IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートモーティブエナジーサプライ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電池セル 図1
  • 特開-電池セル 図2
  • 特開-電池セル 図3
  • 特開-電池セル 図4
  • 特開-電池セル 図5
  • 特開-電池セル 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043689
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20240326BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/16 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/121
H01M50/159
H01M50/16
H01M50/169
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148823
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大岡 愛佳
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011DD06
5H011FF03
(57)【要約】
【課題】電池セルの体積エネルギー密度を向上させる。
【解決手段】電池セル10は、電池要素100と、電池要素100の所定方向の一方の端部を覆う前方蓋材210と、少なくとも一部分が電池要素100の所定方向の周りに巻き付けられた外装フィルム300と、を備えている。外装フィルム300は、電池要素100の所定方向の周りの少なくとも1つの角において電池要素100に沿って丸みを帯びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
前記電池要素の所定方向の一方の端部を覆う蓋材と、
少なくとも一部分が前記電池要素の前記所定方向の周りに巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記外装フィルムが、前記電池要素の前記所定方向の周りの少なくとも1つの角において前記電池要素に沿って丸みを帯びている、電池セル。
【請求項2】
前記蓋材の、前記電池要素の前記少なくとも1つの角と前記所定方向に並ぶ角が丸みを帯びている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記外装フィルムにおける前記電池要素の前記所定方向の周りの少なくとも1つの角に折り目が設けられている、請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池要素の前記所定方向の他方の端部を覆う他の蓋材をさらに備える、請求項1又は2に記載の電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば、特許文献1~3に記載されている電池セルは、電池要素、2つの蓋材及び外装フィルムを備えている。2つの蓋材は、電池要素の長手方向の両端部を覆っている。外装フィルムは、電池要素の長手方向の周りに巻き付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/157731号
【特許文献2】特開2011-108623号公報
【特許文献3】特開2011-108626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1~3に記載されている電池セルでは、外装フィルムが電池要素に十分に強く巻き付けられていないことがある。この場合、電池セルの体積が十分に小さくならないことがある。このため、電池セルの体積エネルギー密度が十分に高くなっていないことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、電池セルの体積エネルギー密度を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
前記電池要素の所定方向の一方の端部を覆う蓋材と、
少なくとも一部分が前記電池要素の前記所定方向の周りに巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記外装フィルムが、前記電池要素の前記所定方向の周りの少なくとも1つの角において前記電池要素に沿って丸みを帯びている、電池セル。
[2]
前記蓋材の、前記電池要素の前記少なくとも1つの角と前記所定方向に並ぶ角が丸みを帯びている、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記外装フィルムにおける前記電池要素の前記所定方向の周りの少なくとも1つの角に折り目が設けられている、[1]又は[2]に記載の電池セル。
[4]
前記電池要素の前記所定方向の他方の端部を覆う他の蓋材をさらに備える、[1]~[3]のいずれか一に記載の電池セル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、電池セルの体積エネルギー密度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電池セルの前方斜視図である。
図2】実施形態に係る電池セルの一部分の前方拡大斜視図である。
図3】実施形態に係る電池セルの右側面図である。
図4図3のA-A断面模式図である。
図5】実施形態に係る電池セルの製造方法の第1例を説明するための図である。
図6】実施形態に係る電池セルの製造方法の第2例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池セル10の前方斜視図である。図2は、実施形態に係る電池セル10の一部分の前方拡大斜視図である。図3は、実施形態に係る電池セル10の右側面図である。図4は、図3のA-A断面模式図である。図3では、説明のため、外装フィルム300を透過させた状態で図示している。図4では、後述する引出部分304の図示が省略されている。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。X方向は、電池セル10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10の上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル10のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。
