(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043654
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ポインティングデバイス操作用スリーブ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/039 20130101AFI20240326BHJP
【FI】
G06F3/039
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148761
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元川 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】平野 敦嗣
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AE00
(57)【要約】
【課題】マウスを操作するプレーヤーの手が十分に保護され、かつこのプレーヤーの動作が阻害されにくいスリーブ2の提供。
【解決手段】ポインティングデバイス操作用スリーブ2は、パームカバー4及びアームカバー6を有している。パームカバー4は、甲側パネル10、掌側パネル12及び第一開口14を有している。第一開口14は、アウトサイド端16、インサイド端18、甲側縁20及び掌側縁22を有している。掌側縁22は、甲側縁20よりもボトムサイドに位置している。掌側パネル12の面積は、甲側パネル10の面積よりも小さい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一開口を有しており、かつ手のひらの一部を覆いうるパームカバー、
及び
上記パームカバーに連続しており、第二開口を有しており、かつ前腕の少なくとも一部を覆いうるアームカバー
を備えており、
上記第一開口が、アウトサイド端、インサイド端、並びにそれぞれが上記アウトサイド端と上記インサイド端との間に位置する甲側縁及び掌側縁を有しており、
上記掌側縁の少なくとも一部が上記甲側縁よりもボトムサイドに位置する、ポインティングデバイス操作用スリーブ。
【請求項2】
上記甲側縁の高さと上記掌側縁の高さとの差の最大値が20mm以上である、請求項1に記載のスリーブ。
【請求項3】
上記掌側縁が全体として上記甲側縁よりもボトムサイドに位置する、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項4】
上記掌側縁の少なくとも一部が、上記アウトサイド端及び上記インサイド端を結ぶ直線よりもボトムサイドに位置する、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項5】
上記掌側縁部が全体として上記直線よりもボトムサイドに位置する、請求項4に記載のスリーブ。
【請求項6】
上記甲側縁の少なくとも一部が、上記アウトサイド端及び上記インサイド端を結ぶ直線よりもトップサイドに位置する、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項7】
上記甲側縁部が全体として上記直線よりもトップサイドに位置する、請求項6に記載のスリーブ。
【請求項8】
上記掌側縁がボトムサイドに向かって凸な形状を有しており、上記甲側縁がトップサイドに向かって凸な形状を有している、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項9】
上記甲側縁が、第一縁と、この第一縁よりもインサイドに位置する第二縁とを有しており、
上記第一縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第二縁の高さが、アウトサイドからイントサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第二縁における高さの減少率が、上記第一縁における高さの減少率よりも大きい、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項10】
上記掌側縁が、第三縁と、この第三縁よりもインサイドに位置する第四縁とを有しており、
上記第三縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第四縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第三縁における高さの減少率が、上記第四縁における高さの減少率よりも大きい、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項11】
上記パームカバーが、甲側パネルと、この甲側パネルの面積よりも小さい面積を有する掌側パネルとを含む、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【請求項12】
