(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043723
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】チケット処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148878
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】複数人分のチケット(権利)がある場合に、これを複数人での利用を可能とする簡易な構成のチケット処理システムを提供すること。
【解決手段】チケット処理システム100は、複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットのデータを格納するデータベース(チケットデータベース)DBと、グループチケットの利用に際して、グループチケットを構成する一の個別チケットの利用状況に基づいて、他の個別チケットの有効性を判定する判定部JDとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットのデータを格納するデータベースと、
前記グループチケットの利用に際して、前記グループチケットを構成する一の個別チケットの利用状況に基づいて、他の個別チケットの有効性を判定する判定部と
を備えるチケット処理システム。
【請求項2】
前記データベースにおいて、前記グループチケットは、前記判定部による判定の基準となる親チケットと、親チケットに紐付けられる子チケットとで構成され、
前記判定部は、判定対象となる個別チケットが子チケットである場合、親チケットの利用状況に基づいて当該子チケットの有効性を判定する、請求項1に記載のチケット処理システム。
【請求項3】
前記データベースは、前記判定部において親チケットを有効と判定した際の時刻及び場所を記録する有効性情報記録部を含み、
前記判定部は、前記有効性情報記録部の記録に基づいて、親チケットについての有効判定後、所定時間内に所定範囲内で利用される子チケットについて有効と判定する、請求項2に記載のチケット処理システム。
【請求項4】
モバイル端末を介した複数人分のチケットの一括購入のためのアクセスを受け付けるとともに、受け付けた一括購入の情報を、前記グループチケットの情報として前記データベースに出力するチケット購入受付部と、
前記モバイル端末の表示部に表示されたチケット情報に基づく個別チケットの利用を受け付けるとともに、受け付けた個別チケットの情報を前記判定部に出力するチケット利用受付部と
を備え、
前記判定部は、前記チケット利用受付部からの個別チケットの情報について有効性を判定し、有効と判定した場合に、判定時刻及び判定場所の情報を、前記データベースに記録する、請求項1~3のいずれか一項に記載のチケット処理システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記チケット利用受付部において前記モバイル端末以外から受け付けた個別チケットについて、前記データベースに記録した判定時刻及び判定場所との関係から有効性を判定する、請求項4に記載のチケット処理システム。
【請求項6】
前記データベースは、前記グループチケットのデータとして駅の切符のデータを格納し、
前記判定部は、駅の改札における利用者の通過許否について判定を行う、請求項1に記載のチケット処理システム。
【請求項7】
前記グループチケットを構成する一の個別チケットを特定するコード情報に基づいて、前記グループチケットにおいて当該一の個別チケットに紐づけられた他の個別チケットを特定するコード情報を付したものを印刷する印刷機を有する、請求項1に記載のチケット処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルチケット(電子チケット)等についてのチケット処理を行うためのチケット処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子チケットを取り扱う技術に関するものとして、例えば電子チケットの利用履歴の管理を行うもの(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、例えば、チケットに複数人分の権利がある場合に、これを複数人で利用するための手法といったことについては、上記特許文献1には、開示がない。例えば駅の切符に相当するような電子チケットについて複数人分の権利が1つのモバイル端末での操作により取得された場合において、この権利を利用して複数人が改札機を通過したい、すなわち分乗券化したい、といったときに、改札機側で当該複数人の通過を正確に検知する(人数を数える等)といったことは、必ずしも容易に行えるとは限らず、困難となる可能性があり、実現のためには、例えば複数人の通過検知のために何らかの設備が必要になると考えられる。