(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043765
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】油圧昇降装置
(51)【国際特許分類】
A01B 63/10 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A01B63/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148934
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川本 敏和
(72)【発明者】
【氏名】松井 保憲
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】東畠 大樹
(72)【発明者】
【氏名】塚谷 央
【テーマコード(参考)】
2B304
【Fターム(参考)】
2B304KA20
2B304LA02
2B304LB05
2B304LB15
2B304MA03
2B304MC04
2B304PA01
2B304RA08
2B304RA12
(57)【要約】
【課題】 連結されたインプルメントと地面との離間距離を、容易に大きくすることができる油圧昇降装置を提供する
【解決手段】 油圧昇降装置100は、リフトアーム2、ブラケット3、ドラフトコントロールレバー8、及び、ドラフトコントロール伝達機構40を備え、ドラフト制御を実行可能となっている。ブラケット3は、ケース1の後端部に設けられ、連結されたトップリンクからの牽引負荷に応じて、他端側32を支点としてケース1に対して相対回転する。また、ブラケット3は、トップリンクの前側端を取り付け可能に構成された、取り付け部35a~c,36a~cを備えている。インプルメントの昇降方向において、リフトアーム軸Z1よりも上側に、ブラケット軸Z2が位置しており、ブラケット軸Z2よりも下側に、各軸Z3,Z4,Z5をもつ取り付け部35a~c,36a~cが位置している。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの内側に位置し、作動油の給排出に応じて駆動する油圧シリンダと、
前記ケースの内側に位置し、前記作動油の流路内にスプールを有するコントロールバルブであって、前記スプールの位置に応じて、前記油圧シリンダへの前記作動油の給排出を許容及び規制するコントロールバルブと、
前記ケースの外側に位置し、一端側及び他端側が規定されるリフトアームであって、前記一端側が対象物と連結可能に構成されるとともに、前記油圧シリンダが駆動したときに前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転することで、連結された前記対象物を昇降可能に構成されたリフトアームと、
前記ケースの外側に位置し、一端側及び他端側が規定されるブラケットであって、前記一端側が対象物と連結可能に構成されるとともに、連結された前記対象物からの牽引負荷に応じて、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転するブラケットと、
前記ケースの外側に位置し、操作者の操作に応じて変位可能に構成されたドラフトコントロールレバーと、
前記ケースの外側に位置し、前記ブラケットの相対回転に応じて変位可能に構成されたドラフトフィードバックロッドと、
前記ドラフトコントロールレバーが操作されたときに、前記ドラフトコントロールレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるドラフトコントロール伝達機構と、
を備えた油圧昇降装置において、
前記リフトアームは、
前記ケースに対する前記相対回転の軸であって、前記対象物の昇降方向である第1方向と直交する第2方向に延びる軸であるリフトアーム軸
を備え、
前記ブラケットは、
前記ケースに対する前記相対回転の軸であって、前記第2方向に延びる軸であり、前記リフトアーム軸と平行に位置するブラケット軸と、
前記対象物を取り付け可能に構成され、前記ブラケット軸よりも前記第1方向における下側に位置する取り付け部と、
を備えた油圧昇降装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧昇降装置において、
前記ブラケットは、
前記ブラケット軸が、前記リフトアーム軸よりも前記第1方向における下側に位置するように構成された
油圧昇降装置。
【請求項3】
請求項1に記載の油圧昇降装置において、
前記ブラケットは、
前記ブラケット軸が、前記リフトアーム軸よりも前記第1方向における上側に位置するように構成された
油圧昇降装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の油圧昇降装置において、
前記ブラケットの前記他端側を前記ケースに軸支し、前記ブラケット軸と同軸的に配置されるシャフトであって、前記牽引負荷に応じた相対回転に際し付勢力を発生するよう構成されたブラケットシャフト
を更に備えた油圧昇降装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の油圧昇降装置において、
前記ドラフトコントロール伝達機構は、
前記ドラフトコントロールレバーが操作されたときに、前記ドラフトコントロールレバーの変位に応じて軸まわりに回転する第1ドラフトコントロールシャフトと、
前記第1ドラフトコントロールシャフトよりも前記対象物の昇降方向における上側に位置し、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位に応じて軸まわりに回転する第2ドラフトコントロールシャフトと、
前記第1ドラフトコントロールシャフトが回転したときに、前記第1ドラフトコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ドラフトコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ドラフトコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるドラフトコントロールカムと、
を備えた油圧昇降装置。
【請求項6】
請求項5に記載の油圧昇降装置において、
前記ドラフトコントロールレバーは、
一端側及び他端側が規定され、前記一端側が前記操作者により操作可能に構成されるとともに、前記操作に応じた変位として、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転可能に構成され、
前記第1ドラフトコントロールシャフトは、
前記ドラフトコントロールレバーの他端側と接続され、前記ドラフトコントロールレバーの回転方向と同方向に回転可能に構成された同方向回転シャフトと、
前記ドラフトコントロールカムと接続され、前記ドラフトコントロールレバーの回転方向とは逆方向に回転可能に構成された逆方向回転シャフトと、
前記ドラフトコントロールレバーが相対回転したときに、前記同方向回転シャフトの回転を前記逆方向回転シャフトに向けて伝達するとともに、前記逆方向回転シャフトを、前記同方向回転シャフトの回転方向とは逆方向に回転させる回転伝達部と、
を備えた油圧昇降装置。
【請求項7】
請求項5に記載の油圧昇降装置において、
前記ケースの外側に位置し、操作者の操作に応じて変位可能に構成されたポジションコントロールレバーと、
前記ケースの外側に位置し、前記リフトアームの相対回転に応じて変位可能に構成されたポジションフィードバックロッドと、
前記ポジションコントロールレバーが操作されたときに、前記ポジションコントロールレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポジションコントロール伝達機構と、
を備えた油圧昇降装置において、
前記ポジションコントロール伝達機構は、
前記ポジションコントロールレバーが操作されたときに、前記ポジションコントロールレバーの変位に応じて軸まわりに回転する第1ポジションコントロールシャフトと、
前記第1ポジションコントロールシャフトよりも前記対象物の昇降方向における上側に位置し、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位に応じて軸まわりに回転する第2ポジションコントロールシャフトと、
前記第1ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第1ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポジションコントロールカムと、
を更に備えた油圧昇降装置。
【請求項8】
請求項7に記載の油圧昇降装置において、
前記第2ドラフトコントロールシャフトと一体回転可能に接続され、且つ、前記ドラフトフィードバックロッドと相対回転可能に接続され、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位に応じて、前記第2ドラフトコントロールシャフトを回転させる第1変位伝達部と、
前記第2ポジションコントロールシャフトと一体回転可能に接続され、且つ、前記ポジションフィードバックロッドと相対回転可能に接続され、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位に応じて、前記第2ポジションコントロールシャフトを回転させる第2変位伝達部と、
前記第1変位伝達部に当接し押圧可能に、且つ、前記第2変位伝達部の回転に連動して前記ケースに対し相対回転するように構成され、前記ポジションフィードバックロッドが変位して前記第2変位伝達部が回転したときに、前記ケースに対し相対回転して前記第1変位伝達部に当接しつつ押圧することで、前記第1変位伝達部を回転させる第3変位伝達部と、
を更に備えた油圧昇降装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の油圧昇降装置において、
前記第1ドラフトコントロールシャフト、及び、前記第1ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方が、中空構造を呈し、前記一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成され、
前記第2ドラフトコントロールシャフト、及び、前記第2ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方が、中空構造を呈し、前記一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成され、
前記ドラフトコントロール伝達機構、及び、前記ポジションコントロール伝達機構は、
前記第1ドラフトコントロールシャフト及び前記第1ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方に他方が同軸的に嵌入されるとともに、前記第2ドラフトコントロールシャフト及び前記第2ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方に他方が同軸的に嵌入されて、
前記ドラフトコントロールレバー及び前記ポジションコントロールレバーのうち何れか一方の変位に応じて、前記第1ドラフトコントロールシャフト及び前記第1ポジションコントロールシャフトが互いに軸まわりに相対回転するとともに、
前記ドラフトフィードバックロッド及び前記ポジションフィードバックロッドのうち何れか一方の変位に応じて、前記第2ドラフトコントロールシャフト及び前記第2ポジションコントロールシャフトが互いに軸まわりに相対回転するように構成された
油圧昇降装置。
【請求項10】
請求項5に記載の油圧昇降装置において、
前記ケースの外側に位置し、前記コントロールバルブにて前記作動油の給排出が規制されている状態での任意の位置である第1位置から、操作者の操作に応じて、前記第1位置と異なる第2位置へ変位可能に構成されたポンパレバーと、
前記ポンパレバーが前記第1位置から前記第2位置に変位するよう操作されたときに、前記ポンパレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記ポンパレバーが前記第2位置に位置している状態で前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポンパ伝達機構と、
を更に備え、
前記ポンパ伝達機構は、
前記ポンパレバーが操作されて前記第1位置から前記第2位置に変位したときに、前記ポンパレバーの変位に応じて軸まわりに回転するポンパシャフトと、
前記ポンパシャフトが回転したときに、前記ポンパシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポンパカムと、
を備えた油圧昇降装置。
【請求項11】
請求項10に記載の油圧昇降装置において、
前記ポンパレバーは、
一端側及び他端側が規定され、前記一端側が前記操作者により操作可能に構成されるとともに、前記操作に応じた変位として、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転可能に構成され、
