(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043575
(43)【公開日】2024-04-01
(54)【発明の名称】第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/16 20060101AFI20240325BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240325BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20240325BHJP
【FI】
B23K26/16
B23Q11/00 Q
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148041
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】22196410
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523350062
【氏名又は名称】マイヤー・ブレヒテヒニク・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・マイヤー
【テーマコード(参考)】
3C011
4E168
【Fターム(参考)】
3C011BB12
3C011BB18
4E168AD07
4E168FC00
4E168HA05
4E168HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングする装置を提供する。
【解決手段】第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)は、互いに略平行に延びるように配置されていてそれぞれ長手方向(5)に沿って延在する複数の台スキッド(2)を有する、装置(1)は、クリーニングヘッド(12)を支持する支持構造(10)と、クリーニングヘッド(12)を支持構造(10)に対して相対的に動かす運動機構とを備えている。運動機構は、クリーニングヘッド(12)を鉛直方向で動かす昇降装置と、クリーニングヘッド(12)を台スキッド(2)に沿って動かす長手方向走行装置とを有している。支持構造(10)は、支持構造(10)を床面(8)上で横方向(18)に沿って動かす走行装置を有し、これにより、支持構造(10)は、台スキッド(2)に対して横方向で可動である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングする装置(1)であって、
前記第1のレーザ切断機械(4)は、予め決定可能な第1の設置場所に存在し、
前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1のワーク台(3)は、ワークを載置する複数の台スキッド(2)であって、互いに略平行に延びるように配置されていてそれぞれ長手方向(5)に沿って延在する台スキッド(2)を有し、
前記装置(1)は、前記第1のワーク台(3)の前記台スキッド(2)をクリーニングするクリーニングツール(17)を有するクリーニングヘッド(12)を支持する支持構造(10)と、前記クリーニングヘッド(12)を前記支持構造(10)に対して相対的に動かす運動機構とを備え、
前記運動機構は、前記クリーニングヘッド(12)を前記第1のワーク台(3)の前記台スキッド(2)上に載置し、台スキッド(2)を前記クリーニングツール(17)と接触させるとともに、前記クリーニングヘッド(12)を、前記台スキッド(2)のクリーニング後、前記第1のワーク台(3)の前記台スキッド(2)から浮上させるべく、前記クリーニングヘッド(12)を鉛直方向(7)で上昇及び下降させる昇降装置を有し、
前記運動機構は、前記クリーニングヘッド(12)を前記第1のワーク台(3)の前記台スキッド(2)に沿って動かすべく、前記クリーニングヘッド(12)を前記長手方向(5)に沿って動かす長手方向走行装置(M,G)を有し、
前記支持構造(10)は、前記支持構造(10)を前記第1の設置場所における床面(8)上で、前記長手方向(5)に対して横方向で延びる横方向(18)に沿って動かす走行装置(37,38)を有し、これにより、前記支持構造は、前記台スキッド(2)に対して横方向で可動に形成されており、これにより、前記クリーニングヘッド(12)をある台スキッド(2)から別のあるスキッド(2)へ動かし、前記第1のワーク台(3)の複数の台スキッド(2)を前記クリーニングヘッド(12)により漸次クリーニングすることができるようになっており、
前記支持構造(10)は、前記走行装置(37,38)により前記床面(8)上を走行可能であり、前記支持構造(10)は、前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングすべく、前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1の設置場所に向かって走行可能に形成されているとともに、前記支持構造(4)は、前記クリーニングヘッド(12)により第2のレーザ切断機械(39)の第2のワーク台(40)の台スキッド(2)をクリーニングすべく、前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1の設置場所から離れる方向に走行可能かつ前記第2のレーザ切断機械(39)の予め決定可能な第2の設置場所に向かって走行可能であるようになっている、
第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングする装置(1)。
【請求項2】
前記クリーニングヘッド(12)は、前記クリーニングヘッド(12)を前記台スキッド(2)上に載置するガイドプレート(16)を有する、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記支持構造(10)に結合されていて前記台スキッド(2)に沿って方向付け可能なガイドアーム(15)を備え、
前記クリーニングヘッド(12)は、前記クリーニングヘッド(12)が前記長手方向走行装置(M,G)により前記ガイドアーム(15)に沿って可動であるように、前記ガイドアーム(15)にガイドされている、
請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ガイドアーム(15)は、前記支持構造(10)に、予め決定可能な立体角内で揺動自在に支承されている、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記クリーニングヘッド(12)の前記クリーニングツール(17)は、複数の前記台スキッド(2)のうちの1つの台スキッド(2)を受け入れる、前記横方向(18)に関して対向する2つのクリーニング手段(19)を有し、
