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特開2024-43581支持板およびそれを用いて形成された装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043581
(43)【公開日】2024-04-01
(54)【発明の名称】支持板およびそれを用いて形成された装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20240325BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240325BHJP
   H01R 13/58 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H01R13/73 Z
H01R13/64
H01R13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148556
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】20 2022 105 269.7
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511051753
【氏名又は名称】ヴァーゴ・フェアヴァルトゥングスゲゼルシャフト・エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・マステル
(72)【発明者】
【氏名】コルト-ヘンリック・リヒト
(72)【発明者】
【氏名】トーベン・オーバーホンメルト
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB07
5E021FC29
5E021FC38
5E021GB06
5E021JA04
(57)【要約】
【課題】改善された支持板およびそれを用いて形成された装置を提示すること。
【解決手段】本発明は、平坦な板の形態である支持板であって、第1の主表面およびその反対側の第2の主表面を有し、主表面が最大面積を備えた板の表面側であり、第1の係止要素を備え、第1の係止要素に、第2の係止要素を有する電気差込コネクタが、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いによって、固定可能である、支持板に関する。本発明はさらに、1つのそのような支持板と、それぞれ第2の係止要素を有する少なくとも2つの電気差込コネクタとを備えた装置に関する。本発明はさらに、2つのそのような支持板と、それぞれ第2の係止要素を有する1つの差込コネクタおよび1つの相手側差込コネクタとを備えた装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な板(5)の形態の支持板(9)であって、第1の主表面(1)および前記第1の主表面(1)の反対側の第2の主表面(2)を有し、前記主表面(1、2)は、最大面積有する前記板(5)の側部表面であって第1の係止要素(3)を備え、前記第1の係止要素(1)に、第2の係止要素(17)を有する電気差込コネクタ(10)が、前記第2の係止要素(17)によって、前記第1の係止要素(3)と前記第2の係止要素(17)の形状嵌合式の噛み合いにより固定可能であり、
前記支持板(9)が、前記第1の主表面(1)および前記第2の主表面(2)のそれぞれに前記第1の係止要素(3)を有し、これにより、少なくとも1つの電気差込コネクタ(10)がその第2の係止要素(17)によって、前記第1の主表面(1)に固定可能であり、少なくとも1つの別の電気差込コネクタ(10)が、その第2の係止要素(17)によって、前記第2の主表面(2)に、前記第1の係止要素(3)と前記第2の係止要素(17)の形状嵌合式の噛み合いにより固定可能であることを特徴とする、支持板(9)。
【請求項2】
前記第1の主表面(1)および/または前記第2の主表面(2)において、1つの、複数の、またはすべての係止要素(3)が、前記表面に対して突出する係止要素(3)として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支持板(9)。
【請求項3】
前記支持板(9)が、少なくとも1つのケーブル固定領域(4)を有し、前記ケーブル固定領域(4)に、前記支持板(9)に固定された電気差込コネクタ(10)に接続された電気導線(12)が固定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の支持板(9)。
【請求項4】
前記第1の係止要素(3)が、前記ケーブル固定領域(4)の外側で、前記第1および/または第2の主表面(1、2)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の支持板(9)。
【請求項5】