前記ポンパレバーの前記相対回転を規制する回転規制部
を備えた油圧昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧に基づいてリフトアームを昇降する油圧昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧に基づいてリフトアームを昇降する油圧昇降装置として、例えば、特許文献1に示す装置が知られている。この装置は、油圧シリンダと、スプールを有するコントロールバルブと、を備えており、スプールの位置に応じて、油圧シリンダへの作動油の給排出が、許容及び規制されるようになっている。この装置は、更に、負荷検出部材と、付勢機構と、を備えている。負荷検出部材は、トランスミッションケースの後端部に設けられ、トップリンクの前端部を連結可能となっている。また、負荷検出部材は、トップリンクを介したインプルメントの牽引負荷に応じて、揺動可能となっている。付勢機構は、負荷検出部材を揺動付勢するようになっている。
【0003】
負荷検出部材が、牽引負荷に応じて揺動する場合、伝達機構を介し当該揺動に応じてスプールが変位する。そして、インプルメントが連結された状態で、リフトアームが昇降する。これにより、プラウ等のインプルメントも昇降し、適切な牽引負荷を維持することができる。即ち、上述の構成により、ドラフト制御を実行できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-153118号公報(段落0039、
図3等)
【発明の概要】
【0005】
この種の油圧昇降装置に連結されるトップリンクは、一般に、棒状を呈しており、前端側及び後端側が規定される。トップリンクの前端側が、油圧昇降装置における取り付け部に連結されると、後端側は前端側よりも上方に位置する。ここにおいて、リフトアームの回転軸の高さ、アーム長、回動範囲が変わらない場合には、インプルメントが連結された状態において、トップリンクの前端側の位置が下方に推移するほど、インプルメントの下端がより高く持ち上げられる。即ち、連結されたインプルメントと地面との離間距離が大きくなる。従って、トップリンクの前端側を、より下方に位置させることで、連結されたインプルメントと地面との離間距離を大きくでき、作業機を運転する上で好ましい場面が多い。
【0006】
他方、上述した特許文献1の負荷検出部材は、連結孔、及び、支軸を備えている。連結孔は、トップリンクの前端側を連結可能に構成されている。支軸は、トランスミッションケースの後端にて、負荷検出部材を揺動可能に支持している。連結孔及び支軸の位置関係としては、連結孔は、支軸よりも上側に位置している。このため、トップリンクの前端側を、十分に下方へ位置させることができず、連結されたインプルメントと地面との離間距離を大きくすることが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、上記に鑑み、連結されたインプルメントと地面との離間距離を、容易に大きくすることができる油圧昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の油圧昇降装置は、ケースと、前記ケースの内側に位置し、作動油の給排出に応じて駆動する油圧シリンダと、前記ケースの内側に位置し、前記作動油の流路内にスプールを有するコントロールバルブであって、前記スプールの位置に応じて、前記油圧シリンダへの前記作動油の給排出を許容及び規制するコントロールバルブと、前記ケースの外側に位置し、一端側及び他端側が規定されるリフトアームであって、前記一端側が対象物と連結可能に構成されるとともに、前記油圧シリンダが駆動したときに前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転することで、連結された前記対象物を昇降可能に構成されたリフトアームと、前記ケースの外側に位置し、一端側及び他端側が規定されるブラケットであって、前記一端側が対象物と連結可能に構成されるとともに、連結された前記対象物からの牽引負荷に応じて、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転するブラケットと、前記ケースの外側に位置し、操作者の操作に応じて変位可能に構成されたドラフトコントロールレバーと、前記ケースの外側に位置し、前記ブラケットの相対回転に応じて変位可能に構成されたドラフトフィードバックロッドと、前記ドラフトコントロールレバーが操作されたときに、前記ドラフトコントロールレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるドラフトコントロール伝達機構と、を備える。前記リフトアームは、前記ケースに対する前記相対回転の軸であって、前記対象物の昇降方向である第1方向と直交する第2方向に延びる軸であるリフトアーム軸を備え、前記ブラケットは、前記ケースに対する前記相対回転の軸であって、前記第2方向に延びる軸であり、前記リフトアーム軸と平行に位置するブラケット軸と、前記対象物を取り付け可能に構成され、前記ブラケット軸よりも前記第1方向における下側に位置する取り付け部と、を備える。
【0009】
前記油圧昇降装置において、前記ブラケットは、前記ブラケット軸が、前記リフトアーム軸よりも前記第1方向における下側に位置するように構成される。
【0010】
前記油圧昇降装置において、前記ブラケットは、前記ブラケット軸が、前記リフトアーム軸よりも前記第1方向における上側に位置するように構成される。
【0011】
前記油圧昇降装置は、前記ブラケットの前記他端側を前記ケースに軸支し、前記ブラケット軸と同軸的に配置されるシャフトであって、前記牽引負荷に応じた相対回転に際し付勢力を発生するよう構成されたブラケットシャフトを更に備える。
【0012】
前記油圧昇降装置において、前記ドラフトコントロール伝達機構は、前記ドラフトコントロールレバーが操作されたときに、前記ドラフトコントロールレバーの変位に応じて軸まわりに回転する第1ドラフトコントロールシャフトと、前記第1ドラフトコントロールシャフトよりも前記対象物の昇降方向における上側に位置し、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位に応じて軸まわりに回転する第2ドラフトコントロールシャフトと、前記第1ドラフトコントロールシャフトが回転したときに、前記第1ドラフトコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ドラフトコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ドラフトコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるドラフトコントロールカムと、を備える。
【0013】
前記油圧昇降装置において、前記ドラフトコントロールレバーは、一端側及び他端側が規定され、前記一端側が前記操作者により操作可能に構成されるとともに、前記操作に応じた変位として、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転可能に構成され、前記第1ドラフトコントロールシャフトは、前記ドラフトコントロールレバーの他端側と接続され、前記ドラフトコントロールレバーの回転方向と同方向に回転可能に構成された同方向回転シャフトと、前記ドラフトコントロールカムと接続され、前記ドラフトコントロールレバーの回転方向とは逆方向に回転可能に構成された逆方向回転シャフトと、前記ドラフトコントロールレバーが相対回転したときに、前記同方向回転シャフトの回転を前記逆方向回転シャフトに向けて伝達するとともに、前記逆方向回転シャフトを、前記同方向回転シャフトの回転方向とは逆方向に回転させる回転伝達部と、を備える。
【0014】
前記油圧昇降装置は、前記ケースの外側に位置し、操作者の操作に応じて変位可能に構成されたポジションコントロールレバーと、前記ケースの外側に位置し、前記リフトアームの相対回転に応じて変位可能に構成されたポジションフィードバックロッドと、前記ポジションコントロールレバーが操作されたときに、前記ポジションコントロールレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポジションコントロール伝達機構と、を備える。前記ポジションコントロール伝達機構は、前記ポジションコントロールレバーが操作されたときに、前記ポジションコントロールレバーの変位に応じて軸まわりに回転する第1ポジションコントロールシャフトと、前記第1ポジションコントロールシャフトよりも前記対象物の昇降方向における上側に位置し、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位に応じて軸まわりに回転する第2ポジションコントロールシャフトと、前記第1ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第1ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポジションコントロールカムと、を更に備える。
【0015】
前記油圧昇降装置は、前記第2ドラフトコントロールシャフトと一体回転可能に接続され、且つ、前記ドラフトフィードバックロッドと相対回転可能に接続され、前記ブラケットが相対回転したときに、前記ドラフトフィードバックロッドの変位に応じて、前記第2ドラフトコントロールシャフトを回転させる第1変位伝達部と、前記第2ポジションコントロールシャフトと一体回転可能に接続され、且つ、前記ポジションフィードバックロッドと相対回転可能に接続され、前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位に応じて、前記第2ポジションコントロールシャフトを回転させる第2変位伝達部と、前記第1変位伝達部に当接し押圧可能に、且つ、前記第2変位伝達部の回転に連動して前記ケースに対し相対回転するように構成され、前記ポジションフィードバックロッドが変位して前記第2変位伝達部が回転したときに、前記ケースに対し相対回転して前記第1変位伝達部に当接しつつ押圧することで、前記第1変位伝達部を回転させる第3変位伝達部と、を更に備える。
【0016】
前記油圧昇降装置において、前記第1ドラフトコントロールシャフト、及び、前記第1ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方が、中空構造を呈し、前記一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成され、前記第2ドラフトコントロールシャフト、及び、前記第2ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方が、中空構造を呈し、前記一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成され、前記ドラフトコントロール伝達機構、及び、前記ポジションコントロール伝達機構は、前記第1ドラフトコントロールシャフト及び前記第1ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方に他方が同軸的に嵌入されるとともに、前記第2ドラフトコントロールシャフト及び前記第2ポジションコントロールシャフトのうち何れか一方に他方が同軸的に嵌入されて、前記ドラフトコントロールレバー及び前記ポジションコントロールレバーのうち何れか一方の変位に応じて、前記第1ドラフトコントロールシャフト及び前記第1ポジションコントロールシャフトが互いに軸まわりに相対回転するとともに、前記ドラフトフィードバックロッド及び前記ポジションフィードバックロッドのうち何れか一方の変位に応じて、前記第2ドラフトコントロールシャフト及び前記第2ポジションコントロールシャフトが互いに軸まわりに相対回転するように構成される。
【0017】
前記油圧昇降装置は、前記ケースの外側に位置し、前記コントロールバルブにて前記作動油の給排出が規制されている状態での任意の位置である第1位置から、操作者の操作に応じて、前記第1位置と異なる第2位置へ変位可能に構成されたポンパレバーと、前記ポンパレバーが前記第1位置から前記第2位置に変位するよう操作されたときに、前記ポンパレバーの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記ポンパレバーが前記第2位置に位置している状態で前記リフトアームが相対回転したときに、前記ポジションフィードバックロッドの変位を前記スプールに向けて伝達するとともに、前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポンパ伝達機構と、を更に備える。前記ポンパ伝達機構は、前記ポンパレバーが操作されて前記第1位置から前記第2位置に変位したときに、前記ポンパレバーの変位に応じて軸まわりに回転するポンパシャフトと、前記ポンパシャフトが回転したときに、前記ポンパシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、前記第2ポジションコントロールシャフトが回転したときに、前記第2ポジションコントロールシャフトの回転に応じて前記スプールの位置を前記作動油における給排出の規制側に向けて変位させるポンパカムと、を備える。
