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特開2024-43579コンタクト部材、コンタクトインサート、差込コネクタ、切断シート区分、および分配ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043579
(43)【公開日】2024-04-01
(54)【発明の名称】コンタクト部材、コンタクトインサート、差込コネクタ、切断シート区分、および分配ブロック
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148547
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】20 2022 105 273.5
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511051753
【氏名又は名称】ヴァーゴ・フェアヴァルトゥングスゲゼルシャフト・エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・マステル
(57)【要約】
【課題】自己支持型コンタクトシステムのためのより好適な力の分配が可能な冒頭に挙げた種類のコンタクト部材ならびにこのようなコンタクト部材を備えたコンタクトインサートおよび差込コネクタを提供すること。さらに、このようなコンタクト部材を製造するための適切な切断シート区分および少なくとも2つのコンタクト部材を備えた分配ブロックを提示すること。
【解決手段】本発明は、差込コネクタ(18)のコンタクトインサート(2)用のコンタクト部材(1)であって、ベース区域(3)と、コンタクトピン接続部(4)と、クランプバネ(7)によって電気導体をクランプするための導体設置区域(6)を含む導体収容部(5)とを有する、コンタクト部材(1)に関する。導体設置区域(6)は、ベース区域(3)から曲げられており、支持輪郭部(9)でベース区域(3)および/またはコンタクトピン接続部(4)に固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込コネクタ(18)のコンタクトインサート(2)のためのコンタクト部材(1)であって、ベース区域(3)と、コンタクトピン接続部(4)と、クランプバネ(7)によって電気導体をクランプするための導体設置区域(6)を含む導体収容部(5)と、を備えており、前記導体設置区域(6)が、前記ベース区域(3)から離れるように曲げられており、支持輪郭部(9)を介して前記ベース区域(3)および/または前記コンタクトピン接続部(4)に固定されることを特徴とするコンタクト部材(1)。
【請求項2】
前記コンタクト部材(1)が一部品として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項3】
前記コンタクトピン接続部(4)及び前記導体収容部(5)は、前記電気導体の導体差込方向(R)とコンタクトピン差込方向(R)が互いに角度をなして延在するように、互いに対して方向決めされていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項4】
前記コンタクトピン接続部(4)が、前記ベース区域(3)から突出する少なくとも1つのコンタクトピンアームを含むコンタクトピンとして、または前記ベース区域(3)から突出する少なくとも1つのコンタクトピン収容アーム(11)を含むコンタクトピン収容部として、形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項5】
前記支持輪郭部(9)が前記導体設置区域(6)の平面内に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項6】
前記導体設置区域(6)が、少なくとも2つの互いに反対側にある支持輪郭部(9)を有し、前記支持輪郭部(9)が、前記導体設置区域(6)をその曲げられた状態で前記ベース区域(3)および/または前記コンタクトピン接続部(4)に固定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項7】
前記コンタクト部材(1)にクランプバネ(7)を固定するためのバネ収容部(12)を含むバネ収容区域(13)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項8】
少なくとも2つのクランプバネ(7)を収容するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項9】
前記ベース区域(3)、前記コンタクトピン接続部(4)、前記導体設置区域(6)、および/または前記バネ収容区域(13)が、少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項10】
前記導体設置区域(6)と、前記ベース区域(3)の後壁(25)と、前記バネ収容区域(13)とが、互いに対してU字形またはC字形に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項11】
前記支持輪郭部(9)が係止輪郭部として形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項12】
係止輪郭部として形成された前記支持輪郭部(9)が、関連付けられる係止開口部(10)に噛み合うことを特徴とする請求項11に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項13】
前記係止開口部(10)が、前記ベース区域(3)および/または前記コンタクトピン接続部(4)に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のコンタクト部材(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)と、前記コンタクト部材(1)に挿入されるクランプバネ(7)とを備える、差込コネクタ(18)のためのコンタクトインサート(2)。
【請求項15】
前記クランプバネ(7)が、開いたバネ輪郭を有することを特徴とする請求項14に記載のコンタクトインサート(2)。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクト部材(1)または請求項14もしくは15に記載のコンタクトインサート(2)を備える差込コネクタ(18)。
【請求項17】
差込コネクタ(18)のためのコンタクト部材(1)を製造するための切断シート区分(14)であって、曲げられていない平面的な状態において、以下の特徴:
・前記切断シート区分(14)がベース区域(3)を有すること;
・前記ベース区域(3)から第1の方向(R)に、互いに対して実質的に平行に延びている2つの材料舌部(15)が突出し、前記材料舌部(15)は、前記コンタクト部材(1)のコンタクトピン接続部(4)のためのコンタクトピンアームまたはコンタクトピン収容アーム(11)を形成するように設けられていること;
・前記材料舌部(15)の間に、前記材料舌部(15)に対して実質的に平行に材料ストリップ(8)が延びており、前記材料ストリップ(8)は、前記コンタクト部材(1)の導体収容部(5)の導体設置区域(6)を形成するように設けられていること;
・少なくとも1つの材料舌部(15)、前記ベース区域(3)、および/または前記材料ストリップ(8)が、支持輪郭部(9)を有し、前記支持輪郭部(9)は、曲げ工程の後の前記材料ストリップ(8)を、曲げられた位置で、前記ベース区域(3)および/または前記コンタクトピン接続部(4)に固定するように適合されていること、
を備える、切断シート区分(14)。
【請求項18】
前記ベース区域(3)内で材料舌部(15)と前記材料ストリップ(8)の間に曲げ面(16)が配置され、前記ベース区域(3)と前記材料ストリップ(8)の間にさらなる曲げ面(16)が配置されていることを特徴とする請求項17に記載の切断シート区分(14)。
【請求項19】
前記ベース区域(3)から第2の方向(R)に材料耳部(17)が突出し、前記材料耳部(17)は、前記コンタクト部材(1)にクランプバネ(7)を固定するためのバネ収容部(12)を含む、前記コンタクト部材(1)のバネ収容区域(13)を形成するように設けられていることを特徴とする請求項17または18に記載の切断シート区分(14)。
【請求項20】
前記ベース区域(3)、前記材料舌部(15)、前記材料ストリップ(8)、および/または前記材料耳部(17)が、少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の切断シート区分(14)。
【請求項21】
前記切断シート区分(14)が、平面的な半仕上げの製品から打ち抜きによって製造されていることを特徴とする請求項17から20のいずれか一項に記載の切断シート区分(14)。
【請求項22】
少なくとも2つのコンタクト部材(1)および少なくとも2つのクランプバネ(7)を備えた分配ブロック(20)であって、前記コンタクト部材(1)が、ベース区域(3)と、前記クランプバネ(7)によって電気導体をクランプするために、前記少なくとも2つのコンタクト部材(1)を相互に結合する少なくとも1つの導体設置区域(6)を含む導体収容部(5)と、を備え、前記導体設置区域(6)が支持輪郭部(9)を介して前記コンタクト部材(1)の前記ベース区域(3)に固定される、分配ブロック(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差込コネクタのコンタクトインサートのためのコンタクト部材であって、ベース区域と、コンタクトピン接続部と、クランプバネによって電気導体をクランプするための導体設置区域を含む導体収容部とを有する、コンタクト部材に関する。本発明は、差込コネクタのためのコンタクトインサートおよびこのようなコンタクト部材を備えた差込コネクタおよび差込コネクタのためのコンタクト部材を製造するための切断シート区分にも関する。本発明はさらに、少なくとも2つのコンタクト部材を備えた分配ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
差込コネクタ用のコンタクト部材は、電気接続技術から知られている。差込コネクタは、電気機械的な接続部品として、電気接続を確立するために、可撓性および剛性の電気導体の接続に用いられる。差込コネクタは、例えば、電気導体がクランプバネのバネ力によって導電性のコンタクト部材に向かってクランプされるバネ式クランプ接続部を有し得る。コンタクト部材とクランプバネとが互いに組み合わされた構成を、本件ではコンタクトインサートと称する。例えば、クランプバネはコンタクト部材に取り付けられているかまたは他の方法で好ましくは取り外し可能にコンタクト部材に配置されていることができる。
【0003】
組み立てられた状態では、クランプバネがそのバネ力により、コンタクト部材に、しかし間接的には隣り合う部品、例えば差込コネクタの周りにある絶縁体ハウジングにも、接触力を加える。コンタクト部材に比べ、一般的にプラスチックから製造される絶縁体ハウジングの比較的低い強度に基づき、そこに導入される接触力およびハウジングでのコンタクト部材の当接支持は、機械的に不利であることが明らかであり、かつ差込コネクタの寿命を減少させ得る。それゆえ実際に、隣り合う部品への力の導入が低減された、より好適に力を吸収する自己支持型コンタクトシステムの開発が熱心に試みられている。
【0004】
過去に既に、複数箇所で機械的に互いに当接して支持し合うことで既に接触力の一部をそれ自体で吸収し得るコンタクト部材およびクランプバネを備えたコンタクトインサートが開発された。しかしながら力の吸収がまだ最適になっていないこと、さらに接触力の一部が隣り合う部品によって吸収されることが分かった。これに加え、コンタクト部材中で好適に力が分配されないと、確実な接続機能にとって不利な弾性変形または変位が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを踏まえて本発明の基礎となる課題は、自己支持型コンタクトシステムのためのより好適な力の分配が可能な冒頭に挙げた種類のコンタクト部材ならびにこのようなコンタクト部材を備えたコンタクトインサートおよび差込コネクタを提供することである。さらに、このようなコンタクト部材を製造するための適切な切断シート区分および少なくとも2つのコンタクト部材を備えた分配ブロックが提示されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に基づくコンタクト部材、請求項14に基づくコンタクトインサート、請求項16に基づく差込コネクタ、請求項17に基づく切断シート区分、および請求項22に基づく分配ブロックによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書、および図の中で開示されている。
【0007】
属概念に基づき、差込コネクタのコンタクトインサート用のコンタクト部材であって、ベース区域と、コンタクトピン接続部と、クランプバネによって電気導体をクランプするための導体設置区域を含む導体収容部とを有するコンタクト部材が提案される。
【0008】