前記第1の主表面(1)および/または前記第2の主表面(2)において、複数の電気差込コネクタ(10)が互いに隣り合い、前記第1の係止要素(3)と前記第2の係止要素(17)の形状嵌合式の噛み合いにより固定可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の支持板(9)。
【請求項6】
前記支持板(9)に対し異なる位置で、特に電気差込コネクタ(10)の差込方向に対して垂直な異なる位置で、前記電気差込コネクタ(10)が、前記第1の主表面(1)および/または前記第2の主表面(2)に選択的に固定可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の支持板(9)。
【請求項7】
特定の主表面(1、2)に固定可能である電気差込コネクタ(10)の数および種類が、前記第1の主表面(1)および/または前記第2の主表面(2)ごとに可変であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の支持板(9)。
【請求項8】
前記支持板(9)が少なくとも1つのコーディング要素(18)を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の支持板(9)。
【請求項9】
前記第1の係止要素(3)が、前記支持板(9)の境界縁(20)に隣接して、前記主表面(1、2)に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の支持板(9)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の支持板(9)と、少なくとも2つの電気差込コネクタ(10)とを備えた装置であって、少なくとも2つの電気差込コネクタ(10)の各々は、第2の係止要素(17)を有し、
少なくとも1つの電気差込コネクタ(10)が、その第2の係止要素(17)によって前記第1の主表面(1)に、及び、別の電気差込コネクタ(10)が、その第2の係止要素(17)によって前記第2の主表面(2)に、前記第1の係止要素(3)と前記第2の係止要素(17)の形状嵌合式の噛み合いによって固定されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記第1および第2の主表面(1、2)に固定された前記電気差込コネクタ(10)が、それらの差込面(11)により、同じ方向に位置合わせされていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の主表面(1、2)に固定された前記少なくとも1つの電気差込コネクタ(10)が、前記第2の主表面(1、2)に固定された前記少なくとも1つの電気差込コネクタ(10)に対しずれて配置されている、かつ/または異なる数の差込接点を有することを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の主表面(1、2)に、前記第2の主表面(1、2)とは異なる数の電気差込コネクタ(10)が固定されていることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
電気差込コネクタ(10)ではなく、かつ少なくとも1つの第2の係止要素(17)を有する追加部品(7)が、前記第1の主表面(1)および/または前記第2の主表面(2)に、前記第1の係止要素(3)の少なくとも1つと、前記追加部品(7)の前記少なくとも1つの第2の係止要素(17)との形状嵌合式の噛み合いにより固定されていることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記支持板(9)の前記ケーブル固定領域(4)が、前記支持板(9)に固定された前記差込コネクタ(10)に対し突出しており、これにより、前記支持板(9)に固定された電気差込コネクタ(10)に接続されている電気導線(12)が、前記ケーブル固定領域(4)に固定可能であることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載の支持板(9)およびこれに固定される少なくとも1つの差込コネクタ(10)を備える装置であって、さらに請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの別の支持板(9)およびこれに固定される、前記差込コネクタ(10)と接続するように構成された少なくとも1つの相手側差込コネクタ(19)を備え、
