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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043731
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240326BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B25F5/00 D
B25F5/00 H
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148886
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 圭太
【テーマコード(参考)】
3C064
5G352
【Fターム(参考)】
3C064AA20
3C064AB01
3C064AB03
3C064AC02
3C064AC08
3C064AD02
3C064BA01
3C064BA11
3C064BA12
3C064BA13
3C064BA18
3C064BA31
3C064BA33
3C064BB07
3C064BB10
3C064BB15
3C064BB61
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA07
3C064CA29
3C064CA54
3C064CA85
3C064CA87
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB64
3C064CB71
3C064CB92
3C064CB93
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】配管と配線の取り回し作業が不要になって作業者の負担が軽減できるとともに、油圧ポンプへのゴミや空気の侵入を防止できて、安定して高い信頼性の動作ができる構造の電動工具を提供することを目的とする。
【解決手段】電動工具1は、油圧力で作動する工具ヘッド3と、筒状部5と、本体部2を有し、工具ヘッド3は加工具3aとシリンダ部4を備え、本体部2は油圧部8とオイルタンク6aと油圧ポンプ6とモータ7と二次電池9を備える。シリンダ部4と油圧部8とは配管5cで繋がっており、油圧部8は、モータ7の駆動軸7aを通る軸線P1に沿って往復動する仕切り8aを有する構成である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンの油圧力で作動する工具ヘッドと、前記工具ヘッドを連結する筒状部と、前記筒状部に取付ける本体部を有し、前記工具ヘッドは、加工具と、前記ピストンを有するシリンダ部を備え、前記本体部は、油圧部と、オイルタンクと、前記オイルタンク内の作動油を前記油圧部に送液する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記モータに電力を供給する二次電池を備え、前記シリンダ部と前記油圧部とは配管で繋がっており、
前記油圧部は、前記モータの駆動軸を通る軸線に沿って往復動する仕切りを有すること
を特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記シリンダ部は、前記ピストンを前記油圧ポンプに近づける方向に付勢する第1ばねが内蔵されており、
前記油圧部は、前記仕切りを前記油圧ポンプに近づける方向に付勢する第2ばねが内蔵されていること
を特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記配管は第1カップラと第2カップラを含み、前記第1カップラが前記筒状部の先端側に配されており、前記第2カップラが前記筒状部の後端側に配されていること
を特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記配管は第1カップラと第2カップラを含み、前記第1カップラが前記筒状部の先端側に配されており、前記第2カップラが前記筒状部の後端側に配されていること
を特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記ピストンと前記仕切りと前記モータは、長手方向に順に配されており、
前記本体部は、前記長手方向に沿ってハンドルが配されていること
を特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記ピストンと前記仕切りと前記モータは、長手方向に順に配されており、