【0012】
なお、X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0013】
電池セル10は、電池要素100、正極タブ110、負極タブ120、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム300を備えている。外装フィルム300は、巻付部分302及び引出部分304を有している。
【0014】
電池要素100は、略直方体形状となっている。電池要素100の長手方向は、X方向に略平行となっている。電池要素100のX方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、300mm以上500mm以下、好ましくは450mm以下である。電池要素100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。電池要素100のZ方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、90mm以上130mm以下、好ましくは120mm以下である。電池要素100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。電池要素100のY方向の厚さは、以下に限定されないが、例えば、20mm以上50mm以下、好ましくは45mm以下である。ただし、電池要素100の形状は、この例に限定されない。
【0015】
図4に示すように、電池要素100は、少なくとも1つの正極102、少なくとも1つの負極104及び少なくとも1つのセパレータ106を有している。図4に示す例において、電池要素100は、模式的に、1つの正極102、2つの負極104及び4つのセパレータ106を有している。ただし、正極102の数、負極104の数及びセパレータ106の数は、図4に示す例に限定されない。
【0016】
正極102及び負極104は、Y方向に交互に積層されている。負極104のY方向に垂直な方向の面積は、正極102のY方向に垂直な方向の面積より大きくなっている、図4に示す例において、負極104のZ方向の長さは、正極102のZ方向の長さより長くなっている。
【0017】
電池要素100のY方向の両端に位置するセパレータ106を除いて、セパレータ106は、Y方向に隣り合う正極102及び負極104の間に位置している。図4に示す例では、最も左側に位置する負極104の左側にセパレータ106が位置している。また、最も右側に位置する負極104の右側にセパレータ106が位置している。セパレータ106のY方向に垂直な方向の面積は、負極104のY方向に垂直な方向の面積より大きくなっている。図4に示す例において、セパレータ106のZ方向の長さは、負極104のZ方向の長さより長くなっている。
【0018】
図3に示すように、正極タブ110は、電池要素100の前方に配置されている。正極タブ110の後端部は、正極集電体102aに電気的に接続されている。正極集電体102aは、正極102から前方に向けて引き出されている。これによって、正極タブ110は、複数の正極102に電気的に接続されている。
【0019】
図3に示すように、負極タブ120は、電池要素100の後方に配置されている。負極タブ120の前端部は、負極集電体104aに電気的に接続されている。負極集電体104aは、負極104から後方に向けて引き出されている。これによって、負極タブ120は、複数の負極104に電気的に接続されている。
【0020】
前方蓋材210は、電池要素100の前端部を覆っている。前方蓋材210は、例えば、樹脂、金属等からなっている。前方蓋材210の前面からは、正極タブ110の前端部が突出している。前方から見て、前方蓋材210は、X方向の周りの4角が丸みを帯びた略長方形形状となっている。前方から見て、前方蓋材210の長手方向はZ方向に略平行となっており、前方蓋材210の短手方向はY方向に略平行となっている。前方蓋材210のX方向の周りの4角は、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並んでいる。
【0021】
後方蓋材220は、電池要素100の後端部を覆っている。後方蓋材220は、例えば、樹脂、金属等からなっている。後方蓋材220の後面からは、負極タブ120の後端部が突出している。後方から見て、後方蓋材220は、X方向の周りの4角が丸みを帯びた略長方形形状となっている。後方から見て、後方蓋材220の長手方向はZ方向に略平行となっており、後方蓋材220の短手方向はY方向に略平行となっている。後方蓋材220のX方向の周りの4角は、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並んでいる。
【0022】
図1及び図2に示すように、巻付部分302は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。巻付部分302の前方の開口の内部には、前方蓋材210が配置されている。巻付部分302の後方の開口の内部には、後方蓋材220が配置されている。巻付部分302は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付けられている。これによって、図4に示すように、前方蓋材210、後方蓋材220及び巻付部分302は、電池要素100を収容する収容空間500を形成している。収容空間500には、電池要素100とともに、不図示の電解液が収容されている。なお、巻付部分302の電池要素100の巻き付きの態様は、上述した例に限定されない。
【0023】
前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、収容空間500の前方に前方封止部510が形成されている。
【0024】
