IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図1
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図2
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図3
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図4
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図5
  • 特開-半導体装置及び半導体記憶装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043759
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240326BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240326BHJP
   H10B 99/00 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L29/78 626A
H01L29/78 618B
H01L29/78 613B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L21/28 301B
H01L21/28 301
H01L27/04 C
H01L27/108 671Z
H01L27/105 441
H01L27/108 671A
H01L27/108 621B
H01L27/108 621C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148926
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】側瀬 聡文
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 剛之
(72)【発明者】
【氏名】上遠野 一広
(72)【発明者】
【氏名】武藤 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】三鬼 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃典
【テーマコード(参考)】
4M104
5F038
5F048
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA08
4M104AA09
4M104BB04
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB18
4M104BB30
4M104BB36
4M104CC01
4M104FF04
4M104FF11
4M104FF13
4M104GG08
4M104GG14
4M104GG16
4M104HH15
5F038AC05
5F038AC09
5F038AC10
5F038AC15
5F038EZ01
5F038EZ20
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB01
5F048BB09
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F048CB07
5F083AD02
5F083AD06
5F083AD24
5F083GA01
5F083GA06
5F083HA02
5F083JA02
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA55
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083MA06
5F083MA18
5F083MA19
5F110AA06
5F110BB06
5F110BB11
5F110CC09
5F110DD05
5F110EE01
5F110EE02
5F110EE04
5F110EE24
5F110FF02
5F110FF03
5F110GG01
5F110GG15
5F110GG23
5F110HK01
5F110HK04
5F110HK07
5F110HK21
5F110HK22
5F110NN03
5F110NN23
5F110NN72
5F110NN74
(57)【要約】
【課題】酸化物半導体における酸素が拡散することを抑制することによって良好なオフリーク特性を実現し、かつ、良好な導電性によるオン電流の確保を実現可能な半導体装置及び半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる酸化物半導体と、所定元素、酸素及び添加元素を含み、前記第1電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物層と、を備え、前記所定元素は、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つであり、前記添加元素は、リン、硫黄、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル及びビスマスのうちの少なくとも1つである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる酸化物半導体と、
所定元素、酸素及び添加元素を含み、前記第1電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物層と、を備え、
前記所定元素は、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つであり、
前記添加元素は、リン、硫黄、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル及びビスマスのうちの少なくとも1つである、
半導体装置。
【請求項2】
