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特開2024-43702電圧管理支援装置、電圧管理支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043702
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電圧管理支援装置、電圧管理支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/12 20060101AFI20240326BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J3/12
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/00 170
H02J3/18 171
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148844
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】大原 慎史
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB17
5G064DA03
5G066AA03
5G066AE01
5G066AE05
5G066AE09
5G066DA01
5G066DA04
(57)【要約】
【課題】担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法を決定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】電圧管理支援装置1は、その機能として、配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する取得部31と、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデル22に基づき、電圧測定に関する情報から、配電系統への改修についての推論を行う推論部33と、推論の結果に基づく、配電系統への改修に関する情報を出力する出力部34と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統の電圧管理を行う電圧管理支援装置であって、
前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する取得部と、
過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行う推論部と、
前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力する出力部と、を備える、
ことを特徴とする電圧管理支援装置。
【請求項2】
前記過去の電圧測定に関する情報と、前記過去の電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、に基づく機械学習を行い、前記機械学習の結果に基づき前記機械学習モデルを更新する学習部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧管理支援装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記配電系統への改修に関する情報として、前記配電系統による送出電圧の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置案、前記配電系統の変更案のいずれかまたは複数の情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電圧管理支援装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記電圧測定に関する情報として、前記所定の箇所における電圧逸脱の情報を取得し、
前記電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記出力部は、受け付けた前記電圧逸脱に対する修正値に基づく、前記配電系統への改修に関する情報として、前記配電系統における送出電圧の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更案、のいずれかまたは複数の情報を算出して出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧管理支援装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記電圧測定に関する情報として、前記配電系統における送出電圧、及び前記所定の箇所における測定電圧の情報を時系列で取得し、
前記推論部は、電圧逸脱のおそれがある箇所についての推論を行い、
前記出力部は、前記推論の結果に基づく、電圧逸脱のおそれがある箇所の情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧管理支援装置。
【請求項6】
前記機械学習モデルの教師データである前記電圧測定に関する情報は、前記配電系統の所定の箇所における線路亘長、電圧、電流、分散電源、自動電圧調整器、高圧負荷、低圧負荷、線路インピーダンス、過去の電圧逸脱、電圧取得地点までの電圧降下のいずれかまたは複数の情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧管理支援装置。
【請求項7】
前記機械学習モデルの教師データである前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報は、前記配電系統による送出電圧の変更、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置、前記配電系統の変更のいずれかまたは複数の情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧管理支援装置。