前記本体部は、前記長手方向に沿ってハンドルが配されていること
を特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項7】
前記ピストンと前記仕切りと前記モータは、長手方向に順に配されており、
前記本体部は、前記長手方向に沿ってハンドルが配されていること
を特徴とする請求項3に記載の電動工具。
【請求項8】
前記筒状部は第1絶縁材からなり、前記配管は第2絶縁材からなる油圧ホースを含み、前記油圧ホースは前記筒状部に内蔵されていること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線作業に用いる電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の操作杆(操作棒と同義)の先端に工具ヘッドを取付けた電動工具が提案されている(特許文献1:特開2004-180373号公報、特許文献2:実公平4-7606号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-180373号公報
【特許文献2】実公平4-7606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動工具は、電動モータと工具ヘッドとを連結軸を介してギヤ接続する構成上、長尺の操作棒の場合、活線作業に必要な駆動力が不足し作業性に劣る。特許文献2に記載の電動工具は、油圧力を用いているので十分な駆動力が得られる。しかし、作業車両に油圧ホースと電源コードを接続する必要があり、配管と配線の取り回しが煩わしく、作業者の負担となっている。また、油圧管路内にゴミや空気が侵入することがあり、メンテナンス作業が煩わしいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、配管と配線の取り回し作業が不要になって作業者の負担が軽減できるとともに、油圧ポンプへのゴミや空気の侵入を防止できて、安定して高い信頼性の動作ができる構造の電動工具を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る電動工具は、ピストンの油圧力で作動する工具ヘッドと、前記工具ヘッドを連結する筒状部と、前記筒状部に取付ける本体部を有し、前記工具ヘッドは、加工具と、前記ピストンを有するシリンダ部を備え、前記本体部は、油圧部と、オイルタンクと、前記オイルタンク内の作動油を前記油圧部に送液する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記モータに電力を供給する二次電池を備え、前記シリンダ部と前記油圧部とは配管で繋がっており、前記油圧部は、前記モータの駆動軸を通る軸線に沿って往復動する仕切りを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、油圧力を用いて十分な駆動力が得られる。そして、配管と配線の取り回し作業が不要になって作業者の負担が軽減できるとともに、バッテリ駆動によって作業範囲が拡大できる。尚且つ、油圧部に仕切りを設けたことで油圧ポンプへのゴミや空気の侵入を防止できるので、安定して高い信頼性の動作ができる。
【0009】
前記シリンダ部は、前記ピストンを前記油圧ポンプに近づける方向に付勢する第1ばねが内蔵されており、前記油圧部は、前記仕切りを前記油圧ポンプに近づける方向に付勢する第2ばねが内蔵されていることが好ましい。この構成によれば、工具ヘッドによる加工後に加工具を初期位置に戻す際に、第1ばねの復元力に加えて第2ばねの復元力を用いることで加工具の戻り速度が上昇し作業スピードが向上する。
【0010】
一例として、前記配管は第1カップラと第2カップラを含み、前記第1カップラが前記筒状部の先端側に配されており、前記第2カップラが前記筒状部の後端側に配されている構成である。第1カップラを設けたことで、工具ヘッドの取替えが容易に出来る。また、第2カップラを設けたことで、筒状部を分離してメンテナンスすることや筒状部を組付けることが容易にできる。よって、生産性及びメンテナンス性に優れた構成にできる。
【0011】
一例として、前記ピストンと前記仕切りと前記モータは、長手方向に順に配されており、前記本体部は、前記長手方向に沿ってハンドルが配されている構成である。長手方向に沿ってハンドルが配されていることで、作業者が本体部を持ち易くなり、作業性が向上する。
【0012】
