(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043714
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/04 20060101AFI20240326BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240326BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240326BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240326BHJP
H04W 4/90 20180101ALI20240326BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240326BHJP
【FI】
H04M11/04
G08B27/00 A
G08B21/10
G08B25/10 D
H04W4/90
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148861
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵一
(72)【発明者】
【氏名】金田 知剛
(72)【発明者】
【氏名】斉木 洋子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀家 尚子
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K067
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA52
5C086BA13
5C086BA22
5C086BA24
5C086CA06
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA13
5C086FA02
5C086FA12
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA12
5C087AA17
5C087AA21
5C087AA32
5C087BB20
5C087BB21
5C087BB64
5C087DD02
5C087DD14
5C087DD17
5C087DD35
5C087DD37
5C087EE10
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF03
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG07
5C087GG10
5C087GG14
5C087GG16
5C087GG35
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG82
5K067AA21
5K067DD28
5K067EE02
5K067EE07
5K201BA03
5K201CA07
5K201CB13
5K201CC04
5K201EC06
5K201ED04
5L049CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる情報提供装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報提供装置において、取得部は、災害について通知される災害通知情報を人工衛星や自治体の防災管理装置から取得する。位置特定部は、災害通知情報を取得した場合、ユーザの位置を特定する。選択部は、ユーザの避難行動の困難度合い、ユーザが防災担当者か否かの役割などのユーザの属性情報及びユーザの位置に基づいて、災害通知情報を選択する。表示制御部は、選択した災害通知情報を表示部に表示させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害について通知される災害通知情報を取得する取得部と、
ユーザの位置を特定する位置特定部と、
ユーザの属性情報および前記位置に基づいて、災害通知情報を選択する選択部と、
選択された前記災害通知情報を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記属性情報は、ユーザの避難行動の困難度合いを含む
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記属性情報は、災害が発生した場合におけるユーザの役割を含む
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記選択部は、ユーザの役割が防災担当者の場合、前記防災担当者の役割に応じた災害通知情報を選択する
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記位置において発生している災害の種類を特定し、前記災害の種類と前記位置とに基づいた避難所の情報を含む災害通知情報を選択し、
前記表示制御部は、前記避難所の情報を含む災害通知情報を前記表示部に表示させる
請求項2または3に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記避難所への避難を促す避難促進情報を生成する情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記避難促進情報をさらに前記表示部に表示させる
請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記位置において被害が予測されている種類の災害について知らせる災害通知情報が選択された場合、前記被害が予測されている種類の災害について知らせる災害通知情報を強調して前記表示部に表示させる
請求項2または3に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記災害通知情報として、自治体から提供される防災のための情報である防災情報を格納した防災情報管理装置から防災情報、および人工衛星から送信された危機管理情報を取得する
請求項2または3に記載の情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータが、
災害について通知される災害通知情報を取得し、
ユーザの位置を特定し、
ユーザの属性情報および前記位置に基づいて、災害通知情報を選択し、
選択した前記災害通知情報を表示部に表示させる、
情報提供方法。
【請求項10】
コンピュータに、
災害について通知される災害通知情報を取得する処理と、
ユーザの位置を特定する処理と、
ユーザの属性情報および前記位置に基づいて、災害通知情報を選択する処理と、
選択した前記災害通知情報を表示部に表示させる処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害に関する情報を提供する情報提供装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
