(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043748
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ブレイクライン設定支援システム
(51)【国際特許分類】
G01C 11/34 20060101AFI20240326BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01C11/34
G09B29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148911
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】515234347
【氏名又は名称】北川 悦司
(71)【出願人】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 悦司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元気
(72)【発明者】
【氏名】村木 広和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】山川 蓮輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哉太
(72)【発明者】
【氏名】二宮 古都音
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HB22
2C032HC14
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち実測された計測点の座標に基づいてブレイクラインを設定することができるブレイクライン設定支援システムを提供することである。
【解決手段】本願発明のブレイクライン設定支援システムは、3次元の計測点からブレイクラインの設定を支援するシステムであって、基準線設定手段と断面線分設定手段、第1拡張領域設定手段、暫定断面線設定手段、第2拡張領域設定手段、断面構成点抽出手段、断面変化点抽出手段を備えたものである。断面変化点抽出手段によって抽出された複数の断面変化点(鉛直面における遷急点や遷緩点)に基づいてブレイクラインを設定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の計測点から、ブレイクラインの設定を支援するシステムであって、
水平投影面に基準線を設定する基準線設定手段と、
前記基準線に対して垂直な断面線分を設定する断面線分設定手段と、
前記断面線分を基準として前記基準線に沿って第1拡張幅だけ拡張した第1拡張領域を設定する第1拡張領域設定手段と、
前記第1拡張領域に含まれる前記計測点である第1計測点を抽出するとともに、該第1計測点に基づいて鉛直面上の線分で構成される暫定断面線を設定する暫定断面線設定手段と、
前記断面線分を基準として前記基準線に沿って第2拡張幅だけ拡張した第2拡張領域を設定する第2拡張領域設定手段と、
前記第2拡張領域に含まれる前記計測点である第2計測点を抽出するとともに、該第2計測点を鉛直面に投影したときに前記暫定断面線の近傍に配置される断面構成点を抽出する断面構成点抽出手段と、
前記断面構成点の中から、鉛直面における遷急点又は遷緩点となる断面変化点を抽出する断面変化点抽出手段と、を備え、
前記第2拡張幅は、前記第1拡張幅よりも短い寸法であり、
前記断面構成点抽出手段は、前記暫定断面線からの距離があらかじめ定められた離隔閾値を下回ることを条件として前記断面構成点を抽出し、
複数の前記断面変化点に基づいて、前記ブレイクラインを設定することができる、
ことを特徴とするブレイクライン設定支援システム。
【請求項2】
3次元座標と対応付けられた画像を表示する表示手段を、さらに備え、
オペレータは、前記画像を確認しながら、前記基準線設定手段を用いて前記基準線を設定することができる、
ことを特徴とする請求項1記載のブレイクライン設定支援システム。
【請求項3】
前記断面構成点どうしの離隔に基づいて、該断面構成点のクラスタを生成するクラスタ生成手段と、
前記クラスタを構成する前記断面構成点の総数があらかじめ定めたクラスタ閾値を下回る前記クラスタに係る該断面構成点をノイズとして取り除くノイズ除去手段と、をさらに備え、
前記断面変化点抽出手段は、前記ノイズを除く前記断面構成点から前記断面変化点を抽出する、
ことを特徴とする請求項1記載のブレイクライン設定支援システム。
【請求項4】
水平面に設定される軸線に対して平行となるように前記基準線を回転するとともに、該基準線の回転に応じて前記計測点のうち平面座標を変換する座標変換手段を、さらに備え、
前記暫定断面線設定手段は、平面座標が変換された前記計測点に基づいて前記第1計測点を抽出し、
前記断面構成点抽出手段は、平面座標が変換された前記計測点に基づいて前記第2計測点を抽出する、
