(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004376
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】微細気泡生成器
(51)【国際特許分類】
F04D 5/00 20060101AFI20240109BHJP
F04B 19/06 20060101ALI20240109BHJP
B01F 23/233 20220101ALI20240109BHJP
B01F 25/64 20220101ALI20240109BHJP
B01F 27/09 20220101ALI20240109BHJP
B01F 27/111 20220101ALI20240109BHJP
B01F 27/27 20220101ALI20240109BHJP
B01F 35/30 20220101ALI20240109BHJP
B01F 27/93 20220101ALI20240109BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20240109BHJP
【FI】
F04D5/00 B
F04B19/06
B01F23/233
B01F25/64
B01F27/09
B01F27/111
B01F27/27
B01F35/30
B01F27/93
B01F23/2373
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104013
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 知也
【テーマコード(参考)】
3H069
3H130
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3H069AA02
3H069AA05
3H069BB11
3H069CC03
3H069DD01
3H069DD42
3H069EE09
3H069EE47
3H130AA03
3H130AA13
3H130AA36
3H130AB22
3H130AB55
3H130AC30
3H130BA53A
3H130BA53C
3H130BA53E
3H130BA66A
3H130BA66C
3H130BA66E
3H130BA97A
3H130BA97C
3H130BA97E
3H130CA06
3H130CB00
3H130DA02Z
3H130DB02X
3H130DD01Z
3H130DG03X
3H130DG05Z
3H130EB01A
3H130EB01C
3H130EB03A
4G035AB04
4G035AC35
4G035AE13
4G037DA01
4G037EA04
4G078AB20
4G078BA05
4G078CA15
4G078DA21
4G078DA23
4G078EA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡素な構成の羽根車式のポンプで効率的に微細気泡を発生できる微細気泡生成器を提供する。
【解決手段】微細気泡生成器では、回転可能な羽根車3と、水を吸入する吸入口を有して羽根車3を収容する羽根車収容部上部およびカバーとを備え、羽根車3は、外周に溝部が放射状に形成され、羽根車収容部上部の仕切り板および/またはカバーの底部とで囲まれ、羽根車3の外周方向が開口している小部屋部が形成され、羽根車収容部上部は、羽根車収容部内から液体を排出する排出孔13と、羽根車3に圧送された水を排出孔13に導くガイド壁15と、ガイド壁15が延びている方向に設けられ、ガイド壁15に対して所定の角度をつけて設けられる壁14と、ガイド壁15および壁14と接続され、排出孔13に沿って円弧状に設けられる曲面壁16と、を有し、上記壁15、壁14、壁16により羽根車3から排出孔13への連絡流路12が形成される構成としている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に含まれている気体から微細気泡を生成する微細気泡生成器であって、
回転可能な羽根車と、前記液体を吸入する吸入口を有して前記羽根車を収容する羽根車収容部とを備え、
