(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043674
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64C 19/02 20060101AFI20240326BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240326BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240326BHJP
B64C 27/52 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B64C19/02
B64C27/08
B64C39/02
B64C27/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148796
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(71)【出願人】
【識別番号】517286799
【氏名又は名称】株式会社MMラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌史
(72)【発明者】
【氏名】三輪 靖
(57)【要約】
【課題】可搬重量を自由に調整でき、しかも、飛行体の姿勢等を自由に調整できる飛行体を提供する。
【解決手段】機体11といずれか2機の推進ロータ12,12とを有する複数の基準飛行体10と、複数の基準飛行体10を連結する連結部20と、を備え、連結部20は、基準飛行体10の機体11間に設けられる連結部材21と、連結部材21に設けられ、連結部材21と基準飛行体10の機体11とを相対的に移動可能および/または相対的な移動を固定可能に連結する連結機構25と、を有している。複数の基準飛行体10を連結部20によって連結するので、飛行体UAVの可搬重量を大きくすることができる。しかも、連結部20の連結機構25によって機体11と連結部材21とを固定したり移動可能連結したりできるので、飛行体UAVの姿勢の自由度を高くできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と少なくとも2機の推進ロータとを有する複数の基準飛行体と、
該複数の基準飛行体を連結する連結部と、を備え、
該連結部は、
前記基準飛行体の機体間に設けられる連結部材と、
該連結部材に設けられ、該連結部材と前記基準飛行体の機体とを相対的に移動可能および/または相対的な移動を固定可能に連結する連結機構と、を有している
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
前記連結部は、
前記複数の基準飛行体の機体における2機の推進ロータ間の部分同士を、前記複数の基準飛行体のいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向と前記連結部材の長手方向とが交差するように連結する、
および/または、
前記複数の基準飛行体の機体におけるいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向における端部同士を、前記複数の基準飛行体のいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向と前記連結部材の長手方向とが平行または交差するように連結する
ことを特徴とする請求項1記載の飛行体。
【請求項3】
前記複数の基準飛行体は、
各推進ロータの回転軸の傾きを調整する姿勢調整機構を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の飛行体。
【請求項4】
各基準飛行体は、
前記推進ロータおよび前記姿勢調整機構の作動を制御する制御部を備えており、
該制御部は、
前記連結部によって前記複数の基準飛行体の機体が連結されると、一の基準飛行体に設けられている制御部を主制御部とし他の基準飛行体に設けられている制御部を前記主制御部からの指示によって制御を行う従制御部とする機能を有しており、
前記主制御部は、
前記複数の基準飛行体を前記連結部によって連結した飛行体の姿勢に関する指示情報を前記従制御部に対して供給する機能を有している
