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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043559
(43)【公開日】2024-04-01
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20240325BHJP
   F16F 1/18 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F16F15/04 D
F16F15/04 A
F16F1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148665
(22)【出願日】2022-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 泰正
(72)【発明者】
【氏名】上田 元彦
(72)【発明者】
【氏名】澤田 佳克
(72)【発明者】
【氏名】森下 貴也
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA02
3J048AC01
3J048BC04
3J048BE12
3J048DA04
3J048EA08
3J048EA09
3J059AC03
3J059BA14
3J059BB05
3J059BC02
3J059BD03
3J059CA14
3J059CB03
3J059DA25
3J059EA02
3J059GA20
3J059GA30
(57)【要約】
【課題】防振性能を向上するようにした防振装置1を提供する。
【解決手段】防振装置1は、振動発生源2と被振動伝達部3とを接続する板バネ11、21を備える。弾性変形部11a、21aは、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。弾性変形部11bは、D2方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD2方向に振動する。弾性変形部21bは、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する。X方向、D2方向、D5方向は、それぞれ異なる方向に設定されている。したがって、防振装置1は、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向に振動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生源(2)に固定され、かつ被振動伝達部(3)に固定され、前記振動発生源に生じる振動が前記被振動伝達部に伝わることを抑制する防振を実施する防振装置であって,
第1厚み方向(X)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記振動発生源から前記被振動伝達部に前記振動が伝わる経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第1厚み方向に振動する第1弾性変形部(11a)と、
前記第1厚み方向に交差する第2厚み方向(D2)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第2厚み方向に振動する第2弾性変形部(11b)と、
前記第1厚み方向に交差し、かつ前記第2厚み方向に交差する第3厚み方向(D5)に厚みを成す板状に形成され、さらに前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第3厚み方向に振動する第3弾性変形部(21b)と、
を備える防振装置。
【請求項2】
前記第1弾性変形部は、前記第1厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第1面(111a、211a)を有しており、
前記第2弾性変形部は、前記第2厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第2面(111b、111c)を有しており、
前記第3弾性変形部は、前記第3厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第3面(211b、211c)を有しており、
前記第1面は、前記第2面に対して非平行になっており、
前記第2面は、前記第3面に対して非平行になっている請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記第1厚み方向と前記第2厚み方向とが直交するように設定され、
前記第1厚み方向と前記第3厚み方向とが直交するように設定され、
前記第2厚み方向と前記第3厚み方向とが直交するように設定されている請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記第2厚み方向に交差し、かつ前記第3厚み方向に交差する第4厚み方向(X)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第4厚み方向に振動する第4弾性変形部(21a)を備え、
前記第1弾性変形部と前記第2弾性変形部とは、第1板バネ(11)を構成し、
前記第4弾性変形部と前記第3弾性変形部とは、第2板バネ(21)を構成する請求項3に記載の防振装置。
【請求項5】
前記第1厚み方向(X)に直交する方向を第1直交方向(Y)とし、前記第1厚み方向に直交し、かつ前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向(Z)としたとき、
前記第1弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の一方側に進むように形成されており、
前記第4弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の他方側に進むように形成されている請求項4に記載の防振装置。
【請求項6】
前記第1厚み方向(X)に直交する方向を第1直交方向(Y)とし、前記第1厚み方向に直交し、かつ前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向(Z)としたとき、
前記第1弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に延びるように形成されている第1長板部(201)を備え、
前記第4弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に延びるように形成されている第2長板部(221)を備える請求項4に記載の防振装置。
【請求項7】
前記第1弾性変形部は、前記第1長板部のうち前記第2直交方向の一方側端部(201a)から前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の一方側に進むように形成されている第3長板部(202)を備え、
前記第4弾性変形部は、前記第2長板部(221)のうち前記第2直交方向の一方側端部(2111a)から前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の他方側に進むように形成されている第4長板部(222)を備える請求項6に記載の防振装置。
【請求項8】
前記第1弾性変形部は、前記第4弾性変形部に対して、前記第1直交方向の一方側に配置されており、
前記第1弾性変形部は、前記振動発生源に対して第1固定部材(30a、30b)によって固定され、
前記第4弾性変形部は、前記振動発生源に対して第2固定部材(30e、30f)によって固定されている請求項5ないし7のいずれか1つに記載の防振装置。
【請求項9】
前記第1弾性変形部は、前記第4弾性変形部に対して前記第1厚み方向に重なるように形成されている重ね領域(201X)を備えており、
前記第1弾性変形部は、その前記重ね領域が、前記第4弾性変形部とともに、共通の固定部(30a)によって前記振動発生源に固定されている請求項4に記載の防振装置。
【請求項10】
前記第1板バネおよび前記第2板バネは、一体化された一体化構成物を構成している請求項4に記載の防振装置。
【請求項11】
前記振動発生源および前記被振動伝達部のうちいずれか一方に固定され、前記第1板バネに対して前記振動により滑り摩擦を生じて前記第1板バネの振動を減衰させる振動減衰部材(12、13)を備える請求項4に記載の防振装置。
【請求項12】
前記振動減衰部材を第1振動減衰部材としたとき、前記振動発生源および前記被振動伝達部のうちいずれか一方に固定され、前記第2板バネに対して前記振動により滑り摩擦を生じて前記第2板バネの振動を減衰させる第2振動減衰部材(22、23)を備える請求項11に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防振装置において、被防振支持体に固定され、かつ振動体に固定されているU字状板バネを用いて、防振を実施するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
U字状板バネは、長板材をU字状に屈曲をしてなるものであり、直交座標のX方向とZ方向とに厚みを形成し、かつY方向に幅を形成する。
【0004】
このため、U字状板バネは、X方向とZ方向との剛性が低く、かつY方向の剛性が高くなっている。したがって、U字状板バネは、X方向とZ方向との曲げ変形が容易になるため、U字状板バネは、振動体から伝わる振動によって弾性変形してX方向の振動とZ方向の振動とを生じる。このため、U字状板バネは、振動体から被防振支持体へX方向の振動とZ方向の振動とが伝わることを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62-28545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のU字状板バネは、X方向とZ方向との剛性が低いものの、Y方向の剛性が高くなっている。このため、Y方向の曲げ変形が生じ難いため、Y方向の振動が振動体から被防振支持体に伝わることを抑えることができない。
【0007】
このため、U字状板バネでは、振動体から被防振支持体へX方向、Y方向、Z方向といった3方向の振動が伝わることを抑える防振性能を実現することができない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、振動体から被防振支持体へ振動が伝わることを抑える防振性能を向上するようにした防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、振動発生源(2)に固定され、かつ被振動伝達部(3)に固定され、振動発生源に生じる振動が被振動伝達部に伝わることを抑制する防振を実施する防振装置であって,
第1厚み方向(X)に厚みを成す板状に形成され、かつ振動発生源から被振動伝達部に振動が伝わる経路を構成し、振動によって弾性変形して第1厚み方向に振動する第1弾性変形部(11a)と、
第1厚み方向に交差する第2厚み方向(D2)に厚みを成す板状に形成され、かつ経路を構成し、振動によって弾性変形して第2厚み方向に振動する第2弾性変形部(11b)と、
第1厚み方向に交差し、かつ第2厚み方向に交差する第3厚み方向(D5)に厚みを成す板状に形成され、さらに経路を構成し、振動によって弾性変形して第3厚み方向に振動する第3弾性変形部(21b)と、を備える。
【0010】
したがって、第1厚み方向、第2厚み方向、第3厚み方向といった異なる3方向の振動が振動体から被防振支持体へ伝わることを抑えることができる。
【0011】
以上により、振動体から被防振支持体へ振動が伝わることを抑える防振性能を向上するようにした防振装置を提供することができる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における車両用の防振装置が被振動伝達部の4つの支持部および振動発生源の間に接続されている状態を示す全体図であり、防振装置を構成する4つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図2図1の防振装置のバネユニット中のII部分を拡大した 図であり、バネユニットにおいて一方の板バネの弾性変形部の面に対して他方の板バネの弾性変形部のX方向他方側領域が滑り摩擦を生じることを説明するための図である。
図3図1の第1実施形態の防振装置をYa矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図4図3の防振装置のバネユニット中のIV部分を拡大した図であり、バネユニットにおいて一方の板バネの弾性変形部の面に対して他方の板バネの弾性変形部のX方向他方側領域が滑り摩擦を生じることを説明するための図である。
図5図1の第1実施形態の防振装置をYb矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図6図1の第1実施形態の防振装置をYc矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図7】第1実施形態の第1対比例において、被防振支持体および振動体の間に配置されている複数のU字状板バネの振動体を透視した状態で示す斜視図である。
図8】第1実施形態の第2対比例において、振動発生源と被振動伝達部との間に複数の防振部材が配置されている状態を示す図であり、振動発生源から発生する荷重の周波数特性の説明を補助するための図である。
図9】第2対比例において、振動発生源としての走行用エンジンのアイドリング時に発生する荷重と振動周波数との関係を示す図である。
図10】第2対比例において、振動発生源としての車載空調装置用コンプレッサに発生する荷重と振動周波数との関係を示す図である。
図11】第1実施形態の防振装置を設けた場合において振動発生源から被振動伝達部に伝わる振動の伝達関数の周波数特性と、防振装置を設けない場合において振動発生源から被振動伝達部に伝わる振動の伝達関数の周波数特性とを示す図である。
図12】第3対比例の板バネを示す斜視図であり、板バネの厚み寸法を幅寸法で除算した除算値を大きくした場合に、板バネの強度が悪化することを説明するために用いられる図である。
図13図12の板バネ中のXIII断面図である。
図14図12の第3対比例の板バネにおいて、X方向の剛性、Y方向の剛性、Zの剛性と上記除算値との関係を示す図である。
図15図12の第3対比例の板バネの下端に作用する応力と、上記除算値との関係を示す図である。
図16図1の第1実施形態の防振装置のバネユニットの板バネを板材から製造する工程の説明を補助するための図である。
図17図1の第1実施形態の防振装置のバネユニットの板バネを板材から製造する工程の説明を補助するための図である。
図18】第1実施形態の第4対比例において、防振装置の2つのバネユニットの設定角度が同一である場合を示す斜視図であり、防振装置のうち2つのバネユニットの配置関係の説明を補助するための図である。
図19】第1実施形態において、防振装置の2つのバネユニットの設定角度が互いに相違する場合を示す斜視図であり、防振装置のうち2つのバネユニットの配置関係の説明を補助するための図である。
図20】第1実施形態において、2つのバネユニットの設定角度が同一の場合の防振装置の6方向の共振周波数と、2つのバネユニットの設定角度が異なる場合の防振装置の6方向の共振周波数との比較を示す図である。
図21】第1実施形態において、防振装置の2つのバネユニットの設定角度の差分と、3つの並進方向における最大共振周波数から最小共振周波数を引いた差分と、の関係の説明を補助するための図である。
図22】第1実施形態において、防振装置の2つのバネユニットの設定角度の差分と、6方向における最大共振周波数から最小共振周波数を引いた差分と、の関係の説明を補助するための図である。
図23】第1実施形態において、2つのバネユニットの設定角度の差が0degである場合に振動発生源から防振装置を通して被振動伝達部に伝わる振動の伝達関数の周波数特性と、上記設定角度の差が75degである場合の上記伝達関数の周波数特性とを示す図である。
図24】第1実施形態において、防振装置の6つの共振周波数のうちの最小共振周波数と、振動発生源としての電動コンプレッサの変位量との関係を示す図である。