ことを特徴とする請求項1記載のブレイクライン設定支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、地物等の3次元モデルの作成に関する技術であり、より具体的には、3次元点群データに基づいてブレイクラインを設定する際に、その設定を支援することができるブレイクライン設定支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地形図を作製するため広範囲に渡って計測を行う場合、従来では航空機から撮影した空中写真を利用する空中写真測量が一般的であったが、近年では航空レーザ計測も多用されるようになった。
【0003】
空中写真測量は、同一箇所を写した異なる2枚の空中写真を一組とするステレオペア写真を用意し、双方の写真に含まれる同一の対象物を同定するとともに、その対象物の写真上の位置の相違(視差)を利用して地上における対象物の座標を求める手法である。
【0004】
一方の航空レーザ計測は、計測したい地形の上空を航空機で飛行し、地形に対して照射したレーザパルスの反射信号を受けて計測するものである。航空機には通常、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)などの測位計とIMU(Inertial Measurement Unit)などの慣性計測装置が搭載されているためレーザパルスの照射位置(x,y,z)と照射姿勢(ω,φ,κ)を把握することができ、その結果、照射時刻と受信時刻の時間差から計測点(レーザパルスが反射した地点)の3次元座標を得ることができるわけである。また昨今では、航空機にレーザ計測器を搭載する航空レーザ計測のほか、地上にレーザ計測器を設置して計測する地上型レーザ計測も広まりつつある。
【0005】
空中写真測量や航空レーザ計測、地上型レーザ計測などによれば、3次元座標を有する多数の計測点(以下、多数の計測点のことを「点群」という。)が得られる。一方、3次元座標のままでは点群の相対的な位置関係を把握し難いこともあって、通常はこの点群から作成される3次元モデルを利用する。3次元モデルは、点群の3次元座標に基づいて計測対象の形状をいわば3次元的に再現したものであり、「数値表層モデル(DSM:Digital Surface Model)」や「数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)」などを例示することができる。これらDSMやDEMは多数のメッシュによって構成されることが多く、メッシュごとの代表点に高さを与えることでモデルを形成している。なおメッシュの代表点に高さを与える手法としては、ランダムデータから形成される不整三角網によって高さを求めるTIN(Triangulated Irregular Network)による手法、最も近い計測点を採用する最近隣法(Nearest Neighbor)による手法、逆距離加重法(IDW)、Kriging法、平均法など従来から用いられる種々の手法が採用される。
【0006】
3次元モデルを作成する場合、正確なブレイクラインを設定することが極めて重要である。ここでブレイクラインとは、断面変化点(遷急点や遷緩点)を縦断方向に繋いだラインであって、つまり相当の角度で交差する2面の境界線である。例えば盛土のり面の場合、盛土整形された斜面と道路面との境界にブレイクラインが形成され、また盛土斜面と小段との境界にもブレイクラインが形成される。そしてこの盛土のり面の3次元モデルを作成する場合、盛土斜面と道路面や、盛土斜面と小段によって形成されるブレイクラインを正確に表現(再現)することが重要となる。
【0007】
このようにブレイクラインは、TINなどの手法によって面を形成するときに欠かせないものであり、またダウンサンプリングする際に残すべき点として抽出するとき、沈下や隆起など形状変化を把握するとき、あるいはCAD(Computer Aided Design)図面との整合性を図るときに欠かせないものである。
【0008】
従来、点群からブレイクラインを設定するに当たっては、平面と平面の交線を用いる手法や、各点群の法線ベクトルを用いる手法、平面の輪郭線を用いる手法などが採用されていた。また特許文献1では、点群の3次元座標から暫定的なブレイクラインを設定し、そのブレイクラインを含む部分画像を表示したうえで、最終的なブレイクラインを設定するという、新たな技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示される発明によれば、点群の配置密度が小さい箇所であっても正確にブレイクラインを設定することができる。一方、特許文献1の発明を含む従来の技術では、ブレイクライン(あるいはブレイクラインの構成点)の座標を計測点(実測座標)に基づく演算処理によって求めていた。換言すれば、実測された計測点の座標を直接的に用いることなく、いわば仮想の座標によってブレイクラインを表現していたわけであり、実測に基づく確かなブレイクラインとは必ずしも言えないという側面もあった。
【0011】
本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち実測された計測点の座標に基づいてブレイクラインを設定することができるブレイクライン設定支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、基準線に垂直な断面線分を設定するとともに、その断面線分の周辺にある計測点から断面構成点を抽出し、さらに断面構成点からブレイクラインを構成する断面変化点(遷急点や遷緩点)を抽出する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