前記羽根車は、外周に溝部が放射状に形成され、
前記溝部と前記羽根車収容部とで囲まれ、前記羽根車の外周方向が開口している小部屋部が形成され、
前記羽根車収容部は、前記羽根車収容部内から液体を排出する排出孔と、前記羽根車に圧送された前記液体を前記排出孔の方向に導く第1の壁と、当該第1の壁が延びている方向に設けられ、前記第1の壁に対して所定の角度をつけて設けられる第2の壁と、前記第1の壁および前記第2の壁と接続され、前記排出孔に沿って円弧状に設けられる第3の壁と、を有し、前記第1の壁、前記第2の壁および前記第3の壁により、前記羽根車から前記排出孔への前記液体の流路が形成されることを特徴とする微細気泡生成器。
【請求項2】
前記羽根車を回転させるモータをさらに備え、
前記モータは、前記羽根車が取付可能な出力軸を有し、
前記羽根車収容部は前記出力軸を軸支する有底状の軸受部を有し、
前記出力軸の半球状の先端と前記軸受部の底との間隔が、前記羽根車と前記羽根車収容部における前記軸受部が設けられた面との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡生成器。
【請求項3】
前記羽根車収容部は、前記羽根車と点接触する突起部が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡生成器。
【請求項4】
前記液体を吐出する吐出口をさらに備え、
前記排出孔と前記吐出口との間の流路が、前記羽根車を回転させるモータの出力軸に沿って形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に微細気泡を生成させる微細気泡生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の微細気泡生成器として、例えば特許文献1では、液体を吸入して圧送するポンプで往復動ポンプ装置であるプランジャポンプ装置を加圧部として用いて、液体を加圧する加圧部と液体が中を通って吐出される吐出管との間に微細気泡発生器が設けられ、加圧された液体が微細気泡発生器を通過するとキャビテーション効果により液体中の気体が細分化して微細気泡が発生するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプは、構造が簡素である一方で、高圧で液体を圧送するために高い動力、すなわち高電力を必要とする羽根車を回転させることにより送液する種類のポンプ装置や、高圧で液体を圧送するために前述の羽根車を使用したポンプ装置ほど電力を必要としない一方で、構造が複雑化してしまう往復動ポンプ装置などがあるが、特許文献1の発明では、微細気泡を発生させるために微細気泡発生器に入る前に液体が高圧にされる必要があり、効率よく液体を加圧して圧送するために、往復動ポンプ装置であるプランジャポンプ装置を採用している。しかしながらポンプの構造が複雑化してしまい、また微細気泡生成器の設計が制限されてしまう懸念があった。
【0005】
そこで本発明は、簡素な構成の羽根車式のポンプで効率的に微細気泡を発生させることができる微細気泡生成器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微細気泡生成器は、液体に含まれている気体から微細気泡を生成し、回転可能な羽根車と、前記液体を吸入する吸入口を有して前記羽根車を収容する羽根車収容部とを備え、前記羽根車は、外周に溝部が放射状に形成され、前記溝部と前記羽根車収容部とで囲まれ、前記羽根車の外周方向が開口している小部屋部が形成され、前記羽根車収容部は、前記羽根車収容部内から液体を排出する排出孔と、前記羽根車に圧送された前記液体を前記排出孔の方向に導く第1の壁と、当該第1の壁が延びている方向に設けられ、前記第1の壁に対して所定の角度をつけて設けられる第2の壁と、前記第1の壁および前記第2の壁と接続され、前記排出孔に沿って円弧状に設けられる第3の壁と、を有し、前記第1の壁、前記第2の壁および前記第3の壁により、前記羽根車から前記排出孔への前記液体の流路が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の微細気泡生成器によれば、簡素な構成の羽根車式のポンプで、必要な電力をより抑制して効率的に微細気泡を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態を示す微細気泡生成器の分解斜視図である。