前記差込コネクタ(10)および/または前記相手側差込コネクタ(19)が、第2の係止要素(17)を有し、かつそれぞれの前記支持板(9)に、前記第1の係止要素(3)と前記第2の係止要素(17)の形状嵌合式の噛み合いにより固定可能であり、少なくとも1つの支持板(9)が、コーディング要素(18)を有し、前記コーディング要素によって、前記差込コネクタ(10)と前記相手側差込コネクタ(19)の互いに対する差込位置および/または差込方向が特定されることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な板の形態の支持板であって、第1の主表面およびその反対側の第2の主表面を有し、主表面は、最大面積を有する板の側部表面であって第1の係止要素を備え、第1の係止要素に、第2の係止要素を有する電気差込コネクタが、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いにより固定可能である支持板に関する。本発明はさらに、1つのそのような支持板と、それぞれ第2の係止要素を有する少なくとも2つの電気差込コネクタとを備えた装置に関する。本発明はさらに、2つのそのような支持板と、それぞれ第2の係止要素を有する1つの差込コネクタおよび1つの相手側差込コネクタとを備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な支持板はDE202017104144U1から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE202017104144U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎となる課題は、これに対し改善された支持板およびそれを用いて形成された装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、冒頭に挙げた種類の支持板において、支持板が第1の主表面および第2の主表面のそれぞれに第1の係止要素を有し、少なくとも1つの電気差込コネクタがその第2の係止要素により第1の主表面に、および少なくとも1つの別の電気差込コネクタがその第2の係止要素により第2の主表面に、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いによって固定可能であることにより解決される。これにより、簡単に製造でき、既知の支持板に比べて拡大された適用可能性をもつ支持板が提供され得る。電気差込コネクタを、この支持板に両側で、つまり支持板の第1および第2の主表面で係止させることができ、これが、両側に組立手段として存在している第1の係止要素によって可能にされることが有利である。加えて本発明による支持板は、内在的に、差込コネクタ配置のコード化を追加的に生じさせることを可能にする。
【0006】
差込コネクタは、例えば、電気接続を確立するためのプラグ部分またはソケット部分であり得る。差込コネクタは、相手側差込コネクタと接続するために適合され得る。差込コネクタまたは相手側差込コネクタは、例えばピンヘッダまたはソケット盤であり得る。差込コネクタまたは相手側差込コネクタは、例えばピン差込接点またはソケット差込接点を有し得る。
【0007】
支持板は、プラスチック部品として、例えば射出成形プロセスにおいて製造されることで、特に合理的かつ安価に提供され得る。第1および第2の主表面は、言及したように板の最大面積を有する側の表面であり、従って、板の細長い側部ではない。平坦な板は、平面状の板として、または少なくとも部分的に反った板として形成され得る。有利な一形態では、第1の主表面の第1の係止要素が第2の主表面の第1の係止要素に対し、例えばこれらの第1の係止要素が差込方向に見て互いにずれて配置されることにより、ある程度横にずれて配置され得る。
【0008】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面および/または第2の主表面において、1つの、複数の、またはすべての係止要素が、表面に対し突出する係止要素として形成されていることが企図されている。これは、それぞれの主表面での、差込コネクタの簡単で人間工学に基づいた確実な係止を可能にする。突出する係止要素は、例えば、係止フックおよび/または実矧ぎ継ぎの例えば鳩尾状の輪郭の係止要素として形成され得る。その代わりに、1つの、複数の、またはすべての係止要素が、表面に対し突出していない係止要素として、例えば係止凹部として形成されていてもよい。
【0009】
本発明の有利な一形態によれば、支持板は、支持板に固定された電気差込コネクタと接続された電気導線に固定可能である少なくとも1つのケーブル固定領域を有することが企図されている。これは、支持板に係止された差込コネクタにつながった導線が、差込コネクタのすぐ近くで簡単に支持板に固定され得るという利点を有する。こうすることで支持板は、一体化された、電気導線のためのひずみ解放機構を提供する。支持板は、ケーブル固定領域で例えば複数の貫通口を有することができ、この貫通口に、ケーブル固定手段、例えばケーブルタイを通すことができる。ケーブル固定領域は、第1の係止要素が配置される平坦な板と一体的に成形され得る。
【0010】
第1の係止要素を差込コネクタの第2の係止要素に適合させることができ、例えば、差込コネクタがその差込面を1つの位置合わせでのみ、すなわち、差込面を支持板の差込面側に向ける方向でのみ、支持板に固定され得るように適合させることができる。よって支持板に固定された差込コネクタは、自動的にそのケーブル出力側が、支持板のケーブル固定領域の方向に位置合わせされている。
【0011】