【0018】
前記油圧昇降装置において、前記ポンパレバーは、一端側及び他端側が規定され、前記一端側が前記操作者により操作可能に構成されるとともに、前記操作に応じた変位として、前記他端側を支点として前記ケースに対して相対回転可能に構成され、前記ポンパレバーの前記相対回転を規制する回転規制部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結されたインプルメントと地面との離間距離を、容易に大きくすることができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧昇降装置の全体斜視図である。
【
図5】
図1に示す油圧昇降装置のケースの内部における駆動系の一部を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す油圧昇降装置のケースの内部における駆動系の一部を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す油圧昇降装置の後側における左側面図であって、各軸の位置関係を示す図である。
【
図8】
図1に示す油圧昇降装置における各伝達機構の全体斜視図である。
【
図9】
図1に示す油圧昇降装置における各カム及びスプールの位置関係を示す要部拡大図である。
【
図10】
図1に示す油圧昇降装置におけるポジションコントロール伝達機構の全体図である。
【
図11】
図1に示す油圧昇降装置におけるポンパ伝達機構の全体図である。
【
図12】
図1に示す油圧昇降装置におけるドラフトコントロール伝達機構の全体図である。
【
図13】
図1に示す油圧昇降装置における各伝達機構の構成要素の位置関係を示す全体概略図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る油圧昇降装置の左側面図である。
【
図15】
図14に示す油圧昇降装置の後側における左側面図であって、各軸の位置関係を示す図である。
【
図16】
図14に示す油圧昇降装置における各フィードバックロッドの前端部近傍の構成を示す斜視図である。
【
図17】
図14に示す油圧昇降装置における各伝達機構の構成要素の位置関係を示す全体概略図である。
【
図18】
図14に示す油圧昇降装置におけるポジションフィードバックロッド、第2変位伝達機構、第3変位伝達機構、及び、第4変位伝達機構の部品構成図である。
【
図19】
図14に示す油圧昇降装置におけるドラフトフィードバックロッド、及び、第1変位伝達機構の部品構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0023】
<油圧昇降装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧昇降装置100の全体斜視図である。
図2、
図3は、油圧昇降装置100の側面図である。
図4は、油圧昇降装置100の底面図である。各図中に適宜示される矢印の左・右、上・下、前・後は、それぞれ左方向・右方向、上方向・下方向、前方向・後方向に対応している。
【0024】
油圧昇降装置100は、例えば、トラクタ等の農業車両に搭載される。より具体的には、トラクタ等の後方であって、ミッションケース上部において、油圧昇降装置100が搭載される。搭載された油圧昇降装置100から、リフトアーム2の一端側21、及び、ブラケット3の一端側31が、後方に突出するようになっている。リフトアーム2の一端側21は、リフトリンクを介してロアリンクに接続される。ブラケット3の一端側31には、トップリンクの端部が接続される。トップリンク、及び、ロアリンクの後方には、インプルメントが連結される。連結されたインプルメントは、リフトアーム2がケース1に対し相対回転するのに応じて、トップリンク及びロアリンクを介して、農業車両に対して上下方向に昇降可能となる。本実施形態においては、インプルメントの昇降方向は、上下方向に対応しており、第1方向に相当する。
【0025】
図1乃至
図4に示すように、油圧昇降装置100は、ケース1、リフトアーム2、リフトアームシャフト23、ブラケット3、ブラケットシャフト33、油圧シリンダ4、コントロールバルブ5、ポジションコントロールレバー6、ポンパレバー7、ドラフトコントロールレバー8、ポジションフィードバックロッド9、及び、ドラフトフィードバックロッド10を備えている。ブラケット3については、後に詳述する。また、油圧昇降装置100は、ポジションコントロール伝達機構20、ポンパ伝達機構30、及び、ドラフトコントロール伝達機構40を備えている。各伝達機構20,30,40についても、後に詳述する。
【0026】
ケース1は筐体であり、ケース1の底面は開口している。2本のリフトアーム2は、ケース1の外側後方であって左右両側面に、1つずつ位置している。各リフトアーム2においては、一端側21及び他端側22がそれぞれ規定される。一端側21は、図示しないリフトリンクと連結可能に構成されている。他端側22は、ケース1内部から左右両側面を貫通するリフトアームシャフト23の両端にて、軸支されている(
図5、
図6を参照)。各リフトアーム2は、他端側22から一端側21に向けて、後方に突出している。各リフトアーム2は、油圧シリンダ4が駆動したときに、他端側22を支点としてケース1に対してそれぞれ相対回転する。即ち、他端側22を支点として、一端側21は上下方向に揺動可能となっている。
【0027】
図1、
図5、及び、
図6に示すように、リフトアーム2は、ケース1に対する相対回転の軸であるリフトアーム軸Z1を備えている。本実施形態においては、リフトアーム軸Z1の方向は、左右方向に対応しており、第2方向に相当する。なお、リフトアーム軸Z1の方向(第2方向)は、インプルメントの昇降方向(第1方向)と直交する。リフトアームシャフト23は、リフトアーム軸Z1と同軸的に配置されている。
【0028】
図5及び
図6は、ケース1の内部における駆動系の一部を示している。
図4乃至
図6に示すように、油圧シリンダ4は、図示しない作動油の回路に接続されており、当該作動油の給排出に応じて駆動するようになっている。油圧シリンダ4は、その内部にピストン41、及び、ピストンロッド42を備えている。油圧シリンダ4内部の作動油の給排出に応じて、ピストン41及びピストンロッド42は、ケース1に対して、前後方向に相対移動する。ケース1の内部空間において、ピストンロッド42の後端側は、クランクアーム43の回転先端側と連結されている。また、クランクアーム43の回転支点側は、リフトアームシャフト23の左右方向における中央部に接続されている。これにより、ピストン41及びピストンロッド42における前後方向の相対移動は、リフトアームシャフト23の回転に変換されるようになっている。
【0029】
図4に示すように、油圧シリンダ4は、ケース1の内部空間において、ピストン41及びピストンロッド42の軸が前後方向に沿うように、且つ、左側前方に寄るように配置されている。油圧シリンダ4と、ケース1の上側内壁及び右側内壁と、の間は、後述する各伝達機構20,30,40の一部が収容されるようになっている。また、油圧シリンダ4と、ケース1の右側内壁との間には、作動油のコントロールバルブ5が、収容されている。
【0030】
コントロールバルブ5は、作動油の流路が内部に形成され、作動油の回路に介装される。当該回路には、その他に、油圧ポンプ、リリーフ弁、流路切替弁、安全弁、落下調整弁等も接続・介装されている。これらの部位は、ケース1と一体又は別体で構成されている。コントロールバルブ5は、ケース1の内部空間において、油圧シリンダ4の右側に位置している。コントロールバルブ5は、作動油の流路内にスプール51を有している。スプール51の前端側51aは、コントロールバルブ5の作動油の流路外に露出している。スプール51は、コントロールバルブ5の筐体に対して前後方向に変位可能となっている。スプール51は、バネにより前方向に常時付勢されている。
【0031】
スプール51の前端側51aは、各伝達機構20,30,40のカムにより、付勢力に抗して後方に押圧されるようになっている。このとき、スプール51の位置が後方に変位して、油圧シリンダ4への作動油の供給が許容される。油圧シリンダ4に作動油が供給されて、ピストン41及びピストンロッド42が変位するのに応じて、クランクアーム43及びリフトアームシャフト23の伝達を経て、リフトアーム2が相対回転する。一方、各伝達機構20,30,40のカムによる押圧が解除されると、スプール51の位置が付勢力に沿って前方に変位して、油圧シリンダ4への作動油の供給が規制される。これにより、ピストン41及びピストンロッド42の変位、クランクアーム43及びリフトアームシャフト23の回転がそれぞれ規制され、相対回転していたリフトアーム2の位置(高さ)が固定される。
【0032】
図1及び
図2に示すように、ポジションコントロールレバー6、ポンパレバー7、及び、ドラフトコントロールレバー8は、ケース1の外側であって右側に位置し、且つ、リフトアーム2よりも前方にそれぞれ位置している。ポジションコントロールレバー6においては、一端側61及び他端側62がそれぞれ規定される。一端側61は、操作者により操作可能に構成されている。他端側62は、ケース1内部から右側面を貫通する第1ポジションコントロールシャフト220の右端部にて、軸支されている(
図8、
図10を参照)。ポジションコントロールレバー6は、他端側62から一端側61に向けて、上方に突出している。ポジションコントロールレバー6は、一端側61が操作者により操作されたとき、操作に応じた変位として、他端側62を支点としてケース1に対して相対回転する。即ち、他端側62を支点として、一端側61は前後方向に揺動可能となっている。
【0033】
ポンパレバー7においては、一端側71及び他端側72がそれぞれ規定される。一端側71は、操作者により操作可能に構成されている。別途、操作者により把持可能なグリップ(図示せず)が、備えられていてもよい。他端側72は、ケース1内部から右側面を貫通するポンパシャフト320の右端部にて、軸支されている(
図8、
図11を参照)。ポンパレバー7は、他端側72から一端側71に向けて、上方に突出している。ポンパレバー7の他端側72は、ポジションコントロールレバー6の他端側62よりも、上方に位置している。ポンパレバー7は、一端側71が操作者により操作されたとき、操作に応じた変位として、他端側72を支点としてケース1に対して相対回転する。即ち、他端側72を支点として、一端側71は前後方向に揺動可能となっている。より具体的には、ポンパレバー7は、コントロールバルブ5にて作動油の給排出が規制されている状態での任意の位置である第1位置から、操作者の操作に応じて、当該第1位置と異なる第2位置へ変位可能に構成されている。
【0034】
ここにおいて、「コントロールバルブ5にて作動油の給排出が規制されている状態」としては、例えば、ポジションフィードバックロッド9の変位により、スプール51の位置が作動油における給排出の規制側に向けて変位した後の状態等である。「第1位置」及び「第2位置」の関係としては、一端側71の位置が互いに異なっていればよい。例えば、第2位置における一端側71は、は、第1位置における一端側71よりも、前側に位置していてもよいし、後側に位置していてもよい。一端側71の位置移動によって、スプール51の位置が、作動油における給排出の許容側に向けて変位するようになっている。
【0035】
ポンパレバー7は、相対回転の戻り止めとして、デテント機構を有している。本実施形態では、当該デテント機構は、ポンパレバー7の下げ側にのみ機能するようになっているが、これに加え、ポンパレバー7の上げ側にも機能するようにしてもよい。また、当該デテント機構とは別に、ポンパレバー7は、ポンパレバー7の相対回転を規制する回転規制部74を備えている。回転規制部74は、例えば、ケース1に設けられたプレート73を介し、ケース1に間接的に固定されてもよい。回転規制部74は、前方に突出する突出部材74aを備えている。突出部材74aは、ポンパレバー7よりも後方に位置しており、突出部材74aの前端が、ポンパレバー7の動径軌跡と交差可能となっている。このため、一端側71を後方へ揺動させ続けた場合、
図2において反時計まわりに相対回転していくポンパレバー7は、いずれは突出部材74aの前端に当接する。このときに、ポンパレバー7の相対回転が、規制される。相対回転が規制された結果、連結されたインプルメントの昇降高さが、任意の位置となるよう簡単に調整できる。
【0036】
なお、突出部材74aの前端の位置は、螺子等の長さ調整機構により、前後方向に調整可能となっている。即ち、ポンパレバー7が突出部材74aと当接する位置も、前後方向に調整される。このため、ポンパレバー7の相対回転は、突出部材74aの前端の位置を前方に変位させるほど、より前側で規制される。
【0037】
ドラフトコントロールレバー8においては、一端側81及び他端側82がそれぞれ規定される。一端側81は、操作者により操作可能に構成されている。他端側82は、ケース1内部から右側面を貫通する第1ドラフトコントロールシャフト420の右端部にて、軸支されている(
