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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004359
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】トロッカーカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240109BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61M1/00 161
A61M25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103989
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓真
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕介
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA26
4C077DD19
4C077DD21
4C077DD23
4C267AA03
4C267JJ08
4C267JJ20
(57)【要約】
【課題】トロッカーカテーテルが有する問題の少なくとも一部を解決できるようにする。
【解決手段】トロッカーカテーテルは、基端が開放され、トロッカー針が挿通される第1の管腔130を有する主管部101と、主管部101から分岐し、第1の管腔130と連通した分岐管部102とを備えている。主管部101は、基端側に向かって内径が拡径したチューブ接続部142を基端に有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロッカー針が挿通される第1の管腔を有する主管部と、
前記主管部から分岐し、前記第1の管腔と連通した分岐管部とを備え、
前記主管部は、基端側に向かって内径が拡径したチューブ接続部を基端に有する、トロッカーカテーテル。
【請求項2】
前記主管部は、カテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の基端に固定され、前記チューブ接続部を含む接続部とを有し、
前記分岐管部は、前記接続部において前記主管部から分岐している、請求項1に記載のトロッカーカテーテル。
【請求項3】
前記チューブ接続部は、基端側に向かって内径が大きくなるように、複数の段差部を有している、請求項2に記載のトロッカーカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテル本体部は、前記第1の管腔と並行して延びる第2の管腔を有している、請求項2に記載のトロッカーカテーテル。
【請求項5】
前記分岐管部は、基端に接続されたサンプルポート部を有し、
前記サンプルポート部は、オスルアーコネクタを挿入することにより開通可能な閉止弁を有している、請求項1~4のいずれか1項に記載のトロッカーカテーテル。
【請求項6】
トロッカー針が挿通される第1の管腔を有する主管部を備え、
前記主管部は、カテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の基端に固定された接続部とを有し、
前記接続部は、基端側に向かって次第に内径が大きくなる複数の段差部を有するチューブ接続部を含む、トロッカーカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トロッカーカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔に溜まった血液や浸出液等を体外に排出するために、トロッカー針と組み合わせたトロッカーカテーテルと呼ばれるカテーテルが使用される場合がある。トロッカー針が挿通された状態でトロッカーカテーテルを体腔内に挿入した後、トロッカー針を引き抜きトロッカーカテーテルを留置する。トロッカーカテーテルの基端にはチューブを介して排液貯留用のドレーンバッグ及び吸引器等を接続し、体腔内の浸出液等を体外に排出する(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-272755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
留置したトロッカーカテーテルの基端を開放状態にすると、体内への雑菌等の侵入を許してしまう。特に、胸腔ドレーンの場合、肺に穴が空いている可能性があり、トロッカーカテーテルから雑菌が侵入すると、肺に達し、非常に危険な状態になるおそれがある。このため、トロッカーカテーテルを留置した後、速やかにドレーンバッグ等と繋がるチューブを接続して閉鎖系を構築し、チューブを接続した後は閉鎖系を維持することが求められる。
【0005】