コンタクト部材とは、本出願の枠内では、差込コネクタのコンタクトインサート用の導電性部品のことであり、この導電性部品に、クランプバネによって電気導体をクランプし得る。コンタクト部材は実際には、コンタクトレールもしくは送電レール、コンタクトバーもしくはバスバーとも称され、またはコンタクトとだけ呼ばれることもある。これは、高さ方向の延びより著しく大きな長さおよび幅方向の延びを有する主に平面的に設計された部品であることができ、この部品は、電気導体用の収容部または挿入区域または接触区域を形成するため、例えば一部の区域で曲げられていてもよい。コンタクト部材は、高い導電率を有する材料、例えば金属から製造され得る。
【0009】
クランプバネはコンタクト部材に配置することができ、これによりコンタクト部材とクランプバネが、例えば予め組み立て可能で、差込コンタクトに嵌め込み可能なコンタクトインサートとなっている。クランプバネは、深さ方向の延びより著しく大きな長さおよび幅方向の延びを有する主に平面的で、例えばさらにはストリップ状に形成された部品であることができ、この部品は一般的にバネ弾性のある材料から製造され、当接支持のための接触脚部、導体をコンタクト部材にクランプするためのクランプ脚部、および接触脚部とクランプ脚部の間のバネアーチ部を有する。
【0010】
コンタクト部材はコンタクトピン接続部を有する。コンタクトピン接続部は、例えばコンタクトピンとしてまたはコンタクトピン収容部として形成され得る。コンタクトピンまたはコンタクトピン収容部は、コンタクト部材と一体的に形成され得る。コンタクトピン収容部の場合、コンタクトピン(一般的には剛性の電気導体)をコンタクト部材の一領域に挿入可能であり、これによりコンタクトピンがコンタクト部材に接触でき、かつコンタクトピンの電気接続が確立され得る。逆に、コンタクトピン接続部がコンタクトピンとして実施される場合、コンタクト部材のコンタクトピンを、コンタクト部材または差込コネクタの一部ではないコンタクトピン収容部に接続可能であり得る。コンタクトピンとして実施されたコンタクトピン接続部の場合、コンタクトピンは、1つまたは2つのコンタクトピンアームにより、ベース区域から突き出ることができる。コンタクト部材はこれに加え、クランプバネによって電気導体をクランプするための導体設置区域を含む導体収容部を有する。これが意味するのは、例えば可撓性に作製された電気導体をコンタクト部材の一領域に挿入可能であり、これにより電気導体がコンタクト部材の導体設置区域に接触し、かつ導体の電気接続が確立され得るということであり、その際、クランプバネが電気導体をコンタクト部材に固定し、これにより電気接続を確実にし、および改善する。コンタクト部材のうち、電気導体を載せてクランプバネのクランプ脚部によってコンタクト部材に押圧し得る区域を、導体設置区域と呼ぶ。
【0011】
コンタクト部材はこれに加えてベース区域を有し、ベース区域は、コンタクトピン接続部および導体収容部を相互に結合し、さらなる機能を担うことができ、例えば支持面もしくは案内面または収容ポケットであり得る。ベース区域は、1つの後壁および後壁から曲げられた2つの側壁によるU字形状を有し得る。ベース区域は、コンタクト部材を安定化し、かつコンタクトピン接続部のためのベースおよびコンタクト部材の導体収容部を形成する。
【0012】
本発明によれば、導体設置区域は、ベース区域から離れるように曲げられており、支持輪郭部を介してベース区域および/またはコンタクトピン接続部に固定されていることが企図されている。
【0013】
つまり導体設置区域は、コンタクト部材のうち、ベース区域からアールを付けるように曲げられた区域であり、したがって導体設置区域と隣り合うベース区域とは互いに対して角度をなして延びている。この角度は、例えば実質的に直角に形成され得る、つまり約90°であり得る。支持輪郭部は、導体設置区域がベース区域および/またはコンタクトピン接続部に当接して支持されることを可能にする。この当接支持により、導体設置区域に導入されたクランプバネの接触力が少なくとも部分的にはベース区域またはコンタクトピン接続部に戻ってコンタクト部材に導入され、これによりコンタクトインサートの自己保持の改善が達成される。支持輪郭部は例えば、導体設置区域のクランプされる導体とは反対の側での、コンタクト部材の支持突出部として形成され得る。この支持突出部は、例えば片持ち梁状に成形されて、ベース区域またはコンタクトピン接続部から曲げられていることができる。
【0014】
支持輪郭部は、例えば係止輪郭部としても形成でき、これにより導体設置区域は、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部に係止しながら噛み合うことで位置固定され得る。係止輪郭部は、例えば、係止縁部に噛み合い得る係止突起または係止フックによって形成され得る。係止縁部は、例えばベース区域またはコンタクトピン接続部におけるコンタクト部材の縁部であってよいが、係止輪郭部が噛み合い得る対応する係止開口部がコンタクト部材に設けられてもよい。コンタクト部材の縁部を係止縁部として利用するのに比べ、係止開口部は、係止輪郭部のさらなる自由度を制限でき、したがって相接するこれらのコンタクト部材の区域の互いに対する規定通りの確実な保持をもたらし得る。係止輪郭部は、導体設置区域に形成されるのが好ましく、ただし基本的には、係止輪郭部がベース区域および/またはコンタクトピン接続部に存在することも考えられる。「固定される」とは、コンタクトピンがベース区域および/またはコンタクトピン接続部に例えば力結合式および/または形状結合式に固定されることを意味することができ、この場合、少なくとも1つの空間方向での導体設置区域の移動または変位が阻止される。
【0015】
導体設置区域がベース区域から曲げられており、支持輪郭部でベース区域および/またはコンタクトピン接続部に固定されていることにより、非常に好適な力の分配と、自己支持型コンタクトシステムのための高い自己保持度と、既知のコンタクト部材形状に比べて明らかに向上した形状安定性とを有するコンタクトインサート用のコンタクト部材が提供され得る。導体設置区域がその曲げられた状態で支持輪郭部によって固定されることにより、導体設置区域がクランプバネの接触力下で電気導体から離れるように曲がることはない。導体設置区域は、コンタクト部材の残りの部分に支持される。そのうえ本発明によるコンタクト部材は簡単に製造され得る。
【0016】
コンタクト部材は、一部品として形成され得る。例えばコンタクト部材のベース区域と、コンタクトピン接続部と、導体収容部と、支持輪郭部とは、一体的に相互に結合することができ、つまりコンタクト部材の構成要素間の追加的な結合手段なしで、一体的な形態で存在し得る。コンタクト部材は、例えば平坦なシート状の金属片から形成することができ、その使用形状は、半仕上げされたシート状の金属製品から規定の二次元の幾何学的輪郭を打ち抜いて、このシート状金属ストリップの所定の位置で様々な空間方向に曲げることによって得られ、したがって実質的に二次元の切断シート区分から三次元のコンタクト部材が製造され得る。コンタクト部材は、特に、一部品の形態で簡単に製造され得る。
