(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043733
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】振動抑制装置、および旋削装置
(51)【国際特許分類】
B23B 23/04 20060101AFI20240326BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B23B23/04
B23Q11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148889
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(71)【出願人】
【識別番号】599136991
【氏名又は名称】二村機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】高杉 敬吾
(72)【発明者】
【氏名】二村 忠宏
【テーマコード(参考)】
3C011
3C045
【Fターム(参考)】
3C011AA04
3C045FE09
(57)【要約】
【課題】ワークの振動を抑制できる振動抑制装置等を提供する。
【解決手段】振動抑制装置18は、軸芯に沿って延びるワークWの一端部を把持してワークWを軸芯を中心として回転させる主軸台12と、ワークWの他端部を支持しかつワークWとともに回転する回転センタ24を有する心押台14とを備える旋削装置10に用いられる振動抑制装置18であって、ワークWの回転軸線Oを中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が回転軸線Oを中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石40と、周方向に並び、それぞれのN極およびS極が径方向に並び、径方向において複数の第1磁石40の外方に設けられる複数の第2磁石44とを備え、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44の一方は、ワークWとともに他方に対して回転する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台とを備える旋削装置に用いられる振動抑制装置であって、
前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、
前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する、
振動抑制装置。
【請求項2】
前記複数の第1磁石は、前記周方向に等間隔で並び、
前記複数の第2磁石は、前記周方向に等間隔で並ぶ、
請求項1に記載の振動抑制装置。
【請求項3】
前記複数の第1磁石が前記周方向に並ぶ間隔および前記複数の第2磁石が前記周方向に並ぶ間隔は、相互に等しい、
請求項1に記載の振動抑制装置。
【請求項4】
前記複数の第1磁石の個数および前記複数の第2磁石の個数は、相互に等しい、
請求項1に記載の振動抑制装置。
【請求項5】
前記複数の第1磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石とが、前記周方向に交互に並び、
前記複数の第2磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石とが、前記周方向に交互に並ぶ、
請求項1から4のいずれか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項6】
前記複数の第1磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石とが、前記周方向に複数個ずつ交互に並び、
前記複数の第2磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石とが、前記周方向に複数個ずつ交互に並ぶ、
請求項1から4のいずれか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項7】
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石は、前記心押台に内蔵される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項8】
前記複数の第1磁石は、前記回転センタに固定されて前記ワークとともに前記複数の第2磁石に対して回転する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項9】
軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、
前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台と、
前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、
前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する、
旋削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動抑制装置、および旋削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを回転させて切削または研磨する旋削装置が知られている。たとえば、特許文献1には、棒状のワークの一端部を把持してワークを回転させる主軸装置と、当該ワークの他端部を支持してワークとともに回転する心押台と、ワークを切削するための工具とを備える工作機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の工作機械では、回転するワークに工具を当接させると、ワークが振動してしまい、ワークの面性状の低下等に繋がるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ワークの振動を抑制できる振動抑制装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る振動抑制装置は、軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台とを備える旋削装置に用いられる振動抑制装置であって、前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する。
