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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043745
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20240326BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20240326BHJP
   H01F 27/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01F37/00 S
H01F37/00 M
H01F37/00 C
H01F37/00 A
H01F27/08 150
H01F27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148906
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】金川 哲也
【テーマコード(参考)】
5E050
【Fターム(参考)】
5E050BA03
(57)【要約】
【課題】リアクトルの放熱性を向上させる。
【解決手段】リアクトル100は、第1の方向に凹部と凸部が交互に繰り返されるミアンダ形状を有する導体10と、磁性体20と、導体10および磁性体20のそれぞれに接している放熱部材30とを備える。導体10は、第1の凹部と第1の凸部とが交互に繰り返し形成された第1の導体部と、第2の凹部と第2の凸部とが交互に繰り返し形成された第2の導体部とを含み、第1の導体部と第2の導体部は、第1の凹部と第2の凸部とが第1の方向と直交する第2の方向に並ぶとともに、第1の凸部と第2の凹部とが第2の方向に並ぶ態様で第2の方向に並んで配置され、かつ、直列に接続されている。磁性体20は、互いに隣り合う第1の凹部と第2の凸部とにより構成される第1の開口部を貫通する第1の貫通部21と、互いに隣り合う第1の凸部と第2の凹部とにより構成される第2の開口部を貫通する第2の貫通部22とを有する。ミアンダ形状は、エッジワイズ曲げによって形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に凹部と凸部が交互に繰り返されるミアンダ形状を有する導体と、
磁性体と、
前記導体および前記磁性体のそれぞれに接している放熱部材と、
を備え、
前記導体は、第1の凹部と第1の凸部とが交互に繰り返し形成された第1の導体部と、第2の凹部と第2の凸部とが交互に繰り返し形成された第2の導体部とを含み、前記第1の導体部と前記第2の導体部は、前記第1の凹部と前記第2の凸部とが前記第1の方向と直交する第2の方向に並ぶとともに、前記第1の凸部と前記第2の凹部とが前記第2の方向に並ぶ態様で前記第2の方向に並んで配置され、かつ、直列に接続されており、
前記磁性体は、互いに隣り合う前記第1の凹部と前記第2の凸部とにより構成される第1の開口部を貫通する第1の貫通部と、互いに隣り合う前記第1の凸部と前記第2の凹部とにより構成される第2の開口部を貫通する第2の貫通部とを有し、
前記ミアンダ形状は、エッジワイズ曲げによって形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記第1の開口部における前記第1の貫通部と前記導体との間、および、前記第2の開口部における前記第2の貫通部と前記導体との間のうちの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記導体は、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部とを含み、前記第1の導体部と前記第2の導体部が前記第2の方向に交互に並ぶ態様で、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部が配置されており、
前記放熱部材は、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部の全てに接していることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記第1の貫通部と前記導体との間の複数の位置、および、前記第2の貫通部と前記導体との間の複数の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記放熱部材の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記放熱部材は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および、酸化アルミニウムフィラーを含むエポキシ樹脂のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルはインダクタンスを利用した受動素子であり、近年、回路素子の一要素として様々な電子機器に搭載されている。例えば、電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載されるインバータには、バッテリ電圧を昇圧または降圧させるコンバータが組み込まれており、リアクトルはコンバータの基幹部品として使用されている。
【0003】
そのようなリアクトルの1つとして、特許文献1には、ミアンダ配線により形成された導体と磁性体とを備えたリアクトルが開示されている。
【0004】
図15は、特許文献1に記載のリアクトル200の要部を模式的に示す分解斜視図である。図15に示すように、導体210は、第1の凹部と第1の凸部とが交互に繰り返し形成された第1の構造体211と、第2の凹部と第2の凸部とが交互に繰り返し形成された第2の構造体212とを含む複数の構造体を有する。第1の構造体211と第2の構造体212は、隣り合って配置されているとともに、第1の凹部と第2の凸部とが並び、かつ、第1の凸部と第2の凹部とが並ぶように配置されている。導体210は、図15に示すように、平角線である導線を厚み方向に曲げるフラットワイズ曲げによって形成されている。