【0017】
コンタクトピン接続部と導体収容部は互いに対し、電気導体の導体差込方向とコンタクトピン差込方向が互いに角度を付けて延びるように互いに対して方向決めされていてもよい。導体差込方向とコンタクトピン差込方向の間の角度が実質的に90°であり得ることが好ましい。ただし代替的な実施形態では、基本的には、導体差込方向とコンタクトピン差込方向の平行な進路または導体差込方向とコンタクトピン差込方向の互いの方に向かっていく進路も考えられる。したがって導体差込方向とコンタクトピン差込方向の間の角度は代替的には例えば実質的に180°であってもよい。導体差込方向とコンタクトピン差込方向が互いに角度を付けて、とりわけ実質的に直角に延びている場合に、特にコンパクトな接触手段が可能にされ得る。
【0018】
コンタクトピン接続部は、ベース区域から突き出ている少なくとも1つのコンタクトピンアームを含むコンタクトピンとして、またはベース区域から突き出ている少なくとも1つのコンタクトピン収容アームを含むコンタクトピン収容部として形成されていてもよい。例えば、コンタクトピンは、ベース区域から突き出ている2つの正反対の側で互いの方に向かって延びているコンタクトピンアームを有し得る。例えば、コンタクトピン収容部は、ベース区域から突き出ている2つの正反対の側で互いの方に向かって延びているコンタクトピン収容アームを有し得る。これらのコンタクトピンアームまたはコンタクトピン収容アームは、任意選択で、互いに触れ合っていてもよい。これらのコンタクトピンアームまたはコンタクトピン収容アームは、好ましくは弾性にたわむことができ、例えばコンタクトピンまたはコンタクトピン収容部によって引き起こされたたわみの解消後に、初期位置にバネ性によって戻る。これらのコンタクトピン収容アームにより、コンタクトピンは簡単に、コンタクトピン収容部として形成されたコンタクトピン接続部に挿入ならびに確実に固定および接触され得る。これらのコンタクトピンアームにより、コンタクトピンとして形成されたコンタクトピン接続部が簡単に、コンタクトピン収容部に挿入ならびに確実に固定および接触され得る。
【0019】
支持輪郭部が係止輪郭部として実施されている場合、係止輪郭部は関連付けられた(換言すれば、対応する)係止開口部に噛み合い得る。係止開口部は、例えば、コンタクト部材の或る位置にある穴、溝、またはその他の凹部であることができ、この位置では、導体設置区域が曲げられた状態での係止輪郭部が、係止開口部に噛み合い得る。係止開口部は、係止輪郭部に合うように寸法決定することができ、係止輪郭部が係止開口部に噛み合うと、係止開口部の境界部が係止輪郭部を少なくとも部分的に包囲し得る。係止開口部は、係止輪郭部の逆の輪郭を示すことができ、つまり係止開口部と係止輪郭部の幾何形状は互いに一致し得る。係止輪郭部および係止開口部は、例えば丸みのあるまたは角形の幾何形状を有し得る。係止開口部は、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部における導体設置区域の規定通りの確実な保持をもたらす。
【0020】
係止開口部は、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部に配置されていてもよい。この場合、導体設置区域が、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部の係止開口部に噛み合う係止輪郭部を有する。基本的には、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部にある係止輪郭部と、導体設置区域にある係止開口部という逆の配置も排除されない。
【0021】
支持輪郭部は、導体設置区域の平面内に配置されていてもよい。これに関し導体設置区域の平面は、導体設置区域の高さ方向の延びよりそれぞれかなり大きい導体設置区域の長さおよび幅方向の延びによって広げられて定義されている。したがって導体設置区域は、平面的に、小さな高さ寸法で設計され、基本的にはコンタクト部材全体が平面的に形成されることができ、この目的のために例えば平面的な半仕上げの製品から製造され得る。支持輪郭部は、例えば導体設置区域の平面内で導体設置区域から側方に突き出ることができる。「平面内で」とはこの場合、支持輪郭部が、導体設置区域から離れるように曲げられているまたは角度を付けているのではなく、導体設置区域の長さまたは幅方向の延びの延長線上で、導体設置区域から真っすぐに突き出ていることを意味し得る。支持輪郭部は、例えば、導体設置区域の上面および/または下面と同一平面上で終端する材料突出部であり得る。これに関し導体設置区域の上面は、接続される電気導体が案内およびクランプされる導体設置区域の表面であり、その一方で下面は、導体設置区域のうち上面とは反対の、上面に背を向けた側である。導体設置区域の平面内に支持輪郭部を配置することにより、コンタクト部材の簡単な製造が可能であり、かつクランプされる電気導体が支持輪郭部によって妨げられない。
【0022】
その代わりに、支持輪郭部が導体設置区域から離れるように曲げられることも考えられる。この場合、支持輪郭部は例えば、導体設置区域から、二重の、例えばS字形の曲がりを経て突き出ることができる。この支持輪郭部は、導体設置区域の平面より上または下の領域に飛び出し得る。これにより、様々な適用可能性のための、固定に関する代替的な構造的実施可能性が提供され得る。
【0023】
導体設置区域は、少なくとも2つの互いに反対側にある支持輪郭部を有することができ、これらの支持輪郭部が、導体設置区域をその曲げられた状態でベース区域および/またはコンタクトピン接続部に固定する。支持輪郭部は、例えばそれぞれ導体設置区域の1つの側から突き出ることができ、例えば係止輪郭部として、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部のそれぞれ1つの係止縁部に噛み合うかまたはそれぞれの係止開口部に噛み合うことができる。係止開口部は、例えばベース区域および/またはコンタクトピン接続部の互いに反対側にある凹部であることができ、導体設置区域がベース区域から曲げられている場合、この凹部に導体設置区域の係止輪郭部をフック固定でき、これにより導体設置区域がその曲げられた状態で固定され、例えばクランプバネの接触力下で電気導体から離れるように曲がることはできない。少なくとも2つの互いに反対側にある支持輪郭部により、対称的な当接支持およびコンタクト部材中への導体設置区域の力の導入が可能にされる。これに加え、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部における導体設置区域のより良い保持が達成され、コンタクト部材がそれ自体でより形状安定性を有する。
