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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043699
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】媒体支持装置及び読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 11/00 20060101AFI20240326BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240326BHJP
   B65H 1/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H11/00 D
H04N1/00 567Q
B65H1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148840
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】藤 慶太
【テーマコード(参考)】
3F063
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
3F063BA02
3F063BA04
3F063BA08
3F063BC02
3F063CA04
3F343FA03
3F343FA15
3F343FA16
3F343FB03
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA06
3F343HA12
3F343HA18
3F343KB03
3F343KB14
3F343LA04
3F343LA16
3F343LC12
3F343LD12
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB29
5C062AB30
5C062AD03
5C062AD06
(57)【要約】
【課題】第2延長部19の収納状態において、第1延長部17と第2延長部19が占める媒体3の搬送方向Fにおいて占める領域の小型化を実現すること。
【解決手段】第2右側延長部19Rは、収納状態において、奥行方向から見て、第1右側延長部17Rとすべて重なり、第2左側延長部19Lは、収納状態において、奥行方向から見て、第1左側延長部17Lとすべて重なる。更に、右側歯車23Rは、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置するように設けられ、左側歯車23Lは、第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置するように設けられている.
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、
前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置であって、
前記延長支持部は、
前記媒体支持部に対して収納される収納状態と、前記媒体支持部に対して回転することで展開され、前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部と、
前記第1延長部に対して収納される収納状態と、前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と、を有し、
前記第1延長部は、
前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、前記媒体支持部の中心位置より右側に位置する第1右側延長部と、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部と、
前記第1右側延長部の基端に位置し前記第1右側延長部の右側回転支点を成す右側歯車と、前記第1左側延長部の基端に位置し前記第1左側延長部の左側回転支点を成し、前記右側歯車と噛み合う左側歯車と、を有し、
前記第1右側延長部は、前記第1方向と交差する第2方向において、右側第1端部と、前記右側第1端部に対向する右側第2端部と、を含み、
前記第1左側延長部は、前記第2方向において左側第1端部と、前記左側第1端部に対向する左側第2端部と、を含み、
前記右側歯車は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置するように設けられ、
前記左側歯車は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置するように設けられ、
前記第2延長部は、前記第1右側延長部に収納される第2右側延長部と、前記第1左側延長部に収納される第2左側延長部と、を有し、
前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、
前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第1延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記媒体支持部とすべて重なることを特徴とする媒体支持装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第1右側延長部は、右側突起部が設けられた弾性変形可能な右側弾性変形部を前記基端に有し、
前記第1左側延長部は、左側突起部が設けられた弾性変形可能な左側弾性変形部を前記基端に有し、
前記媒体支持部は、前記右側突起部と接触する右側接触部と、前記左側突起部と接触する左側接触部を有し、
前記右側接触部は、
前記第1右側延長部が前記収納状態のときに前記右側突起部と係合する第1右側被係合部を有し、
前記第1右側延長部が前記展開状態のときに前記右側突起部と係合する第2右側被係合部を有し、
前記左側接触部は、
前記第1左側延長部が前記収納状態のときに前記左側突起部と係合する第1左側被係合部を有し、
前記第1左側延長部が前記展開状態のときに前記左側突起部と係合する第2左側被係合部を有する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体支持装置において、
前記右側弾性変形部は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、
前記左側弾性変形部は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項5】
請求項3に記載の媒体支持装置において、
前記右側接触部は、右側壁部を有し、
前記右側弾性変形部は、前記右側突起部が前記右側壁部を接触移動して前記第1右側被係合部または前記第2右側被係合部と係合する際に、前記第1右側延長部の回転中心に向かって弾性変形し、
前記左側接触部は、左側壁部を有し、
前記左側弾性変形部は、前記左側突起部が前記左側壁部を接触移動して前記第1左側被係合部または前記第2左側被係合部と係合する際に、前記第1左側延長部の回転中心に向かって弾性変形する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第2延長部は、前記第1延長部の回転変位に連動して変位可能である、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体支持装置において、
前記第2右側延長部は、前記第1右側延長部に対して収納される収納状態と、前記第1右側延長部からスライドして伸張し、前記第1右側延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能であり、
前記第2左側延長部は、前記第1左側延長部に対して収納される収納状態と、前記第1左側延長部からスライドして伸張し、前記第1左側延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能である、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体支持装置において、
前記第1右側延長部と前記第2左側延長部とを接続する第1リンク機構と、
前記第1左側延長部と前記第2右側延長部とを接続する第2リンク機構と、を有し、
前記連動は、前記第1リンク機構と第2リンク機構によって行われる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体支持装置において、
前記第1リンク機構および前記第2リンク機構は、前記第1延長部が前記収納状態のとき、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、且つ前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項10】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第1右側延長部の前記第2右側端部を成す側面と前記第1左側延長部の前記第1左側端部を成す側面は、前記展開状態において、基端から一部の範囲が接触し、他の範囲は非接触であり、