準天頂衛星システムの人工衛星から送信される衛星信号には、危機管理情報が含まれる。危機管理情報は、気象庁等の防災機関から発表された災害に関する情報である。危機管理情報を用いれば、災害の発生地点にいるユーザに対して、その災害に関する情報を提供できる。衛星信号に対応した専用の機材があれば、危機管理情報を取得できる。危機管理情報には、全国の情報が含まれており、ユーザが把握するべき情報以外の情報も含まれている。
【0003】
特許文献1には、電子機器が、災害に関する情報を含む衛星信号を受信し、衛星信号に含まれる災害に関する情報を取得することが開示されている。特許文献1の電子機器は、電子機器の現在位置が、災害に関する情報に対応する地域に含まれるか否かに応じて、災害に関する情報をユーザに提示するか否かを決定する。これにより、特許文献1の電子機器は、電子機器の現在位置を含む地域の災害に関する情報をユーザに提示できる。
【0004】
特許文献2には、情報管理装置が、ユーザにより選択された災害の種別や災害の進行状況等の抽出条件に応じた災害に関する情報を抽出し、抽出結果を表示装置に出力することが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、特定の災害に関して予測された地域ごとのハザードマップ情報、現在の交通に関する状態量、現在の気象に関する状態量、および過去の災害に関する情報に基づいて、災害に対する影響度を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/067117号
【特許文献2】特開2021-093106号公報
【特許文献3】特開2018-092467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法では、ユーザにとって必要な情報が異なることがあり、ユーザに合わせて情報を提供していないので、不要な情報をユーザに提供してしまう可能性がある。特許文献2の方法では、災害の種別や災害の進行状況といった災害の特性で抽出条件が設定されており、ユーザに合わせて情報を提供していないので、不要な情報をユーザに提供してしまう可能性がある。特許文献1および特許文献2の方法では、災害に関する情報を適切に提供していない。
【0008】
本開示の目的は、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる情報提供装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の情報提供装置は、災害について通知される災害通知情報を取得する取得部と、ユーザの位置を特定する位置特定部と、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する選択部と、選択された災害通知情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様の情報提供方法においては、コンピュータが、災害について通知される災害通知情報を取得し、ユーザの位置を特定し、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択し、選択した災害通知情報を表示部に表示させる。
【0011】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータに、災害について通知される災害通知情報を取得する処理と、ユーザの位置を特定する処理と、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する処理と、選択した災害通知情報を表示部に表示させる処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる情報提供装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一の実施形態に係る情報提供システムの構成例を示す図である。
【
図2】第一の実施形態に係る防災情報管理装置に格納される避難所情報管理テーブルの一例である。
【
図3】第一の実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】第一の実施形態に係る情報提供装置の表示部に表示される災害通知情報および避難促進情報の一例を示す図である。
【
図5】第一の実施形態に係る情報提供装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】第二の実施形態に係る防災情報管理装置に格納される避難所情報管理テーブルの一例である。
【
図7】第二の実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】第二の実施形態に係る情報提供装置の表示部に表示される災害通知情報の一例を示す図である。
【
図9】第二の実施形態に係る情報提供装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】第三の実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】各実施形態の処理を実行するハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本開示を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様の構成には、同一の符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成や動作に関しては、繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0015】
[第一の実施形態]
まず、第一の実施形態の情報提供装置1を含む情報提供システムについて説明する。第一の実施形態に係る情報提供装置1は、後述する災害通知情報を用いて、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供する。災害関連情報は、災害に関する情報である。災害関連情報には、災害通知情報の他に後述する避難促進情報が含まれる。
【0016】
図1は、第一の実施形態に係る情報提供装置1を含む情報提供システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、情報提供システムは、情報提供装置1、管制局2、人工衛星3、信号受信装置4、および防災情報管理装置5を含む。
【0017】
管制局2は、気象庁等の防災機関から発表された危機管理情報を人工衛星3に送信する設備(例えば、人工衛星3に送信する信号に含める情報を管理するサーバやアンテナ等)を備える。危機管理情報は、災害通知情報の一例である。例えば、危機管理情報には、地震や津波の情報や気象警報、注意報等の全国各地の情報が含まれる。また、危機管理情報には、地震や津波等の被害を受ける場所を示す場所情報、災害の種別を示す災害種別情報が含まれる。
【0018】
人工衛星3は、危機管理情報を含む衛星信号を地上に送信する。例えば、人工衛星3は、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)で用いられている人工衛星である。人工衛星3がQZSSで用いられている場合、例えば、衛星信号は、L1S信号である。なお、人工衛星3は、QZSSの人工衛星に限定されず、危機管理情報等の災害に関する情報を地上に送信する通信衛星であればよい。
【0019】
