IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムエススコープス カンパニー,リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043570
(43)【公開日】2024-04-01
(54)【発明の名称】欠陥軽減被膜法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240325BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240325BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240325BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/458
H01L21/316 X
H01L21/31 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071928
(22)【出願日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】111135291
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520497955
【氏名又は名称】エムエススコープス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー-ルン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-チン チェン
(72)【発明者】
【氏名】バン-ハオ フアン
(72)【発明者】
【氏名】ユー-ハン チェン
(72)【発明者】
【氏名】リコ スー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA10
4K030BA11
4K030BA12
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA21
4K030BA35
4K030BA38
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA45
4K030BA46
4K030BA47
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA13
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA10
4K030KA46
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045BB14
5F045DP05
5F045EE19
5F045EM01
5F058BC03
5F058BF04
5F058BF37
5F058BG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被膜工程終了後に試料の被膜面に滑らかな被膜層を形成する欠陥低減被膜方法を提供する。
【解決手段】試料の被膜面を被膜チャンバの底部とすることにより、被膜工程中に試料の被膜面に被膜チャンバ側壁の付着粒子が落下しないようにし、被膜工程終了後に試料の被膜面に滑らかな被膜層を形成することを特徴とする欠陥低減被膜方法を提供する。
【選択図】図2G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥低減被膜方法であって、
互いに対向する上部及び底部を有するチャンバを備える原子層堆積(ALD)装置を提供するステップと、
ステージと、複数の支持要素とを備える試料キャリアを提供することであって、前記ステージは、互いに対向する上面及び底面を備え、前記支持要素は、前記ステージの前記底面の上に配置されるステップと、
互いに対向する被膜面及び非被膜面を有する試料を提供するステップであって、前記試料が、前記試料の非被膜面によって前記ステージの前記底面の上に配置及び固定されて、前記試料の被膜面をチャンバの底部に面させることを含むステップと、
前記試料キャリアを前記チャンバの底部に配置するステップであって、前記ステージの前記上面は前記チャンバの前記上部に面し、前記ステージの前記底面は前記チャンバの前記底部に面し、前記ステージの前記底面と前記チャンバの前記底部は、互いにd(d>0)の距離だけ離間しているステップと、
原子層堆積(ALD)プロセスを適用して、原子層堆積(ALD)のための反応ガスを前記チャンバの前記上部から前記チャンバの前記底部及び前記試料の前記被膜面に流し、原子層堆積(ALD)皮膜を形成するステップと、
前記チャンバから前記試料キャリアを取り出し、前記試料キャリアから前記試料を取り出すステップと
を備える、欠陥低減被膜方法。
【請求項2】
前記試料キャリアは、金属、セラミック、及びポリマー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で作られる、請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項3】
前記試料キャリアは、ステンレス、銅アルミニウム、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、又は酸化アルミニウムで被膜されたアルミニウム製品からなる、請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項4】
