(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043679
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】コンテナクレーン制御装置
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20240326BHJP
B66C 13/06 20060101ALI20240326BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B66C15/00 E
B66C13/06 M
B65G67/60 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148810
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】中村 大介
【テーマコード(参考)】
3F077
3F204
【Fターム(参考)】
3F077AA02
3F077BA03
3F077BB09
3F077EA14
3F077FA03
3F204AA03
3F204BA04
3F204CA03
3F204CA05
3F204DA02
3F204DB05
3F204DC06
3F204EA05
3F204EB04
3F204FC03
(57)【要約】
【課題】コンテナの衝突を容易に回避できるコンテナクレーン制御装置を提供する。
【解決手段】実施形態のコンテナクレーン制御装置は、ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、モータドライブ装置に第1速度基準を供給する速度制御手段と、前記第1速度基準に代えて前記ロープの振れを低減するように生成された第2速度基準を出力する振れ抑制制御手段と、を含む主幹制御装置と、障害物を検出する障害物検出手段と、障害物距離を演算する障害物距離演算手段と、前記速度基準にもとづいて前記貨物の移動距離を演算する減速距離時間演算手段と、前記障害物距離および前記移動距離にもとづいて、前記貨物を停止させる指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、を含む衝突防止装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振れ幅センサから出力され、貨物を吊っているロープの振れ幅にもとづいて、前記ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、
オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、
前記速度基準演算手段から出力された前記第1速度基準、または、前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、前記振れ角にもとづいて、前記ロープの振れを低減するように、あらかじめ設定された速度制御パターンを構成するように、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を、前記貨物を水平方向移動させるモータを駆動するモータドライブ装置に逐次出力する速度制御手段と、
を含む主幹制御装置と、
前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離を逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、
前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、
前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、
を含む衝突防止装置と、
を備え、
前記振れ情報演算手段は、前記振れ角が第1しきい値以上の場合に、前記オペレータに前記ロープに振れが生じている旨を知らせるための警報発報指令を生成するコンテナクレーン制御装置。
【請求項2】
振れ幅センサから出力され、貨物を吊っているロープの振れ幅にもとづいて、前記ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、
オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、
前記速度基準演算手段から出力された前記第1速度基準、または、前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、前記振れ角にもとづいて、前記ロープの振れを低減するように、あらかじめ設定された速度制御パターンを構成するように、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を、前記貨物を水平方向移動させるモータを駆動するモータドライブ装置に逐次出力する速度制御手段と、
を含む主幹制御装置と、
前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離および前記障害物の高さをそれぞれ逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、
前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、
前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、
を含む衝突防止装置と、
を備え、
前記主幹制御装置は、前記第1速度基準が前記速度制御手段に入力されるのをインターロックするインターロック機能を含み、
前記衝突防止装置は、垂直方向に移動する前記貨物の下面の高さを演算する高さ演算手段を含み、
前記衝突防止ロジック演算手段は、前記貨物の下面の高さが、前記障害物の高さよりも高い場合に、前記インターロック機能のインターロックを解除して、前記第1速度基準または前記第2速度基準を前記速度制御手段に入力させるコンテナクレーン制御装置。
【請求項3】
振れ幅センサから出力され、貨物を吊っているロープの振れ幅にもとづいて、前記ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、
オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、
前記速度基準演算手段から出力された前記第1速度基準、または、前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、前記振れ角にもとづいて、前記ロープの振れを低減するように、あらかじめ設定された速度制御パターンを構成するように、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を出力する速度制御手段と、
を含む主幹制御装置と、
前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離および前記障害物の高さをそれぞれ逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、
前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、
前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、
を含む衝突防止装置と、
を備え、
前記主幹制御装置は、前記第1速度基準および前記第2速度基準が前記速度制御手段に入力されるのをインターロックするインターロック機能を含み、
前記衝突防止装置は、垂直方向に移動する前記貨物の下面の高さを演算する高さ演算手段を含み、
前記減速停止距離演算手段は、前記貨物が前記第1速度基準の最大値の場合に水平方向に移動したときに前記障害物の水平方向の位置となる第1時間を演算し、