【0005】
磁性体220は、隣り合う第1の凹部と第2の凸部とによって構成される内部空間、および、隣り合う第1の凸部と第2の凹部とによって構成される内部空間を貫通する態様で設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-17158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リアクトルは、通電時に発熱して温度が上昇し、特性が低下する場合がある。このため、リアクトルの放熱性は高いことが好ましいが、特許文献1に記載のリアクトルは、放熱性の向上に改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、放熱性に優れたリアクトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリアクトルは、
第1の方向に凹部と凸部が交互に繰り返されるミアンダ形状を有する導体と、
磁性体と、
前記導体および前記磁性体のそれぞれに接している放熱部材と、
を備え、
前記導体は、第1の凹部と第1の凸部とが交互に繰り返し形成された第1の導体部と、第2の凹部と第2の凸部とが交互に繰り返し形成された第2の導体部とを含み、前記第1の導体部と前記第2の導体部は、前記第1の凹部と前記第2の凸部とが前記第1の方向と直交する第2の方向に並ぶとともに、前記第1の凸部と前記第2の凹部とが前記第2の方向に並ぶ態様で前記第2の方向に並んで配置され、かつ、直列に接続されており、
前記磁性体は、互いに隣り合う前記第1の凹部と前記第2の凸部とにより構成される第1の開口部を貫通する第1の貫通部と、互いに隣り合う前記第1の凸部と前記第2の凹部とにより構成される第2の開口部を貫通する第2の貫通部とを有し、
前記ミアンダ形状は、エッジワイズ曲げによって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリアクトルは、導体と磁性体のそれぞれに接している放熱部材を備えているので、磁性体で発生した熱は、放熱部材を介して導体に伝わり、リアクトルの外部へと放出される。これにより、リアクトルの放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態におけるリアクトルの構成を模式的に示す斜視図である。
図2】第1の実施形態におけるリアクトルを第2の方向に見たときの構成を模式的に示す平面図である。
図3】導体の構成を模式的に示す斜視図である。
図4】(a)は、導体を構成する第1の導体部を模式的に示す平面図であり、(b)は、導体を構成する第2の導体部を模式的に示す平面図である。
図5】磁性体内を通る磁束を説明するための図である。
図6】互いに隣り合う磁性体の間に、磁気シールド部を配置した場合のリアクトルの構成を模式的に示す斜視図である。
図7】第1の方向における第1の貫通部と導体との間、および、第1の方向における第2の貫通部と導体との間に放熱部材を配置した場合のリアクトルの構成を模式的に示す断面図である。
図8】第1の貫通部と導体との間の複数の位置、および、第2の貫通部と導体との間の複数の位置に放熱部材を配置した場合のリアクトルの構成を模式的に示す断面図である。
図9】(a)は、シミュレーションに用いた第1の実施形態におけるリアクトルを第2の方向から見たときの平面図であり、(b)は、シミュレーションに用いた参考用リアクトルを第2の方向から見たときの平面図であり、(c)は、第1の実施形態におけるリアクトルの温度分布のシミュレーション結果を示す図であり、(d)は、参考用リアクトルの温度分布のシミュレーション結果を示す図であり、(e)は、第1の実施形態におけるリアクトルのうち、磁性体の温度分布のシミュレーション結果を示す図であり、(f)は、参考用リアクトルのうち、磁性体の温度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図10】磁性体を複数に分割した分割体を導体に組み合わせてリアクトルを製造する方法を説明するための斜視図である。
図11】第2の実施形態におけるリアクトルの構成を模式的に示す斜視図である。
図12】第2の実施形態におけるリアクトルを第2の方向に見たときの平面図である。
図13】第3の実施形態におけるリアクトルの構成を模式的に示す斜視図である。
図14】第3の実施形態におけるリアクトルを第2の方向に見たときの構成を模式的に示す平面図である。
図15】特許文献1に記載のリアクトルの要部を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態におけるリアクトル100の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、第1の実施形態におけるリアクトル100を、後述する第2の方向Y2に見たときの構成を模式的に示す平面図である。
【0014】
第1の実施形態におけるリアクトル100は、導体10と、磁性体20と、放熱部材30とを備える。
【0015】
図3は、導体10の構成を模式的に示す斜視図である。本実施形態において、導体10は、断面形状が扁平形状である平角線からなる。導体10は、第1の方向Y1に凹部と凸部が交互に繰り返されるミアンダ形状を有する。凹部と凸部の数に特に制約は無い。
【0016】
図3に示すように、導体10のミアンダ形状は、エッジワイズ曲げによって形成されている。エッジワイズ曲げとは、平角線である導体10の断面の短辺側を曲げる曲げ方である。導体10の両端のうち、一端は、入力端子10aを構成し、他端は出力端子10bを構成する。
【0017】