本発明の有利な一形態によれば、第1の係止要素が、ケーブル固定領域の外側の第1および/または第2の主表面に配置されていることが企図されている。これは、ケーブル固定領域では、第1および第2の主表面が第1の係止要素なしで形成されることを意味し得る。よってケーブル固定領域は、電気導線を固定するためだけに用いられる。電気差込コネクタはそこには係止され得ない。
【0012】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面および/または第2の主表面において、それぞれ複数の電気差込コネクタが、隣り合って、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いによって固定可能であることが企図されている。こうすることで、支持板の柔軟な適用可能性が拡大される。電気差込コネクタは、ユーザの選択に従って異なる構成で、第1および/または第2の主表面に係止され得る。これによりさらに、追加的なコード化の可能性も促進される。
【0013】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面および/または第2の主表面において、電気差込コネクタが、選択的に、支持板に対し異なる位置で、とりわけ電気差込コネクタの差込方向に垂直な異なる位置で、固定可能であることが企図されている。電気差込コネクタの差込方向とは、相手側差込コネクタが差込コネクタに差し込まれ得る方向のことである。とりわけ、電気差込コネクタはユーザの選択に従って様々な分離した位置で、係止要素によって支持板に固定可能である。これにより、支持板における差込コネクタの適切な位置の選択によって、差込コネクタのコード化の可能性がさらに促進される。
【0014】
本発明の有利な一形態によれば、それぞれの主表面に固定可能である電気差込コネクタの数および種類は、第1の主表面および/または第2の主表面に関し、可変であることが企図されている。これによっても、支持板の柔軟な使用可能性および差込コネクタの取付けによる追加的なコード化の可能性がさらに促進される。
【0015】
本発明の有利な一形態によれば、支持板がコーディング要素を有することが企図されている。これにより例えば、支持板上での差込コネクタの位置もしくは向き、差込コネクタもしくは相手側差込コネクタを備えたさらなる支持板に対する支持板の位置もしくは向き、または支持板に固定された差込コネクタおよび相手側差込コネクタの互いに対する位置もしくは向きが、例えば、予め定められた幾何学的なコーディング形状によって、視覚的に明確にされ得るか、または強制され得る。コーディング要素は、例えば、支持板に固定された差込コネクタの差込面と同じ空間方向を指し得るか、または支持板のうち、支持板に固定された差込コネクタの差込面に一番近い側の周面もしくは縁に設けられ得る。コーディング要素は例えば、視覚的マーク、例えばカラーマーク、またはコーディング形状、例えば支持板の周面での材料凸部もしくは材料凹部であり得る。支持板の周面は、支持板の主表面の間の支持板の表面に相当する。相互に差し込まれるように規定された1つの差込コネクタおよび1つの相手側差込コネクタを備えた2つの支持板は、互いに対応するコーディング形状を有することができ、例えば、一方の支持板が材料凸部を、もう一方の支持板が、幾何学的にこれに適合する材料凹部を有する。例えば、支持板の第1および第2の主表面に、同じまたは類似の差込面を有する差込コネクタが配置される実施形態の場合に、誤差込が回避され得る。支持板によって形成された2列差込コネクタまたは相手側差込コネクタが、コーディング要素により、特定の位置および向きでのみ差し込まれ得る。
【0016】
本発明の有利な一形態によれば、支持板が、支持板のうち最初に挙げたコーディング要素とは違う側の縁に配置された追加のコーディング要素を有することが企図されている。例えば、追加のコーディング要素は、支持板のうちコーディング要素とは反対の側に配置され得る。これにより、プリント基板に差し込む際の、支持板を用いて形成された装置の追加的な安全防護策が提供され得ることで、とりわけプリント基板とそれに取り付けられるべき差込コネクタとの間での誤差込防止が提供される。
【0017】
本発明の有利な一形態によれば、コーディング要素および/または追加のコーディング要素が、支持板の中心軸に対し横にずれて配置されており、つまり、それぞれのコーディング要素が偏心的に配置されていることが企図されている。
【0018】
冒頭に挙げた課題はさらに、上で解説した種類の支持板と、それぞれ第2の係止要素を有する少なくとも2つの電気差込コネクタとを備えた装置であって、少なくとも1つの電気差込コネクタはその第2の係止要素により第1の主表面に、別の電気差込コネクタはその第2の係止要素により第2の主表面に、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いによって固定される装置によって解決される。これによっても、上で解説した利点が実現され得る。とりわけ、こうすることで支持板が、互いに反対側の主表面に配置された電気差込コネクタの間の中間層を形成し得る。