前記ステージの底部及び/又は前記試料の非被膜面に接着剤を塗布するか、又は両面テープを貼り付けて、前記接着剤及び/又は前記両面テープにより前記ステージの底部に前記試料を配置して固定することを特徴とする請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項5】
前記接着剤が、ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂、カーボン接着剤又は銀接着剤である、請求項4に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項6】
前記両面テープは、銅両面テープ、カーボン両面テープ又はポリマー両面テープであることを特徴とする請求項4に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項7】
複数のバッフルをさらに備え、前記バッフルの各々は、前記支持要素の各々を備え、前記試料は、前記バッフルによって前記ステージの底面に配置されて固定される、請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項8】
複数のバッフルをさらに備え、前記バッフルは、前記ステージの底部に配置され、前記試料は、前記バッフルによって前記ステージの底部に配置されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項9】
複数のサイドクリップ型ほぞをさらに備え、前記サイドクリップ型ほぞの各々は、前記支持要素の各々を備え、前記試料は、前記サイドクリップ型ほぞによって前記ステージの底面に配置されて固定されることを特徴とする、請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項10】
複数のサイドクリップ型ほぞをさらに備え、前記サイドクリップ型ほぞは、前記ステージの底部に配置され、前記サイドクリップ型ほぞにより前記ステージの底部に前記試料を固定することを特徴とする請求項1に記載の欠陥低減被膜方法。
【請求項11】
前記サイドクリップ型ほぞの各々は、ほぞパッド及びネジを含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の欠陥低減被膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、被膜方法に関し、特に、欠陥低減被膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層蒸着(ALD)は等方性成長の利点から半導体プロセスに広く用いられている。従来の原子層堆積(ALD)プロセスを図1A~1Bに模式的に示す。まず、図1Aに示すように上部20Aと底部20Bとが互いに対向するチャンバ20を備える原子層堆積(ALD)装置10を設けた。次に、試料キャリア30と、被膜面40Aと非被膜面40Bとが互いに対向する試料40とを用意した。試料40は、試料キャリア30の表面(図示せず)に、その表面上に非被膜面40Bを貼り付けて、試料40の被膜面40Aがチャンバ20の上部20Aに向くように配置された。
【0003】
次に、図1Aに示すように、続く原子層堆積(ALD)工程のため、試料40が配置された試料キャリア30を、チャンバ20の底部20B上に配置した。次に、図1Aに示す原子層堆積(ALD)工程を適用して、チャンバ20の上部20Aからチャンバ20の底部20B及び試料40の被膜面40Aに原子層堆積(ALD)用の反応ガスを流し、その上に原子層堆積(ALD)皮膜50’を形成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、原子層堆積(ALD)工程中に、重力が原因となり、チャンバ20の側壁の粘着性粒子が試料40の被膜面40Aに落下し、図1Bに示すように、不均一な表面を有する原子層堆積(ALD)皮膜50’が得られた。図1Cは、図1A図1Bに示すような従来の原子層堆積(ALD)プロセスによって室温で得られた原子層堆積(ALD)皮膜50’のTEM写真であり、この原子層堆積(ALD)皮膜50’は、10nmの厚さを有する窒化タンタル(TaN)皮膜である。図1Cに示すTEM描写のように、原子層堆積(ALD)皮膜50’の表面は凹凸を有する。これは、チャンバ20の側壁上の粘着性粒子が、図1A図1Bに示す従来の原子層堆積(ALD)プロセスの間に、重力が原因となって試料の被膜面40Aの表面に落ちたためである。表面に凹凸を有する原子層堆積(ALD)皮膜50’は、試料40の後続の特性解析及び光学欠陥解析の精度に大きな悪影響を及ぼす。