導体10は、第1の凹部11aと第1の凸部11bとが交互に繰り返し形成された第1の導体部11と、第2の凹部12aと第2の凸部12bとが交互に繰り返し形成された第2の導体部12とを含む。第1の導体部11を模式的に示す平面図を図4(a)に、第2の導体部12を模式的に示す平面図を図4(b)に示す。ただし、本実施形態では、第1の方向Y1と直交する第2の方向Y2の外側に位置する第1の導体部11の一端が入力端子10aを構成しているが、図4(a)では、入力端子10aを含まない第1の導体部11を示している。また、第2の方向Y2の外側に位置する第2の導体部12の一端が出力端子10bを構成しているが、図4(b)では、出力端子10bを含まない第2の導体部12を示している。
【0018】
第1の導体部11と第2の導体部12は、第1の凹部11aと第2の凸部12bとが第2の方向Y2に並ぶとともに、第1の凸部11bと第2の凹部12aとが第2の方向Y2に並ぶ態様で、第2の方向Y2に並んで配置されている。また、第1の導体部11と第2の導体部12は、直列に接続されている。
【0019】
本実施形態において、導体10は、複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12とを含む。複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12は、第1の導体部11と第2の導体部12が第2の方向Y2に交互に並ぶ態様で配置されている。通電時に、入力端子10aから、全ての第1の導体部11および全ての第2の導体部12を通って、出力端子10bへと電流が流れるように、隣り合う全ての第1の導体部11と第2の導体部12が直列に接続されている。
【0020】
第1の導体部11の第1の凹部11aと第1の凸部11bの数、および、第2の導体部12の第2の凹部12aと第2の凸部12bの数は、任意の数とすることができる。ただし、第1の導体部11の第1の凹部11aと第1の凸部11bの総数と、第2の導体部12の第2の凹部12aと第2の凸部12bの総数は同じである。
【0021】
なお、図3では、導体10が第1の導体部11および第2の導体部12をそれぞれ8つ含む構成が示されているが、第1の導体部11の数、および、第2の導体部12の数が8つに限定されることはなく、任意の数とすることができる。
【0022】
導体10は、例えば、銅、アルミニウム、またはそれらの合金等の金属材料からなり、その表面は、薄い絶縁コート層で覆われている。絶縁コート層は、例えば、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂からなる。導体10を構成する平角線の幅は、例えば、2mm以上20mm以下であり、厚さは、例えば、1mm以上5mm以下である。
【0023】
第1の導体部11と第2の導体部12は、一体的に形成されていてもよいし、別々に形成されていてもよい。第1の導体部11と第2の導体部12を一体的に形成する場合、1本の平角線で導体10を形成する。すなわち、平角線で第1の導体部11を形成した後、フラットワイズ曲げで第2の方向Y2に折り曲げる。続いて、第2の導体部12を形成した後、フラットワイズ曲げで第2の方向Y2に折り曲げて、再び第1の導体部11を形成する。上述した工程を繰り返すことにより、第1の導体部11と第2の導体部12が一体的に形成された導体10が得られる。
【0024】
第1の導体部11と第2の導体部12を別々に作製した場合には、別々に作製した第1の導体部11と第2の導体部12を圧着や溶接等の方法で接続する。
【0025】
磁性体20は、第2の方向Y2に互いに隣り合う第1の凹部11aと第2の凸部12bとにより構成される第1の開口部1を貫通する第1の貫通部21と、第2の方向Y2に互いに隣り合う第1の凸部11bと第2の凹部12aとにより構成される第2の開口部2を貫通する第2の貫通部22とを有する。本実施形態では、複数の第1の開口部1の全てに第1の貫通部21が設けられており、複数の第2の開口部2の全てに第2の貫通部22が設けられている。
【0026】
本実施形態において、第2の方向Y2に見たときの第1の開口部1および第2の開口部2の形状は矩形である。ただし、第2の方向Y2に見たときの第1の開口部1および第2の開口部2の形状が矩形に限定されることはなく、多角形、円形、楕円形、二本の平行な直線を含む長円形などの他の形状であってもよい。また、本実施形態において、第1の貫通部21を第2の方向Y2と直交する平面で切断したときの断面形状は矩形である。ただし、第1の貫通部21の上記断面形状が矩形に限定されることはなく、多角形、円形、楕円形、二本の平行な直線を含む長円形などの他の形状であってもよい。同様に、第2の貫通部22を第2の方向Y2と直交する平面で切断したときの断面形状は矩形であるが、多角形、円形、楕円形、二本の平行な直線を含む長円形などの他の形状であってもよい。
【0027】
本実施形態において、磁性体20は、第1の貫通部21と第2の貫通部22とを繋ぐ第1の接続部23をさらに有する。図5に示すように、第1の貫通部21、第2の貫通部22、および、第1の接続部23は、閉磁路を形成するように構成されており、これにより、より大きいインダクタンスを得ることができる。第1の接続部23を省略した構成とすることも可能であるが、上述した理由から、第1の接続部23を設けた構成とすることが好ましい。
【0028】
本実施形態では、磁性体20は、第1の貫通部21、第2の貫通部22、および、第1の接続部23をそれぞれ複数含み、複数の閉磁路が形成されるように構成されている。複数の閉磁路は、第1の方向Y1に並んでいる。
【0029】
図1に示す構成例では、第1の方向Y1に並ぶ閉磁路同士、すなわち、1つの閉磁路を構成する第1の貫通部21、第2の貫通部22および第1の接続部23からなる構造体同士が第2の接続部24によって接続されている。この構成の場合、磁性体20は、第1の貫通部21、第2の貫通部22、第1の接続部23および第2の接続部24を有するととらえることもできる。
【0030】
磁性体20は、軟磁性金属材料やフェライト材料等からなる磁性体を含む。例えば、磁性体20は、軟磁性金属材料粉を樹脂やガラスをバインダとして成形したものでもよいし、フェライト材料の焼結体であるフェライト焼結体であってもよい。
【0031】