第1電極と、
第2電極と、
酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素が第1元素であり、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる酸化物半導体と、
酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素が第2元素であり、前記第1電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物層と、を備え、
前記第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、前記第1元素と酸素との結合解離エネルギーより大きい、
半導体装置。
【請求項3】
前記第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、700kJ/mol以上である、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、前記第1元素と酸素との結合解離エネルギーの2倍より大きい、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1酸化物層に含まれる前記添加元素の原子パーセントを、前記第1酸化物層に含まれるタンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つのうち、最も多く含まれる元素の原子パーセントで除した値は、0.4以下である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1酸化物層と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物電極を、さらに備える、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブの各々の元素の少なくとも1つの元素と、酸素と、リン、硫黄、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル及びビスマスのうちの少なくとも1つの元素と、を含み、前記第2電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第2酸化物層をさらに備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素が第3元素であり、前記第2電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第2酸化物層をさらに備え、
前記第3元素と酸素との結合解離エネルギーは、前記第1元素と酸素との結合解離エネルギーより大きい、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2酸化物層と前記酸化物半導体との間に設けられる第2酸化物電極をさらに備える、
請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記酸化物半導体を囲むゲート電極と、
前記酸化物半導体の少なくとも一部と前記ゲート電極との間に設けられる絶縁膜と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記酸化物半導体は、第1方向に沿って延在し、前記第1方向の両端において前記第1酸化物層及び前記第2酸化物層とそれぞれ接する、
請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の前記半導体装置と、
前記第2電極に接続される第1キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と対向する第2キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に設けられる誘電膜と、を備える、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の中には、酸化物半導体によって形成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2021/0399052号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開US2017/0263681号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開US2015/0084043号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化物半導体における酸素が拡散することを抑制することによって良好なオフリーク特性を実現し、かつ、良好な導電性によるオン電流の確保を実現可能な技術が求められている。
【0005】
本開示は、酸化物半導体における酸素が拡散することを抑制することによって良好なオフリーク特性を実現し、かつ、良好な導電性によるオン電流の確保を実現可能な半導体装置及び半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる酸化物半導体と、所定元素、酸素及び添加元素を含み、前記第1電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物層と、を備え、前記所定元素は、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つであり、前記添加元素は、リン、硫黄、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル及びビスマスのうちの少なくとも1つである。
【0007】