後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、収容空間500の後方に後方封止部520が形成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、前方から見て、引出部分304は、巻付部分302の電池要素100の左上側の角から引き出されている。具体的には、図4に示すように、引出部分304は、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを含んでいる。第1引出部分304aは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の一方から引き出されている。第2引出部分304bは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の他方から引き出されている。第1引出部分304a及び第2引出部分304bは、例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、前方から見て、収容空間500の左上側に側方封止部530が形成されている。引出部分304は、電池要素100の上面に沿って折り曲げられている。ただし、引出部分304は、折り曲げられていなくてもよい。また、引出部分304の折り曲げの形状は、実施形態1に係る形状に限定されない。
【0026】
図4に示すように、巻付部分302は、電池要素100のX方向の周りの少なくとも1つの角において電池要素100に沿って丸みを帯びている。具体的には、電池要素100のY方向の両端に位置するセパレータ106のZ方向の両端部は、電池要素100のY方向の中央に向けて湾曲している。巻付部分302は、電池要素100のX方向の周りの4角において、これらのセパレータ106のZ方向の両端部の湾曲に沿って巻き付けられている。例えば、電池要素100のY方向の両端に位置するセパレータ106のZ方向の両端部が電池要素100のY方向の中央に向けて湾曲せずにZ方向に略平行となっている場合を検討する。或いは、巻付部分302の電池要素100のX方向の周りの4角がこれらのセパレータ106のZ方向の両端部の湾曲に沿って巻き付けられずに略直角となっている場合を検討する。実施形態1では、これらの場合と比較して、電池セル10の体積を小さくすることができる。したがって、実施形態1では、上述した場合と比較して、電池セル10の体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0027】
図1及び図2に示すように、実施形態1では、前方蓋材210の、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並ぶ4角が丸みを帯びている。このため、前方蓋材210のこれらの4角が丸みを帯びていない場合と比較して、電池要素100のX方向の周りの4角において巻付部分302が丸みを帯びやすくすることができる。同様にして、後方蓋材220の、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並ぶ4角が丸みを帯びている。このため、後方蓋材220のこれらの4角が丸みを帯びていない場合と比較して、電池要素100のX方向の周りの4角において巻付部分302が丸みを帯びやすくすることができる。
【0028】
なお、前方蓋材210の上述した4角は、いずれも、丸みを帯びていなくてもよい。或いは、前方蓋材210の上述した4角のうちの一部の角のみが丸みを帯びていてもよい。同様にして、後方蓋材220の上述した4角は、いずれも、丸みを帯びていなくてもよい。或いは、後方蓋材220の上述した4角のうちの一部の角のみが丸みを帯びていてもよい。
【0029】
前方から見て電池要素100の左上側の角、すなわち、電池要素100のX方向の周りの引出部分304が引き出された角における巻付部分302の丸みの曲率半径は、電池要素100のX方向の周りの残り3つの角における巻付部分302の丸みの曲率半径より小さくなることがある。これは、電池要素100のX方向の周りの引出部分304が引き出された角が、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの接合部の起点となっていることによる。すなわち、巻付部分302は、電池要素100のX方向の周りの引出部分304が引き出された角では、電池要素100のX方向の周りの残り3つの角と比較して、電池要素100に沿って丸まりにくくなっている。電池要素100のX方向の周りの引出部分304が引き出された角における巻付部分302の丸みの曲率半径は、例えば、前方蓋材210及び後方蓋材220の少なくとも一方の角の形状によって調整することができる。
【0030】
図5は、実施形態に係る電池セル10の製造方法の第1例を説明するための図である。この第1例において、電池セル10は、以下のようにして製造されている。
【0031】
まず、電池要素100を製造する。電池要素100は、少なくとも1つの正極102、少なくとも1つの負極104及び少なくとも1つのセパレータ106を有している。
【0032】
次いで、正極タブ110と、前方蓋材210と、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、後方蓋材220と、を互いに接合させる。次いで、正極タブ110と、正極集電体102aと、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、負極集電体104aと、を互いに接合させる。ただし、正極タブ110と正極集電体102aとを互いに接合させた後、正極タブ110と前方蓋材210とを互いに接合させてもよい。同様にして、負極タブ120と負極集電体104aとを互いに接合させた後、負極タブ120と後方蓋材220とを互いに接合させてもよい。
【0033】
次いで、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周囲に外装フィルム300を1周巻き付ける。これによって、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周囲に巻付部分302が形成される。また、前方から見て、外装フィルム300の余長を、引出部分304として、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220の左上側の角から引き出す。
【0034】