前記衝突防止ロジック演算手段は、前記貨物の下面の高さが、前記障害物の高さ以下の場合であって、前記貨物を垂直方向に移動させて停止させるまでの第2時間が前記第1時間以下のときには、前記インターロック機能のインターロックを解除して、前記第1速度基準を前記速度制御手段に入力させるコンテナクレーン制御装置。
【請求項4】
振れ幅センサから出力され、貨物を吊っているロープの振れ幅にもとづいて、前記ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、
オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための生成された第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、
前記速度基準演算手段から出力された前記第1速度基準、または、前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、前記振れ角にもとづいて、前記ロープの振れを低減するように、あらかじめ設定された速度制御パターンを構成するように、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を、前記貨物を水平方向移動させるモータを駆動するモータドライブ装置に逐次出力する速度制御手段と、
を含む主幹制御装置と、
前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離を逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、
前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、
前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、
を含む衝突防止装置と、
を備え、
前記主幹制御装置は、前記第1速度基準が前記速度制御手段に入力されるのをインターロックするインターロック機能を含み、
前記衝突防止装置は、垂直方向に移動する前記貨物の下面の高さを演算する高さ演算手段を含み、
前記衝突防止ロジック演算手段は、
前記貨物の下面の高さが、前記障害物の水平方向の位置のうち、前記貨物を移動する位置よりも前記貨物の側の位置の高さ以下の場合に、前記インターロック機能のインターロックを解除して、前記第1速度基準を前記速度制御手段に入力させるコンテナクレーン制御装置。
【請求項5】
オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、
前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、あらかじめ設定された減速レートで設定され、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を、前記貨物を水平方向移動させるモータを駆動するモータドライブ装置に逐次出力する速度制御手段と、
を含む主幹制御装置と、
前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離を逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、
前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、
前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、
を含む衝突防止装置と、
を備え、
前記主幹制御装置は、前記第1速度基準が前記速度制御手段に入力されるのをインターロックするインターロック機能を含み、
前記衝突防止装置は、垂直方向に移動する前記貨物の下面の高さを演算する高さ演算手段を含み、
前記衝突防止ロジック演算手段は、
前記貨物の下面の高さが、前記障害物の水平方向の位置のうち、前記貨物を移動する位置よりも前記貨物の側の位置の高さ以下の場合に、前記インターロック機能のインターロックを解除して、前記第1速度基準を前記速度制御手段に入力させるコンテナクレーン制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテナクレーン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナクレーンを操作するオペレータは、主幹制御器である、たとえば操作レバーを操作して、陸上のコンテナ置き場に載置されたコンテナを吊り上げて、吊り上げたコンテナをコンテナ船に積載する。あるいは、オペレータは、主幹制御器を操作して、コンテナ船に積載されたコンテナを吊り上げて、陸上のコンテナ置き場に移動して載置する。オペレータは、細心の注意を払ってコンテナの移動を行うが、稀に吊っているコンテナを積載されたコンテナの山に衝突させる事故を発生させてしまうことがある。
【0003】
そこで、コンテナクレーン制御装置には、コンテナの山の形状を検出して、コンテナの山に接近した場合に、コンテナの移動を自動的に停止させる衝突防止装置が実装される場合がある。このような衝突防止装置には、たとえば特許文献1の技術が知られている。
【0004】
コンテナクレーンの操作に熟練したオペレータは、コンテナを巻き上げながら水平方向に移動させることにより巻き上げと移動の時間を短縮しようとする場合がある。港湾等に設置される大形のコンテナクレーンでは、コンテナを巻き上げるロープの長さが長いため、巻き上げながら水平方向の移動をすると、コンテナに振れを生ずることがある。熟練のオペレータであっても、コンテナの振れを生じたまま移動すると、衝突の事故を生ずる可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、コンテナの衝突を容易に回避できるコンテナクレーン制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、振れ幅センサから出力され、貨物を吊っているロープの振れ幅にもとづいて、前記ロープの振れ角を演算する振れ情報演算手段と、オペレータの操作にもとづいて、前記貨物の水平方向移動のための第1速度基準を逐次演算し出力する速度基準演算手段と、前記速度基準演算手段から出力された前記第1速度基準、または、前記貨物の減速を開始させる減速指令が入力された場合に、前記振れ角にもとづいて、前記ロープの振れを低減するように、あらかじめ設定された速度制御パターンを構成するように、前記貨物の水平方向移動のための第2速度基準を、前記貨物を水平方向移動させるモータを駆動するモータドライブ装置に逐次出力する速度制御手段と、を含む主幹制御装置と、前記貨物の進行する方向に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、前記貨物と前記障害物との間の水平方向の距離である障害物距離を逐次演算して出力する障害物距離演算手段と、前記第1速度基準および前記第2速度基準にもとづいて前記貨物の水平移動の減速を開始して停止するまでの減速停止距離を逐次演算して出力する減速停止距離演算手段と、前記障害物距離および前記減速停止距離にもとづいて、前記減速指令を生成して、前記速度制御手段に出力する衝突防止ロジック演算手段と、を含む衝突防止装置と、を備える。前記振れ情報演算手段は、前記振れ角が第1しきい値以上の場合に、前記オペレータに前記ロープに振れが生じている旨を知らせるための警報発報指令を生成する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、コンテナの衝突を容易に回避できるコンテナクレーン制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】各実施形態に係るコンテナクレーン制御装置が適用されるコンテナクレーンを例示する模式的な側面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【
図4】第2の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【