【0024】
コンタクト部材は、コンタクト部材にクランプバネを固定するためのバネ収容部を含むバネ収容区域を有し得る。バネ収容部は、例えばクランプバネの固定輪郭部を取り付けるまたは係止するための開口部または凹部であり得る。バネ収容区域は、コンタクト部材のベース区域から曲げられ得る。バネ収容区域はバネ支持部を有することができ、このバネ支持部に向かって、固定されたクランプバネが当接して、コンタクト部材に追加的に支持され得る。コンタクト部材のバネ収容部により、コンタクト部材にクランプバネを確実に安定して固定し得る。
【0025】
このコンタクト部材は、少なくとも2つのクランプバネを収容するように適合されていてもよい。例えば、1つのクランプバネが、導体設置区域の上側に配置されて、電気導体を導体設置区域の上面に向かってクランプすることができ、かつ1つのクランプバネが、導体設置区域の下側に配置されて、さらなる電気導体を導体設置区域の下面に向かってクランプすることができる。したがってこれらのクランプバネは、導体設置区域の互いに反対の側に配置されて、導体設置区域に2つの電気導体をクランプできるようにし得る。コンタクト部材は、構造的にこれに適合でき、例えば2つのポケット状の導体収容部を形成するため、両方のバネクランプに対して1つの共通のベース区域を有し、かつ/またはそれぞれ1つのバネ収容部および任意選択でそれぞれ1つのバネ支持部を含む2つのバネ収容区域を有する。これにより、さらなる接続可能性が提供される。加えて導体設置区域の対称的な負荷により、コンタクト部材およびコンタクトインサートの力の吸収、したがって自己支持機能がさらに改善される。
【0026】
ベース区域、コンタクトピン接続部、導体設置区域、および/またはバネ収容区域は、少なくとも部分的にコーティングされていてもよい。これに関しては様々な可能性が考えられ、例えばコンタクト部材の全体のコーティング、コンタクト部材の上面側のみのコーティングによる部分的なコーティング、コンタクト部材の個々の区域をコーティング、例えばコンタクトピン接続部および導体収容部を選択的にコーティングすることによる部分的なコーティング、またはコンタクト部材の異なる区域に対する異なるコーティング剤が考えられる。コーティングは、例えばコンタクト部材の導電率の上昇または機械的耐性の改善のためのコーティングであり得る。コーティングは、コンタクト部材がまだ平面的で曲げられていない切断シート区分として存在しているコンタクト部材の状態で行うことができ、これによりコーティングプロセスが簡略化される。コンタクト部材の少なくとも部分的なコーティングにより、コンタクト部材の特性を最適化でき、コンタクト部材の個々の区域のために選択的に個別に適合させることもできる。これにより、とりわけコスト最適化されたコーティングも達成され得る。
【0027】
導体設置区域と、ベース区域の後壁と、バネ収容区域とは、互いに対してU字形またはC字形に配置されていてもよい。これに関し、導体設置区域とバネ収容区域は、互いに向かい合っており、かつU字形状またはC字形状のうち、ベース区域を介して相互に結合している脚部である。この場合、ベース区域の後壁は少なくとも部分的には、導体設置区域およびバネ収容区域に対して実質的に垂直に延びている。このU字形またはC字形の配置により、特にコンパクトなコンタクト部材が提供され得る。
【0028】
本発明は、前述の特徴の1つに基づくコンタクト部材と、コンタクト部材に嵌め込まれたクランプバネとを備えた、差込コネクタ用のコンタクトインサートにも関する。これにより、力の吸収が改善された自己支持型の安定したコンタクトインサートが得られ、このコンタクトインサートは加えて、簡単に製造され得る。
【0029】
コンタクトインサートは、開いたバネ輪郭を有するクランプバネを有し得る。開いたバネ輪郭は、バネ脚部が相互に触れ合わないようにクランプバネが曲げられている場合に存在する。例えば、クランプバネがU字形状またはC字形状を有し得る。このようなクランプバネは、実際には例えば「C型バネ」とも称される。開いたバネ輪郭を有するクランプバネは、その形状に基づいてしばしば、バネ脚部が互いに支持し合っていることにより通常より強く支持されねばならないクランプバネより弾性である。本発明によるコンタクトインサートにより、コンタクトインサートの自己保持の改善が達成でき、これによりクランプバネは、まったく絶縁体ハウジングに支持されなくてよいか、または、最小限に絶縁体ハウジングに支持される。
【0030】
本発明は、前述の特徴の1つに基づくコンタクト部材または前述の特徴の1つに基づくコンタクトインサートを備えた差込コネクタにも関する。このような差込コネクタによっても本発明による利点が達成される。
【0031】
本発明は、差込コネクタ用のコンタクト部材を製造するための切断シート区分であって、曲げられていない平面的な状態で以下の特徴:
・切断シート区分がベース区域を有すること;
・ベース区域から第1の方向に、互いに対して実質的に平行に延びている2つの材料舌部が突き出ており、これらの材料舌部は、コンタクト部材のコンタクトピン接続部用のコンタクトピンアームまたはコンタクトピン収容アームを形成するように設けられていること;
・材料舌部の間に、材料舌部に対して実質的に平行に材料ストリップが延びており、この材料ストリップは、コンタクト部材の導体収容部の導体設置区域を形成するように設けられていること;
・少なくとも1つの材料舌部、ベース区域、および/または材料ストリップが、曲げ工程後の材料ストリップを、曲げられた位置で、ベース区域および/またはコンタクトピン接続部に固定するように適合された支持輪郭部を有すること
を備える、切断シート区分に関する。
【0032】
切断シート区分は、製造に関する初期状態における本発明によるコンタクト部材の可能な一実施形態を表しており、初期状態では、コンタクト部材がまだ平面的で実質的に二次元の切断区分として存在しており、コンタクト部材として使用するにはさらに、予め定められた三次元形状に曲げられなければならない。切断シート区分は、平面的な半仕上げされたシート状の金属製品から切断され得るかまたは打ち抜かれ得る。切断シート区分の長さおよび幅方向の延びはそれぞれ、切断シート区分の高さ方向の延びよりかなり大きくできる。よって切断シート区分は、小さな高さ寸法で平面的に形成されており、規定の輪郭を有し、この輪郭が、後に成形のために曲げられたコンタクト部材の輪郭である。これに関し、例えばベース区域、コンタクトピン接続部、および導体収容部のようなコンタクト部材の区域を、切断シート区分の特定の材料領域に割り当てることができ、なぜならこれらの材料領域が、曲げ工程後に、コンタクト部材のこれらの区域を形成するからである。これに関し、切断シート区分のうちベース区域から突き出ている材料領域を、本件では、材料舌部、材料ストリップ、材料翼部、および材料耳部と称する。