図25】第1実施形態において、板バネの予圧が零Nのときの振動発生源の変位量と振動周波数の関係、板バネの予圧が35Nのときの振動発生源の変位量と振動周波数の関係、および板バネの予圧が零無限大のときの振動発生源の変位量と振動周波数の関係を示す図である。
図26】第1実施形態の防振装置の全体を示す斜視図であり、板バネの予圧、振動発生源の変位量、および振動周波数の関係を調べるために用いられる防振装置の寸法関係の説明を補助するための図である。
図27図26中の防振装置のバネユニットのYc矢視図であり、板バネの予圧、振動発生源の変位量、および振動周波数の関係を調べるために用いられるバネユニットの板バネの寸法関係の説明を補助するための図である。
図28図26中の防振装置のバネユニットのYb矢視図であり、板バネの予圧、振動発生源の変位量、および振動周波数の関係を調べるために用いられるバネユニットの板バネの寸法関係の説明を補助するための図である。
図29】第2実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す全体図であり、防振装置を構成する4つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図30図29の第2実施形態の防振装置をYb矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図31図29の第2実施形態の防振装置をYc矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図32】第3実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す全体図であり、防振装置を構成する4つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図33図32の第3実施形態の防振装置をYc矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図34】第4実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す全体図であり、防振装置を構成する4つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図35図34の第4実施形態の防振装置をYd矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの配置関係の説明を補助するための図である。
図36図34の第4実施形態の防振装置をYb矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図37図34の第4実施形態の防振装置をYc矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図38】第5実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図39図38の第5実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図40図38の第5実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図41】第6実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図42図41の第6実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図43図41の第6実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図44図41の第6実施形態において2つのバネユニットが共通のボルトで振動発生源に接続されている場合の6方向の共振周波数と、2つのバネユニットが独立したボルトで振動発生源に接続されている場合の6方向の共振周波数との比較を示す図である。
図45】第7実施形態において、被振動伝達部の図示が省略された状態で、車両用の防振装置が振動発生源に接続されている状態を示す図であり、防振装置を構成する2つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図46図45の第7実施形態の防振装置をYb矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図47図45の第7実施形態の防振装置をYc矢視図であり、2つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図48図45の第7実施形態の防振装置を構成するバネユニットの板バネを製造するために用いられる長板材を示す図である。
図49】第8実施形態における車両用の防振装置が被振動伝達部の4つの支持部および振動発生源の間に接続されている状態を示す全体図であり、防振装置を構成する4つのバネユニットの構造の詳細を示す斜視図である。
図50図49の第8実施形態の防振装置のバネユニット中のVX部分を拡大した図であり、バネユニットにおいて一方の板バネの弾性変形部に対して、他方の板バネの弾性変形部のうちX方向他方側領域が滑り摩擦を生じることを説明するための図である。
図51図49の第8実施形態の防振装置をYa矢視図であり、4つのバネユニットのそれぞれの板バネの構成の説明を補助するための図である。
図52図51の第8実施形態の防振装置のバネユニット中のVXII部分を拡大した図であり、バネユニットにおいて一方の板バネの弾性変形部の面に対して、他方の板バネの弾性変形部のうちX方向他方側領域が滑り摩擦を生じることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
図1図2図3図4図5図6に、本実施形態の車両用の防振装置1を示す。図1は、本実施形態の防振装置1の斜視図であり、図2図1の防振装置1のうちII領域の部分拡大図である。図3は、図1の防振装置1のYa矢視図であり、図4図3の防振装置1のうちIV領域の部分拡大図である。図5は、図1中の防振装置1におけるYb矢視図であり、図5において、被振動伝達部3およびボルト30h、30g、30j、30iの図示が省略されている。図6は防振装置1におけるYc矢視図である。
【0016】
以下、本明細書において、X方向に直交する方向をY方向とし、X方向に直交し、かつY方向に直交する方向をZ方向とする。X方向を中心線とする回転方向をθ方向とし、Y方向を中心線とする回転方向をΦ方向とし、Z方向を中心線とする回転方向をΨ方向とする。
【0017】
防振装置1は、被振動伝達部3に対して振動発生源2を支持する支持部材である。防振装置1は、振動発生源2に生じる振動を被振動伝達部3に伝わることを抑える防振を実施する。
【0018】
本実施形態の被振動伝達部3は、例えば、自動車の車体、エンジン、車両走行用モータ、トランクスアクスル等である。本実施形態の振動発生源2は、車両用空調装置の電動コンプレッサである。電動コンプレッサは、軸線がX方向に延びる略円柱状に形成されている。
【0019】
防振装置1は、図1図2図3図4図5、および図6に示すように、バネユニット10A、10B、20A、20Bを備える。
【0020】
バネユニット10Aにおいて、弾性変形部11aのうちD1方向一方側領域110が振動発生源2のうちX方向一方側にボルト30a、30b(すなわち、第1固定部材)による締結によって固定されている。バネユニット10Aにおいて、弾性変形部11bのX方向他方側領域111が被振動伝達部3の支持部3aにボルト30c、30d(すなわち、第2固定部材)による締結によって固定されている。
【0021】
具体的には、バネユニット10Aは、板バネ11、12、13を備える。板バネ11は、図1図2図3、および図4に示すように、弾性変形部11a、11b、および屈曲部11cを備える。
【0022】
弾性変形部11aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている第1弾性変形部である。換言すれば、弾性変形部11aは、図1図6に示すように、D1方向に延びる板状に形成されている。弾性変形部11aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向一方側に進むように形成されている。
【0023】
ここで、X方向は、弾性変形部11aの厚み方向(すなわち、第1厚み方向)となる。D1方向は、X方向に直交し、かつY方向に対して傾斜し、さらにZ方向に対して傾斜する方向である。弾性変形部11aおよび弾性変形部11bは、屈曲部11cとともに、板バネ11(すなわち、第1板バネ)を構成する。
【0024】
本実施形態の弾性変形部11aおよび弾性変形部11bは、屈曲部11cとともに、振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝わる振動伝達経路(すなわち、経路)を構成する。
【0025】
弾性変形部11aは、図2および図3に示すように、X方向に直交する方向に面状に拡がる面111aを構成する。図3に示すように、弾性変形部11aのうちD1方向一方側領域110は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30a、30bによる締結によって固定されている。
【0026】
弾性変形部11bは、X方向に延びる板状に形成されている第2弾性変形部である。換言すれば、弾性変形部11bは、図1のD2方向に厚みを成し、かつD2方向に直交する方向に拡がる板状に形成されている。
【0027】
弾性変形部11bは、図2に示すように、D2方向に直交する方向に面状に拡がる面111b、111cを構成する。D2方向は、弾性変形部11bの厚み方向(すなわち、第2厚み方向)となる。
【0028】
面111b、111cは、D2方向に並べられている。面111bは、面111cに対してD2方向の一方側に配置されている。D2方向は、X方向に直交し、かつY方向に対して傾斜し、さらにZ方向に対して傾斜する方向である。
【0029】
図2に示すように、弾性変形部11bのうちX方向他方側領域111は、被振動伝達部3のうち支持部3aに対してボルト30c、30dによる締結によって固定されている。X方向他方側領域111は、弾性変形部11bのうち面111b、111cに対してX方向他方側に配置されている。
【0030】
屈曲部11cは、弾性変形部11aのうちD1方向他方側端部と弾性変形部11bのうちX方向一方側端部とを接続する。
【0031】
弾性変形部11a、11b、および屈曲部11cは、一体化に構成されている板バネとしての一体化構成物を構成する。本実施形態の板バネ11は、金属製の長板部材が塑性変形されることによって構成されている。
【0032】
板バネ12は、弾性変形部12a、12b、および屈曲部12cを備える。本実施形態の弾性変形部12a、12b、および屈曲部12cは、一体化に構成されている一体化構成物を構成する。
【0033】
弾性変形部12aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部12aは、図1に示すように、D1方向に延びる長板状に形成されている。弾性変形部12aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向一方側に進むように形成されている。
【0034】
弾性変形部12aは、弾性変形部11aに対してX方向一方側に配置されている。弾性変形部12aのうちD1方向一方側領域120は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30a、30bによる締結によって固定されている。
【0035】
より詳細には、弾性変形部12aのうちD1方向一方側領域120は、図3に示すように、弾性変形部11aのうちD1方向一方側領域110とともに、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30a、30bによって固定されている。
【0036】
弾性変形部12bは、図2のD2方向に厚みを成し、かつD2方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部12bは、図1および図2に示すように、X方向に延びる長板状に形成されている。さらに、弾性変形部12bは、弾性変形部11bに対してD2方向他方側に配置されている。
【0037】
図1および図2に示すように、弾性変形部12bのうちX方向他方側領域121は、被振動伝達部3および板バネ11に対して開放されている。弾性変形部12bは、X方向他方側領域121を板バネ11の面111cに押し付ける弾性力を予め有している。
【0038】
以下、弾性変形部12bがX方向他方側領域121を板バネ11の面111cに押し付ける弾性力を、予圧ともいう。
【0039】
弾性変形部12bのうちX方向他方側領域121は、後述するように、板バネ11の振動を減衰させるために、板バネ11の弾性変形部11bの面111cに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0040】
屈曲部12cは、弾性変形部12aのうちD1方向他方側端部と弾性変形部12bのうちX方向一方側端部とを接続する。本実施形態の板バネ12は、金属製の細長い板材が塑性変形されることによって構成されている。
【0041】
板バネ13は、弾性変形部13a、13b、および屈曲部13cを備える。本実施形態の弾性変形部13a、13b、および屈曲部13cは、一体化に構成されている一体化構成物を構成する。
【0042】
弾性変形部13aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部13aは、図1図2、および図3に示すように、D1方向に延びる板状に形成されている。弾性変形部13aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向一方側に進むように形成されている。
【0043】
弾性変形部13aは、弾性変形部11aに対してX方向他方側に配置されている。弾性変形部13aのうちD1方向一方側領域130は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30a、30bによる締結によって固定されている。
【0044】
より詳細には、弾性変形部13aのD1方向一方側領域130は、弾性変形部11aのD1方向一方側領域110、弾性変形部12aのD1方向一方側領域120とともに、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30a、30bによって固定されている。
【0045】
弾性変形部13bは、図2のD2方向に厚みを成し、かつD2方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部13bは、図1および図2に示すように、X方向に延びる長板状に形成されている。さらに、弾性変形部13bは、弾性変形部11bに対してD2方向一方側に配置されている。
【0046】
図1および図2に示すように、弾性変形部13bのうちX方向他方側領域131は、被振動伝達部3および板バネ11に対して開放されている。弾性変形部13bは、X方向他方側領域131を板バネ11の面111bに押し付ける弾性力を予め有している。
【0047】
以下、弾性変形部13bがX方向他方側領域131を板バネ11の面111bに押し付ける弾性力を、予圧ともいう。
【0048】
弾性変形部13bのうちX方向他方側領域131は、後述するように、板バネ11の振動を減衰させるために、板バネ11の弾性変形部11bの面111bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0049】
本実施形態の板バネ12、13は、板バネ11の弾性変形部11bの面111c、111bに対して振動により滑り摩擦を生じることにより、板バネ11の振動を減衰させる第1振動減衰部材を構成する。
【0050】
屈曲部13cは、弾性変形部13aのうちD1方向他方側と弾性変形部13bのうちX方向一方側とを接続する。本実施形態の板バネ13は、金属製の長板部材が塑性変形されることによって構成されている。
