(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043715
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ルート生成システム、ルート生成方法およびルート生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240326BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240326BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/00 A
E01C23/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148862
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】水越 優介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 千里
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄太
【テーマコード(参考)】
2D053
5H181
【Fターム(参考)】
2D053AA32
2D053AB06
2D053FA02
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MC15
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】車両を用いた道路の路面状態の監視を効率的に行うことできるルート生成システムを提供する。
【解決手段】ルート生成システム10を、診断部12と、生成部13と、出力部14を備える構成とする。診断部12は、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する。生成部13は、診断部12が診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する。出力部14は、生成した走行ルートを出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する診断手段と、
診断手段が診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する生成手段と、
生成した走行ルートを出力する出力手段と
を備えるルート生成システム。
【請求項2】
前記生成手段は、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する車両が走行する地点と、該地点を走行するタイミングとを含む走行ルートを生成する、
請求項1に記載のルート生成システム。
【請求項3】
前記走行ルートは、路面の劣化度の診断に適さない道路環境となるタイミングに、該道路環境の地点を通らない、
請求項2に記載のルート生成システム。
【請求項4】
前記走行ルートは、路面上に影が生じるタイミングに、影が生じている地点を通らない、
請求項3に記載のルート生成システム。
【請求項5】
前記走行ルートは、道路が混雑するタイミングに、混雑が生じている地点を通らない、
請求項3に記載のルート生成システム。
【請求項6】
前記走行ルートは、季節または天候に基づいた条件を満たす走行ルートである、
請求項3に記載のルート生成システム。
【請求項7】
前記走行ルートは、路面の劣化度、または路面の劣化度の進行度の少なくとも一方が基準以上の地点を通る、
請求項1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【請求項8】
地図上において指定される監視範囲を取得する取得手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記監視範囲内の道路における走行ルートを生成する、
請求項1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【請求項9】
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断し、
診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成し、
生成した走行ルートを出力する、
ルート生成方法。
【請求項10】
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する処理と、
診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する処理と、
生成した走行ルートを出力する処理と
をコンピュータに実行させるルート生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート生成システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路管理者は、例えば、車両で管理対象の道路を走行することによって、管理対象の道路の各地点における路面状態を監視する。そして、道路管理者は、例えば、道路の路面状態の監視結果を基に、道路の補修の要否を判断する。また、管理対象の道路を巡回して、各地点の監視を行うためには、多くの作業時間を必要とし得る。このため、道路の路面状態の監視を効率的に行うための技術も開発されている。
【0003】