一方、経過観察等のために回収した排出液の分析を行う場合がある。この場合、ドレーンバッグ等と繋がるチューブを外し、サンプルを採取した後、再びチューブを接続する必要がある。このような操作は手間であるだけで無く、トロッカーカテーテルが開放状態となるため細菌感染等を発生させる要因となる。
【0006】
ダブルルーメンのカテーテルの場合、サブルーメンを用いてサンプル採取をすることも考えられるが、体腔からの排出液の粘度が高い場合には詰まりやすいため、細いサブルーメンからのサンプル採取は現実的ではなく、通常そのような使用はしない。
【0007】
トロッカーカテーテルの基端に、サンプリング用のポートを有するアダプタを接続することも考えられるが、トロッカーカテーテルは、排出液の粘度や患者の体格等に応じて種々の径のものが使用される。このためトロッカーカテーテルのサイズに応じた種々のアダプタを準備しなければならないだけでなく、これらを正しく組み合わせなければならない。また、接続箇所が増えるため、誤接続をしたり、接続が外れたりするリスクも増大する。
【0008】
ドレーンバッグ側にサンプリングポートを設けることも考えられるが、この場合には、貯留された排出液をサンプリングすることになるので、経時的な変化を観察することが困難である。
【0009】
このため、閉鎖系を保ったまま排出液のサンプルを容易に採取できるようにすることが求められている。
【0010】
また、従来のトロッカーカテーテルは、基端部をフレア状に加工して、先端側の太さによらず、種々の太さのチューブを接続できるようにしたものが一般的である。また、ドレーンバッグとの間を繋ぐチューブは、トロッカーカテーテルの基端のフレア状の部分の形状差を吸収できるように、基端側(ドレーンバッグ側)に向かって次第に拡径する複数の段部を有するタケノコ形状の継手を有していることが一般的である。しかし、このような継手をフレア状の基端部に接続する場合、挿入抵抗が大きいので、操作者によって継手の挿入深さにばらつきが生じやすく、必ずしも十分な接続強度を得ることができず接続信頼性が低い。接続部に補強テープを巻いたり、結束バンドにより固定したりすることが一般に行われているが、さらに信頼性が高い接続方法が求められている。
【0011】
トロッカーカテーテルの基端と、チューブの先端とに相互に接続できるロック機構等を有するコネクタを設けることも考えられるが、排液システムには統一された規格が存在せず、様々なトロッカーカテーテル及びチューブが混在しているので、現実的ではない。また、トロッカーカテーテルの基端側からトロッカー針を挿入可能であることが求められるため、ロック機構等を有するコネクタの構造は特殊なものにならざるを得ない。
【0012】
本開示の課題は、従来のトロッカーカテーテルにおけるこれらの課題の少なくとも一つを解決できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のトロッカーカテーテルの第1の態様は、トロッカー針が挿通される第1の管腔を有する主管部と、主管部から分岐し、第1の管腔と連通した分岐管部とを備え、主管部は、基端側に向かって内径が拡径したチューブ接続部を基端に有する。
【0014】
トロッカーカテーテルの第1の態様は、主管部から分岐した分岐管部を備えているので、主管部の基端に接続したドレーンバッグ等を繋ぐチューブを取り外さなくても、分岐管部から試料採取を行うことができる。また、分岐管部はトロッカー針が挿通される第1の管腔と連通しているので、排出液による詰まりが生じにくく、試料採取が容易にできる。
【0015】
トロッカーカテーテルの第1の態様において、主管部は、カテーテル本体部と、カテーテル本体部の基端に固定され、チューブ接続部を含む接続部とを有し、分岐管部は、接続部において主管部から分岐していてもよい。このような構成とすることにより、カテーテル本体部の太さによらず、内径が大きいチューブ接続部を容易に実現することができる。
【0016】
トロッカーカテーテルの第1の態様において、チューブ接続部は、基端側に向かって内径が大きくなるように、複数の段差部を有していてもよい。チューブ接続部の段差部と継手の段部とがほぼ同じ間隔で配置されている場合には、複数の段差部と段部との面同士が密着するので継手とチューブ接続部との接触面積が大きくなり、気密性の確保が容易となる。継手の段部がチューブ接続部の段差部と異なる間隔である場合や、継手に段部が形成されていない場合においても、チューブ接続部と継手との間に複数の密着箇所が生じるため、気密性の確保が容易となる。一方、チューブ接続部の内面と継手の外面とが共に平坦なテーパ面である場合と異なり、チューブ接続部の内面と継手の外面との全体が密着しないので、挿入の際に大きな摩擦力が働かず、継手とチューブ接続部との接続が容易となる。そして、操作者による継手の挿入深さのばらつきを小さくすることができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0017】
トロッカーカテーテルの第1の態様において、カテーテル本体部は、第1の管腔と並行して延びる第2の管腔を有していてもよい。このような構成とすることにより、体腔内へ薬剤、洗浄液及びエアー等を注入することが容易にできる。
【0018】