従って、欠陥低減被膜法は、業界から高い期待が寄せられている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、互いに対向する上部及び底部を有するチャンバを備える原子層堆積(ALD)装置を提供するステップと、ステージと、複数の支持要素とを備える試料キャリアを提供することであって、前記ステージは、互いに対向する上面及び底面を備え、前記支持要素は、前記ステージの前記底面の上に配置されるステップと、互いに対向する被膜面及び非被膜面を有する試料を提供するステップであって、前記試料が、前記試料の非被膜面によって前記ステージの前記底面の上に配置及び固定されて、前記試料の被膜面をチャンバの底部に面させることを含むステップと、前記試料キャリアを前記チャンバの底部に配置するステップであって、前記ステージの前記上面は前記チャンバの前記上部に面し、前記ステージの前記底面は前記チャンバの前記底部に面し、前記ステージの前記底面と前記チャンバの前記底部は、互いにd(d>0)の距離だけ離間しているステップと、原子層堆積(ALD)プロセスを適用して、原子層堆積(ALD)のための反応ガスを前記チャンバの前記上部から前記チャンバの前記底部及び前記試料の前記被膜面に流し、原子層堆積(ALD)皮膜を形成するステップと、前記チャンバから前記試料キャリアを取り出し、前記試料キャリアから前記試料を取り出すステップとを備える。
【0006】
上述の欠陥低減被膜方法において、前記試料キャリアは、金属、セラミック、及びポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなる。また、上述の欠陥低減被膜方法において、前記試料キャリアは、ステンレス、銅アルミニウム、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、又は酸化アルミニウムで被膜されたアルミニウム製品からなる。
【0007】
また、上記欠陥低減被膜方法では、前記ステージの底部及び/又は前記試料の非被膜面に接着剤を塗布又は両面テープを貼り付けて、前記接着剤及び/又は前記両面テープにより前記試料を前記ステージの底部に配置して固定する。接着剤は、ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂、カーボン接着剤又は銀接着剤である。前記両面テープは、銅両面テープ、カーボン両面テープ、又はポリマー両面テープである。
【0008】
上記の欠陥低減被膜方法は、複数のバッフルをさらに備え、バッフルの各々は、支持要素の各々を備え、試料は、バッフルによってステージの底面上に配置され固定される。上記の欠陥低減被膜方法は、複数のバッフルをさらに備え、前記バッフルは、ステージの底部上に配置され、試料は、前記バッフルによってステージの底部上に配置され固定される。上記の欠点低減被膜方法は、さらに、複数のサイドクリップ型ほぞを備え、各サイドクリップ型ほぞは、それぞれの支持要素を備え、試料は、サイドクリップ型ほぞによってステージの底面に配置され固定される。
【0009】
上記の欠点低減被膜方法は、さらに、複数のサイドクリップ型ほぞを備え、サイドクリップ型ほぞは、前記ステージの底部に配置され、試料は、サイドクリップ型ほぞによってステージの底部に配置されて固定される。
上記の欠陥低減被膜方法において、前記サイドクリッピング型ほぞは、それぞれ、ほぞパッドとネジとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】従来の原子層堆積(ALD)プロセスを示す概略図である。
図1B図1Aに示す従来の原子層堆積(ALD)プロセスによって形成された原子層堆積(ALD)皮膜を有する試料の断面図である。
図1C図1Aに示す従来の原子層堆積(ALD)プロセスによって形成される原子層堆積(ALD)皮膜のTEM写真である。
図2A】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2B】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2C】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2D】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2E】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2F】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2G】本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図2H図2A図2Gに示す原子層堆積(ALD)プロセスによって形成された原子層堆積(ALD)皮膜を有する試料の断面図である。
図2I】本発明の第1の実施の形態に係る従来の原子層堆積(ALD)プロセスによって形成された原子層堆積(ALD)皮膜のTEM写真である。
図3A】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3B】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3C】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3D】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3E】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3F】本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図3G図3A~3Fに示されるように、原子層堆積(ALD)プロセスによってその上に形成される原子層堆積(ALD)皮膜を有する試料の断面図である。
