(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043709
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】浴室除菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20240326BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20240326BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240326BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240326BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20240326BHJP
A61L 101/02 20060101ALN20240326BHJP
A61L 101/26 20060101ALN20240326BHJP
A61L 101/30 20060101ALN20240326BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L9/14
A61L9/01 E
A47K4/00
A61L101:06
A61L101:02
A61L101:26
A61L101:30
A61L101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148855
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀祐
(72)【発明者】
【氏名】浦田 宗幸
(72)【発明者】
【氏名】音羽 勇哉
【テーマコード(参考)】
2D132
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
2D132GA00
4C058AA07
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058JJ12
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA19
4C180CB01
4C180EA02X
4C180EA06X
4C180EA07X
4C180EA17X
4C180EA58X
4C180GG01
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK04
4C180LL01
4C180LL06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】除菌水の噴霧動作中に浴室のドアが開いても、浴室内の除菌効果の低減を抑制することができる浴室除菌システムを提供する。
【解決手段】浴室除菌システム20は、除菌水を生成する除菌水生成部と、除菌水を噴霧状に吐水するノズル部を備えた除菌水装置22と、浴室1内の空気を循環させて除菌水を気化させる浴室乾燥装置26と、除菌水装置と浴室乾燥装置26を制御する制御装置30と、浴室のドア9の開閉状態を検知するドアセンサと、を有し、制御装置は、除菌水装置による除菌水吐水動作と浴室乾燥装置による循環動作を実行する浴室除菌モードを備え、使用者からの指令により浴室除菌モードを実行し、制御装置は、除菌水装置による除菌水吐水動作と浴室乾燥装置による循環動作を停止させる除菌・循環停止モードを備え、浴室除菌モードの実行中に、ドアセンサによりドアが開いたことを検知した場合に、除菌・循環停止モードを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室を除菌する浴室除菌システムであって、
除菌水を生成する除菌水生成部と、除菌水を噴霧状に吐水する除菌水吐水部を備えた除菌水装置と、
上記浴室内の空気を循環させて除菌水を気化させる循環装置と、
上記除菌水装置と上記循環装置を制御する制御部と、
上記浴室のドアの開閉状態を検知するドアセンサと、を有し、
上記制御部は、上記除菌水装置による除菌水吐水動作と上記循環装置による循環動作を実行する浴室除菌モードを備え、使用者からの指令により上記浴室除菌モードを実行し、
上記制御部は、上記除菌水装置による除菌水吐水動作と上記循環装置による循環動作を停止させる除菌・循環停止モードを備え、上記浴室除菌モードの実行中に、上記ドアセンサにより上記ドアが開いたことを検知した場合に、上記除菌・循環停止モードを実行することを特徴とする浴室除菌システム。
【請求項2】
上記循環装置は、上記制御部からの指令により、浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作が実行可能であり、
上記制御部は、上記浴室除菌モード中に上記除菌・循環停止モードを実行するとき、上浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行するように、上記循環装置を制御する、請求項1に記載の浴室除菌システム。
【請求項3】
上記制御部は、上記浴室除菌モードを実行した後に、除菌水の吐水を停止して循環のみを実行する除菌循環モードを備え、
上記制御部は、上記除菌循環モードにおいて、上記ドアセンサが浴室のドアが開いたことを検出した場合、上記循環装置の循環動作を停止させる循環停止制御を実行する、請求項1に記載の浴室除菌システム。
【請求項4】
上記制御部は、上記除菌循環モード中に、上記循環停止制御を実行するとき、上記循環装置に浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行させる、請求項3に記載の浴室除菌システム。
【請求項5】
上記制御部は、上記除菌・循環停止制御を実行した後、ドアセンサがドアが閉じられたことを検知した場合、上記浴室除菌モードを実行して上記除菌水装置の除菌水吐水動作と上記循環装置の循環動作が動作復旧するようにした、請求項1に記載の浴室除菌システム。
【請求項6】
上記制御部は、除菌・循環停止制御を実行した後、上記ドアセンサが、ドアが開いたことを検知してから所定時間以内にドアが閉まったことを検知した場合、上記浴室除菌モードを実行して除菌水装置の除菌水吐水動作と上記循環装置の循環動作とが動作復旧するようした、請求項1に記載の浴室除菌システム。
【請求項7】
上記制御部は、上記循環停止制御を実行した後、ドアセンサがドアが閉じられたことを検知した場合、上記除菌循環モードを実行して上記循環装置の循環動作が動作復旧するようした、請求項3に記載の浴室除菌システム。
【請求項8】