図6】第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図7】第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【
図8】第4の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図9】第4の実施形態に係るコンテナクレーン衝突防止制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【
図10】第5の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図11】第5の実施形態に係るコンテナクレーン衝突防止制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、各実施形態に係るコンテナクレーン衝突防止制御装置が適用されるコンテナクレーンを例示する模式的な側面図である。
図1に示すように、コンテナクレーンは、たとえば、岸壁にほぼ平行して敷設されたレール上を移動可能に設置される。岸壁には、コンテナの積み込みをするコンテナ船4が係留される。コンテナクレーンは、走行レール上を岸壁に沿って移動することができる。コンテナクレーンの移動方向は、
図1では、紙面の手前から奥、または奥から手前である。
【0012】
コンテナクレーンは、走行レールに平行に設けられたシルビーム5上に、コラムを介して設けられたガーダを有している。ガーダは、走行レールとほぼ直角になるように配置され、コンテナ船4まで延伸されている。ガーダには、トロリー8が設けられている。トロリー8は、ガーダに沿って、海側に移動(海行)し、陸側に移動(陸行)することができる。以下では、海行または陸行の方向を水平方向ということがある。また、トロリー8やコンテナ2の水平方向の移動を水平方向移動ということがある。
【0013】
トロリー8は、ロープ7を介してスプレッダ1を吊り下げている。スプレッダ1には、コンテナ2を保持することができる。以下では、スプレッダ1およびスプレッダ1に吊り下げたコンテナ2を含む貨物の昇降方向を垂直方向ということがあり、垂直方向の移動を垂直方向移動ということがある。また、スプレッダ1およびコンテナ2の巻上方向を上といい、巻下方向を下ということがある。また、以下では、特に断らない限り、スプレッダ1には、コンテナ2が保持されているものとして説明する。
【0014】
この例では、ガーダの陸側には、機械室が設置されている。機械室には、トロリー8をガーダに沿って水平方向移動させるモータや、ロープ7を巻き上げるモータ等の電気機器等が収納されている。機械室には、電気室10も設けられており、電気室10には、モータを駆動するモータドライブ装置等が収納されている。
【0015】
トロリー8の下部には、運転室9が設けられており、運転室9には、コンテナクレーンを操作するオペレータ12(
図2)が搭乗して、運転室9内に配置された主幹制御器13(
図2)等を操作して、コンテナ2の水平方向移動および垂直方向移動を操作する。
【0016】
コンテナクレーンが設置された陸側には、コンテナ2を運搬するトレーラのシャーシ6が配置されている。コンテナクレーンは、シャーシ6上に載置されたコンテナ2を、スプレッダ1を介して吊り上げて、コンテナ船4に移動し、コンテナ船4の所望の位置に載置する。
【0017】
この例では、コンテナ船4に複数のコンテナが積載されている。以下では、コンテナ船4に積載されたコンテナを載置コンテナ3と呼ぶ。載置コンテナ3の山は、各載置コンテナ3の積載場所によりさまざまな高さとなっている。以下では、水平方向の位置を単に位置という。載置コンテナ3の山は、コンテナ船4の幅方向の中央付近の位置PAでもっとも高く、高さHAとなっている。載置コンテナ3の山は、陸よりの位置PBでは、高さHBであり、高さHBは高さHAよりも少し低い。陸からもっとも離れた位置PCでは、もっと低い高さの高さHCとなっている。位置PAと位置PBとの間の位置PDでは、高さHBよりも低く、高さHCよりも高い高さHDとなっている。
【0018】
なお、位置および高さの基準は、適切な位置および高さを任意に設定することができる。たとえば、位置の基準は、コンテナ2の水平方向の移動を開始する地点でのスプレッダ1の海側の先端またはコンテナ2の海側の先端の位置とすることができる。たとえば、高さの基準は、コンテナ2の垂直方向の移動を開始する地点でのコンテナ2の下面の高さである。コンテナ2の先端の位置および下面の高さは、たとえば、プロファイル検出センサ11によって検出される。以下では、特に断らない限り、位置という場合には、コンテナ2の海側の先端の位置からの位置をいい、高さという場合には、コンテナ2の下面からの高さをいうものとする。
【0019】
各実施形態のコンテナクレーン制御装置は、載置コンテナ3の高さや位置を検出し、コンテナ2と載置コンテナ3との間の距離である障害物距離を逐次算出する。コンテナクレーン制御装置は、コンテナ2の水平方向移動の減速を開始して停止させるまでの減速停止距離を算出する。コンテナクレーン制御装置は、障害物距離が減速停止距離以下となるか否かを監視し、障害物距離が減速停止距離以下となった場合には、オペレータ12の操作にかかわらず、コンテナ2の水平方向移動の減速を開始してコンテナ2を停止させる。コンテナクレーン制御装置は、コンテナ2の水平方向移動を所定の減速レートで減速させ、コンテナ2が載置コンテナ3や他の障害物に衝突することを防止する。なお、減速停止距離におけるコンテナ2の水平方向の移動では、所定の減速レートで減速させて停止させる場合に限らず、所定の減速レートで所定の最低速度まで減速させてるようにしてもよい。以下では、特に断らない限り、減速停止距離は、コンテナ2が減速を開始し停止するまでの距離であるものとする。
【0020】
プロファイル検出センサ(障害物検出手段)11は、載置コンテナ3の山や他の障害物を検出するように設けられる。この例では、プロファイル検出センサ11は、トロリー8の先端に配置され、トロリー8が海行する方向の載置コンテナ3の山を含む障害物(以下、単に障害物という)を検出する。コンテナクレーン制御装置は、プロファイル検出センサ11によって検出された情報にもとづいて、コンテナ2の水平移動および垂直移動を制御する。
【0021】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100は、衝突防止装置102と、主幹制御装置16と、を備える。衝突防止装置102および主幹制御装置16は、互いに通信可能に接続されている。コンテナクレーン制御装置100は、運転室9に搭乗したオペレータ12が、運転室9内に設置された表示装置15や、運転室9からコンテナ2の移動先である載置コンテナ3の山等を目視しつつ、主幹制御器13を操作してコンテナ2を目的の位置に移動して載置する。主幹制御器13は、たとえば操作レバー等を有する。主幹制御器13の操作レバーを前後に傾けることにより、コンテナ2は、傾けた角度に応じた速度で移動する。
【0022】
衝突防止装置102は、プロファイル検出センサ11と、振れ幅検出センサ11aと、障害物距離演算機能17と、減速距離時間演算機能18と、衝突防止ロジック演算機能19と、を有する。
【0023】
プロファイル検出センサ11は、たとえば光学式センサである。プロファイル検出センサ11は、コンテナ2の海側の障害物を走査して、障害物のプロファイルを検出する。プロファイル検出センサ11は、障害物を走査する際に、吊っているコンテナ2を走査して、コンテナ2の先端の位置や高さを検出する。障害物のプロファイルとは、障害物の輪郭を表すデータである。障害物のプロファイルは、たとえば、障害物の位置および高さの座標の集合である。プロファイル検出センサ11は、検出した障害物のプロファイルならびにコンテナ2の位置および高さを障害物距離演算機能17に出力する。
【0024】