上記アウトサイド端の高さが上記インサイド端の高さよりも大きい、請求項1又は2に記載のスリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マウスのようなポインティングデバイスの操作に適した、スリーブを開示する。
【背景技術】
【0002】
e-スポーツは、シューティング(FPS/TPS)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、RTS(Real Time Strategy)、格闘ゲーム、スポーツビデオゲーム、DCG(Digital Card Game)及びパズルゲームの、7のジャンルに分類されている。シューティングのプレーヤーは、マウスを操作し、ゲームに参加する。このプレーヤーには、俊敏性が要求される。プレーヤーの手は、マウスパッドと激しく擦動する。
【0003】
特開2001-265529公報には、マウス等のポインティングデバイスを操作するオペレータのための保護具が開示されている。この保護具は、オペレータの手の損傷を抑制しうる。しかしこの保護具は、e-スポーツのプレーヤーの手の保護には、適していない。この保護具はさらに、このプレーヤーの動作を阻害する。
【0004】
e-スポーツのプレーヤーのための保護具として、BeANCA社から、アームカバー(商品名「エイムカバー」)が市販されている。このアームカバーは、プレーヤーの手及び腕を覆いうる。このアームカバーは、手とマウスパッドとの円滑なスライドを達成しうる。このアームカバーは、マウスの操作性に寄与しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
市販されているアームカバーを着用したプレーヤーがマウスを握ると、このアームカバーがマウスと接触する。プレーヤーがマウスの操作を継続すると、この接触が手に対するアームカバーのズレを招き、さらにアームカバーの皺を招く。ズレ及び皺は、マウスの操作性を阻害する。
【0007】
本出願人の意図するところは、ポインティングデバイスを操作する者の手が十分に保護され、かつプレーヤーの動作が阻害されにくいスリーブの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示するポインティングデバイス操作用スリーブは、
第一開口を有しており、かつ手のひらの一部を覆いうるパームカバー、
及び
このパームカバーに連続しており、第二開口を有しており、かつ前腕の少なくとも一部を覆いうるアームカバー
を有する。第一開口は、アウトサイド端、インサイド端、並びにそれぞれがアウトサイド端とインサイド端との間に位置する甲側縁及び掌側縁を有する。掌側縁の少なくとも一部は、甲側縁よりもボトムサイドに位置する。
【発明の効果】
【0009】
このポインティングデバイス操作用スリーブは、ポインティングデバイスを操作する者の手の保護に適している。このスリーブでは、ポインティングデバイスとの接触に起因するズレ及び皺が生じにくい。このスリーブは、ポインティングデバイスの操作性に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るポインティングデバイス操作用スリーブが示された正面図である。
【
図4】
図4は、
図2のスリーブの一部が示された拡大図である。
【
図7】
図7は、
図1のスリーブがプレーヤーの上肢と共に示された正面図である。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、
図7のスリーブの一部がプレーヤーの手と共に示された拡大正面図である。
【
図11】
図11は、
図7のスリーブの一部がプレーヤーの手と共に示された拡大図である。
【
図13】
図13は、
図7のスリーブの一部がプレーヤーの手と共に示された拡大図である。
【
図15】
図15は、
図7のスリーブがプレーヤーの手及びマウスと共に示された拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0012】
図1-6に示されたポインティングデバイス操作用スリーブ2は、パームカバー4及びアームカバー6を有している。このスリーブ2はさらに、バンド8を有している。後に詳説されるように、このスリーブ2は、プレーヤーの右上肢に装着される。図示されないが、左上肢用のスリーブは、
図1に示されたスリーブ2の形状が左右反転した形状を有する。
図1-4において、矢印Xは幅方向を表し、矢印Yは長さ方向を表し、矢印Zは厚さ方向を表す。
図1において、右側がアウトサイドであり、左側がインサイドである。
図2及び4において、左側がアウトサイドであり、右側がインサイドである。
図1-4において、上側がトップサイドであり、下側がボトムサイドである。
【0013】
図5から明らかな通り、パームカバー4は筒状である。
図1-4に示される通り、パームカバー4は、甲側パネル10、掌側パネル12及び第一開口14を有している。本実施形態では、掌側パネル12は、甲側パネル10と一体である。従ってこのパームカバー4には、甲側パネル10と掌側パネル12との、視認されうる境界線は、存在しない。掌側パネル12が甲側パネル10と別に形成され、甲側パネル10に接合されてもよい。この場合、甲側パネル10と掌側パネル12との間にシームが存在する。典型的な接合は、縫合である。