特許文献1の劣化診断システムは、車両に搭載された撮影装置を用いて道路を撮影した画像と、車両に搭載されたセンサによって検出された情報を用いて、道路の劣化を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、管理対象の道路を巡回するルートが提供されないため、道路の路面状態の監視を効率的に行うことが難しい場合がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、車両の走行によって行う道路の路面状態の監視を効率化することができるルート生成システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の走行ルート生成システムは、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する診断手段と、診断手段が診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する生成手段と、生成した走行ルートを出力する出力手段とを備える。
【0008】
本発明の走行ルート生成方法は、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断し、診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成し、生成した走行ルートを出力する。
【0009】
本発明の走行ルート生成プログラムは、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する処理と、診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する処理と、生成した走行ルートを出力する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、車両の走行によって行う道路の路面状態の監視を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における構成の例を示す図である。
【
図2】車両の走行によって道路の路面状態を監視する例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるルート生成システムの構成の例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるルート生成システムの動作フローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、道路管理システムの構成の例を示す図である。道路管理システムは、ルート生成システム10と、車載装置20と、端末装置30を備える。ルート生成システム10は、ネットワークを介して、車載装置20と接続する。また、ルート生成システム10は、ネットワークを介して、端末装置30と接続する。車載装置20と、端末装置30は、それぞれ複数であってもよい。
【0013】
ルート生成システム10は、道路の路面状態の監視に用いられる車両の走行ルートを生成するシステムである。走行ルートは、例えば、道路の管理者が、道路の路面状態の監視のために、車両を走行させるルートである。道路の路面状態の監視に用いられる車両は、例えば、搭載されている撮影装置によって道路を撮影することで、道路の劣化の診断に用いる画像を取得する。
【0014】
図2は、車両の走行によって行われる道路の路面状態を監視する例を模式的に示す図である。
図2の例において、車両には、車載装置20が搭載されている。車載装置20は、例えば、撮影装置によって、道路の走行時に路面を撮影する。そして、車載装置20は、例えば、ルート生成システム10に、撮影した画像を出力する。また、道路の路面の劣化診断は、ルート生成システム10の外部のシステムで行われてもよい。道路の路面の劣化診断が外部のシステムで行われる場合に、車載装置20は、例えば、道路の画像を基に道路の路面の劣化診断を行うシステムに、撮影した画像を出力する。
【0015】
また、車載装置20は、車両の走行状態を計測するセンサを備えていてもよい。車載装置20は、例えば、車両の上下方向の振動を計測する加速度センサを備える。車載装置20は、車両の進行方向の加速度を計測する加速度センサを備えていてもよい。車両の走行状態を計測するセンサは、上記に限られない。センサを備える場合に、車載装置20は、例えば、ルート生成システム10に、センサが計測したデータを出力する。
【0016】
ルート生成システム10は、例えば、道路の路面が写っている画像から、撮影地点における路面の劣化度を診断する。道路の路面が写っている画像は、道路を走行する車両に搭載された車載装置20によって撮影される。車載装置20は、車両が監視対象の道路を走行している際に、道路の画像を撮影する。車載装置20は、路面が写るように道路の画像を撮影する。車載装置20には、例えば、ドライブレコーダが用いられる。車載装置20は、ドライブレコーダ以外であってもよい。
【0017】
ルート生成システム10は、路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報と基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する。走行ルートは、例えば、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する撮影装置を搭載した車両が走行するルートである。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境は、例えば、画像に写った路面の状態の判別が困難になる道路環境である。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境は、例えば、画像認識時に、道路の路面の劣化の状態を認識しづらくする道路環境である。
【0018】
画像に写った路面の状態の判別が困難になる道路環境とは、例えば、道路を撮影した画像のコントラスト比が低く、画像に写っている路面の状態の認識が難しい道路環境をいう。道路を撮影した画像のコントラスト比は、例えば、道路に生じる影によって低下する。道路を撮影した画像のコントラスト比が低い場合に、画像処理によって画像のコントラスト比を上げると、画像に黒つぶれまたは白飛びが発生し、画像に写っている路面の状態の認識が困難になる。また、撮影装置の撮影方向に対して、太陽が背後にある場合には、道路を撮影した画像のコントラスト比が低下し得る。このため、撮影装置の撮影方向に対して、太陽が背後にある場合には、撮影した画像につぶれが生じ得る。撮影装置の撮影方向に対して、太陽が背後にある状態は、撮影方向に対して、太陽光が後ろ側から照射される状態である。撮影装置の撮影方向に対して、太陽が背後にある状態は、順光ともいう。