振れ幅検出センサ11aは、ロープ7の振れ幅を検出できるように、たとえばトロリー8に設けられている。振れ幅検出センサ11aは、たとえば光学式センサであり、ロープ7の振れ幅を検出して検出結果を主幹制御装置16に出力する。
【0025】
障害物距離演算機能(障害物距離演算手段)17は、プロファイル検出センサ11から出力された障害物のプロファイルならびにコンテナ2の先端の位置を用いて、障害物距離を逐次計算する。障害物距離は、コンテナ2の先端の位置から障害物の位置までの距離である。障害物距離演算機能17は、算出した障害物距離を衝突防止ロジック演算機能19に逐次出力する。障害物距離演算機能17は、この例のように、障害物等のプロファイルを運転室9内に設置された表示装置15に表示するようにしてもよい。
【0026】
減速距離時間演算機能(減速停止距離演算手段)18は、主幹制御装置16から出力されるコンテナ2の水平方向移動の速度基準の値を用いて、コンテナ2が減速を開始し停止するまでの移動距離である減速停止距離を逐次計算する。後述するように、減速レートはあらかじめ設定されており、振れ情報を検出した場合の速度制御パターンは、あらかじめ定義された振れ抑制制御演算式を用いて演算される。減速距離時間演算機能18は、算出したコンテナ2の水平方向の減速停止距離を衝突防止ロジック演算機能19に逐次出力する。
【0027】
衝突防止ロジック演算機能(衝突防止ロジック演算手段)19は、障害物距離と減速停止距離とを逐次比較する。衝突防止ロジック演算機能19は、障害物距離が減速停止距離以下となった場合に、コンテナ2の減速を開始する減速指令を主幹制御装置16に出力する。
【0028】
主幹制御装置16は、速度基準演算機能20と、速度減速制御機能21と、振れ情報検出演算機能23と、振れ抑制制御機能24と、を有する。
【0029】
オペレータ12の左右には、主幹制御器13が1台ずつ設置される。オペレータ12は、トロリー8の水平方向移動のためには、一方の主幹制御器13を操作し、トロリー8の垂直方向移動のためには、他方の主幹制御器13を操作する。オペレータ12は、それぞれの主幹制御器13のレバーの角度を調整することで、トロリー8の水平方向移動の速度および垂直方向移動の速度を調整する。
【0030】
速度基準演算機能(速度基準演算手段)20は、主幹制御器13から出力されるレバーの角度情報に応じた速度に関する情報を用いて、レバーの角度情報に応じた速度基準を演算する。速度基準演算機能20は、算出した速度基準(第1速度基準)を速度減速制御機能21に出力する。
【0031】
速度減速制御機能21は、速度基準演算機能20によって逐次算出された速度基準をモータドライブ制御機能22に出力する。速度減速制御機能21には、加速レートおよび減速レートがあらかじめ設定されており、主幹制御器13の角度設定や減速指令時の減速に際して、あらかじめ設定された加速レートおよび減速レートを適用して、速度基準として逐次出力する。
【0032】
速度減速制御機能(速度制御手段)21は、速度基準を、モータドライブ制御機能22に出力するとともに、衝突防止装置102の減速距離時間演算機能18に出力する。なお、いうまでもないが、速度基準演算機能20や速度減速制御機能21は、水平方向移動のための速度基準および垂直方向移動のための速度基準をそれぞれ演算して出力する。出力されたそれぞれの速度基準は、水平方向移動のためのモータドライブおよび垂直方向移動のためのモータドライブに供給される。
【0033】
振れ情報検出演算機能(振れ情報演算手段)23は、振れ幅検出センサ11aによって検出されたロープ7の振れ幅を用いて、ロープ7の振れに関する情報を演算して、振れ抑制制御機能24に出力する。振れに関する情報は、少なくともロープ7の振れ角を含んでおり、好ましくは振れ周期等を含む。振れ周期を計算するために、ロープ7の長さが用いられ、ロープ7の長さは、たとえばコンテナ2の垂直方向の移動距離により算出される。
【0034】
振れ抑制制御機能(速度制御手段)24は、算出された振れに関する情報にもとづいて、振れを抑制するための速度制御パターンを出力する。速度制御パターンは、振れが生じたときの条件に応じて生成される。振れが生じたときの条件とは、たとえば、水平方向移動速度やロープ長、振れの向き・大きさ、振れ速度等である。速度制御パターンは、これらの条件をあらかじめ定義された振れ抑制制御演算式に入力することによって算出される。速度制御パターンは、たとえば、一定速度で走行する期間と一定の減速レートで走行する期間からなる。より具体的には、速度制御パターンは、最初の所定期間では一定の減速レートで走行し、次の所定期間では一定速度で走行し、最後の所定期間では一定の減速レートで走行する走行のパターンを出力できるように構成されている。なお、速度制御パターンを演算する振れ抑制制御演算式は、主幹制御装置を実装するクレーンごとに適切な演算式を設定して実装してもよいし、後述する他の実施形態を含め、実施形態ごとに適切な演算式としてもよい。
【0035】
振れ抑制制御機能24は、速度制御パターンを速度減速制御機能21に出力する。振れ抑制制御機能24は、ロープ7の振れを抑制するための速度制御パターンにしたがう速度基準(第2速度基準)を出力する。
【0036】
減速距離時間演算機能18は、算出された速度制御パターンを用いて減速停止距離を演算する。
【0037】
モータドライブ制御機能22は、トロリー8の水平方向移動させるモータおよび垂直方向移動させるモータをそれぞれ駆動するモータドライブ装置のための制御機能である。モータドライブ制御機能22は、モータに設けられた速度センサからモータの速度の情報を入力して、モータの速度が速度基準に追従するようにモータへの出力トルク等を制御する。
【0038】
主幹制御装置16および衝突防止装置102は、たとえば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)により実現される。上述した各機能は、ソフトウェアにより実現され、たとえば、PLCの制御プログラムを構成する1つ以上のステップを組み合わせ、プロファイル検出センサ11や主幹制御器13等のハードウェア資源との協働により実現される。
【0039】
図3は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図3を用いて、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の動作を説明する。
図3に示すように、ステップS31において、障害物距離演算機能17は、プロファイル検出センサ11によって検出された、コンテナ2の先端の位置および障害物の位置にもとづいて、障害物距離を逐次計算して衝突防止ロジック演算機能19に出力する。
【0040】
ステップS32において、振れ幅検出センサ11aは、ロープ7の振れ幅を検出して振れ情報検出演算機能23に出力する。振れ情報検出演算機能23は、ロープ7の振れ幅にもとづいて、ロープ7の振れ角を演算する。振れ情報検出演算機能23は、コンテナ2の垂直方向の移動速度を積算してロープ7の長さを演算する。振れ情報検出演算機能23は、計算したロープ7の振れ角および長さを用いて、コンテナ2の振れ周期を計算する。
【0041】
ステップS33において、振れ抑制制御機能24は、算出された振れ角および振れ周期等にもとづいて、振れを抑制する速度制御パターンを算出し、速度減速制御機能21に出力する。
【0042】
ステップS34において、減速距離時間演算機能18は、速度減速制御機能21が出力した速度基準および振れ抑制制御機能24が出力した速度制御パターンにもとづいて、コンテナ2の減速停止距離を演算する。具体的には、減速距離時間演算機能18は、その時点の速度基準において適用された速度制御パターンで減速する場合の速度の時間積算値を減速停止距離として計算し、出力する。
【0043】
ステップS35において、衝突防止ロジック演算機能19は、障害物距離と減速停止距離とを比較する。衝突防止ロジック演算機能19は、障害物距離が減速停止距離以下になった場合に、減速指令を主幹制御装置16に出力し、処理を次のステップS36に遷移させる。衝突防止ロジック演算機能19は、障害物距離が減速停止距離よりも長い場合には、処理をステップS32に戻して、上述の処理を繰り返す。