上記制御部は、循環停止制御を実行した後、上記ドアセンサが、ドアが開いたことを検知してから所定時間以内にドアが閉まったことを検知した場合、上記除菌循環モードを実行して循環装置の循環動作が動作復旧するようにした、請求項3に記載の浴室除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室を除菌する浴室除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内の菌カビ汚れに対する使用者の不満は大きい。これを抑制するため、例えば、特許文献1に記載されているように、浴室の天井に取り付けられた電解水散布装置から浴室内にミスト状の電解水(除菌水)を散水して浴室内を除菌し、その後、換気するようにした浴室換気扇が知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載されているように、浴室の天井に取り付けられた電解水噴霧ユニットから電解水を噴霧して浴室の床面で増殖する酵母菌等に起因するぬめり等の汚れの発生を抑制し、さらに、その後に乾燥運転と送風運転を行って、浴室内での酵母菌等の増殖を効果的に抑制するようにした浴室暖房換気扇が知られている。
【0004】
一方、特許文献3及び特許文献4には、浴室内に湯水をミスト状に噴霧するミストサウナ装置が記載されている。これらの特許文献3及び4のミストサウナ装置においては、ミスト運転中に、ドアセンサにより浴室のドアが開いていること、又は、ドアが一定時間以上閉められてことが検知された場合には、ミスト運転を停止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-292183号公報
【特許文献2】特開2019-165831号公報
【特許文献3】特開2001-204788号公報
【特許文献4】特開平8-266584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術である特許文献1及び2に記載された装置においては、電解水(除菌水)を浴室の天井から散水しているので、電解水は見え掛かり部分に降り積もり、除菌の対象物の裏面や隙間に作用させることはできない。
そこで、従来技術による装置においては、電解水を散水後に、換気扇により浴室室内の空気を循環させて電解水を作用させることが考えられるが、散水された電解水のミストの粒径が細かいと循環中に電解水が気化して電解水中の有効成分の濃度が減衰し、除菌の対象物の裏面や隙間に到達するころには、除菌効果が無くなってしまう。さらに、電解水のミストが浴室内の様々の部位に付着し、それにより水垢が発生し、外観が損なわれるという問題が発生する。
【0007】
さらに、従来技術である特許文献1及び2に記載された装置において、浴室室内の空気を循環させて電解水を作用させているとき、使用者が誤って浴室のドアを開く場合が想定されるが、ドアが開くと、浴室内の気流が乱れてしまい、目標となる箇所に電解水の流れを向けることができなくなり、除菌効果を効果的に作用させることが困難となる。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは、上述した従来技術における問題点を解決するために、鋭意研究を進め、従来から行われていた、除菌水の噴霧距離、着水濃度、着水量等を考慮して浴室の除菌を行っていたことから更に発展させて、従来技術では除菌に使用されていない噴霧後に気化した除菌水の有効成分を浴室内に残る残水に溶解させることにより、浴室内のすみずみに行き渡らせ、浴室内のより広い範囲を除菌することができることを見出した。
【0009】
本発明の発明者らは、さらに、研究を進め、除菌水を噴霧状に吐水する動作中に浴室のドアが誤って開かれた場合であっても、除菌効果の低減を抑制することができることを見出した。
【0010】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、除菌水が直接付着できない部位まで除菌効果を得ることより、広い範囲で除菌することができ、さらに、除菌水の噴霧動作中にドアが開いても、除菌効果の低減を抑制することができる浴室除菌システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の本発明の目的を達成するために、本発明は、浴室を除菌する浴室除菌システムであって、除菌水を生成する除菌水生成部と、除菌水を噴霧状に吐水する除菌水吐水部を備えた除菌水装置と、浴室内の空気を循環させて除菌水を気化させる循環装置と、除菌水装置と上記循環装置を制御する制御部と、浴室のドアの開閉状態を検知するドアセンサと、を有し、制御部は、除菌水装置による除菌水吐水動作と循環装置による循環動作を実行する浴室除菌モードを備え、使用者からの指令により浴室除菌モードを実行し、
制御部は、除菌水装置による除菌水吐水動作と循環装置による循環動作を停止させる除菌・循環停止モードを備え、浴室除菌モードの実行中に、ドアセンサによりドアが開いたことを検知した場合に、除菌・循環停止モードを実行することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、制御部が、除菌水装置による除菌水吐水動作と循環装置による循環動作を実行する浴室除菌モードを備え、使用者からの指令により浴室除菌モードを実行し、さらに、除菌水装置による除菌水吐水動作と循環装置による循環動作を停止させる除菌・循環停止モードを備え、浴室除菌モードの実行中に、ドアセンサによりドアが開いたことを検知した場合に、除菌・循環停止モードを実行するようにしている。そのため、本発明によれば、浴室除菌モードの実行中にドアが開いて使用者が誤って浴室内に入った場合等でも、除菌・循環停止モードが実行されるので、使用者が除菌水により濡れることや、浴室外に除菌水が無駄に排出することを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、循環装置は、制御部からの指令により、浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作が実行可能であり、制御部は、浴室除菌モード中に除菌・循環停止モードを実行するとき、浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行するように、循環装置を制御する。
このように構成された本発明においては、制御部が、浴室除菌モード中に除菌・循環停止モードを実行するとき、浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行するように、循環装置を制御するので、除菌・循環停止モードにより浴室内への除菌水と吐水を停止するだけではなく、浴室内の空気を浴室外に排出することにより、浴室内の除菌水を浴室外に排出することができる。これにより、本発明によれば、除菌水により濡れてしまう等の使用者の不快感を抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御部は、浴室除菌モードを実行した後に、除菌水の吐水を停止して循環のみを実行する除菌循環モードを備え、制御部は、除菌循環モードにおいて、ドアセンサが浴室のドアが開いたことを検出した場合、循環装置の循環動作を停止させる循環停止制御を実行する。