図8、
図12を参照)。ドラフトコントロールレバー8は、他端側82から一端側81に向けて、上方に突出している。ドラフトコントロールレバー8の他端側82は、ポジションコントロールレバー6の他端側62と同軸的に位置している。ドラフトコントロールレバー8は、ポジションコントロールレバー6の左隣りに位置している。ドラフトコントロールレバー8は、一端側81が操作者により操作されたとき、操作に応じた変位として、他端側82を支点としてケース1に対して相対回転する。即ち、他端側82を支点として、一端側81は前後方向に揺動可能となっている。
【0038】
図3乃至
図6に示すように、ポジションフィードバックロッド9、及び、ドラフトフィードバックロッド10は、ケース1の外側であって左側に位置しており、それぞれ前後方向に延びている。ポジションフィードバックロッド9の後端側91は、カム24の下方端と相対回転可能に接続されている。カム24は、左側のリフトアーム2のリフトアームシャフト23に同軸的に固定されており、下方に突出している。リフトアーム2がケース1に対して相対回転すると、カム24も一体的に回転し、カム24の下方端が前後方向に揺動する。これに応じて、ポジションフィードバックロッド9は、前後方向に変位可能となっている。
【0039】
ポジションフィードバックロッド9の前端側92は、カム230aの下方端と相対回転可能に接続されている。カム230aは、ケース1内部から左側面を貫通する第2ポジションコントロールシャフト230の左端部にて軸支されており、下方に突出している(
図8、
図10を参照)。ポジションフィードバックロッド9が前後方向に変位すると、カム230aの下方端が前後方向に揺動し、第2ポジションコントロールシャフト230が相対回転可能となっている。
【0040】
ドラフトフィードバックロッド10の後端側101は、ジョイント34の下方端に接続されている。ジョイント34は、ブラケット3の左側板35に一体的に固定されており、左側下方に突出している。ブラケット3がケース1に対して相対回転すると、ジョイント34も一体的に回転し、ジョイント34の下方端が前後方向に揺動する。これに応じて、ドラフトフィードバックロッド10は、前後方向に変位可能となっている。
【0041】
ドラフトフィードバックロッド10の前端側102は、カム430aの下方端と相対回転可能に接続されている。前端側102の一部は、バネ102aで構成されている。カム430aは、ケース1内部から左側面を貫通する第2ドラフトコントロールシャフト430の左端部にて、軸支されており、左側下方に突出している(
図8、
図12を参照)。前端側102のカム430aとの接続位置は、ポジションフィードバックロッド9の前端側92のカム230aとの接続位置よりも上方である。ドラフトフィードバックロッド10が前後方向に変位すると、カム430aの下方端が前後方向に揺動し、第2ドラフトコントロールシャフト430が相対回転可能となっている。特に、ドラフトフィードバックロッド10が前方に変位する場合、バネ102aは、取付長から若干縮みつつ、カム430aはバネ102aに付勢されながら前方に揺動する。一方、ドラフトフィードバックロッド10が後方に変位する場合には、バネ102aは干渉しない(伸びない)ようになっている。
【0042】
<ブラケットの構成>
図1、
図5、及び、
図6に示すように、ブラケット3は、リフトアーム2の他端側22よりも後側であって、ケース1の外側後端に位置している。ブラケット3においては、一端側31及び他端側32がそれぞれ規定される。一端側31は、図示しないトップリンクと連結可能に構成されている。即ち、本実施形態では、ブラケット3は、所謂トップリンクブラケットである。他端側32は、ケース1に両端接続されたブラケットシャフト33にて、軸支されている。ブラケット3は、連結されたトップリンク(即ち、インプルメント)からの牽引負荷に応じて、他端側32を支点としてケース1に対して相対回転する。
【0043】
ブラケット3は、ケース1に対する相対回転の軸であるブラケット軸Z2を備えている。ブラケット軸Z2は、リフトアーム軸Z1と平行に位置している。本実施形態においては、ブラケット軸Z2の方向は、左右方向に対応しており、第2方向に相当する。なお、ブラケット軸Z2の方向(第2方向)は、インプルメントの昇降方向(第1方向)と直交する。ブラケットシャフト33は、ブラケット軸Z2と同軸的に配置されている。
【0044】
ブラケット3は、左側板35、及び、右側板36を備えている。左側板35、及び、右側板36は、ケース1の外側後端において、左右方向略中央部より左側、及び、右側にそれぞれ配設されている。左側板35、及び、右側板36の各面は、所定の間隔をもって、互いに平行に対向している。左側板35、及び、右側板36は、それぞれ略同一の形状を呈しており、他端側32から後側に延び、更に、斜下後方の一端側31に向かって突出している。
【0045】
また、ブラケット3は、取り付け部35a,35b,35c,36a,36b,36c,及び、リンクピン37を備えている。取り付け部35a,35b,35cは、円形の貫通孔であり、左側板35に設けられている。取り付け部36a,36b,36cは、円形の貫通孔であり、右側板36に設けられている。取り付け部35a,36aは、左右方向の軸Z3と同軸的に配置されている。取り付け部35b,36bは、左右方向の軸Z4と同軸的に配置されている。取り付け部35c,36bcは、左右方向の軸Z5と同軸的に配置されている。軸Z3,Z4,Z5は、それぞれブラケット軸Z2と平行に位置している。
【0046】
リンクピン37は、取り付け部35a,36aと、取り付け部35b,36bと、取り付け部35c,36cとの内から選択される1組に対し、同軸的に篏合可能となっている。一例として、リンクピン37が、取り付け部35c,36cに篏合されている状態を図示している。トップリンクをブラケット3に取り付ける場合には、上述した選択される1組の取り付け部35a~c,36a~cの間に、トップリンク端部の篏合穴を同軸的に配置し、リンクピン37でトップリンク端部の篏合穴ごと篏合する。これにより、トップリンクは、その端部にてリンクピン37を介して、ブラケット3と相対回転可能に連結される。
【0047】
ブラケットシャフト33は、インプルメントの牽引負荷に応じた相対回転に際し、付勢力を発生するよう構成されている。ブラケットシャフト33は、例えば、トーションバー構造となっており、ブラケット軸Z2まわりの回転荷重に対し、逆回転方向に付勢力が生じるようになっている。より具体的には、トップリンクがリンクピン37にて連結されている状態において、牽引負荷に応じ一端側31が後側へ揺動する場合、ブラケット3はブラケット軸Z2まわりに相対回転する。この場合、相対回転の方向は、左側面視(
図3、
図7を参照)にて反時計回り方向となる。これに応じて、ブラケットシャフト33は、左側面視にて時計回り方向の付勢力を発生させる。一方、牽引負荷に応じ一端側31が前側へ揺動する場合も、ブラケット3はブラケット軸Z2まわりに相対回転する。この場合、相対回転の方向は、左側面視にて時計回り方向となる。これに応じて、ブラケットシャフト33は、左側面視にて反時計回り方向の付勢力を発生させる。このように、他端側32を支点として、一端側31は付勢されながら前後方向に揺動可能となっている。
【0048】
図7に示すように、ブラケットシャフト33は、リフトアームシャフト23よりも後側に位置している。ブラケットシャフト33のブラケット軸Z2は、リフトアームシャフト23のリフトアーム軸Z1よりも、上下方向における高さH1だけ下側に位置する。取り付け部35a,35b,35cは、ブラケットシャフト33よりも後側に位置している。取り付け部35a,35b,35cは、この順序で、左上から右下に向かって左側板35にて並列している。なお、取り付け部36a~cの位置関係も、取り付け部35a~cと同様である。取り付け部35aの軸Z3は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH2aだけ下側に位置する。取り付け部35bの軸Z4は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH2bだけ下側に位置する。取り付け部35cの軸Z5は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH2cだけ下側に位置する。本実施形態では、各軸Z1~Z5の位置関係は、互いに左右方向に平行で、高さH1<H2a<H2b<H2cとなっているが、これに限定されない。
【0049】
<伝達機構の構成>
図8乃至
図13に示すように、油圧昇降装置100は、ポジションコントロール伝達機構20、ポンパ伝達機構30、及び、ドラフトコントロール伝達機構40を備えている。各伝達機構20,30,40は、各レバー6,7,8の変位、及び、各ロッド9,10の変位を、コントロールバルブ5のスプール51に向けて伝達するよう構成されている。各伝達機構20,30,40に入力された変位は、最終的にポジションコントロールカム210、ポンパカム310、及び、ドラフトコントロールカム410へ集約され、各カム210,310,410をそれぞれ変位させる。
【0050】
図9は、ケース1内部における各カム210,310,410、及び、スプール51の位置関係を示す要部拡大図である。
図8に示すように、ポジションコントロールカム210、ポンパカム310、及び、ドラフトコントロールカム410は、左側面視でそれぞれ略「E」字状を呈している。左側から右側に向かって、ドラフトコントロールカム410、ポジションコントロールカム210、ポンパカム310が、この順序にて、互いに間隔を空けて重なるように配置されている。各カム210、310、410においては、それぞれの上下方向略中央部を左右方向に貫通するピンが設けられ、位置決めが成されるようになっている。当該ピンを支軸として、各カム210,310,410が相対回転可能となっている。ポジションコントロールカム210、ポンパカム310、及び、ドラフトコントロールカム410の変位として、それぞれの上端側212,312,412、又は、下端側213,313,413が前後方向に揺動可能となっている。
【0051】
当該揺動に応じて、それぞれの突出部211,311,411も一体的に、前後方向に揺動可能となっている。突出部211,311,411が、後側へ揺動して変位した場合、スプール51の前端側51aは、突出部211,311,411に押圧されて後側へ変位するようになっている。次いで、突出部211,311,411が、前側へ揺動して変位した場合には、スプール51は、バネの付勢力に応じて前側へ変位するようになっている。このように、各カム210,310,410のそれぞれ変位に応じて、コントロールバルブ5のスプール51も変位するようになっている。各カム210,310,410の具体的な作動については、各伝達機構20,30,40の詳細を説明する際に、あわせて説明する。
【0052】
以下、ポジションコントロール伝達機構20、ポンパ伝達機構30、及び、ドラフトコントロール伝達機構40のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
【0053】
<<ポジションコントロール伝達機構>>
図10は、ポジションコントロール伝達機構20の全体図である。
図10に示すように、ポジションコントロール伝達機構20は、ポジションコントロールカム210、第1ポジションコントロールシャフト220、及び、第2ポジションコントロールシャフト230を備えている。
【0054】
第1ポジションコントロールシャフト220は、同方向回転シャフト221、逆方向回転シャフト222、及び、回転伝達部223を備えている。同方向回転シャフト221は、左右方向に延びており、左右方向と平行な軸A1を有している。同方向回転シャフト221は、その右端側にて、ポジションコントロールレバー6の他端側62と接続されている。同方向回転シャフト221は、ポジションコントロールレバー6の回転方向と同方向に、軸A1まわりに回転可能となっている。同方向回転シャフト221の左端側には、上方に突出するカム221aが設けられている。カム221aは、同方向回転シャフト221の軸A1まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。
【0055】
逆方向回転シャフト222は、左右方向に延びており、左右方向と平行な軸A2を有している。軸A2は、軸A1よりも上斜前側に位置している。即ち、同方向回転シャフト221、及び、逆方向回転シャフト222は、互いに異なる軸を有するよう配置されている。
図10の破線部、及び、
図13に示すように、逆方向回転シャフト222は、軸A2に沿って中空構造を呈し、その内部に第1ドラフトコントロールシャフト420の逆方向回転シャフト422を同軸的に嵌入可能となっている。
【0056】
逆方向回転シャフト222の右端側には、下方に突出するカム222aが設けられている。カム222aの前後方向の揺動に応じて、逆方向回転シャフト222は、ポジションコントロールレバー6の回転方向と逆方向に、軸A2まわりに回転可能となっている。逆方向回転シャフト222の左端側には、下方に突出するカム222bが設けられている。カム222bは、逆方向回転シャフト222の軸A2まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。
