】
本図面(及び図2ないし図3)を参照すると、内部空間211に対する前記保護ガスの充填または内部空間211のガスの排出のために、圧力ゲージ261により内部空間211内のガスの圧力が感知される(S1)。
【0061】
制御モジュール170は、感知された圧力を内部空間211に対して設定された設定圧力と比較する(S2)。
【0062】
感知された圧力が設定圧力未満である場合(S3)、制御モジュール170は前記保護ガスを追加で投入するために充填モジュール240を制御する(S4)。具体的に、制御モジュール170はガス調節充填器242を作動させて、内部空間211内の圧力が設定圧力に到達するようにする。
【0063】
感知された圧力が設定圧力と同一である場合(S5)、その状態が維持されればよい。この場合、制御モジュール170は充填モジュール240を作動させない。
【0064】
感知された圧力が設定圧力を超える場合(S6)、制御モジュール170はガス漏れ状況であると判断する(S7)。これは、供給モジュール220及び排気モジュール230のうち少なくとも1つから内部空間211にガス漏れが発生することにより内部空間211内の圧力が増加した場合であるためである。ガス漏れに対応して、非常開閉充填器246が作動して、前記保護ガスが内部空間211に対して最大設定流量で投入される。前記保護ガスの投入は、漏れガスの濃度を希釈させる(S8)。希釈された漏れガスは、ゲートバルブ255の開放により排気ダクト251を介して排出される(S9)。内部空間211のガス排出時に、内部チャンバIC及び外部チャンバECのガスも排気ライン231、235により排気されることができる。
【0065】
ガス漏れ判断(S7)、希釈(S8)、及び排出(S9)は、内部空間211内のガスを感知して行われることもできる(S10)。ガス感知器265が前記工程ガスを感知すると(S11)、制御モジュール170はガス漏れが発生したと判断する(S7)。この場合、前述の希釈(S8)及び排出(S9)が順次行われる。
【0066】
図5は、図3の高圧処理装置用ガスボックスアセンブリの他の制御方式を説明するためのフローチャートである。
【0067】
本図面を参照すると、ガスボックスアセンブリ200に対する整備のための作業者の接近を許容するか否かを決定するために、ガス感知器265は内部空間211の酸素濃度を感知する(S21)。
【0068】
感知された酸素濃度が設定酸素濃度未満であると判断された場合(S23)、内部空間211には外部空気が流入される(S25)。このために、制御モジュール170は流入モジュール290を制御して、前記ダンパーを開放させる。具体的には、ゲートバルブ255が開放されて内部空間211が陰圧状態になった場合、前記ダンパーが開放されることにより外部空気が外部より低い圧力の内部空間211に流れ込まれる。
【0069】
内部空間211の酸素濃度が設定酸素濃度以上である判断された場合(S23)、作業者が内部空間211に接近できる状況となる。制御モジュール170は、内部空間211に対して作業者が接近可能であることを通知する(S27)。通知は視覚的、聴覚的手段により行われることができる。
【0070】
このような制御によると、内部空間211にガス漏れが発生して高圧処理装置HAのチャンバ及び内部空間211のガスに対する排気/排出が完了した後、内部空間211の酸素濃度に応じて内部空間211に対する作業者の接近が許容される。この過程で、適正酸素濃度が確保されることにより、作業者が窒息するなどの問題が予防できる。
【0071】
前記のような高圧処理装置用ガスボックスアセンブリは、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わされて多様な変形ができるように構成されることもできる。
【符号の説明】
【0072】
100、200:ガスボックスアセンブリ
110、210:ハウジング
120、220:供給モジュール
130、230:排気モジュール
140、240:充填モジュール
150、250:排出モジュール
160、260:感知モジュール
170:制御モジュール
180:格納モジュール
図1
図2
図3
図4
図5