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特開2024-43695ゴルフクラブのヘッドの構造及びゴルフクラブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043695
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのヘッドの構造及びゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240326BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20240326BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240326BHJP
【FI】
A63B69/36 541E
A63B53/04 H
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148834
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】517056310
【氏名又は名称】株式会社Edge Creators
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 匡志
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA04
2C002CH03
2C002LL04
2C002ZZ04
(57)【要約】
【課題】予定した打撃位置でボールを打撃したかどうかがその場で音の違いとしてわかるようなゴルフクラブのヘッドの構造及びそのような構造のヘッドを備えたゴルフクラブを提供すること。
【解決手段】ゴルフクラブのヘッド1の構造であって、フェースの背面には、フェースから後方に向かって突出された複数の筒体8からなる第1及び第2の壁構造体9A、9Bが構築されている。第1の壁構造体9Aはフェースのスイートスポットを含む領域となり、第1の壁構造体9Bはスイートスポットを含まない領域となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのヘッドの構造であって、
フェースの背面には、前記フェースから後方に向かって突出された複数の壁体からなる壁構造体が構築され、
前記壁構造体は前記フェースのスイートスポットを含む領域とスイートスポットを含まない領域で異なる形状となるように構成されていることを特徴とするゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項2】
前記壁体は筒形状に構成され、前記壁構造体は複数の前記筒形状が隣接して配置されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項3】
前記壁体は平板であり、前記壁構造体は複数の平板が間隔を空けて隣接して配置されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項4】
前記壁体は棒状に構成され、前記壁構造体は複数の棒状の前記壁体が間隔を空けて隣接して配置されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項5】
前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は前記フェースの背面に対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項6】
前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は平行となるように配設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項7】
前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は前記フェースの上方から下方に向かって徐々に長尺となるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴルフクラブのヘッドの構造。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかのゴルフクラブのヘッドの構造をヘッドに有するゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブのヘッドの構造及びそのような構造のヘッドを備えたゴルフクラブ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフの競技においては、ゴルフクラブをスイングしてボールを打撃(一般に打撃を「インパクト」という)する際に、スイングによって発生するボールを打撃する力がボールに正確に伝わりその力が逃げないようにゴルフクラブのスイートスポット(芯)でボールを捉えることが肝要であるといわれている。また、ボールをコントロールするためにもスイートスポット(芯)でボールを捉えることがよい。例えスイートスポットで打撃しないとしても、打撃終了後にゴルフクラブのヘッドの打撃位置がどこであったかということは競技者において重要な関心事項である。