本開示に係る半導体装置は、第1電極と、第2電極と、酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素が第1元素であり、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる酸化物半導体と、酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素が第2元素であり、前記第1電極と前記酸化物半導体との間に設けられる第1酸化物層と、を備え、前記第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、前記第1元素と酸素との結合解離エネルギーより大きい。
【0008】
本開示に係る半導体記憶装置は、前記半導体装置と、前記第2電極に接続される第1キャパシタ電極と、前記第1キャパシタ電極と対向する第2キャパシタ電極と、前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に設けられる誘電膜と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るメモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
図3】比較例に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
図4】第2実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
図5】第3実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
図6】第4実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向をX軸+方向、矢印とは逆方向をX軸-方向と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、Z軸+方向及びZ軸-方向を、それぞれ「上方」及び「下方」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。
【0012】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0013】
第1実施形態に係る半導体記憶装置101は、OS-RAM(Oxide Semiconductor-Random Access Memory)であって、メモリセルアレイを備える。
【0014】
図1に示すように、メモリセルアレイは、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、を含む。
【0015】
図1には、複数のワード線WLの一例として、ワード線WL、ワード線WLn+1及びワード線WLn+2が示される(ここで、nは整数である)。また、図1には、ビット線BLの一例として、ビット線BL、ビット線BLm+1及びビット線BLm+2が示される(ここで、mは整数である)。なお、複数のメモリセルMCの個数は、図1に示す個数に限定されない。
【0016】
複数のメモリセルMCは、例えばマトリクス状に配列されることにより、メモリセルアレイを形成する。メモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を含む。
【0017】
行方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する行(例えば第n行)に対応するワード線WL(例えばワード線WL)に接続される。列方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する列(例えば第m+2列)に対応するビット線BL(例えばビット線BLm+2)に接続される。
【0018】
詳細には、メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのゲートは、当該メモリセルMCの属する行に対応するワード線WLに接続される。メモリトランジスタMTRのソース又はドレインの一方は、当該メモリセルMCの属する列に対応するビット線BLに接続される。
【0019】
メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPの一方の電極は、当該メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのソース又はドレインの他方に接続される。メモリセルMCの他方の電極は、特定の電位を供給する電源線(図示しない)に接続される。
【0020】
メモリセルMCは、対応するワード線WLの電位に基づくメモリトランジスタMTRのスイッチングにより、対応するビット線BLを流れる電流によるメモリキャパシタMCPへの電荷の蓄積によってデータを保持可能に構成される。
【0021】
図2に示すように、半導体記憶装置101は、半導体基板10と、回路11と、キャパシタ20と、半導体装置30と、導電体33と、絶縁層34、35、45及び63と、を備える。
【0022】
キャパシタ20は、絶縁膜22(誘電膜)と、導電体23と、絶縁膜22を介して対向する第1キャパシタ電極24及び第2キャパシタ電極25と、を含む。
【0023】
半導体装置30は、電界効果トランジスタ40(半導体素子)と、電界効果トランジスタ40の下方に設けられる導電性酸化物層32(第2電極)と、電界効果トランジスタ40の上方に設けられる酸化物セレクタ51(第1酸化物層)及び導電層52(第1電極)と、を含む。導電層52は、TiN層52aと、TiN層52aの上方に位置するタングステン層52bと、を含む。
【0024】
電界効果トランジスタ40は、チャネルに相当する酸化物半導体層41(金属酸化物半導体)と、ゲート電極に相当する導電層42(ゲート電極)と、導電層42と酸化物半導体層41との間に設けられ、ゲート絶縁膜に相当する絶縁層43(絶縁膜)と、を含む。
【0025】