【0013】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、3次元の計測点からブレイクラインの設定を支援するシステムであって、基準線設定手段と断面線分設定手段、第1拡張領域設定手段、暫定断面線設定手段、第2拡張領域設定手段、断面構成点抽出手段、断面変化点抽出手段を備えたものである。このうち基準線設定手段は、水平投影面に基準線を設定する手段であり、断面線分設定手段は、基準線に対して垂直な断面線分を設定する手段、第1拡張領域設定手段は、第1拡張領域(断面線分を基準として基準線に沿って第1拡張幅だけ拡張した領域)を設定する手段、暫定断面線設定手段は、第1計測点(第1拡張領域に含まれる計測点である)を抽出するとともに第1計測点に基づいて鉛直面上の線分で構成される暫定断面線を設定する手段である。また第2拡張領域設定手段は、第2拡張領域(断面線分を基準として基準線に沿って第2拡張幅だけ拡張した領域)を設定する手段であり、断面構成点抽出手段は、第2計測点(第2拡張領域に含まれる計測点)を抽出するとともに第2計測点を鉛直面に投影したときに暫定断面線の近傍に配置される断面構成点を抽出する手段、断面変化点抽出手段は、断面構成点の中から断面変化点(鉛直面における遷急点や遷緩点)を抽出する手段である。なお、第2拡張幅は第1拡張幅よりも短い寸法とされ、断面構成点抽出手段は暫定断面線からの距離があらかじめ定められた離隔閾値を下回ることを条件として断面構成点を抽出する。そして、複数の断面変化点に基づいてブレイクラインを設定することができる。
【0014】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、対象領域の空中写真といった画像(ただし、3次元座標と対応付けられた画像)を表示する表示手段を、さらに備えたものとすることもできる。この場合、オペレータは、画像を確認しながら基準線設定手段を用いて基準線を設定することができる。また、画像に対応する3次元座標に基づく演算処理が実行されることによって、設定された基準線(あるいは基準線を構成する点)の3次元座標が求められる。
【0015】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、クラスタ生成手段とノイズ除去手段をさらに備えたものとすることもできる。このクラスタ生成手段は、断面構成点どうしの離隔に基づいて断面構成点のクラスタを生成する手段であり、ノイズ除去手段は、クラスタを構成する断面構成点の総数があらかじめ定めたクラスタ閾値を下回るクラスタに係る断面構成点をノイズとして取り除く手段である。この場合、断面変化点抽出手段は、ノイズを除く断面構成点から断面変化点を抽出する。
【0016】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、座標変換手段をさらに備えたものとすることもできる。この座標変換手段は、水平面に設定される軸線に対して平行となるように基準線を回転するとともに、基準線の回転に応じて計測点のうち平面座標を変換する手段である。この場合、暫定断面線設定手段は、平面座標が変換された計測点に基づいて第1計測点を抽出し、また断面構成点抽出手段は、平面座標が変換された計測点に基づいて第2計測点を抽出する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明のブレイクライン設定支援システムには、次のような効果がある。
(1)実際に計測された座標に基づいてブレイクラインを設定することができ、すなわち従来技術に比して信頼性の高いブレイクラインを得ることができる。
(2)3次元座標を有する点群があれば、必ずしもオルソフォトといった画像を用意する必要がなく、従来技術に比して低コストでブレイクラインを設定することができる
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明のブレイクライン設定支援システムの主な構成を示すブロック図。
【
図2】堤防の天端面付近に設定された基準線の一例を示す平面図。
【
図3】Y軸方向と平行するように生成された基準線を示す平面図。
【
図4】基準線に沿って設定された複数の断面線分を示す平面図。
【
図5】(a)は断面線分を含む鉛直面に投影された複数の第1計測点を示す断面図、(b)は鉛直面上の線分で構成される暫定断面線を示す断面図。
【
図6】第1拡張幅より短い寸法の第2拡張幅によって設定される第2拡張領域を示す平面図。
【
図7】(a)は暫定断面線を基準に設定される近傍範囲を示す断面図、(b)は近傍範囲の中にある第2計測点を示す断面図。
【
図8】クラスタ生成手段によって生成されたクラスタから、ノイズを除去する状況を示すモデル図。
【
図9】本願発明のブレイクライン設定支援システムがブレイクラインを生成するまでの主な処理の流れの一例を示すフロー図。
【
図10】本願発明のブレイクライン設定支援システムが3段階で拡張領域を設定したうえでブレイクラインを生成するまでの主な処理の流れの一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明のブレイクライン設定支援システムの実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