【0019】
2つの主表面に固定された電気差込コネクタの差込面は露出しており、したがって相手方として割り当てられた相手側差込コネクタが、それぞれの差込面に差し込まれ得る。これに関し差込コネクタの差込面は、差込方向に見て支持板の前縁を越えて突出することができる。
【0020】
本発明の有利な一形態によれば、第1および第2の主表面に固定された電気差込コネクタが、その差込面を同じ方向に位置合わせされていることが企図されている。これは、差込コネクタに割り当てられた相手側差込コネクタの簡単な差込を可能にする。
【0021】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面に固定された少なくとも1つの電気差込コネクタが、第2の主表面に固定された少なくとも1つの電気差込コネクタに対しずれて配置されており、かつ/または異なる数の差込接点を有することが企図されている。これにより、支持板および電気差込コネクタから成る装置全体に関する、差込接続部の追加的なコード化が提供され得る。
【0022】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面に、第2の主表面とは異なる数の電気差込コネクタが固定されていることが企図されている。これによっても、差込接続部の追加的なコード化が提供され得る。
【0023】
本発明の有利な一形態によれば、第1の主表面および/または第2の主表面において、電気差込コネクタではなく、かつ少なくとも1つの第2の係止要素を有する追加部品が、第1の係止要素の少なくとも1つと、この追加部品の少なくとも1つの第2の係止要素との形状嵌合式の噛み合いによって固定されることが企図されている。これにより、支持板の柔軟な適用可能性がさらに促進される。このような追加部品は、例えば、差込コネクタと相手側差込コネクタのラッチロックのためのラッチロック装置および/またはこの装置を別の部品もしくは相手側差込コネクタに固定するための固定フランジであり得る。このような固定フランジは、例えば貫通穴を有することができ、この貫通穴に、固定要素、例えばネジまたはリベットが少なくとも部分的に通され得る。このような追加部品は、例えば、記憶素子および/または制御素子などの電気的および/または電子的な部品を有し得、そのような部品によって、相手側差込コネクタとの電気的なコード化が提供され得る。追加部品が、センサ、例えば温度センサとして形成されていてもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0024】
本発明の有利な一形態によれば、支持板のケーブル固定領域は、支持板に固定された差込コネクタより突出しており、これにより、支持板に固定された電気差込コネクタと接続されている電気導線が、ケーブル固定領域に固定可能であることが企図されている。これは、電気導線を支持板に、正確かつ簡単に、機械的に固定することを可能にする。
【0025】
支持板に電気差込コネクタが両側で結合することは、差込コネクタが例えば互いにずれて支持板に配置され得ることにより、追加的なコード化の可能性を実現させ得る。こうすることで、差込面のコード化という意味において、装置全体の様々な差込面を形成することができる。さらに、差込面をコード化するため、異なる極数の差込コネクタが支持板に配置され得る。支持板の各主表面における差込コネクタの種類および数は、ユーザの選択に従って変化させ得るので、またさらなるコード化の可能性が提供される。
【0026】
冒頭に挙げた課題はさらに、前述の特徴の1つに基づく支持板およびそれに固定された少なくとも1つの差込コネクタを備え、ならびに前述の特徴の1つに基づく少なくとも1つのさらなる支持板およびそれに固定された、差込コネクタと接続するように構成された少なくとも1つの相手側差込コネクタを備えた装置によって解決される。この場合、差込コネクタおよび/または相手側差込コネクタは第2の係止要素を有し、かつそれぞれの支持板に、第1の係止要素と第2の係止要素の形状嵌合式の噛み合いによって固定可能であり、これに関し、少なくとも1つの支持板が、差込コネクタと相手側差込コネクタの互いに対する差込位置および/または差込向きを特定するコーディング要素を有する。この装置は、とりわけ、支持板の第1の主表面および/または第2の主表面に固定された複数の差込コネクタまたは相手側差込コネクタを有していてもよい。例えば、相手側差込コネクタがピンヘッダで、差込コネクタがソケット盤であることができ、これらは相互に接続するために提供されている。差込コネクタの支持板は、例えばコーディング凸部を有することができ、このコーディング凸部は、差込コネクタの差込面と同じ空間方向を指し、かつ相手側差込コネクタの支持板内の対応するコーディング凹部に収容され得る。このような装置は、逆も、つまり例えば相手側差込コネクタとしてのソケット盤および差込コネクタとしてのピンヘッダを備えることも考えられる。差込コネクタと、相手側差込コネクタと、コーディング要素を有する少なくとも1つの支持板とを備えたこのような装置は、とりわけ、支持板の両方の主表面に、同じまたは混同しやすい差込面を有する差込コネクタまたは相手側差込コネクタが固定されている場合に有利であり得る。