【0051】
なお、図5は、被振動伝達部3およびボルト30a、30b、30h、30g、30j、30iの図示が省略されている。図5の弾性変形部11b中の符号31h、31gは、ボルト30g、30hによってバネユニット10Aを被振動伝達部3に締結するための貫通孔部である。符号31m、31kは、ボルト30m、30kによってバネユニット10Bを被振動伝達部3に締結するための貫通孔部である。
【0052】
さらに、図1のバネユニット20Aにおいて、弾性変形部21aのうちD4方向一方側領域210が、振動発生源2のうちX方向一方側にボルト30e、30fによる締結によって固定されている。バネユニット20Aにおいて、弾性変形部21bのX方向他方側領域211Xが被振動伝達部3の支持部3bにボルト30g、30hによる締結によって固定されている。
【0053】
具体的には、バネユニット20Aは、板バネ21、22、23を備える。図1図3および図4に示すように、板バネ21は、弾性変形部21a、21b、および屈曲部21cを備える。本実施形態の弾性変形部21a、21b、および屈曲部21cは、一体化に構成されている板バネとしての一体化構成物を構成する。
【0054】
弾性変形部21aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている第4弾性変形部である。換言すれば、弾性変形部21aは、図1図6に示すように、D4方向に延びる長板状に形成されている。弾性変形部21aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向他方側に進むように形成されている。
【0055】
弾性変形部21aおよび弾性変形部21bは、屈曲部21cとともに、板バネ21(すなわち、第2板バネ)を構成する。本実施形態の弾性変形部21aおよび弾性変形部21bは、屈曲部21cとともに、振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝わる振動伝達経路(すなわち、経路)を構成する。
【0056】
ここで、X方向は、弾性変形部21aの厚み方向(すなわち、第4厚み方向)となる。D4方向は、X方向に直交し、かつY方向に対して傾斜し、さらにZ方向に対して傾斜する方向である。Y方向は、Z方向も直交する第1直交方向であり、Z方向は、X方向に直交し、かつY方向に直交する第2直交方向である。
【0057】
弾性変形部21aは、図4に示すように、X方向に直交する方向に面状に拡がる面211a(すなわち、第1面)を構成する。図1に示すように、弾性変形部21aのうちD4方向一方側領域210は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30e、30fによる締結によって固定されている。ボルト30a、30fは、図6に示すように、Y方向に並べられている。ボルト30b、30eは、Y方向に並べられている。
【0058】
弾性変形部21bは、図4のD5方向に厚みを成し、かつD5方向に直交する方向に拡がる板状に形成されている第3弾性変形部である。換言すれば、弾性変形部21bは、X方向に延びる長板状に形成されている。
【0059】
弾性変形部21bは、D5方向に直交する方向に面状に拡がる面211b、211cを構成する。面211b、211cは、D5方向に並べられている。面211bは、面211cに対してD5方向の一方側に配置されている。
【0060】
ここで、D5方向は、弾性変形部21bの厚み方向(すなわち、第3厚み方向)である。D5方向は、X方向に直交し、かつY方向に対して傾斜し、さらにZ方向に対して傾斜する方向である。
【0061】
図4に示すように、弾性変形部21bのうちX方向他方側領域211Xは、被振動伝達部3のうち支持部3bに対してボルト30g、30hによる締結によって固定されている。X方向他方側領域211Xは、弾性変形部21bのうち面211b、211cに対してX方向他方側に配置されている。
【0062】
屈曲部21cは、弾性変形部21aのうちD4方向他方側端部と弾性変形部21bのうちX方向一方側端部とを接続する第2接続部を構成する。
【0063】
弾性変形部21a、21b、および屈曲部21cは、一体化に構成されている板バネとしての一体化構成物を構成する。本実施形態の板バネ21は、金属製の長板部材が塑性変形されることによって構成されている。
【0064】
図1図3、および図4に示すように、板バネ22は、弾性変形部22a、22b、および屈曲部22cを備える。本実施形態の弾性変形部22a、22b、および屈曲部22cは、一体化に構成されている板バネとしての一体化構成物を構成する。
【0065】
弾性変形部22aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部22aは、図1に示すように、D4方向に延びる板状に形成されている。弾性変形部22aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向他方側に進むように形成されている。
【0066】
弾性変形部22aは、弾性変形部21aに対してX方向一方側に配置されている。弾性変形部22aのうちD4方向一方側領域220は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30e、30fによる締結によって固定されている。
【0067】
具体的には、弾性変形部22aのD4方向一方側領域220は、弾性変形部21aのD4方向一方側領域210とともに、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30e、30fによって固定されている。
【0068】
弾性変形部22bは、図4のD5方向に厚みを成し、かつD5方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部22bは、図1および図4に示すように、X方向に延びる長板状に形成されている。さらに、弾性変形部22bは、弾性変形部21bに対してD5方向他方側に配置されている。
【0069】
図1および図4に示すように、弾性変形部22bのうちX方向他方側領域221Xは、被振動伝達部3および板バネ21に対して開放されている。弾性変形部22bは、X方向他方側領域221Xを板バネ21の面211cに押し付ける弾性力を予め有している。
【0070】
以下、弾性変形部22bがX方向他方側領域221Xを板バネ21の面211cに押し付ける弾性力を、予圧ともいう。
【0071】
弾性変形部22bのX方向他方側領域221Xは、後述するように、板バネ21の振動を減衰させるために、板バネ21の弾性変形部21bの面211cに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0072】
屈曲部22cは、弾性変形部22aのうちD4方向他方側端部と弾性変形部22bのうちX方向一方側端部とを接続する。本実施形態の板バネ12は、金属製の細長い板部材が塑性変形されることによって構成されている。
【0073】
板バネ23は、弾性変形部23a、23b、および屈曲部23cを備える。本実施形態の弾性変形部23a、23b、および屈曲部23cは、一体化に構成されている板バネとしての一体化構成物を構成する。
【0074】
弾性変形部23aは、X方向に厚みを成し、かつX方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部23aは、図1に示すように、D4方向に延びる長板状に形成されている。弾性変形部23aは、Z方向一方側に向かうほど、Y方向他方側に進むように形成されている。
【0075】
弾性変形部23aは、弾性変形部21aに対してX方向他方側に配置されている。弾性変形部23aのうちD4方向一方側領域230は、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30e、30fによる締結によって固定されている。
【0076】
詳細には、弾性変形部23aのD4方向一方側領域230は、弾性変形部21aのD4方向一方側領域210、弾性変形部22aのD4方向一方側領域220とともに、振動発生源2のうちX方向一方側に対してボルト30e、30fによって固定されている。
【0077】
弾性変形部23bは、図1のD5方向に厚みを成し、かつD5方向に直交する方向を長手方向とする板状に形成されている。換言すれば、弾性変形部23bは、図4に示すように、X方向に延びる長板状に形成されている。さらに、弾性変形部23bは、弾性変形部11bに対してD5方向一方側に配置されている。
【0078】
図3および図4に示すように、弾性変形部23bのうちX方向他方側領域231は、被振動伝達部3および板バネ21に対して開放されている。弾性変形部23bは、X方向他方側領域231を板バネ21の面211bに押し付ける弾性力を予め有している。
【0079】
以下、弾性変形部23bがX方向他方側領域231を板バネ21の面211bに押し付ける弾性力を、予圧ともいう。
【0080】
弾性変形部23bのうちX方向他方側領域231は、後述するように、板バネ21の振動を減衰させるために、板バネ21の弾性変形部21bの面211bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0081】
本実施形態の板バネ22、23は、板バネ21に対して振動により滑り摩擦を生じることにより、板バネ21の振動を減衰させる第2振動減衰部材を構成する。
【0082】
屈曲部23cは、弾性変形部23aのうちD4方向他方側端部と弾性変形部23bのうちX方向一方側端部とを接続する。本実施形態の板バネ23は、金属製の長板部材が塑性変形されることによって構成されている。
【0083】
このように構成されるバネユニット10A、20Aにおいて、弾性変形部11a、12a、13aの長手方向であるD1方向と、弾性変形部21a、22a、23aの長手方向であるD4方向とは、交差(例えば、直交する)関係になっている。
【0084】
弾性変形部11b、12b、13bの厚み方向であるD2方向と、弾性変形部21b、22b、23bの厚み方向であるD5方向とは交差(例えば、直交)する関係になっている。
【0085】
弾性変形部11a、12a、13aの厚み方向であるX方向と弾性変形部11b、12b、13bの厚み方向であるD2方向とは交差(例えば、直交)する関係になっている。
【0086】
弾性変形部21a、22a、23aの厚み方向であるX方向と弾性変形部21b、22b、23bの厚み方向であるD5方向とは交差(例えば、直交)する関係になっている。
【0087】
バネユニット10Bは、図1に示すように、被振動伝達部3のうち支持部3cと振動発生源2のうちX方向他方側との間を接続する。バネユニット10Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0088】
具体的には、バネユニット10Bは、板バネ11B、12B、13Bを備える。板バネ11Bは、板バネ11に対してX方向に対称になるように構成されている。板バネ12Bは、板バネ12に対してX方向に対称になるように構成されている。板バネ13Bは、板バネ13に対してX方向に対称になるように構成されている。
【0089】
板バネ11Bのうち一端部が振動発生源2のうちX方向他方側に2つのボルトによる締結によって固定されている。板バネ11Bのうち他端部が被振動伝達部3のうち支持部3cにボルト30k、30mによる締結によって固定されている。
【0090】
バネユニット20Bは、図1に示すように、被振動伝達部3のうち支持部3dと振動発生源2のうちX方向他方側との間を接続する。バネユニット20Bは、バネユニット20Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0091】
バネユニット20Bは、板バネ21B、22B、23Bを備える。板バネ21Bは、板バネ21に対してX方向に対称になるように構成されている。板バネ22Bは、板バネ22に対してX方向に対称になるように構成されている。板バネ23Bは、板バネ23に対してX方向に対称になるように構成されている。そこで、バネユニット10Bおよびバネユニット20Bの構成の詳細の説明を省略する。
【0092】
板バネ21Bのうち一端部が振動発生源2のうちX方向他方側に2つのボルトによる締結によって固定されている。板バネ21Bのうち他端部が被振動伝達部3のうち支持部3dにボルト30i、30jによる締結によって固定されている。図5のバネユニット20B中の符号31j、31iは、ボルト30j、30iによってバネユニット20Bを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。
【0093】
次に、本実施形態の防振装置1の作動について説明する。
【0094】
まず、振動発生源2が作動に伴って振動を発生する。振動発生源2に生じる振動は、板バネ11の弾性変形部11a、屈曲部11c、弾性変形部11bに伝わる。
【0095】
このとき、弾性変形部11aは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。弾性変形部11bは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する。すなわち、弾性変形部11a、11bは、それぞれ、弾性変形によって厚み方向に振動する。このため、弾性変形部11a、11bは、それぞれ、振動発生源2から伝わる振動を減衰させることができる。
【0096】
このとき、弾性変形部12bは、その弾性力によって、X方向他方側領域121を板バネ11の弾性変形部11bの面111cに押し付ける。このため、X方向他方側領域121が板バネ11の弾性変形部11bの面111cに対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、弾性変形部12bのX方向他方側領域121は、板バネ11の弾性変形部11bの振動を減衰させることができる。
【0097】
一方、弾性変形部13bは、その弾性力によって、X方向他方側領域131を板バネ11の弾性変形部11bの面111bに対して押し付ける。このとき、X方向他方側領域131が板バネ11の弾性変形部11bの面111bに対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、弾性変形部13bのX方向他方側領域131は、板バネ11の弾性変形部11bの振動を減衰させることができる。
【0098】
以上により、バネユニット10Aは、振動発生源2から被振動伝達部3の支持部3aに振動が伝わることを抑えることができる。これに加えて、バネユニット10Aは、被振動伝達部3から振動が振動発生源2に伝わることを抑えることができる。
【0099】
さらに、振動発生源2に生じる振動は、板バネ21の弾性変形部21a、屈曲部21c、弾性変形部21bに伝わる。
【0100】
このとき、弾性変形部21aは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。弾性変形部21bは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD5方向に振動する。すなわち、弾性変形部21a、21bは、それぞれ、弾性変形によって厚み方向に振動する。このため、弾性変形部21a、21bは、それぞれ、振動発生源2から伝わる振動を減衰させることができる。
【0101】
このとき、弾性変形部22bは、その弾性力によって、X方向他方側領域221Xを板バネ21の弾性変形部21bの面211cに対して押し付ける。このとき、X方向他方側領域221Xは、板バネ21の弾性変形部21bの面211cに対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、弾性変形部22bのX方向他方側領域221Xは、板バネ21の弾性変形部21bの振動を減衰させることができる。
【0102】
このとき、弾性変形部23bは、その弾性力によって、X方向他方側領域231を板バネ21の弾性変形部21bの面211bに対して押し付ける。このとき、X方向他方側領域231は、板バネ21の弾性変形部21bの面211bに対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、弾性変形部23bのX方向他方側領域231は、板バネ21の弾性変形部21bの振動を減衰させることができる。