【
図6】同上、カバーを取外した微細気泡生成器の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい微細気泡生成器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1~
図8は、本発明の一実施形態における微細気泡生成器の構成を示している。先ず
図1に基づいて本実施形態の微細気泡生成器の全体構成を説明すると、1は、液体としての水を吸入して、水に含まれている気体としての空気から微細気泡を生成する微細気泡生成器であり、微細気泡生成器1は、モータ2と、羽根車3と、モータ2および羽根車3を収容するケーシングとしての本体4と、本体4の下面開口を覆うカバー5と、で主に構成されている。そのため微細気泡生成器1は羽根車3を有する渦流ポンプとしての機能を有している。
【0011】
なお一般的な気泡の直径による分類では、微細気泡の直径が1μm~100μmの微細気泡がマイクロバブルと称され、微細気泡の直径が数十nm~1μm未満の微細気泡がウルトラファインバブルと称されている。ここで気泡の直径が数十nmになると、光の波長よりも小さくなるため視認することができなくなり、当該微細気泡を含んでいる液体が透明になる。また気泡の直径が数十nmの微細気泡は、浮力よりも粘性力が大きいため水中に長期溶存し、気泡の内圧が大気圧の30倍程度と高く、マイナスに帯電している。そのため、これらの微細気泡が圧壊する際に高温の熱と高い圧力が局所的に発生し、物体に付着したりしているプラスに帯電した異物に吸着して、当該異物を物体から引きはがして液体中に浮遊する、という特徴を有している。このような特徴から、微細気泡を含んでいる液体は、当該液体中の物体の洗浄能力に優れていることが周知となっている。
【0012】
モータ2は羽根車3を回転させる駆動源となるものであり、羽根車3が固定接続される、先端が半球状に形成された出力軸2aを有している。そしてモータ2は、出力軸2aを介して羽根車3を回転させている。また羽根車3は、回転することにより周囲の水を加圧して圧送するものである。
【0013】
図2は、羽根車3の下方からの斜視図を示している。羽根車3は、例えば樹脂製で一体成型されており、本体となる有天井の略円筒状のボス部3aと、ボス部3aの外周部から放射状に延びて形成される羽根3bと、ボス部3aの中心に、ボス部3aと同心円状に設けられる略円筒形状の筒状部3cと、ボス部3aの内周部と筒状部3cの外周部との間に設けられる板状のリブ3dと、ボス部3aの外周部から外周方向で羽根3bと垂直になるように延び、羽根3b同士を接続するように設けられる略円環形状のリング部3eと、を主に有している。
【0014】
ボス部3aの天面は平坦状に形成されており、後述する突起部17の摺動を容易にしている。なお
図2に示されているように、本実施形態の羽根3bは矩形板状に形成されて36枚設けられているが、これは一例であり、吸入された液体に遠心力を与えて旋回流を生成できればよく、使用用途に応じて任意に羽根3bの形状や枚数を変更してもよい。
【0015】
貫通孔としての筒状部3cは、出力軸2aを圧入して貫通させることで羽根車3をモータ2の出力軸2aに固定するものである。本実施形態では略円筒形状に形成されているが、これは一例であり、例えば内面に滑り止め用の溝を形成してもよい。リブ3dは、ボス部3aや筒状部3cを補強するものであり、外圧などでボス部3aや筒状部3cが変形することを抑制している。本実施形態のリブ3dは矩形板状に形成されて4枚設けられているが、これは一例であり、使用用途に応じて任意に羽根リブ3dの形状や枚数を変更してもよい。リング部3eは羽根3bを補強するものであり、外圧などで羽根3bが変形することを抑制している。したがって本実施形態の羽根車3では、ボス部3aの外周部と、羽根3bと、リング部3eとで溝Gが形成される構成となっている。なお本実施形態では、リング部3eは、すべての羽根3bの中央部近傍を接続するように設けられているが、これは一例であり、使用用途に応じて、例えばボス部3aの天面に高さを合わせてリング部3eを設けてもよい。またリング部3eを設けない構成にしてもよく、この場合はボス部3aの外周部と、羽根3bとで溝Gが形成される構成となる。そして微細気泡生成器1が組み立てられると、羽根車3の溝Gと後述する羽根車収容部上部4bの仕切り板7とにより、羽根車3の外周方向が開口している小部屋部が形成され、また羽根車3の溝Gと後述するカバー5の底部5bとにより、羽根車3の外周方向が開口している小部屋部が形成される。