従来から、ボールを打撃した際のヘッドの打撃位置を打撃した際の「音」やゴルフクラブのスイング音で判断するためにゴルフクラブのヘッドに工夫をした技術が提供されている。このような技術として、例えば特許文献1を挙げる。特許文献1では練習用のゴルフクラブのヘッドにパイプを埋め込んだり、板を張り付けるようにし、そのような加工をした練習用のゴルフクラブを用いてボールを打撃した際の音をセンサーで取得して検査機器で分析し、ゴルフクラブのヘッドの好適な打撃位置を決定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-63863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにボールを打撃した際の音をセンサーで取得するとしているのは、打撃音の音色の違いがわかりにくく人の耳で聴き分けることが困難であるためである。しかし、特許文献1のように検査機器で分析して例えばゴルフクラブのヘッドのスイートスポットの位置がわかったとしても、実際の競技の場で音を聴いてスイートスポット位置で打撃したかどうかを競技者がわかるというものではない。つまり、従来では打撃音だけで予定した打撃位置でボールを打撃したかどうかが競技者にはわかりにくかった。
そのため予定した打撃位置でボールを打撃したかどうかがその場で音の違いとしてわかるようなゴルフクラブのヘッドの構造及びそのような構造のヘッドを備えたゴルフクラブが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、手段1として、ゴルフクラブのヘッドの構造であって、フェースの背面には、前記フェースから後方に向かって突出された複数の壁体からなる壁構造体が構築され、前記壁構造体は前記フェースのスイートスポットを含む領域とスイートスポットを含まない領域で異なる形状となるように構成されているようにした。
これによって、ゴルフクラブでボールを打撃する際に、スイートスポットを含む領域とスイートスポットを含まない領域で壁構造体の形状が異なるため、ヘッドのフェースにおけるスイートスポットを含む領域の前面側と、そうではない領域で打球(つまり、フェースのボールへの衝突)した際に打撃音の音色が異なることとなり、競技者はスイートスポット位置付近で打撃したのかそうではない位置で打撃したのかが音でわかることとなる。
「フェースから後方に向かって突出された複数の壁体」はボールを打撃した際の衝撃で張り出した部分が固有の振動をし、壁体に包囲された内部あるいは壁体と壁体の間の空間の空気が振動して大きな音を発生させることとなる。壁体はそれぞれ独立していることがよい。ボールがヘッドのフェースに衝突した位置に近い壁体ほど大きく振動する。音は壁体の形状によって異なり、同じ壁体形状であれば同じ音となる。そのため、複数の壁体からなる壁構造体を位置によって異なる形状とすることでフェース上のボールの衝突位置の違いによって人の耳で判別できる様々な音が発せられる。
「壁構造体」は、複数の壁体の集合体であり、複数の壁体が集合することである領域において構築された立体構造である。
「壁構造体の形状が異なる」は、例えば比較すべき2つの壁構造体においてそれら壁構造体を構成する壁体の数や形状や材質が異なる場合である。数や形状や材質が異なるとは例えば数だけ違っていてもよく、数と形状の両方が違っていてもよい。ある1つの壁構造体について構成要素である壁体がすべて同じ形状であってもよい。異なる壁構造体は少なくとも2つ以上あればよい。
【0006】
また、手段2として、前記壁体は筒形状に構成され、前記壁構造体は複数の前記筒形状が隣接して配置されて構成されているようにした。
つまり、壁が筒状に空気を取り巻く形状である。このような筒形状体形状であると、管楽器の管のように気柱構造が構成されて固有振動し、大きな音を出しやすくなる。また、筒形状体が繰り返されることとなって壁構造体も強度が向上する。
また、手段3として、前記壁体は板体であり、前記壁構造体は複数の板体が間隔を空けて隣接して配置されて構成されているようにした。
このような板体の重複構造によって板体が管楽器の吹き口のダブルリードのように作用して板体に挟まれた空間の空気が振動して大きな音が出やすくなる。複数の板体は水平でも垂直でもどのような方向であっても間に空気層を有するような構造であればよい。また、複数の筒形状体と複数の板体とを組み合わせるようにしてもよい。
また、手段4として、前記壁体は棒状に構成され、前記壁構造体は複数の棒状の前記壁体が間隔を空けて隣接して配置されて構成されているようにした。
このような棒状の壁体の重複構造によって壁体が管楽器の吹き口のダブルリードのように作用して板体に挟まれた空間の空気が振動して大きな音が出やすくなる。
【0007】
また、手段5として、前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は前記フェースの背面に対して着脱可能とされているようにした。
これによって、ユーザーの任意の長さ・形状の壁体で壁構造体を構築することが可能となり、発生する音の調子をユーザーの任意の音色となるように変更することができる。
また、手段6として、前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は平行となるように配設されているようにした。