【0014】
図4に示されるように、第一開口14は、アウトサイド端16、インサイド端18、甲側縁20及び掌側縁22を有している。本実施形態では、アウトサイド端16は、インサイド端18よりもトップサイド(
図4の上側)に位置している。甲側縁20は、アウトサイド端16とインサイド端18との間に位置している。アウトサイド端16及びインサイド端18は、甲側縁20には含まれない。掌側縁22も、アウトサイド端16とインサイド端18との間に位置している。アウトサイド端16及びインサイド端18は、掌側縁22には含まれない。
【0015】
図4において符号L1は、アウトサイド端16とインサイド端18とを結ぶ直線である。甲側縁20は、全体として、直線L1よりもトップサイド(
図4の上側)に位置している。甲側縁20の一部が直線L1よりもトップサイドに位置しても、よい。掌側縁22は、全体として、直線L1よりもボトムサイド(
図4の下側)に位置している。掌側縁22の一部が直線L1よりもボトムサイドに位置しても、よい。
【0016】
掌側縁22は、全体として、甲側縁20よりもボトムサイドに位置している。換言すれば、幅方向Xのいずれの位置においても、掌側縁22の高さは、甲側縁20の高さよりも小さい。本明細書において高さは、境界線BL(後に詳説)からの、長さ方向Yに沿った距離である。掌側縁22の一部が甲側縁20よりもトップサイドに位置しても、よい。
【0017】
本実施形態では、甲側縁20は、トップサイドに向かって凸な形状を有している。甲側縁20は、第一縁20aと第二縁20bとを有している。第二縁20bは、第一縁20aよりもインサイド(
図4の右側)に位置している。第一縁20aは、アウトサイドからインサイドに向かって、ボトムサイドに向かっている。換言すれば、第一縁20aの高さは、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなっている。第二縁20bも、アウトサイドからインサイドに向かって、ボトムサイドに向かっている。換言すれば、第二縁20bの高さは、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなっている。幅方向に対する第二縁20bの傾斜角度は、幅方向に対する第一縁20aの傾斜角度よりも大きい。換言すれば、第二縁20bにおける高さの減少率は、第一縁20aにおける高さの減少率よりも大きい。第一縁20aの高さが、アウトサイドからインサイドに向かって一定であってもよい。
【0018】
掌側縁22は、ボトムサイドに向かって凸な形状を有している。掌側縁22は、第三縁22aと第四縁22bとを有している。第四縁22bは、第三縁22aよりもインサイドに位置している。第三縁22aは、アウトサイドからインサイドに向かって、ボトムサイドに向かっている。換言すれば、第三縁22aの高さは、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなっている。第四縁22bも、アウトサイドからインサイドに向かって、ボトムサイドに向かっている。換言すれば、第四縁22bの高さは、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなっている。幅方向に対する第三縁22aの傾斜角度は、幅方向に対する第四縁22bの傾斜角度よりも大きい。換言すれば、第三縁22aにおける高さの減少率は、第四縁22bにおける高さの減少率よりも大きい。第四縁22bの高さが、アウトサイドからインサイドに向かって一定であってもよい。
【0019】
このような甲側縁20及び掌側縁22の形状は、甲側パネル10と掌側パネル12との間の面積の相違を生み出す。甲側パネル10の面積は大きく、掌側パネル12の面積は小さい。
【0020】
図6から明らかな通り、アームカバー6は筒状である。
図1-4に示されるように、アームカバー6は、パームカバー4に連続している。本実施形態では、アームカバー6は、パームカバー4と一体である。従ってこのスリーブ2では、パームカバー4とアームカバー6との境界線BL(
図4参照)は、視認され得ない。境界線BLは、後に詳説される手首皮線の位置と一致する。アームカバー6は、第二開口24を有している。
【0021】
バンド8は、パームカバー4に取り付けられている。この取り付けは、バンド8の両端近傍がパームカバー4に縫い止められることで達成されている。縫い止め以外の手段で、バンド8がパームカバー4に取り付けられてもよい。バンド8が、パームカバー4に対して着脱自在であってもよい。このバンド8により、
図3に示されるように、スリーブ2にホール26が形成されている。
【0022】
図7は、
図1のポインティングデバイス操作用スリーブ2がプレーヤーの上肢28と共に示された正面図である。
図7では、パームカバー4に手30が通されている。