改札機側で設備を設けないで実現しようとすると、例えば改札機を通過する各人がモバイル端末を有し、各モバイル端末それぞれに当該権利を分配しておく、といった手間が必要になる。なお、この場合、改札機を通過する各人がモバイル端末を有することも前提となる。以上のように、複数人分の電子チケットを利用する場合、これを利用して改札等を複数人が通過するときに、通過人数を正確に検知する、といったことは、困難となる場合があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、複数人分のチケット(権利)がある場合に、これを複数人での利用を可能とする簡易な構成のチケット処理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するためのチケット処理システムは、複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットのデータを格納するデータベースと、グループチケットの利用に際して、グループチケットを構成する一の個別チケットの利用状況に基づいて、他の個別チケットの有効性を判定する判定部とを備える。
【0007】
上記チケット処理システムでは、グループチケットを構成する個別チケットのうち、一の個別チケットの利用状況を基準として、他の個別チケットについての有効性について判定を行う態様としている。これにより、複数人分のチケット(権利)がある場合に、これを複数人が利用するに際して、各人の個別チケットについて、簡易な構成で有効であるか否かの検知を的確に行える。
【0008】
本発明の具体的な側面では、データベースにおいて、グループチケットは、判定部による判定の基準となる親チケットと、親チケットに紐付けられる子チケットとで構成され、判定部は、判定対象となる個別チケットが子チケットである場合、親チケットの利用状況に基づいて当該子チケットの有効性を判定する。この場合、グループチケットのうち、親チケットを基準とすることで、例えば子チケットの不正利用を防止して適正な利用を図れる。
【0009】
本発明の別の側面では、データベースは、判定部において親チケットを有効と判定した際の時刻及び場所を記録する有効性情報記録部を含み、判定部は、有効性情報記録部の記録に基づいて、親チケットについての有効判定後、所定時間内に所定範囲内で利用される子チケットについて有効と判定する。この場合、子チケットが有効となる時間と範囲を、親チケットに関する記録に基づいて制限することで、例えば子チケットの偽造利用等の防止又は抑制を図ることができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、モバイル端末を介した複数人分のチケットの一括購入のためのアクセスを受け付けるとともに、受け付けた一括購入の情報を、グループチケットの情報としてデータベースに出力するチケット購入受付部と、モバイル端末の表示部に表示されたチケット情報に基づく個別チケットの利用を受け付けるとともに、受け付けた個別チケットの情報を判定部に出力するチケット利用受付部とを備え、判定部は、チケット利用受付部からの個別チケットの情報について有効性を判定し、有効と判定した場合に、判定時刻及び判定場所の情報を、データベースに記録する。この場合、デジタルチケット(電子チケット)に基づく複数人分の権利について、複数人での利用を可能とすべく、的確に取り扱うことができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、判定部は、チケット利用受付部においてモバイル端末以外から受け付けた個別チケットについて、データベースに記録した判定時刻及び判定場所との関係から有効性を判定する。この場合、モバイル端末以外から受け付けた個別チケットが適正なものであるか否かを、データベースに記録に基づいて的確に判定できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、データベースは、グループチケットのデータとして駅の切符のデータを格納し、判定部は、駅の改札における利用者の通過許否について判定を行う。この場合、駅の改札において、グループチケットを利用した複数人の円滑な通過が可能となる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、グループチケットを構成する一の個別チケットを特定するコード情報に基づいて、グループチケットにおいて当該一の個別チケットに紐づけられた他の個別チケットを特定するコード情報を付したものを印刷する印刷機を有する。この場合、他の個別チケットの利用に際して、上記印刷機により印刷されたもの(例えば紙媒体)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態のチケット処理システムについて概要を説明するための概念図である。
【
図2】取り扱うグループチケットのデータについて一例を示すデータ表である。
【
図3】チケットの利用に際して、親チケットに紐付けられる子チケットのコード情報を印刷した媒体を取得する様子について一例を示す図である。