トロッカーカテーテルの第1の態様において、分岐管部は、基端に接続されたサンプルポート部を有し、サンプルポート部は、オスルアーコネクタを挿入することにより開通可能な閉止弁を有していてもよい。このような構成とすることにより、サンプリングの操作が容易になるだけでなく、閉鎖系の維持も容易にできる。
【0019】
本開示のトロッカーカテーテルの第2の態様は、基端が開放され、トロッカー針が挿通される第1の管腔を有する主管部を備え、主管部は、カテーテル本体部と、カテーテル本体部の基端に固定された接続部とを有し、接続部は、基端側に向かって次第に内径が大きくなる複数の段差部を有するチューブ接続部を含む。
【0020】
トロッカーカテーテルの第2の態様は、接続部が、基端側に向かって次第に内径が大きくなる複数の段差部を有するチューブ接続部を有している。このため、継手にチューブ接続部とほぼ同じ間隔の段部が形成されている場合には、複数の段差部と段部との面同士が密着するので継手とチューブ接続部との接触面積が大きくなり、気密性の確保が容易となる。継手にチューブの段差部とは異なる間隔の段部が形成されている場合や、段部が形成されていない場合においても、チューブ接続部と継手との間に複数の密着箇所が生じるため、気密性の確保が容易となる。一方、チューブ接続部の内面と継手の外面とが共に平坦なテーパ面である場合と異なり、チューブ接続部の内面と継手の外面との全体が密着しないので、挿入の際に大きな摩擦力が働かず、継手を挿入する際に必要とする力が小さくなる。これにより、継手とチューブ接続部との接続が容易となり、操作者による継手の挿入深さのばらつきを小さくすることができ、接続信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示のトロッカーカテーテルによれば、排出液採取の容易化及びチューブ接続の信頼性向上の少なくとも一方を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係るトロッカーカテーテルを示す側面図である。
図2】一実施形態に係るトロッカーカテーテルを示す断面図である。
図3】変形例に係るトロッカーカテーテルを示す側面図である。
図4】変形例に係るトロッカーカテーテルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2に示すように、本実施形態のトロッカーカテーテル100は、主管部101と、主管部101から分岐した分岐管部102とを有している。主管部101は、トロッカー針200が挿通される第1の管腔130を有している。第1の管腔130は、先端開口131から基端開口132まで、開通されている。第1の管腔130の基端には、ドレーンバッグ等と接続するための排液用のチューブを接続することができるチューブ接続部142が形成されている。分岐管部102は、第1の管腔130と連通している。分岐管部102を有していることにより、第1の管腔130の末端におけるチューブとの接続を取り外すことなく、第1の管腔130内を流れる液体の採取を容易に行うことができる。
【0024】
本実施形態において、主管部101は、カテーテル本体部111と、カテーテル本体部111とは別に成形され、カテーテル本体部111の基端に固定された接続部112とを有している。
【0025】
カテーテル本体部111は、先端部が先細に加工されているが、他の部分はほぼ一定の内径φ1を有し、外径もほぼ一定であるチューブ状である。カテーテル本体部の先細に加工された先端は、トロッカー針200の先端が露出する先端開口131となっている。カテーテル本体部111の側面には、第1の管腔130と連通する側面開口133が形成されている。側面開口133の数は特に限定されず、複数形成することもできる。また、側面開口133を形成しない構成とすることもできる。カテーテル本体部111は、先端からの位置を示す目盛り138及びX線撮影用のX線マーカー(図示せず)を有している。目盛り138及びX線マーカーは必要に応じて形成すればよく、形成しなくてもよい。
【0026】
接続部112は、先端側に形成された先端側固定部141と、基端側に形成されたチューブ接続部142と、その間に形成された分岐管固定部143とを有している。
【0027】
チューブ接続部142は、定径部146と拡径部147とを有する複数の段差部145を有しており、基端側に向かって内径が大きくなるように形成されている。チューブ接続部142の基端の内径φ2は、チューブの接続を容易にするためにカテーテル本体部111の内径φ1よりも大きい。
【0028】
本実施形態のチューブ接続部142は、複数の段差部145により段階的に拡径する構成である。チューブ接続部142に、基端側に向かって段階的に拡径する複数の段部を有するタケノコ形状の継手を接続する場合、段差部145の間隔と段部の間隔とがほぼ同じであれば、段差部145と段部との面同士が密着するので継手とチューブ接続部142との接触面積が大きくなり、気密性の確保が容易となる。また、継手の段部がチューブ接続部142の段差部145と異なる間隔である場合や、段部が形成されていない継手を接続する場合においても、複数の段差部145により継手とチューブ接続部142との間に密着箇所が複数生じるので、気密性の確保が容易となる。