図1-4及び7を参照すれば明らかなように、パームカバー4は、手首から指先に向かって拡径している。この形状を有するパームカバー4は、手30にフィットする。
【0023】
アームカバー6には、前腕32(
図8参照)が通されている。アームカバー6は、前腕32の全体を覆っている。アームカバー6にはさらに、上腕34の一部も通されている。アームカバー6は、上腕34の一部を覆っている。
図1-4及び7を参照すれば明らかなように、アームカバー6は、肘から手首に向かって縮径している。この形状を有するアームカバー6は、前腕32にフィットする。スリーブ2が、上腕34を覆わないアームカバー6を有してもよい。スリーブ2が、前腕32の一部を覆うアームカバー6を有してもよい。
【0024】
図9は、
図7のポインティングデバイス操作用スリーブ2の一部がプレーヤーの手30と共に示された拡大正面図である。
図9には、手30の甲36、母指38(親指)、示指40(人差し指)、中指42、環指44(薬指)及び小指46が示されている。甲側パネル10は、手30の甲36の一部を覆っている。甲側パネル10は、いずれの指も、覆っていない。
【0025】
図9では、ホール26(
図3参照)に小指46が通されている。スリーブ2が、環指44が通されうるホール26を有してもよい。スリーブ2が、小指46及び環指44が通されうるホール26を有してもよい。小指46のみが通されるホール26が、好ましい。
【0026】
図10は、
図7のポインティングデバイス操作用スリーブ2の一部がプレーヤーの手30と共に示された拡大背面図である。
図10には、手のひら48が示されている。
図10において、符号50は手首皮線を表し、符号52は掌底を表す。この手首皮線50は、前腕32と手のひら48との境界である。掌底52は、手首皮線50のトップサイドに位置している。掌側パネル12は、掌底52を覆っている。本実施形態では、掌側パネル12は、掌底52の全体を覆っている。
【0027】
図10において符号54は、母指球を表す。母指球54は、手のひら48のうち、母指38の付け根近傍に存在しており、かつ盛り上がっているゾーンである。掌側パネル12は、母指球54の一部を覆っている。掌側パネル12が、母指球54の全体を覆ってもよい。
【0028】
図10において符号56は、小指球を表す。小指球56は、手のひら48のうち、小指46の付け根近傍に存在しており、かつ盛り上がっているゾーンである。掌側パネル12は、小指球56の全体を覆っている。掌側パネル12が、小指球56の一部を覆ってもよい。
【0029】
図11には、インサイドから見られたスリーブ2が示されている。
図11にはさらに、プレーヤーの手30、マウス58及びマウスパッド60も示されている。
図11には、この手30のうち、母指38、示指40及び中指42が示されている。マウス58は、マウスパッド60の上に置かれている。プレーヤーは、手30でマウス58を握っている。
【0030】
図12は、
図11において符号XIIで示されたゾーンの拡大断面図である。
図12には、母指球54、掌側パネル12(すなわちパームカバー4)及びマウスパッド60が示されている。
図12から明らかなように、母指球54とマウスパッド60との間には、パームカバー4が存在している。プレーヤーがマウス58を激しく動かすとき、このパームカバー4は、母指球54とマウスパッド60との直接の擦動を抑制する。このパームカバー4は、母指球54を保護する。
【0031】
図13には、アウトサイドから見られたスリーブ2が示されている。
図13にはさらに、プレーヤーの手30、マウス58及びマウスパッド60も示されている。
図13には、この手30のうち、中指42、環指44及び小指46が示されている。マウス58は、マウスパッド60の上に置かれている。プレーヤーは、手30でマウス58を握っている。
【0032】
図14は、
図13において符号XIVで示されたゾーンの拡大断面図である。
図14には、小指球56、パームカバー4及びマウスパッド60が示されている。
図14から明らかなように、小指球56とマウスパッド60との間には、掌側パネル12(すなわちパームカバー4)が存在している。プレーヤーがマウス58を激しく動かすとき、このパームカバー4は、小指球56とマウスパッド60との直接の擦動を抑制する。このパームカバー4は、小指球56を保護する。
【0033】
図13に示されるように、バンド8は、環指44と小指46との間のウェブ62に係っている。バンド8がパームカバー4に取り付けられているので、このバンド8は、パームカバー4の、
図13における左方向への移動を抑制する。換言すれば、バンド8は、パームカバー4の手のひら48からのズレを抑制する。このスリーブ2では、母指球54及び小指球56が露出しにくい。さらにこのスリーブ2では、パームカバー4のズレに起因する、プレーヤーの動作に対する阻害が、生じにくい。
【0034】
ホール26には小指46又は環指44が通されるので、バンド8は母指38、示指40及び中指42から離れている。さらに、第一開口14は前述された形状を有している。従って、