【0033】
提案している切断シート区分は、ほとんど幾何学的複雑さを有しておらず、したがって簡単に製造可能である。この切断シート区分により、本発明によるコンタクト部材が容易に製造され得る。所望の三次元のコンタクト部材を得るためには、切断シート区分の数回の曲げしか必要ない。
【0034】
ベース区域内で材料舌部と材料ストリップの間に曲げ面が、およびベース区域と材料ストリップの間にさらなる曲げ面が配置されていてもよい。曲げ面は、切断シート区分を曲げるためにコンタクト部材に設けられた画定された面区域であり得る。これに関して、曲げは、コンタクト部材のうち1つの曲げ面に隣り合う区域が互いに対し、角度の付いた輪郭になることを目的とする。曲げ面は、特に、曲げに適した局所的な特性、例えば比較的薄いシート厚、視認可能なまたは構造化された目標曲げ位置を有し得る。材料舌部と材料ストリップの間の曲げ面により、後のコンタクトピンアームまたはコンタクトピン収容アームが、互いに向かい合って配置されるまで、後の導体設置区域の周りを曲げられて互いの方に向かって案内され得る。ベース区域と材料ストリップの間の曲げ面により、後の導体設置区域が、ベース区域から離れるように曲げられて、支持輪郭部でベース区域および/またはコンタクトピン接続部に固定され得る。これらの曲げ面により、切断シート区分の、本発明によるコンタクト部材への直観的で容易な曲げ加工が達成され得る。
【0035】
ベース区域から第2の方向に材料耳部が突出していてもよく、材料耳部は、コンタクト部材にクランプバネを固定するためのバネ収容部を含む、コンタクト部材のバネ収容区域を形成するように設けられている。第2の方向は第1の方向の逆であることができ、したがって材料耳部は、ベース区域のうち材料舌部が突出している側とは反対の側で突出している。材料耳部は、材料舌部とは反対側にある領域でベース区域から突出することができる。材料耳部により、後のコンタクト部材のバネ収容区域を形成することができ、このバネ収容区域により、コンタクト部材にクランプバネを確実に安定して固定することができる。材料耳部は、さらなる曲げ面を介してベース区域から離れるように曲げられ得る。
【0036】
切断シート区分のベース区域、材料舌部、材料ストリップ、および/または材料耳部は、少なくとも部分的にコーティングを有し得る。これに関しては様々な可能性が考えられ、例えば切断シート区分の全体のコーティング、切断シート区分の上面側のみのコーティングによる部分的なコーティング、切断シート区分の個々の区域をコーティング、例えば材料舌部および材料ストリップを選択的にコーティングすることによる部分的なコーティング、または切断シート区分の異なる区域に対する異なるコーティング剤が考えられる。コーティングは、例えば導電率の上昇または機械的耐性の改善のためのコーティングであり得る。切断シート区分のコーティングは、切断シート区分を三次元のコンタクト部材へと曲げる前に行われ、これによりコーティングプロセスが簡略化される。切断シート区分の少なくとも部分的なコーティングにより、後に切断シート区分から製造されるコンタクト部材の特性を最適化でき、切断シート区分の個々の区域のために選択的に個別に適合させることもできる。
【0037】
切断シート区分は、平面的な半仕上げの製品から打ち抜きによって製造されていてもよい。これにより切断シート区分は簡単に製造可能である。
本発明は、少なくとも2つのコンタクト部材および2つのクランプバネを備えた分配ブロックであって、これらのコンタクト部材は、ベース区域と、クランプバネによって電気導体をクランプするための、少なくとも2つのコンタクト部材を相互に結合する導体設置区域を含む導体収容部とを有し、この導体設置区域は支持輪郭部でコンタクト部材のベース区域に固定されている、分配ブロックにも関する。これに関し、例えばそれぞれ1つのクランプバネを備えた2つのコンタクト部材が隣り合って配置されて、連続した共通の導体設置区域によって相互に結合され得る。1つのコンタクト部材において、導体設置区域の両側にそれぞれ1つのクランプバネが配置されるので、連続した共通の導体設置区域を両側で利用することも考えられる。支持輪郭部は、例えば、これらのコンタクト部材の互いに隣り合う例えば溝形の開口部内で、形状結合式および/または力結合式に、これらのコンタクト部材のベース区域に固定され得る。分配ブロックは、例えば2つのコンタクト部材および2つのクランプバネ、2つのコンタクト部材および4つのクランプバネ、または4つのコンタクト部材および4つのクランプバネを有し得る。2つの互いに向かい合うコンタクト部材が、一体的に相互に結合されて1つの共通の一部品の二重コンタクト部材を生じさせ得る。これらのコンタクトインサートを、共通の導体設置区域が跨ぐ。この導体設置区域はウェブ状に形成され得る。導体設置区域の平面内で、導体設置区域から支持輪郭部が突出することができ、この支持輪郭部は、コンタクト部材のベース区域の開口部に噛み合うことができ、したがってベース区域において位置固定され得る。
【0038】
一般論として、本出願との関連では単語「ein/eine(1つ)」は、明確にほかに定義されない限り、数詞としてではなく「少なくとも1つ」の語義を含む不定冠詞として理解されるべきであり、したがって例えば1つのコンタクト部材に、1つより多くのコンタクトピン接続部または1つより多くの導体収容部が設けられていてもよい。
【0039】
本発明は様々な実施形態を許容するが、以下では1つの例示的実施形態に基づいて、添付の図面を使ってより詳しく解説される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1の実施形態での本発明による1つのコンタクト部材および1つのクランプバネを備えた、差込コネクタ用のコンタクトインサートの概略的な斜視図である。
図2】第1の実施形態に基づくコンタクトインサートの概略的な側断面図である。
図3】クランプバネなしでの第1の実施形態に基づくコンタクト部材の概略的な斜視図である。
図4】第1の実施形態に基づくコンタクト部材を製造するための切断シート区分の概略的な平面図である。
図5】第2の実施形態での本発明による1つのコンタクト部材および2つのクランプバネを備えた、差込コネクタ用のコンタクトインサートの概略的な斜視図である。
図6】第2の実施形態に基づくコンタクトインサートの概略的な側面図である。
図7】第1の実施形態に基づくコンタクトインサートおよび絶縁体ハウジングを備えた差込コネクタの概略的な斜視図である。
図8】第3の実施形態での本発明による1つのコンタクト部材および1つのクランプバネを備えた、差込コネクタ用のコンタクトインサートの概略的な斜視図である。