前記非接触の部分は、先端に向かって互いに離れる方向に離間していく、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項11】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第2延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する手掛け部を有する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項12】
請求項11に記載の媒体支持装置において、
前記手掛け部の一部は、前記搬送方向および前記奥行方向に交差する幅方向において前記媒体支持部から突出している、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項13】
請求項1に記載の媒体支持装置において、
前記第1延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する規制部を有する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項14】
請求項13に記載の媒体支持装置において、
前記規制部は、前記第1延長部が前記展開状態のとき、載置される媒体の面に向かって突出する、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項15】
請求項13に記載の媒体支持装置において、
前記第2延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する手掛け部を有し、
前記手掛け部は、前記収納状態のときに、前記奥行方向からみて、前記規制部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の媒体支持装置において、
前記媒体支持部は、
回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、
前記開の状態で前記媒体を支持可能となり、
前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になり、
前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項17】
媒体が搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、
前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置であって、
前記延長支持部は、
前記媒体支持部に対して収納される収納状態と、前記媒体支持部に対して回転することで展開され前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部と、
前記第1延長部に対して収納される収納状態と、前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と、を有し、
前記第1延長部は、前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、前記媒体支持部の中心位置より右側に位置する第1右側延長部と、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部と、を有し、
前記第2延長部は、前記第1右側延長部に収納される第2右側延長部と、前記第1左側延長部に収納される第2左側延長部と、を有し、
前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、
前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なり、
前記媒体支持部は、
回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、
前記開の状態で前記媒体を支持可能となり、
前記閉の状態のときに奥行方向に沿う姿勢になり、
前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項18】
媒体の画像を読み取る読取部と、
前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置と、を備え、
前記媒体支持装置は、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の媒体支持装置である、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項19】
媒体の画像を読み取る読取部と、
前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置と、を備え、
前記媒体支持装置は、請求項16に記載の媒体支持装置である、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項20】
媒体の画像を読み取る読取部と、
前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置と、を備え、
前記媒体支持装置は、請求項17に記載の媒体支持装置である、
ことを特徴とする読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体支持装置及び読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、給紙装置本体8の上部に回動可能に取り付けられて下部の回動軸を回動支点として回動する給紙補助アーム15と、給紙補助アーム15からスライドして伸縮可能な延長補助アーム16を備えた給紙装置、即ち媒体支持装置が開示されている(実施の形態4と5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-344354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記媒体支持装置やそれを備える読取装置等においては、小型化を実現することが要求されている。上記従来技術では、補助アーム15,17の小型化を実現する上で、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る媒体支持装置は、媒体が搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置であって、前記延長支持部は、前記媒体支持部に対して収納される収納状態と、前記媒体支持部に対して回転することで展開され、前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部と、前記第1延長部に対して収納される収納状態と、前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と、を有し、前記第1延長部は、前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、前記媒体支持部の中心位置より右側に位置する第1右側延長部と、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部と、前記第1右側延長部の基端に位置し前記第1右側延長部の右側回転支点を成す右側歯車と、前記第1左側延長部の基端に位置し前記第1左側延長部の左側回転支点を成し前記右側歯車と噛み合う左側歯車と、を有し、前記第1右側延長部は、前記第1方向と交差する第2方向において、右側第1端部と、前記右側第1端部に対向する右側第2端部と、を含み、前記第1左側延長部は、前記第2方向において左側第1端部と、前記左側第1端部に対向する左側第2端部と、を含み、前記右側歯車は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置するように設けられ、前記左側歯車は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置するように設けられ、前記第2延長部は、前記第1右側延長部に収納される第2右側延長部と、前記第1左側延長部に収納される第2左側延長部と、を有し、前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置と、を備え、前記媒体支持装置は、後述する第1の態様から第第15の態様のいずれか一つの態様の媒体支持装置、又は第16の態様の媒体支持装置であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る読取装置で延長支持部が展開状態にある斜視図。
図2】実施形態1の延長支持部が収納状態にある左前方から見た斜視図。
図3】実施形態1の使用状態における概略側断面図
図4】実施形態1に係る延長支持部の収納状態を示す要部背面図
図5】実施形態1に係る延長支持部の展開状態を示す要部背面図
図6】実施形態1に係る延長支持部の収納状態(A)と展開途中の状態(B)を示す要部拡大背面図
図7】実施形態1に係る延長支持部の展開途中の状態を示す要部背面図