【請求項8】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行され、配電系統の電圧管理を行うための電圧管理支援方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得するステップと、
過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行うステップと、
前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力するステップと、を実行する、
ことを特徴とする電圧管理支援方法。
【請求項9】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、配電系統の電圧管理を行うためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得するステップと、
過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行うステップと、
前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力するステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電系統の電圧管理を行う電圧管理支援装置、電圧管理支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配電系統では、電気事業法の定めにより定期的に電圧測定が行われている。例えば、配電系統における無作為に抽出された箇所について電圧測定が行われ、法定された所定レベルの範囲内(例えば、標準電圧100Vに対して上下6Vを超えない値)にあるか、測定により管轄官庁へ報告することが求められている。また、電圧の測定値が逸脱している場合、配電系統における送出電圧の変更、電圧調整器の設定値の変更、といった改修がなされることにより、法定された所定レベルを維持するように運用されている。
【0003】
このように、配電系統の電圧を制御する技術として、配電線の電圧を計測し、最新の電圧移動平均値が適正電圧上下限値の範囲内から逸脱したときに、目標電圧範囲変更依頼を電圧制御装置に対して発行することで、電圧を自動調整する配電系統電圧制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/029277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電圧の測定値が逸脱している場合、どのように改修するかを決定するのは容易ではなく、各担当者の経験によるところが大きい。
【0006】
そこで本発明は、担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法を決定することが可能な電圧管理支援装置、電圧管理支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、配電系統の電圧管理を行う電圧管理支援装置であって、前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する取得部と、過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行う推論部と、前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力する出力部と、を備える、ことを特徴とする電圧管理支援装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電圧管理支援装置において、前記過去の電圧測定に関する情報と、前記過去の電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、に基づく機械学習を行い、前記機械学習の結果に基づき前記機械学習モデルを更新する学習部を備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電圧管理支援装置において、前記出力部は、前記配電系統への改修に関する情報として、前記配電系統による送出電圧の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置案、前記配電系統の変更案のいずれかまたは複数の情報を出力する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の電圧管理支援装置において、前記取得部は、前記電圧測定に関する情報として、前記所定の箇所における電圧逸脱の情報を取得し、前記電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、前記出力部は、受け付けた前記電圧逸脱に対する修正値に基づく、前記配電系統への改修に関する情報として、前記配電系統における送出電圧の変更案、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更案、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更案、のいずれかまたは複数の情報を算出して出力する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の電圧管理支援装置において、前記取得部は、前記電圧測定に関する情報として、前記配電系統における送出電圧、及び前記所定の箇所における測定電圧の情報を時系列で取得し、前記推論部は、電圧逸脱のおそれがある箇所についての推論を行い、前記出力部は、前記推論の結果に基づく、電圧逸脱のおそれがある箇所の情報を出力する