【0007】
本発明の一態様に係る旋削装置は、軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台と、前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワークの振動を抑制できる振動抑制装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る旋削装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の旋削装置の振動抑制装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の旋削装置の振動抑制装置を示す正面図である。
【
図5】
図5は、
図1の旋削装置に加わるトルクの一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、振動抑制装置の他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、振動抑制装置のその他の例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、振動抑制装置のさらにその他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ならびに、工程および工程の順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0012】
また、本明細書および図面において、x軸、y軸およびz軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、x軸およびy軸は、互いに直交し、かつ、いずれもz軸に直交する軸である。
【0013】
また、以下の実施の形態において、平行および直交等の、2つの方向の相対的な姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密にはその姿勢ではない場合も含む。たとえば、2つの方向が直交である、という場合、特に断りのない限り、当該2つの方向が完全に直交であることを意味するだけでなく、実質的に直交であること、すなわち、たとえば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0014】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る旋削装置10を示す斜視図である。
図2は、
図1の旋削装置10の心押台14を示す断面図である。
図2は、x軸に直交する断面を示している。
図1および
図2を参照して、旋削装置10の構成について説明する。
【0015】
図1および
図2に示すように、旋削装置10は、ワークWを旋削するための装置である。この実施の形態では、旋削装置10は、ワークWを切削するための切削装置である。たとえば、切削装置は、回転するワークWにバイトを接触させることによって、ワークWを加工する旋盤である。旋削装置10は、主軸台12と、心押台14と、ベース15と、切削工具16と、振動抑制装置18とを備えている。
【0016】
主軸台12は、軸芯に沿って延びるワークWの一端部を把持してワークWを当該軸芯を中心として回転させる。つまり、ワークWの軸芯とワークWの回転軸線Oとは一致している。この実施の形態では、ワークWは、棒状である。主軸台12は、ワークWを掴んで把持するチャック20を有しており、チャック20は、主軸台12に含まれている主軸(図示せず)に固定されている。当該主軸がモータ(図示せず)によって回転されることによって、チャック20とともにチャック20に把持されているワークWが回転軸線Oを中心に回転する。
【0017】
心押台14は、ワークWに対して主軸台12とは反対側に設けられており、ワークWの他端部を支持する。たとえば、心押台14は、テールストックである。心押台14は、筐体22と、回転センタ24と、ベアリング26と、シール部材28とを有している。
【0018】
筐体22は、回転センタ24の一部、ベアリング26、シール部材28、および振動抑制装置18を収容している。筐体22は、主軸台12に対して回転軸線O方向に移動可能となるように、ベース15に支持されている。これによって、回転センタ24等は、主軸台12に対して回転軸線O方向に移動可能となる。
【0019】
回転センタ24は、ワークWの他端部を支持しかつワークWとともに回転する。回転センタ24は、ベアリング26によって回転軸線Oを中心に回転可能に支持されている。回転センタ24は、筐体22よりも主軸台12側に突出しており、主軸台12側に向かうにつれて縮径する円錐状の円錐部30を有している。回転センタ24は、円錐部30の頂部32がワークWの他端面の中央に設けられている凹部に嵌め込まれた状態でワークWに押し付けられることによってワークWの他端部を支持し、ワークWが回転するとワークWとともに回転軸線Oを中心に回転する。
【0020】
ベース15は、主軸台12と一体的に設けられており、上述したように、筐体22を回転軸線O方向に移動可能となるように支持している。
【0021】
切削工具16は、回転軸線Oを中心とする径方向の外方から、回転するワークWに接触することによって、ワークWを切削する。なお、以下の説明において、回転軸線Oを中心とする径方向を、単に、径方向ともいう。たとえば、切削工具16は、バイトである。
【0022】
振動抑制装置18は、ワークWの振動を抑制する装置である。具体的には、たとえば、ワークWの振動とは、ワークWのびびり振動である。振動抑制装置18は、第1磁界発生部材34と、第2磁界発生部材36とを有している。第1磁界発生部材34および第2磁界発生部材36は、心押台14に内蔵されている。