【0020】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、3次元座標を有する計測点(以下、単に「3D計測点」という。)を利用するものである。ここで3次元座標とは、平面位置と高さの情報を持つ座標であり、3軸の直交座標系における座標(X,Y,Z)や測地座標系における緯度、経度、及び標高などを例示することができる。また、3D計測点を取得するにあたっては、空中写真測量や航空レーザ計測、地上型レーザ計測、TS(Total Station)による測量など、従来の測量技術を利用することができる。なお便宜上ここでは、3D計測点が3軸直交座標系における座標(X,Y,Z)を有する例で説明する。
【0021】
さらに本願発明のブレイクライン設定支援システムは、多数の3D計測点(以下、単に「3次元点群データ」という。)を用いて「断面変化点」を抽出することを特徴のひとつとしている。ここで断面変化点とは、3次元点群データを鉛直面に投影した形状(以下、「断面形状」という。)のうち、顕著な変化を示すいわゆる「遷急点」や「遷緩点」であり、斜面勾配が大きく変化する境界点、盛土斜面と道路面との境界点、盛土斜面と小段との境界点、コンクリート擁壁の傾斜面と天端面との境界点などを挙げることができる。そして、縦断方向(断面形状の方向に概ね直交する水平方向)に複数の断面形状が配置されるとき、縦断方に複数の断面変化点が配置されることとなり、縦断方に同種の(概ね標高が同じの)断面変化点を繋ぐとブレイクラインを設定することができる。すなわち本願発明のブレイクライン設定支援システムは、ブレイクラインを構成する断面変化点を提供するものであり、ブレイクラインの設定を支援することができるものである。
【0022】
図1は、本願発明のブレイクライン設定支援システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すようにブレイクライン設定支援システム100は、基準線設定手段101と断面線分設定手段102、第1拡張領域設定手段103、暫定断面線設定手段104、第2拡張領域設定手段105、断面構成点抽出手段106、断面変化点抽出手段107を含んで構成され、さらに表示手段108やクラスタ生成手段109、ノイズ除去手段110、基準線算出手段111、座標変換手段112、ブレイクライン生成手段113、画像データ記憶手段114、点群データ記憶手段115などを含んで構成することもできる。
【0023】
ブレイクライン設定支援システム100を構成する基準線設定手段101や断面線分設定手段102、第1拡張領域設定手段103、暫定断面線設定手段104、第2拡張領域設定手段105、断面構成点抽出手段106、断面変化点抽出手段107、クラスタ生成手段109、ノイズ除去手段110、基準線算出手段111、座標変換手段112、ブレイクライン生成手段113は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。すなわち、所定のプログラムによってコンピュータ装置に演算処理を実行させることによって、それぞれ手段特有の処理を行うわけである。このコンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、を具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを含むものもあり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)やサーバなどによって構成することができる。ディスプレイを具備したコンピュータ装置を利用する場合は、そのディスプレイを表示手段108として利用するとよい。
【0024】
また、画像データ記憶手段114と点群データ記憶手段115は、汎用的コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)の記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバに構築することもできる。データベースサーバに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバとすることもできる。
【0025】
以下、本願発明のブレイクライン設定支援システム100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0026】
(点群データ記憶手段と画像データ記憶手段)
点群データ記憶手段115は、対象となる範囲の3次元点群データ(つまり、多数の3D計測点)を記憶する手段であり、一方の画像データ記憶手段114は、その対象範囲を撮影した空中写真を記憶する手段である。なお、画像データ記憶手段114が記憶する空中写真は、3次元の座標と対応付けられたものとすることが望ましい。例えば、空中写真を構成する画素(ピクセル)ごとに3次元座標を付与することで、「3次元座標に対応した空中写真」とすることができる。空中写真に3次元座標を付与するにあたっては、従来の写真測量技術や、近年多用されているSfM(Structure from Motion)などを利用して3次元座標を付与することができ、空中写真とは独立して3次元座標が用意されている場合はICP(Iterative Closest Point)を利用して空中写真に3次元座標を付与することもできる。