回路11は、半導体記憶装置101の複数のメモリセルMC(半導体装置30)のうち、所定のメモリセルMCを選択するためのデコーダ、ビット線BLに接続されるセンスアンプ、SRAMから構成されるレジスタなどの周辺回路を構成する。回路11は、CMOSプロセスで形成されたPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)及びNチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)の電界効果トランジスタを有するCMOS回路を含んでよい。
【0026】
回路11の電界効果トランジスタは、例えば単結晶シリコン基板などの半導体基板10を用いて形成可能である。Pch-FET及びNch-FETは、半導体基板10にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有し、半導体基板10の表面に近接した領域において半導体基板10の表面と略平行なX軸方向又はY軸方向にキャリアを流すためのチャネルを有する、いわゆる、横型の電界効果トランジスタである。なお、半導体基板10はP型乃至N型の導電型を有していてもよい。なお、図2は、便宜のため、回路11の電界効果トランジスタの一例を図示する。
【0027】
キャパシタ20は、メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPである(図1参照)。図2には、4つのキャパシタ20を図示しているが、キャパシタ20の個数は、4つに限定されない。
【0028】
本実施形態では、キャパシタ20は、半導体基板10の上方(半導体基板10の表面よりも上方の領域。なお上方とは半導体基板10の表面から離間する方向(Z軸+方向)に相当する。)に設けられる。キャパシタ20における第1キャパシタ電極24は、導電性酸化物層32に接続される。キャパシタ20における第2キャパシタ電極に相当する第2キャパシタ電極25は、第1キャパシタ電極24と対向する。絶縁膜22は、第1キャパシタ電極24と第2キャパシタ電極25との間に設けられる。
【0029】
キャパシタ20は、シリンダー型キャパシタなどの3次元キャパシタである。ただし本実施形態のキャパシタとして、電荷を蓄積可能な構成を備える他のキャパシタを採用してもよい。第2キャパシタ電極25は、導電体23の上方に設けられ、導電体23の上方の端面と当接する。絶縁膜22は、第2キャパシタ電極25の上方の端面と側面とを覆う。第1キャパシタ電極24は、導電性酸化物層32の下方に設けられ、導電性酸化物層32の下方の端面と当接する。第1キャパシタ電極24は、絶縁膜22の上方の端面と側面の上方の一部とを覆う。
【0030】
絶縁膜22は、酸化ハフニウムなどの材料を含んでよい。導電体23、第1キャパシタ電極24及び第2キャパシタ電極25は、タングステン(W)及び窒化チタン(TiN)などの材料を含んでよい。
【0031】
導電体33は、回路11と半導体装置30とを電気的に接続する配線を含む。導電体33は、ビア配線を含んでよく、例えば図2に示されるようにZ軸方向に延伸してワード線WLと半導体基板10上に設けられる回路11とを接続するビア配線を有する。導電体33は、例えば銅を含む。
【0032】
絶縁層34は、複数のキャパシタ20間に設けられる。絶縁層34は、例えばシリコンと酸素とを含有するシリコン酸化膜である。
【0033】
絶縁層35は、絶縁層34の上方に設けられる。絶縁層35は、例えばシリコンと窒素とを含有するシリコン窒化膜である。
【0034】
半導体装置30は、キャパシタ20の上方に設けられる。半導体装置30における導電性酸化物層32は、第1キャパシタ電極24の上方に設けられる。導電性酸化物層32は、インジウム-錫-酸化物(ITO)などの金属酸化物を含む。
【0035】
電界効果トランジスタ40は、メモリセルMCのメモリトランジスタMTRに相当する(図1参照)。電界効果トランジスタ40は、導電性酸化物層32の上方に設けられる。
【0036】
電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層41は、酸化物セレクタ51及び導電性酸化物層32とそれぞれ当接する。酸化物半導体層41は、導電性酸化物層32に対して半導体基板10から離れる方向(Z軸+方向に相当し、上方と呼んでもよい)に位置する。酸化物セレクタ51は、酸化物半導体層41に対して半導体基板10から離れる方向(Z軸+方向に相当し、上方と呼んでもよい)に位置する。このような構成を備えることにより、電界効果トランジスタ40は、半導体基板10の表面に略垂直なZ軸方向(第1方向)に延伸するチャネルを有する、いわゆる、縦型のトランジスタである。
【0037】
酸化物半導体層41は、Z軸方向(第1方向)に延在する柱状体である。酸化物半導体層41は、電界効果トランジスタ40のチャネルを形成する。酸化物半導体層41は、アモルファス構造を有する。
【0038】
また、酸化物半導体層41は、酸素欠損がドナーとなる半導体であり、金属元素として、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、ガリウム(Ga)と、を含む。詳細には、酸化物半導体層41は、インジウム、ガリウム及び亜鉛の酸化物すなわちIGZO(InGaZnO)である。
【0039】
酸化物半導体層41は、Z軸方向の両端において(例えば、Z軸方向を向いた2つの端面において)酸化物セレクタ51及び導電性酸化物層32とそれぞれ接する。酸化物半導体層41のZ軸+方向の一端は、酸化物セレクタ51を介して導電層52に接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの一方として機能する。酸化物半導体層41のZ軸-方向の他端は、導電性酸化物層32に接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの他方として機能する。なお、酸化物半導体層41は、自己の側面において酸化物セレクタ51及び導電性酸化物層32の少なくとも一方と接する構成であってもよい。
【0040】
導電性酸化物層32は、キャパシタ20における第1キャパシタ電極24と、電界効果トランジスタ40における酸化物半導体層41との間に設けられ、電界効果トランジスタ40のソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。導電性酸化物層32は、電界効果トランジスタ40における酸化物半導体層41と同様に金属酸化物を含むため、電界効果トランジスタ40と導電性酸化物層32との接続抵抗を低減できる。