【0023】
以上、旋削装置10の構成について説明した。
【0024】
図3は、
図1の旋削装置10の振動抑制装置18を示す斜視図である。
図4は、
図1の旋削装置10の振動抑制装置18を示す模式図である。
図2から
図4を参照して、振動抑制装置18の構成について説明する。
【0025】
第1磁界発生部材34は、第2磁界発生部材36に作用する磁界を発生させる。第1磁界発生部材34は、ワークWとともに第2磁界発生部材36に対して回転する。第1磁界発生部材34は、筐体22内において回転センタ24に固定され、回転センタ24およびワークWとともに回転軸線Oを中心に回転する。第1磁界発生部材34は、保持体38と、複数(この実施の形態では、10個)の第1磁石40とを有している。
【0026】
保持体38は、複数の第1磁石40を保持する。保持体38は、回転軸線Oを中心とする周方向に沿う円筒状であり、保持体38の内方には、回転センタ24が挿通されている。なお、以下の説明において、回転軸線Oを中心とする周方向を、単に、周方向ともいう。保持体38は、回転センタ24の外周面に固定されている。たとえば、保持体38は、保持体38の内方に回転センタ24が圧入されることによって、回転センタ24に固定されている。たとえば、保持体38は、アルミ等の非磁性体によって形成されている。保持体38は、複数の穴部39を有している。
【0027】
複数の穴部39は、複数の第1磁石40に対応して設けられ、複数の穴部39のそれぞれには、複数の第1磁石40のうち当該穴部39に対応する第1磁石40が収容されている。複数の穴部39のそれぞれは、回転軸線Oが延びる回転軸線O方向において、保持体38を貫通している。なお、たとえば、複数の穴部39のそれぞれは、回転軸線O方向において、保持体38を貫通していなくてもよく、回転軸線O方向の片側にのみ開口していてもよい。複数の穴部39は、周方向に並んでいる。
【0028】
複数の第1磁石40は、周方向に並んでいる。複数の第1磁石40は、周方向に等間隔で並んでいる。複数の第1磁石40のそれぞれのN極およびS極は、径方向に並んでいる。複数の第1磁石40において、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40と径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40とが、周方向に交互に並んでいる。複数の第1磁石40のそれぞれは、周方向に沿って湾曲している。複数の第1磁石40の大きさは、相互に等しい。複数の第1磁石40は、ワークWとともに複数の第2磁石44に対して回転する。複数の第1磁石40は、回転センタ24に固定されてワークWとともに複数の第2磁石44に対して回転する。複数の第1磁石40のそれぞれは、穴部39に固定され、保持体38を介して回転センタ24に固定されている。複数の第1磁石40のそれぞれは、永久磁石である。
【0029】
第2磁界発生部材36は、第1磁界発生部材34に作用する磁界を発生させる。第2磁界発生部材36は、径方向において第1磁界発生部材34の外方に設けられている。つまり、第2磁界発生部材36は、径方向において第1磁界発生部材34と対向している。第2磁界発生部材36は、筐体22に固定されており、ワークWとともに回転しない。第2磁界発生部材36は、保持体42と、複数(この実施の形態では、10個)の第2磁石44とを有している。
【0030】
保持体42は、複数の第2磁石44を保持する。保持体42は、回転軸線Oを中心とする周方向に沿う円筒状であり、保持体42の内方には、第1磁界発生部材34が回転軸線Oを中心として回転可能に設けられている。保持体42は、筐体22に固定されている。たとえば、保持体42は、筐体22に圧入されることによって、筐体22に固定されている。たとえば、保持体42は、アルミ等の非磁性体によって形成されている。保持体42は、複数の穴部43を有している。
【0031】
複数の穴部43は、複数の第2磁石44に対応して設けられ、複数の穴部43のそれぞれには、複数の第2磁石44のうち当該穴部43に対応する第2磁石44が収容されている。複数の穴部43のそれぞれは、回転軸線Oが延びる回転軸線O方向において、保持体42を貫通している。なお、たとえば、複数の穴部43のそれぞれは、回転軸線O方向において、保持体42を貫通していなくてもよく、回転軸線O方向の片側にのみ開口していてもよい。複数の穴部43は、周方向に並んでいる。
【0032】
複数の第2磁石44は、周方向に並んでいる。複数の第2磁石44は、周方向に等間隔で並んでいる。複数の第1磁石40が周方向に並ぶ間隔(角度間隔)および複数の第2磁石44が周方向に並ぶ間隔(角度間隔)は、相互に等しい。複数の第1磁石40の個数および複数の第2磁石44の個数は、相互に等しい。複数の第2磁石44は、径方向において複数の第1磁石40の外方に設けられている。複数の第2磁石44のそれぞれのN極およびS極は、径方向に並んでいる。複数の第2磁石44において、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44と径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44とが、周方向に交互に並んでいる。複数の第2磁石44のそれぞれは、周方向に沿って湾曲している。複数の第2磁石44の大きさは、相互に等しい。複数の第2磁石44は、ワークWとともに回転しない。複数の第2磁石44は、筐体22に固定されており、ワークWとともに回転しない。複数の第2磁石44のそれぞれは、穴部43に固定され、保持体42を介して筐体22に固定されている。複数の第2磁石44のそれぞれは、永久磁石である。
【0033】
以上、振動抑制装置18の構成について説明した。
【0034】
図5は、
図1の旋削装置10に加わるトルクの一例を示すグラフである。
図4および
図5を参照して、振動抑制装置18による振動抑制方法について説明する。
【0035】
図4に示すように、ワークWが回転すると、複数の第1磁石40が複数の第2磁石44に対して回転する(
図4の太線を参照)。
【0036】