【0019】
画像に写った路面の状態の判別が困難になる道路環境とは、例えば、他の車両の存在によって路面が隠れる道路環境あってもよい。他の車両の存在によって路面が隠れる道路環境は、例えば、道路の渋滞によって起こり得る。また、他の車両の存在によって路面が隠れる道路環境は、例えば、交通量が多い道路において起こり得る。
【0020】
画像に写った路面の状態の判別が困難になる道路環境とは、例えば、車両以外の要因で路面が隠れる道路環境であってもよい。車両以外の要因で路面が隠れる道路環境は、例えば、落葉、落枝、積雪、雨水、土砂、または火山灰が路面上に存在することで起こり得る。画像に写った路面の状態の判別を困難にするような路面が隠れる道路環境は、上記に限られない。
【0021】
ここで、ルート生成システム10の構成について説明する。
図3は、本発明の実施形態におけるルート生成システム10の構成の例を示す図である。
【0022】
ルート生成システム10は、基本構成として、診断部12と、生成部13と、出力部14を備える。また、ルート生成システム10は、例えば、取得部11と、記憶部15を備える。
【0023】
取得部11は、監視対象の道路を撮影した画像を取得する。道路を撮影した画像には、例えば、撮影地点の情報が付加されている。道路を撮影した画像には、撮影日時の情報が付加されていてもよい。取得部11は、例えば、道路を走行する車両に搭載された車載装置20から、車載装置20が道路を撮影した画像を取得する。また、取得部11は、道路上に設置されたカメラから、道路を撮影した画像を取得してもよい。また、取得部11は、ネットワークを介して接続されているサーバから、道路を撮影した画像を取得してもよい。
【0024】
取得部11は、例えば、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報を取得する。路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、例えば、道路上に影が生じる時間帯である。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、時間帯ごとの道路に生じる影の範囲であってもよい。道路に生じる影は、例えば、道路の建造物、道路の周辺の建造物、または山林によって、道路上に生じる影である。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、道路上の積雪の有無であってもよい。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、融雪または湧水による水たまりの有無であってもよい。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、撮影装置の背後から太陽光を受けて順光になる時間帯であってもよい。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、道路の混雑状況であってもよい。路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、日の出および日の入の時間であってもよい。路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、天候または天候の予測に関する情報であってもよい。路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報は、上記に限られない。
【0025】
地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境は、例えば、端末装置30に、作業者の操作によって入力される。そして、取得部11は、端末装置30から、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境を取得する。地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境は、作業者の操作によって、ルート生成システム10に入力されてもよい。取得部11は、ネットワークを介して接続している情報サーバから、路面の劣化度の診断に影響する道路環境を取得してもよい。
【0026】
取得部11は、例えば、走行ルートの生成に関する情報を取得する。走行ルートの生成に関する情報は、例えば、生成される走行ルートが満たす条件である。生成される走行ルートが満たす条件には、例えば、条件を満たすかを判断する地点に関する情報を含む。取得部11は、例えば、劣化度を診断する地点を取得する。また、取得部11は、例えば、走行ルートにおいて、必ず通る地点を取得する。必ず通る地点は、例えば、劣化度を用いた基準によって設定されてもよい。必ず通る地点は、例えば、劣化度が基準以上の地点として設定される。また、取得部11は、監視の範囲を取得してもよい。監視の範囲は、走行ルートを生成する範囲である。また、取得部11は、走行ルートの生成に用いる地図データを取得してもよい。走行ルートの生成に関する情報は、例えば、端末装置30に、作業者の操作によって入力される。そして、端末装置30は、ルート生成システム10に、走行ルートの生成に関する情報を出力する。
【0027】
診断部12は、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する。診断部12は、例えば、取得部11が取得する監視対象の道路を撮影した画像において、画像に写っている路面の劣化度を診断する。診断部12は、診断対象として設定されている地点における、路面の劣化度を診断してもよい。診断部12は、道路を撮影した画像に写っている路面について、連続的に劣化度を診断してもよい。路面の劣化度を診断する地点は、例えば、作業者によって設定される。
【0028】