図10に示されるように、母指38、示指40及び中指42のそれぞれは、全体が露出している。このスリーブ2は、プレーヤーの母指38、示指40及び中指42の動きを妨げない。プレーヤーは、母指38、示指40又は中指42により、マウス58のボタンを容易に操作できる。
【0035】
図15は、
図7のスリーブ2がプレーヤーの手30及びマウス58と共に示された拡大図である。
図15には、手のひら48、母指38、環指44及び小指46が示されている。母指38、環指44及び小指46は、それぞれ、マウス58に当接している。図示されていないが、示指40及び中指42は、マウス58のクラウンに当接している(
図11も併せて参照)。プレーヤーは、5つの指でマウス58を握っている。
【0036】
前述の通り、掌側縁22はボトムサイドに向かって凸な形状を有しており、掌側パネル12の面積は小さい。従って、
図15に示されるように、プレーヤーがマウス58を握っても、マウス58は掌側パネル12と接触しない。マウス58が掌側パネル12と、多少は接触してもよい。接触の量がゼロ又は少量なので、この接触に起因する、手30に対する掌側パネル12のズレが抑制されうる。プレーヤーがマウス58を長時間にわたって操作しても、掌側パネル12に皺が生じにくい。このスリーブ2は、マウス58の操作性に寄与しうる。
【0037】
前述の通り、甲側縁20はトップサイドに向かって凸な形状を有しており、甲側パネル10の面積は大きい。従って、
図9、11及び13に示されるように、甲側パネル10はプレーヤーの甲36と、広い面積で接触する。この接触は、手30に対するパームカバー4のズレを抑制する。
【0038】
図4から明らかなように、甲側縁20の高さ及び掌側縁22の高さは幅方向Xに沿って変動し、両者の差も幅方向Xに沿って変動する。
図4において符号Dmは、甲側縁20の高さと掌側縁22の高さとの差の最大値である。この最大値Dmは、20mm以上が好ましい。最大値Dmが20mm以上であるスリーブ2では、甲側パネル10が甲36と広い面積で接触しつつ、掌側パネル12のマウス58と接触しないか又はわずかに接触する。この観点から、最大値Dmは25mm以上がより好ましく、30mm以上が特に好ましい。甲側パネル10が指を覆うと、フィット感が阻害される。フィット感の観点から、最大値Dmは50mm以下が好ましい。最大値Dmは、スリーブ2に何も通されていない状態で測定される。最大値Dmは、重力以外の力がスリーブ2にかかっていない状態で測定される。測定時には、スリーブ2が水平面の上に置かれる。
【0039】
図4において、矢印Hoはアウトサイド端16の高さを表し、矢印Hiはインサイド端18の高さを表す。前述の通り、アウトサイド端16は、インサイド端18よりもトップサイド(
図1の上側)に位置している。従って高さHoは、高さHiよりも大きい。換言すれば、差(Ho-Hi)は、ゼロよりも大きい。
【0040】
パームカバー4が小指球56を十分に保護し、かつスリーブ2が母指38、示指40及び中指42の動きを妨げにくいとの観点から、差(Ho-Hi)は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が特に好ましい。差(Ho-Hi)は、80mm以下が好ましく、75mm以下がより好ましく、70mm以下が特に好ましい。差(Ho-Hi)は、スリーブ2に何も通されていない状態で測定される。差(Ho-Hi)は、重力以外の力がスリーブ2にかかっていない状態で測定される。測定時には、スリーブ2が水平面の上に置かれる。
【0041】
図4において矢印Wは、バンド8の幅である。バンド8によるプレーヤーの手30の動きが妨げられにくいとの観点から、幅Wは20mm以下が好ましく、16mm以下がより好ましく、12mm以下が特に好ましい。ウェブ62にかかるテンションが抑制され、従ってプレーヤーが不快を感じにくいとの観点から、幅Wは2mm以上が好ましく、4mm以上が特に好ましい。
【0042】
パームカバー4が織物から得られてもよく、編物から得られてもよい。伸縮性、低摩擦性及び吸水性を有するパームカバー4が好ましい。パームカバー4の好ましい材質として、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン及びアクリルが例示される。複数の素材が混合された材質であってもよい。パームカバー4の材質が、スパンデックスであってもよい。
【0043】
アームカバー6が織物から得られてもよく、編物から得られてもよい。伸縮性、低摩擦性及び吸水性を有するアームカバー6が好ましい。アームカバー6の好ましい材質として、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン及びアクリルが例示される。複数の素材が混合された材質であってもよい。アームカバー6の材質が、スパンデックスであってもよい。本実施形態では、アームカバー6の材質は、パームカバー4の材質と同じである。アームカバー6がパームカバー4の材質と異なる材質を有してもよい。
【0044】
バンド8の材質は、伸縮性であってもよく、非伸縮性であってもよい。非伸縮性の材質として、綿が挙げられる。
【0045】