このように構成された本発明においては、制御部が、浴室除菌モードを実行した後に、除菌水の吐水を停止して循環のみを実行する除菌循環モードにおいて、ドアセンサが浴室のドアが開いたことを検出した場合、循環装置の循環動作を停止させる循環停止制御を実行するので、除菌水の吐水の停止後であっても、浴室内には除菌水が浮遊しているため、循環動作を停止させることにより、気流の流れが止まり、浴室外などに除菌水を無駄に排出することを抑制できる。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御部は、除菌循環モード中に、循環停止制御を実行するとき、循環装置に浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行させる。
このように構成された本発明においては、制御部が、除菌循環モード中に、循環停止制御を実行するとき、循環装置に浴室内の空気を浴室外に排出する換気動作を実行させるので、使用者の身体が濡れてしまう等の不快感を抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、制御部は、除菌・循環停止制御を実行した後、ドアセンサがドアが閉じられたことを検知した場合、浴室除菌モードを実行して除菌水装置の除菌水吐水動作と循環装置の循環動作が動作復旧するようにした。
このように構成された本発明においては、制御部が、除菌・循環停止制御を実行した後にドアが閉まった場合には、浴室除菌モードを実行して除菌水装置の除菌水吐水動作と循環装置の循環動作を動作復旧するようにしたので、開いたドアが再び閉じられた場合には、除菌水吐水動作と循環動作を動作復旧させて、再び浴室を除菌することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、制御部は、除菌・循環停止制御を実行した後、ドアセンサが、ドアが開いたことを検知してから所定時間以内にドアが閉まったことを検知した場合、浴室除菌モードを実行して除菌水装置の除菌水吐水動作と循環装置の循環動作とが動作復旧するようした。
このように構成された本発明においては、制御部が、除菌・循環停止制御を実行した後にドアが開いてから所定時間以内に閉まった場合には、浴室除菌モードを実行して除菌水装置の除菌水吐水動作と循環装置の循環動作を動作復旧するようにしたので、所定時間以内にドアが閉じられた場合(例えば、浴室内の忘れ物を少しの時間だけドアを開いたような場合)には、除菌水装置及び循環装置を自動復旧するので、吐水装置の電極の寿命を節約しつつ十分な菌カビ抑制効果を得ることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、制御部は、循環停止制御を実行した後、ドアセンサがドアが閉じられたことを検知した場合、除菌循環モードを実行して循環装置の循環動作が動作復旧するようした。
このように構成された本発明においては、制御部が、循環停止制御を実行した後にドアが開いてから閉まった場合には、除菌循環モードを実行して循環装置の循環動作を動作復旧するようにしたので、開いたドアが再び閉じられた場合には、循環動作を自動復旧させて、再び浴室を除菌することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、制御部は、循環停止制御を実行した後、ドアセンサが、ドアが開いたことを検知してから所定時間以内にドアが閉まったことを検知した場合、除菌循環モードを実行して循環装置の循環動作が動作復旧するようにした。
このように構成された本発明においては、制御部が、循環停止制御を実行した後にドアが開いてから所定時間以内に閉まった場合(例えば、浴室内の忘れ物を少しの時間だけドアを開いたような場合)には、除菌循環モードを実行して循環装置の循環動作を動作復旧するので、十分な菌カビ抑制効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の浴室除菌システムによれば、除菌水が直接付着できない部位まで除菌効果を得ることより、広い範囲で除菌することができ、さらに、除菌水の噴霧動作中にドアが開いても、除菌効果の低減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による浴室除菌システムが使用される浴室を示す斜視図である。
【
図2】
図1のカウンター近傍を拡大した斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿って見た吐水装置の部分断面図である。
【
図4】
図4(a)は吐水装置のノズル部を示す正面図であり、
図4(b)はA-A線に沿って見た断面図である。
【
図5】吐水装置のノズル部の除菌水用ノズル開口から除菌水を散水している様子を示す斜視図である。
【
図6】吐水装置のノズル部の滞留水用ノズル開口から水道水を散水している様子を示す斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の実施形態による浴室除菌システムの浴室乾燥装置を示す断面図であり、
図7(a)は「換気ダンパ開の状態」を示し、
図7(b)は「換気ダンパ閉の状態」を示している。
【
図8】本発明の実施形態による浴室除菌システムの浴室を示す平面断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による浴室除菌システムによる基本動作を示すタイムチャートである。
【
図10】本発明の実施形態による浴室除菌システムによる基本動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態による浴室除菌システムが実行する「除菌水吐水動作」を説明する構成図及び表である。
【
図12】本発明の実施形態による浴室除菌システムの原理の一部を説明するための線図である。
【
図13】本発明の実施形態による浴室除菌システムの第1例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態による浴室除菌システムの第2例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態による浴室除菌システムの第3例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に、
図1及び
図2により、本発明の実施形態による浴室除菌システムが使用される浴室について説明する。
図1は本発明の実施形態による浴室除菌システムが使用される浴室を示す斜視図であり、
図2は
図1のカウンター近傍を拡大した斜視図である。
図1に示すように、浴室1は、ほぼ直方体の4つの側面を形成する第1壁2、第2壁4、第3壁6及び第4壁8を備えている。この第1壁2には、破線で記載された使用者により開閉可能なドア9が取り付けられている。第2壁4の側には浴槽10が設けられ、第4壁8と浴槽10の間の下方には洗い場床12が設けられている。この洗い場床12の浴槽10の近傍には排水口14が設けられ、この排水口14から湯水が外部に排出されるようになっている。
【0022】
第3壁6の側の一部にはカウンター16が設けられている。第3壁6のカウンター16の上方には、鏡、給水栓、シャワーホースなどが設けられている。カウンター16の下面側には、本実施形態による浴室除菌システム20の一部を構成する除菌水及び水道水(水)を吐水するための吐水装置22が設けられている。
【0023】