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1に記載の電圧管理支援装置において、前記機械学習モデルの教師データである前記電圧測定に関する情報は、前記配電系統の所定の箇所における線路亘長、電圧、電流、分散電源、自動電圧調整器、高圧負荷、低圧負荷、線路インピーダンス、過去の電圧逸脱、電圧取得地点までの電圧降下のいずれかまたは複数の情報を含む、ことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1に記載の電圧管理支援装置において、前記機械学習モデルの教師データである前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報は、前記配電系統による送出電圧の変更、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更、前記配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更、前記配電系統の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置、前記配電系統の変更のいずれかまたは複数の情報を含む、ことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行され、配電系統の電圧管理を行うための電圧管理支援方法であって、前記方法は、前記プロセッサが、前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得するステップと、過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行うステップと、前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力するステップと、を実行する、ことを特徴とする電圧管理支援方法である。
【0015】
請求項9の発明は、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、配電系統の電圧管理を行うためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、前記配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得するステップと、過去の前記電圧測定に関する情報と、過去の前記電圧測定の結果による前記配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、前記電圧測定に関する情報から、前記配電系統への改修についての推論を行うステップと、前記推論の結果に基づく、前記配電系統への改修に関する情報を出力するステップと、を実行させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、請求項6ないし請求項9に記載の発明によれば、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、電圧測定に関する情報から配電系統への改修についての推論を行う。また、その推論の結果に基づく配電系統への改修に関する情報を出力する。
【0017】
すなわち、過去の電圧測定に関する情報における電圧の測定値が逸脱している場合に、どのように改修したのかを示す配電系統への改修に関する情報について学習した機械学習モデルに基づき、その後に電圧測定に関する情報が逸脱している場合に、どのように改修したのかを示す配電系統への改修に関する情報を出力する。これにより、担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法を決定することが可能になる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、上記の機械学習モデルを更新する学習部を備える。これにより、最新の情報に基づく機械学習モデルの更新が可能になる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、配電系統への改修に関する情報として、配電系統による送出電圧の変更案、配電系統の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更案、配電系統の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更案、配電系統の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置案、配電系統の変更案のいずれかまたは複数の情報を出力する。これにより、複数の改修案から適切な改修案を出力することが可能になるので、担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法をより具体的に決定することが可能になる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付け、受け付けた修正値に基づく送出電圧の変更案、電圧調整器の設定値の変更案、分散電源の容量の設定値の変更案を出力する。これにより、修正すべき値から逆算して各種設定値を算出すること可能になる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、配電系統における送出電圧及び測定電圧の情報を時系列で取得し、電圧逸脱のおそれがある箇所についての推論を行ってその箇所の情報を出力する。そのため、電圧逸脱のおそれがある箇所を事前に特定することが可能になる。これにより、計画的な改修が可能になり、法定電圧の管理以外にも幅広い業務に適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る電圧管理の対象となる配電系統100の回路構成の例を示す回路構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る電圧管理支援装置1の機能を示す機能ブロック図である。