【0103】
以上により、バネユニット20Aは、振動発生源2の振動が板バネ21を通して被振動伝達部3の支持部3bに振動が伝わることを抑えることができる。
【0104】
さらに、バネユニット10Bは、バネユニット10Aと同様に、振動発生源2の振動が被振動伝達部3の支持部3cに振動が伝わることを抑えることができる。
【0105】
バネユニット20Bは、バネユニット20Aと同様に、振動発生源2の振動が被振動伝達部3の支持部3dに振動が伝わることを抑えることができる。
【0106】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1は、振動発生源2に固定され、かつ被振動伝達部3に固定される板バネ11、21を備える。
【0107】
板バネ11は、X方向に厚みを成す板状に形成され、かつ振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝達される振動伝達経路を構成し、さらに振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する弾性変形部11aを備える。板バネ21は、X方向に厚みを成す板状に形成され、かつ上記振動伝達経路を構成し、さらに振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する弾性変形部21aを備える。
【0108】
板バネ11は、D2方向に厚みを成す板状に形成され、かつ上記振動伝達経路を構成し、さらに振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する弾性変形部11bを備える。板バネ21は、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する弾性変形部21bを備える。
【0109】
ここで、X方向、D2方向は、互いに異なる方向(例えば、直交する方向)に設定されている。X方向、D5方向は、互いに異なる方向(例えば、直交する方向)に設定されている。D2方向、D5方向は、互いに異なる方向(例えば、直交する方向)に設定されている。
【0110】
したがって、防振装置1は、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D2方向、D5方向)に振動する。このため、振動発生源2から被振動伝達部3に伝わる3つの方向の振動を減衰させることができる。
【0111】
ここで、第1対比例の防振装置において、図7に示すように、被防振支持体3Aに固定され、かつ振動体2Aに固定される複数のU字状板バネ10Uを用いて、防振を実施するものが提案されている。複数のU字状板バネ10Uは、それぞれ、長板材をU字状に屈曲をしてなるものであり、直交座標のX方向とZ方向とに厚みを形成し、かつY方向に幅を形成する。
【0112】
複数のU字状板バネ10Uは、それぞれ、X方向とZ方向との剛性が低く、かつY方向の剛性が高くなっている。したがって、複数のU字状板バネ10Uは、X方向とZ方向との曲げ変形が容易になるため、X方向の振動とZ方向の振動とが振動体2Aから被防振支持体3Aに伝わることを抑えることができる。
【0113】
これに対して、本実施形態では、防振装置1は、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D2方向、D5方向)で厚みを成して、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向に弾性変形により振動する。このため、振動発生源2から伝わる3つの方向の振動を減衰させることができる。したがって、振動発生源2から生じる振動を低減することができる。
【0114】
以上により、振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝わることを抑制する防振性能を向上するようにした防振装置1を提供することができる。
【0115】
このように構成される本実施形態では、次のような作用効果(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)(i)(j)(k)を得ることができる。
(a)弾性変形部11aは、X方向に直交する方向に面状に拡がる面111aを構成する。弾性変形部21aは、X方向に直交する方向に面状に拡がる面211aを構成する。弾性変形部11bは、D2方向に直交する方向に面状に拡がる面111b、111cを構成する。弾性変形部21bは、D5方向に直交する方向に面状に拡がる面211b、211cを構成する。
【0116】
面111a、211a(すなわち、第1面)は、面111b、111c(すなわち、第2面)に対して非平行であり、面111b、111cは、面211b、211c(すなわち、第3面)に対して非平行である。面211b、211cは、面111a、211aに対して非平行である。
【0117】
具体的には、面111a、211aの厚み方向であるX方向は、面111b、111cの厚み方向であるD2方向に直交している。面111b、111cの厚み方向であるD2方向は、面211b、211cの厚み方向であるD5方向に直交している。面211b、211cの厚み方向であるD5方向は、面111a、211aの厚み方向であるX方向に直交している。
【0118】
これにより、防振装置1は、D2方向、D5方向、X方向といった3つの方向を厚み方向とする板バネによって構成されている。このため、振動発生源2から伝わる3つの方向の振動を減衰させることができる。したがって、振動発生源2から生じる振動をより確実に低減することができる。
(b)弾性変形部11a、11bは、屈曲部11cとともに、一体化構成物としての板バネ11を構成する。弾性変形部21a、21bは、屈曲部21cとともに一体化構成物としての板バネ21を構成する。
【0119】
弾性変形部11aは、X方向に直交する長手方向であるD1方向に延びるように形成されている。弾性変形部21aは、X方向に直交する長手方向であるD4方向に延びるように形成されている。D1方向およびD4方向は、互いに異なる方向(例えば、直交方向)に設定されている。
【0120】
このように構成される板バネ11および板バネ21といった2つの板バネにより、防振性能が高い防振装置1を実現することができる。
(c)板バネ12は、D1方向一方側領域120が振動発生源2に固定され、X方向他方側領域121が被振動伝達部3および板バネ11に対して開放されている。板バネ13は、D1方向一方側領域130が振動発生源2に固定され、X方向他方側領域131が被振動伝達部3および板バネ11に対して開放されている。
【0121】
ここで、板バネ12は、そのX方向他方側領域121が板バネ11の面111cに対して振動により滑り摩擦を生じて板バネ11の振動を減衰させる。板バネ13は、そのX方向他方側領域131が板バネ11の面111bに対して振動により滑り摩擦を生じて板バネ11の振動を減衰させる。
【0122】
板バネ22は、D4方向一方側領域220が振動発生源2に固定され、X方向他方側領域221Xが被振動伝達部3および板バネ21に対して開放されている。板バネ23は、D4方向一方側領域230が振動発生源2に固定され、X方向他方側領域231が被振動伝達部3および板バネ21に対して開放されている。
【0123】
ここで、板バネ22は、X方向他方側領域221Xが板バネ21の面211cに対して振動により滑り摩擦を生じて板バネ21の振動を減衰させる。板バネ23は、X方向他方側領域231が板バネ21の面211bに対して振動により滑り摩擦を生じて板バネ21の振動を減衰させる。
【0124】
このように本実施形態の防振装置1では、板バネ12、13および板バネ22、23を用いて振動発生源2から板バネ11、21を通して被振動伝達部3に伝わる振動を滑り摩擦により減衰させることができる。
【0125】
本発明者の検討によれば、図8に示すように、振動発生源2Xと被振動伝達部3Xとの間に防振装置10Xを配置して、振動発生源2Xとしての走行用エンジンを防振する場合には、アイドル時の振動のみを防振する必要があると考えられる。
【0126】
図8に示す防振装置10Xは、振動発生源2Xと被振動伝達部3Xとの間に配置されている複数の防振部材10vを備える。
【0127】
ここで、走行用エンジンのアイドリング時は、図9に示すように、走行用エンジンの振動により発生する荷重Fz、Fy、Fθのみが大きくなる。荷重Fzは、Z方向の荷重であり、荷重Fyは、Y方向の荷重である。荷重Fθは、θ方向の荷重である。
【0128】
このため、防振装置10Xによって走行用エンジンを防振する場合には、防振装置10Xにおいて、Z方向、Y方向、θ方向といった3方向のみの剛性を小さくする。これにより、Z方向、Y方向、θ方向の共振周波数fz、fy、fθを所定範囲ΔFaに集めて振動を減衰させる。このことにより、防振装置10Xによる防振効果を向上することができる。
【0129】
なお、走行用エンジンの高回転時には、6自由度の荷重Fx、Fy、Fz、Fθ、FΦ、FΨが発生する。荷重Fzは、Z方向の荷重である。荷重Fzは、Z方向の荷重である。荷重FΨは、Ψ方向の荷重である。
【0130】
しかしながら、防振装置10Xにおいて、上記Z方向、Y方向、θ方向以外の方向の剛性を小さくすると、高速走行時の走行用エンジンの揺れが大きくなり、車両の走行安定性が悪くなる。これに対して、Z方向、Y方向、θ方向の共振周波数fz、fy、fθだけを所定範囲ΔFaに集めて減衰させればよい。
【0131】
図9中のグラフtargetは、防振装置10Xによって共振周波数fz、fy、fθを所定範囲Δfaに集めた例を示している。
【0132】
しかし、振動発生源2Xとしての電動コンプレッサの振動が被振動伝達部3Xに伝わることを防振装置10Xによって抑える場合には、電動コンプレッサの振動は、低周波数域から高周波数域までに亘って発生する。そのため、図10に示すように、電動コンプレッサの共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨといった6方向の共振周波数を所定範囲ΔFbに集めて減衰させる必要がある。
【0133】
図10中のグラフtargetは、電動コンプレッサの共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを防振装置10Xによって所定範囲ΔFbに集めた例を示している。
【0134】
本実施形態の防振装置1は、上述の如く、D2方向、D5方向、X方向といった3つの方向を厚み方向とする板バネ11、21によって構成されている。このため、以下の通り、振動発生源2およびバネユニット10A、10Bによって定まる共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを防振と耐久性を満足できる所定範囲に集めることができる。
【0135】
図11において、グラフZaは、本実施形態の防振装置1を設けないで振動発生源2を直接、被振動伝達部3に固定した場合において、振動発生源2から被振動伝達部3に伝わる振動の伝達関数の周波数特性を示している。グラフZbは、本実施形態の防振装置1を設けた場合の振動発生源2から被振動伝達部3に伝わる振動の伝達関数の周波数特性を示す。グラフZcは、防振装置1のバネユニット10A、20Aのうち板バネ12、13、22、23を設けない場合の振動発生源2から被振動伝達部3に伝わる振動の伝達関数の周波数特性を示す。すなわち、グラフZcは、防振装置1のバネユニット10A、20Aのうち板バネ11、21の振動の伝達関数の周波数特性を示す。
【0136】
図11中グラフZaに示すように、防振装置1を設けない場合には、振動発生源2から被振動伝達部3へ伝わる振動の伝達関数では、低周波帯域に、ピークP1、P2が生じる。
【0137】
このため、低周波帯域においては、振動によって、防振装置1の変位と振動発生源2の変位が大きくなる。これに伴い、振動発生源2および防振装置1のそれぞれの耐久性が悪化する。これに加えて、振動発生源2および防振装置1が、それらの周辺に配置されている他部品に対して干渉する場合がある。
【0138】
したがって、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを、防振と耐久性を満足できる所定範囲に集める必要がある。このため、本実施形態の防振装置1は、X方向、Y方向、Z方向(或いは、θ方向、Φ方向、Ψ方向)の剛性を同じ値に近づけることが必要となる。
【0139】
これに対して、本実施形態では、防振装置1は、上述の如く、3つの方向を厚み方向とする板バネ11、21によって構成されている。このため、防振装置1は、X方向、Y方向、Z方向(或いは、θ方向、Φ方向、Ψ方向)の剛性を同じ値に近づけることができる。したがって、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを防振と耐久性を満足できる所定範囲に集めることができる。
【0140】
一方、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを所定範囲に集めた背反で図11中グラフZcに示すように、周波数32HzにおいてピークP3が生じて、周波数32Hzにおける防振効果が悪化する。
【0141】
これに対して、本実施形態では、グラフZbに示すように、上述した防振装置1の板バネ12、13、22、23による振動減衰効果によってピークP3を小さくして上記防振効果の悪化を抑制することができる。
(d)上述の特許文献1のU字状板バネ10Uでは、X方向とZ方向との剛性が低く、かつY方向の剛性が高くなっている。したがって、U字状板バネ10Uは、振動体2Aから伝わる振動のうち、X方向の振動とZ方向の振動とを減衰させることができるが、Y方向の振動を減衰させることができない。
【0142】
ここで、Y方向の剛性を低くするためには、U字状板バネ10Uにおいて、厚み寸法Taを幅寸法Whで除算した除算値を大きくする必要がある。しかし、この除算値を大きくすると、U字状板バネ10Uの強度が悪化する。よって、X方向、Y方向、Z方向といった3方向の加振力に対する優れた防振効果を実現することは難しい。
【0143】
図12において、板バネ10LのY方向の寸法L1を100mmとし、板バネ10LのX方向の寸法L2を53.2mmとし、下端100Lを被振動伝達部に固定される防振装置としての板バネ10Lを示す。
【0144】
図13中のTaは、板バネ10Lの厚み寸法を示し、図13中のWhは、板バネ10Lの幅寸法を示している。
【0145】
図14に、板バネ10Lの先端部にX方向,Y方向,Z方向の3方向の加振力を加えた際に、上記除算値を変化させた場合のX方向、Y方向、Z方向のそれぞれの剛性を示す。図14実線のグラフは、X方向、Y方向の剛性を示し、図14一点鎖線のグラフは、Z方向の剛性を示している。図15に、板バネ10Lの上記除算値を変化させた場合の板バネ10Lの下端100Lに作用する応力σを示す。
【0146】
図14から分かるように、X方向、Y方向,Z方向のそれぞれの剛性を同じ値にするためには、上記除算値を0.43にする必要がある。しかし、図15から分かるように、上記除算値が0.43であるときには、板バネ10Lの下端100Lに作用する応力は1000Nとなり、応力が板バネ10Lの強度限界を超えることになる。このため、防振装置としての板バネ10Lを実現することは実質的に困難である。
【0147】
これに対して、本実施形態の防振装置1は、上述の如く、D2方向、D5方向、X方向といった3つの方向を厚み方向とする板バネによって構成されている。このため、過大な強度を備える板バネを用いる必要が無い。
(e)本実施形態では、1枚の板材に対してプレス打ち抜き加工して図16に示す複数の板材11Aを作り出す。これら複数の板材11Aをそれぞれ屈曲させて板材11A毎に1つの屈曲部11cを形成することにより、複数の板材11Aから複数の板バネ11を作り出す。
【0148】
このため、一枚の板材のうち、複数の板バネ11を作り出す際に使用されない部分を減らすことができる。したがって、複数の板バネ11を作り出す際の歩留まりを向上することができる。
【0149】
同様に、複数の板バネ12、13も、1枚の板材に対してプレス打ち抜き加工して製造されるため、複数の板バネ11の場合と同様の効果が得られる。
【0150】