前記クリーニング手段(19)は、それぞれ、前記横方向(18)及び前記鉛直方向(7)に沿って可動に形成されており、これにより、前記クリーニング手段(19)は、複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)に付着した堆積物(9)を擦り取るかつ/又は削り取るように加工すべく、複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)の、前記横方向(18)に対して横方向で延びる側面(20)に対して相対的に可動に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記支持構造(10)は、前記横方向(18)に沿って動かすべく、基礎(8)上に配置されていて前記横方向(18)に沿って延在するガイドレール(36)に連結可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記走行装置は、前記支持構造(10)の、前記床面(8)に面した下面に配置される少なくとも1つのガイドローラ(37)を有し、前記ガイドローラ(37)は、前記支持構造(10)が前記ガイドローラ(37)により前記ガイドレール(37)にガイドされて前記ガイドレール(37)の長手方向で可動であるように、前記ガイドレール(37)に連結可能である、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記支持構造(10)は、前記ガイドローラ(37)を前記ガイドレール(36)上に下ろし、かつ前記ガイドローラ(37)を前記ガイドレール(36)から持ち上げる上昇/下降機構を有する、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記走行装置は、前記支持構造(10)の、前記床面(8)に面した下面に配置される、前記支持構造(10)を前記床面(8)上で走行させる少なくとも3つのローラ(38)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ローラ(38)の少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つの前記ガイドローラ(37)は、前記支持構造(10)を前記ガイドレール(36)に沿って動かすべく、駆動部により駆動可能である、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(1)を用いて第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングする方法(50)であって、
前記支持構造(10)を前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1の設置場所に向かって走行させ、
前記支持構造(10)を、前記クリーニングヘッド(12)が前記台スキッド(2)に沿って可動であるように方向付け、
前記クリーニングヘッド(12)を前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1のワーク台(3)の複数の前記台スキッド(2)上に前記昇降装置により載置し、前記クリーニングツール(17)を複数の前記台スキッド(2)のうちの1つの台スキッド(2)と接触させ、
前記クリーニングヘッド(12)を複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)に沿って前記長手方向走行装置により動かし、このとき、複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)をクリーニングする、
方法ステップ(51,52,53,54)を含む、
第1のレーザ切断機械(4)の第1のワーク台(3)の台スキッド(2)をクリーニングする方法(50)。
【請求項12】
前記クリーニングヘッド(12)を前記台スキッド(2)から前記昇降装置により浮上させ、
前記支持構造(10)を前記横方向(18)に沿って前記走行装置により動かし、このとき、前記クリーニングヘッド(12)を複数の前記台スキッド(2)のうちの1つの別の台スキッド(2)に向かって動かし、
前記クリーニングヘッド(12)を前記第1のレーザ切断機械(4)の前記ワーク台(3)の複数の前記台スキッド(2)上に前記昇降装置により載置し、このとき、前記クリーニングツール(12)を複数の前記台スキッド(2)のうちの前記別の台スキッド(2)と接触させ、
前記クリーニングヘッド(12)を複数の前記台スキッド(2)のうちの前記別の台スキッド(2)に沿って前記長手方向走行装置により動かし、このとき、複数の前記台スキッド(2)のうちの前記別の台スキッド(2)をクリーニングする、
さらなる方法ステップ(55,56,57,58)を含む、
請求項11に記載の方法(50)。
【請求項13】
前記クリーニングヘッド(12)を前記第1のレーザ切断機械(4)の前記第1のワーク台(3)から前記昇降装置により浮上させ、
前記支持構造(10)を前記第2のレーザ切断機械(39)に向かって走行させ、
前記支持構造(10)を、前記クリーニングヘッド(12)が前記第2のレーザ切断機械(39)の前記第2のワーク台(40)の台スキッド(2)に沿って可動であるように方向付け、
前記クリーニングヘッド(12)を前記第2のレーザ切断機械(39)の前記第2のワーク台(40)の複数の前記台スキッド(2)のうちの1つの台スキッド(2)上に前記昇降装置により載置し、このとき、前記クリーニングツール(12)を前記第2のワーク台(40)の複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)と接触させ、
前記クリーニングヘッド(12)を前記第2のレーザ切断機械(39)の前記第2のワーク台(40)の複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)に沿って前記長手方向走行装置により動かし、このとき、前記第2のワーク台(40)の複数の前記台スキッド(2)のうちの前記1つの台スキッド(2)の堆積物(9)を除去する、
さらなる方法ステップ(59,60,61,62,63)を含む、
請求項11又は12に記載の方法(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする装置、及び第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断機械のワーク台は、典型的には、ワークを載置する複数の、互いに平行に延びるように配置される台スキッドを有している。ワークをレーザにより切断する際、堆積物が台スキッドに生じる。ワークが金属の材料を含み、金属の材料がワークの切断時に溶融される場合、特に頑固な堆積物が台スキッドに生じる。台スキッドを何度も使用することができるようにするには、台スキッドは、クリーニングされなければならない。
【0003】