【0027】
(基準線設定手段)
基準線設定手段101は、「基準線」を設定する手段である。ここで基準線とは、水平投影面(同一の標高で設定される平面)に構成される線分であり、すなわち平面座標(X,Y)は異なるが標高(Z)は同じ値(例えば0m)である座標によって形成される平面上の線分である。またこの基準線は、上記した断面形状にとっては縦断方向を示すものであり、換言すれば基準線にそって複数の断面形状が設定される。したがって基準線LSは、
図2に示すようにブレイクライン(つまり、断面変化点)が存在しそうな場所であって、しかも推測されるブレイクラインの方向と概ね平行になるように設定される。
図2は、堤防の天端面付近に設定された基準線LSの一例を示す平面図であり、この図では基準線LSを白線で示している。なお便宜上ここでは、基準線LSの方向のことを「縦断方向」、基準線LSに直交する方向(つまり、断面形状を水平面に投影したときの方向)のことを「断面方向」ということとする。
【0028】
基準線設定手段101によって基準線LSを設定するにあたっては、従来の画像認識技術や、ディープラーニングといった機械学習(ML:Machine Learning)の技術を利用することによって、空中写真から基準線LSを自動的に設定(自動判読)する仕様とすることができる。あるいは、画像データ記憶手段114から読み出した空中写真をディスプレイなどの表示手段108に表示し、その空中写真をオペレータが目視しながら、ポインティングデバイス(マウスやタッチパネル、ペンタブレット、タッチパッド、トラックパッド、トラックボールなど)やキーボード等からなる基準線設定手段101を操作することによって所望の基準線LSを設定する仕様とすることもできる。
【0029】
基準線設定手段101によって基準線LSが設定されると、基準線算出手段111が基準線LSの座標を計算する。より詳しくは、基準線LSを構成する点(特に両端の点)の2次元座標(X,Y)を求めたり、基準線LSを表す直線式(2次元座標系における一般式)を算出したりすることによって、基準線LSの座標を計算する。このとき、
図2に示すように基準線LSが複数の線分(いわば、折れ線)によって形成されているときは、それぞれの線分(つまり、基準線LS)について座標を計算する。
【0030】
(座標変換手段)
座標変換手段112は、基準線LSの座標を変換する手段である。
図2に示すように基準線LSが異なる方向を示す複数の線分によって形成される場合、それぞれの方向を維持したまま、つまりその方向を勘案しながら後続の処理を行うこととなる。あるいは、すべての線分が同一方向となるように変換処理を行ったうえで、換言すればすべての基準線LS(折れ線)が互いに平行となるように変換処理を実行したうえで、後続の処理を行うこともできる。この場合、対象範囲に設定される3次元座標軸のうち平面を構成するいずれか1軸と平行するように基準線LSの座標を変換するとよい。例えば
図3では、基準線LSの座標を変換することによって、Y軸方向と平行する基準線LSが生成されている。座標変換手段112がY軸(あるいはX軸)と平行するように基準線LSを変換することによって、変換処理という手順が増えるものの、後続の演算処理が容易となって好適である。
【0031】
(断面線分設定手段)
断面線分設定手段102は、「断面線分」を設定する手段である。ここで断面線分とは、基準線LSと同様、水平投影面に構成される線分であり、すなわち平面座標(X,Y)は異なるが標高(Z)は同じ値である座標によって形成される平面上の線分である。またこの断面線分は、基準線LSに対して垂直となる線分であり、したがって断面線分の方向は断面形状を水平面に投影したときの方向(つまり、断面方向)と一致する。なお断面線分設定手段102は、
図4に示すように基準線LSに沿って一定間隔(あるいは、不規則な間隔)で、複数(図では3本)の断面線分を設定する。
【0032】
(第1拡張領域設定手段)
第1拡張領域設定手段103は、「第1拡張領域」を設定する手段である。ここで第1拡張領域とは、水平投影面に構成される領域であり、すなわち同一標高(Z)の平面上に形成される平面的な範囲である。またこの第1拡張領域は、断面線分LCを基準として設定され、したがって第1拡張領域設定手段103は断面線分LCごとに第1拡張領域を設定する。例えば
図3では、断面線分LCを中心とし、基準線LSに沿って所定の幅(以下、「第1拡張幅」という。)だけ拡張することによって第1拡張領域RA01が設定されている。なお
図3では、断面線分LCの両側に第1拡張幅だけ拡張する例を示しているが、断面線分LCの一方側にのみ拡張して第1拡張領域RA01を設定することもできるし、断面線分LCの左側と右側が異なる幅(長さ)で拡張して第1拡張領域RA01を設定することもできる。第1拡張幅の値や、断面線分LCを基準として拡張する態様などは、あらかじめ定めておくとよい。
【0033】
(暫定断面線設定手段)