(f)板バネ11の弾性変形部11aの長手方向D1、および板バネ22の弾性変形部22aの長手方向D4と、防振装置1の共振周波数との関係について図18図19図20を参照して説明する。以下、説明の便宜上、長手方向D1とY方向との間に形成される設定角度をθ1とし、長手方向D4とX方向との間に形成される設定角度をθ2とする。
【0151】
図18に弾性変形部11aの長手方向D1と板バネ22の弾性変形部22aの長手方向D4とが平行であり、θ1およびθ2がそれぞれ同一で90degであり、θ2からθ1を引いた差分が0degである場合を示す。
【0152】
なお、図18のバネユニット10A中の符号31d、31cは、ボルト31d、30cによってバネユニット10Aを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。バネユニット20A中の符号31h、31gは、ボルト30h、30gによってバネユニット20Aを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。
【0153】
バネユニット10B中の符号31m、31kは、ボルト30m、30kによってバネユニット20Aを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。バネユニット20B中の符号31j、31iは、ボルト30j、30iによってバネユニット20Bを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。
【0154】
図19に長手方向D1と長手方向D4とが交差し、θ1が52.5degでありθ2が127.5degであり、θ2からθ1を引いた差分が75degである場合を示す。
【0155】
図20に、θ1およびθ2が同一である場合と、θ1およびθ2が異なる場合との、X方向、Y方向、Z方向、θ方向、Φ方向、Ψ方向のそれぞれの共振周波数を示す。
【0156】
図20に示すように、θ1およびθ2がそれぞれ同一で90degである場合には、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大共振周波数fΦと最小共振周波数fyとの差分が大きくなる。
【0157】
これに対して、θ1が52.5degでありθ2が127.5degであり、θ1とθ2とが異なる場合には、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大共振周波数fΦと最小共振周波数fxとの差分が小さくなる。
【0158】
このため、θ1とθ2とを異なる角度にすることにより,θ1とθ2とを同一角度にする場合に比べて、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大共振周波数と最小共振周波数との差を小さくすることができる。したがって、板バネ12、13、22、23を用いて板バネ11、21の振動を減衰させることが容易になる。
【0159】
(g)X方向、Y方向、Z方向の共振周波数fx、fy、fzのうち最大値と最小値の差分と、取り付け角度差との関係を図21に示す。図21は、縦軸を上述の最大値と最小値の差分とし、横軸を取り付け角度差とするグラフである。取り付け角度差は、θ2からθ1を引いた差分である。
【0160】
図21から分かるように、θ1が45deg、θ2が135degであり、θ2からθ1を引いた差分が90degのとき、共振周波数fx、fy、fzのうち最大値と最小値の差分は、最小になる。このため、X方向、Y方向、Z方向といった3つの共振周波数fx、fy、fzを狭い範囲に集めることができる。したがって、板バネ12、13、22、23を用いて板バネ11、21の振動を減衰させることがより一層容易になる。
【0161】
(h)共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値と最小値の差分と、取り付け角度差と、の関係を図22に示す。図22は、縦軸を上述の最大値と最小値の差分とし、横軸を取り付け角度差とするグラフである。取り付け角度差は、θ2からθ1を引いた差分である。
【0162】
図22から分かるように、θ1が52.5degであり、θ1が127.5degであり、角度差が75degのとき、上述の最大値と最小値の差分が最小になる。これにより、6つの共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨを狭い範囲に集めることができる。したがって、板バネ12、13、22、23を用いて板バネ11、21の振動を減衰させることがより一層容易になる。
【0163】
(i)図23に示すように、グラフXaは、上記角度差が0degである場合において振動発生源2から防振装置1を通して被振動伝達部3に伝わる振動の伝達関数の周波数特性を示している。グラフXbは、上記角度差が75degである場合において振動発生源2から被振動伝達部3に伝わる振動の伝達関数の周波数特性を示している。
【0164】
上記角度差を0degから75degに変更することにより、共振周波数の最大値が76Hzから57Hzに変化する。よって、上記角度差が75degである場合には、上記角度差が0degである場合に比べて、高周波域の防振効果を向上できることが分かる。
【0165】
(j)振動発生源2としての電動コンプレッサを作用した場合に電動コンプレッサがその振動の発生に伴って変位を生じる。図24中のグラフYaは、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最小値と振動発生源2としての電動コンプレッサの変位量との関係を示す。
【0166】
上記角度差が0degである場合には、共振周波数の最小値は11Hzとなる。上記角度差が75degである場合には、共振周波数の最小値は23Hzとなる。上記角度差が75degである場合には、上記角度差が0degである場合に比べて、電動コンプレッサの変位量が小さくなる。その結果、電動コンプレッサがその周辺の他の部品に衝突することを抑制できることが分かる。
【0167】
(k)本実施形態の板バネ12、13が予め備える弾性力(すなわち、予圧)と振動発生源2の変位量との関係について図25図28を参照して説明する。
【0168】
図25は、縦軸は振動発生源2の変位量を示し、横軸は振動の周波数を示している。鎖線のグラフは予圧が零Nである場合の振動発生源2の変位量と周波数との関係を示す。太線のグラフが予圧が35Nである場合の振動発生源2の変位量と周波数との関係を示す。細線のグラフが予圧が無限大である場合の振動発生源2の変位量と周波数との関係を示す。
【0169】
図25から分かるように、板バネ12、13の予圧が35Nである場合には、予圧が、零N、或いは無限大である場合に比べて、振動発生源2の変位量が小さくなっている。
【0170】
図25の振動発生源2の変位量と周波数との関係を調べる際に用いられる振動発生源2としての電動コンプレッサ、板バネ11、12、13の寸法関係を図26図27図28に示す。
【0171】
図26中の振動発生源2のX方向寸法Waは、342mmであり、図27中板バネ12の弾性変形部12aの長手方向寸法La1が100mmである。図27中板バネ12の弾性変形部12aの幅方向寸法La2が12mmである。図28中の板バネ12、13の弾性変形部12a、13aの長手方向寸法La3が70mmである。図28中の板バネ11のaの長手方向寸法La4が118mmである。
【0172】
なお、図26の弾性変形部11bの符号31h、31gは、ボルト30g、30hによって板バネ11を被振動伝達部3に締結するための貫通孔部である。図26のバネユニット20B中の符号31j、31iは、ボルト30j、30iによってバネユニット20Bを被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。
【0173】
図27の弾性変形部12a中の符号31a、31bは、ボルト30a、30bによってバネユニット10Aを振動発生源2に締結するための貫通孔である。図28の弾性変形部11b中の符号31d、31cは、ボルト30d、30cによって板バネ11を被振動伝達部3に締結するための貫通孔である。
【0174】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、バネユニット10Aの板バネ11の弾性変形部11aがD1方向に延びるように形成され、かつバネユニット20Aの板バネ21の弾性変形部21aがD4方向に延びるように形成されている例について説明した。
【0175】
しかし、これに代えて、弾性変形部11aおよび弾性変形部21aがそれぞれ屈曲するように形成されている本第2実施形態について図29図30図31を参照して説明する。
【0176】
図29は、被振動伝達部3の図示を省略した状態で、防振装置1のバネユニット10A、10B、20A、20Bが振動発生源2に接続された状態を示す斜視図である。図30は、図29の防振装置1のYb矢視図であり、図31は、図29の防振装置1のうち板バネ12、22を削除した状態を示すYc矢視図である。
【0177】
本実施形態のバネユニット10Aの板バネ11と、上記第1実施形態のバネユニット10Aの板バネ11とは、図29図30に示すように、主に弾性変形部11aが相違する。
【0178】
本実施形態の弾性変形部11aは、図31に示すように、バネユニット20Aの板バネ21の弾性変形部21aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部11aは、図31に示すように、長板部201、202、203を備える。
【0179】
長板部201、202、203は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。長板部201は、そのD1方向一方側領域110がボルト30a、30bによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている第1長板部である。
【0180】
長板部201は、Z方向の一方側に延びるように形成されている。長板部202は、長板部201のうちZ方向の一方側端部201aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている第3長板部である。長板部203は、長板部202のうちZ方向の一方側端部202aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向他方側に向かうように形成されている。
【0181】
弾性変形部11bは、長板部203のうちZ方向の一方側端部203aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部11bは、長板部203のうちZ方向の一方側端部203aに対して屈曲部11cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部11bは、上記第1実施形態の弾性変形部11aと同様に、構成されている。
【0182】
弾性変形部12aは、弾性変形部11a、13aとともに、ボルト30a、30bによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部12aは、図29に示すように、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対して屈曲部12cを介して接続されている。
【0183】
弾性変形部13aは、弾性変形部11a、12aとともに、ボルト30a、30bによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部13aは、図29に示すように、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対して屈曲部13cを介して接続されている。
【0184】
本実施形態のバネユニット20Aの板バネ21と上記第1実施形態のバネユニット20Aの板バネ21とは、図29図30に示すように、主に弾性変形部21aが相違する。弾性変形部21aは、図31に示すように、長板部221、222、223を備える。
【0185】
長板部221、222、223は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。長板部221は、そのD4方向一方側領域210がボルト30e、30fによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている第2長板部である。
【0186】
長板部221は、Z方向の一方側に延びるように形成されている。長板部222は、長板部221のうちZ方向の一方側端部221aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向他方側に向かうように形成されている第4長板部である。長板部223は、長板部222のうちZ方向の一方側端部222aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている。
【0187】
弾性変形部21bは、長板部223のうちZ方向の一方側端部223aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部21bは、長板部223のうちZ方向の一方側端部223aに対して屈曲部21cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部21bは、上記第1実施形態の弾性変形部11aと同様に、構成されている。
【0188】
弾性変形部22aは、弾性変形部21a、23aとともに、ボルト30e、30fによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部22aは、図29に示すように、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対して屈曲部21cを介して接続されている。
【0189】
弾性変形部23aは、弾性変形部21a、22aとともに、ボルト30e、30fによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部23aは、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対して屈曲部13cを介して接続されている。
【0190】
バネユニット10Bは、図29に示すように、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。バネユニット20Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0191】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1は、振動発生源2に固定され、かつ被振動伝達部3に固定されている板バネ11、21を備える。板バネ11は、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する弾性変形部11aを備える。板バネ21は、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する弾性変形部21aを備える。
【0192】
板バネ11は、D2方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する弾性変形部11bを備える。板バネ21は、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する弾性変形部21bを備える。
【0193】
したがって、防振装置1は、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D2方向、D5方向)に振動する。
【0194】
弾性変形部12bのうちX方向他方側領域121は、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部13bのうちX方向他方側領域131は、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。これにより、弾性変形部12b、13bによって、板バネ11の弾性変形部11bの振動を減衰させることができる。