【0057】
回転伝達部223は、前後方向に延びるプレートである。回転伝達部223の後側はカム221aの上端部に、回転伝達部223の前側はカム222aの下端部に、それぞれ回転可能に接続されている。回転伝達部223は、カム221aの前後方向の揺動に応じて、カム222aを前後方向に揺動させるようになっている。
【0058】
このように構成された第1ポジションコントロールシャフト220では、ポジションコントロールレバー6が操作されたとき、ポジションコントロールレバー6の変位に応じて、同方向回転シャフト221は軸A1まわりに回転し、逆方向回転シャフト222は軸A2まわりに回転する。より具体的には、ポジションコントロールレバー6の操作により、ポジションコントロールレバー6及び同方向回転シャフト221が、それぞれ方向R1に回転する場合、カム221aが前側に揺動する。方向R1は、右から左方向を見たときの時計回り方向に相当する。カム221aの前側への揺動に応じて、回転伝達部223を介して、カム222aも前側に揺動する。カム222aの前側への揺動に応じて、逆方向回転シャフト222は、方向R1とは逆の方向R2に回転する。方向R2は、右から左方向を見たときの反時計回り方向に相当する。
【0059】
一方、ポジションコントロールレバー6の操作により、ポジションコントロールレバー6及び同方向回転シャフト221が、それぞれ方向R2に回転する場合、カム221aが後側に揺動する。カム221aの後側への揺動に応じて、回転伝達部223を介して、カム222aも後側に揺動する。カム222aの後側への揺動に応じて、逆方向回転シャフト222は、方向R2とは逆の方向R1に回転する。即ち、回転伝達部223は、同方向回転シャフト221の回転を逆方向回転シャフト222に向けて伝達するとともに、逆方向回転シャフト222を、同方向回転シャフト221の回転方向とは逆方向に回転させるようになっている。
【0060】
第2ポジションコントロールシャフト230は、左右方向に延びており、左右方向と平行な軸A3を有している。軸A3は、軸A2よりも上側に位置している。即ち、第1ポジションコントロールシャフト220、及び、第2ポジションコントロールシャフト230は、互いに異なる軸を有するよう配置されており、第2ポジションコントロールシャフト230は、第1ポジションコントロールシャフト220よりも上側に位置している。
【0061】
第2ポジションコントロールシャフト230の左端側には、下方に突出するカム230aが設けられている。カム230aの下方端には、ポジションフィードバックロッド9の前端側92が相対回転可能に接続されている。カム230aの前後方向の揺動に応じて、第2ポジションコントロールシャフト230は、軸A3まわりに回転可能となっている。
【0062】
第2ポジションコントロールシャフト230の左右方向中央部より若干右側には、上方に突出するカム230bが設けられている。カム230bは、第2ポジションコントロールシャフト230の軸A3まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。第2ポジションコントロールシャフト230の右端側においては、同径の延長部231が設けられている。延長部231は、カム230bから軸A3と同軸的に右方へ延長している。
【0063】
このように構成された第2ポジションコントロールシャフト230は、リフトアーム2が相対回転したとき、ポジションフィードバックロッド9の変位に応じて軸A3まわりに回転する。より具体的には、リフトアーム2の上側への揺動によりカム24が後側へ揺動する場合、ポジションフィードバックロッド9が後側に変位する。ポジションフィードバックロッド9の後側への変位に応じて、カム230aが後側に揺動する。カム230aの後側への揺動に応じて、第2ポジションコントロールシャフト230は、方向R1に回転する。
【0064】
一方、リフトアーム2の下側への揺動によりカム24が前側へ揺動する場合、ポジションフィードバックロッド9が前側に変位する。ポジションフィードバックロッド9の前側への変位に応じて、カム230aが前側に揺動する。カム230aの前側への揺動に応じて、第2ポジションコントロールシャフト230は、方向R1とは逆の方向R2に回転する。
【0065】
ポジションコントロールカム210においては、突出部211、上端側212、及び、下端側213が、それぞれ規定されている。突出部211は、上下方向略中央部より後方に突出しており、上述のように、スプール51の前端側51aに当接可能となっている。上端側212は、第2ポジションコントロールシャフト230のカム230bと、相対回転可能に接続されている。下端側213は、逆方向回転シャフト222(第1ポジションコントロールシャフト220)のカム222bと、相対回転可能に接続されている。
【0066】
ポジションコントロールレバー6の操作により、ポジションコントロールレバー6及び同方向回転シャフト221が、それぞれ方向R2に回転し、逆方向回転シャフト222が方向R1に回転する場合、カム222bが後側に揺動する。カム222bの後側への揺動に応じて、ポジションコントロールカム210の下端側213も後側に揺動し、突出部211も後側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の許容側(即ち、後側)に向けて変位する。当該スプール51の変位によって、リフトアーム2が上側に揺動する。
【0067】
次いで、リフトアーム2の上側への揺動により、第2ポジションコントロールシャフト230は方向R1に回転し、カム230bが前側に揺動する。カム230bの前側への揺動に応じて、ポジションコントロールカム210の上端側212も前側に揺動し、突出部211も前側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の規制側(即ち、前側)に向けて変位する。当該スプール51の変位によって、上側に揺動しているリフトアーム2が停止する。
【0068】
<<ポンパ伝達機構>>
図11は、ポンパ伝達機構30の全体図である。
図11に示すように、ポンパ伝達機構30は、ポンパカム310、ポンパシャフト320、及び、回転伝達部330を備えている。
【0069】
ポンパシャフト320は、左右方向に延びており、軸A3と同軸的に配置されている。
図11の破線部、及び、
図13に示すように、ポンパシャフト320は、軸A3に沿って中空構造を呈し、その内部に第2ポジションコントロールシャフト230の延長部231を同軸的に嵌入可能となっている。
【0070】
ポンパシャフト320は、その右端側にて、ポンパレバー7の他端側72と接続されている。ポンパシャフト320は、ポンパレバー7の回転方向と同方向に、軸A3まわりに回転可能となっている。ポンパシャフト320の左端側には、下方に突出するカム320aが設けられている。カム320aは、ポンパシャフト320の軸A3まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。
【0071】
回転伝達部330は、上下方向に延びるプレートであり、軸A2と同軸的に配置されている。
図11の破線部、及び、
図13に示すように、回転伝達部330は、軸A2に沿って篏合孔を有し、その内部に第1ポジションコントロールシャフト220の逆方向回転シャフト222を同軸的に嵌入可能となっている。回転伝達部330の上側はカム320aの下端部に、回転伝達部330の下側はポンパカム310の下端側313に、それぞれ回転可能に接続されている。回転伝達部330は、カム320aの前後方向の揺動に応じて、下端側313を前後方向に揺動させるようになっている。
【0072】
このように構成されたポンパシャフト320は、ポンパレバー7が操作されたとき、ポンパレバー7の変位に応じて軸A3まわりに回転する。より具体的には、ポンパレバー7の操作により、ポンパシャフト320が方向R1に回転する場合、カム320aが後側に揺動する。カム320aの後側への揺動に応じて、回転伝達部330は方向R1とは逆の方向R2に回転する。
【0073】
一方、ポンパレバー7の操作によりポンパレバー7及びポンパシャフト320が、それぞれ方向R2に回転する場合、カム320aが前側に揺動する。カム320aの前側への揺動に応じて、回転伝達部330は方向R2とは逆の方向R1に回転する。
【0074】
ポンパカム310においては、突出部311、上端側312、及び、下端側313が、それぞれ規定されている。突出部311は、上下方向略中央部より後方に突出しており、上述のように、スプール51の前端側51aに当接可能となっている。上端側312は、第2ポジションコントロールシャフト230のカム230bと、相対回転可能に接続されている。より具体的には、
図13に示すように、上端側312は、カム230bとポジションコントロールカム210の上端側212との間に介装されている。カム230bの揺動に応じて、上端側312,212が一体的に揺動可能なように、カム230b及び上端側312,212がピン留めされている。下端側313は、回転伝達部330の下側と、相対回転可能に接続されている。
【0075】
コントロールバルブ5にて作動油の給排出が規制されている状態において、前記第1位置にあるポンパレバー7を上記第2位置に変位させるものとする。ポンパレバー7の操作により、ポンパレバー7及びポンパシャフト320が、それぞれ方向R2に回転する場合、カム320aが前側へ揺動し、回転伝達部330が方向R1に回転する。回転伝達部330の方向R1への回転に応じて、ポンパカム310の下端側313も後側に揺動し、突出部211も後側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の許容側(即ち、後側)に向けて変位する。当該スプール51の変位に応じて、リフトアーム2が上側に揺動する。
【0076】
次いで、リフトアーム2の上側への揺動により、第2ポジションコントロールシャフト230は方向R1に回転し、カム230bが前側に揺動する。カム230bの前側への揺動に応じて、ポジションコントロールカム210の上端側212とともに、ポンパカム310の上端側312も前側に揺動し、突出部311も前側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の規制側(即ち、前側)に向けて変位する。当該スプール51の変位に応じて、上側に揺動していたリフトアーム2が停止する。
【0077】
<<ドラフトコントロール伝達機構>>
図12は、ドラフトコントロール伝達機構40の全体図である。
図12に示すように、ドラフトコントロール伝達機構40は、ドラフトコントロールカム410、第1ドラフトコントロールシャフト420、及び、第2ドラフトコントロールシャフト430を備えている。
【0078】
第1ドラフトコントロールシャフト420は、同方向回転シャフト421、逆方向回転シャフト422、及び、回転伝達部423を備えている。同方向回転シャフト421は、左右方向に延びており、軸A1と同軸的に配置されている。
図11の破線部、及び、
図12に示すように、同方向回転シャフト421は、軸A1に沿って中空構造を呈し、その内部に第1ポジションコントロールシャフト220の同方向回転シャフト221を同軸的に嵌入可能となっている。同方向回転シャフト421は、その右端側にて、ドラフトコントロールレバー8の他端側82と接続されている。同方向回転シャフト421は、ドラフトコントロールレバー8の回転方向と同方向に、軸A1まわりに回転可能となっている。同方向回転シャフト421の左端側には、カム221aの右側に隣り合うよう、上方に突出するカム421aが設けられている。カム421aは、同方向回転シャフト421の軸A1まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。なお、揺動する各カム421a,221aは、それぞれステーに接触可能となっている。ステーと接触したときに、各カム421a,221aの揺動は規制されて、各レバー6,8の作動もそれぞれ規制される。即ち、各カム421a,221aとステーとの接触位置を調整することで、各レバー6,8の作動範囲をそれぞれ設定することができる。例えば、本実施形態では、各レバー6,8の作動角が45度となるよう、作動範囲が設定されてもよい。
【0079】
逆方向回転シャフト422は、左右方向に延びており、軸A2と同軸的に配置されている。即ち、同方向回転シャフト421、及び、逆方向回転シャフト422は、互いに異なる軸を有するよう配置されている。
図11の破線部、及び、
図12に示すように、逆方向回転シャフト422は、第1ポジションコントロールシャフト220の逆方向回転シャフト222における内部に、嵌入されている。
【0080】