信号受信装置4は、衛星信号を人工衛星3から受信する。信号受信装置4は、受信した衛星信号を復調または復号することにより、衛星信号に含まれる危機管理情報を取得する。信号受信装置4は、情報提供装置1と接続される。情報提供装置1と信号受信装置4との間の接続の方法は、特に限定されないが、例えば、信号受信装置4は、通信可能な範囲内にある情報提供装置1と近距離無線通信により接続される。信号受信装置4は、取得した危機管理情報を情報提供装置1に送信する。
【0020】
例えば、信号受信装置4は、L1S信号を受信する受信機能を備える。
図1の例では、人工衛星3から衛星信号を受信する信号受信装置4は1つである。信号受信装置4は、2つ以上であってもよい。信号受信装置4の設置場所は、特に限定されない。例えば、信号受信装置4は、コンビニエンスストア等の店舗や避難所、駅等の災害が発生したときに人が集まる場所に設置される。例えば、信号受信装置4が設置されたコンビニエンスストア内やコンビニエンスストアの周囲で、情報提供装置1は、危機管理情報を取得できる。
【0021】
防災情報管理装置5は、情報提供装置1と接続される。防災情報管理装置5は、防災情報を情報提供装置1に送信する。防災情報は、自治体から住民に提供される防災のための情報であり、災害通知情報の一例である。防災情報には、避難所情報が含まれる。避難所情報は、避難所の状態を示す情報である。
【0022】
例えば、防災情報管理装置5は、自治体等により用いられる。防災情報管理装置5には、避難所情報管理テーブルが格納される。防災情報管理装置5は、入力装置(図示せず)を備える。自治体の防災担当者等による入力装置の操作により、防災情報管理装置5に格納された避難所情報管理テーブルに避難所情報が入力される。防災情報管理装置5は、防災情報(例えば、避難所情報管理テーブルへの避難所情報)の入力の都度、または所定の頻度で情報提供装置1に防災情報を送信する。
【0023】
図2は、防災情報管理装置5に格納される避難所情報管理テーブルの一例である。避難所情報管理テーブルには、各避難所(
図2の例では、「S1学校」、「S2学校」、および「C1センター」)の避難所情報が含まれる。避難所情報には、避難所名情報、開設情報、人数情報、人数上限情報、避難所位置情報、高台情報、バリアフリー情報、および乳幼児受入情報が含まれる。避難所名情報は、避難所名を示す。開設情報は、避難所が開設されているか否かを示す。人数情報は、避難所における避難者の人数を示す。人数上限情報は、避難所で受け入れ可能な人数の上限値を示す。避難所位置情報は、避難所の位置を示す。高台情報は、水害による浸水の危険性が低い避難所(例えば、避難所がある場所で予測される水害の最大の浸水深でも浸水しない高台にある避難所)であるか否かを示す情報である。バリアフリー情報は、避難所がバリアフリーであるか否かを示す。乳幼児受入情報は、乳幼児の受け入れが可能な避難所であるか否かを示す。
【0024】
情報提供装置1は、信号受信装置4と防災情報管理装置5とに接続される。例えば、情報提供装置1は、ユーザによる入力部(図示せず)の操作により、無線通信を介して、信号受信装置4と防災情報管理装置5とに接続される。
【0025】
例えば、情報提供装置1は、ユーザが使用する携帯端末等である。情報提供装置1には、信号受信装置4と防災情報管理装置5と連携して動作するためのアプリケーションプログラム(アプリ)がインストールされている。情報提供装置1は、そのアプリにより、災害通知情報を取得し、ユーザの属性情報およびユーザの位置に基づいて選択した災害通知情報と、選択した災害通知情報に応じた避難促進情報とを表示部16に表示させる。避難促進情報は、避難所への避難をユーザに促す情報である。避難促進情報は、災害関連情報の一例である。
【0026】
以下に述べる第一の実施形態では、情報提供装置1が、避難促進情報を生成し、生成した避難促進情報と選択した災害通知情報とを表示部16に表示させることを前提に説明するが、これに限られない。例えば、災害通知情報を選択し、選択した災害通知情報を表示部16に表示させること、が情報提供装置1によって実行されればよい。
【0027】
次に、
図1と
図3とを参照して、情報提供装置1の構成について詳細に説明する。
図3は、第一の実施形態に係る情報提供装置1の構成例を示すブロック図である。情報提供装置1は、取得部11、位置特定部12、選択部13、情報生成部14、表示制御部15、表示部16、および記憶部17を含む。
【0028】
取得部11は、災害通知情報を取得する。災害通知情報には、危機管理情報および防災情報が含まれる。取得部11は、信号受信装置4を介して、人工衛星3から送信された衛星信号に含まれる危機管理情報を取得する。取得部11は、防災情報管理装置5から防災情報を取得する。
【0029】
位置特定部12は、ユーザの位置を特定する。位置特定部12が位置を特定する方法は、特に限定されない。例えば、位置特定部12は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して、情報提供装置1の位置を測定する。位置特定部12は、情報提供装置1の位置を測定することによって、情報提供装置1を使用するユーザの位置を特定する。なお、位置特定部12によって特定される位置には、ユーザがいる場所が含まれる。
【0030】
選択部13は、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する。ユーザの属性を示す属性情報は、記憶部17に予め記憶されている。本実施形態において、ユーザの属性情報には、ユーザの避難行動の困難度が含まれる。例えば、ユーザの属性は、ユーザの身体的な特徴(高齢者であるか、障害者であるか等)を含む。例えば、ユーザの属性は、ユーザが同居している家族に乳幼児がいるか否かなど、災害から避難する避難行動の困難度合いを含む。
【0031】
選択部13は、位置特定部12により特定された位置を含む場所を示す場所情報が含まれる危機管理情報を抽出する。また、選択部13は、位置特定部12により特定された位置を含む地域の防災情報を選択する。例えば、選択部13は、位置特定部12により特定された位置から所定距離以内(例えば、1km以内等)の位置を示す避難所位置情報が含まれる避難所情報(防災情報の一例)を選択する。選択部13は、ユーザの属性を示す属性情報に基づいて防災情報と危機管理情報とをさらに選択する。
【0032】
例えば、
図2に示す避難所情報管理テーブルに含まれる避難所情報が、情報提供装置1に提供される。選択部13は、S1学校、S2学校、およびC1センターの避難所情報を特定された位置に基づいて選択する。ユーザの属性が、「高齢者」や「障害者」である場合、選択部13は、避難所情報に含まれるバリアフリー情報にバリアフリーであることを示す情報を含む、S1学校の避難所情報を選択する。また、ユーザの属性が、「家族に乳幼児がいる」である場合、選択部13は、乳幼児受入情報に乳幼児を受け入れ可能な避難所であることを示す情報を含み、かつ開設情報に示される状態が開設済みのC1センターの避難所情報を選択する。
【0033】
情報生成部14は、選択部13により選択された災害通知情報のうち、避難所情報に示される避難所への避難を促す避難促進情報を生成する。避難促進情報には、避難を推奨する避難所名を示す避難所名情報、推奨する避難開始日時を示す避難開始日時情報、避難所までの所要時間を示す避難時間情報、および避難経路を示す避難経路情報が含まれる。なお、情報生成部14は、選択部13により選択された避難所情報が複数である場合、各避難所情報に示される避難所への避難を促す避難促進情報を生成する。