軟磁性金属材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、Fe-Si系合金、Fe-Si-Cr系合金、Fe-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金等の各種結晶質の合金粉末材料や、Feを主成分とした軟磁性特性に優れた非晶質材料、あるいは非晶質相とナノ結晶相とが混在したナノ結晶金属材料等を使用することができる。この軟磁性金属材料を使用する場合、絶縁性を確保する観点から、金属粉末の表面にリン酸塩やシリコーン樹脂等の絶縁性材料からなる塗布層を形成することが好ましい。
【0032】
フェライト材料も、特に限定されるものではなく、Ni系、Cu-Zn系、Ni-Zn系、Mn-Zn系、Ni-Cu-Zn系等のFe23を主成分とした各種フェライト材料を使用することができる。
【0033】
軟磁性金属材料粉と樹脂を混合して磁性体20を成形する場合、樹脂としてエポキシ樹脂を用いることができる。ただし、樹脂がエポキシ樹脂に限定されることはなく、シリコーン樹脂など、他の種類の樹脂を用いてもよい。
【0034】
なお、バインダとして樹脂の代わりにガラスを用いた場合には、樹脂を用いた場合と比べて、磁性体20の耐熱性が向上する。
【0035】
磁気飽和の抑制等のため、磁性体20内に磁気ギャップを形成してもよい。ただし、軟磁性金属材料粉と樹脂を混合して磁性体20を成形した場合のように、良好な直流重畳特性が得られる場合には、磁気ギャップは不要である。
【0036】
上述したように、図1に示す構成例では、第1の方向Y1に隣り合う閉磁路同士は、第2の接続部24によって接続されているが、第2の接続部24の代わりに、磁気シールド部を設けるようにしてもよい。図6は、互いに隣り合う閉磁路の間に、磁気シールド部40を配置した場合のリアクトル100の構成を模式的に示す斜視図である。
【0037】
磁気シールド部40は、隣り合う閉磁路の一方から他方へと向かう磁束を遮断するためのものであり、例えば、アルミニウム等の金属からなる。磁気シールド部40は、隣り合う全ての閉磁路の間に配置されることが好ましい。隣り合う閉磁路の間に磁気シールド部40が設けられることにより、隣の閉磁路への漏れ磁束の侵入を抑制することができる。
【0038】
なお、第2の接続部24も磁気シールド部40も設けない構成としてもよい。
【0039】
放熱部材30は、導体10および磁性体20にそれぞれ接して配置されている。例えば、放熱部材30は、第1の開口部1における第1の貫通部21と導体10との間、および、第2の開口部2における第2の貫通部22と導体10との間のうちの少なくとも一方に配置することが可能である。図1および図2では、第1の開口部1における第1の貫通部21と導体10との間、および、第2の開口部2における第2の貫通部22と導体10との間のそれぞれに放熱部材30を配置した例を示している。
【0040】
放熱部材30は、熱伝導率の高い絶縁体、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、および、酸化アルミニウムフィラーを含むエポキシ樹脂のうちのいずれか1つを用いることが可能である。ただし、放熱部材30として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、または、酸化アルミニウムフィラーを含むエポキシ樹脂以外のものを用いることも可能である。放熱部材30の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であることが好ましく、3.0W/m・K以上であることがより好ましい。
【0041】
導体10および磁性体20にそれぞれ接する放熱部材30が配置されていることにより、通電時に磁性体20で発生した熱は、放熱部材30を介して導体10に伝わり、リアクトル100の外部へと放出される。これにより、放熱部材30が設けられていない構成と比べて、リアクトル100の放熱性を向上させることができる。
【0042】
また、放熱部材30を、第1の開口部1における第1の貫通部21と導体10との間、および、第2の開口部2における第2の貫通部22と導体10との間のうちの少なくとも一方に配置する構成とすることにより、導体10の内部にこもりやすい熱が放熱部材30を介して導体10に伝わり、リアクトル100の外部へと放出される。これにより、リアクトル100の放熱性をより向上させることができる。
【0043】
本実施形態において、放熱部材30は、第2の方向Y2に延伸する形状を有しており、第2の方向Y2に並んで配置されている複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12の全てに接している。そのような構成により、通電時に磁性体20で発生した熱は、放熱部材30を介して複数の第1の導体部11および複数の第2の導体部12の全てに伝わるので、リアクトル100の放熱性をさらに向上させることができる。ただし、複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12のうち、放熱部材30と接していないものが含まれていてもよい。
【0044】
本実施形態では、図2に示すように、第1の開口部1において、第1の方向Y1および第2の方向Y2と直交する第3の方向Y3における第1の貫通部21と導体10との間に、放熱部材30が配置されている。また、第2の開口部2において、第3の方向Y3における第2の貫通部22と導体10との間に、放熱部材30が配置されている。図2に示す例では、第3の方向Y3において、第1の貫通部21と導体10との間に位置する2つの空間のうちの上側の空間に放熱部材30が配置されているが、第1の貫通部21の下側の空間に放熱部材30を配置してもよいし、第1の貫通部21の上側の空間および下側の空間のそれぞれに、放熱部材30を配置してもよい。第2の貫通部22と導体10との間に配置する放熱部材30の配置場所についても同様である。
【0045】