ことを特徴とする請求項3記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。さらに詳しくは複数機を連結した飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律飛行制御装置を搭載した小型無人航空機の実用化を目指して、様々な用途での開発が進められている。小型無人航空機の重要な用途として、物品を搬送する搬送機としての用途がある。小型無人航空機は、離着陸のために広い空間を必要としない、また、比較的狭い空間を通過できる、という利点がある。かかる利点から、離島などへの物品の搬送や被災地などの既存の交通網が遮断された地域への物品の搬送への適用が進められている。
【0003】
かかる物品の搬送では、搬送可能な物品の重量(可搬重量)が大きい方が望ましい。しかし、小型無人航空機の可搬重量を大きくする場合、小型無人航空機自体を大型化しなければならず、上述した小型無人航空機の利点を十分に発揮できない可能性がある。例えば、狭い空間を通過する場合には、小型無人航空機を傾ける必要性が生じる場合があるが、小型無人航空機を傾けた場合、搬送する物品の姿勢を安定に保つことが難しい場合がある。また、小型無人航空機を傾斜させることができても、その姿勢には限界がある。
【0004】
各小型無人航空機自体を大型化することなく可搬重量を大きくする方法として、複数の小型無人航空機を連結して一つの小型無人航空機とすることが考えられている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、二機のバイコプターを連結して飛行ロボットとすることによって、飛行ロボットの傾きを調整できるようにした技術が開示されている(非特許文献1参照)。かかる飛行ロボットであれば、飛行ロボットを用いた検査を実施する場合、検査対象となる構造物の形状に合わせて飛行ロボットの傾きを調整することによって構造物の検査を効果的に実施できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】川崎宏治他、“バイコプターを連結することにより任意のチルト姿勢を保持し移動制御可能な日鉱ロボット”、日本ロボット学会誌 Vol.33 No.4、pp285~291、2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の飛行体は、小型無人航空機を単に大型化した構造に近いので、飛行体の離発着には広いスペースが必要になるし、飛行体は狭い空間を飛行することができなくなる。すると、飛行体としたことによって可搬重量は大きくできるものの、小型無人航空機の利点は削減される。
【0009】
また、非特許文献1の飛行ロボットは、使用するモータ数を減らすために、プロペラの回転軸の傾きを調整する構成は採用しておらず、プロペラは各バイコプターの機体に固定されている。しかも、二機のバイコプターは矩形のフレーム内に配置されており、二機のバイコプターの距離はフレームによって固定されており、傾き以外の二機のバイコプターの相対的な動きはフレームによって制限されている。このため、二機のバイコプター同士の傾きや姿勢はある程度調整できるものの、飛行ロボットが取りうる姿勢は限定される。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、可搬重量を自由に調整でき、しかも、飛行体の姿勢等を自由に調整できる飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の飛行体は、機体といずれか2機の推進ロータとを有する複数の基準飛行体と、該複数の基準飛行体を連結する連結部と、を備え、該連結部は、前記基準飛行体の機体間に設けられる連結部材と、該連結部材に設けられ、該連結部材と前記基準飛行体の機体とを相対的に移動可能および/または相対的な移動を固定可能に連結する連結機構と、を有していることを特徴とする。
第2発明の飛行体は、第1発明において、前記連結部は、前記複数の基準飛行体の機体におけるいずれか2機の推進ロータ間の部分同士を、前記複数の基準飛行体のいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向と前記連結部材の長手方向とが交差するように連結する、および/または、前記複数の基準飛行体の機体におけるいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向における端部同士を、前記複数の基準飛行体のいずれか2機の推進ロータが並ぶ方向と前記連結部材の長手方向とが平行または交差するように連結することを特徴とする。
第3発明の飛行体は、第1発明において、前記複数の基準飛行体は、各推進ロータの回転軸の傾きを調整する姿勢調整機構を備えていることを特徴とする。