このスリーブ2は、マウス58以外のポインティングデバイスの操作にも適している。例えばこのスリーブ2は、スティック及びトラックボールの操作にも適している。このスリーブ2が、パーソナルコンピュータ等のオペレータに着用されてもよい。
【実施例0046】
以下、実施例に係るポインティングデバイス操作用スリーブの効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本明細書による開示範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0047】
[実施例1]
図1-15に示されたポインティングデバイス操作用スリーブを製造した。このスリーブは、ストッパーとしてのバンドを有している。各部位の寸法は、以下の通りであった。
高さHo:428mm
高さHi:367mm
差(Ho-Hi):61mm
Dm:35mm
幅W:10mm
このスリーブを着用したプレーヤーに、シューティングゲームのマウスを操作させた。掌側パネルのマウスとの接触はなく、パームカバーのズレは全く生じなかった。
【0048】
[実施例2]
掌側パネルの形状を変更し、最大値Dmを20mmとした他は実施例1と同様にして、スリーブを得た。このスリーブを着用したプレーヤーに、シューティングゲームのマウスを操作させた。掌側パネルのマウスとの接触が多少あり、パームカバーのズレが生じた。
【0049】
[比較例1]
甲側パネルと合同な形状を有する掌側パネルを設けた他は実施例1と同様にして、スリーブを得た。このスリーブでは、最大値Dmは0mmであった。このスリーブを着用したプレーヤーに、シューティングゲームのマウスを操作させた。掌側パネルがマウスと激しく接触し、パームカバーが大幅にずれた。
【0050】
この評価結果から、各実施例に係るスリーブの優位性は明らかである。
【0051】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0052】
[項目1]
第一開口を有しており、かつ手のひらの一部を覆いうるパームカバー、
及び
上記パームカバーに連続しており、第二開口を有しており、かつ前腕の少なくとも一部を覆いうるアームカバー
を備えており、
上記第一開口が、アウトサイド端、インサイド端、並びにそれぞれが上記アウトサイド端と上記インサイド端との間に位置する甲側縁及び掌側縁を有しており、
上記掌側縁の少なくとも一部が上記甲側縁よりもボトムサイドに位置する、ポインティングデバイス操作用スリーブ。
【0053】
[項目2]
上記甲側縁の高さと上記掌側縁の高さとの差の最大値が20mm以上である、項目1に記載のスリーブ。
【0054】
[項目3]
上記掌側縁が全体として上記甲側縁よりもボトムサイドに位置する、項目1又は2に記載のスリーブ。
【0055】
[項目4]
上記掌側縁の少なくとも一部が、上記アウトサイド端及び上記インサイド端を結ぶ直線よりもボトムサイドに位置する、項目1から3のいずれかに記載のスリーブ。
【0056】
[項目5]
上記掌側縁部が全体として上記直線よりもボトムサイドに位置する、項目4に記載のスリーブ。
【0057】
[項目6]
上記甲側縁の少なくとも一部が、上記アウトサイド端及び上記インサイド端を結ぶ直線よりもトップサイドに位置する、項目1から5のいずれかに記載のスリーブ。
【0058】
[項目7]
上記甲側縁部が全体として上記直線よりもトップサイドに位置する、項目6に記載のスリーブ。
【0059】
[項目8]
上記掌側縁がボトムサイドに向かって凸な形状を有しており、上記甲側縁がトップサイドに向かって凸な形状を有している、項目1から7のいずれかに記載のスリーブ。
【0060】
[項目9]
上記甲側縁が、第一縁と、この第一縁よりもインサイドに位置する第二縁とを有しており、
上記第一縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第二縁の高さが、アウトサイドからイントサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第二縁における高さの減少率が、上記第一縁における高さの減少率よりも大きい、項目1から8のいずれかに記載のスリーブ。
【0061】
[項目10]
上記掌側縁が、第三縁と、この第三縁よりもインサイドに位置する第四縁とを有しており、
上記第三縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第四縁の高さが、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に小さくなり、
上記第三縁における高さの減少率が、上記第四縁における高さの減少率よりも大きい、項目1から9のいずれかに記載のスリーブ。
【0062】
[項目11]
上記パームカバーが、甲側パネルと、この甲側パネルの面積よりも小さい面積を有する掌側パネルとを含む、項目1から10のいずれかに記載のスリーブ。
【0063】
[項目12]
上記アウトサイド端の高さが上記インサイド端の高さよりも大きい、項目1から11のいずれかに記載のスリーブ。