図3図2の制御部30による出力処理の手順を示すフローチャートである。
図4図2の制御部30による学習処理の手順を示すフローチャートである。
図5図2の学習部32による機械学習及び推論の手順を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るコンピュータ700を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
(概要)
本発明の実施の形態に係る電圧管理支援装置は、配電系統の電圧管理を行うための装置である。また、この電圧管理支援装置は、具体的な実施形態として、法定、または随時行われる電圧測定の結果が所定レベルの範囲から逸脱している場合に、改修案を出力する。そのため、この電圧管理支援装置は、配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する。また、この電圧管理支援装置は、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、電圧測定に関する情報から配電系統への改修についての推論を行う。さらに、この電圧管理支援装置は、その推論の結果に基づく配電系統への改修に関する情報を出力する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態1に係る電圧管理の対象となる配電系統100の回路構成の例を示す回路構成図である。図1に示す配電系統100は、発電所で発電されて変電所から出力される高圧電力を低圧電力に変圧し、高圧電力または低圧電力を需要家宅へ送電するための設備である。図1に示す配電系統100は、例えば、変電所101と、高圧線102と、高圧引込線103と、負荷104と、変圧器105と、低圧線106と、低圧引込線107と、負荷108とから構成されている。
【0026】
変電所101は、電力系統における電気の電圧や周波数の変換を行い、各配電系統の接続と開閉とを行って電力の流れを制御する配電用変電所である。高圧線102は、変電所101から出力された高圧電力(例えば、6,600Vの電力)を送電する送電線である。高圧引込線103は、高圧線102から高圧電力の供給を受けるための送電線である。負荷104は、高圧需要家宅にて電力を消費する電気機器である。高圧需要家宅とは、事業用に高圧電力を使用する設備、例えば事業所、工場等の施設であり、負荷104の具体例は、事業所、工場等で使用される電気機器である。変圧器105は、変電所101から出力された高圧電力を低圧電力(例えば、100Vの電力)に変圧する施設である。低圧線106は、変圧器105から出力された低圧電力を送電する送電線である。低圧引込線107は、低圧線106から低圧電力の供給を受けるための送電線である。負荷108は、低圧需要家宅にて電力を消費する電気機器である。低圧需要家宅とは、一般家庭用に低圧電力を使用する設備であり、負荷104の具体例は、家庭における家電製品である。
【0027】
法定の電圧測定は、配電系統100における任意の箇所、例えば高圧線102上のポイントP1、または低圧線106上のポイントP2で行われる。そして、例えば低圧線106上のポイントP2の場合、法定された所定レベルの範囲内(例えば、標準電圧100Vに対して上下6Vを超えない値)にあるか否かを、管轄官庁へ報告することが求められている。
【0028】
このとき、電圧の測定値が逸脱している場合、所定の改修がなされることになる。所定の改修とは、例えば、変電所101から出力される送出電圧の変更、配電系統100内に配置される電圧調整器(図示は省略)の設定値の変更があり、電圧調整器の設定値の変更には、コンデンサの容量、またはリアクトルの容量の変更が挙げられる。このとき、送出電圧を変更すると、ポイントP1,P2の電圧だけではなく、配電系統100全体の電圧に影響を及ぼすことになるが、電圧調整器の設定値を変更すると、当該電圧調整器の下流側の電圧に影響を及ぼすことになる。そのため、どのように改修するかを決定するのは容易ではなく、各担当者の経験によるところが大きい状況であった。
【0029】
そこで、本実施の形態では、配電系統100の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得し、過去の電圧測定に関する情報における電圧の測定値が逸脱している場合に、どのように改修したのかを示す配電系統100への改修に関する情報について学習した機械学習モデルに基づき、その後に電圧測定に関する情報が逸脱している場合に、どのように改修したのかを示す配電系統100への改修に関する情報を出力する。これにより、担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法を決定することを可能にしている。
【0030】
(実施の形態1)
<構成>
図2図5は、この実施の形態を示し、図2は、本発明の実施の形態1に係る電圧管理支援装置1の機能を示す機能ブロック図である。この電圧管理支援装置1は、図1に示すポイントP1,P2のような電圧測定を行う所定の箇所から電圧測定に関する情報を取得し、電圧測定に関する情報が逸脱している場合に、どのように改修したのかを示す配電系統100への改修に関する情報を出力する装置である。電圧管理支援装置1は、例えば、コンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)や、サーバ装置等により構成されている。なお、電圧管理支援装置1は、端末装置との間でネットワークを介して通信を行うことで動作するように構成してもよい。
【0031】
電圧管理支援装置1は、その機能構成として、通信部10と、記憶部20と、制御部30とを備える。図2に示すように、通信部10、記憶部20、及び制御部30の各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0032】