第4発明の飛行体は、第3発明において、各基準飛行体は、前記推進ロータおよび前記姿勢調整機構の作動を制御する制御部を備えており、該制御部は、前記連結部によって前記複数の基準飛行体の機体が連結されると、一の基準飛行体に設けられている制御部を主制御部とし他の基準飛行体に設けられている制御部を前記主制御部からの指示によって制御を行う従制御部とする機能を有しており、前記主制御部は、前記複数の基準飛行体を前記連結部によって連結した飛行体の姿勢に関する指示情報を前記従制御部に対して供給する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
<飛行体の制御方法>
第1、第2発明によれば、複数の基準飛行体を連結部によって連結するので、飛行体の可搬重量を大きくすることができる。しかも、連結部の連結機構によって機体と連結部材とを固定したり移動可能に連結したりできるので、飛行体の姿勢の自由度を高くできる。
第3発明によれば、飛行体の姿勢の自由度を高くできる。
第4発明によれば、複数の基準飛行体の制御を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は2機の基準飛行体10を連結した本実施形態の飛行体UAVの概略平面図であり、(B)は2機の基準飛行体10を連結した本実施形態の飛行体UAVの概略側面図である。
【
図2】本実施形態の飛行体UAVの飛行姿勢の概略説明図である。
【
図3】2機の基準飛行体10を直列に連結した本実施形態の飛行体UAVの概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図4】2機の基準飛行体10を直列に連結した本実施形態の飛行体UAVの飛行姿勢の概略説明図である。
【
図5】3台以上の基準飛行体10の連結した本実施形態の飛行体UAVの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の飛行体は、複数の基準飛行体を連結して形成された飛行体であって、飛行体の姿勢や形状、可搬重量の自由度を高くできるようにしたことに特徴を有している。
【0015】
<基準飛行体10>
本実施形態の飛行体UAVは、複数の基準飛行体10を連結部20によって連結したものであるので、まず、本実施形態の飛行体UAVを構成する基準飛行体10について説明する。
【0016】
図6に示すように、基準飛行体10は、機体11と、2機の推進ロータ12,12と、姿勢調整機構13と、制御部15と、を備えている。また、基準飛行体10は、外部との通信を行う通信機器を備えている。例えば、基準飛行体10を操作する操縦者との通信を行う機器や、基準飛行体10の制御部15間で通信を行う機器を備えている。
【0017】
なお、図示しないが、基準飛行体10には、各機器に電力を供給するバッテリや、制御部15が制御をする上で必要となる情報を得るセンサも設けられている。基準飛行体10が備えるセンサとしては、例えば、Inertial Measurement Unit(慣性計測装置:IMU)や加速度センサ、圧力センサ、ジャイロセンサ、磁気コンパス等のセンサを挙げることができる。また、GPSや測域センサ、デプスカメラ等を機体11に設けてもよい。
【0018】
<機体11>
機体11は、2機の推進ロータ12,12と、姿勢調整機構13と、制御部15と、が設けられるものである。機体11は、機体本体11aと、基準飛行体10を地面に置く場合や基準飛行体10が着陸する際に使用される脚部11bと、を備えている。機体本体11aは、その形状や素材などはとくに限定されないが、2機の推進ロータ12,12等を設けたり搬送する物品を吊り下げる等したりした際に変形や損傷しない程度の強度を有するものであればよい。
【0019】
なお、機体11の機体本体11aには、後述する連結部20の連結機構25によって連結部20の連結部材21と連結される部分(以下では機体側連結部という)が設けられている。この機体側連結部は、例えば、棒状の部材や環状の部材、フックなどで形成されるが、連結機構25が連結離脱自在に連結できる構造であればよい。また、機体11の機体本体11a自体が軸材等を連結して形成された構造を有する場合であれば、機体11自体が機体側連結部となっていてもよい。例えば、
図1に示すように、2機の推進ロータ12,12間の部分(連結部分11c)が軸材などで形成されていれば、その連結部分11cを機体側連結部とすることもできる。
【0020】