一例として、前記筒状部は第1絶縁材からなり、前記配管は第2絶縁材からなる油圧ホースを含み、前記油圧ホースは前記筒状部に内蔵されている構成である。筒状部に油圧ホースを内蔵したことで、コンパクトにできるとともに、作動油は二重の絶縁構造になるので、より安全性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配管と配線の取り回し作業が不要になって作業者の負担が軽減できるとともに、油圧ポンプへのゴミや空気の侵入を防止できて、安定して高い信頼性の動作ができる構造の電動工具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の実施形態に係る電動工具の例を示す概略の斜視図である。
図2図2A図1に示す電動工具の概略の左側面図であり、図2B図1に示す電動工具の概略の正面図であり、図2C図1に示す電動工具の概略の右側面図であり、図2D図1に示す電動工具の概略の背面図である。
図3図3図1に示す電動工具の第1例を示す概略の部分断面図である。
図4図4図3に示す電動工具の油圧部の構造を拡大して示す概略の部分断面図である。
図5図5図1に示す電動工具の第2例を示す概略の部分断面図である。
図6図6は工具ヘッドの他の例を示す概略の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態は、工具ヘッド3と筒状部5と本体部2が連結された構成の電動工具1であり、架設された電線の圧縮接合作業や前記電線の切断作業等の間接活線作業に用いられる電設工具である。図1は本実施形態に係る電動工具1の例を示す概略の斜視図である。図2Aは電動工具1の概略の左側面図であり、図2Bは電動工具1の概略の正面図であり、図2Cは電動工具1の概略の右側面図であり、図2Dは電動工具1の概略の背面図である。ここで、電動工具1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。なお、電動工具1は、作業する際の向きに依らず、いずれの向きにおいても正常に作動する。
【0016】
[第1例]
図3は電動工具1の第1例を示す概略の部分断面図である。図3に示すように、電動工具1は、バッテリパック9の電力によってモータ7を駆動し、モータ7の駆動力によって油圧ポンプ6を駆動する。そして、オイルタンク6aに貯蔵された第1作動油11を油圧ポンプ6によって油圧部8に送液し、油圧部8に配された仕切り8aを第1油圧室8c1内の第1作動油11によって押して、仕切り8aによって第2油圧室8c2内の第2作動油12を押して、配管5cを経由し、シリンダ部4におけるピストン4aを第2作動油12の油圧力で作動させて工具ヘッド3を作動させる構成であり、可搬型でコードレスタイプの電動工具1である。仕切り8aは、第1軸線P1に沿ってZ方向に往復動する。ピストン4aは、第2軸線P2に沿ってZ方向に往復動する。一例として、軸線P1と軸線P2とは平行である。
【0017】
図3に示すように、電動工具1は、加工具3aが取付けられた工具ヘッド3と、工具ヘッド3を連結する筒状部5と、筒状部5に取付ける本体部2を有する。筒状部5は、絶縁性樹脂や、金属等の外周及び内周に絶縁被膜が形成された構成の第1絶縁材からなり、つば5dが所定間隔で設けられている。つば5dは、限界つばや、水きりつばとして機能し、筒状部5の絶縁性及び耐候性を高めている。筒状部5は、先端側に第1カップラ5aが内蔵され、後端側に第2カップラ5bが内蔵され、第1カップラ5aと第2カップラ5bとは配管接続されている。配管5cは、耐圧・耐油性の第2絶縁材からなる油圧ホースであり、筒状部5に内蔵されている。工具ヘッド3におけるシリンダ部4は第1カップラ5aに脱着可能に連結され、第1カップラ5aはジョイント部24に接続され、ジョイント部24は配管5cに接続され、配管5cは第2カップラ5bに接続され、第2カップラ5bは本体部2における油圧部8に脱着可能に連結されて、油圧管路を構成する。
【0018】
一例として、圧縮スリーブのサイズや圧着端子のサイズに対応したサイズの加工具3aを工具ヘッド3に取付ける。電動工具1は、圧縮・圧着加工や、断線加工等の用途に応じて、工具ヘッド3を交換して作業することができる。ジョイント部24は、第1カップラ5aを通る第2軸線P2と平行な第1軸線P1上に第2カップラ5bが配されるように設けられる。ジョイント部24は、ロック状態を保持し、ロック状態を解除する構成になっており、工具ヘッド3と本体部2との相対位置がより自由に調整可能である。
【0019】