通信部10は、有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行出来るのであればどのような通信プロトコルを用いてもよい。この通信部10は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0033】
記憶部20は、各種制御処理や制御部30内の各機能を実行するためのプログラムや入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むメモリや、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等を含むストレージから構成される。また、記憶部20は、電圧測定データベース21と、機械学習モデル22とを記憶する。さらに、
電圧測定データベース21には、配電系統100の電圧測定に関する情報が格納されている。電圧測定に関する情報とは、具体的には、図1に示すポイントP1,P2のような電圧測定を行う所定の箇所における線路亘長の値、電圧の値、電流の値、分散電源の位置や名称、自動電圧調整器の位置や名称、高圧負荷または低圧負荷の位置や名称、線路インピーダンスの値、過去の電圧逸脱の情報、電圧取得地点までの電圧降下の値のいずれかまたは複数の情報を含む。また、電圧測定データベース21には、実際に測定を行った日時、担当者の氏名、電圧逸脱の有無、電圧逸脱に対する改修方法の情報といった、実際の電圧測定の記録情報が格納されてもよい。
【0034】
機械学習モデル22は、電圧測定に関する情報から配電系統100への改修についての推論を行う機械学習モデルであり、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報とを教師データとしてトレーニング(学習)が行われた結果の推論アルゴリズムである。機械学習モデル22は、例えば、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報との間のパターンを認識して学習を行った機械学習モデルであり、電圧測定に関する情報に対して、どのような配電系統100への改修を行ったのか、を示す膨大な情報について学習を行った機械学習モデルである。機械学習モデル22は、後述する学習部32の機能として行われた機械学習により生成されたものでもよく、他の装置により機械学習が行われた結果生成された機械学習モデルであってもよい。機械学習モデルを生成するための機械学習については後述する。
【0035】
制御部30は、記憶部20に記憶されているプログラムを実行することにより、電圧管理支援装置1の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、プロセッサコア(Processor core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む装置等から構成される。制御部30の機能として、取得部31と、学習部32と、推論部33と、出力部34と、入力受付部35とを備えている。この取得部31、学習部32、推論部33、出力部34、及び入力受付部35は、記憶部20に記憶されているプログラムにより起動されて電圧管理支援装置1にて実行される。
【0036】
取得部31は、配電系統100の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する。取得部31は、電圧測定に関する情報として、具体的には、配電系統100の所定の箇所における線路亘長(の値)、電圧(の値)、電流(の値)、分散電源(の位置や名称)、自動電圧調整器(の位置や名称)、高圧負荷(の位置や名称)、低圧負荷(の位置や名称)、線路インピーダンス(の値)、過去の電圧逸脱、過去の電圧逸脱に対する改修方法、電圧取得地点までの電圧降下(の値)のいずれかまたは複数の情報を取得する。これらの情報は、後述する学習部32で機械学習モデル22を生成または更新するための機械学習に使用される。なお、電圧値や電流値のような値は、ある時刻における実測値を取得してもよく、所定時間(例えば、30分間)における平均値として取得してもよい。さらに、電圧逸脱に対する改修がなされた場合の改修後の値を取得してもよい。
【0037】
また、取得部31は、電圧測定に関する情報として、電圧測定の結果である、所定の箇所における電圧逸脱の情報(電圧逸脱が発生していることを示す情報)を取得する。このとき、電圧逸脱に対する改修が必要になるが、取得した情報は、後述する入力受付部35で修正値を受け付けるために使用される。
【0038】
また、取得部31は、電圧測定に関する情報として、配電系統100における送出電圧、及び所定の箇所における測定電圧の情報を、時系列で取得する。取得した情報は、後述する推論部33で電圧逸脱のおそれがある箇所についての推論を行うために使用される。
【0039】
取得部31は、電圧測定に関する情報を取得する際、電圧管理支援装置1のユーザからの入力を、例えば端末装置からの入力情報として受け付けてもよく、電圧値や電流値のような実測値については、計算機能付き開閉器(図示は省略)、需要家宅に設置されたスマートメータ等から送信された情報を、通信部10を介して取得してもよい。
【0040】
取得部31は、取得した電圧測定に関する情報を、電圧測定データベース21に格納する。
【0041】
学習部32は、取得部31が取得した、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報と、に基づく機械学習を行い、機械学習の結果に基づき機械学習モデル22を更新する。学習部32は、上記のように、過去の電圧測定に関する情報と、その電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報との間のパターンを認識して機械学習を行う。
【0042】