【
図4】(A)~(D)は、チケットを利用した複数人の通過の様子とその際のデータ記録について一例を示す概念図である。
【
図5】チケット処理システムの動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【
図6】子チケットの取扱い処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【
図7】一変形例の複数人の通過の様子について示す概念図である。
【
図8】実施形態のチケット処理システムにおける処理について概要をまとめたブロック図である。
【
図9】(A)~(D)は、チケット処理に関する一変形例について説明するための概念図及びデータ表である。
【
図10】(A)及び(B)は、チケットを利用した複数人の通過の様子とその際のデータ記録について他の一例を示す概念図である。
【
図11】(A)及び(B)は、チケットを利用した複数人の通過の様子とその際のデータ記録についてさらに他の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1等を参照して、一実施形態のチケット処理システムについて一例を説明する。本実施形態のチケット処理システム100は、デジタルチケット(電子チケット)を取り扱うチケッティングシステムであり、例えばクラウド型のサーバー等により構成される。特に、ここでは、チケット処理システム100は、1人分のチケットに加え、複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットについて、デジタルチケットとして取り扱うことを可能としている。チケット処理システム100は、例えば利用者USが所持するモバイル端末MTとの通信を利用して、利用者USにデジタルチケットを購入させることを可能としている。
【0016】
また、ここでは、チケット処理システム100は、駅の切符に相当するものをデジタルチケットとして取り扱う場合の一例について説明する。したがって、図示において、デジタルチケットを購入した利用者USは、チケット購入後、駅の自動改札機AGの通過に際して、購入したデジタルチケットを利用し、この際、チケット処理システム100は、自動改札機AGから当該デジタルチケットの情報についてデータ照合を行い、自動改札機AGにおける利用者USの通過の可否について、判定がなされる。図示の一例では、購入したデジタルチケットのチケット情報が、モバイル端末MTの表示部DSにおいて、QRコード(登録商標)のような2次元コードにより表示されたコード情報TCpの様子が表されている。
【0017】
なお、チケット処理システム100は、駅の切符に限らず、イベント会場等のように、チケットを取り扱う種々の場合において適用可能である。
【0018】
上記のような態様とすべく、図示の一例において、チケット処理システム100は、データベースDBと、判定部JDと、チケット購入受付部TBと、チケット利用受付部TUとを備える。
【0019】
データベースDBは、各種チケットのデータを格納するチケットデータベースであり、特に、ここでは、既述のように、複数人分のチケット(個別チケット)を紐付けしてまとめたグループチケットのデータが格納されている。また、ここでは、グループチケットを構成する一の個別チケットと他の個別チケットとを示す一例として、単数の親チケットと、親チケットに紐付けられる単数または複数の子チケット(子チケット1,2,…)とで、グループチケットが構成されているものとする。さらに、ここでは、データベースDBは、上記のようなグループチケットのデータとして駅の切符のデータを格納するものとなっているものとする。なお、グループチケットのデータについては、
図2等を参照して、一例を後述する。また、説明を省略するが、データベースDB上には、これらのほか、チケット購入時における購入内容や時間等、種々のデータが併せて格納されている。
【0020】
親チケットは、例えば駅の通過時における許否のように、判定を要する場面において判定の基準となる一の個別チケットである。これに対して、子チケットは、一の個別チケットである親チケットに紐付けられており、親チケットの利用状況に基づいてその有効性について判定される他の個別チケットである。
【0021】
判定部JDは、チケットの有効性について判定を行うべく、判定ソフトウェアJSで構成されている。特に、判定部JD(判定ソフトウェアJS)は、グループチケットの利用に際して、上記のように、判定対象となる個別チケットが子チケットである場合、グループチケットを構成する一の個別チケットである親チケットの利用状況に基づいて、他の個別チケットである子チケットの有効性を判定するものとなっている。つまり、判定部JDは、購入されたチケットの利用に際して、駅の改札における利用者USの通過許否について判定を行うものとなっている。
【0022】