【0044】
ステップS36において、速度減速制御機能21は、衝突防止装置102の衝突防止ロジック演算機能19から出力された減速指令にもとづいて、あらかじめ設定された減速レートまたは速度制御パターンを速度基準に適用し、適用した速度基準を逐次モータドライブ制御機能22に出力する。速度減速制御機能21は、速度制御パターンが入力された場合には、減速レートよりも速度制御パターンを優先して適用する。
【0045】
このようにして、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100は、移動するコンテナ2に振れが生じても、振れに応じた速度制御パターンを適用することによって、コンテナ2の障害物への衝突を防止することができる。
【0046】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100は、振れ情報検出演算機能23および振れ抑制制御機能24を有する主幹制御装置16を備えている。振れ情報検出演算機能23および振れ抑制制御機能24は、振れ幅検出センサ11aによって検出されたロープ7の振れ幅にもとづいて、ロープ7の振れ角等の振れに関する情報を取得し、振れを抑制するように速度制御パターンを生成することができる。そのため、長くロープ7を繰り出した状態でコンテナ2等を移動し、あるいは、長いロープ7を巻き上げながらコンテナ2を水平移動させても、コンテナ2等の振れを抑制することができるので、障害物へのコンテナ2等の衝突を防止することができる。
【0047】
従来、熟練のオペレータがロープ7の振れの発生に気づいた場合には、水平方向移動の速度を調節して、振れを抑制しつつ、コンテナ2の水平方向移動を継続できる場合があるが、そのような技能に習熟するのは容易ではない。本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100では、非熟練のオペレータであっても、コンテナ2の振れを抑制し、障害物への衝突を防止しつつ、安全かつ確実にコンテナの水平方向移動を行うことが可能になる。
【0048】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200は、主幹制御装置216は、振れ情報検出演算機能223を有する。振れ情報検出演算機能223は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の振れ情報検出演算機能23と異なる構成を有している。本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200は、衝突防止装置202が、衝突防止ロジック演算機能219を有している。衝突防止ロジック演算機能219は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の衝突防止ロジック演算機能19と異なる構成を有している。本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200は、主幹制御装置216が、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の振れ抑制制御機能24に対応する構成を有していない。他の点では、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200の構成要素は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の構成要素と同じである。第1実施形態の場合と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0049】
振れ情報検出演算機能223は、振れ幅検出センサ11aが出力するロープ7の振れ幅にもとづいて、ロープ7の振れ角を演算する。振れ情報検出演算機能223は、ロープ7の振れ角についての上限値をしきい値(第1しきい値)としてあらかじめ有している。振れ情報検出演算機能223は、算出したロープ7の振れ角がしきい値を超えた場合には、衝突防止ロジック演算機能219に振れ角検出に関する情報を出力する。
【0050】
衝突防止ロジック演算機能219は、第1の実施形態の衝突防止ロジック演算機能19の場合と同様に、障害物距離が減速停止距離以下となった場合に減速指令を出力する。そのほか、衝突防止ロジック演算機能219は、振れ情報検出演算機能223から振れ角検出に関する情報を受信した場合には、コンテナ2の障害物距離が減速停止距離にαを加算した距離以下となった場合に、警報を発報する警報発報指令を出力する。αは、距離の次元を有する正の定数であり、たとえば衝突防止ロジック演算機能219にあらかじめ設定されている。警報発報指令は、警報装置14に出力される。
【0051】
警報装置14は、たとえばオペレータ12が在室する運転室9内に設置される。警報装置14は、警報発報指令を受信すると、警報を発報して、水平方向移動しているコンテナ2にしきい値を超える振れが生じていることをオペレータ12に知らせる。警報装置14が発報する警報は、たとえば、あらかじめ設定された警報音の鳴動や警告音声、警報ランプの点灯、点滅等である。
【0052】
衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離と減速停止距離との間の関係について、複数段階の定数を有するようにしてもよい。たとえば、α1=2とし、α2=1.5とあらかじめ設定される。衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が減速停止距離+α1(=2)以下となった場合に、第1段階の第1警報発報指令を出力する。衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が減速停止距離+α2(=1.5)以下となった場合に、第2段階の第2警報発報指令を出力する。
【0053】
警報装置14は、第1警報発報指令を受信した場合には、黄色の警報ランプを点灯し、第2警報発報指令を受信した場合には、赤色灯を点滅させる。これによって、オペレータ12は、衝突の危険の程度を主観的に把握することができる。
【0054】
振れ情報検出演算機能223は、振れ角に関する複数のしきい値を有してもよい。その場合には、衝突防止ロジック演算機能219は、振れ角に関する複数のしきい値のそれぞれに対応する複数の定数を有している。衝突防止ロジック演算機能219は、振れ角が、振れ情報検出演算機能223の複数のしきい値を超過したことを表す複数の情報に応じて、複数の定数のいずれかを適用する。
【0055】
たとえば、振れ情報検出演算機能223は、振れ角に関するしきい値θ1th、θ2thを有しており、θ1th<θ2thとされている。振れ情報検出演算機能223は、振れ角がθ1thを超えたことを表す情報を衝突防止ロジック演算機能219に出力すると、衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が減速停止距離+α3以下となった場合に、警報を発報する警報発報指令を出力する。たとえば、α3=1.5である。振れ情報検出演算機能223は、振れ角がθ2thを超えたことを表す情報を衝突防止ロジック演算機能219に出力すると、衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が減速停止距離+α4以下となった場合に、警報を発報する警報発報指令を出力する。たとえば、α=2である。つまり、コンテナ2の振れが大きい場合には、コンテナ2の移動距離が減速停止距離よりもより短い場合であっても、衝突防止ロジック演算機能219は警報発報指令を出力する。
【0056】