診断部12は、例えば、診断モデルを用いて、路面の劣化度を診断する。診断モデルは、例えば、道路の路面が写っている画像を入力として、画像に写っている道路の路面の劣化度を診断する。診断モデルは、例えば、画像認識技術を用いた学習モデルである。診断モデルは、例えば、機械学習によって生成される。診断モデルは、例えば、ニューラルネットワークを用いた深層学習によって生成される。診断モデルは、例えば、路面が写っている画像と、劣化度の関係を学習することによって生成される。診断モデルは、例えば、ルート生成システム10の外部において生成される。
【0029】
路面の劣化は、例えば、路面に発生したひび割れ、轍掘れ、ポットホール、および平坦性異常のうち、1つまたは複数である。路面の劣化は、上記に限られない。路面の劣化がひび割れである場合に、路面の劣化度は、例えば、ひび割れ率である。ひび割れ率は、例えば、ある地点において撮影された画像に含まれる劣化の面積と、画像に含まれる道路の面積との比率を示す値である。路面の劣化が轍掘れである場合に、劣化度は、例えば、轍掘れ量である。また、路面の劣化が平坦性異常の場合には、劣化度には、例えば、国際ラフネス指数(International Roughness Index;IRI)が用いられる。IRIは、道路の平坦性を示す指標である。IRIは、車両の上下方向の加速度に基づいて算出されてもよい。上下方向の加速度の計測値には、例えば、轍を通行するときにおける車両の上下方向の振動が反映される。上下方向の加速度は、例えば、車両に取り付けられた加速度センサによって計測される。また、劣化度として、維持管理指数(Maintenance Control Index;MCI)が用いられてもよい。MCIは、例えば、ひび割れ率、轍掘れ量、および平坦性から算出される複合劣化指標である。
【0030】
診断部12は、劣化の態様ごとに、劣化度を診断してもよい。診断モデルは、例えば、画像からひび割れを検出し、ひびの幅と長さを基に劣化度を診断する。診断モデルは、画像からポットホールを検出し、ポットホールの数、深さおよび大きさを基に、劣化度を診断してもよい。診断モデルは、画像から轍を検出し、轍の幅および深さを基に、劣化度を診断してもよい。診断部12は、診断モデルを用いて、路面の異常の態様ごとに劣化度を診断し、各態様における劣化度の合計値を路面の劣化度としてもよい。また、診断部12は、路面の劣化の態様ごとに重み付けを行い、各態様における劣化度の合計値を重み付けに基づいて算出して、路面の劣化度としてもよい。
【0031】
生成部13は、診断部12が診断した路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する。生成部13は、例えば、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する車両が走行する地点と、当該地点を走行するタイミングとを含む走行ルートを生成する。
【0032】
走行するタイミングは、例えば、各地点を走行する時刻、走行する日付、走行する時間帯、または、走行する時期である。走行するタイミングは、走行の開始時刻、または、日時であってもよい。走行するタイミングは、各地点を走行する時刻、走行する日時、走行する時間帯であってもよい。また、走行するタイミングは、走行ルートに含まれる地点のうち、設定された地点を通る時刻、日時、または時間帯であってもよい。走行するタイミングを設定する地点は、例えば、道路管理者、または、作業者によって設定される。また、走行するタイミングは、上記に限られない。
【0033】
生成部13は、例えば、路面の劣化状態の診断に適した画像を撮影できる道路環境を満たしつつ、診断の対象となる地点を効率的に巡回できる走行ルートを生成する。生成部13は、例えば、診断部12が診断した路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境と、地点間の移動に要する時間とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する。また、生成部13は、例えば、診断部12が診断した路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境と、地点間の距離とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する。
【0034】
生成部13は、例えば、最適化問題を解くことで走行ルートを生成する。生成部13は、例えば、制約条件の下で、特徴量を組み合わせ、目的関数が最大または最小になるような決定係数を求めることで走行ルートを生成する。
【0035】
目的関数は、例えば、走行時間である。走行時間は、例えば、走行ルートの走行に要する時間である。目的関数が走行時間である場合に、生成部13は、設定された範囲の走行に要する走行時間が最小となるように走行ルートを生成する。目的関数は、走行地点数または走行距離であってもよい。目的関数が走行地点数または走行距離である場合に、生成部13は、設定された時間内に巡回する走行地点数または走行距離が最大となるように走行ルートを生成する。また、目的関数は、劣化度を用いて設定されてもよい。目的関数が、劣化度を用いて設定される場合に、生成部13は、例えば、劣化度の平均値が設定値以上となるように走行ルートを生成する。生成部13は、例えば、劣化度の合計値が設定値以上となるように走行ルートを生成してもよい。また、決定係数は、例えば、走行する地点である。生成部13は、例えば、走行する地点と、走行する順番を決定することで、走行ルートを生成する。
【0036】
特徴量は、例えば、路面の劣化度である。特徴量は、地点間の移動に要する時間を含んでいてもよい。また、特徴量は、地点間の距離を含んでいてもよい。特徴量は、上記に限られない。
【0037】