チケット購入受付部TBは、チケット購入に際して、モバイル端末MTを介したチケット購入のためのアクセスを受け付けるユーザーインターフェース部として機能する。また、チケット購入受付部TBは、併せて、購入されたチケットの内容を示す情報を、データベースDBに出力する。特に、グループチケットの購入に関して、チケット購入受付部TBは、複数人分のチケットの一括購入のためのアクセスを受け付けるとともに、受け付けた一括購入の情報を、グループチケットの情報としてデータベースに出力している。
【0023】
チケット利用受付部TUは、チケット購入後において、チケット情報に基づく個別チケットの利用を受け付けるユーザーインターフェース部として機能する。例えば、図示のように、チケット購入後において、利用者USが、チケット利用により自動改札機AGを通過すべく現場においてモバイル端末MTを翳して情報の授受を行うと、その際に、チケット利用受付部TUは、自動改札機AGを介して、モバイル端末MTの表示部DSに表示されたチケット情報としてのコード情報TCp等に基づく個別チケットの利用を受け付けるとともに、受け付けた個別チケットの情報を判定部JDに出力する。
【0024】
チケット利用受付部TUからの個別チケットの情報を受けた判定部JDは、当該情報について有効性を判定し、コード情報TCpの内容をデータベースDBに記録されているデータと照合して、有効と判定した場合に、自動改札機AGを通過した時刻及び場所の情報を、判定時刻及び判定場所の情報として、データベースDBに記録する。すなわち、コード情報TCpに対応する個別チケットの利用状況として、自動改札機AGの通過時刻及び場所の情報が、データベースDBの各種データのうち、コード情報TCpに関するものについて、記録(追記)される。また、判定部JDでの判定結果は、チケット利用受付部TUを介して対応する自動改札機AGに出力(伝送)される。以上のようにして、コード情報TCpに関するデータ照合がなされる。
【0025】
以下、
図2として示すデータ表を参照して、データベースDBにおいて取り扱われる各種データのうち、グループチケットのデータについて一例について説明する。
図2に示すように、また、既述のように、グループチケットは、1つの親チケットに対して、これに1つまたは複数個の子チケット1,2,…が紐付けられて構成されている。図示の場合、例えばグループチケットのデータGDαは、1つの親チケットと1つの子チケット1で構成される2枚分のチケットに相当するグループチケットの情報が示されている。同様に、データGDβは、1つの親チケットと4つの子チケット1,2,3,4で構成される5枚分のチケット、データGDγは、1つの親チケットと2つの子チケット1,2で構成される3枚分のチケットに相当するグループチケットの情報が示されている。データベースDBには、このような複数(多数)のグループチケットのデータについて、それぞれ管理がなされており、各データは、利用状況の変化に応じて都度更新されている。図示の例では、購入されたグループチケットのID(例えばグループチケットIDとする)に、親チケットのID(親チケットID)と、これに紐づく子チケットの個数分のID(子チケットID)が付与され、各チケットIDについての利用状況が記録され、管理がなされている。具体的な管理態様としては、例えば各チケットについて、入場時刻及び入場した場所を示す改札機番号の情報や、出場時刻及び出場した場所を示す改札機番号の情報が、チケットの利用ごとに更新されていく、といったことがなされる。
【0026】
なお、詳しい説明を省略するが、例えばデータGDβに示すように、改札通過による入場だけでなく、出場に際しても、同様に、各種処理がなされ、各チケットの有効性について判定がなされる。
【0027】
以下、
図3を参照して、チケットの利用に際して、親チケットに紐付けられる子チケットのコード情報を印刷して、コード情報TCcとしてのQRコード(登録商標)が印字された媒体(印刷物CC)を取得する態様について、一例を説明する。図示の一例では、定期券や切符を購入するために駅に設置された発券装置(券売機)TDを、印刷機PTとして利用することで、印刷物CCを取得する様子が、示されている。より具体的には、まず、利用者USが、表示部DSにコード情報TCpを表示させた状態のモバイル端末MTを、発券装置TDに設けられた読取部RDに読み取らせるとともに、発券装置TDについて各種入力操作を行って、コード情報TCpが示す親チケットに対応する子チケットについてコード情報TCcを印刷させるための指令をする。この指令に応じて、発券装置TDは、まず、チケット処理システム100の判定部JDに対して問合せをする。問い合わせを受けた判定部JDは、コード情報TCpに対応するデータに基づいて、つまりデータベースDBに格納されているデータに基づいて、子チケットの発行に関する許否を判定する。子チケットの発行が許可されると、発券装置TDは、例えば切符等の券売機として備わっている発券機能を利用して、図示のように、コード情報TCpが印字された印刷物CCを発行する。
【0028】