図5は、第2の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図5に示すように、ステップS41において、障害物距離演算機能17は、プロファイル検出センサ11が出力する障害物のプロファイルに関する情報にもとづいて、コンテナ2の先端の位置から障害物の位置までの距離である障害物距離を逐次演算する。障害物距離演算機能17は、算出した障害物距離を衝突防止ロジック演算機能219に出力する。
【0057】
ステップS42において、振れ幅検出センサ11aは、ロープ7の振れ幅を検出して検出結果を振れ情報検出演算機能223に出力する。振れ情報検出演算機能223は、ロープ7の振れ幅にもとづいて、ロープ7の振れ角を演算する。
【0058】
ステップS43において、振れ情報検出演算機能223は、算出した振れ角とあらかじめ設定されたしきい値とを比較する。振れ情報検出演算機能223は、振れ角がしきい値を超過したと判定した場合には、処理を次のステップS44に遷移させる。振れ角がしきい値を超過しない場合には、処理をステップS42に戻して上述の動作を繰り返す。
【0059】
ステップS44において、振れ情報検出演算機能223は、振れ角検出に関する情報を衝突防止装置102の衝突防止ロジック演算機能219に出力する。
【0060】
ステップS45において、衝突防止ロジック演算機能219は、振れ角検出に関する情報を受信して、コンテナ2の振れ角が所定のしきい値を超過したことと判断する。衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離と減速停止距離に定数αを加算した距離とを比較する。衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が「減速停止距離+α」以下となった場合には、処理を次のステップS46に遷移させる。衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が「減速停止距離+α」よりも長い場合には、そのまま待機する。
【0061】
ステップS46において、衝突防止ロジック演算機能219は、警報発報指令を警報装置14に出力する。警報装置14は、警報発報指令にもとづいて、所定の警報を発報する。
【0062】
これにより、オペレータ12は、移動しているコンテナ2に振れが生じており、障害物に接近していることを認識することができる。オペレータ12は、たとえば、コンテナ2の移動を一旦停止して、振れを抑制した後、再度コンテナ2の移動を開始し、コンテナ2の振れによる不測の事故を防止することができる。
【0063】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200の効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200では、主幹制御装置216の振れ情報検出演算機能223は、コンテナ2の振れ角に関するしきい値を有している。振れ情報検出演算機能223は、振れ角が所定のしきい値を超えた場合に、振れ角検出に関する情報を出力する。また、衝突防止装置102の衝突防止ロジック演算機能219は、障害物距離が「減速停止距離+α(α>0)」以下となった場合に、警報発報指令を出力する。警報発報指令を受信した警報装置14は、運転室9内のオペレータにコンテナ2に振れが発生した状態で障害物に接近していることを知らせる警報を発報する。そのため、オペレータ12は、コンテナ2の水平方向の移動速度を低下させて、あるいはコンテナ2の振れを抑える操作をして、コンテナ2が障害物に衝突をする等の不測の事故を未然に防止することができる。
【0064】
このように、本実施形態では、主幹制御装置216に、振れ抑制のための速度制御パターンを生成する振れ抑制制御機能を実装していない場合であっても、振れによるコンテナの衝突を防止することが可能である。主幹制御装置を構成するPLCのプログラムの格納容量が不足している場合等に、主幹制御装置に振れ抑制制御機能を新たに追加することができないことがある。そのような場合であっても、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置200では、コンテナ2の振れを検出して、コンテナ2が障害物に接近していることをオペレータ12に認識させることができる。オペレータ12が適切な対応をとることによって、不測の事故を防止することが可能になる。一方、第1の実施形態の場合の振れ抑制制御機能24を実装することによって、より確実にコンテナの障害物への衝突を防止できる。
【0065】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300は、衝突防止装置302が、衝突防止ロジック演算機能319を有している。衝突防止ロジック演算機能319は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の衝突防止ロジック演算機能19と異なる構成を有している。本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300は、主幹制御装置316が、水平方向移動インターロック25を有している点で、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100と相違する。他の点では、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300の構成要素は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0066】
衝突防止ロジック演算機能319は、第1の実施形態の衝突防止ロジック演算機能19の場合と同様に、コンテナ2の水平方向の障害物距離が減速停止距離以下となった場合に減速指令を生成する。そのほか、衝突防止ロジック演算機能319は、コンテナ2の下面の高さと、障害物のプロファイルのうちの最大の高さとを比較する機能を有する。水平方向の移動および垂直方向の移動を開始する前の初期状態では、コンテナ2の水平方向移動は、インターロックされている。衝突防止ロジック演算機能319は、コンテナ2の下面の高さが、障害物の最大の高さを超えた場合には、水平方向移動のインターロックを解除する指令を水平方向移動インターロック25に出力する。
【0067】
主幹制御装置316の水平方向移動インターロック(インターロック機能)25は、衝突防止ロジック演算機能319から出力されたインターロック解除指令を受信した場合には、速度基準演算機能20の出力を速度減速制御機能21に供給するように作用する。
【0068】
図7は、第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図7に示すように、ステップS51において、プロファイル検出センサ11は、コンテナ2の下面の高さを逐次演算し、衝突防止ロジック演算機能319に出力する。なお、コンテナ2の下面の高さの計算には、プロファイル検出センサ11の出力値に代えて、ロープ7の長さのデータを用いてもよい。
【0069】
ステップS52において、プロファイル検出センサ11は、障害物のプロファイルを検出して、障害物距離演算機能17に出力する。障害物距離演算機能17は、各位置における障害物の高さを計算して、最大の高さの値を抽出し、衝突防止ロジック演算機能319に出力する。
図1の例では、最大の高さは、位置PAにおける高さHAであり、高さHAの値が衝突防止ロジック演算機能319に出力され、衝突防止ロジック演算機能319は、高さHAの値を記憶する。
【0070】
なお、衝突防止ロジック演算機能319が高さの判定を実行する前の初期状態では、速度基準演算機能20の出力は、インターロックされている。そのため、オペレータ12が主幹制御器13を操作して、コンテナ2を水平方向移動させようとしても、速度減速制御機能21には、速度基準として0が入力されている。
【0071】