また、機体11には、本実施形態の飛行体UAVが搬送する物品を固定したり吊り下げたりする際に使用するフックなどの吊り下げ部を設けてもいてもよい。
【0021】
<推進ロータ12>
2機の推進ロータ12,12は、モータとプロペラを有する一般的なロータであり、基準飛行体10の浮力推力を発生させるものである。各推進ロータ12は姿勢調整機構13を介してそれぞれ機体11に取り付けられている。なお、2機の推進ロータ12,12は一定の距離を離した状態で機体11に取り付けられているが、この2機の推進ロータ12,12が並ぶ方向(
図6(A)、(B)では左右方向)を以下では基準軸方向という場合がある。
【0022】
<姿勢調整機構13>
姿勢調整機構13は、各推進ロータ12の姿勢を調整する機能を有するものである。姿勢調整機構13は、例えばジンバル機構などであり、各推進ロータ12の姿勢、つまり、機体11に対する各推進ロータ12の回転軸の傾きを調整する機能を有している。
【0023】
<制御部15>
制御部15は、センサ等からの情報に基づいて、基準飛行体10の飛行状態(高度や飛行方向、飛行速度等)を制御する機能を有している。具体的には、制御部15は、2機の推進ロータ12,12や姿勢調整機構13に対して供給する電力や信号を調整することによって、2機の推進ロータ12,12の作動(回転数やトルク等)と姿勢調整機構13の作動(各推進ロータ12の回転軸の傾き等)を制御する機能を有している。
【0024】
また、制御部15は、複数の基準飛行体10が連結された飛行体UAVが形成された場合には、主制御部または従制御部となる機能を有している。例えば、主制御部となった場合に、飛行体UAVの飛行状態(高度や飛行方向、飛行速度等)に加えて、飛行体UAVの姿勢、形状が所定の状態となるように、他の基準飛行体10の制御部15(従制御部)に飛行体UAVの姿勢、形状に関する情報を提供する機能を制御部15は有している。飛行体UAVの姿勢、形状に関する情報には、種々の情報が含まれる。飛行体UAVの姿勢、形状に関する情報として、例えば、主制御部が設けられている基準飛行体10を基準として、従制御部が設けられている基準飛行体10が取るべき位置(高度や水平方向の位置)や飛行速度等に関する情報を挙げることができる。
【0025】
また、従制御部となった場合に、主制御部からの情報に基づいて、2機の推進ロータ12,12や姿勢調整機構13の作動を制御する機能を制御部15は有している。また、従制御部となった場合に、その制御部15は自己が設けられている基準飛行体10に関する情報(例えばセンサの取得した情報等)を主制御部に供給する機能も制御部15は有している。なお、従制御部となった制御部15は、自己が設けられている基準飛行体10に関する情報に基づいて自己が設けられている基準飛行体10の飛行状態を制御する機能を停止する機能を有している。
【0026】
基準飛行体10は上記のごとき構成であるので、基準飛行体10は、単独でも制御部15によって外部からの信号や制御部15に記憶されている情報に基づいて飛行することができる。例えば、
図6(A)~(C)に示す状態であれば、2機の推進ロータ12,12を駆動することによって基準飛行体10を上昇下降させることができる。また、
図6(D)に示すように、姿勢調整機構13によって2機の推進ロータ12,12を同じ方向(
図6(D)であれば左方向)に傾ければ、基準飛行体10を左方向に移動させることができる。つまり、2機の推進ロータ12,12を同じ方向に傾ければ、基準飛行体10を2機の推進ロータ12,12が傾いた方向に移動させることができる。
【0027】
また、連結部20によって複数の基準飛行体10が連結して飛行体UAVが形成されれば、複数の基準飛行体10のうちいずれか一つの基準飛行体10の制御部15を主制御部として飛行体UAVの飛行状態や飛行体UAVの姿勢、形状を制御することができる。
【0028】
なお、複数の基準飛行体10の制御部15のうち、いずれの制御部15を主制御部とするかを決定する方法はとくに限定されない。例えば、連結部20によって複数の基準飛行体10を連結した際に、作業者が各基準飛行体10の制御部15に主制御部と従制御部のいずれになるかを入力してもよいし、複数の基準飛行体10が所定の位置関係になると自動的に主制御部と従制御部を決定する機能を各制御部15に設けてもよい。
【0029】