【0027】
本発明による支持板により、1列の差込コネクタが、支持板の両側に取り付けられることで2列差込コネクタシステムへと拡張され得る。このために個々の差込コネクタが再設計される必要はない。これによっても、個々の部品の製造においてかなりの合理化効果が生じる。土台としての本発明による支持板により、既存の構成要素、つまり差込コネクタおよび場合によっては追加部品を組み合わせることで、非常に様々な差込コネクタ実施形態が、ユーザの選択に従って生成され得る。
【0028】
本発明の意味において、不定の概念の「1つ」を数詞と理解してはならない。つまり、例えば1つの部品と言う場合、これは「少なくとも1つの部品」の意味で解釈されるべきである。角度表示が度でなされる場合には、この角度表示は360度(360°)の円の尺度に対しである。
【0029】
以下では、例示的実施形態に基づき、図面を使用して本発明をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施形態に基づく支持板の斜視図である。
図2図1に基づく支持板の前面図である。
図3】電気差込コネクタの等角投影図である。
図4】1つの支持板および2つの電気差込コネクタを備えた装置の側面図である。
図5】1つの支持板およびそれに固定された要素を備えた装置の前面図である。
図6A図6Aは支持板および図6Bと同種の差込コネクタの装置の前面図である。
図6B図6Bは支持板および図6Aと同種の差込コネクタの装置の前面図である。
図7A図7Aは支持板ならびに図7Bおよび図8とは別種の差込コネクタの装置の前面図である。
図7B図7Bは支持板ならびに図7Aおよび図8とは別種の差込コネクタの装置の前面図である。
図8】支持板ならびに図7Aおよび図7Bとは別種の差込コネクタの装置の前面図である。
図9】シールドシートを備えた、支持板および差込コネクタの装置の前面図である。
図10】シールドシートを備えた、支持板および差込コネクタの装置の側面図である。
図11】シールドシートを備えた、支持板および差込コネクタの装置の側面図である。
図12】シールドシートを備えた、支持板および差込コネクタの装置の側面図である。
図13】さらなる一実施形態に基づく支持板の斜視図である。
図14】さらなる一実施形態に基づく支持板の平面図である。
図15】さらなる一実施形態に基づく支持板の断面図である。
図16】さらなる一実施形態に基づく支持板の側面図である。
図17】支持板およびピンヘッダを備えた装置の前面図である。
図18】支持板およびピンヘッダを備えた装置の側断面図である。
図19】支持板およびピンヘッダを備えた装置の等角投影図である。
図20】相手側差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置の前面図である。
図21】相手側差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置の側面図である。
図22】分離された支持板の断面図である。
図23】差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置の側面図である。
図24】差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置の前面図である。
図25】分離された支持板の断面図である。
図26】相手側差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置および差込コネクタと、コーディング要素を有する支持板とを備えた装置の側面図である。
図27図26に基づく装置の支持板の、図26に描き込まれた切断面A-Aでの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここでは、電気差込(換言すれば、プラグ)コネクタの差込面側が前面と見なされる。
図1および図2で認識できる第1の実施形態に基づく支持板9は、第1の主表面1およびその反対側の第2の主表面2、つまり2つの互いに反対側の主表面1、2を有する平坦な板5の形態で形成されている。支持板9のうち、電気差込コネクタ10の固定に用いられる領域では、支持板9は、両方の主表面1、2に、つまり両側に、第1の係止要素3を有する。電気差込コネクタ10は、主表面1、2における第1の係止要素3の1つまたは複数に係止されることで固定され得る。
【0032】
支持板9は、電気差込コネクタ10のためのこの固定領域の外に、つまり第1の係止要素3がない領域に、ケーブル固定領域4を有し、このケーブル固定領域4では、支持板9に固定された電気差込コネクタ10と接続している電気導線12を固定することができ、従って、ひずみ解放が行われる。このためにケーブル固定領域4は、ケーブル固定手段13、例えばケーブルタイを通すことができる複数の貫通口6を有し得る。