学習部32は、過去の電圧測定に関する情報として、具体的には、配電系統100の所定の箇所(例えば、図1に示すポイントP1,P2)における線路亘長の値、電圧値、電流値、分散電源の位置や名称、自動電圧調整器の位置や名称、高圧負荷の位置や名称、低圧負荷の位置や名称、線路インピーダンスの値、過去の電圧逸脱、電圧取得地点までの電圧降下の値のいずれかまたは複数の情報を教師データとして機械学習を行う。また、学習部32は、配電系統100への改修に関する情報として、具体的には、配電系統100による送出電圧の変更、配電系統100の所定の箇所(例えば、図1に示すポイントP1,P2)における電圧調整器の設定値の変更(コンデンサの容量の変更、またはリアクトルの容量の変更)、配電系統100の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更、配電系統100の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置、配電系統100の変更のいずれかまたは複数の情報を教師データとして機械学習を行う。
【0043】
また、学習部32は、電圧降下の計算値と実測値との誤差について、電圧降下の計算値と実測値との値を教師データとして機械学習を行ってもよい。電圧降下eの計算式は、以下の式により示される。
e=k・f・Z・I・L
k:定数であり、配電系統100が単相2線式の場合は2、3相3線式の場合は√3
f:分散負荷率
Z:電線1条1km当たりのインピーダンス
I:送電端電流(A)
L:線路亘長(km)
e=k・f・Z・I・L
学習部32は、電圧降下の計算値と実測値との誤差の蓄積情報から、線路ごと、区間ごとの投入容量に対する変動値を学習する。
【0044】
学習部32における機械学習は、所定の教師データを使用した教師あり機械学習により行われてもよく、ディープラーニングにより行われてもよい。本実施の形態1では、過去の電圧測定に関する情報と、その電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報とを教師データとする教師あり機械学習として説明する。また、学習部32は、教師データである過去の電圧測定に関する情報、及びその電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報について、例えばそれぞれの情報が示す解釈をタグ情報として付与するデータ加工(アノテーション)を行ってもよい。さらに、学習部32は、機械学習モデル22を更新する際に、再学習により更新してもよく、機械学習モデル22の性能評価を行って性能が向上している場合にのみ更新するように構成してもよい。
【0045】
推論部33は、学習部32による、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデル22に基づき、電圧測定に関する情報から、配電系統100への改修についての推論を行う。推論部33は、具体的には、電圧測定に関する情報に対して、配電系統100へどのような改修を行ったのか、について、トレーニング(学習)が行われた結果である機械学習モデル22の推論アルゴリズムに基づいて推論を行う。推論部33は、例えば、推論アルゴリズムに基づいて、配電系統100による送出電圧の変更、ポイントP1,P2等における電圧調整器の設定値の変更、ポイントP1,P2等における分散電源の容量の設定値の変更、ポイントP1,P2等における電圧調整器または蓄電池の設置、配電系統100の変更、のうちから最適な改修方法を決定する。
【0046】
また、推論部33は、配電系統100における送出電圧、及び所定の箇所における測定電圧の時系列の情報から、電圧逸脱のおそれがある箇所についての推論を行う。推論部33は、具体的には、電圧逸脱が発生した場合の送出電圧及び測定電圧について、トレーニング(学習)が行われた結果である機械学習モデル22の推論アルゴリズムに基づいて推論を行う。
【0047】
推論部33による機械学習モデル22に基づく配電系統100への改修についての推論は、具体的には以下のようにして行われる。推論部33は、取得部31が取得した電圧測定に関する情報から、機械学習モデル22に格納されている配電系統100への改修についてのパターンを認識する。そして、推論部33は、当該パターンにおける配電系統100への改修についての情報を決定する。このとき、推論部33は、配電系統100への改修についての情報が複数ある場合、より作業手順の少ない改修方法を決定するため、それぞれのパターンについて作業手順に基づく重み付けを行って決定してもよい。また、推論部33は、配電系統100全体の電圧への影響、電圧調整器の下流側の電圧への影響を考慮するため、それぞれのパターンについて影響度に応じた重み付けを行って決定してもよい。
【0048】
出力部34は、推論部33による推論の結果に基づく、配電系統100への改修に関する情報を出力する。出力部34は、具体的には、配電系統100による送出電圧の変更案、ポイントP1,P2等における電圧調整器の設定値の変更案、ポイントP1,P2等における分散電源の容量の設定値の変更案、ポイントP1,P2等における電圧調整器または蓄電池の設置案、配電系統100の変更案、のいずれかまたは複数の情報を、配電系統100への改修に関する情報として出力する。
【0049】
また、出力部34は、後述する入力受付部35にて受け付けた電圧逸脱に対する修正値に基づく、配電系統100への改修に関する情報として、配電系統100における送出電圧の変更案(の値)、電圧調整器の設定値の変更案(の値)、分散電源の容量の設定値の変更案(の値)、のいずれかまたは複数の値を算出して出力してもよい。
【0050】
また、出力部34は、推論部33による推論の結果に基づく、電圧逸脱のおそれがある箇所の情報について出力してもよい。
【0051】
入力受付部35は、電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付ける。入力受付部35は、電圧逸脱に対する改修の際に、修正すべき値、例えば電圧を所定レベルの範囲内にするための値の入力を受け付ける。
【0052】
<処理の流れ>