特許文献1において、熱を利用してワークを切断する工作機械に設けられたワーク台の台スキッドをクリーニングする機械式の台スキッドクリーナであって、クリーニング手段支持体を備え、クリーニング手段支持体には、少なくとも1つのクリーニング手段が設けられており、クリーニング手段支持体には、台スキッドのクリーニング時、台スキッドの長手方向側面が割り当てられている、台スキッドクリーナが公知である。この台スキッドクリーナは、横方向駆動部を備え、横方向駆動部は、台スキッドのクリーニング時、クリーニング手段支持体と台スキッドとを、互いに相対的に、台スキッドの、クリーニング手段支持体に割り当てられた長手方向側面に対して横方向で、周期的に互いに接近したり、互いに離間したりするように動かす。さらにこの台スキッドクリーナは、平行駆動部を備え、これにより、クリーニング手段支持体と台スキッドとを周期的な行程運動で互いに相対的に動かし、これにより、台スキッド上の堆積物を除去することができる。
【0004】
特許文献2において、ワーク台の台スキッドをクリーニングする機械式の装置が公知である。この機械式の装置は、送り手段を有する送り駆動部を備え、送り手段は、送り運動を発生させるべく、クリーニングすべき台スキッドに宛がわれる。こうして、送り力の主たる部分は、装置のオペレータによって加えられるのではなく、装置の独自駆動部によって加えられる。
【0005】
特許文献3において、ワーク台の台スキッドをクリーニングする機械式のアッセンブリであって、ワーク台を搬送軸線に沿って動かす搬送装置と、サービス装置とを備え、サービス装置は、台スキッドをクリーニングするツールを有する、機械式のアッセンブリが公知である。サービス装置は、それぞれ搬送方向に対して垂直に延びる2方向に沿って可動であり、これにより、サービス装置の行程運動と、台スキッドに対して横方向でのサービス装置の動きとが可能とされる。
【0006】
特許文献4において、台スキッドをクリーニングするサービス装置を有するレーザ切断機械が公知である。レーザ切断機械は、サービス装置を、互いに垂直に延びる3方向に沿って動かす運動機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2338616号明細書
【特許文献2】欧州特許第1655081号明細書
【特許文献3】欧州特許第2082813号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102017210182号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある課題は、レーザ切断機械のワーク台の台スキッドをクリーニングする改良された装置を提供することである。別の課題は、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする改良された方法を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、請求項1の特徴を備える、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする装置と、請求項11の特徴を備える、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする方法とにより解決される。
【0010】
装置は、予め決定可能な第1の設置場所に存在する第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングすべく、形成されており、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台は、ワークを載置する複数の台スキッドであって、互いに略平行に延びるように配置されていてそれぞれ長手方向に沿って延在する台スキッドを有している。装置は、第1のワーク台の台スキッドをクリーニングするクリーニングツールを有するクリーニングヘッドを支持する支持構造と、クリーニングヘッドを支持構造に対して相対的に動かす運動機構とを備えている。運動機構は、クリーニングヘッドを第1のワーク台の台スキッド上に載置し、台スキッドをクリーニングツールと接触させるとともに、クリーニングヘッドを、台スキッドのクリーニング後、第1のワーク台の台スキッドから浮上させるべく、クリーニングヘッドを鉛直方向で上昇及び下降させる昇降装置を有している。運動機構は、クリーニングヘッドを第1のワーク台の台スキッドに沿って動かすべく、クリーニングヘッドを長手方向に沿って動かす長手方向走行装置を有している。支持構造は、支持構造を第1の設置場所における床面上で、長手方向に対して横方向で延びる横方向に沿って動かす走行装置を有し、これにより、支持構造は、台スキッドに対して横方向で可動に形成されており、これにより、クリーニングヘッドをある台スキッドから別のある台スキッドへ動かし、第1のワーク台の複数の台スキッドをクリーニングヘッドにより漸次クリーニングすることができるようになっている。支持構造は、走行装置により床面上を走行可能であり、支持構造は、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングすべく、第1のレーザ切断機械の第1の設置場所に向かって走行可能に形成されているとともに、支持構造は、クリーニングヘッドにより第2のレーザ切断機械の第2のワーク台の台スキッドをクリーニングすべく、第1のレーザ切断機械の第1の設置場所から離れる方向に走行可能かつ第2のレーザ切断機械の予め決定可能な第2の設置場所に向かって走行可能であるようになっている。
【0011】
有利には、装置は、装置若しくは支持構造又はクリーニングヘッドを使用者が手動で動かす必要なく、ワーク台の台スキッドを全自動化してクリーニングし得ることを可能にする。この理由から、装置は、クリーニングヘッドを鉛直にかつ台スキッドに沿って動かすことができるように、昇降装置及び長手方向走行装置を有する運動機構と、支持構造を運動機構とともに台スキッドに対して横方向で動かすことを可能にする走行装置とを備えている。台スキッドの全自動化されたクリーニングに基づき、ワーク台は、有利には効率的に、かつ特に迅速にクリーニングされ得る。
【0012】
さらに装置は、空間的に移動できるように形成されており、レーザ切断機械自体の構成部分ではないという利点を提供する。こうして、異なるレーザ切断機械のワーク台が、レーザ切断機械の設置場所に依存せずクリーニングされ得る。このことは、走行装置により可能とされ、これにより、支持構造は、床面上を走行可能に形成されている。装置は、レーザ切断機械の既存の設備周りに依存しない自己完結型のシステムである。装置の運転開始のために、有利には、既存のレーザ切断機械における技術的な変更は、不要である。
【0013】
一実施の形態において、クリーニングヘッドは、クリーニングヘッドを台スキッド上に載置するガイドプレートを有している。有利には、ガイドプレートにより、台スキッドのクリーニング時、台スキッドに対して相対的なクリーニングヘッドの鉛直の位置が、予め決定あるいは規定される。これにより、どの程度、クリーニングヘッドが昇降装置により下ろされ、かつどの程度、台スキッドがクリーニングツール内に係合すべきか、予め決定されている。
【0014】