たとえば、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40のN極に対して、回転方向の前方側に、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44のS極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを引き合わせる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を加速させる力である。
【0037】
たとえば、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40のN極に対して、回転方向の後方側に、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44のS極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを引き合わせる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を減速させる力である。
【0038】
たとえば、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40のN極に対して、回転方向の前方側に、径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44のN極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを反発させる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を減速させる力である。
【0039】
たとえば、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40のN極に対して、回転方向の後方側に、径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44のN極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを反発させる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を加速させる力である。
【0040】
たとえば、径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40のS極に対して、回転方向の前方側に、径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44のN極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを引き合わせる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を加速させる力である。
【0041】
たとえば、径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40のS極に対して、回転方向の後方側に、径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44のN極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを引き合わせる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を減速させる力である。
【0042】
たとえば、径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40のS極に対して、回転方向の前方側に、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44のS極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを反発させる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を減速させる力である。
【0043】
たとえば、径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40のS極に対して、回転方向の後方側に、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44のS極が位置している場合、第1磁石40と第2磁石44とを反発させる磁力が第1磁石40と第2磁石44との間に発生する。この磁力は、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を加速させる力である。
【0044】
図5に示すように、ワークWとともに複数の第1磁石40が回転すると、第1磁石40と第2磁石44との間の磁力によって複数の第1磁石40の回転に対して断続的に力が付与され、複数の第1磁石40とともに回転するワークWの回転に対して断続的に力が付与される。たとえば、ワークWとともに複数の第1磁石40が回転すると、第1磁石40の回転つまりワークWの回転を減速させる力(トルク)と第1磁石40の回転つまりワークWの回転を加速させる力(トルク)とが連続して発生する。
【0045】
ここでは、ワークWが1回転する間に、ワークWの回転を減速させる力(トルク)とワークWの回転を加速させる力(トルク)とが連続して発生することが、複数回発生している。つまり、ワークWの回転の周期よりも短い周期で、ワークWの回転を減速させる力(トルク)とワークWの回転を加速させる力(トルク)とが連続して発生することが、繰り返し発生している。
【0046】
この実施の形態では、たとえば、振動抑制装置18は、ワークWの回転の周期よりも短い周期で、ワークWの回転を減速させる力とワークWの回転を加速させる力とが連続して発生することを繰り返し行うことによって、ワークWの振動を抑制する。なお、たとえば、振動抑制装置18は、ワークWの回転の周期よりも短い周期で、ワークWの回転を加速させる力とワークWの回転を減速させる力とが連続して発生することを繰り返し行うことによって、ワークWの振動を抑制することもできる。