逆方向回転シャフト422の右端側には、カム222aの右側に隣り合うよう、下方に突出するカム422aが設けられている。カム422aの前後方向の揺動に応じて、逆方向回転シャフト422は、ドラフトコントロールレバー8の回転方向と逆方向に、軸A2まわりに回転可能となっている。逆方向回転シャフト422の左端側には、下方に突出するカム422bが設けられている。カム422bは、逆方向回転シャフト422の軸A2まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。
【0081】
回転伝達部423は、回転伝達部223の右側に隣り合う、前後方向に延びるプレートである。回転伝達部423の後側はカム421aの上端部に、回転伝達部423の前側はカム422aの下端部に、それぞれ回転可能に接続されている。回転伝達部423は、カム421aの前後方向の揺動に応じて、カム422aを前後方向に揺動させるようになっている。
【0082】
このように構成された第1ドラフトコントロールシャフト420では、ドラフトコントロールレバー8が操作されたとき、ドラフトコントロールレバー8の変位に応じて、同方向回転シャフト421は軸A1まわりに回転し、逆方向回転シャフト422は軸A2まわりに回転する。より具体的には、ドラフトコントロールレバー8の操作により、ドラフトコントロールレバー8及び同方向回転シャフト421が、それぞれ方向R1に回転する場合、カム421aが前側に揺動する。カム421aの前側への揺動に応じて、回転伝達部423を介して、カム422aも前側に揺動する。カム422aの前側への揺動に応じて、逆方向回転シャフト422は、方向R1とは逆の方向R2に回転する。
【0083】
一方、ドラフトコントロールレバー8の操作により、ドラフトコントロールレバー8及び同方向回転シャフト421が、それぞれ方向R2に回転する場合、カム421aが後側に揺動する。カム421aの後側への揺動に応じて、回転伝達部423を介して、カム422aも後側に揺動する。カム422aの後側への揺動に応じて、逆方向回転シャフト422は、方向R2とは逆の方向R1に回転する。即ち、回転伝達部423は、同方向回転シャフト421の回転を逆方向回転シャフト422に向けて伝達するとともに、逆方向回転シャフト422を、同方向回転シャフト421の回転方向とは逆方向に回転させるようになっている。
【0084】
第2ドラフトコントロールシャフト430は、左右方向に延びており、軸A3と同軸的に配置されている。
図12の破線部、及び、
図13に示すように、第2ドラフトコントロールシャフト430は、軸A3に沿って中空構造を呈し、その内部に第2ポジションコントロールシャフト230を同軸的に嵌入可能となっている。即ち、第1ドラフトコントロールシャフト420、及び、第2ドラフトコントロールシャフト430は、互いに異なる軸を有するよう配置されており、第2ドラフトコントロールシャフト430は、第1ドラフトコントロールシャフト420よりも上側に位置している。
【0085】
第2ドラフトコントロールシャフト430の左端側には、下方に突出するカム430aが設けられている。カム430aの下方端には、ドラフトフィードバックロッド10の前端側102が相対回転可能に接続されている。カム430aの前後方向の揺動に応じて、第2ドラフトコントロールシャフト430は、軸A3まわりに回転可能となっている。
【0086】
第2ドラフトコントロールシャフト430の右端側には、上方に突出するカム430bが設けられている。カム430bは、第2ドラフトコントロールシャフト430の軸A3まわりの回転に応じて、前後方向に揺動可能となっている。
【0087】
このように構成された第2ドラフトコントロールシャフト430は、ブラケット3が相対回転したとき、ドラフトフィードバックロッド10の変位に応じて軸A3まわりに回転する。より具体的には、ブラケット3の後側への揺動によりジョイント34が後側へ揺動する場合、バネ102aが取付長から伸びることなく、ドラフトフィードバックロッド10が後側に変位する。ドラフトフィードバックロッド10の後側への変位に応じて、カム430aが後側に揺動する。カム430aの後側への揺動に応じて、第2ドラフトコントロールシャフト430は、方向R1に回転する。
【0088】
一方、ブラケット3の前側への揺動によりジョイント34が前側へ揺動する場合、ドラフトフィードバックロッド10が前側に変位する。この場合、ドラフトフィードバックロッド10は、バネ102aが取付長から若干縮みつつ変位する。このように、バネ102aが縮むことで、入力に伴うハンチングを抑制できる。当該ハンチングを適切に抑制できるよう、例えば、バネ102aのバネ定数を調整してもよい。ドラフトフィードバックロッド10の前側への変位に応じて、カム430aが前側に揺動する。カム430aの前側への揺動に応じて、第2ドラフトコントロールシャフト430は、方向R1とは逆の方向R2に回転する。
【0089】
図12、及び、
図13に示すように、ドラフトフィードバックロッド10の前端側102には、更に、突出部102bが設けられている。突出部102bは、右方に突出しており、ポジションフィードバックロッド9よりも上側、且つ、第2ポジションコントロールシャフト230のカム230aよりも後側に位置している。即ち、突出部102bは、カム230aの動径軌跡と交差可能となっている。
【0090】
このため、例えば、ポジションフィードバックロッド9が後方へ変位し続ける場合、後方に相対回転していくカム230aは、いずれは突出部102bに当接する。当接後、ポジションフィードバックロッド9が更に後方へ変位すると、カム230aは、突出部102bを後側へ押圧し、バネ102aが縮むようになっている。これにより、ドラフトフィードバックロッド10のバネ102aよりも後方部位は後方へは変位せず、ブラケット3は揺動しない。他方、後側へ押圧される突出部102bに連動して、カム430aも後側に揺動し、第2ドラフトコントロールシャフト430は、方向R1に回転する。
【0091】
ドラフトコントロールカム410においては、突出部411、上端側412、及び、下端側413が、それぞれ規定されている。突出部411は、上下方向略中央部より後方に突出しており、上述のように、スプール51の前端側51aに当接可能となっている。上端側412は、第2ドラフトコントロールシャフト430のカム430bと、相対回転可能に接続されている。下端側413は、逆方向回転シャフト422(第1ドラフトコントロールシャフト420)のカム422bと、相対回転可能に接続されている。
【0092】
以下、ドラフトコントロールレバー8の操作に伴う作動について、説明する。作動の前提として、トップリンク(インプルメント)からの牽引負荷がブラケット3にかかっており、当該牽引負荷に応じブラケット3が揺動変位した状態であって、スプール51が中立状態にて位置しているものとする。この状態において、ドラフトコントロールレバー8の操作により、ドラフトコントロールレバー8及び同方向回転シャフト421が、それぞれ方向R2に回転し、逆方向回転シャフト422が方向R1に回転する場合、カム422bが後側に揺動する。カム422bの後側への揺動に応じて、ドラフトコントロールカム410の下端側413も後側に揺動し、突出部411も後側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の許容側(即ち、後側)に向けて変位する。当該スプール51の変位によって、リフトアーム2が上側に揺動する。
【0093】
次いで、リフトアーム2の上側への揺動により、リフトアーム2に連結されているインプルメントも上方に変位する。例えば、インプルメント下端が地面に侵入している場合、耕深の度合いが小さくなる。また、インプルメント下端が地面から離間している場合、離間距離が増大していく。従って、トップリンクからブラケット3への牽引負荷が変化していき、これに応じて、ブラケット3は相対回転する。ブラケット3の相対回転により、第2ドラフトコントロールシャフト430は方向R1に回転し、カム430bが前側に揺動する。
【0094】
他方、リフトアーム2の上側への揺動により、カム230aが突出部102bを後側へ押圧する場合には、ドラフトフィードバックロッド10のバネ102aが縮む。他方、後側へ押圧される突出部102bに連動して、カム430aも後側に揺動する。この場合も、第2ドラフトコントロールシャフト430は方向R1に回転し、カム430bが前側に揺動する。
【0095】
カム430bの前側への揺動に応じて、ドラフトコントロールカム410の上端側412も前側に揺動し、突出部411も前側に変位する。これにより、スプール51が作動油における給排出の規制側(即ち、前側)に向けて変位する。当該スプール51の変位によって、上側に揺動するリフトアーム2が停止する。
【0096】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る油圧昇降装置100は、リフトアーム2、ブラケット3、ドラフトコントロールレバー8、及び、ドラフトコントロール伝達機構40を備えている。これにより、ドラフト制御を実行可能となっている。リフトアーム2は、連結されたインプルメントを昇降させるため、他端側22を支点としてケース1に対して相対回転する。ブラケット3は、ケース1の後端部に設けられ、連結されたトップリンク(即ち、インプルメント)からの牽引負荷に応じて、他端側32を支点としてケース1に対して相対回転する。また、ブラケット3は、トップリンクの前側端を取り付け可能に構成された、取り付け部35a,35b,35c,36a,36b,36cを備えている。ここにおいて、リフトアーム2は、ケース1に対する相対回転の軸であるリフトアーム軸Z1を備えている。ブラケット3は、ケース1に対する相対回転の軸であるブラケット軸Z2を備え、更に、取り付け部35a~c,36a~cの各軸Z3,Z4,Z5も備えている。リフトアーム軸Z1、ブラケット軸Z2、及び、各軸Z3,Z4,Z5は、インプルメントの昇降方向(第1方向、本実施形態では上下方向)と直交する方向(第2方向、本実施形態では左右方向)に延びており、それぞれ平行である。第1方向において、リフトアーム軸Z1よりも下側に、ブラケット軸Z2が位置しており、ブラケット軸Z2よりも下側に、各軸Z3,Z4,Z5をもつ取り付け部35a~c,36a~cが位置している(
図7を参照)。
【0097】
このように構成された取り付け部35a~c,36a~cに、トップリンクの前側端を連結させることで、トップリンクの前端側を十分に下方へ位置させることができる。従って、連結されたインプルメントと地面との離間距離を、容易に大きくすることができる。特に、取り付け部35a~c,36a~cがブラケット軸Z2よりも上側に位置する構成等に比べ、トップリンクの前端側をより下方に位置させることができ、上記離間距離をより大きくすることができる。例えば、第1実施形態の油圧昇降装置100を適用した作業機が、不整地、凹凸地、斜面等を走行する際に、地面に対して傾いたとしても、インプルメントと地面との離間距離を大きくできるため、インプルメントと地面とが接触することを抑制できる。より具体的には、本実施形態の油圧昇降装置100を搭載したトラクタが畦越えする際に、インプルメントを地面に接触させることなく、畔を崩さないようにすることができる。
【0098】
また、第1実施形態では特に、ブラケットシャフト33が備えられる。ブラケットシャフト33は、ブラケット3の他端側32をケース1の外側後端に軸支し、ブラケット軸Z2と同軸的に配置される。ブラケットシャフト33は、牽引負荷に応じた相対回転に際し、付勢力を発生するよう構成されている。これによれば、ドラフト制御の実行に必要とされる付勢機能を、ブラケットシャフト33にもたせることができる。即ち、ブラケットシャフト33は、ブラケット3の支軸、及び、付勢機構の両方を兼ねており、別途、付勢機構を追加する必要がなくなる。従って、従来のように、例えば、ブラケット3の一端側31及びケース1の間に、付勢機構を介装させる必要がなくなる。このため、ブラケット軸Z2、又は、取り付け部35a~c,36a~cを、より下方に位置させるための余地を、広げることができる。
【0099】
また、第1実施形態では特に、ドラフトコントロール伝達機構40は、ドラフトコントロールカム410と、第1ドラフトコントロールシャフト420と、第2ドラフトコントロールシャフト430と、を備える。第1ドラフトコントロールシャフト420は、ドラフトコントロールレバー8が操作されたときに、ドラフトコントロールレバー8の変位に応じて軸A1(及び軸A2)まわりに回転する。第2ドラフトコントロールシャフト430は、ブラケット3が相対回転したときに、ドラフトフィードバックロッド10の変位に応じて軸A3まわりに回転する。ドラフトコントロールカム410は、第1ドラフトコントロールシャフト420が回転したときに、第1ドラフトコントロールシャフト420の回転に応じて、スプール51の位置を、作動油における給排出の許容側に向けて変位させる。ドラフトコントロールカム410は、第2ドラフトコントロールシャフト430が回転したときに、第2ドラフトコントロールシャフト430の回転に応じて、スプール51の位置を、作動油における給排出の規制側に向けて変位させる。このため、ブラケット5の牽引負荷が狙いの大きさとなるように、リフトアーム2の昇降高さを簡易に調整することができる。
【0100】