以上において、発券装置TDは、グループチケットを構成する一の個別チケットを特定するコード情報であるコード情報TCpに基づいて、グループチケットにおいて当該一の個別チケットに紐づけられた他の個別チケットを特定するコード情報であるコード情報TCcを付したものを印刷する印刷機PTとして機能している、とも言える。
【0029】
なお、印刷物CCの発行については、上記に限らず種々の態様とすることが可能であり、例えば利用者USが自宅に有するプリンター機等を利用して、事前に発行して持参する等の態様とすることも考えられる。
【0030】
印刷物CCの発行後(印刷後)において、自動改札機AGを通過すべく印刷物CCが利用されると、すなわち、チケット利用受付部TUにおいてモバイル端末MT以外から個別チケット(子チケット)を受け付けると、判定部JDは、データベースDBに記録した当該子チケットに対応する親チケットの判定時刻及び判定場所との関係から、当該子チケットの有効性を判定する。つまり、本実施形態では、親チケットの利用状況に応じて、子チケットを有効とすべきか否かが決定されるものとなっている。
【0031】
以下、
図4(A)~
図4(D)を参照して、チケットを利用した複数人の通過の様子とその際のデータ記録について一例を説明する。
図4(A)は、一時点における複数人の通過の様子を示す概念的な斜視図であり、
図4(B)は、
図4(A)のタイミングにおけるデータ記録を示すデータ表である。また、
図4(C)は、他の一時点における複数人の通過の様子を示す概念的な斜視図であり、
図4(D)は、
図4(C)のタイミングにおけるデータ記録を示すデータ表である。ここで、
図4(A)等に示す一例では、グループチケットが、1つの親チケットと2つの子チケット1,2で構成されており(
図2のうちデータGDγに相当)、親チケットに対応するコード情報TCpが表示されたモバイル端末MTを、利用者USが保持している。また、利用者USの後に続く残りの利用者CH1,CH2が、子チケット1,2に対応するコード情報TCc(TCc1,TCc2)がそれぞれ印字された印刷物CC(CC1,CC2)を保持している。また、図示において、自動改札機AGは、通過許否に応じて開閉してゲート装置として機能する開閉扉GTや、コード情報TCp,TCcとしてのQRコード(登録商標)を読み取って受け付ける受付部RPを有している。すなわち、利用者US,CH1,CH2が、モバイル端末MTや印刷物CC1,CC2上のコード情報TCp,TCcを受付部RPに翳すと、受付部RPにおいて情報が読み取られるとともに、読み取った情報についての照合が、
図1等に示すチケット処理システム100においてなされ、その結果に応じて、開閉扉GTが開閉する。
【0032】
図4(A)に示すような状況では、すなわち利用者USのコード情報TCpが読み取られる状況では、通過許可に際して、
図4(B)に示すデータGDγにあるように、コード情報TCpに対応する親チケットの入場時刻及び入場改札機番号の情報が追記される。
【0033】
さらに、
図4(C)に示すような状況では、すなわち利用者CH1のコード情報TCc1が読み取られる状況では、
図4(D)に示すデータGDγにあるように、コード情報TCc1に対応する子チケット1の入場時刻及び入場改札機番号の情報が追記される。この際、自動改札機AGにおける利用者CH1の通過許否の判定基準として、親チケットの入場時刻及び入場改札機番号の情報が用いられる。具体的な一例としては、親チケットの入場時刻から所定時間内(例えば5分以内)で、かつ、親チケットの入場改札機番号に対応する自動改札機AGと同一の自動改札機AGを利用していれば、コード情報TCc1すなわち子チケット1による通過は、有効なものとして許可され、これ以外の場合には、通過を拒否される。すなわち、親チケットで自動改札機AGを通過した後、一定時間に同じ場所で入場しようとしたときのみ、子チケットの通過を認める制御を行っている。なお、コード情報TCc2すなわち子チケット2による通過についても同様である。以上により、子チケットが例えば紙等に印刷された印刷物CC1,CC2であっても、不正な複製(偽造)等による利用を防止できる。
【0034】
以下、
図5として一例を示すフローチャートを参照して、チケット処理システム100等の動作のうち、チケット利用における一連の動作の一例について、概要を説明する。なお、ここでは、グループチケットが利用される場合、すなわち親チケット又は子チケットのうち、いずれかに相当するものが利用される場合について、一例を説明する。
【0035】
まず、自動改札機AGにおいて、読取り動作によりコード情報すなわちこれに対応するチケットIDが読み取られると、読み取られたチケットIDの情報が、チケッティングシステムであるチケット処理システム100へ送られ(ステップS101)、チケット処理システム100の判定部JD(判定ソフトウェアJS)が、チケットIDに紐付けられた権利情報を、チケットデータベースであるデータベースDBから読み取る(ステップS102)。
【0036】