【0047】
以上、振動抑制装置18による振動抑制方法について説明した。
【0048】
次に、ワークWの振動測定の実験結果について説明する。
【0049】
ここでは、主軸回転数を4760rpmとし、周速を224m/minとし、送り速度を0.2mm/revとし、テールストック推力を3.0kNとし、チャック圧を2.0として、直径15mmでありかつ長さが300mmでありかつ材質がSUS304であるワークWに、0.1mm、0.15mm、0.2mm、および0.25mmのそれぞれの切り込みを加工した。
【0050】
振動抑制装置18を備えていない旋削装置では、0.15mmおよび0.2mmの切り込みを加工した場合に、ワークWに振動が発生した。
【0051】
一方、振動抑制装置18を備えている旋削装置10では、0.1mm、0.15mm、0.2mm、および0.25mmのいずれの切り込みを加工した場合にも、ワークWに振動は発生しなかった。
【0052】
このように、振動抑制装置18によってワークWの振動を抑制できることがわかった。
【0053】
以上、ワークWの振動測定の実験結果について説明した。
【0054】
実施の形態に係る振動抑制装置18は、軸芯に沿って延びるワークWの一端部を把持してワークWを軸芯を中心として回転させる主軸台12と、ワークWの他端部を支持しかつワークWとともに回転する回転センタ24を有する心押台14とを備える旋削装置10に用いられる振動抑制装置18であって、ワークWの回転軸線Oを中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が回転軸線Oを中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石40と、周方向に並び、それぞれのN極およびS極が径方向に並び、径方向において複数の第1磁石40の外方に設けられる複数の第2磁石44とを備え、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44の一方は、ワークWとともに他方に対して回転する。
【0055】
これによれば、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44の一方がワークWとともに他方に対して回転しているときに、複数の第1磁石40と複数の第2磁石44との間に発生する磁力によって、ワークWの回転に対して断続的に力を付与することができるので、ワークWの振動を抑制できる。
【0056】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40は、周方向に等間隔で並び、複数の第2磁石44は、周方向に等間隔で並ぶ。
【0057】
これによれば、ワークWの回転を加速させる力とワークWの回転を減速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。また、ワークWの回転を減速させる力とワークWの回転を加速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。
【0058】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40が周方向に並ぶ間隔および複数の第2磁石44が周方向に並ぶ間隔は、相互に等しい。
【0059】
これによれば、ワークWの回転を加速させる力とワークWの回転を減速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。また、ワークWの回転を減速させる力とワークWの回転を加速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。
【0060】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40の個数および複数の第2磁石44の個数は、相互に等しい。
【0061】
これによれば、ワークWの回転を加速させる力およびワークWの回転を減速させる力のそれぞれをより大きくし易いので、ワークWの振動をさらに抑制できる。
【0062】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40において、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40と径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40とが、周方向に交互に並び、複数の第2磁石44において、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44と径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44とが、周方向に交互に並ぶ。
【0063】
これによれば、ワークWの回転を加速させる力とワークWの回転を減速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。また、ワークWの回転を減速させる力とワークWの回転を加速させる力とが連続して発生することを等間隔で発生させ易くなるので、ワークWの振動をさらに抑制できる。
【0064】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44は、心押台14に内蔵される。
【0065】
これによれば、振動抑制装置18を設けることによって旋削装置10が大きくなることを抑制できる。たとえば、既存の心押台に元々内蔵されて回転センタを支持していたベアリングに代えて、振動抑制装置18を設けることによって、既存の旋削装置が大きくなることを抑制できる。
【0066】
また、実施の形態に係る振動抑制装置18において、複数の第1磁石40は、回転センタ24に固定されてワークWとともに複数の第2磁石44に対して回転する。
【0067】
これによれば、複数の第1磁石40がワークWを支持する回転センタ24に固定されることによって、ワークWの回転に対して、ワークWの回転を加速させる力およびワークWの回転を減速させる力を容易に付与することができ、ワークWの振動を容易に抑制できる。