図4A】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4B】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4C】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4D】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4E】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4F】本発明の第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)工程を示す模式図である。
図4G図4A~4Fに示される原子層堆積(ALD)プロセスによってその上に形成された原子層堆積(ALD)皮膜を有する試料の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本実施例の説明として意図され、本実施例が構築又は利用され得る唯一の形態を表すことを意図しない。説明は、実施例の機能、並びに実施例を構築及び操作するためのステップのシーケンスを説明する。しかしながら、同じ又は同等の機能及びシーケンスは、異なる例によって達成され得る。
【0012】
以下の説明では、読者が以下の例を完全に理解できるように、数多くの具体的な詳細が詳細に説明されている。しかしながら、本発明の実施形態は、そのような特定の詳細がない場合に実施することができる。他の場合には、図面を簡単にするために、装置の構造は図に概略的に描かれただけで知られている。
【0013】
<実施形態>
[第1の実施の形態]
図2A図2Iを参照する。ここで、図2A図2Gは本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)プロセスを示す模式図であり、図2H図2A図2Gに示すように原子層堆積(ALD)プロセスにより形成された原子層堆積(ALD)皮膜を有する試料の断面図であり、図2Iは本発明の第1の実施の形態に係る従来の原子層堆積(ALD)プロセスにより形成された原子層堆積(ALD)皮膜のTEM写真である。
【0014】
まず、図2Gに示すように、上部20Aと底部20Bとが互いに対向するチャンバ20を備える原子層堆積(ALD)装置10を準備した。
【0015】
次に、図2A図2Bに示すように、ステージ36と複数の支持要素37とを備える試料キャリア35を用意した。ステージ36は、互いに対向する上面36A及び底面36Bを有し、支持要素37は、ステージ36の底面36Bに配置されている。試料キャリア35は、金属、セラミック、及びポリマー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料、例えば、限定されないが、ステンレス、銅、アルミニウム、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、又は酸化アルミニウムで被膜されたアルミニウム物品から作製することができる。
【0016】
次に、図2C~図2Fに示すように被膜面40Aと非被膜面40Bとが互いに対向する試料40を準備し、ステージ36の底部36Bに接着剤45を塗布して試料40を配置し、接着剤45でステージ36の底部36Bに固定した。図2E~図2Fに示すように、試料40の被膜面40Aをステージ36の底面36Bに貼り付けた。第1の実施の形態に係る接着剤45は、例えば、ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂、カーボン接着剤、銀接着剤等であるが、これらに限定されるものではない。本発明の他の実施形態によれば、接着剤45は、代替的に、試料40の非被膜面40B上に皮膜され得るか、又は接着剤45は、代替的に、ステージ36の底面36B及び試料40の非被膜面40B上に塗布され得る。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、両面テープ(図示せず)を使用して、上述の接着剤45を置き換え、試料40を両面テープ(図示せず)によってステージ36の底部36Bに配置して固定するように、ステージ36の底部36B及び/又は試料40の非被膜面40Bに貼り付けることもできる。両面テープは、例えば、銅両面テープ、炭素両面テープ、又はポリマー両面テープであり得るが、これらに限定されない。
【0018】
次に、図2E図2Fに示す試料キャリア35を、図2Gに示すチャンバ20の底部20Bに配置した。図2Gに示すように、ステージ36の上面36Aは、チャンバ20の上部20Aに面し、ステージ36の底面36Bは、チャンバ20の底部20Bに面し、互いにdの距離(d>0)だけ離間している。図2Gに示すように、試料の被膜面40Aは、チャンバ20の底部20Bの方を向き、非被膜面40Bは、チャンバ20の上部20Aの方を向いている。
【0019】