【0195】
弾性変形部22bのうちX方向他方側領域221Xは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部23bは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。これにより、弾性変形部22b、23bによって、板バネ21の弾性変形部21bの振動を減衰させることができる。
【0196】
以上により、防振装置1は、上記第1実施形態と同様、振動発生源2から被振動伝達部3へ伝わるX方向、Y方向、Z方向、θ方向、Φ方向、Ψ方向といった6つの方向の振動を減衰させることができる。
【0197】
本実施形態では、弾性変形部11aの長板部201は、Z方向に延びるように形成されている。長板部201は、ボルト30a、30bによって振動発生源2の被取付部200に固定されている。長板部201、221は、Y方向に並べられている。弾性変形部21aの長板部221は、Z方向に延びるように形成されている。長板部221は、ボルト30e、30fによって振動発生源2の被取付部200に固定されている。
【0198】
以上により、ボルト30a、30bとボルト30e、30fとの間においてY方向の最大寸法Lbを、上記第1実施形態に比べて、小さくすることができる。このため、振動発生源2およびバネユニット10A、10Bによって定まるθ方向、Φ方向、Ψ方向の共振周波数fθ、fΦ、fΨを小さくすることができる。このため、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値と最小値との差を小さくすることができる。したがって、板バネ12、13、22、23を用いて板バネ11、21の振動を減衰させることが容易になる。
【0199】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、板バネ11は、板バネ21に対して独立して形成されている例について説明した。しかし、これに代えて、板バネ11と板バネ21とが一体化される一体化構成物を構成する本第3実施形態について図32図33を参照して説明する。
【0200】
図32は、被振動伝達部3の図示を省略した状態で、防振装置1のバネユニット10A、10B、20A、20Bが振動発生源2に接続された状態を示す斜視図である。図33は、図32中板バネ12、22を外した状態で防振装置1をYc方向から視た透視図である。
【0201】
本実施形態の板バネ11、21は、図33に示すように、上記第2実施形態の板バネ11、21に対して、板バネ11と板バネ21とを接続する接続部400が追加されている。接続部400は、板バネ11の弾性変形部11aの長板部201のZ方向他方側と板バネ21の弾性変形部21aの長板部221のZ方向他方側とを接続する。このように構成される板バネ11、21は、一体化される一体化構成物を構成している。
【0202】
本実施形態の板バネ12、22は、図32に示すように、上記第2実施形態の板バネ12、22に対して、板バネ12と板バネ22とを接続する接続部401が追加されている。接続部401は、板バネ11の弾性変形部11aのZ方向一方側端部と板バネ21の弾性変形部21aのZ方向一方側端部とを接続する。このように構成される板バネ12、22は、一体化される一体化構成物を構成している。
【0203】
同様に、本実施形態の板バネ13、23は、上記第2実施形態の板バネ13、23に対して、板バネ13と板バネ23とを接続する接続部が追加されている。接続部は、板バネ13の弾性変形部13aのZ方向一方側端部と板バネ23の弾性変形部23aのZ方向一方側端部とを接続する。このように構成される板バネ13、23は、一体化される一体化構成物を構成している。
【0204】
以上説明した本実施形態によれば、板バネ12、22は、一体化される一体化構成物を構成している。このため、防振装置1を構成する部品点数を上記第2実施形態に比べて減らすことができる。
【0205】
これに加えて、本実施形態では、板バネ12、22は、一体化される一体化構成物を構成している。板バネ13、23は、一体化される一体化構成物を構成している。このため、防振装置1を構成する部品点数を上記第2実施形態に比べてより一層減らすことができる。
【0206】
(第4実施形態)
上記第2実施形態では、バネユニット10Aの板バネ11とバネユニット20Aの板バネ21とを別々にボルト30a、30bとボルト30e、30fによって振動発生源2に対して固定した例について説明した。
【0207】
しかし、これに代えて、板バネ11の弾性変形部11aと板バネ21の弾性変形部21aと共通のボルト30aによって振動発生源2に対して固定した本第4実施形態について図34図37を参照して説明する。
【0208】
図34は、本実施形態において、被振動伝達部3の図示を省略した状態で、防振装置1のバネユニット10A、10B、20A、20Bが振動発生源2に接続された状態を示す斜視図である。図35は、図34中の防振装置のYd矢視図である。図35は、バネユニット10Aの板バネ11、12、13の弾性変形部11a、12a、13aおよびバネユニット20Aの板バネ21、22、23の弾性変形部21a、22a、23aの配置関係を示す図である。
【0209】
図36は、図34中の防振装置のYb矢視図であり、図37は、図34中の板バネ12、22を外した状態の防振装置1をYc方向から視た透視図である。
【0210】
本実施形態では、図34、および図35に示すように、板バネ11、12、13の弾性変形部11a、12a、13aと板バネ21、22、23の弾性変形部21a、22a、23aとは、X方向に重なっている。
【0211】
弾性変形部11a、12a、13a、21a、22a、23aは、図35に示すように、弾性変形部12a、弾性変形部22a、弾性変形部11a、弾性変形部21a、弾性変形部13a、弾性変形部23aの順にX方向他方側からX方向一方側に並べられている。
【0212】
弾性変形部11aは、Y方向一方側に凸となる湾曲状に形成されている。具体的には、弾性変形部11aは、図37に示すように、長板部201、202を備える。長板部201、202は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。
【0213】
長板部201は、Z方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている第1長板部である。長板部202は、長板部201のうちZ方向の一方側端部201aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている。
【0214】
弾性変形部11bは、長板部202のうちZ方向の一方側端部202aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部11bは、長板部202のうちZ方向の一方側端部202aに対して屈曲部11cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部11aは、上記第1実施形態の弾性変形部11aと同様に、構成されている。
【0215】
本実施形態では、弾性変形部11bの長板部201のうちZ方向の他方側領域201Xは、弾性変形部21bの長板部221のうちZ方向の他方側領域に対してX方向(すなわち、第1厚み方向)に重なるように形成されている重ね領域である。
【0216】
具体的には、弾性変形部11bの長板部201のZ方向の他方側領域201Xは、弾性変形部12b、弾性変形部13b、弾性変形部22b、弾性変形部13bに対してX方向(すなわち、第1厚み方向)に重なるように形成されている。
【0217】
弾性変形部11bの長板部201のZ方向の他方側領域201Xは、弾性変形部21bの長板部221のうちZ方向の他方側領域とともに、共通のボルト30a(すなわち、固定部材)による締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。
【0218】
これに加えて、弾性変形部11b、21bは、弾性変形部12b、13b、22b、13bとともに、共通のボルト30aによって振動発生源2の被取付部200に固定されている。
【0219】
弾性変形部12aは、弾性変形部11a、13aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部12aは、図35に示すように、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対して屈曲部11cを介して接続されている。なお、図35図36では、ボルト30aの図示を省略している。
【0220】
弾性変形部13aは、弾性変形部11a、12aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部13aは、図35に示すように、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対して屈曲部13cを介して接続されている。
【0221】
弾性変形部21aは、図37に示すように、Y方向他方側に凸となる湾曲状に形成されている。具体的には、弾性変形部21aは、長板部221、222を備える。長板部221、222は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。
【0222】
長板部221は、Z方向の一方側に向かうほど、Y方向他方側に向かうように形成されている。長板部222は、長板部221のうちZ方向の一方側端部221aからZ方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている。
【0223】
弾性変形部21bは、長板部221のうちZ方向の一方側端部222aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部21bは、長板部251のうちZ方向の一方側端部222aに対して屈曲部21cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部21aは、上記第1実施形態の弾性変形部21aと同様に、構成されている。
【0224】
弾性変形部22aは、弾性変形部21a、23aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部22aは、図35に示すように、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対して屈曲部21cを介して接続されている。
【0225】
弾性変形部23aは、弾性変形部21a、22aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部23aは、図35に示すように、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対して屈曲部23cを介して接続されている。
【0226】
バネユニット10Bは、図29に示すように、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。バネユニット20Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0227】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1は、振動発生源2に固定され、かつ被振動伝達部3に固定される板バネ11、21を備える。板バネ11の弾性変形部11a、および板バネ21の弾性変形部21aは、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。
【0228】
板バネ11の弾性変形部11bは、D2方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する。板バネ21の弾性変形部21bは、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する。
【0229】
したがって、防振装置1は、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D2方向、D5方向)に振動する。
【0230】
板バネ12、13の弾性変形部12b、13bは、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0231】
板バネ22、23の弾性変形部22b、23bは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0232】
以上により、上記第1実施形態と同様、振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝わることを抑制する防振性能を向上するようにした防振装置1を提供することができる。
【0233】
本実施形態では、板バネ11の弾性変形部11aと板バネ21の弾性変形部21aとは、共通のボルト30aによって振動発生源2に固定されている。このため、板バネ11の弾性変形部11aと板バネ21の弾性変形部21aとが別々にボルトによって振動発生源2に固定されている場合に比べて、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値と最小値との差を小さくすることができる。
【0234】
したがって、本実施形態によれば、板バネ11、21が別々にボルトによって振動発生源2に固定されている場合に比べて、板バネ11、21の振動を減衰させることが容易になる。
【0235】
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、弾性変形部11aは、Y方向一方側に凸となる湾曲状に形成され、かつ弾性変形部21aは、Y方向他方側に凸となる湾曲状に形成されている例について説明した。
【0236】
しかし、これに代えて、弾性変形部11aがZ方向一方側に凸となる湾曲状に形成され、かつ弾性変形部21aがZ方向一方側に凸となる湾曲状に形成されている本第5実施形態について図38図39図40を参照して説明した。
【0237】
図38は、本実施形態において、被振動伝達部3の図示を省略した状態で、防振装置1のバネユニット10A、10B、20A、20Bが振動発生源2に接続された状態を示す斜視図である。図39は、図38中の板バネ11、12、21、22を外した状態で防振装置1を振動発生源2の軸線方向の一方(すなわち、図38中紙面手前側)から視た図である。図40は、図39中板バネ12、22を外した状態で防振装置1を振動発生源2の軸線方向一方(すなわち、図38中紙面手前側)から視た図である。
【0238】
本実施形態のバネユニット10Aの板バネ11と上記第1実施形態のバネユニット10Aの板バネ11とは、図40に示すように、主に弾性変形部11aが相違する。
【0239】
弾性変形部11aは、長板部240、241を備える。長板部240、241は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。長板部240は、Z方向の一方側に向かうほど、Y方向一方側に向かうように形成されている第1長板部である。
【0240】
長板部241は、長板部240のうちZ方向の一方側端部241aからY方向一方側に向かうほど、Y方向他方側に向かうように形成されている。このことにより、弾性変形部11aは、Y方向一方側に凸となる湾曲状に形成されている。
【0241】
弾性変形部11bは、長板部241のうちZ方向の一方側端部241aに対してY方向一他方側に配置されている。弾性変形部11bは、長板部241のうちZ方向の一方側端部241aに対して屈曲部11cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部11aは、上記第1実施形態の弾性変形部11aと同様に、構成されている。
【0242】
本実施形態のバネユニット10Aの板バネ12と上記第1実施形態のバネユニット10Aの板バネ12とは、主に弾性変形部12aが相違する。
【0243】
弾性変形部12aは、弾性変形部11a、13aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部12aは、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対してY方向一方側に配置されている。弾性変形部12bは、弾性変形部12aに対して屈曲部11cを介して接続されている。