上述した第1壁2乃至第4壁8の上端には天井24が取り付けられ、この天井24には、浴室除菌システム20の一部を構成する浴室1内の空気を換気して乾燥させるための浴室乾燥装置26が設けられている。この浴室乾燥装置26は、後述するように、散水された除菌水を気化させるための装置である。
さらに、浴室1の外部には、浴室除菌システム20を操作するための操作パネル28と、上述した吐水装置22及び浴室乾燥装置26の動作を操作するための制御装置30が設けられている。
【0024】
本実施形態の変形例として、操作パネル28は、スマートフォンやリモコン等の電子機器の画面上に表示される操作画面として形成されてもよい。すなわち、操作パネル28は、このような操作画面上の操作ボタンにおいて使用者からの操作入力を受け付ける操作部を形成していてもよい。このとき、スマートフォンやリモコン等の電子機器の操作パネル28は、制御部30とインターネットや赤外線通信等の無線通信により電気的に接続される。また、他の変形例として、操作パネル28は、音声入力により使用者からの操作入力を受け付ける音声操作部や、使用者の手指等のジェスチャー操作入力により使用者からの操作入力を受け付ける(例えば使用者が手指等を所定の空間に一定時間かざすことにより使用者の手指等を検出して操作入力として検出し操作入力を受け付ける等)ジェスチャー操作部であってもよい。
【0025】
図2に示すように、カウンター16は、天板16aと下カバー16bとを有しており、洗い場床12から上方に離間して設けられている。
【0026】
次に、
図3乃至
図6により、吐水装置22について説明する。
図3は
図1のIII-III線に沿って見た吐水装置の部分断面図であり、
図4(a)は吐水装置のノズル部を示す正面図であり、
図4(b)はA-A線に沿って見た断面図であり、
図5は吐水装置のノズル部の除菌水用ノズル開口から除菌水を散水している様子を示す斜視図であり、
図6は吐水装置のノズル部の滞留水用ノズル開口から水道水を散水している様子を示す斜視図である。
【0027】
図3に示すように、カウンター16の内部(天板16aと下カバー16bとの間)には、吐水装置22が設けられ、この吐水装置22は、カウンター16の下カバー16bから下方に突出するノズル部32を備えている。
図2にも示すように、ノズル部32は、カウンター16の下部に、洗い場床12から離間した位置に配置され、さらに、ノズル部32は、カウンター16の横方向における中央付近、すなわち、洗い場床12の横方向における中央付近に設けられている。
【0028】
図3に戻り、吐水装置22は、第1ストレーナ36と、第1電磁弁38と、第2電磁弁40と、調圧弁42と、バキュームブレーカ44と、逆止弁46と、除菌水生成部48と、第2ストレーナ50と、が設けられている。第1ストレーナ36は、外部の給水管(図示せず)と接続されており、第1ストレーナ36の下流において、水道水の流路は2つに分岐している。なお、バキュームブレーカ44は設けなくても良い。
【0029】
第1ストレーナ36の下流側の一方の流路51は、第1電磁弁38を介して、水道水を直接的にノズル部32に供給するようになっている。第1電磁弁38を開くことにより水道水がノズル部32に供給されるようになっている。この一方の流路51に設けられた第1電磁弁38及びノズル部32が、洗い場床12に水道水を散水して、洗い場床12に残留水を形成するので「残留水形成手段」に相当する。
【0030】
第1ストレーナ36の下流側の他方の流路52には、上流側から順に、第2電磁弁40、調圧弁42、バキュームブレーカ44、逆止弁46、除菌水生成部48、第2ストレーナ50が接続されており、除菌水をノズル部32に供給するようになっている。
【0031】
第1電磁弁38及び第2電磁弁40は、それぞれ、水道水の上述した流路51、52を開く動作、及び、水道水の流路51、52を閉じる動作、を行うようになっている。
【0032】
調圧弁42は、供給される水道水の圧力を制御するようになっている。これにより、詳細は後述する除菌水生成部48に供給される水道水の流量を所望の値に調整することができる。除菌水生成部48に供給される水道水の流量を調整することにより、ノズル部32に供給される除菌水の流量が調整される。なお、調圧弁42の代わりに、あるいは、調圧弁42に加えて、第2電磁弁40により水道水の流量を調整してもよい。
【0033】
除菌水生成部48は、陽極と陰極とを有する電解室(電解槽)である。除菌水生成部48は、陽極と陰極との間に電圧を印加して、それら電極の間を流れる水道水を電気分解することにより、次亜塩素酸を含む除菌水を生成するようになっている。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。ここで、除菌水生成部48は「除菌水生成部」に相当し、ノズル部32が「除菌水吐水部」に相当する。
【0034】
第1電磁弁38、第2電磁弁40、調圧弁42及び除菌水生成部48は、制御装置30により適宜に制御されるようになっている。これにより、ノズル部32からの水道水の散水と、ノズル部32からの殺菌水の散水と、を互いに独立に制御できるようになっている。
【0035】
具体的には、第1電磁弁38及び第2電磁弁40は、制御装置30からの信号に基づいて、水道水の流路51、52の開閉を行う。これにより、下流側に供給される水道水の流量が制御される。また、除菌水生成部48は、制御装置30からの信号に基づいて、電解室のON/OFF等を切り替える。このようにして制御装置30は、除菌水における各種構成成分の濃度、吐水される水道水及び除菌水の瞬間流量(単位時間当たりの流量)、吐水される除菌水の総水量、を制御することができる。
【0036】
上述した除菌水は、菌や黴、酵母を減少させる機能を有する機能水であり、例えば、次亜塩素酸を含む水である。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。その結果、電気分解された水は、次亜塩素酸(HOCl)を含む液に変化する。この次亜塩素酸が気化して除菌水ガス(Cl2O)となる。この一酸化二塩素が、除菌水ガスの有効成分である。
除菌水は、金属イオン水(例えば、銀イオン、銅イオンまたは亜鉛イオンなどの金属イオンを含む水)またはオゾンを含む水であってもよい。例えば、水道水が電気分解される際、陰極においては酸(H+)が消費され、陰極の近傍ではpHが上昇する。すなわち、陰極の近傍では、アルカリ水が生成される。一方、陽極においてはアルカリ(OH-)が消費され、陽極の近傍ではpHが下降する。すなわち、陽極の近傍では、酸性水が生成される。除菌水生成部48における流量を変化させることにより、除菌水に含まれる成分の濃度を制御することができる。この場合、銀イオンや銅イオンまたは亜鉛イオンなどの金属イオン、もしくは、オゾン(O3)が、気化された有効成分である。
なお、上述した除菌水生成部48では、電気分解して除菌水を生成しているが、これに限定されことなく、例えば、除菌剤を水道水に溶解させて除菌水を生成するようにしてもよい。
【0037】