さらに、ステップS102において読み取られた結果から、読み取られたチケットIDが親チケットであるか子チケットであるかが判別される(ステップS103)。
【0037】
ステップS103における結果が、親チケットであった場合(ステップS103:Yes)、判定部JDは、データベースDB上において当該親チケットに対応して紐付けられた権利情報に基づき、通過許否について判定を行う(ステップS104)。すなわち、通常の通過許否の処理として、当該親チケットが、当該自動改札機AGが設置された駅内への入場を許可できる条件を満たすものであるか否か、といったことが確認される。ステップS104における判定がなされると、日時及び場所の情報すなわち入場時刻及び入場改札機番号の情報がデータベースDBに記録(追記)され(ステップS105)、また、これとともに、判定結果が自動改札機AGに送られ、自動改札機AGにおいて、当該判定結果に応じた開閉扉GTの開閉制御が行われる(ステップS106)。
【0038】
一方、ステップS103における結果が、子チケットであった場合(ステップS103:No)、判定部JDは、対応する親チケットについての日時及び場所の情報すなわち入場時刻及び入場改札機番号の情報を、データベースDBから読み出して、経過時間や場所の一致を確認し、通過許否について判定を行う(ステップS107)。ステップS107における判定がなされると、判定結果が自動改札機AGに送られ、自動改札機AGにおいて、当該判定結果に応じた開閉扉GTの開閉制御が行われ(ステップS106)、一連の動作が終了する。
【0039】
以上のうち、ステップS107以降に関する動作について、すなわちステップS103における結果が子チケットであった場合の動作について、さらに詳しい一例を、
図6として一例を示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
この場合、判定部JDは、まず、子チケットに対応する親チケットの情報を、データベースDBから読み出して(ステップS201)、親チケットが既に通過をしているか否か、すなわち親チケットについて入場時刻及び入場改札機番号の情報が記録されているか否かを確認する(ステップS202)。
【0041】
ステップS202において、当該記録が確認された場合(ステップS202:Yes)、さらに、親チケットについての入場時刻及び入場改札機番号の情報と比較して、子チケットが入場しようとする時刻と自動改札機AGの場所とが、合致しているか否か、すなわち許容範囲内の時間及び場所からの入場であるか否かが確認される(ステップS203)。
【0042】
ステップS203において、合致している(許容範囲内である)とされた場合(ステップS203:Yes)、子チケットに関する日時及び場所の情報がデータベースDBに記録され(ステップS204)、これとともに、チケット処理システム100は、子チケットについての判定結果として通過許可の判定をし、この判定結果を、自動改札機AGに送る(ステップS205)。
【0043】
一方、ステップS202において、親チケットについての入場時刻及び入場改札機番号の情報記録が確認されない場合(ステップS202:No)や、当該記録が確認されても、子チケットが入場しようとする時刻や自動改札機AGの場所が、合致していない場合(ステップS203:No)、チケット処理システム100は、子チケットについての判定結果として通過不可の判定をし、この判定結果を、自動改札機AGに送る(ステップS206)。
【0044】
自動改札機AGは、
図5のS106に相当する動作として、チケット処理システム100における判定結果が、ステップS205におけるもの(通過許可)であるか、ステップS206におけるもの(通過不可)であるかに応じて、開閉扉GTの開閉制御を行う(ステップS207)。
【0045】
以下、
図7として示す概念的な斜視図を参照して、一変形例の複数人の通過の様子について説明する。なお、
図7は、
図4(A)や
図4(C)に対応する図である。
【0046】
図示の一例では、駅STにおいて、複数の自動改札機AG1,AG2,…が、改札機制御装置GCにより、一括管理されている。
図4(A)等での例示では、1つの自動改札機AGが存在する場合を示し、利用するチケットが親チケットの場合も子チケットの場合もこの1つの自動改札機AGを通過する場合に場所的要件を満たすものとしていた。これに対して、
図7に示す一例では、1つの駅STにおいて、複数の自動改札機AG1,AG2,…が一括管理されている。このような場合には、チケット処理システム100は、これらを同一の場所に存在する自動改札機AGであるものとして取り扱ってもよい。すなわち、図示のように、利用者USが、自動改札機AG1から通過する一方、利用者USの後に続く残りの利用者CH1,CH2が、自動改札機AG1以外の自動改札機AG2や自動改札機AG3から通過できるような態様としてもよい。
【0047】
以下、