【0068】
実施の形態に係る旋削装置10は、軸芯に沿って延びるワークWの一端部を把持してワークWを軸芯を中心として回転させる主軸台12と、ワークWの他端部を支持しかつワークWとともに回転する回転センタ24を有する心押台14と、ワークWの回転軸線Oを中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が回転軸線Oを中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石40と、周方向に並び、それぞれのN極およびS極が径方向に並び、径方向において複数の第1磁石40の外方に設けられる複数の第2磁石44とを備え、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44の一方は、ワークWとともに他方に対して回転する。
【0069】
これによれば、上記の振動抑制装置18と同様の作用効果を奏する。
【0070】
図6は、振動抑制装置の他の例を示す斜視図である。
図7は、
図6の振動抑制装置を示す模式図である。
図6および
図7を参照して、振動抑制装置の他の例について説明する。
【0071】
図6および
図7に示すように、振動抑制装置18aは、第1磁界発生部材34に代えて第1磁界発生部材34aを有している点、および第2磁界発生部材36に代えて第2磁界発生部材36aを有している点において、振動抑制装置18と主に異なっている。
【0072】
第1磁界発生部材34aは、保持体38に代えて保持体38aを有している点、および複数(この実施の形態では、6個)の第1磁石40を有している点において、第1磁界発生部材34と主に異なっている。保持体38aは、穴部39の個数が保持体38と異なっている。
【0073】
第2磁界発生部材36aは、保持体42に代えて保持体42aを有している点、および複数(この実施の形態では、6個)の第2磁石44を有している点において、第2磁界発生部材36と主に異なっている。保持体42aは、穴部43の個数が保持体42と異なっている。
【0074】
このように、第1磁石の個数は、10個でなくてもよく、6個であってもよいし、複数であればよい。また、第2磁石の個数は、10個でなくてもよく、6個であってもよいし、複数であればよい。
【0075】
以上、振動抑制装置18aについて説明した。
【0076】
図8は、振動抑制装置のその他の例を示す斜視図である。
図9は、
図8の振動抑制装置を示す模式図である。
図8および
図9を参照して、振動抑制装置のその他の例について説明する。
【0077】
図8および
図9に示すように、振動抑制装置18bは、第1磁界発生部材34に代えて第1磁界発生部材34bを有している点、および第2磁界発生部材36に代えて第2磁界発生部材36bを有している点において、振動抑制装置18と主に異なっている。
【0078】
第1磁界発生部材34bは、保持体38に代えて保持体38bを有している点、および複数(この実施の形態では、8個)の第1磁石40bを有している点において、第1磁界発生部材34と主に異なっている。保持体38bは、穴部39の個数が保持体38と異なっている。
【0079】
複数の第1磁石40bは、第1磁石40bの個数が第1磁石40の個数と異なっている点、および径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40bとが並ぶ順番が径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40と径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40とが並ぶ順番と異なっている点において、複数の第1磁石40と主に異なっている。
【0080】
複数の第1磁石40bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40bとが、周方向に複数個ずつ交互に並んでいる。具体的には、複数の第1磁石40bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40bとが、周方向に2個ずつ交互に並んでいる。なお、複数の第1磁石40bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40bとは、周方向に2個ずつではなく、周方向に3個以上ずつ交互に並んでいてもよい。
【0081】
第2磁界発生部材36aは、保持体42に代えて保持体42bを有している点、および複数(この実施の形態では、6個)の第2磁石44bを有している点において、第2磁界発生部材36と主に異なっている。保持体42bは、穴部43の個数が保持体42と異なっている。
【0082】
複数の第2磁石44bは、第2磁石44bの個数が第2磁石44の個数と異なっている点、および径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44bとが並ぶ順番が径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44と径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44とが並ぶ順番と異なっている点において、複数の第2磁石44と主に異なっている。
【0083】
複数の第2磁石44bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44bとが、周方向に複数個ずつ交互に並んでいる。具体的には、複数の第2磁石44bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44bとが、周方向に2個ずつ交互に並んでいる。なお、複数の第2磁石44bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44bとは、周方向に2個ずつではなく、周方向に3個以上ずつ交互に並んでいてもよい。
【0084】