制約条件は、例えば、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境を用いて設定される。制約条件は、例えば、路面の劣化度の診断に適した画像を撮影できる道路環境のタイミングに通るように設定される。制約条件は、例えば、路面の劣化度を診断する画像の撮影に対する影響が小さい道路環境のタイミングに通るように設定される。すなわち、制約条件は、例えば、路面の劣化度の診断に適さない道路環境となるタイミングに、当該道路環境の地点を通らないように設定される。制約条件は、例えば、路面の劣化度を診断する画像の撮影に影響がある道路環境のタイミングに通らないこととして設定される。生成部13は、路面の劣化度を診断する画像の撮影に影響がある道路環境のタイミングに通らない走行ルートを生成する。例えば、制約条件は、例えば、路面に影が生じる時間帯に、路面に影が生じる地点を通らないこととして設定される。そして、生成部13は、路面上に影が生じるタイミングに、影が生じている地点を通らない走行ルートを生成する。制約条件は、劣化度を基に設定されてもよい。劣化度を基にした制約条件は、例えば、劣化度が基準以上の地点を通ることとして設定される。
【0038】
制約条件は、必ず通る地点として設定されてもよい。例えば、制約条件は、イベントの開催によって路面が劣化している可能性がある地点を必ず通ることとして設定される。また、例えば、制約条件は、積雪または融雪によって路面が劣化している可能性がある地点を必ず通ることとして設定される。制約条件は、通らない地点として設定されてもよい。例えば、制約条件は、イベントの開催によって通行できない地点を通らないこととして設定される。例えば、制約条件は、道路工事によって通行できない地点を、通らないこととして設定される。例えば、制約条件は、補修を行った地点を通らないこととして設定される。または、制約条件は、通るタイミング、または通らないタイミングを指定するものであってもよい。制約条件は、路面の劣化度、または路面の劣化度の進行度の少なくとも一方が基準以上の地点を通ることであってもよい。
【0039】
生成部13は、道路が混雑するタイミングに、混雑が生じている地点を通らないことを制約条件として走行ルートを生成してもよい。生成部13は、例えば、道路が混雑するタイミングに、混雑が生じている地点を通らない走行ルートを生成する。生成部13は、季節または天候に関する制約条件を基に走行ルートを生成してもよい。例えば、生成部13は、季節または天候に基づいた条件を満たすように走行ルートを生成する。季節または天候に関する制約条件は、例えば、季節または天候によって変化する道路環境に関する制約条件である。季節に関する制約条件は、例えば、落葉の多い秋に、落葉が多い地点を通らないこととして設定される。制約条件は、例えば、降雪の地域に、積雪がある地点を通らないこととして設定される。また、天候に関する制約条件は、例えば、曇りのときに、道路の路面が劣化度の診断に適さない暗さになる地点を通らないこととして設定される。制約条件は、上記に限られない。
【0040】
また、生成部13は、地図上において指定される監視範囲に基づいて、監視範囲内の道路における走行ルートを生成してもよい。また、生成部13は、地図上において指定される監視の優先度が高い地点を基に、監視の優先度が高い地点を通る走行ルートを生成してもよい。
【0041】
生成部13は、複数回の走行ルートを生成してもよい。例えば、1台の車両が1日に複数回の走行を行う場合に、生成部13は、複数回それぞれの走行ルートを生成してもよい。1日に複数回の走行を行う場合に、生成部13は、例えば、走行する時間帯を基に走行ルートを生成する。例えば、午前中に影が生じて、午後に影が出来ない地点がある場合に、生成部13は、当該地点を影が生じない午後の時間帯に走行するように走行ルートを生成する。
【0042】
生成部13は、設定された期間分の走行ルートを生成してもよい。生成部13は、例えば、1週間の間に監視の対象範囲の地点をすべて通るように走行ルートを生成する。例えば、特定の曜日に混雑する地点がある場合に、生成部13は、当該地点を混雑する曜日に通らないように走行ルートを生成する。また、期間の設定は、1週間に限られない。
【0043】
複数回の走行ルートを生成する場合に、生成部13は、劣化度が基準以上の地点を複数回、通るように走行ルートを生成してもよい。複数回の走行ルートを生成する場合に、生成部13は、劣化度を基に各地点に重み付けを行って、地点ごとに通る回数に差をつけた走行ルートを生成してもよい。また、複数の車両が走行することで監視が行われる場合に、生成部13は、車両ごとの走行ルートを生成してもよい。また、生成部13は、各地点を通る回数が平準化されるように走行ルートを生成してもよい。
【0044】
生成部13は、ルート生成モデルを用いて、走行ルートを生成してもよい。ルート生成モデルは、診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とに基づき、走行ルートを生成する。ルート生成モデルは、機械学習によって生成される学習モデルである。ルート生成モデルは、診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境と、地点間の移動に要する時間とに基づき、走行ルートを生成してもよい。
【0045】
出力部14は、生成された走行ルートを出力する。走行ルートには、例えば、走行するタイミングが含まれる。走行するタイミングは、例えば、出発時刻、走行する時間帯、または、走行する日時である。走行するタイミングは、走行ルートに含まれる各地点、または、道路の各区間を通るタイミングであってもよい。出力部14は、走行ルートとともに、撮影に影響が生じる道路環境の地点を出力してもよい。また、出力部14は、走行ルートとともに、撮影に影響が生じる道路環境になる時間帯の情報を出力してもよい。
【0046】
出力部14は、例えば、端末装置30に、走行ルートを出力する。出力部14は、例えば、地図上に、生成された走行ルートを重畳して出力する。出力部14は、地図上に、走行ルートとともに、走行するタイミングに関する情報を重畳して出力してもよい。また、出力部14は、地図上に、走行ルートとともに、撮影に影響が生じる道路環境の地点、または、影に影響が生じる道路環境になる時間帯の情報を重畳して出力してもよい。
【0047】