一実施の形態において、装置は、支持構造に結合されていて台スキッドに沿って方向付け可能なガイドアームを備えている。クリーニングヘッドは、クリーニングヘッドが長手方向走行装置によりガイドアームに沿って(ガイドアームの長手方向で)可動であるように、ガイドアームにガイドされている。長手方向走行装置は、この場合、クリーニングヘッドをガイドアームに沿って動かすべく、クリーニングヘッドに配置されていてもよい。代替的には、支持構造が長手方向走行装置を有し、クリーニングヘッドがガイドアームに取り付けられていてもよく、この場合は、長手方向走行装置が、ガイドアームをクリーニングヘッドとともに長手方向で動かすべく形成されている。代替的には、ガイドアームが、伸縮自在に進出可能な構造であって、クリーニングヘッドを支持し、クリーニングヘッドを長手方向に沿って動かすべく、長手方向走行装置により長手方向で進出可能な構造として形成されていてもよい。
【0015】
一実施の形態において、ガイドアームは、支持構造に、予め決定可能な立体角内で揺動自在に支承されている。有利には、ガイドアームと支持構造との間の結合は、これによりフレキシブルであり、リジッドには形成されていない。例えば台スキッドに付着した凝固した金属の堆積物のクリーニング時、大きな力がガイドアームと支持構造とに伝達されることがあるので、このフレキシビリティは、装置を損傷、例えばガイドアームにおける損傷から保護し得る。
【0016】
一実施の形態において、クリーニングヘッドのクリーニングツールは、複数の台スキッドのうちの1つの台スキッドを受け入れる、横方向に関して対向する2つのクリーニング手段を有している。クリーニング手段は、それぞれ、横方向及び鉛直方向に沿って可動に形成されており、これにより、クリーニング手段は、複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドに付着した堆積物を擦り取るかつ/又は削り取るように加工すべく、複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドの、横方向に対して横方向で延びる側面に対して相対的に可動に形成されている。有利には、堆積物は、このように形成されるクリーニングヘッドにより特に効率的に台スキッドから除去され得る。
【0017】
一実施の形態において、支持構造は、横方向に沿って動かすべく、基礎上に配置されていて横方向に沿って延在するガイドレールに連結可能である。有利には、これにより、横方向に沿った直線状の運動が保証される。基礎は、例えば床面により形成されてもよい。代替的には、基礎は、第1又は第2のレーザ切断機械の、床面に対して高められているセクションにより形成されてもよい。ガイドレールは、しかし、必須ではない。走行装置は、代替的に、支持構造をガイドラインに沿って動かすためにプログラミングされてもよい。代替的又は付加的に、レーザビームが、横方向に沿った支持構造のガイドのために使用されてもよい。ガイドレールは、必ずしも必要というわけではない。
【0018】
前に挙げた実施の形態の一発展形において、走行装置は、支持構造の、床面に面した下面に配置される少なくとも1つのガイドローラを有していてもよく、ガイドローラは、支持構造がガイドローラによりガイドレールにガイドされてガイドレールの長手方向で可動であるように、ガイドレールに連結可能である。有利には、支持構造は、こうして特に簡単に横方向に沿って可動である。ガイドローラをガイドレールに連結すべく、ガイドローラは、例えばノッチを有していてもよく、ノッチは、ガイドレールを受け入れるべく、設けられている。しかし、支持構造が、ガイドローラによってはガイドレールに連結されないことも可能である。例えば支持構造は、ガイドレール内に係合する玉軸受を有するコンポーネントを有していてもよい。
【0019】
一実施の形態において、支持構造は、ガイドローラをガイドレール上に下ろし、かつガイドローラをガイドレールから持ち上げる上昇/下降機構を有している。
【0020】
一実施の形態において、装置の走行装置は、支持構造の、床面に面した下面に配置される、支持構造を床面上で走行させる少なくとも3つのローラを有している。これにより、支持構造は、空間的に移動できるように形成されている。このことは、有利には、空間的に分配配置される設置場所に互いに別個に据え置かれていることが可能な複数のレーザ切断機械の複数の異なる設置場所において装置を使用することを可能にする。
【0021】
一実施の形態において、ローラの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つのガイドローラは、支持構造をガイドレールに沿って動かすべく、駆動部により駆動可能である。
【0022】
本発明に係る装置を用いて第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする方法は、支持構造を第1のレーザ切断機械の設置場所に向かって走行させ、支持構造を、クリーニングヘッドが台スキッドに沿って可動であるように方向付け、クリーニングヘッドを第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の複数の台スキッド上に昇降装置により載置し、複数の台スキッドのうちの1つの台スキッドをクリーニングツールと接触させ、クリーニングヘッドを複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドに沿って長手方向走行装置により動かし、このとき、複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドをクリーニングする、方法ステップを含んでいる。
【0023】
一実施の形態において、本方法は、クリーニングヘッドを台スキッドから昇降装置により浮上させ、支持構造を横方向に沿って走行装置により動かし、このとき、クリーニングヘッドを複数の台スキッドのうちの1つの別の台スキッドに向かって動かし、クリーニングヘッドを第1のレーザ切断機械のワーク台の複数の台スキッド上に昇降装置により載置し、このとき、クリーニングツールを複数の台スキッドのうちの上記別の台スキッドと接触させ、クリーニングヘッドを複数の台スキッドのうちの上記別の台スキッドに沿って長手方向走行装置により動かし、このとき、複数の台スキッドのうちの上記別の台スキッドをクリーニングする、さらなる方法ステップを含んでいる。
【0024】
一実施の形態において、本方法は、クリーニングヘッドを第1のレーザ切断機械の第1のワーク台から昇降装置により浮上させ、支持構造を第2のレーザ切断機械に向かって走行させ、クリーニングヘッドが第2のレーザ切断機械の第2のワーク台の台スキッドに沿って可動であるように方向付け、クリーニングヘッドを第2のレーザ切断機械の第2のワーク台の複数の台スキッド上に昇降装置により載置し、このとき、クリーニングツールを第2のワーク台の複数の台スキッドのうちの1つの台スキッドと接触させ、クリーニングヘッドを第2のレーザ切断機械の第2のワーク台の複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドに沿って長手方向走行装置により動かし、このとき、第2のワーク台の複数の台スキッドのうちの上記1つの台スキッドに付着した堆積物を除去する、さらなる方法ステップを含んでいる。