放熱部材30は、接着剤によって導体10と接着されている。また、放熱部材30は、接着剤によって磁性体20と接着されている。放熱部材30の接着に用いる接着剤は、耐熱性が高いことが好ましい。
【0046】
ただし、放熱部材30の配置位置が上述した位置に限定されることはない。例えば、放熱部材30は、図7に示すように、第1の方向Y1における第1の貫通部21と導体10との間に配置されていてもよいし、第1の方向Y1における第2の貫通部22と導体10との間に配置されていてもよい。図7に示す例では、第1の方向Y1において、第1の貫通部21と導体10との間に位置する2つの空間のうちの左側の空間に放熱部材30が配置されているが、第1の貫通部21の右側の空間に放熱部材30を配置してもよいし、第1の貫通部21の右側の空間および左側の空間のそれぞれに、放熱部材30を配置してもよい。第2の貫通部22と導体10との間に配置する放熱部材30の配置場所についても同様である。
【0047】
さらに、放熱部材30を、第1の貫通部21と導体10との間の複数の位置に配置してもよい。図8に示す例では、第1の貫通部21の上側と導体10との間、および、第1の貫通部21の左側と導体10との間に、放熱部材30を配置している。同様に、放熱部材30を、第2の貫通部22と導体10との間の複数の位置に配置してもよい。図8に示す例では、第2の貫通部22の上側と導体10との間、および、第2の貫通部22の左側と導体10との間に、放熱部材30を配置している。放熱部材30が第1の貫通部21と導体10との間の複数の位置、および、第2の貫通部22と導体10との間の複数の位置に配置されることにより、リアクトル100の放熱性をさらに向上させることができる。
【0048】
なお、第1の開口部1における第1の貫通部21と導体10との間の空間のうち、放熱部材30が配置されない位置は、図2に示すように、隙間が存在していてもよいし、放熱部材30以外の絶縁体を配置して、隙間が存在しないようにしてもよい。同様に、第2の開口部2における第2の貫通部22と導体10との間の空間のうち、放熱部材30が配置されない位置は、図2に示すように、隙間が存在していてもよいし、放熱部材30以外の絶縁体を配置して、隙間が存在しないようにしてもよい。
【0049】
本実施形態において、放熱部材30を、第2の方向Y2と平行な平面で切断したときの断面の形状は矩形であるが、断面の形状が矩形に限定されることはない。例えば、放熱部材30の上記断面の形状は、多角形、円形、楕円形、二本の平行な直線を含む長円などの他の形状であってもよい。
【0050】
ここで、第1の実施形態におけるリアクトル100と、放熱部材30が設けられていない参考用リアクトルに対して、通電した状態で第2の方向Y2に冷却風を流したときの温度をシミュレーションにより求めた。第2の方向Y2に流す冷却風の風速は、2m/sとした。
【0051】
図9(a)は、シミュレーションに用いたリアクトル100を第2の方向Y2から見たときの平面図であり、図9(b)は、シミュレーションに用いた参考用リアクトルを第2の方向から見たときの平面図である。シミュレーションに用いたリアクトル100は、図9(a)に示すように、第1の開口部1および第2の開口部2にそれぞれ、複数の放熱部材30が設けられている。また、参考用リアクトルは、リアクトル100から放熱部材30を取り除いた構成である。
【0052】
図9(c)は、第1の実施形態におけるリアクトル100の温度分布のシミュレーション結果を示す図であり、図9(d)は、参考用リアクトルの温度分布のシミュレーション結果を示す図である。また、図9(e)は、第1の実施形態におけるリアクトル100のうち、磁性体20の温度分布のシミュレーション結果を示す図であり、図9(f)は、参考用リアクトルのうち、磁性体の温度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0053】
図9(c)における温度バー91は、36℃以上70℃以下の範囲を示しており、図9(d)における温度バー92は、50℃以上130℃以下の範囲を示している。また、図9(e)に示す温度バー93は、36℃以上70℃以下の範囲を示しており、図9(f)に示す温度バー94は、70℃以上130℃以下の範囲を示している。
【0054】
図9(c)と図9(d)との比較、および、図9(e)と図9(f)との比較から分かるように、第1の実施形態におけるリアクトル100は、参考用リアクトルと比べて、全体的に温度が低い。
【0055】
また、第1の実施形態におけるリアクトル100では、導体10の最高温度は70℃であり、磁性体20の最高温度は67℃であった。これに対して、参考用リアクトルでは、導体の最高温度は93℃であり、磁性体の最高温度は126℃であった。
【0056】
すなわち、第1の実施形態におけるリアクトル100は、放熱部材30が設けられていない参考用リアクトルと比べて、導体10および磁性体20の最高温度がともに低い。また、参考用リアクトルでは、磁性体の最高温度が導体の最高温度よりも30℃以上高いが、第1の実施形態におけるリアクトル100では、磁性体20の最高温度が導体10の最高温度よりも低くなった。すなわち、本実施形態におけるリアクトル100では、磁性体20で発生した熱が放熱部材30を介して導体10に伝わり、リアクトル100の外部へと放出されることによって、磁性体20の温度が低下している。
【0057】
(リアクトルの製造方法)
以下で、第1の実施形態におけるリアクトル100の製造方法の一例について説明する。
【0058】
はじめに、導体10を作製する。このため、平角線をエッジワイズ曲げでミアンダ形状となるように折り曲げる。上述したように、1本の平角線を用いて導体10を作製してもよいし、第1の導体部11と第2の導体部12をそれぞれ別に作製してから、圧着や溶接等の方法で接続して導体10を作製してもよい。
【0059】