【0016】
図1に戻って説明すると、本体4は、例えば樹脂製で一体成型されており、モータ収容部4aと、羽根車収容部上部4bと、吐出流路部材4cと、により主に構成される。モータ収容部4aと羽根車収容部上部4bとの間には、出力軸2aを挿通させる挿通孔8を有する仕切り板7が設けられており、羽根車収容部上部4bが吐出流路部材4cの下部に接続されて、羽根車収容部上部4bと吐出流路部材4cとが空間的に連結した構成となっている。
【0017】
図3は微細気泡生成器1の下面図を示しており、
図4は
図3のA-A断面図、
図5は
図3のB-B断面図を示している。これらの図を参照して本体4の説明をすると、モータ収容部4aは、モータ2を所定の位置に固定して収容するものであり、モータ収容部4aの側壁はモータ2の形状に沿って形成されている。なお本実施形態ではモータ収容部4aの上面が開口しているが、例えばモータ収容部4aの上面も塞いだ密閉状態にして、微細気泡生成器1を完全に水中に配置してもモータ収容部4aに水が入ってこないように構成してもよい。またモータ収容部4aでは、仕切り板7の挿通孔8の上に、羽根車収容部上部4bからの水漏れを防止するパッキン9が設けられており、出力軸2aが回転しても羽根車収容部上部4bからモータ収容部4aに水が入ってくることを防止している。なおパッキン9は、水漏れ防止用のシールリングを備えた軸受にしてもよい。
【0018】
図6は、カバー5を取外した微細気泡生成器1の下面図を示している。同図を参照して羽根車収容部上部4bを説明すると、羽根車収容部上部4bは後述するカバー5と組み合わせて羽根車3を収容する羽根車収容部を形成するものであり、本体4の下部に形成される。そして本体4にカバー5を取付け、羽根車収容部内で羽根車3が回転駆動することにより、後述する吸入口5cから水を吸入して吐出流路部材4cへと圧送している。羽根車収容部上部4bは、羽根車3の外形より僅かに大きい内径を有する有天井の略円筒状に形成されており、この天井部分が仕切り板7で形成され、吸入口5cに対応する部分には窪み部11が設けられる。また羽根車収容部上部4bの外側方向に延びるように連絡流路12が設けられており、連絡流路12の端において、羽根車収容部の天井部に相当する仕切り板7の外周近傍に排出孔13が穿設されて、羽根車収容部上部4b内と当該羽根車収容部上部4bに接続される吐出流路部材4cの後述する中空部とが連通する構成となっている。
【0019】
図6に示されるように、窪み部11と連絡流路12とは近傍に配設されている一方で、間を壁14で隔てられており、羽根車3の回転方向Rにおいて連絡流路12、窪み部11の順に並べて形成される。その結果、吸入口5cから吸入された水が、連絡流路12を通って排出孔13から排出されるまでに、より長い時間を羽根車3により加圧されるため、この水がより強く加圧され、また後述するように、より多くの微細気泡が生成される。また
図6に示されるように、羽根車収容部上部4bでは羽根車3の接線方向に位置するように排出孔13が配設され、連絡流路12の側壁に、この接線方向、すなわち排出孔13の方向に水の流れFを導くように、当該接線方向に沿ってガイド壁15が設けられている。またガイド壁15に対向する連絡流路12の側壁である壁14は、ガイド壁15の延伸方向や水の流れFに対して、例えば45°など所定の角度をつけて設けられ、排出孔13の方向に水の流れFを変更させて導いている。この所定の角度は鋭角であることが望ましく、水の流れFの方向を滑らかに変更させることができる。そして排出孔13に沿って断面U形状、すなわち円弧状に曲面壁16が設けられており、当該曲面壁16を介して壁14とガイド壁15が接続されて、連絡流路12が形成される構成としている。