また、上記例では、基準飛行体10は2機の推進ロータ12,12を設ける場合を説明したが、基準飛行体10に設けられる推進ロータ12の数は2機に限られない。基準飛行体10は3基以上の推進ロータ12を有していてもよい。この場合には、複数の推進ロータ12のいずれか2機をつなぐ方向を上述した基準軸方向とすればよい。しかし、3基以上の推進ロータ12を有している場合には、推進ロータ12の干渉を防止する制御が難しく飛行体UAVの姿勢や形状が制限される。したがって、狭い場所等に搬送物を搬送したり壁面近傍に接近しての計測などをしたりする場合などには、基準飛行体10に設けられる推進ロータ12の数は2機が好ましい。
【0030】
<連結部20>
本実施形態の飛行体UAVは、上述した基準飛行体10を連結部20によって連結して形成されている。基準飛行体10を連結部20によって連結すれば、一つの飛行体UAVとして物品を搬送することが可能になるので、飛行体UAVの可搬重量を大きくすることができる。つまり、基準飛行体10自体の可搬重量がそれほど大きくなくても、飛行体UAVの可搬重量を大きくすることができる。また、基準飛行体10を連結部20によって連結して形状や姿勢をある程度自由に調整できれば、壁面の傾斜に合わせた姿勢を保つことで、地形や壁面に近接しての移動や壁面における傷等の検査などインフラ点検等の用途にも使用し易くなる。
【0031】
<並行連結>
図1に示すように、本実施形態の飛行体UAVは、2機の基準飛行体10を連結部20によって連結して形成することができる。具体的には、2機の基準飛行体10の機体11の機体本体11aにおける2機の推進ロータ12,12間には、軸状構造を有する一対の連結部分11c,11cが設けられている。一方の基準飛行体10(
図1(B)では左方の基準飛行体10)の機体11の機体本体11aにおける一対の連結部分11c,11cには、連結部20の一対の連結部材21,21の一方の連結機構25が連結されている。また、他方の基準飛行体10(
図1(B)では右方の基準飛行体10)の機体11の機体本体11aにおける一対の連結部分11c,11cには、連結部20の一対の連結部材21,21の他方の連結機構25が連結されている。つまり、2機の基準飛行体10の機体11は、その機体本体11aの機体本体11aにおける一対の連結部分11c,11c間が連結部20の一対の連結部材21,21によって連結されている。
【0032】
<連結部材21>
各連結部材21は棒材で形成された一方向に沿って延びた長尺な部材である。なお、連結部材21の軸方向(
図1(A)、(B)では左右方向)が、特許請求の範囲にいう連結部材の長手方向に相当する。
【0033】
<連結機構25>
各連結部材21の両端部には、連結機構25が設けられている。この連結機構25は、機体本体11aの連結部分11cに連結される連結部品26を有している。
【0034】
連結部品26は、機体本体11aの連結部分11cに連結できる構造を有している。具体的には、連結部品26は、機体本体11aの基準軸方向(
図1(B)では上下方向)と連結部材21の軸方向とが交差するように連結でき、しかも、連結部分11c周りに回転できる構造を有している。かかる連結部品26の構造は、機体本体11aの基準軸方向と連結部材21の軸方向とが交差するように連結でき、しかも、連結部分11c周りに回転できる構造であればよく、とくに限定されない。例えば、
図7(A)に示すように、連結部品26は、フック26fとフック26fの開口を開閉する開閉部材26rとを有する構造(例えばカラビナ構造)等を採用することができる。かかる構造であれば、機体本体11aの連結部分11cを連結部品26の空間26h内に配置することによって連結部材21と基準飛行体10の機体11の機体本体11aとを連結分離可能に連結することができる。また、機体本体11aに連結部品26としてボールリンクのロッドエンドを設けておき、このロッドエンドと連結部材21の端部とを連結するようにしてもよい(
図7(B)参照)。つまり、ロッドエンドの端部に雌ねじを設け連結部材21の端部に雄ねじを設ければ、連結部品26であるロッドエンドと連結部材21を連結することができる。もちろん、ロッドエンドの端部に雄ねじとし連結部材21の端部を雌ねじとしてもよいし、ロッドエンドの端部と連結部材21の端部をいすれも雄ねじとして両端に雌ねじを有する部材で連結してもよいし、ロッドエンドの端部と連結部材21の端部をいずれも雌ねじとしてねじ軸や両端に雄ねじを有する部材で連結してもよい。
【0035】
かかる連結部20によって2機の基準飛行体10を設ければ、飛行体UAVの姿勢や形状をある程度自由に変更することができる。例えば、飛行体UAVを、2機の基準飛行体10を高さが異なる状態で飛行させることができる(