【0244】
本実施形態のバネユニット10Aの板バネ13と上記第1実施形態のバネユニット10Aの板バネ13とは、主に弾性変形部13aが相違する。
【0245】
弾性変形部13aは、弾性変形部ぐ11a、12aとともに、ボルト30aによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部13aは、図35に示すように、弾性変形部11aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部13bは、弾性変形部13aに対して屈曲部13cを介して接続されている。
【0246】
本実施形態の弾性変形部11a、12a、13aは、30a、30bによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。
【0247】
本実施形態のバネユニット20Aの板バネ21と上記第1実施形態のバネユニット20Aの板バネ21とは、図40に示すように、主に弾性変形部21aが相違する。
【0248】
弾性変形部21aは、Z方向一方側に凸となる湾曲状に形成されている。具体的には、弾性変形部21aは、長板部250、251を備える。長板部250、251は、それぞれ、X方向に厚みを形成する板状に形成されている。
【0249】
長板部250は、Z方向の一方側に向かうほど、Y方向他方側に向かうように形成されている第2長板部である。長板部251は、長板部250のうちZ方向の一方側端部241aからY方向の他方側に向かうほど、Z方向他方側に向かうように形成されている。
【0250】
弾性変形部21bは、長板部251のうちZ方向の一方側端部251aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部21bは、長板部251のうちZ方向の一方側端部251aに対して屈曲部21cを介して接続されている。本実施形態の弾性変形部21aは、上記第1実施形態の弾性変形部21aと同様に、構成されている。
【0251】
本実施形態のバネユニット20Aの板バネ22と上記第1実施形態のバネユニット20Aの板バネ22とは、主に弾性変形部22aが相違する。
【0252】
弾性変形部22aは、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部22bは、弾性変形部22aに対して屈曲部21cを介して接続されている。
【0253】
本実施形態のバネユニット20Aの板バネ23と上記第1実施形態のバネユニット20Aの板バネ23とは、主に弾性変形部23aが相違する。
【0254】
弾性変形部23aは、弾性変形部21aに沿うように屈曲するように形成されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対してY方向他方側に配置されている。弾性変形部23bは、弾性変形部23aに対して屈曲部23cを介して接続されている。
【0255】
本実施形態の弾性変形部21a、22a、23aは、ボルト30a、30bによる締結によって振動発生源2の被取付部200に固定されている。弾性変形部21a、22a、23aは、上記第1実施形態と同様に、弾性変形部11a、12a、13aに対してY方向他方側に配置されている。
【0256】
バネユニット10Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。バネユニット20Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0257】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1において、板バネ11の弾性変形部11a、および板バネ21の弾性変形部21aは、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。
【0258】
板バネ11の弾性変形部11bは、D2方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する。板バネ21の弾性変形部21bは、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する。
【0259】
したがって、防振装置1は、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D2方向、D5方向)に振動する。
【0260】
弾性変形部12bは、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部13bは、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0261】
弾性変形部22bは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部23bは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0262】
以上により、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2から被振動伝達部3に振動が伝わることを抑制する防振性能を向上するようにした防振装置1を提供することができる。
【0263】
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、バネユニット10Aの弾性変形部11a、12a、13aは、バネユニット20Aの弾性変形部21a、22a、23aに対してY方向一方側に配置されている例について説明した。
【0264】
しかし、これに代えて、バネユニット10Aの弾性変形部11a、12a、13aとバネユニット20Aの弾性変形部21a、22a、23aとX方向に重なるように配置されている本第6実施形態について図41図42図43図44を参照して説明する。
【0265】
図41は、本実施形態の防振装置1を振動発生源2の軸線方向の一方から視た図である。図42は、図41中の板バネ11、12、21、22を外した状態で防振装置1を振動発生源2の軸線方向の一方から視た図である。図43は、本実施形態の防振装置1のうち板バネ12、22を外した状態で防振装置1を振動発生源2の軸線方向の一方から視た図である。
【0266】
本実施形態の板バネ12は、図41に示すように、上記第5実施形態の板バネ12と同様の形状を有している。本実施形態の板バネ22は、図41に示すように、上記第5実施形態の板バネ22と同様の形状を有している。
【0267】
本実施形態の板バネ13は、図42に示すように、上記第5実施形態の板バネ13と同様の形状を有している。本実施形態の板バネ23は、図42に示すように、上記第5実施形態の板バネ23と同様の形状を有している。
【0268】
本実施形態の板バネ11は、図43に示すように、上記第5実施形態の板バネ11と同様の形状を有している。本実施形態の板バネ21は、図43に示すように、上記第5実施形態の板バネ21と同様の形状を有している。
【0269】
弾性変形部11a、12a、13aと弾性変形部21a、22a、23aとは、上記第4実施形態と同様に、Z方向に重なるように配置されている。弾性変形部11a、12a、13aと弾性変形部21a、22a、23aとは、上記第4実施形態と同様に、互いに重なった領域で、共通のボルト30aによって共通のボルト30aによって振動発生源2に対して固定されている。
【0270】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1では、板バネ11、21の弾性変形部11a、21aは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。板バネ11の弾性変形部11bは、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD2方向に振動する。板バネ21の弾性変形部21bは、D5方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD5方向に振動する。
【0271】
板バネ12、13は、上記第1実施形態と同様に、板バネ11に対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、板バネ12、13は、振動発生源2から伝わる板バネ11の振動を減衰させることができる。板バネ22、23は、上記第1実施形態と同様に、板バネ21に対して振動により滑り摩擦を生じる。このため、板バネ22、23は、振動発生源2から伝わる板バネ21の振動を減衰させることができる。
【0272】
以上により、バネユニット20A、10Aは、振動発生源2から被振動伝達部3の支持部3aに振動が伝わることを抑えることができる。
【0273】
本実施形態の板バネ11の弾性変形部11aと板バネ21の弾性変形部21aとは、共通のボルト30aによって振動発生源2に固定されている。
【0274】
図44は、上記第5実施形態の防振装置1のx方向、y方向、z方向、θ方向、Φ方向、Ψ方向の共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨと、本実施形態の防振装置1の共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨとの比較を示す図である。
【0275】
図44では、上記第5実施形態では、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値が共振周波数fΦであり、最小値が共振周波数fyとなっている。本実施形態では、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値が共振周波数fΦであり、最小値が共振周波数fyとなっている。
【0276】
図44から分かるように、共振周波数fx、fy、fz、fθ、fΦ、fΨのうちの最大値と最小値との差分を上記第5実施形態の防振装置1に比べて小さくすることができる。したがって、板バネ11、21を共通のボルト30aによって振動発生源2に固定することにより、板バネ12、13、22、23を用いて板バネ11、21の振動を減衰させることが容易になる。
【0277】
(第7実施形態)
上記第1実施形態では、板バネ11において弾性変形部11bが弾性変形部11aに対してY方向一方側に配置され、かつ板バネ12において弾性変形部21bが弾性変形部21aに対してY方向他方側に配置されている例について説明した。
【0278】
しかし、板バネ11の弾性変形部11bが弾性変形部11aに対してD1方向一方側に配置され、かつ板バネ12の弾性変形部21bが弾性変形部21aに対してD4方向一方側に配置されている本第7実施形態について図45図46図47を参照して説明する。
【0279】
図45は、本実施形態において、被振動伝達部3の図示を省略した状態で、防振装置1のバネユニット10A、10B、20A、20Bが振動発生源2に接続された状態を示す斜視図である。図46は、図45の防振装置1のYb矢視図であり、図47は、図45中の板バネ12、22を外した状態で防振装置1を振動発生源2の軸線方向の一方から視た図である。
【0280】
本実施形態と上記第1実施形態とで、板バネ11において弾性変形部11aに対する弾性変形部11bの配置関係が相違する。
【0281】
本実施形態の板バネ11は、弾性変形部11aと弾性変形部11bとが屈曲部11cを介して接続されてL字状に形成されている。同様に、板バネ12は、弾性変形部12aと弾性変形部12bとが屈曲部12cを介して接続されてL字状に形成されている。板バネ13は、弾性変形部13aと弾性変形部13bとが屈曲部13cを介して接続されてL字状に形成されている。
【0282】
本実施形態の弾性変形部11b、12b、13bは、それぞれ、図45のD1方向に厚みを成し、かつD1方向に直交するX方向に延びる板状に形成されている。
【0283】
本実施形態と上記第1実施形態とで、板バネ21において弾性変形部21aに対する弾性変形部21bの配置関係が相違する。
【0284】
本実施形態の板バネ21は、弾性変形部21aと弾性変形部21bとが屈曲部21cを介して接続されてL字状に形成されている。同様に、板バネ22は、弾性変形部22aと弾性変形部22bとが屈曲部22cを介して接続されてL字状に形成されている。板バネ23は、弾性変形部23aと弾性変形部23bとが屈曲部23cを介して接続されてL字状に形成されている。
【0285】
本実施形態の弾性変形部21b、22b、23bは、それぞれ、図45のD4方向に厚みを成し、かつD4方向に直交するX方向に延びる板状に形成されている。ここで、D1方向とD4方向とは、互いに交差(例えば、直交)する関係になっている。
【0286】
バネユニット10Bは、図45図46に示すように、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。バネユニット20Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0287】
以上説明した本実施形態によれば、防振装置1において、板バネ11の弾性変形部11a、および板バネ21の弾性変形部21aは、X方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してX方向に振動する。
【0288】
板バネ11の弾性変形部11bは、D1方向に厚みを成す板状に形成され、振動発生源2から伝わる振動によって弾性変形してD1方向に振動する。板バネ21の弾性変形部21bは、D4方向に厚みを成す板状に形成され、振動によって弾性変形してD4方向に振動する。
【0289】
したがって、防振装置1は、上記第1実施形態と実質的同様に、振動発生源2から伝わる振動によって、それぞれ、異なる3つの方向(すなわち、X方向、D1方向、D4方向)に振動する。
【0290】
弾性変形部12bのうちX方向他方側領域121は、上記第1実施形態と同様、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部13bは、板バネ11の弾性変形部11bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0291】
弾性変形部22bのうちX方向他方側領域221Xは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。弾性変形部23bは、上記第1実施形態と同様、板バネ21の弾性変形部21bに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0292】
したがって、防振装置1によって、振動発生源2から被振動伝達部3へ伝わる振動を減衰させる防振性能を向上することができる。
【0293】
本実施形態の板バネ11は、一枚の板から図48に示す長板部材300を複数本切り出して、これら複数本の長板部材300を境界線301でL字状に折り曲げて形成される。板バネ12、13、21、22、23も同様に形成される。このため、板バネ11、12、13、21、22、23を製造する際に、板バネ11、12、13、21、22、23として使用されない部材を少なくして、歩留まりを良好にすることができる。図48は、板バネ11を製造する際に用いられる長板部材300を示す正面図である。
【0294】
(第8実施形態)
上記第1実施形態では、板バネ12、13、22、23がそれぞれ振動発生源2に固定され、かつ被振動伝達部3に対して開放されている例について説明した。
【0295】
しかし、これに代えて、板バネ12、13、22、23がそれぞれ被振動伝達部3に固定され、かつ振動発生源2に対して開放されている本第8実施形態について図49図50図51図52を参照して説明する。
【0296】
図49は、本実施形態の防振装置1が振動発生源2と被振動伝達部3とに固定された状態を示す斜視図であり、図50は、図49中の防振装置1のVX部分を拡大した拡大図である。図51は、図49中の防振装置1、振動発生源2、および被振動伝達部3を示すYa矢視図であり、図52は、図51中の防振装置1のVXII部分を拡大した拡大図である。