【0029】
一方、チューブ接続部142の内面と継手の外面とが共に平坦なテーパ面である場合と異なり、チューブ接続部142の内面と継手の外面との全体が面接触しないので、挿入の際の摩擦抵抗大きくなりすぎず、継手とチューブ接続部142との接続が容易となる。接続の際の抵抗が大きいと、操作者によって継手の挿入深さにばらつきが生じやすい。継手の挿入が浅い場合には、脱落が生じやすくなり、深すぎる場合には、使用後や交換時の取り外しが困難になる。チューブ接続部142の内面に複数の段差部145を形成することにより、操作者による継手の挿入深さのばらつきを小さくすることができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0030】
チューブ接続部142の内部に形成する段差部145の数は特に限定されないが、種々の継手に対応できるようにする観点から、内径が0.2mm~0.8mm程度ずつ拡径するような構成が好ましい。定径部146の長さは、特に限定されないが一般的な継手の形状を考慮して、3mm~6mm程度とすることが好ましい。図2には、定径部の長さが5mmで、拡径部147において0.5mmずつ拡径する段差部145により6段階に拡径する例を示している。チューブ接続部142の基端の内径φ2は、特に限定されないが、種々の継手を接続できるようにする観点から、好ましくは4mm~10mm程度、より好ましくは5mm~8mm程度とすることができる。
【0031】
なお、図2においては、複数存在する定径部146の長さが全て一定である例を示しているが、少なくとも一部の定径部146の長さが異なっていたり、定径部146の長さが段階的に変化していたりする構成とすることができる。また、定径部146は、完全に一定径である必要はなく、拡径部147よりも傾斜が緩やかなテーパ形状とすることもできる。複数存在する拡径部147の拡径する割合や、傾斜も少なくとも一部において異なった値となっている構成とすることができる。
【0032】
チューブ接続部142は、複数の段差部145を有する構成に限らず、チューブを接続できる種々の構成とすることができる。例えば、チューブ接続部142を内面が平坦なフレア形状とすることもできる。チューブ接続部をフレア形状とした場合、タケノコ形状の継手を挿入すると、段差部を有している場合と比べて、チューブ接続部の内面と継手との接触面積が小さくなる。この場合、チューブ接続の変形追随性が大きくなるように材質等を選択して、密着性及び挿入性を確保することが好ましい。
【0033】
チューブ接続部142に接続する継手の段部は、一定間隔で配置されているものに限らず、少なくとも一部において段部の間隔が異なっている構成とすることもできる。また、基端側に向かって拡径する形状に限らず、ストレート形状とすることもできる。また、段部を有さない、平坦なテーパ形状又はストレート形状とすることもできる。
【0034】
先端側固定部141は、カテーテル本体部111の基端に接着又は溶着等により固定される。図2においては、先端側固定部141は、カテーテル本体部111を内嵌させる構成である。このようにすれば、カテーテル本体部111と接続部112との連結部に段差を生じにくくすることが容易にできる。但し、先端側固定部141として、カテーテル本体部111の基端に固定できる種々の構成を採用することができる。カテーテル本体部111の太さによっては、先端側固定部141を外径が連続的に又は段階的に拡がる構成とすることもできる。このような構成にすることにより、カテーテル本体部111の径が細い場合にも、接続部112に固定することが容易にできる。
【0035】
分岐管固定部143は、チューブ接続部142から側方に突出した、第1の管腔130と連通する内腔を有する部分である。分岐管固定部143に分岐チューブ121を固定することにより、第1の管腔130と連通した分岐管部102を容易に形成することができる。本実施形態において、分岐管固定部143は、分岐チューブ121が内嵌する接続部112の一部分であるが、第1の管腔130と連通する分岐チューブ121を接続できる種々の構成とすることができる。また、分岐管固定部143は、接続部112とは独立した部材とすることもできる。分岐管固定部143を設けることにより、分岐チューブ121が固定される個所の接触面積を大きく設定することができるので、分岐チューブ121の接合強度や耐キンク性を向上させることができる。しかし、分岐管固定部143を用いずに、カテーテル本体部111の側面に形成した開口部に分岐チューブ121を直接接続することもできる。
【0036】