【0034】
情報生成部14が避難促進情報を生成する処理について、より具体的に説明する。情報生成部14は、所定の種類の警報(例えば、注意報)が発令されてから所定の時間後の日時を避難開始日時の基準値とし、ユーザの避難行動の困難度合いに応じて避難開始日時を基準値から変えることにより、避難開始日時情報を生成する。情報生成部14は、属性情報に含まれるユーザの属性が「高齢者」や「障害者」、「家族に乳幼児がいる」である場合、属性情報に含まれるユーザの属性が「避難行動が困難ではない」であるときよりも早い日時を示す避難開始日時情報を生成する。避難開始日時の基準値は、気象予測に基づいて所定の方法で情報生成部14が算出したものであってもよい。
【0035】
情報生成部14は、位置特定部12により特定された位置から、選択部13により選択された避難所情報に含まれる避難所位置情報の位置までの避難経路を示す避難経路情報を生成する。なお、情報生成部14は、1つの避難所に対し避難経路を2以上の複数生成してもよい。本実施形態では、後述する表示制御部15が、避難経路情報に示される避難経路を地図画像に重畳して表示部16に表示させる。記憶部17には、予め地図データが記憶されている。なお、情報生成部14は、位置特定部12により特定された位置を示す位置情報と避難所位置情報とを外部のサーバに提供し、外部のサーバから避難経路情報や避難経路を重畳した電子地図を表示するための画像データを取得してもよい。
【0036】
情報生成部14は、ユーザの避難行動の困難度合いと当該度合いに応じたユーザの移動速度との関係データ、および避難経路情報に示される避難経路の長さを用いて所要時間を算出し、所要時間情報を生成する。関係データは、記憶部17に予め記憶されている。
【0037】
表示制御部15は、表示部16の動作を制御することにより、選択部13により選択された災害通知情報、および情報生成部14により生成された避難促進情報を表示部16に表示させる。
【0038】
図4は、情報提供装置1の表示部16に表示される災害通知情報および避難促進情報の一例を示す図である。
図4の例では、災害通知情報として、現在位置における防災気象情報である「R1川の水位が避難判断水位に到達しました。」、「洪水警報」および「暴風警報」等の情報が、表示部16に表示される。また、
図4の例では、開設された避難所名を示す「S1学校」および「C1センター」が、表示部16に表示される。防災気象情報は、気象災害から身を守るために通知される情報である。例えば、防災気象情報は、気象警報や注意報を通知するための情報である。防災気象情報は、危機管理情報の一例である。また、
図4の例では、避難促進情報として、避難所名情報に示される避難所名である「S1学校」や、避難開始日時情報に示される避難開始日時である「D1日H1時」、所要時間情報に示される所要時間である「M1分」等の情報が、表示部16に表示される。さらに、
図4の例では、避難促進情報として、避難経路情報に示される避難経路を重畳した電子地図が、表示部16に表示される。
【0039】
なお、表示制御部15は、選択部13により選択された危機管理情報に含まれる災害種別情報に示される種別と、位置特定部12により特定された位置を含む地域において予測されている災害の種別とが一致するか否かを判定してもよい。表示制御部15は、一致すると判定した場合、その危機管理情報を強調して表示部16に表示させてもよい。記憶部17には、各地域を示す情報と、各地域において予測された災害の種別を示す情報と、災害の程度を示す情報とが関連付けられたハザードマップ情報が予め記憶されている。
図4は、位置特定部12により特定された位置を含む地域において洪水とその被害の程度(0.5m~3m(想定最大規模)の浸水深)が予測されており、かつ選択部13により選択された危機管理情報に「洪水警報」を示す情報が含まれている場合の例である。
図4に示すように、表示制御部15は、「洪水警報」を強調して表示部16に表示させる。なお、
図4は、表示制御部15が、危機管理情報を強調して表示部16に表示させるときに、強調して表示させる危機管理情報と同じ種別の災害について予測された災害の程度を示す情報をさらに表示部16に表示させた場合の例である。表示制御部15は、位置特定部12により特定された位置を含む地域におけるハザードマップ情報をさらに表示部16に表示させてもよい。
【0040】
次に、
図5を参照して、本実施形態の情報提供装置1の動作例を説明する。
図5は、情報提供装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0041】
取得部11は、災害通知情報を取得する(ステップS101)。例えば、取得部11は、信号受信装置4から、災害通知情報として危機管理情報を取得する。例えば、取得部11は、防災情報管理装置5から、災害通知情報として防災情報を取得する。
【0042】
位置特定部12は、ユーザの位置を特定する(ステップS102)。例えば、位置特定部12は、取得部11が災害通知情報を取得する都度、位置を特定する。
【0043】
選択部13は、ステップS101において取得された災害通知情報から、ユーザの避難行動の困難度合いと、位置特定部12により特定された位置とに基づいて災害通知情報を選択する(ステップS103)。
【0044】
情報生成部14は、選択部13により選択された避難所情報に示される避難所への避難を促す避難促進情報を生成する(ステップS104)。
【0045】
表示制御部15は、ステップS103において選択された災害通知情報、およびステップS104において生成された避難促進情報を表示部16に表示させる(ステップS105)。
【0046】
なお、位置特定部12が位置を特定するタイミングは、災害通知情報を取得する都度でなくてもよい。位置特定部12が位置を特定するタイミングは、選択部13が災害通知情報を取得するより前のタイミングであれば、いずれのタイミングであってもよい。例えば、位置特定部12は、ユーザによりアプリが起動されたタイミングにおいて、位置を特定してもよい。例えば、位置特定部12は、アプリが使用されている間、所定の頻度で位置を特定してもよい。
【0047】
また、ステップS103において、選択部13は、ユーザの属性に応じた位置を示す避難所位置情報を含む避難所情報を選択してもよい。例えば、ユーザの属性が「避難行動が困難ではない」場合、選択部13は、特定された位置から1km以内に位置する避難所の避難所情報を選択する。一方で、選択部13は、ユーザの属性が「高齢者」や「障害者」である場合、「避難行動が困難ではない」場合より特定された位置の近くに位置する避難所の避難所情報を選択してもよい。例えば、選択部13は、特定された位置から500m以内に位置する避難所の避難所情報を選択する。
【0048】
また、ステップS104において、選択部13により選択された災害通知情報に避難所情報が含まれない場合、情報生成部14は次のように動作してもよい。情報生成部14は、位置特定部12により特定された位置から所定の距離以内にある避難所の避難所情報そのものを避難促進情報として表示制御部15に出力してもよい。情報提供装置1が、現在位置の近傍にある避難所の避難所情報を表示することにより、ユーザの属性に合った避難所の避難所情報を選択できない場合に、ユーザがいる場所の付近にある避難所の情報をユーザに提供できる。