本実施形態において、気化した除菌水の有効成分における「有効」とは、例えば対象物に付着している菌やカビ、酵母の減菌率が10%以上であることを指す。詳述すると、対象物に付着していた菌やカビ、酵母の量に対して、気化した除菌水によって、該対象物に付着している菌やカビ、酵母の量の割合が、90%以下になった場合、気化した除菌水が有効であったと定義する。
【0038】
本実施形態において、詳細は後述するが、ノズル部32は、電動モータ53によって回転駆動されるようになっている。電動モータ53は、例えばステッピングモータからなる。
電動モータ53は、制御装置30によって制御されるようになっている。これにより、ノズル部32は、制御装置30からの信号に基づいて電動モータ53が制御されることにより、回転角度や回転速度が変化するようになっている(
図11参照)。また、制御装置30には、除菌作業を開始するためのスイッチを備えた操作パネル28が接続されていて、浴室利用者が除菌作業以外についても適宜の操作を行うことができるようになっている。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、ノズル部32は、第1通水部(滞留水通水部)54と、第2通水部(除菌水通水部)56と、滞留水通水部54に形成された滞留水用ノズル開口58と、除菌水通水部56に形成された除菌水用ノズル開口60と、を有している。
【0040】
第1電磁弁38を通過した水道水は、第1貯水部54内に供給され、第1ノズル開口58から吐水されるようになっている。除菌水生成部48によって生成された除菌水は、第2貯水部56内に供給され、第2ノズル開口60から吐水されるようになっている。
【0041】
図5及び
図6に示すように、滞留水用ノズル開口58から水道水が垂直方向に広がるように吐水され、除菌水用ノズル開口60から除菌水が垂直方向に広がるように吐水される。さらに、ノズル部32が電動モータ53により軸線を中心に回転することにより、水平方向の広い範囲に水道水及び除菌水を吐水することができるようになっている。
【0042】
次に、
図7により、浴室1の天井24に設けられた浴室乾燥装置26について説明する。
図7は本発明の実施形態による浴室除菌システムの浴室乾燥装置を示す断面図であり、
図7(a)は「換気ダンパ開の状態」を示し、
図7(b)は「換気ダンパ閉の状態」を示している。
【0043】
図7に示すように、浴室乾燥装置26は、ハウジング70を備え、このハウジング70の下部は開口72を介して浴室1の内部に連通している。ハウジング70内には、ファン74が設けられ、電動モータにより回転し、このファン74の回転により、浴室1内の空気を吸引するようになっている。さらに、ハウジング70内のファン74の下流側には、排気ダンパ76とヒータ78が設けられている。さらに、排気ダンパ76の下流側には、排出口80が設けられている。
【0044】
図7(a)に示すように、浴室乾燥装置26により浴室1内を換気する場合には、排気ダンパ76が開操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気が排出口80から外部に排出されるようになっている。
【0045】
次に、
図7(b)に示すように、先ず、入浴前及び入浴中に浴室1内を暖房する場合には、排気ダンパ76が閉操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気はヒータ78により温められ、この温められた空気が開口72から浴室1内に戻るようになっている。このようにして、浴室1内の空気が浴室乾燥装置26との間で循環され、浴室1内の空気が所望の温度(例えば20℃)に維持されるようになっている。
【0046】
本実施形態による浴室除菌システム20により「除菌水吐水」を行う場合も、
図7(b)に示すように、排気ダンパ76が閉操作され、ファン74により吸引された浴室1内の空気はヒータ78により温められ、この温められた空気が開口72から浴室1内に戻り、浴室1内の空気が浴室乾燥装置26との間で循環されるようになっている。このとき、浴室1内は換気されていないので、浴室1内の空気は浴室1内に閉じ込められている。
【0047】
次に、
図8に示すように、浴室1の第1壁2のドア9の一端部9aに対向する位置に、ドア9の開閉状態を検知するドアセンサ82が設けられている。このドアセンサ82には、既知の磁気センサや光センサ等が使用されている。ドアセンサ82が磁気センサの場合には、一端部9aに磁性体を設け、この磁性体の磁力を磁気センサが検知して、ドア9の開閉を検知する。また、ドアセンサ82が光センサの場合には、一端部9aに反射体を設け、この反射体により反射された照射光を検知してドア9の開閉を検知する。
このドアセンサ82として、他に、ドア9のロック状態を検知することによりドア9の開閉を検知するドアロックセンサを使用しても良いし、浴室1内に人が進入したことを検知することによりドアの開閉を検知する人体検知センサを使用しても良い。
【0048】
次に、
図9及び
図10により、本実施形態による浴室除菌システム20による実行される「予洗い」及び「除菌水吐水」について説明する。
図9は本発明の実施形態による浴室除菌システムによる基本動作を示すタイムチャートであり、
図10は本発明の実施形態による浴室除菌システムによる基本動作を示すフローチャートである。
【0049】
先ず、
図9に示すように、運転開始から12分間の間、浴室乾燥装置26は浴室1内の空気の換気を行い(
図7(a)参照)、この状態で、吐水装置22は、浴室1の洗い場床12に向けて水を散水して「予洗い」を実行する。
【0050】
次に、開始から12分経過したら、34分の間、浴室乾燥装置26は、排気ダンパー76を閉じて換気を停止し(
図7(b)参照)、その状態でヒータ78をONとして浴室1内の空気を温め、温まった空気を循環させる。
吐水装置22は、開始から12分経過したら、4分の間、吐水装置22による水の吐水を停止して、待機する。その後、30分の間、吐水装置22は、後述する
図11に示すように、間欠的に「除菌水吐水」を行い、その後、「除菌水吐水」を終了する。
【0051】
吐水装置22が「除菌水吐水」を行っているとき、浴室乾燥装置26は、排気ダンパー76を閉じて換気を停止し、ヒータ78により浴室1内の空気を温め、温まった空気を循環させるようにしているので、この循環空気により、吐水された除菌水は揮発して気化する。暖まった空気の循環は、除菌水の気化に有効であるが、ヒータ78をOFFにして、単に送風させるだけでも、除菌水を気化させることができる。
【0052】
浴室乾燥装置26は、その後、26分の間、排気ダンパ76を閉じて換気を停止した状態を継続し、ヒータ78をOFFにして浴室1内の空気を循環させる。その後、24時間の間、浴槽乾燥装置26は、排気ダンパ76を開いて浴室1内の空気の換気を行い(
図7(a)参照)、その後、換気を終了する。
【0053】
次に、
図10により、本実施形態による浴室除菌システムにより実行される制御フローを説明する。
図10に示される制御フローと、上述した
図9による説明とは、基本動作は同じである。なお、
図10において、「S」は各ステップを示す。
【0054】
図10に示すように、S1において、操作パネル26に設けられた浴室除菌システムの運転を開始するためのスイッチをONとする。S2に進み、浴槽乾燥装置(乾燥装置)26による換気運転を開始し、同時に、吐水装置22による「予洗い」運転も開始する。