図3参照)。また、基準軸方向における位置(例えば基準軸方向における位置両者の推進ロータ12の位置)が若干ずれた状態で2機の基準飛行体10を配置することもできる。しかも、姿勢調整機構13によって推進ロータ12の軸方向を調整すれば、2機の基準飛行体10を、その機体11を水平に保った状態でも高さが異なる状態としたり水平方向の位置がズレた状態としたりすることができる。すると、2機の基準飛行体10に搬送する物品を吊り下げたりした際に、飛行体UAVの姿勢や形状が変化しても、搬送する物品を安定した状態で吊り下げておくことができる。
【0036】
なお、本実施形態の飛行体UAVが搬送する物品を固定したり吊り下げたりする際に使用するフックなどの吊り下げ部を連結部20に設けてもよい。この場合には、連結部20だけに搬送する物品を吊り下げてもよいし、2機の基準飛行体10と連結部20の両方に搬送する物品を吊り下げてもよい。
【0037】
もちろん基準飛行体10を並列に連結する数はとくに限定されず、3機以上を並列に連結に連結して飛行体UAVとしてもよい(
図5(A)参照)。
【0038】
もちろん基準飛行体10を並列に連結する数はとくに限定されず、3機以上を並列に連結に連結して飛行体UAVとしてもよい(
図5(A)参照)。
【0039】
<直列連結>
また、
図3に示すように、基準飛行体10の基準軸方向の端部に連結部品26を連結できる部材(例えば、環状部分27)を設けておけば、連結部20によって、2つの基準飛行体10をその基準軸方向が平行となるように連結することもできる。つまり、2つの基準飛行体10を基準軸方向に並ぶように直列に連結することもできる。
【0040】
しかも、連結部20の連結機構25として上述した構造を設けておけば、2つの基準飛行体10を基準軸方向に並ぶように直列に連結しつつ、2つの基準飛行体10の相対的な位置をある程度自由に調整することができる(
図4参照)。例えば、2つの基準飛行体10を直列に並べた状態で高さに差をつけた状態としたり(
図4(A)参照)、飛行方向(
図4(B)では上下方向)の位置をずらして飛行体UAVを飛行させたりすることができる。
【0041】
この場合、2つの基準飛行体10は一本の連結部材21で連結する方が姿勢の調整が行いやすいが、連結部品26と連結部材21との間に両者を連結する関節部を設ければより自由に姿勢を調整できる。例えば、関節部として、連結部品26に対して連結部材21がその軸周りに回転する構造を有するものや、連結部材21と連結部品26とを連結部材21の軸方向と交差する方向に屈曲できる構造を有するもの、両方の機能を有する構造を有するものなどを設けることができる。また、ボールリンクのロッドエンドやユニバーサルジョイント、直交配置のサーボモータを関節部として採用することも可能である。
【0042】
もちろん基準飛行体10を直列に連結する数はとくに限定されず、3機以上を直列に連結に連結して飛行体UAVとしてもよい。
【0043】
<組み合わせ連結>
図5(B)に示すように、連結部20によって、複数機の基準飛行体10を連結して飛行体UAVを形成してもよい。複数機の基準飛行体10で飛行体UAVを形成すれば、飛行体UAVの可搬重量を大きくすることができる。しかも、1機の基準飛行体10を小型化しても飛行体UAV全体の可搬重量は大きくなるし、飛行体UAVの形状も自由に変更できるので、大型の飛行体では通れない狭い場所でも、ある程度重量のある搬送物を搬送することが可能になる。
【0044】
なお、複数機の基準飛行体10を連結する方法、つまり、複数機の基準飛行体10を連結した飛行体UAVの形状は
図5(B)に示す形状に限られない。連結部20による連結方法を変更すれば、種々の形状の飛行体UAVや種々の台数の基準飛行体10を有する飛行体UAVとすることができる。
【0045】
<連結部20について>
上記例では、連結部20が一対の連結部材21,21を有する場合を説明したが、連結部材21は一本でもよい。連結部材21を一本とした場合には、連結部品26と連結部材21とを連結する関節部を設ければ、2つの基準飛行体10の相対的な位置の自由度を高くできる。例えば、関節部として、連結部品26に対して連結部材21がその軸周りに回転する構造を有するものや、連結部材21と連結部品26とを連結部材21の軸方向と交差する方向に屈曲できる構造を有するもの、両方の機能を有する構造を有するものなどを設けることができる。また、ボールリンクのロッドエンドやユニバーサルジョイント、直交配置のサーボモータを関節部として採用することも可能である。
【0046】