【0049】
以上で説明したように、本実施形態の情報提供装置1は、災害について通知される災害通知情報を取得する。情報提供装置1は、ユーザの位置を特定する。情報提供装置1は、ユーザの属性情報および特定した位置に基づいて、災害通知情報を選択する。情報提供装置1は、選択した災害通知情報を表示部16に表示させる。表示部16に表示された災害通知情報は、情報提供装置1を使用していると考えられるユーザの属性情報に含まれる避難行動の困難度合いと情報提供装置1の位置とに合った内容であり、ユーザは、そのユーザに向けられた災害通知情報を目にすることとなる。ユーザは、防災機関等から発表された災害通知情報を自らの属性に合わせて選択するという手間をかけることなく、属性に合った災害通知情報を知ることができる。すなわち、情報提供装置1は、ユーザの場所および属性を用いることで、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる。
【0050】
情報提供装置1は、人工衛星3から送信された衛星信号に含まれる災害通知情報を、信号受信装置4を介して取得する。これにより、情報提供装置1が、衛星信号を受信して衛星信号から情報を復調または復号する機能を備えない場合でも、災害通知情報を取得できる。
【0051】
本実施形態の情報提供装置1は、少なくとも信号受信装置4から災害通知情報を取得する。そのため、災害による基地局の損傷等により、情報提供装置1が基地局を経由して接続する他の装置と通信できない場合であっても、情報提供装置1は、近距離無線通信等により信号受信装置4と接続して災害通知情報を取得できる。
【0052】
本実施形態の情報提供装置1は、ユーザの避難行動の困難度合いと特定した位置とに基づく防災情報から避難促進情報を生成して表示部16に表示させる。避難促進情報には、避難を推奨する避難所の避難所名情報や避難開始日時情報、避難所までの所要時間を示す避難時間情報、避難経路情報等が含まれる。情報提供装置1が避難促進情報を表示部16に表示させることにより、避難促進情報を目にしたユーザは、自らの属性に合った避難所や、避難行動を開始する日時の目安を知ることができる。これにより、情報提供装置1は、適切な避難行動をユーザに促すことができる。
【0053】
以下、第一の実施形態の変形例を説明する。
【0054】
情報提供システムにおいて、情報提供装置1が信号受信装置4と近距離で接続されている場合、信号受信装置4は次の処理を行ってもよい。信号受信装置4は、GNSSを利用して、位置を測定してもよい。信号受信装置4は、位置を測定する場合、測定した位置を含む場所を示す場所情報が含まれる危機管理情報を選択し、選択した危機管理情報を情報提供装置1に送信する。これにより、信号受信装置4の位置に応じた危機管理情報を情報提供装置1が取得できる。情報提供装置1の選択部13が選択の対象とする災害通知情報の数が、信号受信装置4が危機管理情報の選択を行わない場合より少なくなるので、情報提供装置1の処理にかかる時間を短くでき、また情報提供装置1が消費する電力を減らすことができる。また、信号受信装置4が位置を測定する場合、情報提供装置1は、信号受信装置4により測定された位置を示す位置情報を取得してもよい。情報提供装置1の位置特定部12は、取得した位置情報に示される位置を情報提供装置1の位置としてもよい。
【0055】
防災情報管理装置5が、防災情報を管制局2のサーバに送信してもよい。この場合、管制局2は、防災情報を含む衛星信号を人工衛星3に地上へ送信させる。そして、情報提供装置1は、近距離無線通信等により接続された信号受信装置4を介して防災情報を取得する。この場合、情報提供装置1は、災害による基地局の損傷等により、インターネットを介して防災情報管理装置5等の他の装置と通信できない場合であっても、防災情報をユーザに提供できる。
【0056】
情報提供装置1は、ユーザが使用する携帯端末ではなく、有線または無線で接続された端末(例えば、ユーザが使用する携帯端末等)と通信を行う装置(サーバ)に実装されてもよい。この場合、情報提供装置1の設置場所は特に限定されないが、例えば、信号受信装置4と同じ場所に情報提供装置1が設置される。情報提供装置1は、有線または無線で接続された端末により測定された位置を示す位置情報と属性情報とを取得し、取得した位置情報を用いて選択した災害通知情報や避難促進情報をその端末に送信してもよい。これにより、情報提供装置1は、災害通知情報や避難促進情報を、位置情報と属性情報とを情報提供装置1に送信した端末の表示部に表示させることができる。情報提供装置1は、信号受信装置4と一体に実装されてもよい。すなわち、情報提供装置1が、衛星信号を受信する機能と衛星信号に含まれる情報を取得する機能とを備えてもよい。
【0057】
情報提供装置1の位置特定部12は、電柱に設置されたプレートが撮影された画像を取得してもよい。電柱に設置されたプレートには、電柱番号と標識名(例えば、地域の名称や公共施設等の名称等)とが表示される。位置特定部12は、取得した画像から文字を認識する。位置特定部12は、画像から認識した文字と一致する電柱番号に関連付けられている位置情報を電柱番号関係データから特定することにより、位置を特定する。電柱番号関係データは、電柱番号と、その電柱番号の電柱が設置されている位置を示す電柱位置情報とが関連付けられたデータであり、記憶部17に予め記憶されている。または、位置特定部12は、画像から認識した文字列に含まれる標識名に応じた位置を特定してもよい。この場合、記憶部17には、プレートに表示される標識名を示す標識名情報と、その標識名が表示されたプレートが付された電柱の電柱位置情報とが関連付けられたデータが予め記憶されている。このように、位置特定部12は、電柱に設置されたプレートが撮影された画像を取得し、取得した画像から認識した文字に基づいて位置を特定してもよい。
【0058】
選択部13は、位置特定部12により特定された位置と属性情報に示される属性とに基づく災害通知情報に加えて、予め設定された地域の災害通知情報を選択してもよい。例えば、情報提供装置1の入力部の操作により、ユーザの家族が居住している地域等のユーザが災害通知情報を知ることを希望する地域の設定がなされる。情報提供装置1は、予め設定された地域の災害通知情報をさらに表示部16に表示させることにより、家族の居住地域等のユーザにとって関心がある地域の災害通知情報をユーザに提供できる。また、選択部13は、予め設定された種別の災害の災害通知情報を選択してもよい。
【0059】
選択部13は、災害通知情報に含まれる災害種別情報に示される災害の種別にさらに基づいて避難所情報を選択してもよい。例えば、災害通知情報に含まれる災害種別情報に示される災害の種別が「大雨」である場合に、高台に避難所があることを示す高台情報を含む避難所情報をさらに選択する。これにより、情報提供装置1は、災害の種別に応じた、より安全な避難所の避難所情報や避難促進情報をユーザに提供できる。
【0060】