【0020】
図7は、
図1の枠Cの拡大図である。羽根車収容部上部4bにおいて、仕切り板7は、挿通孔8の周囲に突起部17を形成している。本実施形態の突起部17は半球状に形成されて挿通孔8の周囲に3個設けられているが、これは一例であり、仕切り板7が羽根車3に面接触することを回避させ、羽根車3の回転時に仕切り板7と平行に回転する構成であればよく、例えば角錐状など他の形でもよく、また突起部17の数も3個に限定されない。
【0021】
吐出流路部材4cは略筒状に形成されて水の流路となる中空部を内部に有しており、排出孔13から排出された水を吐出口21から機外に吐出するものである。吐出流路部材4cの中空部は、断面が排出孔13と同形状である円筒筒状に形成された第1の中空部22と、第1の中空部22よりも断面の直径が小さく、断面が吐出口21と同形状である円筒筒状に形成された第2の中空部23と、からなり、第1の中空部22と第2の中空部23とは同心円状で一直線に並べて設けられている。そのため本実施形態では、第1の中空部22と第2の中空部23との移行部に段部24が形成される構成となっている。なお本実施形態では、中空部が第1の中空部22と第2の中空部23の2つの円筒筒状部からなっているが、これは一例であり、中空部が構成される円筒筒状部は2つより多くても少なくてもよい。また第1の中空部22と第2の中空部23との移行部を、例えば漏斗状や曲面状に形成してもよい。しかしながら本願出願人は、第1の中空部22と第2の中空部23との移行部に段部24が形成されることにより、移行部が漏斗状や曲面状のときよりも、微細気泡の平均気泡径がより微細化され、微細気泡の量がより多くなることを見出している。
【0022】
25は取付部であり、吐出流路部材4cの端部に形成されて吐出口21を有し、例えばホースなどの弾性管を微細気泡生成器1に取付け可能にするものである。取付部25は筒状に形成され、先端部の角部がR加工されているが、これは一例である。なお取付部25の外周面に弾性管の抜け止め用の鍔部が設けられてもよい。
【0023】
カバー5は、例えば樹脂製で一体成型されており、有底筒状で、断面が本体4の下面、すなわち羽根車収容部上部4bと略同形状に形成される。そしてカバー5の筒状の側壁5aを羽根車収容部上部4bに挿入することにより、カバー5が本体4に取付けられ、カバー5の底部5bが羽根車収容部上部4bの下面全体を覆うように構成されている。したがって、羽根車収容部上部4bとカバー5とを組み合わせることにより羽根車収容部が構成される。
【0024】
図3を参照してカバー5について説明すると、カバー5は、前述した側壁5aや底部5bに加えて、吸入口5cと、脚部5dと、軸受部5eと、スローブ5fとを主に有している。吸入口5cは、微細気泡生成器1の駆動時に水を吸入する孔であり、底部5bに設けられて、羽根車3が回転することにより吸入口5cを介して羽根車収容部内に水が吸入する。なお
図3に示されるように、羽根車3の外周部の下方に対応する位置に吸入口5cが設けられることが好ましく、本実施形態では、吸入口5cから羽根車3の外周部および窪み部11が視認可能な位置に吸入口5cが設けられており、より効率よく羽根車3の回転で羽根車収容部内に水を吸入できるようにしている。
【0025】
脚部5dは、平坦な場所などに微細気泡生成器1を載置するときに使用するものであり、側壁5aの下端から下方に延びて形成されている。また本実施形態の脚部5dは、完全に繋がれた筒状ではなく、切欠部26をいくつか有する構成としており、例えば水槽などで水の中に微細気泡生成器1を載置したときに、水槽の水が切欠部26から吸入口5cへと流入している。ここで
図3に示されるように、切欠部26は吸入口5cの近傍に形成されるのが好ましい。なお本実施形態の脚部5dや切欠部26の形状や数は一例であり、使用用途に応じて任意に脚部5dや切欠部26の形状や数を変更してもよい。
【0026】
スローブ5fは、連絡流路12から流れてきた水を、旋回流を保持しつつ上方向に導くものであり、連絡流路12の端に対応する底部5bの箇所に形成される。なお本実施形態のスローブ5fは、上面が曲面状に形成されているが、これは一例であり、水を、旋回流を保持しつつ上方向に導く形状であればよい。