図8】実施形態1に係る媒体支持部にカバーの付いた展開状態を示す要部背面図
図9】実施形態1に係る読取装置の左前方から見た要部斜視図。
図10】実施形態1に係る読取装置の側方から見た要部側面図。
図11】実施形態2の非使用状態における左前方から見た斜視図。
図12】実施形態2の非使用状態における斜視図(A)と要部拡大斜視図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る媒体支持装置は、媒体が搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置であって、前記延長支持部は、前記媒体支持部に対して収納される収納状態と、前記媒体支持部に対して回転することで展開され、前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部と、前記第1延長部に対して収納される収納状態と、前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と、を有し、前記第1延長部は、前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、前記媒体支持部の中心位置より右側に位置する第1右側延長部と、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部と、前記第1右側延長部の基端に位置し前記第1右側延長部の右側回転支点を成す右側歯車と、前記第1左側延長部の基端に位置し前記第1左側延長部の左側回転支点を成し前記右側歯車と噛み合う左側歯車と、を有し、前記第1右側延長部は、前記第1方向と交差する第2方向において、右側第1端部と、前記右側第1端部に対向する右側第2端部と、を含み、前記第1左側延長部は、前記第2方向において左側第1端部と、前記左側第1端部に対向する左側第2端部と、を含み、前記右側歯車は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置するように設けられ、前記左側歯車は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置するように設けられ、前記第2延長部は、前記第1右側延長部に収納される第2右側延長部と、前記第1左側延長部に収納される第2左側延長部と、を有し、前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なることを特徴とする。
【0009】
ここで、「前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と」における「展開状態」とは、前記第2延長部が前記第1延長部への収納状態を脱して前記第1延長部とともに前記媒体を支持する状態を意味する。
また、「媒体支持部の中心位置より」における「中心位置」とは、前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、厳密な意味での中心位置に限らず、前記第1延長部が前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する上で、実質的に問題なく媒体を支持することが可能な範囲においてずれている範囲も含む意味で使われている。
また、「前記右側歯車と噛み合う左側歯車」における「噛み合う」とは、前記右側歯車と前記左側歯車が直接的に噛み合う場合と、他の歯車を介して間接的に噛み合う場合の両方を含む意味である。
また、「前記右側延長部は、前記第1方向と交差する第2方向において、」における「第2方向」とは、前記第1延長部の長手方向を前記第1方向として、前記第1延長部の厚み方向ではなく幅方向である。
また、「前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記右側第1端部が作る直線と前記右側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。「前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記左側第1端部が作る直線と前記左側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。
また、「すべて重なる」とは、前記第2延長部の前記奥行方向から見ての輪郭が、前記第1延長部の前記奥行方向から見ての輪郭の内側にあることを意味する。
【0010】
本態様によれば、前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なる。
更に、前記右側歯車は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置するように設けられ、前記左側歯車は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置するように設けられている。
これにより、前記第2延長部の前記収納状態において、前記第1延長部と前記第2延長部が占める前記第2方向、即ち前記媒体の搬送方向において占める領域の小型化を実現することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第1延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記媒体支持部とすべて重なることを特徴とする。
ここで、「すべて重なる」とは、前記第1延長部の前記奥行方向から見ての輪郭が、前記媒体支持部の前記奥行方向から見ての輪郭の内側にあることを意味する。
【0012】
本態様によれば、前記第1延長部は、前記第1延長部の前記収納状態において、前記奥行方向からみて、前記媒体支持部にすべて重なる。これにより、前記第1延長部の前記収納状態において、前記媒体支持部及び前記第1延長部と前記第2延長部が占める前記第2方向、即ち前記媒体の搬送方向において占める領域の小型化を実現することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第1右側延長部は、右側突起部が設けられた弾性変形可能な右側弾性変形部を前記基端に有し、前記第1左側延長部は、左側突起部が設けられた弾性変形可能な左側弾性変形部を前記基端に有し、前記媒体支持部は、前記右側突起部と接触する右側接触部と、前記左側突起部と接触する左側接触部を有し、前記右側接触部は、前記第1右側延長部が前記収納状態のときに前記右側突起部と係合する第1右側被係合部を有し、前記第1右側延長部が前記展開状態のときに前記右側突起部と係合する第2右側被係合部を有し、前記左側接触部は、前記第1左側延長部が前記収納状態のときに前記左側突起部と係合する第1左側被係合部を有し、前記第1左側延長部が前記展開状態のときに前記左側突起部と係合する第2左側被係合部を有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記第1右側延長部は前記右側突起部が設けられた前記右側弾性変形部を有し、前記第1左側延長部は左側突起部が設けられた前記左側弾性変形部を有する。更に前記媒体支持部は前記右側接触部と前記左側接触部を有し、前記右側接触部は、前記第1右側延長部が前記収納状態のときに前記右側突起部と係合する第1右側被係合部を有し、前記展開状態のときには前記右側突起部と係合する第2右側被係合部を有し、前記左側接触部は、前記第1左側延長部が前記収納状態のときに前記左側突起部と係合する第1左側被係合部を有し、前記展開状態のときに前記左側突起部と係合する第2左側被係合部を有する。これにより、第1延長部の前記収納状態と前記展開状態を前記各係合によって保持することができる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る媒体支持装置は、第3の態様において、前記右側弾性変形部は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、前記左側弾性変形部は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置することを特徴とする。
ここで、「前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記右側第1端部が作る直線と前記右側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。「前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記左側第1端部が作る直線と前記左側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。
【0016】