情報生成部14は、選択部13により選択された災害通知情報が通知する内容に応じてユーザが避難するべきであることを、表示制御部15を介して表示部16に表示させてもよい。具体的には、情報生成部14は、選択部13により選択された災害通知情報の通知の内容が、高齢者等に避難を指示するものであり、かつユーザの属性情報に含まれるユーザの属性が「高齢者」や「障害者」である場合、次の処理を行う。情報生成部14は、「避難してください」等の避難を指示する文章の文字データを含む避難促進情報を生成する。また、情報生成部14は、選択された災害通知情報の通知の内容が、位置特定部12により特定された位置を含む地域の避難指示である場合、避難を指示する文章の文字データを含む避難促進情報を生成する。表示制御部15が、避難促進情報を用いて表示部16に「避難してください」という文章等を表示することにより、情報提供装置1は、今いる場所から避難するべきであることをユーザに知らせることができる。
【0061】
情報提供装置1は、スマート家電(図示せず)と連携してもよい。表示制御部15は、表示部16に新しく災害通知情報や避難促進情報を表示させるタイミングで、スマート家電から通知音やライトの点滅等による通知を行ってもよい。また、情報提供装置1は、自動車の制御装置(図示せず)と連携してもよい。表示制御部15は、表示部16に新しく災害通知情報や避難促進情報を表示させるタイミングで、自動車の制御装置を介して自動車のクラクションを鳴らしたり、自動車のヘッドライトを点灯させたり、自動車のワイパーを動かしたりしてもよい。また、情報提供装置1はドローン(図示せず)と連携してもよく、表示制御部15は、ドローンから通知音を出させてもよい。なお、情報提供装置1が通知を行うタイミングは、災害通知情報を取得したときであってもよい。また、情報提供装置1は、災害通知情報の内容(例えば、警報であるか、注意報であるか等)によって通知音を変える等、通知の仕方を変えてもよい。情報提供装置1が災害通知情報や避難促進情報を表示部16に表示させるタイミングで通知を行うことにより、新しく災害通知情報や避難促進情報が表示されるタイミングで、情報提供装置1は、表示部16を見るための気づきをユーザに提供できる。
【0062】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る情報提供装置6について具体的に説明する。情報提供装置6は、属性情報に含まれるユーザの役割と位置とに基づいた災害通知情報を表示部16に表示させる点で、第一の実施形態の情報提供装置1と異なる。
【0063】
第二の実施形態に係る情報提供装置6を含む情報提供システムの構成は、情報提供装置1の代わりに情報提供装置6を含む点を除いて、第一の実施形態に係る情報提供システムと同様である。情報提供装置6は、属性情報として、災害が発生した場合におけるユーザの役割を用いる。第二の実施形態に係る情報提供装置6は、属性情報として、ユーザの役割に加えて、ユーザの避難行動の困難度合いを用いてもよい。また、管制局2、人工衛星3、および信号受信装置4の構成は、第一の実施形態における各装置の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
防災情報管理装置5の構成について、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。防災情報管理装置5は、避難所情報と要支援者情報と異常情報とを防災情報として情報提供装置6に提供する。要支援者情報は、避難に支援を要する人の情報である。要支援者情報には、避難に支援を要する人の氏名を示す氏名情報、避難に支援を要する人の住所を示す住所情報、および避難済みか否かを示す避難状況情報が含まれる。異常情報は、異常を示す情報である。異常情報には、異常(例えば、土砂崩れや道路に異常が発生した等)を示す情報と異常が発生した位置を示す情報とが含まれる。
【0065】
また、防災情報管理装置5には、避難所情報管理テーブルが格納される。本実施形態の避難所情報管理テーブルを用いて管理される避難所情報には、第一の実施形態で説明した避難所情報に加えて、避難所の混雑度を示す混雑度情報、ライフライン情報、およびその避難所の物資の備蓄量を示す物資情報が含まれる。ライフライン情報は、避難所のライフラインの状態を示す情報である。ライフライン情報には、避難所で水道が利用できる状態であるか否かを示す水道情報、避難所で電気が利用できる状態であるか否かを示す電気情報、および避難所で通信が可能な状態であるか否かを示す通信情報が含まれる。なお、通信情報には、電子メールや公衆電話、携帯端末による通話等の通信手段ごとに通信できるか否かを示す情報が含まれてもよい。電子メールや公衆電話、携帯端末による通話等の通信手段ごとに通信できるか否かを示す情報が通信情報に含まれ、かつ情報提供装置1が通信情報を表示部16に表示させた場合、ユーザは避難所で使用できる通信手段を把握できる。
【0066】
図6は、防災情報管理装置5に格納される避難所情報管理テーブルの一例である。避難所情報管理テーブルには、避難所ごとの避難所情報が含まれる。避難所情報には、避難所名情報、開設情報、人数情報、人数上限情報、避難所位置情報、高台情報、バリアフリー情報、乳幼児受入情報、混雑度情報、ライフライン情報、および物資情報が含まれる。例えば、
図6の例では、避難所名情報に示される避難所名が「S2学校」である避難所において、電気が「×」、すなわち避難所において電気が利用できない(停電している)状態であることを示す情報が避難所情報に含まれている。また、
図6の例では、避難所名情報に示される避難所名が「S2学校」である避難所において、通信が「×」、すなわち避難所において通信できない状態であることを示す情報が避難所情報に含まれている。
【0067】
なお、避難所情報管理テーブルにおける混雑度情報は、自治体の防災担当者等による入力装置の操作により、防災情報管理装置5に入力されてもよい。または、防災情報管理装置5が、人数上限情報に示される人数に対する人数情報に示される人数(現在避難所に避難している人数)の割合が所定の閾値以上(例えば、8割以上)である場合に、避難所が混雑していると判定してもよい。そして、防災情報管理装置5が、避難所情報管理テーブルの避難所の混雑度情報に、判定結果に応じた情報を格納してもよい。例えば、防災情報管理装置5は、判定対象の避難所が開設されていない場合、混雑度が算出されていないことを示す「-」を、避難所情報管理テーブルの混雑度情報に格納する(
図6の2行目)。また、防災情報管理装置5は、避難所が混雑していると判定した場合、避難所が混雑していることを示す「×」を、避難所情報管理テーブルのその避難所の混雑度情報に格納する(
図6の3行目)。防災情報管理装置5は、避難所が混雑していないと判定した場合、避難所が混雑していないことを示す「○」を、避難所情報管理テーブルのその避難所の混雑度情報に格納する(
図6の1行目)。
【0068】
図7を参照して、情報提供装置6の構成について詳細に説明する。
図7は、第二の実施形態に係る情報提供装置6の構成例を示すブロック図である。情報提供装置6は、取得部11、位置特定部12、選択部63、情報生成部14、表示制御部65、表示部16、および記憶部67を含む。
【0069】
取得部11の構成は、第一の実施形態における取得部11の構成と同様であるため、説明を省略する。また、位置特定部12の構成は、第一の実施形態における位置特定部12の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