暫定断面線設定手段104は、「第1計測点」を抽出するとともに、「暫定断面線」を設定する手段である。ここで第1計測点とは、その平面座標(X,Y)が第1拡張領域RA01に含まれる3D計測点であり、つまり水平投影面に投影したときに第1拡張領域RA01内に含まれる3D計測点である。一方、暫定断面線は、同一の第1拡張領域RA01に係る第1計測点によって形成される線分である。以下、暫定断面線設定手段104が、第1計測点を抽出し、その第1計測点に基づいて暫定断面線を設定する手順について詳しく説明する。
【0034】
まず暫定断面線設定手段104が、点群データ記憶手段115から3D計測点を読み出し、第1拡張領域RA01と3D計測点を照らし合わせることによって、第1拡張領域RA01に含まれる第1計測点を抽出する。ただし、座標変換手段112によって基準線LSの座標が変換されているときは、3D計測点も同様の座標変換処理を行ったうえで、第1拡張領域RA01と3D計測点を照らし合わせる。もちろんこの場合は、3D計測点の座標のうち平面座標のみを変換することとなる。また暫定断面線設定手段104は、第1拡張領域RA01ごとに第1計測点を抽出する。したがって、基準線LSが複数の折れ線によって形成されているケースなど、複数の基準線LSに対してそれぞれ異なる座標変換が実行されている場合、それぞれの基準線LSに応じて3D計測点の座標変換を行ったうえで第1拡張領域RA01と照らし合わせる。
【0035】
第1拡張領域RA01ごとに第1計測点を抽出すると、暫定断面線設定手段104は断面方向の鉛直面(例えば、断面線分LCを含む鉛直面)に第1計測点を投影する。
図5(a)は、断面線分LCを含む鉛直面に投影された複数の第1計測点P01を示す断面図である。第1拡張領域RA01に含まれる第1計測点P01を同一の鉛直面に投影すると、堤防の天端面や傾斜面など実際に平面となっている部分では第1計測点P01の点密度が高くなる。そして、鉛直面上に配置された第1計測点P01に基づいて、同じ鉛直面上に線分を生成する。ここで生成された線分が
図5(b)に示す「暫定断面線LCP」である。鉛直面の第1計測点P01に基づいて暫定断面線LCPを生成するにあたっては、RANSAC(Random Sampling Consensus)法や最小2乗法など従来用いられている算出方法を利用することができる。
【0036】
(第2拡張領域設定手段)
第2拡張領域設定手段105は、「第2拡張領域」を設定する手段である。ここで第2拡張領域とは、第1拡張領域RA01と同様、水平投影面に構成される領域であり、すなわち同一標高(Z)の平面上に形成される平面的な範囲である。またこの第2拡張領域は、断面線分LCを基準として設定され、したがって第2拡張領域設定手段105は断面線分LCごとに第2拡張領域を設定する。例えば、断面線分LCを中心とし、基準線LSに沿って所定の幅(以下、「第2拡張幅」という。)だけ拡張することによって第2拡張領域を設定することができる。ただし
図6に示すように、第1拡張領域RA01を設定する第1拡張幅より、短い寸法(長さ)の第2拡張幅によって第2拡張領域RA02は設定される。例えば、第1拡張幅を1mとして定めた場合、第2拡張幅は0.1mとして定めることができる。なお、第2拡張幅の値や、断面線分LCを基準として拡張する態様などは、あらかじめ定めておくとよい。
【0037】
(断面構成点抽出手段)
断面構成点抽出手段106は、「第2計測点」を抽出するとともに、「断面構成点」を抽出する手段である。ここで第2計測点とは、その平面座標(X,Y)が第2拡張領域RA02に含まれる3D計測点であり、つまり水平投影面に投影したときに第2拡張領域RA02内に含まれる3D計測点である。一方、断面構成点は、第2拡張領域RA02の代表的な断面形状を構成する点である。以下、断面構成点抽出手段106が、第2計測点を抽出し、その第2計測点に基づいて断面構成点を抽出する手順について詳しく説明する。
【0038】
まず断面構成点抽出手段106が、点群データ記憶手段115から3D計測点を読み出し、第2拡張領域RA02と3D計測点を照らし合わせることによって、第2拡張領域RA02に含まれる第2計測点を抽出する。ただし、座標変換手段112によって基準線LSの座標が変換されているときは、3D計測点も同様の座標変換処理を行ったうえで、第2拡張領域RA02と3D計測点を照らし合わせる。もちろんこの場合は、3D計測点の座標のうち平面座標のみを変換することとなる。また断面構成点抽出手段106は、第2拡張領域RA02ごとに第2計測点を抽出する。したがって、基準線LSが複数の折れ線によって形成されているケースなど、複数の基準線LSに対してそれぞれ異なる座標変換が実行されている場合、それぞれの基準線LSに応じて3D計測点の座標変換を行ったうえで第2拡張領域RA02と照らし合わせる。
【0039】
第2拡張領域RA02ごとに第2計測点を抽出すると、断面構成点抽出手段106は断面方向の鉛直面(例えば、断面線分LCを含む鉛直面)に第2計測点を投影する。そして、鉛直面に投影された第2計測点のうち、その鉛直面において暫定断面線LCPの近傍にある第2計測点を「断面構成点」として抽出する。具体的には、
図7(a)に示すように暫定断面線LCPを基準とする範囲(以下、「近傍範囲RN」という。)を設定し、
図7(b)に示すように近傍範囲RN内にある第2計測点P02を断面構成点として抽出する。なお近傍範囲RNは、