【0041】
導電層42は、酸化物半導体層41と対向して設けられる。酸化物半導体層41と導電層42との間に絶縁層43が設けられる。導電層42は、酸化物半導体層41に対してZ軸方向と交わる第2方向に位置する。酸化物半導体層41における酸化物セレクタ51と導電性酸化物層32との間の第1部分41aは絶縁層43と接し、絶縁層43は導電層42と接する。
【0042】
本実施形態では、導電層42は、Y軸方向に延在し、酸化物半導体層41を囲む。導電層42は、XY面において絶縁層43を挟んで酸化物半導体層41に重畳する。導電層42は、電界効果トランジスタ40のゲート電極を構成するとともに、ワード線WLとして機能する。導電層42は、例えば金属、金属化合物、又は、半導体を含む。導電層42は、例えば、タングステン、チタン(Ti)、窒化チタン、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む。導電層42は導電体33に接続される。
【0043】
絶縁層43は、XY面において、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられる。絶縁層43は、電界効果トランジスタ40のゲート絶縁膜を形成する。絶縁層43は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0044】
電界効果トランジスタ40は、ゲート電極がチャネルを囲んで配置される、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。SGTにより半導体記憶装置の面積を小さくできる。
【0045】
酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、半導体基板10に設けられた電界効果トランジスタよりもオフリーク電流が低い。よって、例えばメモリセルMCに保持されたデータを長く保持できるため、リフレッシュ動作の回数を減らすことができる。また、酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、低温プロセスで形成可能であるため、キャパシタ20に熱ストレスを与えることを抑制できる。
【0046】
絶縁層45は、例えば複数の電界効果トランジスタ40の間に設けられる。絶縁層45は、例えばシリコンと酸素とを含有するシリコン酸化膜である。
【0047】
酸化物セレクタ51は、酸化物半導体層41の上方の端面に当接する。酸化物セレクタ51は、酸化物と添加元素とを含む。
【0048】
酸化物は、所定元素及び酸素を含む。所定元素は、タンタル(Ta)、ホウ素(B)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)及びニオブ(Nb)のうちの少なくとも1つである。添加元素は、リン(P)、硫黄(S)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)及びビスマス(Bi)のうちの少なくとも1つである。
【0049】
また、酸化物セレクタ51に含まれる第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、酸化物半導体層41に含まれる第1元素と酸素との結合解離エネルギーより大きい。ここで、第1元素は、酸化物半導体層41において、酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素である。第2元素は、酸化物セレクタ51において、酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素である。
【0050】
本実施形態では、第1元素は、例えば、錫、インジウム、ガリウム又は亜鉛である。Sn-O結合、In-O結合及びGa-O結合の結合解離エネルギーは、それぞれ528、346及び374kJ/molである。Zn-O結合の結合解離エネルギーは、250kJ/mol以下である。
【0051】
第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、700kJ/mol以上である。本実施形態では、第2元素は、例えば、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム又はニオブである。Ta-O結合、B-O結合、Hf-O結合、Si-O結合、Zr-O結合及びNb-O結合の結合解離エネルギーは、それぞれ839、809、801、800、766及び727kJ/molである。
【0052】
第2元素と酸素との結合解離エネルギーは、第1元素と酸素との結合解離エネルギーの2倍より大きいことが好ましい。具体的には、第1元素が、インジウム、ガリウム又は亜鉛であり、第2元素が、ケイ素であることが好ましい。
【0053】
また、酸化物セレクタ51に含まれる添加元素の原子パーセントを、酸化物セレクタ51における酸化物に含まれるタンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つのうち、最も多く含まれる元素の原子パーセントで除した値は、0.4以下であることが好ましい。
【0054】
具体的には、添加元素がヒ素であり、酸化物セレクタ51における酸化物に最も多く含まれる元素がケイ素のとき、ヒ素の原子パーセントをケイ素の原子パーセントで除した値が0.4以下となることが好ましい。
【0055】