次に、図2Gに示す原子層堆積(ALD)工程を適用して、チャンバ20の上部20Aからチャンバ20の底部20B及び試料40の被膜面40Aに原子層堆積(ALD)用の反応ガスを流し、その上に原子層堆積(ALD)膜50を形成した。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)膜50は、限定されないが例えば室温等の温度で堆積され、限定されないが厚さが10nmの酸窒化タンタル膜である。また、原子層堆積(ALD)膜50は、酸化チタン(TiO)膜、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜、酸化白金(PtO)膜、酸化インジウムスズ(ITO)膜、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)膜等の他の金属酸化膜であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0021】
また、原子層堆積(ALD)膜50は、限定されないが、窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化モリブデン(MoN)膜、窒化チタン(TiN)膜又は窒化タンタル(TaN)膜などの金属窒化物膜であってもよい。あるいは、原子層堆積(ALD)膜50は、金属酸窒化膜であってもよい。
【0022】
最後に、試料キャリア35をチャンバ20から取り出し、次いで、試料キャリア35のステージ36から試料40を取り出した。その後、図2Hに示すように、被膜面40A上に原子層堆積(ALD)膜50が形成された試料40を得た。
【0023】
図2Iに示すTEM描像のように、チャンバ20の側壁(符号で示さず)上の粘着性粒子60が、原子層堆積(ALD)工程の間の重力に起因して、チャンバ20の底部20Bに対向する試料40の被膜面40Aに落ちないため、試料40の被膜面40A上に形成されたこの第1の実施の形態による得られた原子層堆積(ALD)膜50の表面は、極めて平坦である。
【0024】
[第2の実施形態]
図3A~3Gを参照する。ここで、3A~3Fは本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)プロセスを示す概略図であり、図3G図3A~3Fに示す原子層堆積(ALD)プロセスによってその上に原子層堆積(ALD)皮膜を形成した試料の断面図である。
【0025】
まず、図3Fに示すように、上部20Aと底部20Bとが互いに対向するチャンバ20を備える原子層堆積(ALD)装置10を準備した。
【0026】
次に、図3A図3Bに示すように、ステージ36と、複数の支持要素37と、複数のバッフル38とを備える試料キャリア35’を用意した。ステージ36は、互いに対向する上面36A及び底面36Bを備え、支持要素37は、ステージ36の底面に配置され、バッフル38の各々は、支持要素37の各々を備える。
【0027】
試料キャリア35’は、金属、セラミック、及びポリマー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料、例えば、限定されないが、ステンレス、銅アルミニウム、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、又は酸化アルミニウムで被膜されたアルミニウム製品から作製することができる。
【0028】
次に、図3C~図3Eに示すように、被膜面40Aと非被膜面40Bとを対向させた試料40を用意し、バッフル38によってステージ36の底面36Bに試料40を配置・固定した。あるいは、バッフル38は、ステージ36の底部36B上に配置することもでき(図示せず)、試料40は、バッフルによってステージの底部上に配置・固定された。
【0029】
次に、図3C~図3Eに示す試料キャリア35’を、図3Fに示すチャンバ20の底部20Bに配置した。図3Fに示すように、ステージ36の上面36Aは、チャンバ20の上部20Aに面し、ステージ36の底面36Bは、チャンバ20の底部20Bに面し、互いにdの距離(d>0)だけ離間している。図3Fに示すように、試料の被膜面40Aは、チャンバ20の底部20Bの方を向き、非被膜面40Bは、チャンバ20の上部20Aの方を向いている。
【0030】
次に、図3Fに示す原子層堆積(ALD)工程を適用して、チャンバ20の上部20Aからチャンバ20の底部20B及び試料40の被膜面40Aに原子層堆積(ALD)用の反応ガスを流し、その上に原子層堆積(ALD)膜50を形成した。
【0031】
本発明の第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)膜50は、それに限定されないが、例えば室温の温度で堆積された、それに限定されないが、例えば厚さが10nmの酸窒化タンタル膜である。また、原子層堆積(ALD)膜50は、酸化チタン(TiO)膜、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜、酸化白金(PtO)膜、酸化インジウムスズ(ITO)膜、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)膜等の他の金属酸化膜であってもよいが、これらに限定されるものではない。また、原子層堆積(ALD)膜50は、窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化モリブデン(MoN)膜、窒化チタン(TiN)膜又は窒化タンタル(TaN)膜などの金属窒化物膜であってもよい。あるいは、原子層堆積(ALD)膜50は、金属酸窒化膜であってもよい。
【0032】
最後に、試料キャリア35’をチャンバ20から取り出し、次いで、試料40を試料キャリア35のステージ36から取り出した。その後、図3Gに示すように、被膜面40Aに原子層堆積(ALD)膜50が形成された試料40を得た。