【0025】
本発明のさらなる詳細並びに本発明に係る装置及び本発明に係る方法の特に例示的な実施の形態について、以下に添付の図面を基に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1のレーザ切断機械の第1のワーク台の台スキッドをクリーニングする装置の斜視図である。
【
図2】
図1の装置の、ガイドアームに結合されるクリーニングヘッドの斜視図である。
【
図3】
図1の装置の支持構造へのガイドアームの支承部の斜視図である。
【
図6】第1のレーザ切断機械の設置場所にある装置と、別の設置場所にある第2のレーザ切断機械との斜視図である。
【
図7】レーザ切断機械のワーク台の台スキッドをクリーニングする方法の方法ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、予め決定可能な第1の設置場所に存在する第1のレーザ切断機械4の第1のワーク台3の台スキッド2をクリーニングする装置1の斜視図と、第1のワーク台3の拡大図とを概略的に示している。
【0028】
第1のレーザ切断機械4の主要な要素は、
図1では見やすくするために図示していない。第1のレーザ切断機械4は、ワークをレーザにより加工すべく、形成されている。加工時、ワークの材料のアブレーションプロセスが実施される。ワークは、例えば金属の材料を含んでいることがある。レーザ切断時、ワークは、レーザによりカット可能である。
【0029】
第1のワーク台3は、ワークを載置する複数の台スキッド2であって、互いに略平行に延びるように配置されていてそれぞれ長手方向5に沿って延在する台スキッド2を有している。台スキッド2は、例示的に金属の材料を含んでいるが、別の材料を含んでいてもよい。台スキッド2は、歯6を有し、歯6は、ワークを載置するために用いられ、ワークに対する台スキッド2の接触面は、台スキッドの、長手方向5に対して垂直に延びる鉛直方向7に沿って、第1の設置場所における床面8から離れる方向に突出する歯6により減じられる。
図1に示す歯6の数は、例示的にのみ選択されており、台スキッド2は、それぞれ任意の数の歯6を有していてもよい。台スキッド2は、しかし、必ずしも歯6を有している必要はない。台スキッド2は、代替的に別の構造、例えば鉛直方向7で波打った構造を有していてもよい。
【0030】
レーザ切断時、ワークは、台スキッド2上に載置されている。ワークは、アブレーションプロセスによって局所的に溶融し、その都度発生される溶融物は、部分的に第1のワーク台3上に到達し、第1のワーク台3において再び凝固し、その際に堆積物9を第1のワーク台3上に形成してしまう。
図1には、ワーク台3の一部セクションの拡大図で、例示的に3つの台スキッド2を示してあり、これらの台スキッド2のうち、例示的に2つの台スキッド2が、レーザ切断時に生じた堆積物9を有している。
【0031】
装置1は、支持構造10を備えている。支持構造10は、例示的にハウジング11を有しているが、このことは、必ずしも必要というわけではない。例えば、支持構造10がフレームさえ有していれば、十分であり得る。支持構造10は、第1のワーク台3の台スキッド2をクリーニングする
図1の図示では不可視のクリーニングツールを有するクリーニングヘッド12を支持している。
【0032】
装置1は、クリーニングヘッド12を支持構造10に対して相対的に動かす運動機構を備えている。運動機構は、クリーニングヘッド12を鉛直方向7で上昇及び下降させる(図面には示さない)昇降装置を有し、これにより、クリーニングヘッド12を、台スキッド2がクリーニングツールと接触するように、第1のワーク台3の台スキッド2上に載置することが可能である。台スキッド2のクリーニング後、クリーニングヘッド12は、昇降装置により第1のワーク台3の台スキッド2から浮上され得る。
【0033】
昇降装置は、支持構造10内に配置されている。支持構造10は、下側のセクション13と、上側のセクション14とを有している。クリーニングヘッド12は、上側のセクション14に結合されている。昇降装置は、支持構造10の上側のセクション14を鉛直方向7で動かすべく、設けられている。これにより、クリーニングヘッド12は、鉛直方向7で台スキッド2に対して相対的に動かされ得る。しかし、支持構造10が、下側及び上側のセクション13,14を有し、クリーニングヘッド12が結合されている上側のセクション14が、昇降装置により可動であることは、必ずしも必要というわけではない。
図1は、任意選択的なガイドアーム15を示しており、ガイドアーム15には、クリーニングヘッド12が結合されている。昇降装置は、例えば、ガイドアーム15のみを鉛直方向7で動かすべく、形成されていてもよく、これによっても、クリーニングヘッド12は、同じく鉛直方向7で可動に形成されている。装置1がガイドアーム15を備える
図1の例示的な図示において、ガイドアーム15は、支持構造10の上側のセクション14に結合されており、支持構造10の上側のセクション14は、昇降装置により鉛直方向7で動かされ得る、あるいは上昇及び下降され得る。
【0034】
図2は、任意選択的なガイドアーム15に結合されるクリーニングヘッド12の詳細を斜視図で概略的に示している。
図1の符号は、踏襲される。
【0035】
クリーニングヘッド12は、例示的に、クリーニングヘッド12を台スキッド2上に載置するガイドプレート16を有している。ガイドプレート16により、どの程度、クリーニングヘッド12が、台スキッド2に対して相対的に下ろされ得るか、決定される。ガイドプレート16は、しかし、省略されてもよい。代替的には、例えばクリーニングヘッド12の所望の鉛直の位置が、装置1の記憶装置内に格納されていてもよい。台スキッド2のクリーニング時の、クリーニングヘッド12のこの鉛直の位置は、この場合、昇降装置により適宜制御され得る。
【0036】
図2は、クリーニングヘッド12のクリーニングツール17を示している。クリーニングツール17は、ガイドプレート16内に設けられた開口を通して、鉛直方向7で突出している。クリーニングツール17は、第1のワーク台3の台スキッド2を受け入れる、長手方向5に対して垂直にかつ鉛直方向7に対して垂直に延びる横方向18に関して対向する2つのクリーニング手段19を有している。1つの台スキッド2のクリーニング時、該当する台スキッド2は、クリーニングツール17のクリーニング手段19間に突入する。これにより、クリーニングヘッド12は、1つの台スキッド2のクリーニング時、この台スキッド2に沿ってガイドされる。任意選択的には、ガイドプレート16が、クリーニングすべき台スキッド2と、隣接する台スキッド2とに載置され、これにより、クリーニングヘッド12が、鉛直方向7で安定化される。
図2のクリーニングヘッド12は、例示的に1つのクリーニングツール17のみを有している。クリーニングヘッド12は、しかし、複数のクリーニングツール17を有していてもよく、複数のクリーニングツール17は、例えば横方向18で相並んで配置されており、これにより、複数の台スキッド2を同時にクリーニングすることができる。