これによってフェースの裏面に壁体を多数間に空間を有するように配置させることができ、発生する音を大きくすることが可能となる。
また、手段7として、前記壁構造体を構成する複数の前記壁体は前記フェースの上方から下方に向かって徐々に長尺となるように構成されているようにした。
これによって、壁構造体から音色の異なる音が組み合わせられた複雑な合成音を発生させることができる。また、下方が重くなり、地面と接する部分も多くなるためヘッドが安定化する。
また、手段8として、上記手段のゴルフクラブのヘッドの構造をヘッドに有するゴルフクラブに適用するようにした。
上述した手段1~手段8の各発明は、任意に組み合わせることができる。手段1~手段8の各発明の任意の構成要素を抽出し、他の構成要素と組み合わせてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゴルフクラブでボールを打撃する際に、スイートスポットを含む領域とスイートスポットを含まない領域で壁構造体の形状が異なるため、ヘッドのフェースにおけるスイートスポットを含む領域の前面側と、そうではない領域で打球した際に打撃音の音色が異なることとなり、競技者はスイートスポット位置付近で打撃したのかそうではない位置で打撃したのかが音でわかることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1のヘッドの後方側からの斜視図。
図2】同じ実施形態1のヘッドの前方側からの斜視図。
図3】同じ実施形態1のヘッドの側面図。
図4】同じ実施形態1のヘッドの平面図。
図5】(a)は図4のA-A線での断面図、(b)は図4のB-B線での断面図。
図6】同じ実施形態1のヘッドの正面図。
図7】同じ実施形態1のヘッドの底面図。
図8】本発明の実施形態2のヘッドの後方側からの斜視図。
図9】同じ実施形態2のヘッドの前方側からの斜視図。
図10】同じ実施形態2のヘッドの側面図。
図11】同じ実施形態2のヘッドの平面図。
図12】(a)は図11のC-C線での断面図、(b)は図4のD-D線での断面図。
図13】同じ実施形態2のヘッドの正面図。
図14】同じ実施形態2のヘッドの底面図。
図15】本発明の実施形態3の側面図。
図16】(a)及び(b)は同じ実施形態3のヘッドの第2のプレートへの筒体の取り付け方法を説明する説明図。
図17】本発明の実施形態3において第2のプレートに筒体を固定するために使用される雄ネジの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態であるゴルフクラブのヘッドの構造について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1図7に示すように、ゴルフクラブとして実施の形態1のパターのヘッド1は、合金(例えば、真鍮、ジュラルミン、チタン合金等)を切削加工によって作成した金属加工品である。
ヘッド1はL字状に屈曲して加工された本体2を備えている。本体2は使用の際に略水平に配置される第1のプレート3と、第1のプレート3と直交する第2のプレート4とより構成されている。第1のプレート3は平面視において左右方向中央にU字状の切り欠き部5を備え、図示しないシャフトを取り付けるためのネック7が端寄りかつ第2のプレート4寄りにオフセットされた位置に形成されている。スイートスポットは第1のプレート3のもっとも幅が狭い位置に対応する第2のプレート4の表面上に存在する。第2のプレート4は正面視において略長方形形状に構成され長辺側で第1のプレート3と連結されている。本実施の形態1では第1のプレート3の左右幅は100mmとされ、切り欠き部5中央位置での後方への突出量が20mm、切り欠き部5以外の部分の後方への突出量が44mmとされている。第2のプレート4の左右幅は100mmとされ、上下幅は25mmとされている。
第2のプレート4の表面はボールを打つためのフェースとされ、裏面にはリング状の壁体である多数(複数)の筒体8がその軸方向が第2のプレート4の面方向に対して直交するように後方に向かって突出形成されている。各筒体8は第2のプレート4の縦横方向に沿ってわずかな間隔を空けて隣接して配置されている。本実施の形態1ではすべての筒体8のサイズは一例として外径5.5mm、内径3.0mmとされている。
【0011】
筒体8は後端が第2のプレート4の裏面と一体化し、先端側が開放された開管とされている。これによってボールを打撃することで筒体8内の気柱には固有振動の定常波が生じることとなる。本実施の形態1では長さと数の違う複数の筒体8による3つのグループ(群)の集合体によって3つの壁構造体が構築されている。第1の壁構造体9Aは第2のプレート4の左右方向中央領域に配置され、第2の壁構造体9Bは第2のプレート4の第1の壁構造体9Aを挟んだ左右領域に配置されている。左右の第2の壁構造体9Bは鏡像対称となっている。
図6に示すように、第1の壁構造体9Aは4行5列の計20本の筒体8によって構築されている。第1の壁構造体9Aは平面視において切り欠き部5の湾曲形状に一致するように加工され、筒体8は切り欠き部5から外方に露出しない。すなわち、第1の壁構造体9Aの各行において筒体8の先端は切り欠き部5の湾曲形状に沿って加工され、縦方向においては各列の筒体8の先端形状は同じとなる。