本態様によれば、前記右側弾性変形部は、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、前記左側弾性変形部は、前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する。これにより、前記右側弾性変形部及び前記左側弾性変形部の占める領域を含めて、前記小型化を実現することができる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る媒体支持装置は、第3の態様において、前記右側接触部は、右側壁部を有し、前記右側弾性変形部は、前記右側突起部が前記右側壁部を接触移動して前記第1右側被係合部または前記第2右側被係合部と係合する際に、前記第1右側延長部の回転中心に向かって弾性変形し、前記左側接触部は、左側壁部を有し、前記左側弾性変形部は、前記左側突起部が前記左側壁部を接触移動して前記第1左側被係合部または前記第2左側被係合部と係合する際に、前記第1左側延長部の回転中心に向かって弾性変形することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記右側弾性変形部は、前記右側突起部が前記右側壁部を接触移動して前記第1右側被係合部または前記第2右側被係合部と係合する際に、前記第1右側延長部の回転中心に向かって弾性変形する。更に、前記左側弾性変形部は、前記左側突起部が前記左側壁部を接触移動して前記第1左側被係合部または前記第2左側被係合部と係合する際に、前記第1左側延長部の回転中心に向かって弾性変形する。
即ち、前記各弾性変形部は、前記第1延長部が前記媒体支持部に対して回転する際に、前記各突起部が前記各壁部に対して接触しつつ移動し、前記各被係合部と係合する際には前記回転中心に向かって弾性変形する。これにより、前記第1延長部を前記収納状態の位置と前記展開状態の位置との間で回転変位させる際に、前記壁部を介して前記第1延長部の回転に徐々に負荷がかかるので、ユーザーの操作性を向上することができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第2延長部は、前記第1延長部の回転変位に連動して変位可能であることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記第2延長部は、前記第1延長部の回転変位に連動して変位可能である。これにより、前記第1延長部を回転すると前記第2延長部も連動して前記第1延長部に対して変位するので、ユーザーの操作性を向上することができる。
【0021】
本発明の第7の態様に係る媒体支持装置は、第6の態様において、前記第2右側延長部は、前記第1右側延長部に対して収納される収納状態と、前記第1右側延長部からスライドして伸張し、前記第1右側延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能であり、前記第2左側延長部は、前記第1左側延長部に対して収納される収納状態と、前記第1左側延長部からスライドして伸張し、前記第1左側延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能であることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記第2右側延長部は、前記第1右側延長部からスライドして伸張することができ、前記第2左側延長部は、前記第1左側延長部からスライドして伸張することができる。これにより、前記連動によって、スライドという簡単な構造で前記第2右側延長部と前記第2左側延長部を、前記第1右側延長部と前記第1左側延長部に対して伸縮させることができる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る媒体支持装置は、第7の態様において、前記第1右側延長部と前記第2左側延長部とを接続する第1リンク機構と、前記第1左側延長部と前記第2右側延長部とを接続する第2リンク機構とを有し、前記連動は、前記第1リンク機構と第2リンク機構によって行われることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記連動は、前記第1リンク機構と第2リンク機構によって行われる。これにより、構造簡単にして前記連動を実現することができる。
【0025】
本発明の第9の態様に係る媒体支持装置は、第8の態様において、前記第1リンク機構および前記第2リンク機構は、前記第1延長部が前記収納状態のとき、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、且つ前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置することを特徴とする。
ここで、「前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記右側第1端部が作る直線と前記右側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。「前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する」における「間に位置する」とは、前記左側第1端部が作る直線と前記左側第2端部が作る直線の間に位置することを意味する。
【0026】
本態様によれば、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、前記第1延長部が前記収納状態のとき、前記第1右側延長部の前記右側第1端部と前記右側第2端部との間に位置し、且つ前記第1左側延長部の前記左側第1端部と前記左側第2端部との間に位置する。これにより、前記第1延長部が前記収納状態において、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構の占める領域を含めて、前記小型化を実現することができる。
【0027】
本発明の第10の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第1右側延長部の前記第2右側端部を成す側面と前記第1左側延長部の前記第1左側端部を成す側面は、前記展開状態において、基端から一部の範囲が接触し、他の範囲は非接触であり、前記非接触の部分は、先端に向かって互いに離れる方向に離間していくことを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記第1右側延長部の前記第2右側端部を成す側面と前記第1左側延長部の前記第1左側端部を成す側面は、前記展開状態において、基端から一部の範囲が接触している。この「接触」により、前記第1右側延長部と前記第1左側延長部の前記展開状態における剛性を向上することが可能である。
また、前記第1右側延長部と前記第1左側延長部の前記他の範囲は非接触であり、前記非接触の部分は、先端に向かって互いに離れる方向に離間していくので、前記側面の全部が接触している構造に比して媒体の支持の安定性が良くなる。
【0029】
本発明の第11の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第2延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する手掛け部を有することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記第2延長部は、前記手掛け部を有するので、前記手掛け部に手の指等を掛けることによって前記展開状態への操作を行い易い。また、前記手掛け部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合するので、前記第2延長部の前記収納状態の保持性が向上する。
【0031】
本発明の第12の態様に係る媒体支持装置は、第11の態様において、前記手掛け部の一部は、前記搬送方向および前記奥行方向に交差する幅方向において前記媒体支持部から突出していることを特徴とする。
ここで、「前記媒体支持部から突出」とは、前記手掛け部の一部が、指等によって前記媒体支持部に対して展開操作可能に露出していることを意味する。
【0032】
本態様によれば、前記手掛け部の一部は前記媒体支持部から前記したように突出しているので、ユーザーは前記手掛け部を手等によって使用し易い。
【0033】
本発明の第13の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様において、前記第1延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する規制部を有することを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、前記第1延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する規制部を有するので、前記第1延長部の前記収納状態の保持性が向上する。
【0035】
本発明の第14の態様に係る媒体支持装置は、第13の態様において、前記規制部は、前記第1延長部が前記展開状態のとき、載置される媒体の面に向かって突出することを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、前記規制部は、前記第1延長部が前記展開状態にあるとき、載置される媒体の面に接触して前記媒体の姿勢を平面姿勢から湾曲面姿勢に変える。これにより、前記第1延長部で支持されている前記媒体は、前記前側に倒れにくくなる。