【0033】
支持板9が、長さおよび幅より厚さがかなり小さい比較的平坦な平面状の板5として形成されていることが認識される。支持板9の厚さは、例えば長さおよび幅の最大寸法の1/10未満であり得る。
【0034】
図3は、差込面11および第2の係止要素17を備え、ソケット盤として実施された差込コネクタ10を例示的に示している。第2の係止要素17は、示した例示的実施形態では係止口として実施されており、差込コネクタ10を支持板9に係止するため、この係止口内に、例えば図1に示した係止凸部として形成された第1の係止要素3が嵌り込み得る。このために第2の係止要素17は、位置および向きが支持板9の第1の係止要素3に対応するように、ならびに第1の係止要素3を第2の係止要素17に全体的に嵌め込んで係止できるように、互いに対し適合されており、かつ差込コネクタ10に位置決めされている。
【0035】
図4は、支持板9と、それぞれ第2の係止要素17を有する2つの電気差込コネクタ10とを備えた装置を示している。ここでは、各電気差込コネクタ10が、その第2の係止要素17により主表面1、2の一方の第1の係止要素3と係止することによって結合されている。これにより、支持板9は両側で電気差込コネクタ10を装着されている。電気差込コネクタ10は、その差込面11が、つまり相手側差込コネクタが差し込まれ得る側が、同じ方向を、とりわけケーブル固定領域4とは逆向きの方向を指すように、支持板9に固定されている。
【0036】
図5は、支持板9および第1の主表面1に固定された2つの電気差込コネクタ10ならびに第1の主表面1に追加的に第1の係止要素3の1つとの係止によって取り付けられた追加部品7、例えば固定フランジを備えた装置を示している。図示した例では、追加部品7は2つの差込コネクタ10の間にある。別の配置も考えられる。もちろん支持板9は第2の主表面2でも、1つもしくは複数の差込コネクタ10および/または1つもしくは複数の追加部品7を装着され得る。
【0037】
さらに指摘すべきは、差込コネクタ10を支持板9の主表面1、2に装着する場合、差込コネクタ10は必ずしも同種の差込コネクタ10でなくてよく、主表面1、2に異なる構造形式および/または極数の差込コネクタ10を装着してもよい。
【0038】
図6Aおよび図6Bは、本発明による支持板9により、同じタイプ(換言すれば、種類または型式)の差込コネクタ10を使用する際に、どのように異なる種類の2列差込接続部が作られ得るかを明確にしており、これによって生じたこれらの差込接続部は異なる差込面11を有し、よって同一極数の場合の異なる差込面のコード化を可能にする。これは、支持板9に差込コネクタ10を適宜横にずらしてまたは偏心的に固定することによって実現され得る。
【0039】
図7Aおよび図7Bは、両方の主表面1、2の、つまり2列差込接続部の両方の列の総極数が等しい場合の、異なる差込面11をもつ2列差込接続部の形態を明確にしている。図7Aに示した例では、第1の主表面1に3つの2極差込コネクタ10があり、図7Bに示した例では、第1の主表面1に1つの2極差込コネクタ10および1つの4極差込コネクタ10がある。第2の主表面2では、いずれの場合も1つの8極差込コネクタ10がある。
【0040】
図8は、支持板9が、ハイブリッド差込コネクタの形成にも利用され得ることを明確にしており、つまり、一方の主表面1、2またはその反対側の主表面1、2に異なるタイプの差込コネクタ10が固定され得る。これに加え、差込コネクタ10をその横の位置決めに関して異なるように、つまり異なるずれで、支持板9に取り付けることができ、これがさらなるコード化の可能性を提供する。
【0041】
図9図12は、支持板9が、シールドシート16と組み合わせて用いられてもよいことを明確にしている。このようなシールドシート16は、例えば支持板9の一方の主表面1、2だけにまたは両方の主表面1、2に配置され得る。シールドシート16は、支持板9と固定的に結合されていてよく、または独立した部品として、支持板9とそれに結合される差込コネクタ10との間に配置され得る。
【0042】
図10および図11はこれに加え、差込コネクタ10につながった電気導線12が、どのようにケーブル固定領域4でケーブル固定手段13によって固定され得るかを示している。
【0043】
シールドシート16は、差込面11に向いている側で、シールド差込接点14へと成形され得るかまたはこのようなシールド差込接点14と結合され得る。これは、相手側差込コネクタにこの装置を差し込む際に、同時に外部のシールド端子15に対する電気接続を確立することを可能にし、この外部のシールド端子15は、例えばブレード接点またはピン接点のように、フォーク接点の形式で成形されたシールド差込接点14に差し込まれ得る。
【0044】