出力部14は、例えば、地図上に、走行の方向を示すマークを重畳して走行ルートを出力する。出力部14は、例えば、走行の方向を示すマークとして、走行する方向を示す矢印を用いて、走行ルートを出力する。出力部14は、走行の順番を示す数字を用いて、走行ルートを出力してもよい。出力部14は、地図上に、地点間の移動に要する時間を重畳して出力してもよい。また、出力部14は、地図上に、地点間の距離を重畳して出力してもよい。また、出力部14は、地点名または道路名ごとの走行の順番が示されているリストを用いて、走行ルートを出力してもよい。出力部14は、地図上に、各地点の劣化度をさらに重畳して出力してもよい。走行ルートの出力の形態は、上記に限られない。また、出力部14は、カーナビゲーションシステムに、走行ルートを出力してもよい。カーナビゲーションシステムに走行ルートを出力する場合に、カーナビゲーションシステムは、例えば、ルート生成システム10から取得した走行ルートを用いて、車両の走行ルートの案内を実施する。
【0048】
出力部14は、監視範囲の設定画面を出力してもよい。また、劣化度が基準以上の地点を通ることを制約条件とする場合に、出力部14は、劣化度の基準値の入力画面を出力してもよい。
【0049】
出力部14は、診断部12が診断した、地点ごとの劣化度を出力してもよい。出力部14は、例えば、端末装置30に、診断部12が診断した劣化度を出力する。出力部14は、車載装置20に、診断部12が診断した劣化度を出力してもよい。出力部14は、ネットワークを介して接続されているサーバに、診断部12が診断した劣化度を出力してもよい。
【0050】
図4は、生成した走行ルートを表示する表示画面の例を示す図である。
図4の表示画面の例では、地図上に走行ルートが重畳されて表示されている。
図4の表示画面の例では、地図上に、走行の順序が矢印で表示されている。
図4の表示画面の例において、「B」は、道路の画像を撮影する車両の出発地点と、帰着地点を示す。出発地点と、帰着地点は、別であってもよい。道路を巡回する車両は、例えば、「B」の地点を出発地点として、矢印で示される道路を走行する。また、
図4の表示画面の例では、走行するタイミングに関する情報が右上部に表示されている。
図4の表示画面の例では、走行するタイミングとして、走行を開始する開始時刻が「開始時刻 10:00」として表示されている。
【0051】
図5は、複数の走行ルートを表示する表示画面の例を示す図である。
図5の表示画面の例では、地図上に複数の走行ルートが重畳されて表示されている。
図5の表示画面の例では、地図上に、走行の順序が実線と破線の矢印でそれぞれ表示されている。例えば、生成部13が2回分の走行ルートを生成した場合に、出力部14は、地図上に、2回分の走行ルートを重畳して出力する。出力部14は、3回分以上の走行ルートを生成してもよい。出力部14は、複数の走行ルートのうち作業者によって選択された走行ルートを出力してもよい。
図5の表示画面の例において、「B」は、道路の画像を撮影する車両の出発地点と、帰着地点を示す。出発地点と、帰着地点は、走行の回ごとに異なっていてもよい。また、
図5の表示画面の例では、それぞれのルートを走行するタイミングとして、走行を開始する開始時刻が「開始時刻 -:10:00 ・・・:13:00」として表示されている。
図5の表示画面の例では、実線の矢印のルートの走行を10:00に開始し、破線の矢印の走行を13:00に開始することを示している。走行するタイミングの表示は、
図4および
図5に示した例に限られない。
【0052】
図6は、生成した走行ルートと、劣化度が高い地点とを表示する表示画面の例を示す図である。
図6の表示画面の例では、地図上に走行ルートと、劣化度が高い地点が重畳されて表示されている。
図6の表示画面の例では、地図上に、劣化度が基準以上の地点に、「H」の文字が表示されている。劣化度は、複数の段階で表示されてもよい。また、劣化度は、劣化度を示す数値を用いて表示されてもよい。
【0053】
図7は、監視の対象範囲を選択する表示画面の例を示す図である。
図7の表示画面の例では、地図上において、破線の枠で範囲を選択すること監視の対象範囲の選択が行われる。作業者は、例えば、マウス操作によって、監視の対象範囲を選択する。生成部13は、例えば、選択された範囲内の道路における走行ルートを生成する。また、監視の対象範囲は、地図上において、各地点を指定することによって選択されてもよい。
【0054】
図8は、劣化度の基準を選択する表示画面の例を示す図である。
図8の表示画面の例では、画面の下部に劣化度の基準を選択するスライダーバーが表示されている。劣化度の基準は、例えば、必ず通る地点を指定する基準である。劣化度の基準が選択された場合に、生成部13は、例えば、劣化度が基準以上の地点を通る走行ルートを生成する。
図8の表示画面の例では、例えば、スライダーバーを右に動かすことで劣化度の基準が高くなる。また、
図8の表示画面の例では、例えば、スライダーバーを左に動かすことで劣化度の基準が低くなる。また、スライダーバーによって基準が変更された場合に、出力部14は、変更後の基準によって生成された走行ルートを、地図上に重畳して出力してもよい。
【0055】
記憶部15は、例えば、走行ルートの生成に用いるデータを保存する。記憶部15は、例えば、車両が走行する道路に関する地図データを保存する。記憶部15は、例えば、走行ルートの生成に用いる情報を保存する。走行ルートの生成に用いる情報は、例えば、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境である。また、走行ルートの生成に用いる情報は、例えば、最適化問題を解く際に用いる目的関数、制約条件および特徴量である。走行ルートの生成に用いる情報は、上記に限られない。記憶部15は、監視対象の道路を撮影した画像を保存してもよい。記憶部15は、生成部13が生成した走行ルートを保存してもよい。
【0056】
記憶部15は、例えば、診断モデルを保存する。記憶部15は、例えば、生成部13が走行ルートを生成する際に用いる、最適化アルゴリズムに関する情報を保存する。生成部13が生成モデルを用いて走行ルートを生成する場合に、記憶部15は、例えば、生成モデルを保存する。診断モデル、最適化アルゴリズムおよび生成モデルは、記憶部15以外の記憶手段に保存されていてもよい。