このように、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石と径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石とは、周方向に交互に並んでいなくてもよく、周方向に複数個ずつ交互に並んでいてもよい。
【0085】
また、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石と径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石とは、周方向に交互に並んでいなくてもよく、周方向に複数個ずつ交互に並んでいてもよい。
【0086】
以上、振動抑制装置18aについて説明した。
【0087】
実施の形態に係る振動抑制装置18bにおいて、複数の第1磁石40bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石40bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石40bとが、周方向に複数個ずつ交互に並び、複数の第2磁石44bにおいて、径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石44bと径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石44bとが、周方向に複数個ずつ交互に並ぶ。
【0088】
これによれば、ワークWの回転を加速させる力が発生する期間およびワークWの回転を減速させる力が発生する期間をより長くし易いので、ワークWの振動をさらに抑制できる。
【0089】
図10は、振動抑制装置のさらにその他の例を示す斜視図である。
図11は、
図10の振動抑制装置を示す模式図である。
図10および
図11を参照して、振動抑制装置のその他の例について説明する。
【0090】
図10および
図11に示すように、振動抑制装置18cは、第1磁界発生部材34に代えて第1磁界発生部材34cを有している点、および第2磁界発生部材36に代えて第2磁界発生部材36cを有している点において、振動抑制装置18と主に異なっている。
【0091】
第1磁界発生部材34cは、保持体38に代えて保持体38cを有している点、および複数(この実施の形態では、10個)の第1磁石40cを有している点において、第1磁界発生部材34と主に異なっている。
【0092】
保持体38cは、穴部39cの形状が穴部39と異なっている点、および穴部39cの個数が穴部39の個数と異なっている点において、保持体38と主に異なっている。
【0093】
複数の第1磁石40cは、第1磁石40cの個数が第1磁石40の個数と異なっている点、および第1磁石40cの形状が第1磁石40の形状と異なっている点において、複数の第1磁石40と主に異なっている。
【0094】
周方向における複数の第1磁石40cのそれぞれの両主面は、相互に平行かつ径方向と平行であり、径方向における複数の第1磁石40cのそれぞれの両主面は、相互に平行かつ径方向と直交している。複数の第1磁石40cのそれぞれは、いわゆる角型の永久磁石である。
【0095】
第2磁界発生部材36cは、保持体42に代えて保持体42cを有している点、および複数(この実施の形態では、10個)の第2磁石44cを有している点において、第2磁界発生部材36と主に異なっている。
【0096】
保持体42cは、穴部43cの形状が穴部43と異なっている点、および穴部43cの個数が穴部43の個数と異なっている点において、保持体42と主に異なっている。
【0097】
複数の第2磁石44cは、第2磁石44cの個数が第2磁石44の個数と異なっている点、および第2磁石44cの形状が第2磁石44の形状と異なっている点において、複数の第2磁石44と主に異なっている。
【0098】
周方向における複数の第2磁石44cのそれぞれの両主面は、相互に平行かつ径方向と平行であり、径方向における複数の第2磁石44cのそれぞれの両主面は、相互に平行かつ径方向と直交している。複数の第2磁石44cのそれぞれは、いわゆる角型の永久磁石である。
【0099】
このように、複数の第1磁石のそれぞれは、周方向に沿って湾曲していなくてもよく、略直方体状であってもよい。
【0100】
また、複数の第2磁石のそれぞれは、周方向に沿って湾曲していなくてもよく、略直方体状であってもよい。
【0101】
以上、振動抑制装置18cについて説明した。
【0102】
(付記)
以上の実施の形態等の記載により、下記の技術が開示される。
【0103】
(技術1)
軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台とを備える旋削装置に用いられる振動抑制装置であって、
前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、
前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する、
振動抑制装置。
【0104】
(技術2)
前記複数の第1磁石は、前記周方向に等間隔で並び、
前記複数の第2磁石は、前記周方向に等間隔で並ぶ、
技術1に記載の振動抑制装置。
【0105】
(技術3)
前記複数の第1磁石が前記周方向に並ぶ間隔および前記複数の第2磁石が前記周方向に並ぶ間隔は、相互に等しい、
技術1または2に記載の振動抑制装置。
【0106】
(技術4)
前記複数の第1磁石の個数および前記複数の第2磁石の個数は、相互に等しい、
技術1から3のいずれか1つに記載の振動抑制装置。
【0107】
(技術5)
前記複数の第1磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石とが、前記周方向に交互に並び、
前記複数の第2磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石とが、前記周方向に交互に並ぶ、
技術1から4のいずれか1つに記載の振動抑制装置。
【0108】
(技術6)
前記複数の第1磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第1磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第1磁石とが、前記周方向に複数個ずつ交互に並び、