図1図6等に示すように、第2の壁構造体9Bは4行6列の計24本の筒体8によって構築されている。第2の壁構造体9Bを構成する行列において、もっとも外側に配置された列B-1とその内側に隣接する列B-2は、第2の壁構造体9Bのフォルムが先細りとなるように図7の仮想線に沿って外側面が斜めに削がれるように加工されており、開放端がカット状に外側面を向くように加工されている。第2の壁構造体9Bを構築している筒体8は図3の仮想線に沿って上面が斜めに削がれるように加工されており、開放端がカット状に上面を向くように加工されている。そのため、第2の壁構造体9Bは列B-1を除いて列方向(縦方向)において下方寄りほど長尺に構成されている。もっとも長尺の筒体8は178.0mmmmとされている。
【0012】
このような構成の実施の形態1のヘッド1では次のような効果が奏される。
(1)第1の壁構造体9Aと第2の壁構造体9Bでは、第2のプレート4の表面(フェース)にボールが衝突した際に衝突位置に近い筒体8ほど大きく振動するため打撃によって発生する音が場所によって大きく異なることとなる。また、第1の壁構造体9Aと第2の壁構造体9Bによる空気の振動で大きな音が発せられるため、競技者はその音を聞き取ることができ、音の違いでフェースのどのあたりにボールが衝突したかを認識することができる。
(2)第1の壁構造体9Aの構築された第2のプレート4の表面の中央辺りにスイートスポットが存在するため、この辺りのボールが衝突した際の音を競技者が記憶することで打球後にスイートスポット位置で打球したかどうかが直ちにわかることとなる。
(3)第1の壁構造体9Aも第2の壁構造体9Bも長さの一様ではない筒体8によって構築されているため、音が複雑で打球することによって様々な音色の違う合成音を発生させることができ、音色の違い(打撃音の周波数の違い)によって打球位置のわずかな違いを区別することができる。
(4)第1の壁構造体9Aと第2の壁構造体9B同士で筒体8の長さが大きく異なるためボールが衝突した際の音色が両者で大きく異なると同時に、例えば第1の壁構造体9Aだけでも位置によって筒体8の長さが違うため、競技者はボールが衝突したわずかな位置の違いで様々な音色の異なる音を認識することができる。
【0013】
(実施の形態2)
図8図14に示すように、実施の形態2のパターのヘッド11も実施の形態1と同様に、合金(例えば、真鍮、ジュラルミン、チタン合金等)を切削加工によって作成した金属加工品である。
ヘッド11は側面視においてコ字状に屈曲して加工された本体12を備えている。本体12は使用の際に略水平に配置される最上部に配置される第1のプレート13と、第1のプレート13と直交する第2のプレート14と、最下部に配置される第3のプレート15より構成されている。
第1のプレート13は平面視において左右方向中央にU字状の切り欠き部16を備え、図示しないシャフトを取り付けるためのネック17が端寄りかつ第2のプレート14寄りにオフセットされた位置に形成されている。スイートスポットは第1のプレート13のもっとも幅が狭い位置に対応する第2のプレート14の表面上に存在する。第3のプレート15は第2のプレート14を基準とした後方への張り出し量は第1のプレート13の2倍弱程度とされている。第3のプレート15は底面視において左右方向中央に第1のプレート13の切り欠き部16と同形状の切り欠き部17が形成されている。本実施の形態1では第1のプレート13の左右幅は100mmとされ、切り欠き部16中央位置での後方への突出量が20mm、切り欠き部5以外の部分の後方への突出量が44mmとされている。第2のプレート14の左右幅は100mmとされ、上下幅は25mmとされている。第3のプレート3の左右幅は100mmとされ、切り欠き部17中央位置での後方への突出量が77mmとされている。
第2のプレート14の表面はボールを打つためのフェースとされ、裏面には壁体としての棒状体18及び平板19が第2のプレート14の面方向に対して直交するように後方に向かって突出形成されている。棒状体18のサイズは一例として幅3.0mm、高さ2.0mmとされている。平板19は本実施の形態では厚み2.0mm、幅がもっとも基部寄りで37.0mmとされ、先端に向かって先細りに形成されている。
【0014】
棒状体18及び平板19は後端が第2のプレート14の裏面と一体化し、その周囲に空間を有している。このような構成によってボールを打撃することで棒状体18及び平板19が振動し、周囲の空気の固有振動を惹起してボールの打撃の衝撃が音となって発せられることとなる。
本実施の形態2では長さと数の違う複数の棒状体18及び平板19による3つのグループ(群)の集合体によって3つの壁構造体が構築されている。第1の壁構造体20Aは第2のプレート14の左右方向中央領域に配置され、第2の壁構造体20Bは第2のプレート14の第1の壁構造体20Aを挟んだ左右領域に配置されている。左右の第2の壁構造体20Bは鏡像対称となっている。
図13に示すように、第1の壁構造体20Aは5行4列の計20本の棒状体18によって構築されている。第1の壁構造体20Aは平面視において上下の切り欠き部16、17の湾曲形状に一致するように加工され、棒状体18は切り欠き部16、17から外方に露出することはない。すなわち、第1の壁構造体20Aの各行において棒状体18の先端は切り欠き部16、17の湾曲形状に沿って加工され、縦方向においては各列の棒状体18の長さは同じとなる。