ステップS53において、衝突防止ロジック演算機能319は、記憶した障害物の最大の高さと、コンテナ2の下面の高さとを比較する。衝突防止ロジック演算機能319は、コンテナ2の下面の高さが障害物の最大の高さよりも高いと判定した場合には、処理を次のステップS54に遷移させる。衝突防止ロジック演算機能319は、コンテナ2の下面の高さが障害物の最大の高さ以下の場合には、処理をステップS51に戻して上述の処理を繰り返す。
【0072】
ステップS54において、衝突防止ロジック演算機能319は、インターロック解除指令を水平方向移動インターロック25に出力する。
【0073】
水平方向移動インターロック25は、インターロック解除指令にもとづいて、速度基準演算機能20が出力する速度基準を速度減速制御機能に供給するように作用する。速度減速制御機能21は、速度基準演算機能20から出力された速度基準を所定の加速レートを適用して、モータドライブ制御機能22に出力する。
【0074】
ステップS55において、オペレータ12は、コンテナ2の高さを維持しながら、コンテナ2の水平方向移動を開始する。
【0075】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300の効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300では、衝突防止ロジック演算機能319がコンテナ2の下面の高さに関する判定を実行するまで、主幹制御装置316は、コンテナ2の水平方向移動をインターロックする。衝突防止ロジック演算機能319は、コンテナ2の下面の高さが障害物の最大の高さを超えたと判定してインターロックを解除する。そのため、水平方向移動時には、水平方向の障害物が存在しないため、減速動作による振れ発生を考慮する必要がない。
【0076】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300では、振れ抑制が不要であり、オペレータが不注意等により荷を振れさせたり、載置目標の位置をオーバーしてもコンテナが障害物に衝突することがなくなる。
【0077】
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図8に示すように、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置400は、衝突防止装置402が、衝突防止ロジック演算機能419を有している。衝突防止ロジック演算機能419は、第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300の衝突防止ロジック演算機能319と異なる構成を有している。他の点では、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置400の構成要素は、第3の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0078】
衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2の下面が障害物の最大の高さを超える前にインターロック解除指令を水平方向移動インターロック25に出力する。これにより、目的のコンテナの移動位置により早く到達することができる。
【0079】
図9は、第4の実施形態に係るコンテナクレーン衝突防止制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図9に示すように、ステップS61において、第3の実施形態の場合と同様に、プロファイル検出センサ11は、コンテナ2の下面の高さを算出し、衝突防止ロジック演算機能419に出力する。
【0080】
衝突防止ロジック演算機能419がコンテナ2の下面の高さに関する判定を実行する前の初期状態では、速度基準演算機能20の出力はインターロックされている。そこで、ステップS62において、衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2が最大の速度および所定の加減速レートで水平方向移動した場合に障害物に到達するまでの時間である水平方向移動時間(第1時間)を計算して結果を記憶する。
【0081】
ステップS63において、プロファイル検出センサ11は、障害物のプロファイルを検出して、障害物距離演算機能17に出力する。障害物距離演算機能17は、第3の実施形態の場合と同様に、各位置における障害物の高さを計算して、最大の高さのデータを衝突防止ロジック演算機能419に出力する。衝突防止ロジック演算機能419は、障害物の最大の高さのデータを記憶する。
【0082】
ステップS64において、衝突防止ロジック演算機能419は、障害物の最大の高さにもとづいて、コンテナ2の垂直方向移動の場合の減速停止距離を計算する。垂直方向移動の場合の減速停止距離は、水平方向移動の場合と同様に、あらかじめ設定された垂直方向移動の減速レートを用いて計算される。つまり、垂直方向移動の場合に、その時点での速度基準において減速指令が出力されたタイミングで減速を開始して停止するまでの垂直上方向の減速停止距離が計算される。衝突防止ロジック演算機能419は、障害物の最大の高さから垂直方向の減速停止距離を差し引いた値を記憶する。
【0083】
ステップS65において、衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2の下面の高さと、「障害物の最大の高さ-垂直上方向の減速停止距離」とを比較する。衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2の下面の高さが「障害物の最大の高さ-垂直上方向の減速停止距離」以上であると判定した場合には、処理を次のステップS66に遷移させる。衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2の下面の高さが「障害物の最大の高さ-垂直上方向の減速停止距離」よりも低いと判定した場合には、処理をステップS61に戻して、上述の動作を繰り返す。
【0084】
ステップS66において、衝突防止ロジック演算機能419は、垂直上方向の減速停止距離を算出した減速レートでコンテナ2が停止する時間である垂直上方向減速時間(第2時間)を計算して記憶する。衝突防止ロジック演算機能419は、記憶した水平方向移動時間と、垂直上方向減速時間とを比較する。衝突防止ロジック演算機能419は、垂直上方向減速時間が水平方向移動時間以下であると判定した場合には、処理を次のステップS67に遷移させる。衝突防止ロジック演算機能419は、垂直上方向減速時間が水平方向移動時間よりも長いと判定した場合には、処理をステップS61に戻して上述の動作を繰り返す。
【0085】
ステップS67において、衝突防止ロジック演算機能419は、水平方向移動のインターロックを解除するインターロック解除指令を主幹制御装置316に出力する。
【0086】
ステップS68において、オペレータ12は、コンテナ2の水平方向移動を開始する。
【0087】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置400の効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置400では、衝突防止ロジック演算機能419は、コンテナ2の垂直方向の高さが障害物の最大の高さに到達する前であっても、垂直方向移動の減速レートで減速走行する期間においては、水平方向に最大の速度で移動した場合であっても障害物に到達する前であることを条件に、水平方向移動を可能にしている。そのため、コンテナ2の下面が最大の高さに達するまで、水平方向移動を禁止した場合よりも、コンテナ2の実際の移動時間を短縮することができ、生産性の向上をはかることができる。なお、水平方向移動時間の計算をする場合には、最短時間とするためには、上述のように、最大速度での移動とすることが好ましいが、インターロック解除後の水平方向の速度が所定値であれば最大速度でなくてもよいのは言うまでもない。