次に、S3に進み、12分経過したか否かを判定する。12分経過までは、S2の運転を継続する。
【0055】
この吐水装置22による「予洗い」運転により、洗い場床12に、必要な量の残留水を形成することができ、この残留水に後述する気化した除菌水の有効成分が溶解して、さらなる除菌効果を得ることができる。
【0056】
S3において、12分経過したと判定した場合には、S4に進み、乾燥装置26による換気運転は停止し(排気ダンパが閉じられる)、且つ、吐水装置22による「予洗い」運転も停止する。
【0057】
次に、S5に進み、吐水装置22が「予洗い」運転を停止して4分待機したか否かを判定する。4分待機するまでは、S6に進み、浴室内温度が20℃以上か否かを判定し、20℃以上でない場合には、S7に進み、乾燥装置26のヒータ78をONとし、浴室内の空気を暖めて循環させる循環運転を行う。このS7における動作は、浴室室内の温度が20℃以上でない場合には、S4において乾燥装置の排気停止が行われた後直ぐに実行される。さらに、S6において、浴室内温度が20℃以上であると判定された場合には、S8に進み、乾燥装置は、排気ダンパを閉じた状態で、空気を循環させる循環運転を行う。
【0058】
S5において、吐水装置22が4分待機したと判定された場合には、S9に進み、吐水装置22により「除菌水吐水」を開始する。この「除菌水吐水」については、この後、
図11により詳細に説明する。
【0059】
次に、S10に進み、吐水装置22が「除菌水吐水」が開始されてから30分経過したか否かを判定する。30分経過するまでは、S11に進み、浴室内温度が20℃以上か否かを判定し、20℃以上でない場合には、S12に進み、乾燥装置26は、排気ダンパ76を閉じた状態で、ヒータ78をONとし、浴室内の空気を暖めて循環させる循環運転を行う。このS12における動作は、浴室室内の温度が20℃以上でない場合には、S9において吐水装置22による除菌水吐水が行われた後直ぐに実行される。さらに、S11において、浴室内温度が20℃以上であると判定された場合には、S13に進み、乾燥装置26は、排気ダンパ76を閉じた状態で、空気を循環させる循環運転を行う。
【0060】
このようにして、吐水装置22から「除菌水吐水」された除菌水には、乾燥装置26により暖まった循環空気が作用し、これにより、除菌水が気化し、この気化した除菌水の有効成分が上述した洗い場床12上に残留した残留水に溶解して、除菌効果を向上させている。なお、浴室内の温度が20℃以上の場合には、ヒータ78をOFFしても、除菌水を容易に気化させることができる。
【0061】
S10において、吐水装置22による除菌水吐水が開始された後に30分経過したと判定された場合には、S14に進み、乾燥装置26のヒータ78をOFFして、排気ダンパ76が閉じた状態で循環運転を行う。このとき、吐水装置22による「除菌水吐水」を停止する。
【0062】
次に、S15に進み、S14にて乾燥装置26のヒータ78をOFFした後に26分経過したか否かを判定する。26分経過していれば、S16に進み、乾燥装置26の排気ダンパ76を閉じた状態での循環運転を停止する。次に、S17に進み、乾燥装置26において、排気ダンパ76を開いた状態で、換気運転を24時間継続する。これにより、本実施形態による浴室除菌システムによる浴室の除菌動作は終了する。
【0063】
次に、
図11により吐水装置22により実行される「除菌水吐水動作」について説明する。
図11は本発明の実施形態による浴室除菌システムが実行する「除菌水吐水動作」を説明する構成図及び表である。
図11に示すように、吐水装置22のノズル部32の除菌水用ノズル開口60から、浴室1の洗い場床12に向けて、除菌水が吐水(散水)される。このとき、ノズル部32は回転することができるので、順番に、動作1→動作2→動作3→動作4→動作5→動作6→動作7を実行する。動作7では、ノズル部32は停止し、除菌水の吐水は行わない。また、除菌水の吐水範囲は、25度から335度の範囲である。また、ノズル部32が回転する角速度は、洗い場床12の中央領域(動作2、5)は遅く、両側領域(動作1、3、4、6)では早くしており、洗い場床12の中央領域になるべく多くの量の除菌水が散水されるようになっている。さらに、動作1~7までの動作は約2.5分間行われ、この吐水装置22の間欠的な吐水動作が12周に亘って行われるので、合計約30分間、除菌水吐水が行われる。
【0064】
次に、
図12を参酌して、本実施形態による浴室除菌システムの基本原理について説明する。
図12は本発明の実施形態による浴室除菌システムの原理の一部を説明するための線図である。
図12に示すように、従来は、塩素濃度Aの除菌水がノズルから散水され、除菌水が除菌対象の到達点に達したときに、「効果を発揮する濃度B」であることが必要であり、さらに、除菌水の到達点における「着水量」と「作用時間」も重要であった。
【0065】
この従来技術においては、ノズルから散水された除菌水が到達点に到達するまでの間に、揮発(気化)し、それにより、除菌水の濃度が低下するという問題があった。そのため、到着点における「濃度×着水量×作用時間」を考慮して除菌水を散水する必要があり、広い範囲で浴室を除菌することが難しかった。
【0066】
ここで、除菌水がノズルから到達点に到達するまでの間に、揮発(気化)した除菌水の有効成分は何ら除菌作業に活用されていないので、本発明者らは、この揮発(気化)した除菌水の有効成分を除菌作業に活用することを見出した。即ち、揮発(気化)した除菌水を、上述した「予洗い」動作等により洗い場床や浴槽エプロン、カウンター裏、壁等に残った残水に、溶解させ、これにより、気化した除菌水の有効成分を活用し、広範囲な除菌を可能としたのである。
【0067】
次に、
図13により、本実施形態による浴室除菌システムの第1例によるドアが開状態となったときの動作について説明する。この第1例は、浴室乾燥装置26によるヒータON循環運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行っている最中に、使用者によりドア9が開かれた場合の動作の一例である。
図13は本発明の実施形態による浴室除菌システムの第1例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
図13において、「T」は各ステップを示す。
【0068】
図13に示すように、T1において、操作パネル28のスイッチをONし、T2において、吐水装置22により「予洗い」動作を開始する。次に、T3に進み、12分経過したか否かを判定する。12分経過した場合には、T4に進み、吐水装置22の「予洗い」動作を停止する。次に、T5に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を閉じた状態で、ヒータON循環運転を行い、さらに、吐水装置22により、間欠除菌水吐水も開始する。
【0069】