導電層52は、電界効果トランジスタ40のソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電層52は、酸化物セレクタ51の少なくとも一部の上方に設けられ、酸化物セレクタ51に当接する。導電層52は、図示しないビット線BLに電気的に接続される電極を形成する。導電層52はビット線BLを介して回路11中のセンスアンプに電気的に接続される。導電層52は、金属元素を含む。本実施形態では、導電層52におけるTiN層52aは、TiNを含む。なお、TiN層52aは、TiN以外の他の元素を含む導電層であってもよい。タングステン層52bは、タングステンを含む。なお、タングステン層52bは、タングステン以外の他の元素を含む導電層であってもよい。また、導電層52がTiN層52a及びタングステン層52bの2つの層を含む構成に限らず、導電層52が3つ以上の層を含む構成であってもよいし、導電層52が1つの層で形成される構成であってもよい。
【0056】
絶縁層63は、例えば酸化物セレクタ51と導電層52とを含む積層と、同様に酸化物セレクタ51と導電層52とを含む隣接する積層との間に設けられる。絶縁層63は、例えばシリコンと酸素とを含有するシリコン酸化膜である。
【0057】
酸化物セレクタ51は、セレクタとして動作する。ここでセレクタとは、一端と他端との間に印加される電圧が低い場合に相対的に大きな抵抗を有するために電流がほとんど流れず、一端と他端との間に印加される電圧が高い場合に相対的に小さな抵抗を有するために電流が流れるという性質を有する材料から構成される素子である。抵抗値が変動するときの電圧は、しきい値電圧と呼ばれる場合がある。したがって、酸化物セレクタ51の一端と他端との間の電圧がしきい値電圧以下のとき、酸化物セレクタ51の一端と他端との間の抵抗が大きくなり、電流がほとんど流れない。
【0058】
一方、酸化物セレクタ51の一端と他端との間の電圧がしきい値電圧より大きいとき、酸化物セレクタ51の一端と他端との間の抵抗が小さくなり、電流が流れる。
【0059】
本実施形態では、酸化物セレクタ51のZ軸方向の両端間の電圧がしきい値電圧以下のとき、酸化物セレクタ51に電流がほとんど流れず、当該電圧がしきい値電圧より大きいとき、酸化物セレクタ51に電流が流れる。
【0060】
図3は、比較例に係る半導体装置90を示す。同図に示されるように、比較例に係る半導体装置90は、酸化物セレクタ51の代わりにITO層50を備える点において本実施形態に係る半導体装置30と異なる。なお、半導体装置30と同様の構成については、半導体装置90と同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
半導体装置90の製造プロセスにおいて加熱処理(アニール処理)を行う場合、熱エネルギーが付与されることによって、酸化物半導体層41における酸素がITO層50に拡散するとともに、ITO層50における酸素がTiN層52aに拡散することがある。
【0062】
酸化物半導体層41における酸素欠損はドナーとして機能するので、酸素欠損の量を適正に制御する必要がある。酸化物半導体層41に酸素欠損が過剰に生成されると、酸化物半導体層41の電気的性質が金属に近づき半導体性が失われてしまう。
【0063】
詳細には、酸化物半導体層41における酸素欠損の量が適正である場合、導電層42にゲート電圧を印加しないときには酸化物半導体層41に電流が流れないオフ状態となる。ゲート電圧を大きくしていくと、ゲート電圧がしきい値電圧(以下、Vthと称することがある。)になったときに酸化物半導体層41に電流が流れ始め、オン状態となる。
【0064】
しかしながら、酸化物半導体層41において酸素欠損が過剰に生成されると、Vthが負側にシフトし、ゲート電圧が低いとき(例えば、グラウンド電圧)でも酸化物半導体層41に電流が流れてしまうことがある。つまり、酸化物半導体層41のオフリーク特性が悪くなる。
【0065】
また、TiN層52aに過剰な酸素が拡散すると、寄生抵抗値が大きい酸化層がTiN層52aに形成される。また、金属的なITO層50における酸素濃度によっては、ITO層50と酸化物半導体層41との間のショットキー障壁によりコンタクト抵抗が増大することがある。このため、酸化物半導体層41がオン状態のときに酸化物半導体層41に流れるオン電流(以下、Ionと称することがある。)が低下してしまう。
【0066】
これに対して、図2に示す半導体装置30では、酸化物セレクタ51に含まれる酸化物の酸素と酸素以外の元素との結合解離エネルギー(以下、酸素結合解離エネルギーと称することがある。)が大きい。このため、加熱処理を行う場合において、酸化物セレクタ51に含まれる酸素がTiN層52aに拡散すること、及び酸化物半導体層41に含まれる酸素が酸化物セレクタ51に拡散することを抑制することができる。
【0067】
これにより、酸化物半導体層41における酸素欠損を抑制することができるので、酸化物半導体層41のVthが負側へシフトすることを抑制し、ひいては良好なオフリーク特性を実現することができる。
【0068】
また、TiN層52aにおける酸化層の形成、及びショットキー障壁による抵抗値の増大を抑制することができるので、Ionの低下を抑制し、ひいては良好な導電性によるオン電流の確保を実現することができる。
【0069】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る半導体装置30aについて説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0070】
図4に示すように、半導体装置30aは、図2に示す半導体装置30と比べて、酸化物セレクタ51と酸化物半導体層41との間にITO層50(第1酸化物電極)をさらに備える点で第1実施形態に係る半導体装置30と異なる。
【0071】
例えば、酸化物セレクタ51と酸化物半導体層41とが直接当接する場合、ショットキー障壁などによって接触抵抗が増大することがある。半導体装置30aでは、酸化物セレクタ51と酸化物半導体層41との間にITO層50が設けられるので、接触抵抗を下げることができる。
【0072】
また、酸素結合解離エネルギーが大きい酸化物セレクタ51がITO層50とTiN層52aとの間に設けられる構成により、加熱処理を行う場合において、ITO層50における酸素がTiN層52aに拡散することを抑制することができる。
【0073】
これにより、TiN層52aにおける酸化層の形成による抵抗値の増大を抑制することができるので、Ionの低下を抑制し、ひいては良好な導電性によるオン電流を確保することができる。