図3及び図4を参照しながら、電圧管理支援装置1の制御部30による制御処理(電圧管理支援方法)の流れの一例について説明する。図3は、図2の制御部30による出力処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS101の処理として、制御部30の取得部31では、配電系統100の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する。配電系統100の所定の箇所は、任意に定められる箇所である。取得部31では、具体的には、配電系統100の当該箇所における線路亘長の値、電圧値、電流値等の情報が取得される。
【0054】
ステップS102の処理として、制御部30の推論部33では、機械学習モデル22に基づき、ステップS101で取得した電圧測定に関する情報から、配電系統100への改修についての推論を行う。ステップS102では、具体的には、電圧測定に関する情報に対して、配電系統100へどのような改修を行ったのか、について、トレーニング(学習)が行われた結果である機械学習モデル22の推論アルゴリズムに基づいて、配電系統100への改修についての推論を行う。
【0055】
ステップS103の処理として、制御部30の入力受付部35では、ステップS101で取得した電圧測定に関する情報の電圧値が逸脱している場合、電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付ける。ステップS103では、電圧逸脱に対する改修の際に、修正すべき値、例えば電圧を所定レベルの範囲内にするための値の入力を受け付ける。
【0056】
なお、ステップS101で取得した電圧測定に関する情報の電圧値が逸脱していない場合、または電圧逸脱に対する修正値の必要がない場合は、ステップS103の処理を行わなくてもよい。
【0057】
ステップS104の処理として、制御部30の出力部34では、ステップS102における推論の結果に基づく、配電系統100への改修に関する情報を出力する。ステップS104では、具体的には、配電系統100による送出電圧の変更案、ポイントP1,P2等における電圧調整器の設定値の変更案、ポイントP1,P2等における分散電源の容量の設定値の変更案、ポイントP1,P2等における電圧調整器または蓄電池の設置案、配電系統100の変更案、のいずれかまたは複数の情報を、配電系統100への改修に関する情報として出力する。これにより、配電系統100への改修案を把握することが可能になり、複数の改修案から適切な改修案を出力することが可能になる。
【0058】
図4は、図2の制御部30による学習処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4に示す学習処理は、所定の期間(毎日、週1回等)ごとに自動で行ってもよく、ユーザの指示操作により随時行ってもよい。
【0059】
ステップS201の処理として、制御部30の取得部31では、ステップS101の処理と同様に、配電系統100の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得する。配電系統100の所定の箇所は、任意に定められる箇所である。取得部31では、具体的には、配電系統100の当該箇所における線路亘長の値、電圧値、電流値等の情報が取得される。
【0060】
ステップS202の処理として、制御部30の学習部32では、ステップS101で取得した、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報と、に基づく機械学習を行う。ステップS202では、具体的には、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統100への改修に関する情報との間のパターンを認識して機械学習を行う。
【0061】
ステップS203の処理として、制御部30の学習部32では、ステップS202で行った機械学習の結果に基づき、機械学習モデル22を更新する。これにより、機械学習モデル22は最新の学習状態に更新される。
【0062】
図5を参照しながら、電圧管理支援装置1の学習部32による機械学習及び推論の手順について説明する。図5は、図2の学習部32による機械学習及び推論の手順を示すブロック図である。
【0063】
ステップS301の処理として、制御部30の取得部31は、機械学習を行うための教師データを収集する。教師データの例としては、電圧測定に関する情報であり、具体的には、配電系統100の所定の箇所(例えば、図1に示すポイントP1,P2)における線路亘長の値、電圧値、電流値、分散電源の位置や名称、自動電圧調整器の位置や名称、高圧負荷の位置や名称、低圧負荷の位置や名称、線路インピーダンスの値、過去の電圧逸脱及びその電圧逸脱に対する改修方法、電圧取得地点までの電圧降下の値を含む。また、教師データの例としては、配電系統100への改修に関する情報であり、具体的には、配電系統100による送出電圧の変更、配電系統100の所定の箇所における電圧調整器の設定値の変更(コンデンサの容量の変更、またはリアクトルの容量の変更)、配電系統100の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更、配電系統100の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置、配電系統100の変更の情報を含む。
【0064】
ステップS302の処理として、制御部30の学習部32は、ステップS201で収集した教師データによる教師あり機械学習を行い、機械学習モデル22を生成または更新する。
【0065】
ステップS303の処理として、制御部30の取得部31は、機械学習モデル22に基づく配電系統100への改修についての推論を行うための、入力データを取得する。入力データの例としては、電圧測定に関する情報であり、上記と同様である。
【0066】