【0037】
本発明の第15の態様に係る媒体支持装置は、第13の態様において、前記第2延長部は、前記収納状態のときに前記媒体支持部と係合する手掛け部を有し、前記手掛け部は、前記収納状態のときに、前記奥行方向からみて、前記規制部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、前記第2延長部が有する前記手掛け部は、前記収納状態のときに、前記奥行方向からみて、前記規制部の少なくとも一部と重なる。これにより、前記装置の幅方向における小型化を実現することができる。
【0039】
本発明の第16の態様に係る媒体支持装置は、第1の態様から第15の態様のいずれか一つの態様において、前記媒体支持部は、回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、前記開の状態で前記媒体を支持可能となり、前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になり、前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なることを特徴とする。
【0040】
本態様によれば、前記媒体支持部は、回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になる。更に、前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なる。
これにより、前記媒体支持装置の非使用時の状態、即ち、前記媒体支持部が前記搬送入り口を閉じている状態において、前記奥行方向において、前記装置の小型化を実現することができる。
【0041】
本発明の第17の態様に係る媒体支持装置は、媒体が搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置であって、前記延長支持部は、前記媒体支持部に対して収納される収納状態と、前記媒体支持部に対して回転することで展開され前記媒体支持部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部と、前記第1延長部に対して収納される収納状態と、前記第1延長部から第1方向にスライドして伸張し、前記第1延長部とともに前記媒体を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部と、を有し、前記第1延長部は、前記搬送方向と交差する奥行方向の前側からみて、前記媒体支持部の中心位置より右側に位置する第1右側延長部と、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部と、を有し、前記第2延長部は、前記第1右側延長部に収納される第2右側延長部と、前記第1左側延長部に収納される第2左側延長部と、を有し、前記第2右側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1右側延長部とすべて重なり、前記第2左側延長部は、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、前記第1左側延長部とすべて重なり、前記媒体支持部は、回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、前記開の状態で前記媒体を支持可能となり、前記閉の状態のときに奥行方向に沿う姿勢になり、前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なることを特徴とする。
【0042】
本態様によれば、前記媒体支持部は、回動することで前記媒体を搬送する搬送入り口を開閉可能であり、前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になる。更に、前記第1延長部は、前記閉の状態にある前記媒体支持部に収納される状態において、平面視で前記媒体支持部とすべて重なる。
これにより、前記媒体支持装置の非使用時の状態、即ち、前記媒体支持部が前記搬送入り口を閉じている状態において、前記奥行方向において、前記装置の小型化を実現することができる。
【0043】
本発明の第18の態様に係る読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置とを備え、前記媒体支持装置は、第1の態様から第15の態様のいずれか一つの態様の媒体支持装置であることを特徴とする。
【0044】
本態様によれば、スキャナー等の読取装置として、第1の態様から第15の態様のいずれか一つの態様の媒体支持装置において得られる効果を得ることができる。
【0045】
本発明の第19の態様に係る読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置とを備え、前記媒体支持装置は、第16の態様の媒体支持装置であることを特徴とする。
【0046】
本態様によれば、スキャナー等の読取装置として、第16の態様の媒体支持装置において得られる効果を得ることができる。
【0047】
本発明の第20の態様に係る読取装置は、媒体の画像を読み取る読取部と、前記媒体が前記読取部に向かう搬送方向に搬送可能に支持される媒体支持面を有する媒体支持部と、前記媒体支持部に設けられる延長支持部と、を備える媒体支持装置とを備え、前記媒体支持装置は、第17の態様の媒体支持装置であることを特徴とする。
【0048】
本態様によれば、スキャナー等の読取装置として、第17の態様の媒体支持装置において得られる効果を得ることができる。
【0049】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1に係る媒体支持装置と、この媒体支持装置を備える読取装置について、図1から図9に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0050】
[読取装置の全体構成]
本実施形態の読取装置は、媒体の画像を読み取り可能なスキャナーである。ここで、前記画像は、前記媒体に視覚的に記録されているものを意味し、例えば文字、図形、表、絵、写真等である。また、前記媒体は、シートに限らず、カード、冊子等も含まれる。
図1から図3に示したように、読取装置1は、媒体3の画像を読み取り可能な読取部5(図3)と、媒体支持装置16とを備える。媒体支持装置16は、媒体3が読取部5に向かう搬送方向Fに搬送可能に支持される媒体支持面13を有する媒体支持部7と、媒体支持部7に設けられる延長支持部15とを備える。媒体支持面13は、図1図3に示したように、装置1の後方向(-Y方向)に傾斜する傾斜面となっている。
図3に示したように、媒体支持部7の搬送方向における下流には、媒体3を搬送する搬送入り口9がある。更に、二点鎖線で示した搬送経路2に沿って、給送ローラー対11、第1搬送ローラー対4、読取部5、第2搬送ローラー対6、反転部8、排出ローラー対10が、この順に配置されている。
【0051】
給送ローラー対11は、図示を省く駆動源から動力が伝達される給送ローラー12と分離ローラー14の対で構成されている。媒体支持部7に支持される媒体3は、給送ローラー対11によって1枚ずつ搬送経路2に送り出される。
搬送経路2に送り出された媒体3は、第1搬送ローラー対4からの搬送力を受けて搬送経路2を搬送され、読取部5の読み取り領域を通り、更に第2搬送ローラー対6からも搬送力を受けて搬送され、反転部8で搬送方向Fを反転される。そして、媒体3は、搬送経路2の終点に位置する排出ローラー対10によって、搬送経路2を脱して排出受け部18に排出される。符号26は、媒体3の排出口を示す。排出受け部18の受け面24は、図3に示したように、媒体支持部7の媒体支持面13と同様に装置1の後方向(-Y方向)に傾斜する傾斜面となっている。
第1搬送ローラー対4、第2搬送ローラー対6及び排出ローラー対10は、図示を省く駆動源から動力が伝達される。給送ローラー対11、第1搬送ローラー対4、読取部5、第2搬送ローラー対6及び排出ローラー対10の各動作は、図示を省く制御部からの制御信号によって行われる。
【0052】
図1から図3に示したように、搬送経路2の搬送方向Fにおける終端部であって排出ローラー対10より下流となる位置から斜め上方に向かって長尺な第1支持片20が設けられている。第1支持片20は、排出口26を構成する構造部材32から立ち上がり、上端が排出受け部18の受け面24に徐々に近づくように延設されている。
更に、排出受け部18の受け面24の裏側の位置から上方に向かって第2支持片22(図1)が設けられている。第1支持片20及び第2支持面22は、装置1の左右方向においてほぼ中央に配置されている。
【0053】
排出受け部18に排出された媒体3は、第1支持片20が媒体3の前面に接触して支え、第2支持片22が媒体3の後面に接触して支え、媒体3を前後から支えている。
第1支持片20は、第1ボタン28(図2)を押すことにより、図1図2の使用時の位置に進出する。更に、第1ボタン28を押すか又は手で操作することにより、反転部8を構成する構造部材34の後ろの退避位置に移動して、後述する図11に示したように正面から見えない状態になる。また、第2支持片22も、第2ボタン30を押すことにより、図1図2の使用時の位置に進出する。更に、第2ボタンを押すか又は手で操作することにより、排出受け部18の受け面24の後ろの退避位置に移動して正面から見えない状態になる。