図13図16は、さらなる一実施形態に基づく支持板9を示しており、ここでは、両方の主表面1、2上の第1の係止要素3は、支持板9の境界縁20に隣接して、主表面1、2から突き出ている。第1の係止要素3は、示した例示的実施形態では断面がT字形を有する。このさらなる実施形態に基づく支持板9には、例えば差込コネクタ10および支持板9を備えた装置のための相手側差込装置を製造し得るために、例えば相手側差込コネクタ19が配置され得る。これにより、差込コネクタ10および相手側差込コネクタ19から成る、互いに適合する装置が、支持板9を使って提供され得る。
【0045】
図17図19は、さらなる実施形態に基づく、ピンヘッダを備えた支持板9を示しており、このピンヘッダは、例えばさらなる図に示したソケット盤として形成された差込コネクタ10のための、相手側差込コネクタ19であることができ、このピンヘッダは、支持板9の両方の主表面1、2に配置されており、かつ第1の係止要素3によって両方の主表面1、2に固定されている。
【0046】
図20図22は、さらなる実施形態に基づく支持板9と、これに固定された同じ形状および極数のピンヘッダとして実施された相手側差込コネクタ19とを備えた装置を示している。図23図25は、さらなる実施形態に基づく対応する装置を示しており、支持板9と、これに固定された同じ形状および極数のソケット盤として実施された差込コネクタ10とを備えた装置が示されている。これらの装置では、差込コネクタ10と相手側差込コネクタ19を共に合わせる(換言すれば、対合する)のは、支持板9の両側における同じ形状および極数の故に、2つの異なる向きで相互に差し込めるので、さしあたりやりにくい。したがって図20図22に基づく装置は、材料凹部として実施されたコーディング(換言すれば、コード化または符号化)要素18を備えた支持板9を有する。図23図25に基づく装置は、材料凸部として実施されたコーディング要素18を備えた支持板9を有する。こうすることでコーディング要素18により、差込コネクタ10と相手側差込コネクタ19の一義的な差込位置および差込方向が特定される。組み合わされた状態では、材料凸部として実施されたコーディング要素18が、材料凹部として実施されたコーディング要素18に嵌り込む。図21は、さらなる実施形態に基づく支持板9およびこれに固定された相手側差込コネクタ19を備えた装置の側断面図を示している。図23は、第1の実施形態に基づく支持板9およびこれに固定された差込コネクタ10を備えた装置の側面図を示している。
【0047】
2つの支持板9に配置されており、かつ互いに相手方として割り当てられているコーディング要素18によるコード化により、差込コネクタ10、例えば雌型多点コネクタと、相手側差込コネクタ19、例えばピンヘッダとの間の誤差込防止が達成される。雌型多点コネクタとピンヘッダが逆向きに差し込まれ得ることが阻止される。
【0048】
図26に示した装置の場合、右側に示した2つの差込コネクタ10および1つの支持板9から成るユニットは、例えば図23に基づく装置と一致する。差込コネクタ10を備えた装置の支持板9は、上で言及したようにコーディング要素18を有する。左側に示した装置は、相手方として形成されたコーディング要素18、つまり材料凹部として実施されたコーディング要素18を有する支持板3を備えた2つの相手側差込コネクタ19を有する。この点において、これは図21の表現と一致する。
【0049】
これに加え、図26と、図27の断面図とは、相手側差込コネクタ19が固定された支持板9が、例えば図示したように材料凸部としての、またはさらには材料凹部としての、さらなるコーディング要素21を有し得ることを示している。このさらなるコーディング要素21は、支持板9において、とりわけコーディング要素18とは反対の側に配置され得る。このさらなるコーディング要素21により、相手側差込コネクタ19を備えた装置と、相手側差込コネクタ19が例えばはんだ付けされるべきプリント基板との対合の誤りを防止することができる。さらなるコーディング要素21により、例えばピンヘッダとしての実施形態での相手側差込コネクタ19が逆向きにプリント基板に差し込まれ得ることが阻止される。このためにプリント基板は、さらなるコーディング要素21に対する相手方として、つまり材料凸部としてまたは材料凹部として形成されたコード化を有するよう実施されることが有利である。これに関し、コーディング要素18および/またはさらなるコーディング要素21が、差込コネクタ10または相手側差込コネクタ19の差込方向に平行に、それぞれの支持板9の中央を通っている支持板9の中心軸Mに対し偏心的に配置され得ることが有利である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1の主表面
2 第2の主表面
3 第1の係止要素
4 ケーブル固定領域
5 平坦な板
6 貫通口
7 追加部品
9 支持板
10 電気差込コネクタ
11 差込面
12 電気導線
13 ケーブル固定手段
14 シールド差込接点
15 外部のシールド端子
16 シールドシート
17 第2の係止要素
18 コーディング要素
19 相手側差込コネクタ
20 境界縁
21 追加のコーディング要素
M 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【外国語明細書】