【0027】
軸受部5eは出力軸2aの先端を軸支するものであり、出力軸2aに対応する底部5bの箇所に形成される。ここで
図8を参照して、モータ2と、羽根車3と、カバー5との位置関係を説明すると、モータ2は、出力軸2aの先端と軸受部5eの内底部とが間隔S
1になるようにモータ収容部4aに固定されており、このとき突起部17が羽根車3のボス部3aの天面に接触し、羽根車3の底面と底部5bとが間隔S
2になるように羽根車3が出力軸2aに固定される。そして間隔S
1が間隔S
2よりも狭くなるようにモータ2、羽根車3およびカバー5を配設する構成としており、モータ2の駆動時に出力軸2aが下方に移動することがあり、出力軸2aの先端が軸受部5eの内底部に接触することがあっても、羽根車3が底部5bに接触せず、羽根車3の回転が底部5bにより妨げられないようにしている
【0028】
次に
図5および
図6を参照して、上記構成の微細気泡生成器1についてその作用を説明する。例えば水槽など、水が貯蔵されている場所に微細気泡生成器1を入れて、水槽の底などの平坦な場所に脚部5dを用いて微細気泡生成器1を載置すると、切欠部26から脚部5dの内部に水が流入し、また吸入口5cを介して羽根車収容部上部4b内に水が流入する。ここでモータ2を駆動すると、羽根車3が回転することにより水の流れFが発生する。
【0029】
水の流れFについて詳細に説明すると、羽根車3が回転駆動すると、吸入口5cから水が吸入され、吸入口5cや窪み部11において、羽根車3の溝Gと羽根車収容部上部4bの仕切り板7とにより形成される小部屋や、溝Gとカバー5の底部5bとにより形成される小部屋部の中に水が流入し、また、これらの小部屋部内において羽根車3の回転の遠心力による渦流が発生する。そして、この渦流により小部屋部において圧力差が発生し、小部屋部内において羽根車3のボス部3a近傍が減圧されて負圧になると、小部屋部内の水に含まれている空気がキャビテーションにより微細化して微細気泡となることにより、小部屋部内の水に微細気泡が生成される。
【0030】
その後、
図6の矢印Fに示されるように、微細気泡を含有した水が羽根車3により圧送され、前述の遠心力によりガイド壁15に沿って小部屋部から連絡流路12に流出する。そしてガイド壁15の延伸方向に流れた水が、連絡流路12を横断して壁14に衝突するが、水の流れFに対して所定の角度をつけて設けられるため、壁14に衝突した水が当該壁14に沿って排出孔13の方に流れ、壁14と接続されている曲面壁16に沿って流れることで水の流れFが旋回流となって水の流れFの流速が増加し、
図5の矢印Fに示されるように、スローブ5fに沿って上方向に導かれることで、旋回流を保持したまま、水が排出孔13から吐出流路部材4cの第1の中空部22へと流入する。このようにして、羽根車3の遠心方向であるラジアル方向に流出した、微細気泡を含有した水が、羽根車3の回転軸方向、すなわち出力軸2a方向であるスラスト方向に形成された第1の中空部22へと流れている。
【0031】
図5の矢印Fに示されるように、第1の中空部22へと流入した、微細気泡を含有した水は、旋回流を保持したまま出力軸2a方向へと流れ、本実施形態では、重力に抗して上方向へと流れていく。そして当該微細気泡を含有した水が第1の中空部22から第2の中空部23に流入すると、当該水の流れの速度が増加し、旋回流を保持したまま出力軸2a方向へと流れていく。なお、第1の中空部22内面や第2の中空部23内面に螺旋状の溝やリブを形成して、より確実に第1の中空部22内や第2の中空部23内で旋回流が発生するようにしてもよい。
【0032】
その後、微細気泡を含有した水が旋回流を保持したまま出力軸2a方向へと流れ、吐出口21から微細気泡生成器1の機外へと吐出されると、吐出されるときの微細気泡を含有した水の流れにより、当該水の周囲が減圧されて負圧になり、この水に含まれている微細気泡などの空気がキャビテーションによりさらに微細化される。なお本願出願人は本実施形態において、旋回流発生前と発生後との気泡径の比較で平均気泡径が、例えば最大で約1/6に微細化されることを見出している。
【0033】