【0054】
[媒体支持装置]
本実施形態の媒体支持装置16は、上記したように、媒体3が搬送方向Fに搬送可能に支持される媒体支持面13を有する媒体支持部7と、媒体支持部7に設けられる延長支持部15と、を備える。以下、具体的に説明する。
【0055】
<延長支持部>
図1図2図4から図8に示したように、延長支持部15は、媒体支持部7の媒体支持面13の裏側であって、幅方向(X軸方向)におけるほぼ中央に位置し、全体として細長いほぼ板状の部材で形成されている。そして、延長支持部15は、媒体支持部7に対して収納される収納状態(図2図4の状態)と、媒体支持部7に対して回転することで展開され、媒体支持部7とともに媒体3を支持する展開状態(図1図5の状態)とに変位可能な第1延長部17を有する。
更に、延長支持部15は、第1延長部17に対して収納される収納状態(図2図4の状態)と、第1延長部17から第1方向Aにスライドして伸張し、第1延長部17とともに媒体3を支持する展開状態(図1図5の状態)とに変位可能な第2延長部19を有する。
【0056】
第1延長部17は、図1に示したように、搬送方向Fと交差する奥行方向(Y軸方向)の前側(+Y側)からみて、媒体支持部7の中心位置より右側に位置する第1右側延長部17Rと、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部17Lとで構成されている。
更に、図5図6に示したように、第1右側延長部17Rの基端には、第1右側延長部17Rの右側回転支点21Rを成す右側歯車23Rが配置されている。また、第1左側延長部17Lの基端には、第1左側延長部17Lの左側回転支点21Lを成し右側歯車23Rと噛み合う左側歯車23Lが配置されている。ここでは、右側歯車23Rと左側歯車23Lが直接的に噛み合う構造を示したが、他の歯車を介して間接的に噛み合う構造にしてもよい。
図1図4から図8に示したように、第1延長部17を構成する第1右側延長部17Rと第1左側延長部17Lは、媒体支持部7の中心位置に対して左右に対称的に配置されている。
【0057】
図1図4及び図5に示したように、第1右側延長部17Rは、第1方向Aと交差する第2方向Bである幅方向において、右側第1端部25Rと右側第1端部25Rに対向する右側第2端部27Rとを有する。同様に、第1左側延長部17Lは、第2方向Bにおいて左側第1端部25Lと、左側第1端部25Lに対向する左側第2端部27Lとを有する。
そして、図4図5に示したように、右側歯車23Rは、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置するように設けられる。同様に、左側歯車23Lは、第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置するように設けられる。
ここで、「右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置する」における「間に位置する」とは、右側第1端部25Rが作る直線と右側第2端部27Rが作る直線の間に位置することを意味する。同様に、「左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置する」における「間に位置する」とは、左側第1端部25Lが作る直線と左側第2端部27Lが作る直線の間に位置することを意味する。以下の説明において、前記「間に位置する」は、上記と同じ意味で使われている。
【0058】
更に、第2延長部19は、第1右側延長部17Rに収納される第2右側延長部19Rと、第1左側延長部17Lに収納される第2左側延長部19Lとを有する。図1図4から図8に示したように、第2延長部19を構成する第2右側延長部19Rと第2左側延長部19Lも、媒体支持部7の中心位置に対して左右に対称的に配置されている。
そして、第2右側延長部19Rは、前記収納状態(図2図4)において、前記奥行方向(Y軸方向)から見て、第1右側延長部17Rとすべて重なるように構成されている。同様に、第2左側延長部19Lは、前記収納状態(図2図4)において、前記奥行方向(Y軸方向)から見て、第1左側延長部17Lとすべて重なるように構成されている。ここで、「すべて重なる」とは、第2延長部19の前記奥行方向から見ての輪郭が、第1延長部17の前記奥行方向から見ての輪郭の内側にあることを意味する。
図1において、符号44Rは第1右側延長部17Rの媒体支持面であり、符号44Lは第1左側延長部17Lの媒体支持面である。また、符号46Rは第2右側延長部19Rの媒体支持面であり、符号46Lは第2左側延長部19Lの媒体支持面である。ここでは、媒体支持面44R、44Lは、シートを貼り付けることで構成されている。
【0059】
本実施形態では、図2図4に示したように、第1延長部17は、媒体支持部7に収納されている状態においては、前記奥行方向(Y軸方向)から見て、媒体支持部7にすべて重なるように構成されている。
ここで、「すべて重なる」とは、第1延長部17の前記奥行方向(Y軸方向)から見ての輪郭が、媒体支持部7の前記奥行方向(Y軸方向)から見ての輪郭の内側にあることを意味する。
この状態において、第2延長部19は第1延長部17に収納されている。上記説明で理解できるように、第1延長部17に収納されている第2延長部19も、前記奥行方向(Y軸方向)から見て、媒体支持部7にすべて重なる関係にある。
【0060】
<弾性変形部と接触部と被係合部>
また、本実施形態においては、図5から図7に示したように、第1右側延長部17Rは、右側突起部31Rが設けられた弾性変形可能な右側弾性変形部33Rを基端に有する。第1左側延長部17Lは、左側突起部31Lが設けられた弾性変形可能な左側弾性変形部33Lを基端に有する。また、媒体支持部7は、右側突起部31Rと接触する右側接触部35Rと、左側突起部31Lと接触する左側接触部35Lを有する。
そして、右側接触部35Rは、第1右側延長部17Rが前記収納状態(図6(A))のときに右側突起部31Rと係合する第1右側被係合部37Rを有し、第1右側延長部17Rが前記展開状態(図5)のときに右側突起部31Rと係合する第2右側被係合部39Rを有する。また、左側接触部35Lは、第1左側延長部17Lが前記収納状態(図6(A))のときに左側突起部31Lと係合する第1左側被係合部37Lを有し、第1左側延長部17Lが前記展開状態(図5)のときに左側突起部31Lと係合する第2左側被係合部39Lを有する。
【0061】
本実施形態では、図6に示したように、右側接触部35Rは2つの右側壁部41Rを有する。そして、右側弾性変形部33Rは、右側突起部31Rが一方の右側壁部41Rを接触移動して第1右側被係合部37Rまたは第2右側被係合部39Rと係合する際に、第1右側延長部17Rの右側回転中心21Rに向かって弾性変形する。
同様に、左側接触部35Lは、2つの左側壁部41Lを有する。そして、左側弾性変形部33Lは、左側突起部31Lが一方の左側壁部41Lを接触移動して第1左側被係合部37Lまたは第2左側被係合部39Lと係合する際に、第1左側延長部17Lの左側回転中心21Lに向かって弾性変形する。
図8において、符号60は媒体支持部7の外側カバーである。図4から図7は、外側カバー60の図示が内部を見えるようにする為に省かれている。第1延長部17と第2延長部19は媒体支持面13を成す部材と外側カバー60の間の場所に配置されている。
【0062】
また、図5に示したように、本実施形態では、右側弾性変形部33Rは、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置する。同様に、左側弾性変形部33Lは、第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置する。
ここで、「間に位置する」とは、上記した意味と同じである。
【0063】
<連動>
本実施形態では、図4から図7に示したように、第2延長部19は、第1延長部17の回転変位に連動して変位可能である。第2右側延長部19Rは、第1右側延長部17Rに対して収納される収納状態と、第1右側延長部17Rからスライドして伸張し、第1右側延長部17Rとともに媒体3を支持する展開状態とに変位可能である。同様に、第2左側延長部19Lは、第1左側延長部17Lに対して収納される収納状態と、第1左側延長部17Lからスライドして伸張し、第1左側延長部17Lとともに媒体3を支持する展開状態とに変位可能である。
尚、第2延長部19は、第1延長部17の回転変位に連動して変位する構造ではなく、第2延長部19を第1延長部から手動で伸長させる等の他の伸長構造にしてもよい。
本実施形態では、第1右側延長部17Rと第2左側延長部19Lとを接続する第1リンク機構45と、第1左側延長部17Lと第2右側延長部19Rとを接続する第2リンク機構47とを有する。符号48、50、52、54は、前記接続のためのネジ部を示す。そして、第1リンク機構45と第2リンク機構47によって前記連動が行われるように構成されている。ネジ部48、50、52、54は、前記連動ためのリンク動作が行えるように両者を接続している。