第2ドラフトコントロールシャフト430は、第1ドラフトコントロールシャフト420よりも、トップリンク(インプルメント)の昇降方向における上側に位置する。本実施形態では、第2ドラフトコントロールシャフト430の軸A3は、第1ドラフトコントロールシャフト420の軸A1よりも、上側に位置している。これによれば、第2ドラフトコントロールシャフト430の下側を、構成部品の収容スペースとして有効活用できる。このため、例えば、
図8に示すように、第2ドラフトコントロールシャフト430の下側であって、第1ドラフトコントロールシャフト420の左側に、油圧シリンダ4が収容されることで、油圧昇降装置100を全体として小型化できる。このように、構成部品のレイアウトの自由度を、大きくすることができる。
【0101】
従って、ブラケット5の牽引負荷が狙いの大きさとなるように、リフトアーム2の昇降高さを簡易に調整することができ、且つ、構成部品のレイアウトの自由度を大きくすることができる。また、構成部品の中でも重量が大きい油圧シリンダ4を、油圧昇降装置100の内部空間における下方に、配置することができる。このため、油圧昇降装置100の重心の位置を、幅広く調整することができる。
【0102】
例えば、第1実施形態では、ドラフトコントロールレバー8は、一端側81及び他端側82が規定され、一端側81が操作者により操作可能に構成されるとともに、操作に応じた変位として、他端側82を支点としてケース1に対して相対回転可能に構成される。第1ドラフトコントロールシャフト420は、同方向回転シャフト421と、逆方向回転シャフト422と、回転伝達部423と、を備える。同方向回転シャフト421は、ドラフトコントロールレバー8の他端側82と接続され、ドラフトコントロールレバー8の回転方向と同方向に回転可能に構成される。逆方向回転シャフト422は、ドラフトコントロールカム410と接続され、ドラフトコントロールレバー8の回転方向とは逆方向に回転可能に構成される。回転伝達部423は、ドラフトコントロールレバー8が相対回転したときに、同方向回転シャフト421の回転を逆方向回転シャフト422に向けて伝達するとともに、逆方向回転シャフト422を、同方向回転シャフト421の回転方向とは逆方向に回転させる。
【0103】
これによれば、回転伝達部423を介して、同方向回転シャフト421及び逆方向回転シャフト422を、異軸で配置できる。例えば、
図12に示すように、同方向回転シャフト421の軸A1の位置と、逆方向回転シャフト422の軸A2の位置とを、互いに異ならせることができる。このため、油圧シリンダ4、コントロールバルブ5等の配置に干渉することなく、同方向回転シャフト421及び逆方向回転シャフト422を、レイアウトすることができる。即ち、第1ドラフトコントロールシャフト420及びドラフトコントロールレバー8のレイアウトの自由度を、大きくすることができ、例えば、操作者が操作し易いようなレイアウトを採ることができる。また、回転伝達部423におけるリンク比を変更することで、ドラフトコントロールレバー8の変位量に対する、ドラフトコントロールカム410の変位量(スプール51の変位量)を調整できる。このため、操作者が操作し易いように、ドラフトコントロールレバー8の操作範囲を調整できる。
【0104】
また、第1実施形態では特に、ポジションコントロールレバー6、及び、ポジションコントロール伝達機構20が、備えられる。ポジションコントロール伝達機構20は、ポジションコントロールカム210と、第1ポジションコントロールシャフト220と、第2ポジションコントロールシャフト230と、を備える。第1ポジションコントロールシャフト220は、ポジションコントロールレバー6が操作されたときに、ポジションコントロールレバー6の変位に応じて軸A1(及び軸A2)まわりに回転する。第2ポジションコントロールシャフト230は、リフトアーム2が相対回転したときに、ポジションフィードバックロッド9の変位に応じて軸A3まわりに回転する。ポジションコントロールカム210は、第1ポジションコントロールシャフト220が回転したときに、第1ポジションコントロールシャフト220の回転に応じて、スプール51の位置を、作動油における給排出の許容側に向けて変位させる。ポジションコントロールカム210は、第2ポジションコントロールシャフト230が回転したときに、第2ポジションコントロールシャフト230の回転に応じて、スプール51の位置を、作動油における給排出の規制側に向けて変位させる。このため、リフトアーム2の昇降方向における高さを、狙いの高さに向けて簡易に調整することができる。
【0105】
第2ポジションコントロールシャフト230は、第1ポジションコントロールシャフト220よりも、トップリンク(インプルメント)の昇降方向における上側に位置する。本実施形態では、第2ポジションコントロールシャフト230の軸A3は、第1ポジションコントロールシャフト220の軸A1よりも、上側に位置している。これによれば、第2ポジションコントロールシャフト230の下側を、構成部品の収容スペースとして有効活用できる。このため、例えば、
図8に示すように、第2ポジションコントロールシャフト230の下側であって、第1ポジションコントロールシャフト220の左側に、油圧シリンダ4が収容されることで、油圧昇降装置100を全体として小型化できる。このように、構成部品のレイアウトの自由度を、大きくすることができる。
【0106】
従って、リフトアーム2の昇降方向における高さを、狙いの高さに向けて簡易に調整することができ、且つ、構成部品のレイアウトの自由度を大きくすることができる。また、構成部品の中でも重量が大きい油圧シリンダ4を、油圧昇降装置100の内部空間における下方に、配置することができる。このため、油圧昇降装置100の重心の位置を、幅広く調整することができる。
【0107】
また、第1実施形態では特に、ポジションコントロールレバー6は、一端側61及び他端側62が規定され、一端側61が操作者により操作可能に構成されるとともに、操作に応じた変位として、他端側62を支点としてケース1に対して相対回転可能に構成される。第1ポジションコントロールシャフト220は、同方向回転シャフト221と、逆方向回転シャフト222と、回転伝達部223と、を備える。同方向回転シャフト221は、ポジションコントロールレバー6の他端側62と接続され、ポジションコントロールレバー6の回転方向と同方向に回転可能に構成される。逆方向回転シャフト222は、ポジションコントロールカム210と接続され、ポジションコントロールレバー6の回転方向とは逆方向に回転可能に構成される。回転伝達部223は、ポジションコントロールレバー6が相対回転したときに、同方向回転シャフト221の回転を逆方向回転シャフト222に向けて伝達するとともに、逆方向回転シャフト222を、同方向回転シャフト221の回転方向とは逆方向に回転させる。
【0108】
これによれば、回転伝達部223を介して、同方向回転シャフト221及び逆方向回転シャフト222を、異軸で配置できる。例えば、
図10に示すように、同方向回転シャフト221の軸A1の位置と、逆方向回転シャフト222の軸A2の位置とを、互いに異ならせることができる。このため、油圧シリンダ4、コントロールバルブ5等の配置に干渉することなく、同方向回転シャフト221及び逆方向回転シャフト222を、レイアウトすることができる。即ち、第1ポジションコントロールシャフト220及びポジションコントロールレバー6のレイアウトの自由度を、大きくすることができ、例えば、操作者が操作し易いようなレイアウトを採ることができる。また、回転伝達部223におけるリンク比を変更することで、ポジションコントロールレバー6の変位量に対する、ポジションコントロールカム210の変位量(スプール51の変位量)を調整できる。このため、操作者が操作し易いように、ポジションコントロールレバー6の操作範囲を調整できる。
【0109】
また、第1実施形態では特に、第1ドラフトコントロールシャフト420、及び、第1ポジションコントロールシャフト220のうち何れか一方が、中空構造を呈し、一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成される。第2ドラフトコントロールシャフト430、及び、第2ポジションコントロールシャフト230のうち何れか一方が、中空構造を呈し、一方の内部に他方を同軸的に嵌入可能となるよう構成される。
【0110】
より具体的には、
図10、
図12、及び、
図13に示すように、第1ドラフトコントロールシャフト420の同方向回転シャフト421に、第1ポジションコントロールシャフト220の同方向回転シャフト221が、同軸的に嵌入される。第1ポジションコントロールシャフト220の逆方向回転シャフト222に、第1ドラフトコントロールシャフト420の逆方向回転シャフト422が、同軸的に嵌入される。第2ドラフトコントロールシャフト430に、第2ポジションコントロールシャフト230が同軸的に嵌入される。ポジションコントロールレバー6及びドラフトコントロールレバー8のうち、何れか一方の変位に応じて、第1ポジションコントロールシャフト220及び第1ドラフトコントロールシャフト420が、互いに軸A1,A2まわりに相対回転する。ポジションフィードバックロッド9及びドラフトフィードバックロッド10のうち、何れか一方の変位に応じて、第2ポジションコントロールシャフト230及び第2ドラフトコントロールシャフト430が、互いに軸A3まわりに相対回転する。これによれば、一方のシャフトの内部に、他方のシャフトを収容でき、シャフトを収容した分だけ、スペースを確保できる。このため、構成部品のレイアウトの自由度を、更に大きくすることができる。
【0111】
また、第1実施形態では特に、ポンパレバー7、及び、ポンパ伝達機構30が、備えられる。ポンパレバー7は、操作者の操作に応じて、第1位置から第2位置へ変位可能に構成される。ポンパ伝達機構30は、ポンパカム310と、ポンパシャフト320と、第2ポジションコントロールシャフト230と、を備える。ポンパシャフト320は、ポンパレバー7が操作されて第1位置から第2位置に変位したときに、ポンパレバー7の変位に応じて軸A3まわりに回転する。ポンパカム310は、ポンパシャフト7が回転したときに、ポンパシャフト7の回転に応じてスプール51の位置を作動油における給排出の許容側に向けて変位させ、第2ポジションコントロールシャフト230が回転したときに、第2ポジションコントロールシャフト230の回転に応じてスプール51の位置を作動油における給排出の規制側に向けて変位させる。このため、操作者の要望に応じて、リフトアーム2を容易に昇降させることができる。
【0112】
例えば、第1実施形態のように、ポンパ伝達機構30に、回転伝達部330が設けられる場合、回転伝達部330を介して、ポンパシャフト320及びポンパカム310の下端側313を、異軸で配置できる(
図11を参照)。このため、油圧シリンダ4、コントロールバルブ5等の配置に干渉することなく、ポンパシャフト320を、レイアウトすることができる。即ち、ポンパシャフト320及びポンパレバー7のレイアウトの自由度を、大きくすることができ、例えば、操作者が操作し易いようなレイアウトを採ることができる。また、回転伝達部330におけるリンク比を変更することで、ポンパレバー7の変位量に対する、ポンパカム310の変位量(スプール51の変位量)を調整できる。このため、操作者が操作し易いように、ポンパレバー7の操作範囲を調整できる。
【0113】
また、第1実施形態では特に、ポンパレバー7は、一端側71及び他端側72が規定され、一端側71が操作者により操作可能に構成されるとともに、操作に応じた変位として、他端側72を支点としてケース1に対して相対回転可能に構成される。更に、ポンパレバー7の相対回転を規制する回転規制部74が、備えられる。これにより、ポンパレバー7の操作によるインプルメントの上げの高さが、任意の位置となるように、意図的に規制することができる。例えば、インプルメントが上がりすぎると、重心位置も上がるため、転倒リスクが大きくなる。特に、傾斜地にて比較的重いインプルメント(例えば、プラウ等)を使用する際に、転倒リスクが大きくなる場合が多い。この様な場合に、インプルメントの上げの高さを適切に規制でき、安全性を向上できる。一方で、インプルメントの上げの高さが、必要最低限の高さとなるよう規制しておくことで、例えば、作業中断時の旋回後等にてインプルメントを下げる際に、インプルメントが接地するまでの時間を短くできる。従って、作業中断の時間を短縮でき、その分だけ作業効率を向上できる。
【0114】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態に係る油圧昇降装置100は、以下の点において、上述した第1実施形態と異なっている。第2実施形態の油圧昇降装置100においては、ブラケット3の構成が、第1実施形態のものと異なっている。また、第2ポジションコントロールシャフト230の回転に伴って、第2ドラフトコントロールシャフト430を連動させるために、各フィードバックロッド9,10の前端近傍に、所定の機構が追加された点も、第1実施形態と異なっている。これらの点以外については、第2実施形態は、第1実施形態と同じである。以下、第2実施形態の第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、第2実施形態の構成部位において、第1実施形態と同一・等価なものに対しては、同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0115】