【0033】
得られた試料40の被膜面40Aに形成された第2の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)膜50の表面は、原子層堆積(ALD)工程中の重力によってチャンバ20の底部20Bに面する試料40の被膜面40Aに、チャンバ20の側壁(非表示)の粘着性粒子60が落下しなかったため、極めて平坦である。
【0034】
[第3の実施形態]
図4A~4Gを参照して説明する。ここで、図4A図4Fは、本発明の実施形態3に係る原子層堆積(ALD)プロセスを示す概略図であり、図4Gは、図4A図4Fに示すような原子層堆積(ALD)プロセスによってその上に原子層堆積(ALD)皮膜を形成した試料の断面図である。
【0035】
まず、図4Fに示すように、上部20Aと底部20Bとが対向するチャンバ20を備える原子層堆積(ALD)装置10を準備した。次に、図4A図4Bに示すように、ステージ36と、複数の支持要素37と、複数のサイドクリップ型ほぞ39とを備える試料キャリア35’’を用意した。ステージ36は、互いに対向する上面36A及び底面36Bを備え、支持要素37は、ステージ36の底面に配置され、サイドクリップ型ほぞ39の各々は、ほぞパッド391及びねじ392を備え、サイドクリップ型ほぞ39の各々は、支持要素37の各々を備える。
【0036】
図4A~4Bに示すように、支持要素37の各々は、ほぞパッド391とねじ392とによって挟まれており、ねじ392は支持要素37を通過してほぞパッド391を横方向に前進させる。試料キャリア35’’は、金属、セラミック、及びポリマー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料、例えば、限定されないが、ステンレス、銅アルミニウム、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、又は酸化アルミニウムで被膜されたアルミニウム製品から作製することができる。
【0037】
次に、図4C~図4Eに示すように、被膜面40Aと非被膜面40Bとを互いに対向させた試料40を用意し、支持要素37を貫通するネジ392により試料40をステージ36の底面36Bに配置して固定し、ほぞパッド391を試料40の側縁(ラベルなし)に対して横方向に前進させた。この第3の実施形態で使用されるほぞ39は、ほぞパッド391及びねじ392を備えるが、他のタイプのほぞも、本発明による他の実施形態で代替的に使用することができる。
【0038】
次に、図4C~図4Eに示す試料キャリア35’’を、図4Fに示すチャンバ20の底部20Bに配置した。図4Fに示すように、ステージ36の上面36Aは、チャンバ20の上部20Aに面し、ステージ36の底面36Bは、チャンバ20の底部20Bに面し、互いにdの距離(d>0)だけ離間している。図4Fに示すように、試料の被膜面40Aは、チャンバ20の底部20Bの方を向き、非被膜面40Bは、チャンバ20の上部20Aの方を向いている。
【0039】
次に、図4Fに示す原子層堆積(ALD)工程を適用して、チャンバ20の上部20Aからチャンバ20の底部20B及び試料40の被膜面40Aに原子層堆積(ALD)用の反応ガスを流し、その上に原子層堆積(ALD)膜50を形成した。
【0040】
第3の実施の形態に係る原子層堆積(ALD)膜50は、それに限定されないが、例えば室温等の温度で堆積された、それに限定されないが、例えば厚さが10nmの酸窒化タンタル膜である。また、原子層堆積(ALD)膜50は、酸化チタン(TiO)膜、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜、酸化白金(PtO)膜、酸化インジウムスズ(ITO)膜、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)膜等の他の金属酸化膜であってもよいが、これらに限定されるものではない。また、原子層堆積(ALD)膜50は、それに限定されないが、例えば窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化モリブデン(MoN)膜、窒化チタン(TiN)膜又は窒化タンタル(TaN)膜などの金属窒化物膜であってもよい。あるいは、原子層堆積(ALD)膜50は、金属酸窒化膜であってもよい。
【0041】
最後に、試料キャリア35’’をチャンバ20から取り出し、次に、試料キャリア35のステージ36から試料40を取り出した。その後、図4Gに示すように、被膜面40Aに原子層堆積(ALD)膜50が形成された試料40を得た。
【0042】
得られた試料40の被膜面40Aに形成された原子層堆積(ALD)膜50の表面は、原子層堆積(ALD)工程中の重力によってチャンバ20の底部20Bに面する試料40の被膜面40Aに、チャンバ20の側壁(非表示)の粘着性粒子60が落下することがないため、極めて平坦である。
【0043】
特定の実施形態が示されて説明されたが、上記の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、以下の特許請求の範囲によって文字通りかつ等価的に包含されるように、様々な変更及び修正を行うことができることを理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
【外国語明細書】