【0297】
本実施形態の防振装置1では、板バネ11、21は、図49図51図52に示すように、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2に対してボルト30a、30bによって固定され、かつ被振動伝達部3に対してボルト30c、30dによって固定されている。
【0298】
本実施形態の防振装置1と上記第1実施形態の防振装置1とは、板バネ12、13、22、23が相違する。
【0299】
板バネ12の弾性変形部12bのうちZ方向一方側領域125は、板バネ11の弾性変形部11bのX方向他方側領域111とともに、ボルト30c、30dによる締結により被振動伝達部3の支持部3aに固定されている。
【0300】
板バネ12の弾性変形部12aは、振動発生源2および板バネ11に対して開放されている。板バネ12の弾性変形部12aのうちD1方向一方側領域126は、被振動伝達部3から板バネ11を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑えるために板バネ11の弾性変形部11aの面111dに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0301】
本実施形態では、板バネ12は、弾性変形部12aのD1方向一方側領域126を板バネ11の弾性変形部11aの面111dに押し付ける弾性力を予め有している。
【0302】
板バネ13の弾性変形部13bのうちZ方向一方側領域135は、弾性変形部11bのX方向他方側領域111とともに、ボルト30c、30dによる締結により被振動伝達部3の支持部3aに固定されている。
【0303】
板バネ13の弾性変形部13aは、振動発生源2および板バネ11対して開放されている。板バネ13の弾性変形部13aのうちD1方向一方側領域136は、後述するように、被振動伝達部3から板バネ11を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑えるために板バネ11の弾性変形部11aの面111eに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0304】
本実施形態では、板バネ13は、弾性変形部13aのD1方向一方側領域136を板バネ11の弾性変形部11aの面111eに押し付ける弾性力を予め有している。板バネ11の弾性変形部11aの面111d、面111eは、それぞれ、X方向に拡がる面状に形成されている。面111d、面111eは、X方向に並べられている。面111dは、面111eに対してX方向一方側に配置されている。
【0305】
本実施形態の板バネ12、13は、板バネ11に対して振動により滑り摩擦を生じることにより、振動発生源2から板バネ11を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑える第1振動減衰部材を構成する。
【0306】
板バネ22の弾性変形部22bのうちZ方向一方側領域225は、板バネ21の弾性変形部21bのX方向他方側領域211Xとともに、ボルト30h、30gによる締結により被振動伝達部3の支持部3bに固定されている。
【0307】
板バネ22の弾性変形部22aは、振動発生源2および板バネ22に対して開放されている。板バネ22の弾性変形部22aのうちD4方向一方側領域226は、後述するように、振動発生源2から板バネ21を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑えるために板バネ21の弾性変形部21aの面211dに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0308】
本実施形態では、板バネ22は、弾性変形部22aのD4方向一方側領域226を板バネ21の弾性変形部21aの面211dに押し付ける弾性力を予め有している。
【0309】
板バネ23の弾性変形部23bのうちZ方向一方側領域235は、弾性変形部21bのX方向他方側領域211Xとともに、ボルト30g、30hによる締結により被振動伝達部3の支持部3bに固定されている。
【0310】
板バネ23の弾性変形部23aは、振動発生源2および板バネ21に対して開放されている。板バネ23の弾性変形部23aのうちD4方向一方側領域236は、後述するように、振動発生源2から板バネ21を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑えるために板バネ21の弾性変形部21aの面211eに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0311】
本実施形態では、板バネ23は、弾性変形部23aのD4方向一方側領域236を板バネ21の弾性変形部21aの面211eに押し付ける弾性力を予め有している。
【0312】
本実施形態の板バネ22、23は、板バネ21に対して振動により滑り摩擦を生じることにより、振動発生源2から板バネ21を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑える第2振動減衰部材を構成する。
【0313】
バネユニット10Bは、図49図51に示すように、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。バネユニット20Bは、バネユニット10Aに対してX方向に対称になるように構成されている。
【0314】
次に、本実施形態の防振装置1の作動について説明する。
【0315】
まず、振動発生源2に生じる振動は、板バネ11、21に伝わる。このとき、弾性変形部11a、21aは、振動発生源2から伝わる振動によってX方向に振動する。弾性変形部11bは、振動発生源2から伝わる振動によってD2方向に振動する。弾性変形部21bは、振動発生源2から伝わる振動によってD5方向に振動する。
【0316】
このように、弾性変形部11a、21aと、弾性変形部11bと、弾性変形部21bとは、それぞれ異なる厚み方向に振動する。このため、弾性変形部11a、21aと、弾性変形部11bと、弾性変形部21bとは、振動発生源2から伝わる振動を減衰させることができる。
【0317】
このとき、板バネ12の弾性変形部12aのうちD1方向一方側領域126は、板バネ11の弾性変形部11aの面111dに対して振動により滑り摩擦を生じる。板バネ13の弾性変形部13aのうちD1方向一方側領域136は、板バネ11の弾性変形部11aの面111eに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0318】
板バネ22の弾性変形部22aのうちD4方向一方側領域226は、板バネ21の弾性変形部21aの面211dに対して振動により滑り摩擦を生じる。板バネ23の弾性変形部23aのうちD4方向一方側領域236は、板バネ21の弾性変形部21aの面211eに対して振動により滑り摩擦を生じる。
【0319】
したがって、板バネ12、12、22、23は、板バネ11、21の振動を減衰させることができる。このため、振動発生源2から板バネ11、21を通して被振動伝達部3に振動が伝わることを抑えることができる。
【0320】
以上により、防振装置1によって、上記第1実施形態と同様に、振動発生源2から被振動伝達部3へ伝わる振動を減衰させる防振性能を向上することができる。
【0321】
(他の実施形態)
(1)上記第1~第8実施形態では、4つのバネユニット10A、10B、20A、20Bによって防振装置1を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、3つ以下のバネユニットによって防振装置1を構成してもよく、或いは、5つ以上のバネユニットによって防振装置1を構成してもよい。
(2)上記第1~第8実施形態では、板バネ11、12、13によってバネユニット10Aを構成した例について説明した。しかし、これに代えて、板バネ11だけで、バネユニット10Aを構成してもよく、板バネ11、12によってバネユニット10Aを構成してもよい。板バネ11、13によってバネユニット10Aを構成してもよい。
【0322】
同様に、板バネ21だけで、バネユニット20Aを構成してもよく、板バネ21、22によってバネユニット20Aを構成してもよい。板バネ21、23によってバネユニット20Aを構成してもよい。
(3)上記第1~第8実施形態では、バネユニット10Aを振動発生源2にボルト30a、30bで固定した例について説明した。しかし、これに限らず、バネユニット10Aを振動発生源2に溶接、ろう付け等の接合によって固定してもよい。同様に、バネユニット10Aを被振動伝達部3に溶接、ろう付け等の接合によって固定してもよい。
【0323】
同様に、バネユニット10B、20A、20Bを振動発生源2に溶接、ろう付け等の接合によって固定してもよい。バネユニット10B、20A、20Bを被振動伝達部3に溶接、ろう付け等の接合によって固定してもよい。
(4)上記第1~第8実施形態では、弾性変形部12b、13bがX方向他方側領域121、131を板バネ11の面111c、111bに押し付ける弾性力を予め有している例について説明した。しかし、これに代えて、弾性変形部12b、13bがX方向他方側領域121、131を板バネ11の面111c、111bに押し付ける弾性力を予め有していないように構成してもよい。
【0324】
同様に、弾性変形部22bがX方向他方側領域221Xを板バネ21の面211cに押し付ける弾性力を予め有しないように構成してもよい。同様に、弾性変形部23bは、X方向他方側領域231を板バネ21の面211bに押し付ける弾性力を予め有していないように構成してもよい。
(5)上記第1~第8実施形態では、弾性変形部21aの厚み方向をX方向とした例について説明した。しかし、これに限らず、弾性変形部21aの厚み方向としては、D2方向に交差し、かつD5方向に交差する方向であればよい。
(6)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(本発明の特徴)
[請求項1]
振動発生源(2)に固定され、かつ被振動伝達部(3)に固定され、前記振動発生源に生じる振動が前記被振動伝達部に伝わることを抑制する防振を実施する防振装置であって,
第1厚み方向(X)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記振動発生源から前記被振動伝達部に前記振動が伝わる経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第1厚み方向に振動する第1弾性変形部(11a)と、
前記第1厚み方向に交差する第2厚み方向(D2)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第2厚み方向に振動する第2弾性変形部(11b)と、
前記第1厚み方向に交差し、かつ前記第2厚み方向に交差する第3厚み方向(D5)に厚みを成す板状に形成され、さらに前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第3厚み方向に振動する第3弾性変形部(21b)と、
を備える防振装置。
[請求項2]
前記第1弾性変形部は、前記第1厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第1面(111a、211a)を有しており、
前記第2弾性変形部は、前記第2厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第2面(111b、111c)を有しており、
前記第3弾性変形部は、前記第3厚み方向に直交する方向に面状に拡がる第3面(211b、211c)を有しており、
前記第1面は、前記第2面に対して非平行になっており、
前記第2面は、前記第3面に対して非平行になっている請求項1に記載の防振装置。
[請求項3]
前記第1厚み方向と前記第2厚み方向とが直交するように設定され、
前記第1厚み方向と前記第3厚み方向とが直交するように設定され、
前記第2厚み方向と前記第3厚み方向とが直交するように設定されている請求項2に記載の防振装置。
[請求項4]
前記第2厚み方向に交差し、かつ前記第3厚み方向に交差する第4厚み方向(X)に厚みを成す板状に形成され、かつ前記経路を構成し、前記振動によって弾性変形して前記第4厚み方向に振動する第4弾性変形部(21a)を備え、
前記第1弾性変形部と前記第2弾性変形部とは、第1板バネ(11)を構成し、
前記第4弾性変形部と前記第3弾性変形部とは、第2板バネ(21)を構成する請求項3に記載の防振装置。
[請求項5]
前記第1厚み方向(X)に直交する方向を第1直交方向(Y)とし、前記第1厚み方向に直交し、かつ前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向(Z)としたとき、
前記第1弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の一方側に進むように形成されており、
前記第4弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の他方側に進むように形成されている請求項4に記載の防振装置。
[請求項6]
前記第1厚み方向(X)に直交する方向を第1直交方向(Y)とし、前記第1厚み方向に直交し、かつ前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向(Z)としたとき、
前記第1弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に延びるように形成されている第1長板部(201)を備え、
前記第4弾性変形部は、前記第2直交方向の一方側に延びるように形成されている第2長板部(221)を備える請求項4に記載の防振装置。
[請求項7]
前記第1弾性変形部は、前記第1長板部のうち前記第2直交方向の一方側端部(201a)から前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の一方側に進むように形成されている第3長板部(202)を備え、
前記第4弾性変形部は、前記第2長板部(221)のうち前記第2直交方向の一方側端部(2111a)から前記第2直交方向の一方側に向かうほど前記第1直交方向の他方側に進むように形成されている第4長板部(222)を備える請求項6に記載の防振装置。
[請求項8]
前記第1弾性変形部は、前記第4弾性変形部に対して、前記第1直交方向の一方側に配置されており、
前記第1弾性変形部は、前記振動発生源に対して第1固定部材(30a、30b)によって固定され、
前記第4弾性変形部は、前記振動発生源に対して第2固定部材(30e、30f)によって固定されている請求項5ないし7のいずれか1つに記載の防振装置。
[請求項9]
前記第1弾性変形部は、前記第4弾性変形部に対して前記第1厚み方向に重なるように形成されている重ね領域(201X)を備えており、
前記第1弾性変形部は、その前記重ね領域が、前記第4弾性変形部とともに、共通の固定部(30a)によって前記振動発生源に固定されている請求項4または5に記載の防振装置。
[請求項10]
前記第1板バネおよび前記第2板バネは、一体化された一体化構成物を構成している請求項4、5、6のいずれか1つに記載の防振装置。
[請求項11]
前記振動発生源および前記被振動伝達部のうちいずれか一方に固定され、前記第1板バネに対して前記振動により滑り摩擦を生じて前記第1板バネの振動を減衰させる振動減衰部材(12、13)を備える請求項4、5、6のいずれか1つに記載の防振装置。
[請求項12]
前記振動減衰部材を第1振動減衰部材としたとき、前記振動発生源および前記被振動伝達部のうちいずれか一方に固定され、前記第2板バネに対して前記振動により滑り摩擦を生じて前記第2板バネの振動を減衰させる第2振動減衰部材(22、23)を備える請求項11に記載の防振装置。
【符号の説明】
【0325】
1 防振装置
2 振動発生源
3 被振動伝達部
10A バネユニット
20A バネユニット
11 板バネ
21 板バネ
11a 弾性変形部
11b 弾性変形部
21a 弾性変形部
21b 弾性変形部
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