図9】2つのコンタクト部材および4つのクランプバネを備えた分配ブロックの概略的な斜視図である。
図10図9に基づく分配ブロックの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および図2は、第1の実施形態に基づくコンタクト部材1およびクランプバネ7を備えた、例えば図7に示す差込コネクタ18用のコンタクトインサート2を示している。図3は、クランプバネなしでの第1の実施形態に基づくコンタクト部材1を示している。コンタクトインサート2は、差込コネクタ18内で電気接続を確立するために、電気導体およびコンタクトピンの接続に用いられる。
【0042】
コンタクト部材1は一部品として(換言すれば、一体的に)作製されており、例えば図4から見て取れるような平面的な切断シート区分14から、実質的に二次元の切断シート区分14を複数の曲げ面16で三次元のコンタクト部材1へと曲げることによって製造されている。コンタクトインサート1はベース区域(換言すれば、基部区域)3を有し、ベース区域3から第1の空間方向に、コンタクトピン収容部(換言すれば、コンタクトピン受け入れ部)として形成されたコンタクトピン接続部4が延びており、このベース区域3は、第2の空間方向に挿入可能な電気導体のためのポケット状の導体収容部5を形成している。電気導体をクランプするために、導体収容部5は導体設置区域6を有し、導体設置区域6の表面では、電気導体が案内可能であり、かつクランプバネ7のクランプ脚部でバネ力によって定位置にクランプ可能である。
【0043】
導体設置区域6はベース区域3から曲げられており、したがって導体設置区域6と、導体設置区域6が移行していく隣り合うベース区域3とは、図2に示したように、互いに対して角度をなして延びている。曲げられた導体設置区域6は、係止輪郭部として形成された支持輪郭部9を介してベース区域3に固定されている。その他の実施形態では、導体設置区域6が支持輪郭部9を介してコンタクトピン接続部4に固定されることが考えられる。曲げられた導体設置区域6をベース区域3またはコンタクトピン接続部4に固定することにより、自己支持型コンタクトインサート2のための、高い自己保持度を有する好適な力の分配が達成され得る。導体設置区域6がその曲げられた状態で支持輪郭部9によって固定されることにより、導体設置区域6が、クランプバネ7のクランプ脚部21の接触力下で、クランプされている電気導体から離れるように曲がることはない。導体設置区域6は、コンタクト部材1の残りの部分で支持される。
【0044】
図2で矢印表示によって明らかなように、コンタクトピン接続部4と導体収容部5は互いに対し、電気導体の導体差込方向Rとコンタクトピン差込方向Rが互いに対して角度をなして延びるように互いに対して方向決めされている。示した例示的実施形態では、両方の差込方向の間の角度αは実質的に90°である。これにより非常にコンパクトなコンタクトインサート2が提供される。
【0045】
コンタクトピン収容部として形成されたコンタクトピン接続部4は、2つの互いに反対の側に配置され、互いの方に向かって延びているコンタクトピン収容アーム11によって形成されており、これらのコンタクトピン収容アーム11はベース区域3から突出している。示した例示的実施形態では、これらのコンタクトピン収容アーム11は接点で触れ合っており、しかしながら、コンタクトピン用の挿入領域を生じさせるため、接点の隣で再び互いから離れていっている。コンタクトピン収容アーム11は、コンタクトピンによって弾性にたわむことができ、コンタクトピンを取り除くと元の位置に戻る。
【0046】
とりわけ図3で認識できるように、導体設置区域6は、係止輪郭部として形成された2つの互いに反対側にある支持輪郭部9を有する。支持輪郭部9は、導体設置区域6の平面内で、導体設置区域6から側方に突出する係止突起として形成されている。支持輪郭部9は、ベース区域3内の、対応している角形に切り抜かれた係止開口部10に噛み合う。その代わりに、切り抜かれた係止開口部10がなくても、支持輪郭部9は単に係止縁部としてのコンタクト部材の縁部に噛み合い得るであろう。ただし係止開口部10により、コンタクト部材1における支持輪郭部9の可動性が制限されることで、ベース区域3に支持輪郭部9が確実に保持されることが保証される。その代わりに、係止開口部10がコンタクトピン接続部4内、例えばコンタクトピン収容アーム11内に施されていてもよい。
【0047】
コンタクト部材1は、貫通孔として実施されたバネ収容部12を含むバネ収容区域13を有し、このバネ収容部12内にクランプバネ7が取り付けられ得る。バネ収容区域13はバネ支持部23を有することができ、このバネ支持部23にクランプバネ7が当接し、コンタクト部材1に追加的に支持され得る。これによりクランプバネ7は、バネ収容区域13と導体設置区域6の間で確実に支持され得る。クランプバネ7は、クランプバネ7のバネ脚部が互いに触れ合っていない開いたバネ輪郭を有する。図2の側断面図で認識できるように、バネ収容区域13と、ベース区域3の後壁25と、導体設置区域6とが、(少し途切れた)U字形状を形成している。図1および図3で認識できるように、ベース区域3も、後壁25から曲げられた2つの側壁22によってU字形状を有する。これにより、ポケット状の導体収容部5が提供されている。係止開口部10が、ベース区域3の側壁22内に配置され得ることが認識できる。
【0048】
図4は、第1の実施形態に基づくコンタクト部材1を製造するための切断シート区分14を示している。切断シート区分14は、平面的な半仕上げの製品から打ち抜かれており、示した状態では、規定の輪郭を有する、曲げられていない平面状の形態で存在している。切断シート区分14を、とりわけ示唆された曲げ面16で曲げることにより、差込コネクタ18内で使用するための三次元のコンタクト部材1が製造され得る。切断シート区分14はベース区域3を有し、ベース区域3は、2つの曲げ面16を介し、1つの後壁25および2つの側壁22によるU字形状に曲げることができる。ベース区域3から第1の方向Rに、互いに対して実質的に平行に延びている2つの材料舌部15が突出している。これらの材料舌部15は、コンタクト部材1へと切断シート区分14を曲げた後には、コンタクト部材1のうち、コンタクトピン収容部として形成されたコンタクトピン接続部4のためのコンタクトピン収容アーム11となっている。材料舌部15の間には、材料舌部15に実質的に平行に材料ストリップ8が延びており、材料ストリップ8は、さらなる曲げ面16を介してベース区域3から曲げることができ、曲げた後には、コンタクト部材1の導体収容部5の導体設置区域6となっている。材料ストリップ8は、2つの互いに反対側にある材料翼部26を有し、これらの材料翼部26は、コンタクト部材1へと切断シート区分14を曲げた後には、導体設置区域6の支持輪郭部9となっている。ベース区域3は、材料舌部15につながる領域内でそれぞれ1つの角形の凹部を有し、これらの凹部は、コンタクト部材1へと切断シート区分14を曲げた後には係止開口部10となっており、この係止開口部10に、曲げられた導体設置区域6の支持輪郭部9が噛み合い得ることで、曲げられた導体設置区域6がベース区域3に固定される。