続いて、導体10に対して、磁性体20および放熱部材30を組み合わせる。例えば、図10に示すように、磁性体20を複数に分割した分割体25を用意し、接着剤を用いて、分割体25に放熱部材30を接着する。図10では、2つの分割体25を用意した例を示している。放熱部材30のうち、分割体25に接着している面とは反対側の面には、接着剤を塗布しておく。続いて、複数の分割体25を導体10に組み合わせる。このとき、放熱部材30が導体10と接着されるように組み合わせる。複数の分割体25同士は、接着剤などで接着すればよい。
【0060】
上述した工程により、リアクトル100を作製することができる。
【0061】
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態におけるリアクトル100Aの構成を模式的に示す斜視図である。また、図12は、第2の実施形態におけるリアクトル100Aを第2の方向Y2に見たときの平面図である。第2の実施形態におけるリアクトル100Aが第1の実施形態におけるリアクトル100と異なるのは、導体10の形状である。
【0062】
本実施形態におけるリアクトル100Aでは、図11および図12に示すように、導体10には、外側に向かって突起13が設けられている。図11および図12に示す例では、導体10には、第3の方向Y3に突出した突起13が設けられている。より具体的には、第3の方向Y3における導体10の表面のうちの一方の表面に突起13が設けられている。図12に示すように、突起13は、導体10の上側に設けられているが、下側に設けられていてもよいし、上側と下側の両方に設けられていてもよい。また、突起13は、第1の方向Y1における導体10の表面に設けられていてもよい。さらに、突起13は、第1の方向Y1における導体10の表面と、第3の方向Y3における導体10の表面に設けられていてもよい。
【0063】
本実施形態において、突起13は、1つの第1の導体部11に複数設けられているとともに、1つの第2の導体部12に複数設けられている。図11に示す例では、1つの第1の導体部11に3つの突起13が設けられ、1つの第2の導体部12に3つの突起13が設けられているが、1つの第1の導体部11および1つの第2の導体部12にそれぞれ設けられる突起13の数が3つに限定されることはない。
【0064】
上述したように、導体10は、複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12とを含んでいる。突起13は、複数の第1の導体部11および複数の第2の導体部12に設けられている。図11に示す例では、全ての第1の導体部11および全ての第2の導体部12に突起13が設けられている。
【0065】
図11および図12に示すように、複数の第1の導体部11に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、複数の第2の導体部12に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっている。
【0066】
図12に示すように、第1の導体部11は、第1の方向Y1に延伸する部位と、第3の方向Y3に延伸する部位とにより構成されている。同様に、第2の導体部12は、第1の方向Y1に延伸する部位と、第3の方向Y3に延伸する部位とにより構成されている。図12に示すように、突起13は、第3の方向Y3において、導体10の第3の方向Y3に延伸する部位と重なる位置に設けられている。ただし、突起13が設けられる位置が、導体10の第3の方向Y3に延伸する部位と重なる位置に限定されることはない。
【0067】
図11および図12に示すように、突起13の形状は矩形である。ただし、突起13の形状が矩形に限定されることはなく、任意の形状とすることができる。また、突起13の形状が矩形である場合において、矩形の角部が丸みを帯びていてもよい。
【0068】
図12に示すように、本実施形態において、複数の突起13の高さは同じである。突起13の高さとは、第3の方向Y3における突起13の寸法を意味する。また、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13は、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、幅が広い。すなわち、第2の方向Y2の一端側に位置する突起13の幅は最も狭く、他端側に位置する突起13の幅は最も広い。なお、突起13の幅は、第2の方向Y2における突起13の寸法を意味する。
【0069】
本実施形態において、第1の導体部11と第2の導体部12は、別々に作製されている。すなわち、別々に作製した第1の導体部11と第2の導体部12を圧着や溶接等の方法で接続することによって、導体10を作製する。
【0070】
本実施形態におけるリアクトル100Aは、導体10に、外側に向かって突出した突起13が設けられているので、磁性体20で発生して導体10に伝わった熱、および、導体10で発生した熱を、導体10の表面からとともに、外側に突出した突起13から放出させることができる。これにより、リアクトル100Aの放熱性をより向上させることができる。
【0071】
特に、リアクトル100Aに対して、第2の方向Y2に冷却風を流した場合、冷却風は、導体10を構成する複数の第1の導体部11および複数の第2の導体部12のうち、最も風上に位置する導体部だけでなく、突起13にも当たる。したがって、本実施形態におけるリアクトル100Aでは、第2の方向Y2に冷却風を流したときに、より効果的にリアクトル100Aの放熱を促進させることができる。
【0072】
また、突起13が第1の導体部11に複数設けられるとともに、第2の導体部12に複数設けられる構成とすることにより、複数の突起13から放熱させることができるので、リアクトル100Aの放熱性をより向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態におけるリアクトル100Aのように、導体10は、複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12とを含み、複数の第1の導体部11と複数の第2の導体部12は、第1の導体部11と第2の導体部12が第2の方向Y2に交互に並ぶ態様で配置されており、突起13は、複数の第1の導体部11および複数の第2の導体部12に設けられた構成とすることにより、複数の突起13から放熱させることができるので、リアクトル100Aの放熱性をさらに向上させることができる。