次に、T6に進み、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態でなく閉じられている場合(NOの場合)には、T7に進む。T7において、浴室乾燥装置26により、ヒータOFF循環運転を行い、さらに、吐水装置22による除菌水吐水を停止する。次に、T8に進み、26分経過したか否かを判定する。26分経過した場合には、T9に進み、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転を停止する。次に、T10に進み、浴室乾燥装置22により24時間換気運転を行う。
【0070】
次に、T6において、ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、T11に進む。T11において、浴室乾燥装置26によるヒータON循環運転を停止し、さらに、吐水装置22による間欠除菌水吐水も停止する。次に、T12に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を開いた状態で、換気運転を行う。
【0071】
次に、T13に進み、再度、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、T10に進み、ドア9が閉じられている場合(NOの場合)には、T5に戻り、浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行い、これにより、浴槽乾燥装置26及び吐水装置22の動作を復旧させる。この後、再び、T6を経て、T7~T10に進み、動作が終了する。
【0072】
次に、
図14により、本実施形態による浴室除菌システムの第2例によるドアが開状態となったときの動作について説明する。この第2例は、浴室乾燥装置26によるヒータON循環運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行っている最中に、使用者によりドア9が開かれた場合で、さらに、このドアの開状態が所定時間以内かそうでない場合における動作の一例である。
図14は本発明の実施形態による浴室除菌システムの第2例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
図14において、「P」は各ステップを示す。
【0073】
図14に示すように、P1において、操作パネル28のスイッチをONし、P2において、吐水装置22により「予洗い」動作を開始する。次に、P3に進み、12分経過したか否かを判定する。12分経過した場合には、P4に進み、吐水装置22の「予洗い」動作を停止する。次に、P5に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を閉じた状態で、ヒータON循環運転を行い、さらに、吐水装置22により、間欠除菌水吐水も開始する。
【0074】
次に、P6に進み、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態でなく閉じられている場合(NOの場合)には、P7に進む。P7において、浴室乾燥装置26により、ヒータOFF循環運転を行い、さらに、吐水装置22による除菌水吐水を停止する。次に、P8に進み、26分経過したか否かを判定する。26分経過した場合には、P9に進み、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転を停止する。次に、P10に進み、浴室乾燥装置22により24時間換気運転を行う。
【0075】
次に、P6において、ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、P11に進む。P11において、浴室乾燥装置26によるヒータON循環運転を停止し、さらに、吐水装置22による間欠除菌水吐水も停止する。次に、P12に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を開いた状態で、換気運転を行う。
【0076】
次に、P13に進み、再度、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、P10に進み、ドア9が閉じられている場合(NOの場合)には、P14に進む。P14では、P6にてドア9が開いたことを検知してからP13にてドア9が閉じたことを検知するまでの時間が所定時間以内であるか否かを判定する。所定時間以内ではない場合(NOの場合)には、P10に進む。所定時間以内の場合(YESの場合)には、P5に戻り、浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行い、これにより、浴槽乾燥装置26及び吐水装置22の動作を復旧させる。なお、復旧した際には、浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水が通常行われる時間から、ドア9が開く前に浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行っていた時間の、差分の時間だけ運転するような動作であっても良い。この後、再び、P6を経て、P7~P10に進み、動作が終了する。
【0077】
ここで、P14における所定時間は、P11における浴槽乾燥装置26及び吐水装置22の運転停止から、1時間以内が好ましく、さらに、1秒から10分以内がより好ましい。
【0078】
次に、
図15により、本実施形態による浴室除菌システムの第3例によるドアが開状態となったときの動作について説明する。この第3例は、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水が停止している最中に、使用者によりドア9が開かれた場合で、さらに、このドアの開状態が所定時間以内かそうでない場合における動作の一例である。
図15は本発明の実施形態による浴室除菌システムの第3例によるドアが開状態となったときの動作を示すフローチャートである。
図14において、「Q」は各ステップを示す。
【0079】
図15に示すように、Q1において、操作パネル28のスイッチをONし、Q2において、吐水装置22により「予洗い」動作を開始する。次に、Q3に進み、12分経過したか否かを判定する。12分経過した場合には、P4に進み、吐水装置22の「予洗い」動作を停止する。次に、Q5に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を閉じた状態で、ヒータON循環運転を行い、さらに、吐水装置22により、間欠除菌水吐水も開始する。
【0080】
次に、Q7に進み、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態でなく閉じられている場合(NOの場合)には、Q8に進み、26分経過したか否かを判定する。26分経過した場合には、Q9に進み、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転を停止する。次に、Q10に進み、浴室乾燥装置22により24時間換気運転を行う。
【0081】