【0088】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図10に示すように、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500は、衝突防止装置502が障害物距離演算機能517と衝突防止ロジック演算機能519とを有している。障害物距離演算機能517は、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300の障害物距離演算機能17と異なる構成を有している。衝突防止ロジック演算機能519は、第3、第4の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300、400の衝突防止ロジック演算機能319、419と異なる構成を有している。他の点では、本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500の構成要素は、上述した他の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置の構成要素と同じである。同一の構成要素は、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0089】
障害物距離演算機能517は、プロファイル検出センサ11から供給された障害物のプロファイルを用いて、障害物距離を逐次計算して衝突防止ロジック演算機能519に出力する。障害物距離演算機能517は、コンテナ積載位置入力装置15aに接続されている。コンテナ積載位置入力装置15aは、たとえば運転室9内に設置されたタッチパネル式の入力装置であり、載置コンテナ3の山の輪郭の画像が表示されている。オペレータ12は、コンテナ積載位置入力装置15aに表示された載置コンテナ3の山の輪郭のいずれかを選択することにより、これからコンテナ2を移動して積載する位置の情報を入力する。コンテナ積載位置入力装置15aは、入力されたコンテナ2の積載予定位置の情報を障害物距離演算機能517に出力する。
【0090】
障害物距離演算機能517は、入力された積載予定位置の情報にもとづいて、その積載位置の手前にある障害物の最大の高さを演算する。障害物距離演算機能517は、積載予定位置の手前で最大の高さを有する障害物までの障害物距離およびその障害物の高さを衝突防止ロジック演算機能519に出力する。
【0091】
衝突防止ロジック演算機能519は、コンテナ2の下面の高さが積載予定位置の手前で最大の高さを有する障害物の高さを超えたと判定した場合に、コンテナ2の水平方向移動の禁止を解除するインターロック解除指令を水平方向移動インターロック25に出力する。
【0092】
図11は、第5の実施形態に係るコンテナクレーン衝突防止制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500動作をフローチャートを用いて説明する。
図11に示すように、ステップS71において、オペレータ12は、コンテナ積載位置入力装置15aによって、コンテナ2の積載予定位置を入力する。
【0093】
ステップS72において、コンテナ2の垂直方向移動のための減速距離時間演算機能は、コンテナ2の垂直方向移動の速度を積算して、コンテナ2の下面の高さを演算し、衝突防止ロジック演算機能519に出力する。
【0094】
ステップS73において、障害物距離演算機能517は、入力されたコンテナ2の積載予定位置を用いて、積載予定位置よりも手前の障害物の最大の高さを算出する。
図1の例では、位置PCにコンテナ2を積載しようとする場合には、障害物距離演算機能517は、位置PAの高さHAを衝突防止ロジック演算機能519に出力する。衝突防止ロジック演算機能519は、高さHAを記憶する。位置PDにコンテナ2を積載しようとする場合には、障害物距離演算機能517は、位置PBの高さを衝突防止ロジック演算機能519に出力する。衝突防止ロジック演算機能519は、高さHBを記憶する。
【0095】
ステップS74において、衝突防止ロジック演算機能519は、障害物の最大の高さと、コンテナ2の下面の高さとを比較する。衝突防止ロジック演算機能519は、コンテナ2の下面の高さが障害物の最大の高さよりも高くなった場合に、コンテナ2の水平方向移動の禁止を解除するインターロック解除指令を水平方向移動インターロック25に出力する。ステップS75において、水平方向移動インターロック25は、速度基準演算機能20が出力する速度基準を速度減速制御機能21に出力するように作用する。
【0096】
ステップS76において、オペレータは、コンテナ2の高さを維持しながら、コンテナ2の水平方向移動を開始する。
【0097】
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500の効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500では、コンテナ積載位置入力装置15aによって積載予定位置を指定し、障害物距離演算機能517および衝突防止ロジック演算機能519によって、積載予定位置の手前の障害物の最大の高さを検出することができる。そのため、積載予定位置に応じた垂直方向移動を行えばよいので、垂直方向移動に要する時間を短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
【0098】
上述では、コンテナ2をスプレッダ1に吊り下げた状態でコンテナ2を垂直方向移動し、水平方向移動するものとしたが、これに限らず、スプレッダにコンテナ2を吊り下げない状態で移動動作をさせてもよい。その場合には、ロープ7で吊り下げるのはスプレッダ1になるので、水平方向移動の基準位置は、スプレッダ1の進行方向の先端となり、高さは、スプレッダ1の下面までの高さとされる。スプレッダ1やコンテナ2の高さは、所与であり、コンテナクレーン制御装置は、スプレッダ1やコンテナ2の先端の高さを計測することによって、スプレッダ1やコンテナ2の下面の高さを算出することができる。
【0099】
上述した各実施形態は、相互に組み合わせて適用することができる。たとえば、第1の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置100に、第2の実施形態の場合の衝突防止ロジック演算機能219および振れ情報検出演算機能223を適用することができる。また、
図6、
図8および
図10に図示するように、第3~第5の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置300、400、500では、第1、第2の実施形態の場合の衝突防止ロジック演算機能19、219、振れ情報検出演算機能23、223および振れ抑制制御機能24を適用することができる。さらに、第3~第5の実施形態の構成要素は、相互に適用することができ、第5の実施形態に係るコンテナクレーン制御装置500に第4の実施形態の場合の衝突防止ロジック演算機能419を適用して、より迅速にコンテナ2の移動をするようにしてもよい。
【0100】
このようにして、コンテナの衝突を容易に回避できるコンテナクレーン制御装置を実現することができる。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1…スプレッダ、2…コンテナ、3…載置コンテナ、4…コンテナ船、7…ロープ、8…トロリー、9…運転室、10…電気室、11…プロファイル検出センサ、11a…振れ幅センサ、12…オペレータ、13…主幹制御器、14…警報装置、15…表示装置、15a…コンテナ積載位置入力装置、16、216、316…主幹制御装置、17、517…障害物距離演算機能、18…減速距離時間演算機能、19、219、319、419、519…衝突防止ロジック演算機能、20…速度基準演算機能、21…速度減速制御機能、22…モータドライブ制御機能、23、223…振れ情報検出演算機能、24…振れ抑制制御機能、25…水平方向移動インターロック、100、200、300、400、500…コンテナクレーン制御装置、102、202、302、402、502…衝突防止装置