【0074】
特に、複数の第1の導体部11に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、複数の第2の導体部12に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13は、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、幅が広い構成とすることにより、リアクトル100Aの放熱性をより効果的に向上させることができる。すなわち、リアクトル100Aに対して、幅が最も狭い突起13が冷却風の上流側に位置し、幅が最も広い突起13が冷却風の下流側に位置するように、第2の方向Y2に冷却風を流した場合、冷却風は、第2の方向Y2に少なくとも一部が重なるように配置されている複数の突起13に当たるので、リアクトル100Aの放熱性をより効果的に向上させることができる。
【0075】
なお、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13の中には、幅が同じであるが、第1の方向Y1に少しずれた位置に設けられていることによって、冷却風が当たるものが含まれていてもよい。その場合にも、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13の幅は、全体的に、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど広い構成であると言える。
【0076】
ここで、複数の第1の導体部11に設けられている突起13を、第2の方向Y2に見たときに全く重ならない位置に配置するともに、複数の第2の導体部12に設けられている突起13を、第2の方向Y2に見たときに全く重ならない位置に配置することも可能である。ただし、その場合、突起13の数によっては、重ならないようにするために、突起13の幅を短くする必要があり、突起13からの放熱量が小さくなる。これに対して、複数の第1の導体部11に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、複数の第2の導体部12に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっている構成では、突起13の幅を広くすることが可能であり、突起13からの放熱量を多くすることができる。
【0077】
また、第2の方向Y2に見たときの突起13の形状が矩形であることにより、突起13の寸法が同じ場合のリアクトル100Aの放熱性を向上させることができる。すなわち、突起13の第1の方向Y1の寸法および第3の方向Y3の寸法がそれぞれ決められた値である場合に、突起13の形状を矩形とすることにより、突起13の面積を最大化することができる。これにより、突起13からの放熱量をより多くすることができるので、リアクトル100Aの放熱性をより効果的に向上させることができる。
【0078】
<第3の実施形態>
図13は、第3の実施形態におけるリアクトル100Bの構成を模式的に示す斜視図である。図14は、第3の実施形態におけるリアクトル100Bを第2の方向Y2に見たときの構成を模式的に示す平面図である。
【0079】
第3の実施形態におけるリアクトル100Bが第2の実施形態におけるリアクトル100Aと異なるのは、導体10に設けられている突起13の形状である。以下では、第2の実施形態におけるリアクトル100Aと異なる部分である突起13の形状を中心に説明する。
【0080】
図13および図14に示すように、突起13の形状は矩形である。ただし、突起13の形状が矩形に限定されることはなく、任意の形状とすることができる。
【0081】
本実施形態でも、複数の第1の導体部11に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、複数の第2の導体部12に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっている。本実施形態において、複数の突起13の幅は同じである。また、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13は、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、高さが高い。すなわち、第2の方向Y2の一端側に位置する突起13の高さは最も低く、他端側に位置する突起13の高さは最も高い。
【0082】
第3の実施形態におけるリアクトル100Bも、第2の実施形態におけるリアクトル100Aと同様、導体10に、外側に向かって突出した突起13が設けられているので、導体10に突起13が設けられていないリアクトルと比べると、放熱性は高い。
【0083】
特に、本実施形態におけるリアクトル100Bでは、複数の第1の導体部11および複数の第2の導体部12に設けられている突起13は、第2の方向Y2に見たときに少なくとも一部が重なっており、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13は、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、高さが高い。そのような構成により、リアクトル100Bの放熱性をより効果的に向上させることができる。すなわち、リアクトル100Bに対して、高さが最も低い突起13が冷却風の上流側に位置し、高さが最も高い突起13が冷却風の下流側に位置するように、第2の方向Y2に冷却風を流した場合、冷却風は、第2の方向Y2に少なくとも一部が重なるように配置されている複数の突起13に当たるので、リアクトル100Bの放熱性をより効果的に向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態のように、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、突起13の高さが高くなるように構成した場合、突起13の高さに応じて、リアクトル100Bの高さ、すなわち、第3の方向Y3における寸法が大きくなる。これに対して、第2の実施形態におけるリアクトル100Aでは、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、突起13の幅が広い構成であるため、全ての突起13の高さを同じにすることができる。このため、第2の実施形態におけるリアクトル100Aは、第3の実施形態におけるリアクトル100Bと比べて、全体のサイズを小さくすることができるため好ましい。