連結部20の連結部材21は、長さが固定されていなくてもよく、伸縮するように形成されていてもよい。例えば、連結部材21としてテレスコピック構造を有するものを使用すれば、連結部材21をその軸方向に沿って伸縮させることができる。この場合、連結部材21は、伸縮可能かつ所定の長さで固定できる機構を有していることが望ましい。また、連結部材21は、2機の基準飛行体10の移動によって伸縮するようになっていてもよいし、連結部材21自体が伸縮する駆動源(例えばシリンダ機構やラックアンドピニオン機構等)を有していてもよい。
【0047】
また、上記例では、連結部材21が軸状の部材である場合を代表として説明したが、連結部材21は板状でもよいし、その形状はとくに限定されない。ある程度の剛性を有しており、連結部材21によって連結された基準飛行体10が相対的な位置を変化させる際に推進ロータ12のプロペラ等と干渉しない形状、大きさに形成されていればよい。
【0048】
連結部20の連結部材21は機体11に対して基準軸方向に沿って移動可能となるように機体11同士を連結するようになっていてもよい。この場合、機体11の機体本体11aにおける2機の推進ロータ12,12間に連結機構25が連結されている場合には、連結機構25(つまり連結部材21)の機体11に対する基準軸方向への移動を一定の範囲に限定できるようになっていることが望ましい。すると、飛行体UAVの姿勢や形状の自由度は低下するものの、飛行体UAVの飛行は安定させることができる。例えば、連結機構25が機体11aの連結部分11cに連結されている場合であれば、連結部分11cを他の部分よりも細くして他の部分との間に段差を設けたり、機体11aに連結機構25の移動を制限するストッパーを設けたりすれば、連結部材21の基準軸方向への移動を規制することができる。また、機体本体11aとは別に機体11に機体側連結部(例えば輪状の部分)を設けた場合には、基準軸方向の長さを短くしたり基準軸方向に移動できない形状としたりすれば、連結部材21の基準軸方向への移動を規制することができる。
【0049】
連結部材21と機体11とを連結する一対の連結機構25,25は同じ構造としてもよいし、異なる構造としてもよい。しかし、一対の連結機構25,25を同じ構造とすれば、同じ構造の基準飛行体10を連結部20の連結部材21によって連結し易いという利点が得られる。
【0050】
また、連結部20の連結部材21は、必ずしも両端部が基準飛行体10に着脱可能に設けられていなくてもよい。連結部20の連結部材21の一方の端部は、一方の基準飛行体10から離脱できないように連結されていてもよい。この場合でも、連結部材21の一方の端部を、基準飛行体10の機体11の機体本体11aに対して回転可能かつ連結部材21の軸方向や機体本体11aの基準軸方向に沿って移動可能に設けることができる。すると、連結部20の連結部材21が固定された基準飛行体10と他の基準飛行体10とを連結部20によって連結しても、飛行体UAVの姿勢や形状をある程度自由に変更できる。
【0051】
<連結部品26について>
連結部品26は機体本体11aの連結部分11cに密着するように形成されていてもよいが、機体本体11aの連結部分11cと連結した際に、機体本体11aの連結部分11cとの間に隙間ができる構造としてもよい。例えば、
図7(A)に示すように、連結部品26において、機体本体11aの連結部分11cが収容される空間26hの長さ(
図7(A)では左右方向の長さ)を機体本体11aの連結部分11cの軸径よりも長くしておく。すると、2機の基準飛行体10の位置をある程度調整できる。つまり、連結部20によって2機の基準飛行体10を連結しても、連結部材21の軸方向に沿って2機の基準飛行体10を近づけたり遠ざけたりすることもできる。
また、連結部品26が機体本体11aの連結部分11cの軸方向に移動できるようにしておけば、連結部20によって2機の基準飛行体10を連結しても、連結部分11cの軸方向に沿って2機の基準飛行体10を移動させることもできる。
もちろん、連結部品26は、機体本体11aの連結部分11cに連結すると、機体本体11aの連結部分11cに対する移動が固定されるようにしてもよい。この場合でも、連結部材21と連結部品26との間に関節などを設ければ、飛行体UAVの姿勢や形状をある程度自由に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の飛行体は、狭い場所等に搬送物を搬送したりする飛行体に適している。
【符号の説明】
【0053】
UAV 飛行体
10 基準飛行体
11 機体
11a 機体本体
11b 脚部
11c 連結部分
12 ロータ
13 姿勢調整機構
15 制御部
20 連結部
21 連結部材
25 連結機構
26 連結部品