図7(b)に示すように暫定断面線LCPを中心にあらかじめ定められた閾値(以下、「離隔閾値WD」という。)だけ拡張することで設定することができる。この場合、断面構成点抽出手段106は、暫定断面線LCPからの距離が離隔閾値WDを下回ることを条件として断面構成点を抽出することとなる。
【0040】
(クラスタ生成手段)
クラスタ生成手段109は、断面構成点に基づいて「クラスタ」を生成する手段である。このクラスタは、従来知られている概念であり、いわば断面構成点の集合(塊)である。クラスタを生成するにあたっては、断面構成点どうしの離隔が小さい(つまり、点間距離が閾値以下である)ことを条件としてクラスタを生成するなど、従来用いられている種々の技術を利用することができる。もちろんクラスタ生成手段109は、第2拡張領域RA02ごと(つまり、断面線分LCごと)にクラスタを生成する。
【0041】
(ノイズ除去手段)
ノイズ除去手段110は、断面構成点のうち断面形状を構成するには適当ではない断面構成点(ノイズ)を取り除く手段である。
図8は、クラスタ生成手段109によって生成されたクラスタCLから、ノイズNSを除去する状況を示すモデル図である。この図では、ノイズ除去手段110が右上の円で囲まれたクラスタCLに係る断面構成点をノイズNSとして抽出するとともに(図の上側)、そのノイズNSを除去している(図の下側)。ノイズNSを抽出するにあたっては、クラスタCLを構成する断面構成点の総数があらかじめ定めた数(以下、「クラスタ閾値」という。)を下回るクラスタCLを選出したうえで、そのクラスタCLに含まれる断面構成点をノイズNSとして抽出することができる。この場合、断面構成点の総数がクラスタ閾値以下となるクラスタCLを選出する仕様とすることもできるし、クラスタ閾値未満となるクラスタCLを選出する仕様とすることもできる。もちろんノイズ除去手段110は、第2拡張領域RA02ごと(つまり、断面線分LCごと)にノイズNSを取り除く。
【0042】
(断面変化点抽出手段)
断面変化点抽出手段107は、断面構成点の中から「断面変化点」を抽出する処理である。この断面変化点は、既述したとおり、断面構成点を鉛直面に投影した断面形状のうち、「遷急点」や「遷緩点」といった顕著な変化を示す点である。以下、断面変化点抽出手段107が、断面変化点を抽出する手順について詳しく説明する。
【0043】
まず断面変化点抽出手段107が、断面構成点抽出手段106によって抽出された断面構成点に基づいて任意数の線分(以下、「輪郭線」という。)を生成する。なお、ノイズ除去手段110によってノイズNSが取り除かれる場合、当然ながら断面変化点抽出手段107はノイズNSが除かれた断面構成点に基づいて輪郭線を生成する。この輪郭線を生成するにあたっては、点間距離が閾値を下回るものを連結したり、あるいは関数ConcaveHullを使用する「輪郭線抽出」の手法を採用したり、従来用いられている種々の技術を利用することができる。
【0044】
断面構成点に基づく輪郭線が生成されると、断面変化点抽出手段107は輪郭線の頂点を単純化し、輪郭線を構成する頂点を抽出する処理を実行する。輪郭線の頂点を単純化するにあたっては、「Douglous-Pecker」の手法を採用するなど、従来用いられている種々の技術を利用することができる。そして断面変化点抽出手段107は、輪郭線の頂点を「断面変化点」として抽出する。もちろん断面変化点抽出手段107は、第2拡張領域RA02ごと(つまり、断面線分LCごと)に断面変化点を抽出する。
【0045】
(ブレイクライン生成手段)
ブレイクライン生成手段113は、断面変化点抽出手段107によって抽出された断面変化点を用いてブレイクラインを生成する手段である。具体的には、断面線分LCごとに抽出された断面変化点を、縦断方向(つまり、基準線LSの方向)に繋いでいくことによってブレイクラインを生成する。1の断面線分LCについて複数種類の断面変化点が抽出されることもあるが、ブレイクライン生成手段113は同種の(概ね標高が同じの)断面変化点を選出しながら縦断方向に繋いでいく。
【0046】
(処理の流れ)
以下、
図9を参照しながら本願発明のブレイクライン設定支援システム100の主な処理について詳しく説明する。
図9は、本願発明のブレイクライン設定支援システム100がブレイクラインを生成するまでの主な処理の流れの一例を示すフロー図であり、中央の列に実行する処理を示し、左列にはその処理に必要なものを、右列にはその処理から生ずるものを示している。
【0047】
断面変化点を抽出し、ブレイクラインを生成するには、まずは
図9に示すように基準線設定手段101によって基準線LSが設定され(
図9のStep201)、基準線算出手段111によって基準線LSの座標が計算される。またブレイクライン設定支援システム100が座標変換手段112を備えているときは、基準線LSの座標が変換される(
図9のStep202)。
【0048】
基準線LSが設定されると(あるいは、基準線LSの座標が変換されると)、断面線分設定手段102によって断面線分LCが設定される(
図9のStep203)。次いで、第1拡張領域設定手段103によって第1拡張領域RA01が設定され(
図9のStep204)、暫定断面線設定手段104によって第1計測点P01が抽出されるとともに(
図9のStep205)、暫定断面線LCPが設定される(