図8図13等に示すように、第2の壁構造体20Bは5枚の平板19と5枚の平板19の上下に配置された第1のプレート13と第3のプレート15によって構築されている。上下に隣接する平板19、第1のプレート13及び第3のプレート15間は空気層とされている。第2の壁構造体20Bは図10の仮想線に沿って上面が斜めに削がれるように加工され、下方寄りほど長尺となるようにに構成されている。もっとも長い平板19は178.0mmmmとされている。
【0015】
このような構成の実施の形態2のヘッド11では次のような効果が奏される。
(1)第1の壁構造体20Aと第2の壁構造体20Bでは、第2のプレート14の表面(フェース)にボールが衝突した際に衝突位置に近い棒状体18や平板19ほど大きく振動するため打撃によって発生する音が場所によって大きく異なることとなる。また、第1の壁構造体20Aと第2の壁構造体20Bによる空気の振動で大きな音が発せられるため、競技者はその音を聞き取ることができ、音の違いでフェースのどのあたりにボールが衝突したかを認識することができる。
(2)第1の壁構造体20Aの構築された第2のプレート14の表面の中央辺りにスイートスポットが存在するため、この辺りのボールが衝突した際の音を競技者が記憶することで打球後にスイートスポット位置で打球したかどうかが直ちにわかることとなる。
(3)第1の壁構造体20Aも第2の壁構造体20Bも長さの一様ではない棒状体18や平板19によって構築されているため、音が複雑で打球することによって様々な音色の違う合成音を発生させることができ、音色の違い(打撃音の周波数の違い)によって打球位置のわずかな違いを区別することができる。
(4)第1の壁構造体20Aと第2の壁構造体20B同士で筒体8の長さが大きく異なるためボールが衝突した際の音色が両者で大きく異なると同時に、例えば第1の壁構造体20Aだけでも位置によって棒状体18の長さが違うため、競技者はボールが衝突したわずかな位置の違いで様々な異なる音を認識することができる。
【0016】
(実施の形態3)
実施の形態3は実施の形態1のバリエーションである。実施の形態3は実施の形態1において、削り出しして形成させた筒体8を別部材として本体に取り付けたものである。実施の形態1と同じ構成については実施の形態1と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。
図15に示すように、実施の形態3のヘッド21において実施の形態1と同様に第1の壁構造体9Aと第2の壁構造体9Bを構成する複数の筒体22は、第2のプレート4に対して別体の部材として連結固定されている。各筒体22は基部に平面視方形形状のワッシャ23が溶接によって固着されている。各筒体22は第2のプレート4の所定の位置に整然と形成された雌ネジ部24に対して雄ネジ25によって固定されている。図17に示すように、筒体22を固定するための雄ネジ25はヘッド25aと雄ネジ部25bとより構成されている。ヘッド25aには六角穴26が形成されている。
筒体22は次のように第2のプレート4に固定される
雄ネジ25を筒体22先端側から雄ネジ25が先端側となるように内部に導入するとともに、図16(a)及び(b)に示すように、筒体22のワッシャ23を第2のプレート4に対面させ、ワッシャ23の透孔23aと第2のプレート4に形成された雌ネジ部26と照合させる。そして、図示しないレンチ等の工具を用いて雄ネジ25をワッシャ23を介して第2のプレート4の雌ネジ部24に締結させる。工具は筒体22先端側から挿入して操作するようにする。
このような実施の形態3においても実施の形態1と同様の効果が奏される。
【0017】
上記実施の形態は本発明の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・上記実施の形態1~3における筒体8(22)や棒状体18や平板19のサイズや数は適宜変更可能である。
・上記実施の形態ではヘッド1、11、21としてパターを例にとって説明したが、他のゴルフクラブ、例えばアイアンに適用してもよい。また、ウッドと呼ばれるドライバーやスプーン等のゴルフクラブであってもこのような壁構造体にすることは可能である。
・上記実施の形態では中央の第1の壁構造体9A(20A)とその左右の第2の壁構造体9B(20B)の3つの壁構造体を有するケースを説明したが、3つ以外の壁構造体の数、例えば2つの壁構造体でもよく、4つ以上であってもよい。
・上記実施の形態2では第2の壁構造体20Bを構築する平板19は水平に配置されていたが、水平でなく、垂直であったり、斜めであったりしてもよい。
【0018】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成には限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1、11…ヘッド、8…壁体としての筒体、18…壁体としての棒状体、19…壁体としての平板、9A、20A…第1の壁構造体、9B、20B…第2の壁構造体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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