【0074】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る半導体装置30bについて説明する。図5に示すように、半導体装置30bは、図2に示す半導体装置30と比べて、導電性酸化物層32の代わりに酸化物セレクタ53(第2酸化物層)を備える点で第1実施形態に係る半導体装置30と異なる。半導体装置30bでは、第1キャパシタ電極24が「第2電極」に相当する。
【0075】
酸化物セレクタ53は、酸化物半導体層41の下方の端面に当接する上方の端面と第1キャパシタ電極24の上方の端面に当接する下方の端面と、を有する。酸化物セレクタ53は、セレクタとして動作する。
【0076】
酸化物セレクタ53は、酸化物と添加元素とを含む。酸化物セレクタ53に含まれる酸化物及び添加元素は、酸化物セレクタ51に含まれる酸化物及び添加元素とそれぞれ同様である。
【0077】
詳細には、酸化物セレクタ53に含まれる酸化物は、所定元素と酸素とを含む。所定元素は、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つである。酸化物セレクタ53に含まれる添加元素は、リン、硫黄、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、銀、インジウム、錫、アンチモン、テルル及びビスマスのうちの少なくとも1つである。
【0078】
また、酸化物セレクタ53に含まれる第3元素と酸素との結合解離エネルギーは、酸化物半導体層41に含まれる第1元素と酸素との結合解離エネルギーより大きい。ここで、第3元素は、酸化物セレクタ53において、酸素を除く元素のうち、最も多く含まれる元素である。
【0079】
本実施形態では、第3元素と酸素との結合解離エネルギーは、700kJ/mol以上である。第3元素は、例えば、タンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム又はニオブである。
【0080】
第3元素と酸素との結合解離エネルギーは、第1元素と酸素との結合解離エネルギーの2倍より大きいことが好ましい。具体的には、第1元素が、インジウム、ガリウム又は亜鉛であり、第3元素が、ケイ素であることが好ましい。
【0081】
また、酸化物セレクタ53に含まれる添加元素の原子パーセントを、酸化物セレクタ53における酸化物に含まれるタンタル、ホウ素、ハフニウム、ケイ素、ジルコニウム及びニオブのうちの少なくとも1つのうち、最も多く含まれる元素の原子パーセントで除した値は、0.4以下であることが好ましい。
【0082】
なお、酸化物セレクタ53の組成と酸化物セレクタ51の組成とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0083】
また、半導体装置30bのように酸化物半導体層41の両端に酸化物セレクタ51及び53が設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。例えば、酸化物セレクタ51が設けられず、酸化物半導体層41の下方にだけ酸化物セレクタ53が設けられる構成であってもよい。
【0084】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体装置30cについて説明する。図6に示すように、半導体装置30cは、図5に示す半導体装置30bと比べて、酸化物セレクタ53と酸化物半導体層41との間にITO層54(第2酸化物電極)をさらに備える点で第3実施形態に係る半導体装置30bと異なる。
【0085】
ITO層54は、酸化物半導体層41の下方の端面に当接する上方の端面を有する。酸化物セレクタ53は、ITO層54の下方の端面及び側面を覆う。
【0086】
例えば、酸化物セレクタ53と酸化物半導体層41とが直接当接する場合、ショットキー障壁などによって接触抵抗が増大することがある。半導体装置30cでは、酸化物セレクタ53と酸化物半導体層41との間にITO層54が設けられるので、接触抵抗を下げることができる。
【0087】
また、酸素結合解離エネルギーが大きい酸化物セレクタ53がITO層54と第1キャパシタ電極24との間に設けられる構成により、加熱処理を行う場合において、ITO層54における酸素が第1キャパシタ電極24に拡散することを抑制することができる。
【0088】
これにより、第1キャパシタ電極24における酸化層の形成による抵抗値の増大を抑制することができるので、Ionの低下を抑制し、ひいては良好な導電性によるオン電流を確保することができる。
【0089】
なお、酸化物セレクタ51と酸化物半導体層41との間に、ITO層50が設けられる構成であってもよい。
【0090】
(a)本実施形態では、電界効果トランジスタ40がSGTである構成について説明したが、これに限定するものではない。電界効果トランジスタ40は、ボトムゲート型構造などの他の構造を有する構成であってもよい。
【0091】
(b)本実施形態では、電界効果トランジスタ40がOS-RAMに用いられる構成について説明したが、これに限定するものではない。電界効果トランジスタ40は、OS-RAM以外の半導体装置に適用することも可能である。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0093】
10…半導体基板
11…回路
20…キャパシタ
22…絶縁膜
23…導電体
24…第1キャパシタ電極
25…第2キャパシタ電極
30、30a、30b、30c…半導体装置
32…導電性酸化物層
33…導電体
34、35…絶縁層
40…電界効果トランジスタ
41…酸化物半導体層
42…導電層
43、45…絶縁層
50…ITO層
51…酸化物セレクタ
52…導電層
52a…TiN層
52b…タングステン層
53…酸化物セレクタ
54…ITO層
63…絶縁層
90…半導体装置
101…半導体記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6