次に、Q7において、ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、Q11に進み、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転を停止する。次に、Q12に進み、浴室乾燥装置26により、排気ダンパ76を開いた状態で、換気運転を行う。
【0082】
次に、Q13に進み、再度、ドアセンサ82によりドア9が開状態か否かを判定する。ドア9が開状態の場合(YESの場合)には、Q10に進み、ドア9が閉じられている場合(NOの場合)には、Q14に進む。Q14では、Q7にてドア9が開いたことを検知してからQ13にてドア9が閉じたことを検知するまでの時間が所定時間以内であるか否かを判定する。所定時間以内ではない場合(NOの場合)には、Q10に進む。所定時間以内の場合(YESの場合)には、Q6に戻り、浴室乾燥装置26によるヒータOFF循環運転を停止し且つ吐水装置22による間欠除菌水吐水の停止は継続し、これにより、浴槽乾燥装置26の動作を復旧させる。なお、復旧した際には、浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水が通常行われる時間から、ドア9が開く前に浴室乾燥装置26によるヒータON運転及び吐水装置22による間欠除菌水吐水を行っていた時間の、差分の時間だけ運転するような動作であっても良い。この後、再び、Q7を経て、Q8~Q10に進み、動作が終了する。
【0083】
ここで、Q14における所定時間は、上述した第2例のP14の所定時間よりも短い時間であり、さらに、Q11における浴槽乾燥装置26のヒータOFF循環運転停止から、30分以内が好ましく、さらに、1秒から5分以内がより好ましい。
【0084】
ここで、上述した第3例において、所定時間か否かを判定するためのQ14は、第1例と同様に、省略してもよい。この場合には、
図15のQ13においてNOと判定された場合、Q6に戻ることになる。
【0085】
次に、上述した本実施形態による浴室除菌システムの作用効果を説明する。
第1に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、除菌水装置22による除菌水吐水動作と浴室乾燥装置26による循環動作を実行する浴室除菌モード(
図13のT5、
図14のP5、
図15のQ5が対応している)を備え、使用者からの指令により浴室除菌モードを実行し、さらに、除菌水装置22による除菌水吐水動作と浴室乾燥装置26による循環動作を停止させる除菌・循環停止モード(
図13のT11、
図14のP11が対応している)を備え、浴室除菌モードの実行中に、ドアセンサ82によりドア9が開いたことを検知した場合に、除菌・循環停止モードを実行するようにしている。そのため、本実施形態によれば、浴室除菌モードの実行中にドア9が開いて使用者が誤って浴室1内に入った場合等でも、除菌・循環停止モードが実行されるので、使用者が除菌水により濡れることや、浴室1外に除菌水が無駄に排出することを抑制することができる。
【0086】
第2に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、浴室除菌モード中に除菌・循環停止モードを実行するとき、浴室1内の空気を浴室1外に排出する換気動作(
図13のT10とT12、
図14のP10とP12、
図15のQ10とQ12が対応している)を実行するように、浴室乾燥装置26を制御するので、除菌・循環停止モードにより浴室1内への除菌水と吐水を停止するだけではなく、浴室1内の空気を浴室1外に排出することにより、浴室1内の除菌水を浴室1外に排出することができる。これにより、本実施形態によれば、除菌水により濡れてしまう等の使用者の不快感を抑制することができる。
【0087】
第3に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、浴室除菌モードを実行した後に、除菌水の吐水を停止して循環のみを実行する除菌循環モード(
図13のT7、
図14のP7、
図15のQ6が対応している)において、ドアセンサ82が浴室1のドア9が開いたことを検出した場合、浴室乾燥装置26の循環動作を停止させる循環停止制御(
図15のQ11が対応している)を実行するので、除菌水の吐水の停止後であっても、浴室1内には除菌水が浮遊しているため、循環動作を停止させることにより、気流の流れが止まり、浴室外などに除菌水を無駄に排出することを抑制できる。
【0088】
第4に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、除菌循環モード中に、循環停止制御を実行するとき、浴室乾燥装置26に浴室1内の空気を浴室1外に排出する換気動作を実行させるので、使用者の身体が濡れてしまう等の不快感を抑制することができる。
【0089】
第5に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、除菌・循環停止制御を実行した後にドア9が閉まった場合には、浴室除菌モードを実行して除菌水装置22の除菌水吐水動作と浴室乾燥装置26の循環動作を動作復旧するようにしたので、開いたドア9が再び閉じられた場合には、除菌水吐水動作と循環動作を動作復旧させて、再び浴室1を除菌することができる。
【0090】
第6に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、除菌・循環停止制御を実行した後にドア9がドアが開いたことを検知してから所定時間以内に閉まった場合には、浴室除菌モードを実行して除菌水装置22の除菌水吐水動作と浴室乾燥装置26の循環動作を動作復旧するようにしたので、ドアが開いてから所定時間以内にドアが閉じられた場合(例えば、浴室内の忘れ物を少しの時間だけドアを開いたような場合)には、除菌水装置22及び浴室乾燥装置26を自動復旧するので、吐水装置22の電極の寿命を節約しつつ十分な菌カビ抑制効果を得ることができる。
【0091】
第7に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、循環停止制御を実行した後にドア9が閉まった場合には、除菌循環モードを実行して浴室乾燥装置26の循環動作を動作復旧するようにしたので、開いたドア9が再び閉じられた場合には、循環動作を自動復旧させて、再び浴室1を除菌することができる。
【0092】
第8に、本実施形態による浴室除菌システム20においては、制御装置30が、循環停止制御を実行した後にドア9が開いてから所定時間以内に閉まった場合(例えば、浴室内の忘れ物を少しの時間だけドアを開いたような場合)には、除菌循環モードを実行して浴室乾燥装置26の循環動作を動作復旧するので、十分な菌カビ抑制効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 浴室
9 ドア
10 浴槽
12 洗い場床
14 排水口
16 カウンター
20 浴室除菌システム
22 吐水装置
26 浴室乾燥装置
30 制御装置
32 ノズル部(除菌水吐水部)
48 除菌水生成部
51、52 流路
53 電動モータ
58 滞留水用ノズル開口
60 除菌水用ノズル開口
74 ファン
76 排気ダンパ
78 ヒータ
80 排出口
82 ドアセンサ