【0049】
第1の方向Rとは逆の第2の方向Rには、ベース区域3のうち材料舌部15とは反対の側で材料耳部17が突出しており、この例示的実施形態では実質的に一方の材料舌部15に対向している。材料耳部17は、コンタクト部材1へと切断シート区分14を曲げた後には、とりわけ、さらなる曲げ面16を介してベース区域3から材料耳部17を曲げた後には、コンタクト部材1のバネ収容区域13となっている。材料耳部17内に開口部が打ち抜かれており、この開口部が、コンタクト部材1にクランプバネ7を固定するためのバネ収容部12である。材料耳部17はこれに加え、コンタクト部材1へと切断シート区分14を曲げた後にはバネ支持部23となっている材料区域を含んでいる。
【0050】
切断シート区分14を、とりわけその平面状でまだ曲げられていない状態で、少なくとも部分的にコーティングすることができ、したがって切断シート区分14は、平面全体を覆うようにまたは一部の領域で、1つまたは複数のコーティングを有する。とりわけ、切断シート区分14の様々な区域が、平面的な状態で簡単に、個別に、および互いに独立してコーティングされ得る。
【0051】
図5および図6は、構造的に適合されたコンタクト部材1を備えたコンタクトインサート2の第2の実施形態を示している。この実施形態では、1つの共通のコンタクト部材1に対して2つのクランプバネ7が設けられており、クランプバネ7は導体設置区域6の両側に配置されており、それぞれ1つの電気導体を導体設置区域6にクランプし得る。第1の実施形態に比べてベース区域3がより大きく形成されており、したがってこのコンタクト部材は、両方のクランプバネ7のための1つの共通のベース区域3を提供でき、挿入される電気導体のための2つのポケット状の導体収容部5を生じさせ得る。これに加えコンタクト部材1は、クランプバネ7を取り付けるためのバネ収容部12と、コンタクト部材1によるクランプバネ7の追加的な支持のためのバネ支持部23とを備えた2つのバネ収容区域13を有する。バネ収容区域13は、ベース区域3のうち2つの互いに向かい合う側壁22から曲げられ得る。第2の実施形態により、1つのコンタクト部材1によって2つの導体接続が実現され得るだけでなく、導体設置区域6への対称的な力の導入も可能になり、つまり、コンタクトインサート1およびクランプバネ7から成る自己支持型コンタクトシステムの自己保持がさらに改善され得る。
【0052】
図7は、絶縁体ハウジング19を備えた差込コネクタ18を示しており、絶縁体ハウジング19内には、コンタクト部材1およびクランプバネ7を備えたコンタクトインサート2が嵌め込まれており、この図では絶縁体ハウジング19は、取付口を閉鎖する蓋部分なしで示されている。絶縁体ハウジング19は、コンタクトインサート2を絶縁し、コンタクトインサート2を外部の環境影響から保護する。これに加えて絶縁体ハウジング19は、例えば導体設置区域6が補充的に絶縁体ハウジング19の支持バー24に当接して支持されることにより、コンタクトインサート2の残りの接触力を吸収し得る。
【0053】
図8は、第3の実施形態に基づく本発明によるコンタクト部材1およびクランプバネ7を備えた、差込コネクタ18用のコンタクトインサート2を示している。この実施形態では支持輪郭部9が、導体設置区域6のクランプされる導体とは反対の側での、コンタクト部材1の支持突出部として形成されている。支持突出部は、この例示的実施形態で示されているように、片持ち梁状に成形でき、ベース区域3から、例えばベース区域3の側壁22から、またはコンタクトピン接続部4から曲げられていることができる。2つの支持突出部が、ベース区域の互いに向かい合う側壁22から曲げられていてもよい。導体設置区域6が支持輪郭部9上に当接して支持され、これによりコンタクトインサート2の自己保持の改善を可能にしている。
【0054】
本発明の枠内で、前述の実施バリエーションの組合せも考えられる。例えば、コンタクト部材1に複数の異なる支持輪郭部9を設けることができ、つまり、導体設置区域6が係止輪郭部として形成された支持輪郭部9を有し、係止開口部10がベース区域3の側壁22内に設けられており、これに加えて支持突出部がさらなる支持輪郭部9としてベース区域3から突出する。これにより、コンタクト部材1における導体設置区域6の固定がさらに最適化され得る。
【0055】
図9および図10は、2つのコンタクト部材1および4つのクランプバネ7を備えた分配ブロック20を斜視図および断面図で示している。コンタクト部材1が隣り合って配置されており、ベース区域3と、導体設置区域6を含む導体収容部5とを備え、この導体設置区域6が両方のコンタクト部材1を相互に結合している。したがって、導体設置区域6が、コンタクト部材1を跨っている。導体設置区域6は、ウェブ(換言すれば、梁)状またはストリップ状に形成されており、支持輪郭部9となっている部分区域により、コンタクト部材1のベース区域3の溝形の開口部27に係合することで、導体設置区域6がコンタクト部材1のベース区域3に固定されている。1つのコンタクト部材1に割り当てられた2つのクランプバネ7は導体設置区域6の両側に配置されており、導体収容部5内では、それぞれ1つの挿入された電気導体をクランプバネ7のクランプ脚部21で導体設置区域6にクランプし得る。コンタクト部材1は両方のクランプバネ7のために、補充的に2つのバネ収容部12および2つのバネ支持部23を有する。分配ブロック20は、示していない絶縁体ハウジングに嵌め込まれ得る。
【符号の説明】
【0056】
1 コンタクト部材
2 コンタクトインサート
3 ベース区域
4 コンタクトピン接続部
5 導体収容部
6 導体設置区域
7 クランプバネ
8 材料ストリップ
9 支持輪郭部
10 係止開口部
11 コンタクトピン収容アーム
12 バネ収容部
13 バネ収容区域
14 切断シート区分
15 材料舌部
16 曲げ面
17 材料耳部
18 差込コネクタ
19 絶縁体ハウジング
20 分配ブロック
21 クランプ脚部
22 ベース区域の側壁
23 バネ支持部
24 支持バー
25 ベース区域の後壁
26 材料翼部
27 開口部
導体差込方向
コンタクトピン差込方向
第1の方向
第2の方向
α RとRの間の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】