【0037】
クリーニング手段19は、それぞれ、横方向18及び鉛直方向7に沿って可動に形成されており、これにより、クリーニング手段19は、複数の台スキッド2のうちの1つの台スキッド2の、横方向18に対して横方向で延びる側面20に対して相対的に可動に形成されている。これにより、複数の台スキッド2のうちの1つの台スキッド2に付着した堆積物9は、擦り取るかつ/又は削り取るように加工され、この加工によって除去され得る。
【0038】
クリーニング手段19は、例えば、それぞれ、これらのクリーニング手段19が、鉛直方向7と横方向18とにより画定される平面内で、円形又は楕円形の軌道に沿って動かされるように可動である。クリーニング手段19は、しかし、別の軌道に沿って動かされてもよい。重要なのは、クリーニング手段19のこの動きによって、クリーニングすべき台スキッド2の堆積物9が機械的に加工され、これにより、堆積物9を除去することが可能であることである。クリーニング手段19は、堆積物9に対する削り取り作用を高めるべく、例えば歯が付けられて形成されていてもよい。
【0039】
ガイドプレート16は、ホルダ21に結合されている。ホルダ21は、振動ダンパ22に取り付けられており、ガイドプレート16をガイドする。振動ダンパ22は、1つの台スキッド2のクリーニング時、クリーニングツール17のクリーニング手段19の擦り取るような動き及び削り取るような動きの結果として生じるバイブレーションの大半を吸収する。加えて振動ダンパ22は、第1のワーク台3の凹凸を補償し、ガイドプレートを一様に追従させることを可能にする。振動ダンパ22は、結合プレート23に取り付けられている。結合プレート23は、2つの軸受シェル24に結合されている。軸受シェル24は、玉軸受25を有し、玉軸受25は、鉛直方向7及び横方向18に沿った力を吸収し得る。ガイドアーム15は、軸受シェル24を通して突出し、あるいは軸受シェル24によって取り囲まれるように係合される。クリーニングヘッド12は、玉軸受25によりガイドアーム15に沿って可動である。
【0040】
運動機構は、昇降装置の他に、クリーニングヘッド12を長手方向5に沿って動かす長手方向走行装置を有し、これにより、クリーニングヘッド12を第1のワーク台3の台スキッド2に沿って動かすことが可能である。例示的な本実施の形態において、装置1は、支持構造10に結合されるガイドアーム15を備えている。ガイドアーム15は、台スキッド2に沿ってあるいは長手方向5に沿って方向付け可能である。クリーニングヘッド12をガイドアーム15あるいはクリーニングすべき台スキッド2に沿って動かすべく、クリーニングヘッド12に長手方向走行装置が配置されており、長手方向走行装置は、本例では、1つの駆動モータMを有し、駆動モータMは、駆動モータMにより駆動される伝動機構Gを有し、伝動機構Gは、台スキッドを低速でかつ強力にクリーニングすることを可能にする。伝動機構Gの伝動機構出力部上には、(図面には示さない)駆動歯車が装着されている。駆動歯車は、ガイドアーム15の長手方向で延在するラック26に係合する。この強制ガイドの構造は、長手方向5に沿ったクリーニングヘッド12の確動を保証する。クリーニングヘッド12が噛んで動かなくなってしまったときは、クリーニングヘッド12を逆走させることで再解除可能である。
図2には、ラック26のみを示してあり、これに対して、伝動機構出力部に装着された駆動歯車は、クリーニングヘッド12の、
図2に示す軸受シェル24のうちの一方の軸受シェル24の背後に配置されており、それゆえ
図2には不可視である。
【0041】
しかし、クリーニングヘッド12が、長手方向走行装置を有することは、必ずしも必要というわけではない。例えば、代替的に支持構造10が、長手方向走行装置を有していて、これにより、クリーニングヘッド12をガイドアーム15に沿って動かすことができるようになっていてもよい。代替的には、長手方向走行装置が、ガイドアーム15を長手方向5あるいは台スキッド2に沿って動かすべく、形成されていてもよい。この場合、クリーニングヘッド12は、堅固にガイドアーム15に結合されていてもよい。ガイドアーム15は、別の代替的な一実施の形態において、長手方向走行装置により伸縮自在に進出可能に形成されていて、これにより、ガイドアームを台スキッド2あるいは長手方向5に沿って進出させ、クリーニングヘッド12を台スキッド2あるいは長手方向5に沿って動かすことができるようになっていてもよい。
【0042】
図3は、任意選択的なガイドアーム15と、クリーニングヘッド12とを有する支持構造10を斜視図で概略的に示している。
図1及び
図2の符号は、踏襲される。支持構造10のハウジング11は、
図3には示していない。その代わりに支持構造10のフレームのみを示してあり、これにより、支持構造10の内部に設けられた要素が看取可能である。
【0043】
ガイドアーム15に結合されるクリーニングヘッド12が、1つの台スキッド2をクリーニングするとき、かつこの台スキッド2に沿って動くとき、第1のワーク台3及び台スキッド2又は床面8の凹凸に順応し得るように、ガイドアーム15は、支持構造10に、予め決定可能な立体角内で揺動自在に支承されている。
【0044】
ガイドアーム15は、この目的のためにフランジ軸受30を介して支持構造10に結合されている。フランジ軸受30は、ガイドアーム15の揺動点を形成する。高さ補償のために、支持構造10は、U形材ガイドレール27を有している。ガイドアーム15は、玉軸受を有するラグ31を有し、ラグ31は、U形材ガイドレール27内でガイド可能である。横方向18に沿って、支持構造10は、U形材ガイドレール27の両側に配置されるガイド軸線28を有し、ガイド軸線28は、鉛直方向7に沿って、かつそれぞれU形材ガイドレール27を貫いて延在している。U形材ガイドレール27により、ガイドアーム15は、横方向18に沿ってガイドされるが、ガイド軸線28あるいは鉛直方向7に沿って自由に可動である。ガイドアーム15の、鉛直方向7で生じる変位は、ばね29により緩衝される。ばね29は、それぞれ、鉛直方向7に沿ってU形材ガイドレール27の両側にガイド軸線28に沿って延びるように配置されている。ばね29は、ガイドアーム15の鉛直の動きを制限する。クリーニングプロセス中に発生される鉛直の衝撃は、ガイドアーム15を介してばね29に伝達され、ばね29により緩衝される。
【0045】
ガイドアーム15を再びU形材ガイドレール27の中央にポジショニングすることができるように、ガイドアーム15の係止機構32が、支持構造10のガイド板33内に押し込まれる。係止機構32は、加えて別のばね34を有し、この別のばね34は、ガイドアームに沿って延在している。ガイドアームが横方向18で変位した場合、係止機構32のばね34は、圧縮される。ばね34は、これによりばね力をガイド板33に対して及ぼし、これにより、ガイドアーム15は、U形材ガイドレール27の中央の静止位置に向かって押される。ガイド板33に配置される別のラグ35は、付加的に横方向18でのガイドアーム15の振れを制限する。カーブした台スキッド2の場合、クリーニングヘッド12は、この台スキッド2に倣うことができ、台スキッド2が変わると、自動で静止位置に復帰する。ばね29と、係止機構32の別のばね34とにより、不整は、2つの軸線を介して補償され得る。全体としてガイドアーム15は、これにより、予め決定可能な立体角内で揺動自在に支承されている。ガイドアーム15のこのフレキシビリティにより、プロセス信頼性、特に、台スキッド2であって、その長手方向で正確には直線状に延在しておらず、これに応じて湾曲しているように成形されている台スキッド2のクリーニング時のプロセス信頼性は、改善される。