図8として示すブロック図を参照して、本実施形態のチケット処理システム100における処理について概要をまとめる。本実施形態では、複数人分の利用権利をまとめたグループチケットの購入を受け付けており、受け付けたグループチケットについては、データベースDBにおいて、複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットのデータGDとして、格納されている。より具体的には、グループチケットのデータGDは、一の個別チケットについてのデータGD1(例えば親チケットデータPD)と他の個別チケットについてのデータGD2(例えば子チケットデータCD)とで構成されており、これらについて、特に、一の個別チケット(親チケット)を判定の基準とするように、他の個別チケット(子チケット)を紐づけて構成されている。
【0048】
この上で、チケット処理システム100では、グループチケットの利用に際して、判定部JDが、グループチケットを構成する一の個別チケット(親チケット)の利用状況に基づいて、他の個別チケット(子チケット)の有効性を判定している。
【0049】
なお、以上での説明において、一の個別チケットと他の個別チケットの一例として、親チケットと子チケットとしているが、これらの利用者は、必ずしも親子関係を有する必要等は無く、また、子チケットは、子供用のチケット等である必要もない。例えば、ツアー旅行等において、添乗員が自分の分として親チケットを保持し、ツアー客に子チケットを保持させる、といった態様とすることも考えられる(後述する
図11参照)。
【0050】
以上のように、本実施形態のチケット処理システム100は、複数人分のチケットを紐付けしてまとめたグループチケットのデータを格納するデータベースDBと、グループチケットの利用に際して、グループチケットを構成する一の個別チケットの利用状況に基づいて、他の個別チケットの有効性を判定する判定部JDとを備える。上記チケット処理システム100では、グループチケットを構成する個別チケットのうち、一の個別チケットの利用状況を基準として、他の個別チケットについての有効性について判定を行う態様としている。これにより、複数人分のチケット(権利)がある場合に、これを複数人が利用するに際して、各人の個別チケットについて、簡易な構成で有効であるか否かの検知を的確に行える。
【0051】
以下、
図9(A)~
図9(D)を参照して、チケット処理システム100の一変形例について説明する。
図9(A)~
図9(D)は、チケット処理システム100におけるチケット処理に関する一変形例について説明するための概念図及びデータ表である。ここでは、
図9(A)の概念図に例示するように、子チケットに相当する印刷物(例えば印刷物CC2)を紛失等してしまった場合の対応について一例を説明する。なお、
図9(B)~
図9(D)に示すデータ表は、上記態様を可能とするためのデータ管理について一例を示しており、データベースDB(
図1等参照)において、管理されているものとする。
【0052】
図9(A)に例示するように、紛失や盗難によって子チケット2の内容が印字された印刷物CC2を紛失してしまった場合、親チケットの情報を利用して、子チケット2の内容が印字された印刷物(印刷物CC2xとする)を再発行してもよい。具体的には、モバイル端末MTに表示させた親チケットに関するコード情報TCpに基づいて、発券装置TDに再度、再発行後の子チケット2に対応する情報が印字されたものを発行(再発行)してもよい。また、この際、これとともに、紛失等してしまった印刷物CC2について無効化する処理を併せて行うことが考えられる。
【0053】
以上のような再発行及び無効化のための手法は、種々考えられるが、そのためのデータ管理については、例えば、
図9(B)~
図9(D)のうち、まず、
図9(B)において状態Sαとして示すように、管理用のデータとして、親チケットに対応する子チケットが、発券装置TD等を利用して発行されているか否かを示す発行状況や、発行した際に付与する発行ID、あるいは、発行時刻や発行場所の情報を、データベースDB(
図1等参照)に格納しておく。また、これらの情報が、各印刷物CCに印字されたコード情報にも含まれるようにしておく。この上で、再発行に際しては、
図9(C)において状態Sβとして示すように、データの一部(例えば図中においてハッチングした範囲)について無効化し、
図9(D)において状態Sγとして示すように、無効化した箇所について書換えを行う、といった態様とすることが考えられる。つまり、書換えられた情報について、データベースDB側と新しく発行された印刷物CC2xとで共有させておき、有効性の判定においては、これらの情報も加味される。つまり、無効化された印刷物CC2は使用不能となり、印刷物CC2xが使用可能となるようにできる。
【0054】
以下、
図10(A)及び
図10(B)を参照して、チケット処理システム100の他の一応用例について説明する。
図10(A)は、チケットを利用した複数人の通過の様子について他の一例を示す概念的な図であり、ここでは、列車TR1,TR2の乗り換えをする場合について例示しており、
図10(B)は、その際のデータ記録について示している。より具体的には、