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、各実施形態で説明した特徴的な構成は、適宜組み合わせることが可能である。
【0086】
導体10に突起13を設ける構成では、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13は、第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、幅が広く、かつ、高さが高い構成とされていてもよい。この構成によれば、リアクトルに対して第2の方向Y2に冷却風を流した場合、冷却風は、第2の方向Y2に少なくとも一部が重なるように配置されている複数の突起13のより広い領域に当たるので、リアクトルの放熱性をさらに効果的に向上させることができる。
【0087】
第3の実施形態におけるリアクトル100Bは、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13が第2の方向Y2の一端側から他端側に向かうほど、高さが高い構成とされている。これに対して、第2の方向Y2に並ぶ複数の突起13の高さは同じであるが、1つの第1の導体部11に設けられている複数の突起13の高さが第1の方向Y1の一端側から他端側に向かうほど高い構成とされていてもよい。同様に、1つの第2の導体部12に設けられている複数の突起13の高さが第1の方向Y1の一端側から他端側に向かうほど高い構成とされていてもよい。この構成によれば、リアクトルに対して、高さが最も低い突起13が冷却風の上流側に位置し、高さが最も高い突起13が冷却風の下流側に位置するように、第1の方向Y1に冷却風を流した場合、冷却風は、第1の方向Y1に並ぶ複数の突起13に当たるので、リアクトルの放熱性をより向上させることができる。
【0088】
本出願におけるリアクトルは、以下の通りである。
<1>.第1の方向に凹部と凸部が交互に繰り返されるミアンダ形状を有する導体と、
磁性体と、
前記導体および前記磁性体のそれぞれに接している放熱部材と、
を備え、
前記導体は、第1の凹部と第1の凸部とが交互に繰り返し形成された第1の導体部と、第2の凹部と第2の凸部とが交互に繰り返し形成された第2の導体部とを含み、前記第1の導体部と前記第2の導体部は、前記第1の凹部と前記第2の凸部とが前記第1の方向と直交する第2の方向に並ぶとともに、前記第1の凸部と前記第2の凹部とが前記第2の方向に並ぶ態様で前記第2の方向に並んで配置され、かつ、直列に接続されており、
前記磁性体は、互いに隣り合う前記第1の凹部と前記第2の凸部とにより構成される第1の開口部を貫通する第1の貫通部と、互いに隣り合う前記第1の凸部と前記第2の凹部とにより構成される第2の開口部を貫通する第2の貫通部とを有し、
前記ミアンダ形状は、エッジワイズ曲げによって形成されていることを特徴とするリアクトル。
<2>.前記放熱部材は、前記第1の開口部における前記第1の貫通部と前記導体との間、および、前記第2の開口部における前記第2の貫通部と前記導体との間のうちの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする<1>に記載のリアクトル。
<3>.前記導体は、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部とを含み、前記第1の導体部と前記第2の導体部が前記第2の方向に交互に並ぶ態様で、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部が配置されており、
前記放熱部材は、複数の前記第1の導体部と複数の前記第2の導体部の全てに接していることを特徴とする<1>または<2>に記載のリアクトル。
<4>.前記放熱部材は、前記第1の貫通部と前記導体との間の複数の位置、および、前記第2の貫通部と前記導体との間の複数の位置に配置されていることを特徴とする<1>~<3>のいずれか一つに記載のリアクトル。
<5>.前記放熱部材の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であることを特徴とする<1>~<4>のいずれか一つに記載のリアクトル。
<6>.前記放熱部材は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および、酸化アルミニウムフィラーを含むエポキシ樹脂のうちのいずれか1つであることを特徴とする<1>~<5>のいずれか一つに記載のリアクトル。
【符号の説明】
【0089】
1 第1の開口部
2 第2の開口部
10 導体
10a 入力端子
10b 出力端子
11 第1の導体部
11a 第1の凹部
11b 第1の凸部
12 第2の導体部
12a 第2の凹部
12b 第2の凸部
13 突起
20 磁性体
21 第1の貫通部
22 第2の貫通部
23 第1の接続部
24 第2の接続部
25 分割体
30 放熱部材
40 磁気シールド部
100、100A、100B リアクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15