【0046】
図4は、ガイドアーム15を正面から見たときの装置1を概略的に示している。
図1ないし
図3の符号は、踏襲される。
【0047】
支持構造10は、支持構造10を第1の設置場所における床面8上で横方向18に沿って動かす走行装置を有している。これにより支持構造10は、台スキッド2に対して横方向あるいは長手方向5に対して横方向で可動に形成されている。クリーニングヘッド12は、これにより、一方の台スキッド2から他方の台スキッド2へ動かされることができ、これにより、第1のワーク台3の複数の台スキッド2をこのクリーニングヘッド12により漸次クリーニングすることができる。
【0048】
図1に関して、支持構造10は、横方向18に沿って動かすべく、基礎上に配置されていて横方向18に沿って延在するガイドレール36に連結可能に形成されている。
図4には、装置1のみを示してあり、これに対して、ガイドレール36は、見やすくするために示していない。ガイドレール36は、
図1では例示的に床面8上に配置されている。この場合は、床面8が基礎を形成している。ガイドレール36は、しかし、第1のワーク台3の一部又は第1のレーザ切断機械4の一部上に配置されていてもよい。この場合は、基礎は、第1のワーク台3又は第1のレーザ切断機械4の一部により形成され、例えば第1のレーザ切断機械4のハウジング壁により形成される。
【0049】
ガイドレール36により、支持構造10は、横方向18に沿ってガイドされ得る。ガイドレール36は、しかし、支持構造10を横方向18に沿ってガイドするのに、必ずしも必要というわけではない。横方向18に沿った支持構造10の動きは、例えばプログラミングされていてもよい。支持構造10は、代替的には、支持構造10を横方向18に沿って動かすべく、レーザビームに沿ってガイド可能に形成されていてもよい。重要なのは、支持構造10、ひいてはクリーニングヘッド12が、走行装置により横方向18に沿って可動であることである。
【0050】
本例において、装置1の走行装置は、支持構造10をガイドレール36に連結する2つのガイドローラ37を有している。装置1は、1つのガイドローラ37のみを有していてもよいし、2つより多くのガイドローラ37を有していてもよい。ガイドローラ37は、支持構造10の、床面8に面した下面に配置されている。支持構造10は、ガイドローラ37をガイドレール36上に下ろし、かつガイドローラ37をガイドレール36から持ち上げる上昇/下降機構を有している。
図4の図示の状態において、ガイドローラ37は、持ち上げられている。
【0051】
支持構造10を床面8上で走行させることを可能にすべく、装置1の走行装置は、支持構造10の下面に配置される少なくとも3つのローラ38を有し、これにより、支持構造10は、床面8上を走行可能に形成されている。支持構造10が転回され、かつ方向付けられ得るように、少なくとも1つのローラ38が、鉛直方向7を中心に回転可能に形成されていることが望ましい。ガイドローラ37がガイドレール36上に載置されると、ローラ38の少なくとも1つは、床面8から浮上するようになっていてもよい。このことは、特にガイドローラ37の領域内に配置されるローラ38に関する。これらのローラ38は、必ずしも鉛直方向7を中心に回転可能に形成されている必要はない。これらのローラ38は、リジッドに支持構造10に結合されていてもよい。
【0052】
図5は、
図4の装置1を側面図で概略的に示している。
図4の符号は、踏襲される。
【0053】
図5は、装置1を、ガイドローラ37がガイドレール36上に載置されている状態で示している。ガイドローラ37をガイドレール36に連結すべく、ガイドローラ37は、ノッチを有している。ノッチは、ガイドレール36を受け入れるべく、設けられている。これによりガイドローラ37は、支持構造10が横方向18に沿って動くとき、ガイドレール36に連結された状態に留まる。
【0054】
ガイドローラ37をガイドレール36上に下ろすとき、ガイドローラ37の領域における支持構造10の一部が持ち上げられる。こうして、支持構造10が、ガイドレール36においてより良好にガイドされるように、できる限り大きな圧力が、ガイドレール36に対して発生され得る。ローラ38の少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つのガイドローラ37は、(図面には示さない)駆動部により駆動可能であり、これにより、支持構造10をガイドレール36に沿って動かし、かつガイドすることができるようになっていてもよい。
【0055】
支持構造10は、(図面には示さない)第1のセンサ(例えば第1の光学センサ)を有していてもよく、第1のセンサは、支持構造10がガイドレール36に連結されているとき、第1のセンサがガイドレール36の上方に配置されているようにポジショニングされている。第1のセンサは、支持構造10が予定通りガイドレール36に沿ってガイドされるか否かを監視すべく、形成されている。第1のワーク台3のそれぞれ最後の台スキッド2の延長線上に、ガイドレール36は、異質部を有している。この異質部は、第1のセンサにより検出されることができ、これに基づいてクリーニングプロセスは、終了され得る。こうして、装置1のプログラミングの範疇で入力にエラーがあったときに、支持構造10がガイドレール36の一端でガイドレール36から逸走してしまうことは、防止され得る。
【0056】
装置1は、付加的に走行装置用のロータリエンコーダを備えていてもよい。ロータリエンコーダは、支持構造10が経た距離を検出すべく、形成されている。支持構造10を動かすとき、まずは、支持構造10を横方向18に沿って制御するのに、経た距離のみが重要であり得る。これにより、干渉輪郭又は湾曲した台スキッド2は、まずは無視され得る。直接隣接する2つの台スキッド2間の間隔に実質的に相当する予め決定可能な距離の後、クリーニングヘッド12に配置される第2のセンサS2(例えばレーザセンサ)が、複数の台スキッド2のうちの1つの台スキッド2を検知すべく、使用されることができ、これにより、支持構造10の動きを制御することができる。第2のセンサS2が台スキッド2を検出すると直ちに、横方向18に沿った支持構造10の動きは、停止される。而して、クリーニングヘッド12が、既に台スキッド2の中間でクリーニングプロセスを開始してしまうことは、防止され得る。
【0057】