【0064】
第1リンク機構45及び第2リンク機構47は、第1延長部17が前記収納状態(図4)のとき、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置し、且つ第1左側延長部1TLの左側第1端部25Lと左側第2端部との間に位置するように構成されている。
ここで、「間に位置する」とは、上記した意味と同じである。
【0065】
また、本実施形態では、図5に示したように、第1右側延長部17Rの第2右側端部27Rを成す側面51と第1左側延長部17Lの第1左側端部25Lを成す側面53は、前記展開状態において、基端から一部の範囲Pが接触し、他の範囲Sは非接触である。前記非接触の範囲Sは、先端に向かって互いに離れる方向に離間していくように構成されている。
側面51と側面53とが互いに接触している一部の範囲Pの寸法は、その互いの接触によって第1延長部17の展開状態における剛性が全体として高まって適当と言えるように設定される。
【0066】
また、本実施形態では、図1図8図9に示したように、第2延長部19は、その先端部に手掛け部29を有する。手掛け部29は、右側手掛け部29Rと左側手掛け部29Lとがある。右側手掛け部29Rと左側手掛け部29Lとは、第1延長部17を媒体支持部7に対して回転させて前記収納状態から前記展開状態に移行するときに、その一方又は両方に手を掛けて展開操作をし易くするためのものである。手掛け部29R、R29Lの形状は、ここでは略L字形状であるが、この形状に限定されないことは勿論である。
図4図8図9に示したように、左側手掛け部29Lは、係合部56を有し、前記収納状態のときに媒体支持部7の被係合部58と係合するように構成されている。別の言い方をすると、左側手掛け部29Lの一部である係合部56は、搬送方向Fおよび前記奥行方向(Y軸方向)と交差する幅方向(X軸方向)において媒体支持部7から突出している。
ここで、「媒体支持部7から突出」とは、手掛け部29Lの一部が、指等によって媒体支持部7に対して展開操作可能に露出していることを意味する。
尚、右側手掛け部29Rについては、左側手掛け部29Lと基本的に同様の構造であるので、その説明は省略する。
【0067】
また、本実施形態では、図1図8から図10に示したように、第1延長部17は、収納状態のときに媒体支持部7と係合する規制部43を有する。規制部43は、右側規制部43Rと左側規制部43Lとがある。
また、規制部43は、第1延長部17が前記展開状態(図1)のとき、載置された媒体3の面に向かって突出する状態になる。この突出により、規制部43は、第1延長部17が前記展開状態にあるとき、載置された媒体3の面に接触して媒体3の姿勢を平面姿勢から湾曲面姿勢に変える。
第2延長部19が有する手掛け部29は、前記収納状態のときに、前記奥行方向からみて、図9図10に示したように、規制部43の少なくとも一部と重なるように構成されている。
【0068】
<実施形態1の収納状態から展開状態への変位の説明>
図2の状態から延長支持部15を展開させて図1の状態にする。その際、先ず手掛け部29の右側手掛け部29Rと左側手掛け部29Lの一方又は両方に手を掛けて第1延長部17を回転させる。これにより、第1右側延長部17R及び第1左側延長部17Lが、右側歯車23R及び左側歯車23Lによって連動して展開される。同時に、第1リンク機構45と第2リンク機構47のリンクにより連動して第2右側延長部19Rと第2左側延長部19Lが第1延長部17から第1方向Aに伸長する。そして、第1延長部17と共に媒体3を支持する展開状態(図1)に変わる。展開状態から収納状態に戻す場合は、上記と逆の操作で行うことができる。
【0069】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、第2右側延長部19Rは、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、第1右側延長部17Rとすべて重なり、第2左側延長部19Lは、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、第1左側延長部17Lとすべて重なる。
更に、右側歯車23Rは、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置するように設けられ、左側歯車23Lは、第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置するように設けられている。
これにより、第2延長部19の前記収納状態において、第1延長部17と第2延長部19が占める第2方向B、即ち媒体3の搬送方向Fにおいて占める領域の小型化を実現することができる。
【0070】
(2)また、本実施形態では、第1延長部17は、第1延長部17の前記収納状態において、前記奥行方向からみて、媒体支持部7にすべて重なる。これにより、第1延長部17の前記収納状態において、媒体支持部7及び第1延長部17と第2延長部19が占める第2方向B、即ち媒体3の搬送方向において占める領域の小型化を実現することができる。
(3)また、本実施形態では、第1右側延長部17Rは右側突起部31Rが設けられた右側弾性変形部33Rを有し、第1左側延長部17Lは左側突起部31Lが設けられた左側弾性変形部33Lを有する。更に媒体支持部7は右側接触部35Rと左側接触部35Lを有する。そして、右側接触部35Rは、第1右側延長部17Rが前記収納状態のときに右側突起部31Rと係合する第1右側被係合部37Rを有し、前記展開状態のときには右側突起部31Rと係合する第2右側被係合部39Rを有する。そして、左側接触部35Lは、第1左側延長部17Lが前記収納状態のときに左側突起部31Lと係合する第1左側被係合部37Lを有し、前記展開状態のときに左側突起部31Lと係合する第2左側被係合部39Lを有する。これにより、第1延長部17の前記収納状態と前記展開状態を前記各係合によって保持することができる。
【0071】
(4)また、本実施形態では、右側弾性変形部33Rは、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置し、左側弾性変形部33Lは、第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置する。これにより、右側弾性変形部33R及び左側弾性変形部33Lの占める領域を含めて、前記小型化を実現することができる。
(5)また、本実施形態では、右側弾性変形部33Rは、右側突起部31Rが右側壁部41Rを接触移動して第1右側被係合部37Rまたは第2右側被係合部39Rと係合する際に、第1右側延長部17Rの回転中心21Rに向かって弾性変形する。更に、左側弾性変形部33Lは、左側突起部31Lが左側壁部41Lを接触移動して第1左側被係合部37Lまたは第2左側被係合部39Lと係合する際に、第1左側延長部17Lの回転中心21Lに向かって弾性変形する。
即ち、各弾性変形部33R、33Lは、第1延長部17が媒体支持部7に対して回転する際に、各突起部31R、31Lが各壁部41R、41Lに対して接触しつつ移動し、各被係合部37R、39R、37L、39Lと係合する際には各回転中心21R、21Lに向かって弾性変形する。これにより、第1延長部17を前記収納状態の位置と前記展開状態の位置との間で回転変位させる際に、前記壁部41R、41Lを介して第1延長部17の回転に徐々に負荷がかかるので、ユーザーの操作性を向上することができる。
【0072】
(6)また、本実施形態では、第2延長部19は、第1延長部17の回転変位に連動して変位可能である。これにより、第1延長部17を回転すると第2延長部19も連動して第1延長部17に対して変位するので、ユーザーの操作性を向上することができる。
(7)また、本実施形態では、第2右側延長部19Rは、第1右側延長部17Rからスライドして伸張することができ、第2左側延長部19Lは、第1左側延長部17Lからスライドして伸張することができる。これにより、前記連動によって、スライドという簡単な構造で第2右側延長部19Rと第2左側延長部19Lを、第1右側延長部17Rと第1左側延長部17Lに対して伸縮させることができる。
(8)また、本実施形態では、前記連動は、第1リンク機構45と第2リンク機構47によって行われる。これにより、構造簡単にして前記連動を実現することができる。
(9)また、本実施形態では、第1リンク機構45及び第2リンク機構47は、第1延長部17が前記収納状態のとき、第1右側延長部17Rの右側第1端部25Rと右側第2端部27Rとの間に位置し、且つ第1左側延長部17Lの左側第1端部25Lと左側第2端部27Lとの間に位置する。これにより、第1延長部17が前記収納状態において、第1リンク機構45及び第2リンク機構47の占める領域を含めて、前記小型化を実現することができる。
【0073】
(10)また、本実施形態では、第1右側延長部17Rの第2右側端部25Rを成す側面51と第1左側延長部17Lの第1左側端部25Lを成す側面53は、前記展開状態において、基端から一部の範囲Pが接触している。この「接触」により、第1右側延長部17Rと第1左側延長部17Lの前記展開状態における剛性を向上することが可能である。