図9のStep206)。
【0049】
暫定断面線LCPが設定されると、第2拡張領域設定手段105によって第2拡張領域RA02が設定され(
図9のStep207)、断面構成点抽出手段106によって第2計測点P02が抽出されるとともに(
図9のStep208)、断面構成点が抽出される(
図9のStep209)。
【0050】
断面構成点が抽出されると、クラスタ生成手段109によってクラスタCLが生成されるとともに(
図9のStep210)、ノイズ除去手段110によって断面構成点からノイズNSが取り除かれる(
図9のStep211)。そして、断面変化点抽出手段107によって断面構成点の中から断面変化点が抽出され(
図9のStep212)、ブレイクライン生成手段113によってブレイクラインが生成される(
図9のStep213)。
【0051】
ここまで、第1拡張領域RA01を設定し、さらに第2拡張領域RA02を設定し、つまり2段階で拡張領域を設定したうえで断面変化点を抽出する仕様について説明してきたが、本願発明のブレイクライン設定支援システム100は、3以上の段階で拡張領域を設定したうえで断面変化点を抽出する仕様とすることもできる。
図10は、本願発明のブレイクライン設定支援システム100が3段階で拡張領域を設定したうえでブレイクラインを生成するまでの主な処理の流れの一例を示すフロー図であり、中央の列に実行する処理を示し、左列にはその処理に必要なものを、右列にはその処理から生ずるものを示している。なお、3以上の段階で拡張領域を設定する仕様であっても、
図9に示すStep201(基準線の設定)~Step209(断面構成点の抽出)、及びStep210(クラスタリング)~Step213(ブレイクラインの設定)は同様の処理が行われるため、
図10ではこれらの処理を省略しており、以下の説明でも同様にこれらの処理については省略する。
【0052】
3段階で拡張領域を設定する場合、1回目の断面構成点が抽出されると(
図9のStep209)、暫定断面線設定手段104が1回目の断面構成点に基づいて2回目の暫定断面線LCPを設定する(
図10のStep214)。なお、2回目の暫定断面線LCPは、1回目の暫定断面線LCPと同様の手順で設定され、もちろん第2拡張領域RA02ごと(つまり、断面線分LCごと)に設定される。また、第1拡張領域RA01や第2拡張領域RA02と同様の手順で、第2拡張領域RA02ごと(つまり、断面線分LCごと)に第3拡張領域が設定される(
図10のStep215)。ただし第3拡張領域は、第2拡張領域RA02を設定する第2拡張幅より短い寸法(長さ)の第3拡張幅によって設定される。
【0053】
第3拡張領域が設定されると、第1計測点P01や第2計測点P02と同様の手順で、第2拡張領域RA02(つまり、断面線分LCごと)ごとに第3計測点が抽出される(
図10のStep216)。具体的には、水平投影面に投影したときに第3拡張領域内に含まれる3D計測点を第3計測点として抽出する。第3計測点が抽出されると、1回目の断面構成点(
図9のStep209)と同様の手順で、第2拡張領域RA02(つまり、断面線分LCごと)ごとに2回目の断面構成点が抽出される(
図10のStep217)。具体的には、断面方向の鉛直面に投影された第3計測点のうち、2回目の暫定断面線LCPの近傍にある第3計測点を断面構成点として抽出する。
【0054】
そして、2回目の断面構成点に基づいてクラスタが生成され(
図9のStep210)、以下、
図9を用いて説明したように、断面構成点からノイズNSが取り除かれ(
図9のStep211)、ノイズNS除去後の断面構成点の中から断面変化点が抽出され(
図9のStep212)、断面変化点に基づいてブレイクラインが生成される(
図9のStep213)。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明のブレイクライン設定支援システムは、橋梁や擁壁、切土のり面、盛土のり面といった土木構造物や、集合住宅やオフィスビルといった建築構造物などの人工構造物の3次元モデルを作成するために利用することができるほか、自然地形の3次元モデルを作成するために利用することができる。本願発明によれば、地形の正確な3次元モデルを作成することができ、その結果、2時期の3次元モデルを比較することによって地形変化を適切に把握でき、ひいては効果的な災害対策を実施できることを考えれば、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0056】
100 本願発明のブレイクライン設定支援システム
101 基準線設定手段
102 断面線分設定手段
103 第1拡張領域設定手段
104 暫定断面線設定手段
105 第2拡張領域設定手段
106 断面構成点抽出手段
107 断面変化点抽出手段
108 表示手段
109 クラスタ生成手段
110 ノイズ除去手段
111 基準線算出手段
112 座標変換手段
113 ブレイクライン生成手段
114 画像データ記憶手段
115 点群データ記憶手段
CL クラスタ
LC 断面線分
LCP 暫定断面線
LS 基準線
NS ノイズ
P01 第1計測点
P02 第2計測点
RA01 第1拡張領域
RA02 第2拡張領域
RN 近傍範囲
WD 離隔閾値