横方向18に沿った所望のクリーニング長さは、クリーニングプロセス前又はクリーニングプロセス中に調整され得る。第1のワーク台3の面全体をカバーしない小さなワークが、第1のレーザ切断機械4により加工されるにすぎない場合は、第1のワーク台3は、全部がクリーニングされる必要もない。而して、クリーニングの時間及びクリーニングプロセスの停止状態は、最小化され得る。クリーニング長さは、側方に動くたび、台スキッド2間の距離が加算されることにより求められる。横方向18に沿った支持構造10の動きの全体長さが、予め決定可能な長さと等しくなると、クリーニングプログラムは、中止される。
【0058】
長手方向5に沿ったクリーニングヘッド12の送り速度は、クリーニングプロセス中に適合され得る。装置1の制御部は、出力値を求め、この出力値を基礎として、長手方向走行装置の駆動モータMのための出力を調整することができるようにすべく、形成されている。駆動モータMは、ロータリエンコーダを有していてもよい。ロータリエンコーダは、クリーニングヘッド12をガイドアーム15の長手方向で動かすとき、ガイドアーム15の長手方向に関するクリーニングヘッド12の目下の位置及び速度を検出すべく、使用される。長手方向5に沿ったクリーニングヘッド12の制御のために、クリーニングヘッド12の予め決定可能な速度プロファイルが、装置1の記憶装置内に格納されていてもよい。この速度プロファイルを基礎として、ロータリエンコーダのための目標値が求められ得る。この目標値は、ロータリエンコーダの検出された値と比較され得る。許容差に満たないとき、モータの回転方向は変わる。さらに力が上昇する場合、装置1はオフに切り換わる。クリーニングヘッド12が台スキッド2内で噛んで動かなくなると、クリーニングヘッド12の運動方向は、変更され得る。
【0059】
逆走時に再度噛んでしまったことが検知されると、運動方向は再度変更される。クリーニングヘッド12は、長手方向5及び台スキッド2に沿って、予め決定可能なクリーニング深さが達成されるまで、動かされ得る。運動方向の転換の過程は、例えば3回まで反復可能である。クリーニングヘッド12が3回目の試行後も解放され得なければ、クリーニングプログラムは、中断される。
【0060】
図6は、斜視図で、第1のレーザ切断機械4の第1の設置場所にある装置1と、第1のレーザ切断機械4の第1の設置場所から離れた第2の設置場所に配置されている第2のレーザ切断機械39とを示している。これまでのすべての符号は、以下で踏襲される。
【0061】
支持構造10は、走行装置により床面8上を走行可能であり、支持構造10は、第1のレーザ切断機械の第1のワーク台3の台スキッド2をクリーニングすべく、第1のレーザ切断機械4の第1の設置場所に向かって走行可能に形成されているとともに、支持構造10は、支持構造10を第2のレーザ切断機械39の第2の設置場所に向かって走行させ、第2のレーザ切断機械39の第2のワーク台40の台スキッド2をクリーニングすべく、第1のレーザ切断機械4の第1の設置場所から離れる方向に走行可能に形成されている。これにより支持構造10は、クリーニングヘッド12とともに空間的に移動できるように形成されており、設置場所に依存しない。例示的にのみ、
図6には、床面8に、第1のレーザ切断機械4及び第2のレーザ切断機械39のために、1つの共通のガイドレール36が設けられていることを示してある。このことは、しかし、必ずしも必要というわけではない。むしろ、別体のガイドレールが、第2のレーザ切断機械39のために設けられていてもよい。基本的にガイドレール36は不要である。支持構造10は、走行装置によりかつガイドレール36なしに、第1のレーザ切断機械4及び第2のレーザ切断機械39に向かって走行可能であり、かつ第1のレーザ切断機械4及び第2のレーザ切断機械39から離れる方向に走行可能であり得る。
【0062】
有利には、装置1は、設置場所に依存せずに運転され得る。加えて、クリーニングヘッド12及び支持構造10の動きは、完全に自動化されており、これにより、クリーニングプロセス全体は、自動化されて実施され得る。昇降装置、長手方向走行装置及び走行装置のために、それぞれ電気モータが設けられており、電気モータは、クリーニングヘッド12内に、かつ/又は支持構造10に接して、若しくは支持構造10内に配置されており、必要なすべての方向での自動化された動きを可能にする。
【0063】
図7は、
図1ないし6に示す装置1を用いて第1のレーザ切断機械4の第1のワーク台3の台スキッド2をクリーニングする方法50の方法ステップ51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63を概略的に示している。
【0064】
第1の方法ステップ51の範疇で、支持構造10を第1のレーザ切断機械4の第1の設置場所に向かって走行させる。第2の方法ステップ52の際には、クリーニングヘッド12が台スキッド2に沿って可動であるように、支持構造10を方向付ける。第3の方法ステップ53の際には、クリーニングヘッド12を第1のレーザ切断機械4の第1のワーク台3の台スキッド2上に昇降装置により載置する。その際、クリーニングツール17を台スキッド2と接触させるあるいは台スキッドをクリーニングツール17のクリーニング手段19内に係合させる。第4の方法ステップ54の際には、クリーニングヘッド12を台スキッド2に沿って長手方向走行装置により動かし、台スキッド2をクリーニングする。
【0065】
以下に、任意選択的な方法ステップ55,56,57,58,59,60,61,62,63についてのみ説明する。第5の方法ステップ55において、台スキッド2からのクリーニングヘッド12の浮上を昇降装置により実施する。第6の方法ステップ56において、支持構造10を横方向18に沿って走行装置により動かし、クリーニングヘッドを別の台スキッド2に向かって動かす。その際、支持構造10を例えば、横方向18に沿って延びるように配置されているガイドレール36に沿って動かし、ガイドしてもよい。第7の方法ステップ57において、クリーニングヘッド12を第1のレーザ切断機械4のワーク台3の台スキッド2上に昇降装置により載置し、クリーニングツール17を別の台スキッド2と接触させる。第8の方法ステップ58において、クリーニングヘッド12をこの別の台スキッド2に沿って長手方向走行装置により動かし、この別の台スキッド2をクリーニングする。
【0066】
第9の方法ステップ59において、第1のレーザ切断機械4の第1のワーク台3からのクリーニングヘッド12の持ち上げを昇降装置により実施する。第10の方法ステップ60において、支持構造10を第2のレーザ切断機械39に向かって走行させる。第11の方法ステップ61において、クリーニングヘッド12が、第2のレーザ切断機械39の第2のワーク台40の台スキッド2に沿って可動であるように、支持構造10の方向付けを実施する。第12の方法ステップ62において、クリーニングヘッド12を第2のレーザ切断機械39の第2のワーク台40の台スキッド2上に昇降装置により載置し、クリーニングツール17を第2のワーク台40の台スキッド2と接触させる。第13の方法ステップ63において、クリーニングヘッド12を第2のレーザ切断機械39の第2のワーク台40の台スキッド2に沿って長手方向走行装置により動かし、堆積物9を台スキッド2から除去する。
【外国語明細書】