次いで、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。これによって、前方封止部510が形成される。次いで、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。これによって、後方封止部520が形成される。図5に示す例では、引出部分304の前端部にも前方封止部510が形成されている。また、引出部分304の後端部にも後方封止部520が形成されている。これによって、第1引出部分304a及び第2引出部分304bによって注液開口304cが形成されている。注液開口304cは、上方に向けて開口されている。収容空間500は、注液開口304cを介して外部空間に通じている。次いで、注液開口304cを介して電解液を収容空間500の内部に注入する。
【0035】
次いで、収容空間500を真空封止する。具体的には、注液開口304cを介して収容空間500を真空引きした後、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを熱融着によって互いに接合して側方封止部530を形成する。
【0036】
収容空間500が真空引きされることで、電池要素100が巻付部分302によって圧縮される。したがって、収容空間500を真空引きすることで、巻付部分302を電池要素100に強く巻き付けることができる。このため、図4に示すように、電池要素100のY方向の両端に位置するセパレータ106のZ方向の両端部は、電池要素100のY方向の中央に向けて湾曲する。したがって、巻付部分302は、電池要素100のX方向の周りの4角において、これらのセパレータ106のZ方向の両端部の湾曲に沿って丸みを帯びる。このため、電池セル10の体積を小さくすることができる。したがって、電池セル10の体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0037】
次いで、引出部分304を電池要素100の上面に沿って折り曲げる。
【0038】
このようにして、電池セル10が製造される。
【0039】
電池セル10の製造方法は、上述した例に限定されない。例えば、電池要素100のX方向の周囲に外装フィルム300を1周巻き付ける前に、外装フィルム300には電池要素100のX方向の周囲の4つの角の少なくとも一つに沿った折り目が予め形成されていてもよい。例えば、外装フィルム300の巻き付けの起点又はその近傍における角に折り目が予め設けられていてもよい。この折り目によって、外装フィルム300を電池要素100のX方向の周囲に巻き付けやすくすることができる。
【0040】
図6は、実施形態に係る電池セル10の製造方法の第2例を説明するための図である。この第2例は、以下の点を除いて、上述した第1例と同様である。
【0041】
まず、第1例と同様にして、電池要素100を製造する。次いで、第1例と同様にして、正極タブ110と、前方蓋材210と、を互いに接合させる。また、負極タブ120と、後方蓋材220と、を互いに接合させる。次いで、第1例と同様にして、正極タブ110と、正極集電体102aと、を互いに接合させる。また、負極タブ120と、負極集電体104aと、を互いに接合させる。第2例では、図6に示すように、前方蓋材210の前面には、注液孔210aが設けられている。収容空間500は、注液孔210aを介して外部空間に通じている。
【0042】
次いで、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに外装フィルム300を巻き付けて、巻付部分302及び引出部分304を形成する。次いで、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。これによって、前方封止部510が形成される。次いで、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。これによって、後方封止部520が形成される。次いで、第1引出部分304aと、第2引出部分304bと、を熱融着によって互いに接合する。これによって、側方封止部530が形成される。
【0043】
次いで、注液孔210aを介して電解液を収容空間500の内部に注入する。次いで、収容空間500を真空封止する。具体的には、注液孔210aを介して収容空間500を真空引きした後、注液孔210aを所定の蓋部材によって塞ぐ。第1例と同様にして、収容空間500の真空引きによって、巻付部分302は、電池要素100のX方向の周りの少なくとも1つの角において電池要素100に沿って丸みを帯びる。このため、電池セル10の体積を小さくすることができる。したがって、電池セル10の体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0044】
次いで、第1例と同様にして、引出部分304を電池要素100の上面に沿って折り曲げる。
【0045】
このようにして、電池セル10が製造される。
【0046】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0047】
例えば、実施形態では、正極タブ110及び負極タブ120が電池要素100のX方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極タブ110及び負極タブ120の双方が電池要素100のX方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素100の前端部及び後端部は、例えば、2つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素100の正極タブ110及び負極タブ120が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素100の蓋材の反対側において、外装フィルム300が封止されて電池要素100に沿って折りたたまれていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 電池セル
100 電池要素
102 正極
102a 正極集電体
104 負極
104a 負極集電体
106 セパレータ
110 正極タブ
120 負極タブ
210 前方蓋材
210a 注液孔
220 後方蓋材
300 外装フィルム
302 巻付部分
304 引出部分
304a 第1引出部分
304b 第2引出部分
304c 注液開口
500 収容空間
510 前方封止部
520 後方封止部
530 側方封止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6