選択部63は、災害が発生した場合におけるユーザの役割と、位置特定部12により特定された位置とに基づいて、取得部11により取得された災害通知情報を選択する。ユーザの属性を示す属性情報は、記憶部67に予め記憶されている。災害が発生した場合におけるユーザの役割は、属性情報の一例である。ユーザの役割は、一般の住民であるか、または自治体等の防災担当者であるか等の情報を含む。属性情報には、ユーザの身体的な特徴やユーザが同居している家族に乳幼児がいるか否かなど、避難行動の困難度合いの属性が含まれてもよい。
【0071】
選択部63は、選択参照データを用いて、属性情報に含まれるユーザの役割が防災担当者である場合、一般の住民である場合とは異なる災害通知情報を選択する。記憶部67には、選択参照データが予め格納されている。選択参照データは、ユーザの属性を示す属性情報として設定されうる属性の設定値と、その設定値の属性を有するユーザに対して選択する災害通知情報の種類を示す情報との関係データである。
【0072】
例えば、選択参照データでは、属性情報に防災担当者が設定されている場合、防災気象情報、要支援者情報、異常情報、避難所情報に含まれる避難所名情報、開設情報、混雑度情報、ライフライン情報、および物資情報が関係づけられる。また、選択参照データでは、属性情報に防災担当者が設定されている場合、受入可能人数情報が関連付けられていてもよい。受入可能人数情報は、避難所がこれから受け入れ可能な人数を示す情報である。この場合、選択部63は、人数上限情報に示される人数から人数情報に示される人数を引いて、受け入れ可能な人数を算出する。また、例えば、選択参照データでは、属性情報に住民が設定されている場合、防災気象情報や避難所情報に含まれる記憶部17に予め、開設情報、ライフライン情報が関係づけられる。
【0073】
なお、選択部63は、第一の実施形態における選択部13の構成と同様の構成を備える。選択部63は、属性情報に含まれるユーザの役割が住民である場合には、属性情報に含まれるそのユーザの避難行動の困難度合いに基づいて、災害通知情報を選択する。また、属性情報に含まれるユーザの役割が住民である場合、選択部63は、取得部11が取得した異常情報から、所定の地域内の異常情報を選択してもよい。所定の地域内の異常情報は、選択部63により選択された避難所情報の避難所位置情報に示される位置と、位置特定部12により特定された位置とを含む所定の地域内で発生した異常に関する異常情報である。情報提供装置6は、選択された異常情報をユーザに提供することにより、避難所への経路等での異常についてユーザに注意を促すことができる。
【0074】
情報生成部14は、属性情報に含まれるユーザの役割が住民のユーザである場合に避難促進情報を生成する点を除いて、第一の実施形態における情報生成部14の構成と同様の構成を備える。第一の実施形態において説明したので、情報生成部14の構成の説明を省略する。
【0075】
表示制御部65は、属性情報に含まれるユーザの属性が住民である場合、選択部63により選択された災害通知情報と情報生成部14により生成された避難促進情報とを表示部16に表示させる。また、表示制御部65は、属性情報に含まれるユーザの属性が防災担当者である場合、選択部63により選択された災害通知情報を表示部16に表示させる。
【0076】
図8は、情報提供装置6の表示部16に表示される災害通知情報の一例を示す図である。
図8は、属性情報に含まれるユーザの役割が防災担当者である場合の災害通知情報の表示例である。ユーザが防災担当者である場合、情報提供装置6は、防災気象情報や避難所情報に加えて、要支援者情報や異常情報を表示部16に表示させる。
図8の例では、
図4の例と同じ防災気象情報が表示部16に表示されるので、防災気象情報の説明を省略する。
図8の例では、避難所である「S1学校」、「S2学校」、および「C1センター」の避難所情報が表示部16に表示される。また、
図8の例では、異常情報に含まれる異常である「土砂崩れ」とその位置である「S2学校付近」が表示部16に表示される。
図8の例では、要支援者情報に含まれる要支援者の氏名である「N1」とその要支援者の住所である「A1」と避難済みでない状況であることを示す文章である「避難していません。」とが表示部16に表示される。
【0077】
次に、
図9を参照して、本実施形態の情報提供装置6の動作例を説明する。
図9は、情報提供装置6の動作例を示すフローチャートである。
【0078】
取得部11は、災害通知情報を取得する(ステップS201)。例えば、取得部11は、信号受信装置4から、災害通知情報として危機管理情報を取得する。例えば、取得部11は、防災情報管理装置5から、災害通知情報として防災情報を取得する。
【0079】
位置特定部12は、ユーザの位置を特定する(ステップS202)。例えば、位置特定部12は、取得部11が災害通知情報を取得する都度、位置を特定する。
【0080】
選択部63は、ステップS201において取得された災害通知情報から、災害が発生した場合におけるユーザの役割と位置特定部12により特定された位置とに基づいて災害通知情報を選択する(ステップS203)。選択部63は、属性情報に含まれるユーザの属性が防災担当者である場合(ステップS204、YES)、選択した災害通知情報を表示制御部65に出力する。表示制御部65は、ステップ203において選択された災害通知情報を表示部16に表示させる(ステップS205)。
【0081】
選択部63は、属性情報に含まれるユーザの属性が防災担当者でない(属性が住民である)場合(ステップS204、NO)、情報生成部14に避難促進情報の生成を要求する。情報生成部14は、避難促進情報の生成を要求された場合、選択部63により選択された避難所情報に示される避難所への避難を促す避難促進情報を生成する(ステップS206)。
【0082】
表示制御部65は、ステップS203において選択された災害通知情報と、ステップS206において生成された避難促進情報とを表示部16に表示させる(ステップS207)。
【0083】
以上で説明したように、本実施形態の情報提供装置6は、災害について通知される災害通知情報を取得する。情報提供装置6は、ユーザの位置を特定する。情報提供装置6は、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する。情報提供装置7は、選択した災害通知情報を表示部16に表示させる。表示部16に表示された災害通知情報は、情報提供装置6を使用していると考えられるユーザの属性情報に含まれる役割と情報提供装置6の位置とに合った内容であり、ユーザは、そのユーザに向けられた災害通知情報を目にすることとなる。ユーザは、防災機関等から発表された災害通知情報を自らの属性に合わせて選択するという手間をかけることなく、属性に合った災害通知情報を知ることができる。すなわち、情報提供装置6は、ユーザの場所および属性を用いることで、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる。
【0084】
本実施形態の情報提供装置6は、ユーザの役割が防災担当者である場合、防災気象情報や避難所情報、要支援者情報、災害等により発生した異常事態の情報である異常情報等の、ユーザが防災を担当する地域における詳細な情報をユーザに提供する。また、情報提供装置6は、ユーザの役割が住民である場合、防災気象情報やユーザの属性に合った避難所の避難所情報等をユーザに提供する。情報提供装置6は、ユーザの役割に合わせて表示部16に表示する内容を変えることにより、防災機関等から発表された災害通知情報を提供する。ユーザは、自らの属性に合わせて選択するという手間をかけることなく、ユーザの属性に合った災害通知情報を知ることができる。