ステップS304の処理として、制御部30の推論部33は、ステップS303で取得した入力データによる、配電系統100への改修についての推論を行う。
【0067】
ステップS305の処理として、制御部30の出力部34は、ステップS304の推論結果を出力する。
【0068】
<効果>
実施の形態1に係る電圧管理支援装置1及び電圧管理支援方法によれば、過去の電圧測定に関する情報、具体的には、配電系統100の所定の箇所、例えば、図1に示すポイントP1,P2等における線路亘長の値、電圧値、電流値、分散電源の位置や名称、自動電圧調整器の位置や名称、高圧負荷の位置や名称、低圧負荷の位置や名称、線路インピーダンスの値、過去の電圧逸脱、電圧取得地点までの電圧降下の値のいずれかまたは複数の情報を教師データとして機械学習を行う。また、配電系統100への改修に関する情報、具体的には、配電系統100による送出電圧の変更、配電系統100の所定の箇所、例えば、図1に示すポイントP1,P2における電圧調整器の設定値の変更、配電系統100の所定の箇所における分散電源の容量の設定値の変更、配電系統100の所定の箇所における電圧調整器または蓄電池の設置、配電系統100の変更のいずれかまたは複数の情報を教師データとして機械学習を行う。この機械学習の結果である機械学習モデル22に基づき、電圧測定に関する情報から、配電系統100への改修についての推論を行う。そのため、過去の電圧測定に関する情報における電圧の測定値が逸脱している場合に、どのように改修したのかを把握することが可能になる。さらに、複数の改修案から適切な改修案を出力することが可能になる。これにより、担当者の経験によらずに、電圧の測定値が逸脱している場合の改修方法を決定することが可能になる。
【0069】
また、電圧管理支援装置1及び電圧管理支援方法によれば、機械学習モデル22を更新する学習部32を備えている。これにより、最新の情報に基づく機械学習モデルの更新が可能になる。
【0070】
さらに、電圧逸脱に対する修正値の入力を受け付け、その修正値に基づく配電系統100への改修に関する情報として、配電系統100における送出電圧の変更案の値、電圧調整器の設定値の変更案の値、分散電源の容量の設定値の変更案の値、のいずれかまたは複数の値を算出して出力する。これにより、修正すべき値から逆算して各種設定値を算出すること可能になる。
【0071】
さらにまた、配電系統100における送出電圧、及び所定の箇所における測定電圧の時系列の情報から、電圧逸脱のおそれがある箇所について推論を行って出力する。そのため、電圧逸脱のおそれがある箇所を事前に特定することが可能になる。これにより、計画的な改修が可能になり、法定電圧の管理以外にも幅広い業務に適用することが可能になる。
【0072】
(実施の形態2(プログラム))
図6は、本発明の実施の形態2に係るコンピュータ(電子計算機)700の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ700は、CPU701、主記憶装置702、補助記憶装置703、インタフェース704を備える。
【0073】
ここで、実施形態1に係る取得部31と、学習部32と、推論部33と、出力部34と、入力受付部35とを構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。これらの機能ブロックは、コンピュータ700に実装される。そして、これらの各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置703に記憶されている。CPU701は、プログラムを補助記憶装置703から読み出して主記憶装置702に展開し、当該プログラムに従って上述の処理を実行する。また、CPU701は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置702に確保する。
【0074】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ700において、配電系統の所定の箇所における、電圧測定に関する情報を取得するステップと、過去の電圧測定に関する情報と、過去の電圧測定の結果による配電系統への改修に関する情報と、を教師データとする機械学習モデルに基づき、電圧測定に関する情報から、配電系統への改修についての推論を行うステップと、推論の結果に基づく、配電系統への改修に関する情報を出力するステップと、をコンピュータによって実現するプログラムである。
【0075】
なお、補助記憶装置703は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース704を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ700に配信される場合、配信を受けたコンピュータ700が当該プログラムを主記憶装置702に展開し、上述の処理を実行してもよい。
【0076】
また、当該プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、上述した機能を補助記憶装置703に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0077】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 :電圧管理支援装置
10 :通信部
20 :記憶部
21 :電圧測定データベース
22 :機械学習モデル
30 :制御部
31 :取得部
32 :学習部
33 :推論部
34 :出力部
35 :入力受付部
100 :配電系統
101 :変電所
102 :高圧線
103 :高圧引込線
104 :負荷
105 :変圧器
106 :低圧線
107 :低圧引込線
108 :負荷
700 :コンピュータ
701 :CPU
702 :主記憶装置
703 :補助記憶装置
704 :インタフェース
P1,P2 :ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6