本実施形態において、分岐チューブ121の基端にはメスルアー接続部122が固定されており、メスルアー接続部122には弁付ポート123が接続されている。弁付ポート123は、通常は閉止しており、オスルアー等のプラグを挿入することにより開通する弁体を有しており、例えば、シリンジを弁付ポート123接続して吸引することにより、第1の管腔内の液体を容易に吸い出し、サンプリングすることができる。但し、分岐管部102は、閉止とサンプリングとを行うことができる種々の構成とすることができる。例えば、弁付ポートではなく注射針を挿通可能なシールを有するポートを用いたり、シール機能を有していないポートとチューブクランプとを組み合わせた構成としたりすることができる。また、分岐チューブの末端に開閉式の弁体等を直接固定することもできる。
【0037】
本実施形態において、接続部112とカテーテル本体部111とを別に成形し、後から接続・固定している。このようにすれば、細いカテーテル本体部111においても、内径が大きいチューブ接続部を容易に実現できる。また、接続部112の構造や形状の設計自由度が大きくなることから、主管部101から分岐する分岐管部102を形成したり、チューブ接続部142の内面に段差部145を形成したりすることが容易にできる。さらに、接続部112とカテーテル本体部111とを、それぞれに適した異なる樹脂材料により成形することができる。但し、接続部112とカテーテル本体部111とを一体成形することもできる。
【0038】
カテーテル本体部111及び接続部112は、特に限定されず種々の材料により形成することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリエチレン等の樹脂材料により形成することができる。また、生体適合性のある材料により形成することもできる。カテーテル本体部111と接続部112とを同じ材料により形成することにより、両者の接合が容易となり、接合強度を大きくできる。但し、カテーテル本体部111と接続部112と異なる材料により形成することもできる。
【0039】
接続部112の基端に接続したチューブの末端にはドレーンバッグやドレーンボトル等の排液容器を接続することができる。また、チューブが、ドレーンバッグ等と一体となった構成とすることもできる。ドレーンバッグ等は、水封機構を介して低圧の吸引ポンプと接続することができる。このような構成とすれば、開放系とすることなく体腔内の浸出液等を排出することができ、感染のリスクを低減できる。なお、接続部112の基端にチューブを接続する構成は、胸腔や腹腔などのトロッカーカテーテルの設置場所や、トロッカーカテーテルにより排出される液体や気体の種類等に応じて適宜選択することができる。
【0040】
図3及び図4は、変形例に係るトロッカーカテーテル100Aを示している。カテーテル本体部111Aは、第1の管腔130と並行して延びる第2の管腔150を有している。第2の管腔150は、第1の管腔130よりも内径が小さいサブルーメンである。第2の管腔150は、カテーテル本体部111Aの先端部に形成されたサブルーメン開口135から、カテーテル本体部111Aの基端側まで延びている。第2の管腔150の基端側にはサブルーメンアクセス105が形成されており、サブルーメンアクセス105から第2の管腔150を介して、体腔内に薬剤等を注入することができる。また、体腔内の洗浄を行うための洗浄液やエアーを送り込むためにサブルーメンアクセス105を用いることもできる。
【0041】
本変形例において、サブルーメンアクセス105は、第2の管腔150の基端部付近に形成された基端側側面開口136にサブルーメンハブ114を介して接続された分岐チューブ151により形成されている。基端側側面開口136と分岐チューブ151とをサブルーメンハブ114を介して接続することにより、外径の大きな分岐チューブ151でも基端側側面開口136に対して容易に接続でき、サブルーメンアクセス105の流量を十分に確保できる。また、分岐チューブ151がキンクしにくくなるという利点も得られる。分岐チューブ151の基端には、メスルアー接続部152及び弁付ポート153が接続されている。なお、サブルーメンアクセス105は、このような構成に限らず、第2の管腔150に薬液を供給できる種々の構成を採用し得る。例えば、分岐チューブ151にクランプ等を設けて、開閉できるようにすることができる。第2の管腔150の基端に密栓、ゴム栓又は開閉式プラグ等を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示のトロッカーカテーテルは、排出液採取の容易化及びチューブ接続の信頼性向上の少なくとも一方を実現でき、医療分野において有用である。
【符号の説明】
【0043】
100 トロッカーカテーテル
100A トロッカーカテーテル
101 主管部
102 分岐管部
105 サブルーメンアクセス
111 カテーテル本体部
111A カテーテル本体部
112 接続部
114 サブルーメンハブ
121 分岐チューブ
122 メスルアー接続部
123 弁付ポート
130 第1の管腔
131 先端開口
132 基端開口
133 側面開口
135 サブルーメン開口
136 基端側側面開口
141 先端側固定部
142 チューブ接続部
143 分岐管固定部
145 段差部
146 定径部
147 拡径部
150 第2の管腔
151 分岐チューブ
152 メスルアー接続部
153 弁付ポート
200 トロッカー針
図1
図2
図3
図4