【0085】
以上に述べた第二の実施形態では、属性情報が住民である場合に、情報提供装置6が、災害から避難する避難行動のユーザの困難度合いに応じた災害通知情報および避難促進情報を表示部16に表示させることを前提に説明した。情報提供装置6は、ユーザの役割および位置に基づいて災害通知情報を選択し、選択した災害通知情報を表示部16に表示させてもよい。
【0086】
[第三の実施形態]
第三の実施形態に係る情報提供装置7について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の情報提供装置7は、第一の実施形態の情報提供装置1と第二の実施形態の情報提供装置6とを簡略化した構成である。
【0087】
図10は、本実施形態の情報提供装置7の構成例を示すブロック図である。本実施形態の情報提供装置7は、取得部71、位置特定部72、選択部73、および表示制御部74を含む。
【0088】
取得部71は、災害について通知される災害通知情報を取得する。例えば、取得部71は、人工衛星(図示せず)から送信された衛星信号に含まれる災害通知情報を取得する信号受信装置(図示せず)から、災害通知情報を取得する。
【0089】
位置特定部72は、ユーザの位置を特定する。例えば、位置特定部72は、GPS等のGNSSを利用して情報提供装置7の位置を測定することによって、情報提供装置7を使用するユーザの位置を特定する。
【0090】
選択部73は、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する。
【0091】
表示制御部74は、選択部73により選択された災害通知情報を表示部(図示せず)に表示させる。
【0092】
以上で説明したように、本実施形態の情報提供装置7は、災害について通知される災害通知情報を取得する。情報提供装置7は、ユーザの位置を特定する。情報提供装置7は、ユーザの属性情報および位置に基づいて、災害通知情報を選択する。情報提供装置7は、選択した災害通知情報を表示部に表示させる。これにより、情報提供装置7は、ユーザの場所および属性を用いることで、ユーザにとって適切な災害関連情報を提供できる。
【0093】
[ハードウェア構成例]
上記した各実施形態に示した手順は、情報提供装置として機能する情報処理装置(コンピュータ)に、この装置としての機能を実現させるプログラムに従って処理を実行させることより実現可能である。情報処理装置は、当該プログラムにより情報提供方法を実行する。以下、上述した本発明の各実施形態における情報提供装置(1、6、7)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、情報提供装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、情報提供装置は、専用の装置として実現してもよい。また、情報提供装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0094】
図11は、各実施形態の情報提供装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置8は、通信インタフェース81、入出力インタフェース82、演算装置83、記憶装置84、不揮発性記憶装置85およびドライブ装置86を含む。
【0095】
通信インタフェース81は、各実施形態の情報提供装置が、有線または無線で外部装置と通信するための通信手段である。情報提供装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース81経由で相互に通信可能に接続してもよい。
【0096】
入出力インタフェース82は、マンマシンインタフェースである。入出力インタフェース82には、入力デバイスの一例であるキーボード等が接続される。また、入出力インタフェース82には、出力デバイスの一例であるディスプレイ等が接続される。
【0097】
演算装置83は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置83は、例えば、不揮発性記憶装置85に記憶された各種プログラムを記憶装置84に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行する。
【0098】
記憶装置84は、演算装置83から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置84は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0099】
不揮発性記憶装置85は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶する。
【0100】
ドライブ装置86は、後述する記録媒体87に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。記録媒体87にデータの読み込みや書き込みを行わない場合、ドライブ装置86が省略されてもよい。
【0101】
記録媒体87は、例えば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0102】
各実施形態の情報提供装置は、例えば、
図11に例示した情報処理装置8により構成される。各実施形態において説明した機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムとして供給されてもよい。この場合、情報処理装置8に対して供給されたプログラムを、演算装置83が実行することによって、各実施形態の処理を実行できる。また、情報処理装置8は、各実施形態のすべての機能ではなく、各実施形態の一部の機能を実行してもよい。
【0103】
上記プログラムは、記録媒体87に記録させておいてもよい。例えば、出荷段階や運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置85に格納されて、情報提供装置が構成されてもよい。この場合、上記プログラムは、出荷前の製造段階や運用段階等において、情報処理装置8にインストールされればよい。また、上記プログラムは、インターネット等の通信回線を介して、外部からダウンロードされてもよい。上記プログラムのインストールやダウンロードに関しては、一般的な方法を適用できる。
【0104】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0105】
1、6、7 情報提供装置
11、71 取得部
12、72 位置特定部
13、63、73 選択部
14 情報生成部
15、65、74 表示制御部
16 表示部
17、67 記憶部
2 管制局
3 人工衛星
4 信号受信装置
5 防災情報管理装置
8 情報処理装置
81 通信インタフェース
82 入出力インタフェース
83 演算装置
84 記憶装置
85 不揮発性記憶装置
86 ドライブ装置
87 記録媒体