【0057】
車載装置20は、例えば、車両の前方を撮影する撮影装置を備える。車載装置20の撮影装置は、道路の路面を含む画像を撮影する。車載装置20の撮影装置は、車両の後方を撮影するものであってもよい。車載装置20は、例えば、撮影した画像に、画像を撮影した位置の情報を付加する。車載装置20は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて、画像を撮影した時の車両の位置を特定する。車載装置20は、位置の情報が含まれるビーコンを基に、車両の位置を特定してもよい。車載装置20は、車両の位置を特定した地点からの走行距離と、地図情報とを基に、撮影地点を特定してもよい。また、車載装置20は、例えば、ルート生成システム10に、撮影した画像を出力する。
【0058】
車載装置20は、車両の状態を計測するセンサを備えてもよい。車載装置20は、例えば、車両の上下方向の振動を計測する加速度センサを備える。センサを備える場合に、車載装置20は、センサによる計測結果に、計測時の位置情報を付加する。そして、車載装置20は、例えば、ネットワークを介して、ルート生成システム10に、センサによる計測結果を出力する。車載装置20には、例えば、ドライブレコーダが用いられる。車載装置20は、ドライブレコーダに限られない。
【0059】
端末装置30は、例えば、ルート生成システム10が生成した走行ルートを取得する。そして、端末装置30は、図示しない表示装置に、取得した走行ルートを出力する。また、端末装置30は、作業者の操作によって入力される、監視の対象範囲を取得してもよい。端末装置30は、例えば、ルート生成システム10に、取得した監視の対象範囲を出力する。端末装置30は、作業者の操作によって入力される、制約条件を取得してもよい。端末装置30は、例えば、ルート生成システム10に、取得した制約条件を出力する。
【0060】
端末装置30には、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、またはスマートフォンを用いることができる。端末装置30は、上記の例に限られない。また、車載装置20と、端末装置30は、一体の装置であってもよい。
【0061】
ルート生成システム10が、道路の路面を撮影する車両の走行ルートを生成する際の動作について説明する。
図9は、ルート生成システム10が走行ルートを生成する際の動作フローの例を示す。
【0062】
取得部11は、監視対象の道路の路面を撮影した画像を取得する(ステップS11)。また、取得部11は、路面の劣化度の診断に影響する道路環境に関する情報を取得する(ステップS12)。
【0063】
監視対象の道路の路面を撮影した画像と、道路環境に関する情報を取得すると、診断部12は、監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する(ステップS13)。
【0064】
劣化度の診断が終わっていない地点がある場合に(ステップS14でNo)、診断部12は、ステップS13において、劣化度の診断が終わっていない画像について路面の劣化度を診断する。
【0065】
対象となる地点について劣化度の診断が終わっている場合に(ステップS14でYes)、生成部13は、診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する(ステップS15)。生成部13は、例えば、走行に要する時間を目的関数、路面の劣化度を特徴量、診断に影響する道路環境を制約条件として、最適化問題を解くことで、走行ルートを生成する。
【0066】
走行ルートを生成すると、出力部14は、生成した走行ルートを出力する(ステップS16)。出力部14は、例えば、端末装置30に、生成した走行ルートを出力する。走行ルートを取得すると、端末装置30は、例えば、図示しない表示装置に、取得した走行ルートを出力する。
【0067】
本実施形態のルート生成システム10は、監視対象の道路の路面が写った画像から路面の劣化度を診断する。そして、ルート生成システム10は、診断した路面の劣化度と、撮影に影響を与える道路環境とを基に、路面の監視を行うための走行ルートを生成する。ルート生成システム10は、路面の劣化度と、撮影に影響を与える道路環境とを基に、走行ルートを生成することで、道路の路面を監視する上で必要な地点を通りつつ、画像を取得する上で環境の影響を受けない走行ルートを生成することができる。このため、ルート生成システム10が生成した走行ルートに従って走行することで、道路の路面の劣化の監視に必要な画像を効率的に取得することができる。
【0068】
例えば、路面上に影が生じるタイミングのように、路面の劣化度を診断する画像の撮影に影響がある道路環境のタイミングに通らない走行ルートを生成することで、劣化度の診断に適した画像を確実に取得できる。また、例えば、道路が混雑するタイミングに通らない走行ルートを生成することで、路面が他の車で隠れる可能性を抑えることができる。このように、ルート生成システム10を用いることで、道路の路面状態の監視において車両の効率的な走行ルートを生成することができる。このため、ルート生成システム10を用いることで、車両の走行によって行う道路の路面状態の監視を効率化することができる。
【0069】
また、設定された期間内の複数回の走行ルートを生成する場合に、走行の日時と、点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に走行ルートを生成することで、ルート生成システム10は、より効率的な走行ルートを生成することができる。
【0070】
ルート生成システム10における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。