本体部2は、金属製または金属と樹脂とを組み合わせた構成の筐体2aを有する。油圧ポンプ6と、オイルタンク6aと、モータ7と、モータ7を制御する制御回路7dとが筐体2aの内部に設けられている。一例として、油圧ポンプ6は、モータ7の駆動軸7aによって回転する斜板カム7bと、駆動軸7aを通る第1軸線P1の周りに配されて、斜板カム7bに接しつつ第1軸線P1に沿って往復動する複数のプランジャ7cを有する斜板式のピストンポンプである。なお、油圧ポンプ6は斜板カム7bを用いた構成に限られず、既知の油圧ポンプが適用できる。
【0020】
バッテリパック9は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が構成されており、モータ7と制御回路7dに電源供給する。バッテリパック9は、係脱可能にアダプタ2dに接続されている。また、バッテリパック9を囲んで保護する籠状のカバー9aが、アダプタ2dに接続されている。カバー9aは金属製であり、底部が平らになっているので、電動工具1を壁等に立てかけて置くことが可能である。バッテリパックが手元近くでウエイトになることで作業者に近い位置に重心が来るので、工具ヘッドのバランスをとることが容易にできる。なお、この構成に限られず、二次電池9が本体部2に内蔵されている構成にする場合がある。
【0021】
一例として、筐体2aは、ハンドル2bとアダプタ2dが形成されている。ハンドル2bは作業者が把持する持ち手部分であり、起動スイッチ2cが内向きに配されている。起動スイッチ2cを押すとモータ7が作動可能な状態になる。一例として、制御回路7dは、ワンチップマイコンからなるCPUである。
【0022】
ハンドル2bの長手方向を通る第3軸線P3と、第1カップラ5aを通る第2軸線P2とは、略平行ないしは鋭角で交差しており、図3に示す例では、交差角度Kは15度以下である。この構成によって、作業者が電動工具1のハンドル2bを把持し易くなり、活線作業の作業性が向上する。
【0023】
図4は電動工具1における油圧部8の構造を拡大して示す概略の部分断面図である。図4に示すように、オイルタンク6aに貯蔵された第1作動油11を油圧ポンプ6によって油圧部8に送液し、油圧部8に配された仕切り8aを第1油圧室8c1内の第1作動油11によって押して、仕切り8aによって第2油圧室8c2内の第2作動油12を押して、配管5cを経由し、シリンダ部4におけるピストン4aを第2作動油12の油圧力で作動させて工具ヘッド3を作動させる。この構成によれば、第1作動油11と第2作動油12とは仕切り8aによって区画される。この構成により、油圧ポンプ6へのゴミや空気の侵入を防止でき、安定して高い信頼性の動作ができる。
【0024】
オイルタンク6aは油圧部8と油圧ポンプ6とを繋ぐ位置に配されている。オイルタンク6aはチェック弁(図示せず)を介して油圧ポンプ6に通じている。また、オイルタンク6aはリリーフ弁6cを介して油圧部8に通じている。工具ヘッド3が作動完了すると、ピストン4aと仕切り8aは初期位置に戻る。シリンダ部4は、ピストン4aを初期位置に戻すための第1ばね4bが内蔵されている。油圧部8は、仕切り8aを初期位置に戻すための第2ばね8bが内蔵されている。この構成によれば、工具ヘッド3による加工後に加工具3aを初期位置に戻す際に、第1ばね4bの復元力に加えて第2ばね8bの復元力を用いることで加工具3aの戻り速度が上昇し作業スピードが向上する。
【0025】
図6は工具ヘッド3の他の例を示す概略の部分断面図である。図6示す例は、工具ヘッド3における加工具3bを電線の切断刃にした構成である。本実施形態は、電線の圧縮接合作業、電線の切断作業、電線の被覆剥取作業、その他既知の間接活線作業に応じて、工具ヘッド3を取替えできる。
【0026】
[第2例]
図5は電動工具1の第2例を示す概略の部分断面図である。図5に示す例は、第1カップラ5aと第2カップラ5bを省いて、簡素化した構成である。これにより、部品点数を削減できる。
【0027】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 電動工具
2 本体部、2a 筐体、2b ハンドル、2c 起動スイッチ、2d アダプタ
3 工具ヘッド、3a 加工具
4 シリンダ部、4a ピストン、4b 第1ばね
5 筒状部、5a 第1カップラ、5b 第2カップラ、5c 配管(油圧ホース)、5d つば
6 油圧ポンプ、6a オイルタンク、6b リリーフ弁
7 モータ、7a 駆動軸、7b 斜板カム、7c プランジャ、7d 制御回路
8 油圧部、8a 仕切り、8b 第2ばね、8c1 第1油圧室、8c2 第2油圧室
9 二次電池(バッテリパック)、9a カバー
11 第1作動油
12 第2作動油
P1 軸線(第1軸線)
P2 軸線(第2軸線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6