前記複数の第2磁石において、前記径方向においてN極がS極の外方に位置する第2磁石と前記径方向においてS極がN極の外方に位置する第2磁石とが、前記周方向に複数個ずつ交互に並ぶ、
技術1から4のいずれか1つに記載の振動抑制装置。
【0109】
(技術7)
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石は、前記心押台に内蔵される、
技術1から6のいずれか1つに記載の振動抑制装置。
【0110】
(技術8)
前記複数の第1磁石は、前記回転センタに固定されて前記ワークとともに前記複数の第2磁石に対して回転する、
技術1から7のいずれか1つに記載の振動抑制装置。
【0111】
(技術9)
軸芯に沿って延びるワークの一端部を把持して前記ワークを前記軸芯を中心として回転させる主軸台と、
前記ワークの他端部を支持しかつ前記ワークとともに回転する回転センタを有する心押台と、
前記ワークの回転軸線を中心とする周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記回転軸線を中心とする径方向に並ぶ複数の第1磁石と、
前記周方向に並び、それぞれのN極およびS極が前記径方向に並び、前記径方向において前記複数の第1磁石の外方に設けられる複数の第2磁石とを備え、
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石の一方は、前記ワークとともに他方に対して回転する、
旋削装置。
【0112】
(他の実施の形態等)
以上、本発明に係る振動抑制装置および旋削装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる形態、および、複数の実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0113】
上述した実施の形態では、旋削装置10が、切削装置である場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、旋削装置は、研磨装置であってもよい。たとえば、研磨装置は、回転するワークに微細な砥粒を接触させることによって、ワークを加工する装置である。
【0114】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40および複数の第2磁石44が、心押台14に内蔵されている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石および複数の第2磁石は、主軸台に内蔵されていてもよい。この場合、たとえば、複数の第1磁石および複数の第2磁石の一方は、主軸台に含まれる主軸等に固定されてワークとともに回転してもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40が、筐体22内において回転センタ24に固定される場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石は、筐体外において回転センタに固定されてもよい。この場合、複数の第2磁石も、筐体外に設けられてもよい。また、たとえば、複数の第1磁石は、回転センタ以外のワークとともに回転する部材に固定されてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40が、ワークWとともに複数の第2磁石44に対して回転する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石は、ワークWとともに回転せず、複数の第2磁石が、ワークWとともに複数の第1磁石に対して回転してもよい。
【0117】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40が、周方向に等間隔で並ぶ場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石は、周方向に異なる間隔で並んでいてもよい。複数の第2磁石についても同様である。
【0118】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40の大きさが、相互に等しい場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石の大きさは、相互に異なっていてもよい。複数の第2磁石についても同様である。
【0119】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40が周方向に並ぶ間隔および複数の第2磁石44が周方向に並ぶ間隔が、相互に等しい場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石が周方向に並ぶ間隔および複数の第2磁石が周方向に並ぶ間隔は、相互に異なっていてもよい。
【0120】
また、上述した実施の形態では、複数の第1磁石40の個数および複数の第2磁石44の個数が、相互に等しい場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の第1磁石の個数および複数の第2磁石の個数は、相互に異なっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る旋削装置は、ワークを回転させてワークを研削または研磨する装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
10 旋削装置
12 主軸台
14 心押台
15 ベース
16 切削工具
18,18a,18b,18c 振動抑制装置
20 チャック
22 筐体
24 回転センタ
26 ベアリング
28 シール部材
30 円錐部
32 頂部
34,34a,34b,34c 第1磁界発生部材
36,36a,36b,36c 第2磁界発生部材
38,38a,38b,38c,42,42a,42b,42c 保持体
39,39c,43,43c 穴部
40,40b,40c 第1磁石
44,44b,44c 第2磁石