図10(A)では、まず、出発駅である駅STαの改札TGαから入場し、次に、乗換駅である駅STβの改札TGβを通過し、最後に、目的駅である駅STγの改札TGγから出場する様子を示している。この際、各改札TGα,TGβ,TGγにおけるいずれの通過のための条件を満たすように、親チケットを有する利用者USが先頭となって最初の通過をし、その後、要件を満たす時間及び範囲内で、他の利用者(例えば利用者CH1,CH2)が通過することで、例えば
図10(B)に例示するような記録が順次なされていくような態様となり、適切な通過管理がなされる。以上により、乗り継ぎが行われるような場合でも、各人の個別チケットについて、簡易な構成で有効であるか否かの検知を的確に行いつつ、不正利用の防止を図ることが可能なチケット処理がなされる。
【0055】
以下、
図11(A)及び
図11(B)を参照して、チケット処理システム100のさらに他の一応用例について説明する。
図11(A)は、チケットを利用した複数人の通過の様子についてさらに他の一例を示す概念的な図であり、ここでは、列車TRg,TRrの利用AD1と、イベント会場EV等の施設の利用AD2との双方を、1つのチケットで可能とする場合について例示しており、
図11(B)は、その際のデータ記録について示している。より具体的には、
図11(A)では、添乗員がいるツアー旅行の様子を一例として示しており、添乗員がモバイル端末MTを所持し、ツアー客が印刷物CCを所持しており、この場合において、まず、行きの列車TRgの前後で各駅の改札TG1,TG2を順に通過し、その後、同じチケットを利用して、イベント会場の入出場ゲートEEを通過する。この際に、各改札TG1,TG2や入出場ゲートEEにおいて、要件を満たす時間及び範囲内で通過することで、上記と同様のものとなる。以上により、例えば
図11(B)に例示するような記録が順次なされていくような態様となり、適切な通過管理がなされる。なお、帰りの工程については、順が先と逆になる、すなわちイベント会場の入出場ゲートEEを通過し、その後、帰りの列車TRrの前後で各駅の改札TG2,TG1を順に通過するが、この場合も同様となる。
【0056】
また、以上の態様において、例えばイベント会場内にいる間においては、すなわち入出場ゲートEEから入場を終えて入出場ゲートEEから出場する前までの間においては、上記のような特定の場所の通過に関する要件等は課されず、各人が自由に行動できる。また、この際、イベント会場内における各種イベントへの参加等に際しての参加券等として各人の個別チケットが利用可能となっていてもよい。
【0057】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0058】
まず、上記において、コード情報として、QRコード(登録商標)を採用しているが、必要な情報の保持が可能であれば、これに限らず、種々の態様を採用することができる。
【0059】
また、上記では、子チケットが有効となる条件すなわち、通過許否の判定基準を、例えば親チケットの入場時刻から5分以内で、かつ、親チケットの入場改札機番号に対応する自動改札機と同一の自動改札機を利用した場合、あるいは、同一駅内の自動改札機を利用した場合等としているが、かかる条件については、必要とする安全性の度合等に応じて、種々変更可能である。
【0060】
また、チケット処理システム100において管轄する範囲も、種々想定され、例えば鉄道であれば、1つの鉄道会社が自己の路線全範囲についてチケット処理システム100による上記のようなチケット処理についての管理を行えるようにする、といった態様が考えられる。また、種々の会社が連携して情報を共有し、複合的なサービスを提供できるようにチケット処理システム100を構築してもよい。
【0061】
また、以上では、自動改札機AGや発券装置TD、あるいは、モバイル端末MT等は、チケット処理システム100外のものとして、説明したが、これらの全てあるいは一部まで含めてチケット処理システムが構成されている、と捉えることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
100…チケット処理システム、AD1,AD2…利用、AG,AG1,AG2,AG3…自動改札機、CC,CC1,CC2,CC2x…印刷物、CD…子チケットデータ、DB…データベース、DS…表示部、EE…入出場ゲート、EV…イベント会場、GC…改札機制御装置、GD,GD1,GD2,GDα,GDβ,GDγ…データ、GT…開閉扉、JD…判定部、JS…判定ソフトウェア、MT…モバイル端末、PD…親チケットデータ、PT…印刷機、RD…読取部、RP…受付部、ST,STα,STβ,STγ…駅、Sα,Sβ,Sβ…状態、TB…チケット購入受付部、TCc,TCc1,TCc2,TCp…コード情報、TD…発券装置(券売機)、TG1,TG2,TGα,TGβ,TGγ……改札、TR1,TR2,TRg,TRr…列車、TU…チケット利用受付部、US,CH1,CH2…利用者