また、第1右側延長部17Rと第1左側延長部17Lの他の範囲Sは非接触であり、前記非接触の部分は、先端に向かって互いに離れる方向に離間していくので、側面の全部が接触している構造に比して媒体3の支持の安定性が良くなる。
(11)また、本実施形態では、第2延長部19は、手掛け部29を有するので、手掛け部29に手の指等を掛けることによって前記展開状態への操作を行い易い。また、手掛け部29は、前記収納状態のときに媒体支持部7と係合するので、第2延長部19の前記収納状態の保持性が向上する。
(12)また、本実施形態では、手掛け部29の一部は媒体支持部7から前記したように突出しているので、ユーザーは手掛け部29を手等によって使用し易い。
【0074】
(13)また、本実施形態では、第1延長部17は、前記収納状態のときに媒体支持部7と係合する規制部43を有するので、第1延長部17の前記収納状態の保持性が向上する。
(14)また、本実施形態では、規制部43は、第1延長部17が前記展開状態にあるとき、載置される媒体3の面に接触して媒体3の姿勢を平面姿勢から湾曲面姿勢に変える。これにより、第1延長部17で支持されている媒体3は、前記前側に倒れにくくなる。
(15)また、本実施形態では、第2延長部19が有する手掛け部29は、前記収納状態のときに、前記奥行方向からみて、規制部43の少なくとも一部と重なる。これにより、装置1の幅方向における小型化を実現することができる。
【0075】
[実施形態2]
以下、実施形態2に係る媒体支持装置16と、この媒体支持装置16を備える読取装置1について、図11図12(A)(B)に基づいて説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
本実施形態2の媒体支持装置16は、媒体支持部7が回動することで媒体3を搬送する搬送入り口9(図2)を開閉可能である。言い換えると、媒体支持部7は、基端を回動支点として自由端が回動可能に構成されている。そして、媒体支持部7は前記開の状態で媒体3を支持可能となる(図2)。媒体支持部7は前記閉の状態では、図11に示したように、前記奥行方向(Y軸方向)に沿う姿勢になるように構成されている。
そして、第1延長部17は、前記閉の状態にある媒体支持部7に収納される状態(図11)において、平面視で媒体支持部7とすべて重なるように構成されている。ここで、「すべて重なる」とは、第1延長部17の平面視で見ての輪郭が、媒体支持部7の平面視で見ての輪郭の内側にあることを意味する。
本実施形態において、延長支持部15の構造は、実施形態1と同様であるので、その説明は省略する。
【0076】
図12(A)(B)に示したように、本実施形態の読取装置1は、背面部36を構成するハウジングに手掛け部38が設けられている。この手掛け部38は、ユーザーが手を掛けて読取装置1を持ち上げることができ、これにより読取装置1を他の場所に移動させることができる。
また、本実施形態の読取装置1は、底部構成部材40の後部にケーブル収納部42が設けられている。このケーブル収納部42は、読取装置1の図示を省く電源ケーブルを畳んで収納することができる。
【0077】
実施形態によれば、媒体支持部7は、回動することで媒体3を搬送する搬送入り口9を開閉可能であり、前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になる。更に、第1延長部17は、前記閉の状態にある媒体支持部7に収納される状態において、平面視で媒体支持部7とすべて重なる。
これにより、媒体支持装置16の非使用時の状態、即ち、媒体支持部7が搬送入り口9を閉じている状態において、前記奥行方向において、装置1の小型化を実現することができる。
【0078】
[実施形態3]
以下、実施形態3に係る媒体支持装置16と、この媒体支持装置16を備える読取装置1について、実施形態1及び実施形態2の説明で用いた図面を用いて説明する。実施形態1及び実施形態2と同一部分については、同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態3に係る媒体支持装置16は、媒体3が搬送方向Fに搬送可能に支持される媒体支持面13を有する媒体支持部7と、媒体支持部7に設けられる延長支持部15とを備える。
延長支持部15は、媒体支持部7に対して収納される収納状態と、媒体支持部7に対して回転することで展開され媒体支持部7とともに媒体3を支持する展開状態と、に変位可能な第1延長部17と、第1延長部17に対して収納される収納状態と、第1延長部17から第1方向Aにスライドして伸張し、第1延長部17とともに媒体3を支持する展開状態と、に変位可能な第2延長部19とを有する。第1延長部17は、搬送方向Fと交差する奥行方向の前側からみて、媒体支持部7の中心位置より右側に位置する第1右側延長部17Rと、前記中心位置より左側に位置する第1左側延長部17Lとを有する。更に、第2延長部19は、第1右側延長部17Rに収納される第2右側延長部19Rと、第1左側延長部17Lに収納される第2左側延長部19Lとを有する。第2右側延長部19Rは、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、第1右側延長部17Rとすべて重なり、第2左側延長部19Lは、前記収納状態において、前記奥行方向から見て、第1左側延長部17Lとすべて重なる。
以上の点は、実施形態1と同じである。以下の構成において、実施形態1と相違する。
【0079】
本実施形態3では、媒体支持部7は、回動することで媒体3を搬送する搬送入り口9を開閉可能であり、前記開の状態で媒体3を支持可能となり、前記閉の状態のときに奥行方向に沿う姿勢になる。そして、第1延長部17は、前記閉の状態にある媒体支持部7に収納される状態において、平面視で媒体支持部7とすべて重なるように構成されている。
【0080】
以上の説明で理解できるように、第1延長支持部17を回動させる構造として、実施形態1の右側歯車と左側歯車の限定がないのが、本実施形態である。それに換わって、媒体支持部7は、回動することで媒体3を搬送する搬送入り口9を開閉可能であり、前記開の状態で媒体3を支持可能となり、前記閉の状態のときに奥行方向に沿う姿勢になる限定が入っている。
尚、本実施形態3では、実施形態1の右側歯車23Rと左側歯車23Lを使わないで、それら右側歯車23Rと左側歯車23Lを単に回転支点構造として、第1右側延長部17Rと第1左側延長部17Lを個別に回転する構造にしてもよい。
【0081】
本態様によれば、媒体支持部7は、回動することで搬送入り口9を開閉可能であり、前記閉の状態のときに前記奥行方向に沿う姿勢になる。更に、第1延長部17は、前記閉の状態にある媒体支持部7に収納される状態において、平面視で媒体支持部7とすべて重なる。これにより、媒体支持装置16の非使用時の状態、即ち、媒体支持部7が搬送入り口9を閉じている状態において、前記奥行方向において、装置1の小型化を実現することができる。
【0082】
〔他の実施形態〕
本発明に係る媒体支持装置16と、この媒体支持装置16を備える読取装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記実施形態では、媒体支持装置16を備える装置がスキャナー等の読取装置1である場合について説明したが、この読取装置に限定されないことは勿論であり、プリンター等の画像形成装置等にも適用することができる。
【0083】
1…読取装置、2…搬送経路、3…媒体、4…第1搬送ローラー対、5…読取部、
6…第2搬送ローラー対、7…媒体支持部、8…反転部、9…搬送入り口、
10…排出ローラー対、11…給送ローラー対、12…給送ローラー、
13…媒体支持面、14…分離ローラー、15…延長支持部、
16…媒体支持装置、17…第1延長部、17R…第1右側延長部、
17L…第1左側延長部、18…排出受け部、19…第2延長部、
20…第1支持片、21R…右側回転支点、21L…左側回転支点、
22…第2支持片、23R…右側歯車、23L…左側歯車、24…受け面、
25R…右側第1端部、25L…左側第1端部、26…排出口、
27R…右側第2端部、27L…左側第2端部、28…第1ボタン、
29…手掛け部、29R…右側手掛け部、29L…左側手掛け部、
30…第2ボタン、31R…右側突起部、31L…左側突起部、32…構造部材、
33R…右側弾性変形部、33L…左側弾性変形部、34…構造部材、
35R…右側接触部、35L…左側接触部、36…背面部、
37R…第1右側被係合部、37L…第1左側被係合部、38…手掛け部、
39R…第2右側被係合部、39L…第2左側被係合部、40…底部構成部材、
41R…右側壁部、41L…左側壁部、42…ケーブル収納部、43…規制部、
43R…右側規制部、43L…左側規制部、45…第1リンク機構、
44R、44L、46R、46L…媒体支持面、47…第2リンク機構、
48…ネジ部、50…ネジ部、51…側面、52…ネジ部、53…側面、
54…ネジ部、56…係合部、58…被係合部、60…外側カバー、A…第1方向、
B…第2方向、F…搬送方向、P…基端から一部の範囲、S…他の範囲
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12