図14は、第2実施形態の油圧昇降装置100の左側面図であり、
図3に対応している。
図15は、第2実施形態の油圧昇降装置100における各軸の位置関係を示す図であり、
図7に対応している。
図14及び
図15に示すように、ブラケット3における左側板35、及び、右側板36は、それぞれ略同一の形状を呈しており、他端側32から後側に延び、更に、下方の一端側31に向かって突出している。取り付け部35a,35b,35cは、この順序で、上から鉛直下向きに左側板35にて並列している。なお、取り付け部36a~cの位置関係も、取り付け部35a~cと同様である。
【0116】
図15に示すように、ブラケットシャフト33のブラケット軸Z2は、リフトアームシャフト23のリフトアーム軸Z1よりも、上下方向における高さH3だけ上側に位置する。取り付け部35aの軸Z3は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH4aだけ下側に位置する。取り付け部35bの軸Z4は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH4bだけ下側に位置する。取り付け部35cの軸Z5は、ブラケット軸Z2よりも、上下方向における高さH4cだけ下側に位置する。本実施形態では、各軸Z1~Z5の位置関係は、互いに左右方向に平行で、高さH4a<H3<H4b<H4cとなっているが、これに限定されない。
【0117】
図16は、第2実施形態の油圧昇降装置100における各フィードバックロッド9,10の前端部近傍の構成を示す斜視図である。
図17は、第2実施形態の油圧昇降装置100における各伝達機構の構成要素の位置関係を示しており、
図13に対応している。
図14、
図16、及び、
図17に示すように、各フィードバックロッド9,10の略中間部位よりも後側においては、ドラフトフィードバックロッド10は、ポジションフィードバックロッド9及びケース1の左側面の間に、位置している。一方、各フィードバックロッド9,10の略中間部位よりも前側においては、ドラフトフィードバックロッド10は、ポジションフィードバックロッド9よりも外側に、位置している。第2実施形態の油圧昇降装置100は、ポジションフィードバックロッド9及びドラフトフィードバックロッド10の前端部において、カム430a、カム230a、及び、カム11aを備えている。本実施形態においては、カム430a、カム230a、及び、カム11aは、第1変位伝達部、第2変位伝達部、及び、第3変位伝達部に対応している。以下、カム430a、カム230a、及び、カム11aを、第1変位伝達部430a、第2変位伝達部230a、及び、第3変位伝達部11aと、称呼する。
【0118】
第1変位伝達部430aは、第2ドラフトコントロールシャフト430と一体回転可能に、第2ドラフトコントロールシャフト430の左端側に接続されている。第1変位伝達部430aは、軸A3を軸として、前後方向に揺動可能となっている。第1変位伝達部430aの下端部は、ドラフトフィードバックロッド10の前端側102と、相対回転可能に接続されている。このため、ブラケット3が相対回転したときに、ドラフトフィードバックロッド10の変位に応じて、第1変位伝達部430aは、第2ドラフトコントロールシャフト430を回転させる。
【0119】
第2変位伝達部230aは、第2ポジションコントロールシャフト230と一体回転可能に、第2ポジションコントロールシャフト230の左端側に接続されている。第2変位伝達部230aは、軸A3を軸として、前後方向に揺動可能となっている。第2変位伝達部230aの下端部は、ポジションフィードバックロッド9の前端側92と、相対回転可能に接続されている。このため、リフトアーム2が相対回転したときに、ポジションフィードバックロッド9の変位に応じて、第2変位伝達部230aは、第2ポジションコントロールシャフト230を回転させる。
【0120】
第3変位伝達部11aは、略三角形状の平板であり、その略中央部に支点部11a1が設けられている。支点部11a1は、ケース1の左側面から左方に突出する突起部と、段付きボルトを介して相対回転可能に接続されている。これにより、第3変位伝達部11aは、支点部11a1を軸として、ケース1に対し相対回転可能となっている。第3変位伝達部11aは、その前端側が第1変位伝達部430aに当接したときに、第1変位伝達部430aを押圧可能に構成されている。第3変位伝達部11aの後端側は、第4変位伝達部11bを介して、第2変位伝達部230aと接続されている。
【0121】
第4変位伝達部11bは、略矩形状の平板であり、その両端部にて第3変位伝達部11a及び第2変位伝達部230aが、それぞれ相対回転可能に接続されている。第2変位伝達部230aにおける第4変位伝達部11bの接続部位は、ポジションフィードバックロッド9の前端側92よりも上側に位置している。
【0122】
図18に示すように、例えば、リフトアーム2の揺動によって、ポジションフィードバックロッド9が後方に変位する場合、第2変位伝達部230aは、後側に揺動するとともに、第2ポジションコントロールシャフト230を、軸A3まわりに方向R1へ回転させる。このとき、第2変位伝達部230aに連動して、第4変位伝達部11bは後方へ変位し、支点部11a1を支点として第3変位伝達部11aを回転させる。これにより、第3変位伝達部11aの前端側11a2は、前側に揺動していく。
【0123】
図19に示すように、前側に揺動する第3変位伝達部11aの前端側11a2は、第1変位伝達部430aに近接していき、いずれは後端側430a1に当接しつつ押圧する。なお、後端側430a1は、左右に伸びる丸棒形状となるよう構成されている。これにより、第1変位伝達部430aは、後側に揺動するとともに、第2ドラフトコントロールシャフト430を、軸A3まわりに方向R1へ回転させる。第1変位伝達部430aの後側への揺動によって、バネ102aが縮むようになっている。これにより、ドラフトフィードバックロッド10のバネ102aよりも後方部位は後方へは変位せず、ブラケット3は揺動しない。
【0124】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る油圧昇降装置100では、第1方向において、リフトアーム軸Z1よりも上側に、ブラケット軸Z2が位置しており、ブラケット軸Z2よりも下側に、各軸Z3,Z4,Z5をもつ取り付け部35a~c,36a~cが位置している(
図15を参照)。このように構成された取り付け部35a~c,36a~cに、トップリンクの前側端を連結させることで、ブラケット軸Z2をリフトアーム軸Z1よりも上側に位置させる場合であっても、トップリンクの前端側を十分に下方へ位置させることができる。従って、上述した第1実施形態で得られる効果と、同様の効果が得られる。
【0125】
また、第2実施形態では特に、各フィードバックロッド9,10の前端近傍に、第1変位伝達部430a、第2変位伝達部230a、第3変位伝達部11a、及び、第4変位伝達部11bが、備えられている。第3変位伝達部11aは、その前端側11a2にて、第1変位伝達部430aの後端側430a1に当接し、押圧可能に構成されている。第3変位伝達部11aは、支点部11a1を支点とし、第4変位伝達部11bを介して第2変位伝達部230aの回転に連動して回転するようになっている(
図18、及び、
図19を参照)。
【0126】
このため、第2ポジションコントロールシャフト230の回転に伴って、第2ドラフトコントロールシャフト430を連動させるために、第2変位伝達部230aの変位を、第3変位伝達部11aを介して、第1変位伝達部430aに伝達させることができる。第3変位伝達部11aでは、第2変位伝達部230aからの入力を、支点部11a1を支点として回転変位とすることができる。他方、第3変位伝達部11aから荷重を受ける第1変位伝達部430aも、回転変位する。従って、荷重方向と変位方向とを近づけることができるため、無理な力が加わることを抑制できる。更に、比較的強固な第3変位伝達部11aの前端側11a2、及び、第1変位伝達部430aの後端側430a1を、当接・押圧部位とすることができる。例えば、揺動する第2変位伝達部230aを、ドラフトフィードバックロッド10に当接・押圧させて、第2ドラフトコントロールシャフト430を連動させる構成も考えられる。この場合、第2変位伝達部230aからの入力が、ドラフトフィードバックロッド10に直接的に伝達し、ドラフトフィードバックロッド10の屈曲や変形が生じるおそれがある。他方、上述のように、第2実施形態の構成によれば、連携する部位の屈曲や変形を抑制しつつ、確実に変位を伝達できる。
【0127】
[変形例]
上記第1実施形態においては、ドラフトフィードバックロッド10に突出部102bが設けられ、揺動するカム230aが突出部102bに当接・押圧するようになっている。これに代えて、第2実施形態の第1変位伝達部430a、第2変位伝達部230a、及び、第3変位伝達部11aが、各フィードバックロッド9,10の前端近傍に備えられ、第2変位伝達部230aの変位を、第3変位伝達部11aを介して、第1変位伝達部430aに伝達させるように構成されてもよい。
【0128】
上記各実施形態においては、ブラケットシャフト33は、牽引負荷に応じた相対回転に際し、付勢力を発生するよう構成されているが、これに代えて、例えば、ブラケット3の他端側32をケース1の外側後端に軸支する機能のみを、有するようにしてもよい。この場合、ブラケットシャフト33は、ドラフト制御の実行に必要とされる付勢機能を有さない。このため、例えば、別途付勢機構を、ケース1及びブラケット3の間に介装し、ブラケット軸Z2を可能な範囲でリフトアーム軸Z1よりも下側又は上側に位置させ、取り付け部35a~c,36a~cを可能な範囲でブラケット軸Z2よりも下側に位置させてもよい。
【0129】
上記各実施形態においては、第1ドラフトコントロールシャフト420の同方向回転シャフト421に、第1ポジションコントロールシャフト220の同方向回転シャフト221が、同軸的に嵌入されている。これに代えて、第1ポジションコントロールシャフト220の同方向回転シャフト221が中空構造を呈し、第1ポジションコントロールシャフト220の同方向回転シャフト221に、第1ドラフトコントロールシャフト420の同方向回転シャフト421が、同軸的に嵌入されてもよい。
【0130】
上記各実施形態においては、第1ポジションコントロールシャフト220の逆方向回転シャフト222に、第1ドラフトコントロールシャフト420の逆方向回転シャフト422が、同軸的に嵌入されている。これに代えて、第1ドラフトコントロールシャフト420の逆方向回転シャフト422が中空構造を呈し、第1ドラフトコントロールシャフト420の逆方向回転シャフト422に、第1ポジションコントロールシャフト220の逆方向回転シャフト222が、同軸的に嵌入されてもよい。
【0131】
上記各実施形態においては、第2ドラフトコントロールシャフト430に、第2ポジションコントロールシャフト230が、同軸的に嵌入されている。これに代えて、第2ポジションコントロールシャフト230が中空構造を呈し、第2ポジションコントロールシャフト230に、第2ドラフトコントロールシャフト430が、同軸的に嵌入されてもよい。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
1 :ケース
2 :リフトアーム
21 :一端側
22 :他端側
23 :リフトアームシャフト
3 :ブラケット
31 :一端側
32 :他端側
33 :ブラケットシャフト
35a :取り付け部
35b :取り付け部
35c :取り付け部
36a :取り付け部
36b :取り付け部
36c :取り付け部
4 :油圧シリンダ
5 :コントロールバルブ
51 :スプール
6 :ポジションコントロールレバー
61 :一端側
62 :他端側
7 :ポンパレバー
71 :一端側
72 :他端側
74 :回転規制部
8 :ドラフトコントロールレバー
81 :一端側
82 :他端側
9 :ポジションフィードバックロッド
91 :後端側
92 :前端側
10 :ドラフトフィードバックロッド
101 :後端側
102 :前端側
11a :第3変位伝達部
11a1 :支点部
11a2 :前端側
11b :第4変位伝達部
100 :油圧昇降装置
20 :ポジションコントロール伝達機構
210 :ポジションコントロールカム
220 :第1ポジションコントロールシャフト
221 :同方向回転シャフト
222 :逆方向回転シャフト
223 :回転伝達部
230 :第2ポジションコントロールシャフト
230a :第2変位伝達部
30 :ポンパ伝達機構
310 :ポンパカム
320 :ポンパシャフト
330 :回転伝達部
40 :ドラフトコントロール伝達機構
410 :ドラフトコントロールカム
420 :第1ドラフトコントロールシャフト
421 :同方向回転シャフト
422 :逆方向回転シャフト
423 :回転伝達部
430 :第2ポジションコントロールシャフト
430a :第1変位伝達部
430a1:後端側
Z1 :リフトアーム軸
Z2 :ブラケット軸