本願発明者らは、本実施形態の微細気泡生成器1と、モータ2および羽根車3のみで構成される微細気泡生成器と、往復動ポンプと微細気泡発生器を組み合わせた微細気泡生成ポンプとを用いて、必要となる電力の比較試験を行った。この比較試験では、それぞれの微細気泡生成器および微細気泡生成ポンプで、同一流量における微細気泡の生成に必要となる電力を測定し、これらの電力を比較した。その結果、本実施形態の微細気泡生成器1では、往復動ポンプと微細気泡発生器を組み合わせた微細気泡生成ポンプの略70%の電力で、同一流量における微細気泡の生成を行なうことができ、またモータ2および羽根車3のみで構成される微細気泡生成器の略25%の電力で、同一流量における微細気泡の生成を行なうことができるという結果となった。したがって本実施形態の微細気泡生成器1では、他の微細気泡生成器および微細気泡生成ポンプと比較して、液体に含有されている気体から、より効率的に微細気泡を生成することができるとの効果を確認できた。
【0034】
以上のように、本実施形態の微細気泡生成器1では、液体としての水に含まれている気体としての空気から微細気泡を生成し、回転可能な羽根車3と、水を吸入する吸入口5cを有して羽根車3を収容する羽根車収容部としての羽根車収容部上部4cおよびカバー5とを備え、羽根車3は、外周に溝部Gが放射状に形成され、溝部Gと、羽根車収容部上部4cの仕切り板7および/またはカバー5の底部5bとで囲まれ、羽根車3の外周方向が開口している小部屋部が形成され、羽根車収容部上部4cおよびカバー5は、羽根車収容部内から液体を排出する排出孔13と、羽根車3に圧送された水を排出孔13の方向に導く第1の壁としてのガイド壁15と、ガイド壁15が延びている方向に設けられ、ガイド壁15に対して所定の角度をつけて設けられる第2の壁としての壁14と、ガイド壁15および壁14と接続され、排出孔13に沿って円弧状に設けられる第3の壁としての曲面壁16と、を有し、ガイド壁15、壁14および曲面壁16により、羽根車3から排出孔13への水の流路としての連絡流路12が形成される構成としている。
【0035】
このように構成することにより、小部屋部内の水に微細気泡が生成され、この微細気泡を含有した水の流れを旋回流にすることにより、さらに微細気泡を微細化することができ、羽根車式のポンプを使用した簡素な構成で、必要な電力をより抑制して効率的に微細気泡を発生させることができる。
【0036】
また本実施形態の微細気泡生成器1では、羽根車3を回転させるモータ2をさらに備え、モータ2は、羽根車3が取付可能な出力軸2aを有し、羽根車収容部上部4cおよびカバー5は出力軸2aを軸支する有底状の軸受部5eを有し、出力軸2aの半球状の先端と軸受部5eの底との間隔S1が、羽根車3とカバー5における軸受部5eが設けられた面としての底部5bとの間隔S2よりも狭い構成としている。
【0037】
このように構成することにより、モータ2の駆動時に出力軸2aが下方に移動することがあり、出力軸2aの先端が軸受部5eの内底部に接触することがあっても、羽根車3が底部5bに接触せず、羽根車3の回転が底部5bにより妨げられないようにすることができる。
【0038】
また本実施形態の羽根車収容部上部4cおよびカバー5では、羽根車3のボス部3aの天面と点接触する突起部17が設けられる構成としており、仕切り板7が羽根車3に面接触することを回避させることができる。
【0039】
また本実施形態の微細気泡生成器1では、水を吐出する吐出口21をさらに備え、排出孔13と吐出口21との間の流路としての第1の中空部22および第2の中空部23が、羽根車3を回転させるモータ2の出力軸2aに沿って形成される構成としており、水に含まれている微細気泡などの空気をキャビテーションによりさらに微細化することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 微細気泡生成器
2 モータ
2a 出力軸
3 羽根車
4c 羽根車収容部上部(羽根車収容部)
5 カバー(羽根車収容部)
5c 吸入口
5e 軸受部
12 連絡流路(流路)
13 排出孔
14 壁(第2の壁)
15 ガイド壁(第1の壁)
16 曲面壁(第3の壁)
17 突起部
21 吐出口
22 第1の中空部(流路)
23 第2の中空部(流路)
G 溝部
S1 間隔
S2 間隔