図10は、ルート生成システム10における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ100の構成の例を示したものである。コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103と、入出力I/F(Interface)104と、通信I/F105を備える。
【0071】
CPU101は、記憶装置103から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。CPU101は、複数のCPUの組み合わせによって構成されていてもよい。また、CPU101は、CPUと他の種類のプロセッサの組み合わせによって構成されていてもよい。例えば、CPU101は、CPUとGPU(Graphics Processing Unit)の組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU101が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時記憶される。記憶装置103は、CPU101が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置103は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置103には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F104は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F105は、車載装置20、端末装置30、および他の情報処理装置との間でデータの送受信を行うインタフェースである。また、端末装置30は、コンピュータ100と同様の構成であってもよい。
【0072】
各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、データを非一時的に記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
[付記1]
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する診断手段と、
診断手段が診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する生成手段と、
生成した走行ルートを出力する出力手段と
を備えるルート生成システム。
【0075】
[付記2]
前記生成手段は、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する車両が走行する地点と、該地点を走行するタイミングとを含む走行ルートを生成する、
付記1に記載のルート生成システム。
【0076】
[付記3]
前記走行ルートは、路面の劣化度の診断に適さない道路環境となるタイミングに、該道路環境の地点を通らない、
付記2に記載のルート生成システム。
【0077】
[付記4]
前記生成手段は、路面上に影が生じるタイミングに、影が生じている地点を通らない走行ルートを生成する、
付記3に記載のルート生成システム。
【0078】
[付記5]
前記生成手段は、道路が混雑するタイミングに、混雑が生じている地点を通らない走行ルートを生成する、
付記3に記載のルート生成システム。
【0079】
[付記6]
前記走行ルートは、季節または天候に基づいた条件を満たす走行ルートである、
付記3に記載のルート生成システム。
【0080】
[付記7]
前記生成手段は、路面の劣化度、または路面の劣化度の進行度の少なくとも一方が基準以上の地点を通る走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0081】
[付記8]
前記生成手段は、設定された範囲の走行に要する時間を基に走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0082】
[付記9]
前記生成手段は、時間内に巡回する地点数を基に走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0083】
[付記10]
前記生成手段は、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影するドライブレコーダが搭載された車の走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0084】
[付記11]
地図上において指定される監視範囲を取得する取得手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記監視範囲内の道路における走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0085】
[付記12]
地図上において指定される監視の優先度が高い地点を取得し、
前記生成手段は、前記監視の優先度が高い地点を通る走行ルートを生成する、
付記1から6いずれかに記載のルート生成システム。
【0086】
[付記13]
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断し、
診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成し、
生成した走行ルートを出力する、
ルート生成方法。
【0087】
[付記14]
監視対象の道路を撮影した画像から路面の劣化度を診断する処理と、
診断した地点ごとの路面の劣化度と、地点ごとの路面の劣化度の診断に影響する道路環境とを基に、路面の劣化度の診断に用いる画像を撮影する走行ルートを生成する処理と、
生成した走行ルートを出力する処理と
をコンピュータに実行させるルート生成プログラム。
【符号の説明】
【0088】
10 ルート生成システム
11 取得部
12 診断部
13 生成部
14 出力部
15 記憶部
20 車載装置
30 端末装置
100 コンピュータ
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 入出力I/F
105 通信I/F