(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043789
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】端子および端子とバスバーとの接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 4/58 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H01R4/58 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148979
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 大輔
(57)【要約】
【課題】バスバー固定部の固定機能を維持することが可能な端子および端子とバスバーとの接続構造を提供する。
【解決手段】端子10,10A,10Bは、バスバー本体81からアームが延びているバスバー80に接続される。端子10,10A,10Bは、電線60が電気的に接続される電線接続部12と、バスバー本体81またはアーム82に固定されて電気的に接続されるバスバー固定部13と、端子10,10A,10Bをアーム82に対して位置合わせする位置合わせ部11と、を備える。バスバー固定部13は、電線接続部12と位置合わせ部11との間に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー本体からアームが延びているバスバーに接続される端子であって、
電線が電気的に接続される電線接続部と、
前記バスバー本体または前記アームに固定されて電気的に接続されるバスバー固定部と、
前記端子を前記アームに対して位置合わせする位置合わせ部と、を備え、
前記バスバー固定部は、前記電線接続部と前記位置合わせ部との間に設けられている、端子。
【請求項2】
前記位置合わせ部は、前記アームに固定される、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記位置合わせ部は、前記アームの端面と同じ位置に揃う位置合わせ基準部を有している、請求項1に記載の端子。
【請求項4】
前記位置合わせ部は、前記アームの端面と接触可能に対向する位置に、位置合わせ基準部を有している、請求項1に記載の端子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の端子と、前記バスバーと、を備え、
前記アームは、一方の端面から他方の端面にかけて延びるアーム本体と、前記アーム本体の延び方向と交差する方向に延び、前記アーム本体と前記バスバー本体とをつなぐ連結部と、を有し、
前記位置合わせ部は、前記アーム本体の前記一方の端面側に配置され、
前記バスバー固定部は、前記アーム本体の前記他方の端面側に配置される、端子とバスバーとの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子および端子とバスバーとの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、端子とバスバーとの接続構造を開示している。端子は、電線が電気的に接続される電線接続部と、アームに固定されて電気的に接続されるバスバー固定部と、電線接続部とバスバー固定部との間に設けられてアームに固定されるアーム固定部と、を有している。
端子とバスバーとの接続構造は、特許文献2および特許文献3にも開示されている。特許文献4は、バスバー本体の母材と連結端子の母材とが接合されたクラッド鋼板に加工を施して成形された成形体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-92030号公報
【特許文献2】特開2014-154339号公報
【特許文献3】特開2014-60093号公報
【特許文献4】特開2019-8877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、バスバー固定部は、アーム固定部を介して電線接続部から離れた位置に距離を置いて配置されていた。このため、仮に、電線の引っ張りや振動等に起因して電線接続部に外力が作用し、アーム固定部の固定機能が損なわれると、バスバー固定部に大きな曲げモーメントが発生し、バスバー固定部の固定機能も損なわれる懸念があった。
【0005】
そこで、本開示は、バスバー固定部の固定機能を維持することが可能な端子および端子とバスバーとの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子は、バスバー本体からアームが延びているバスバーに接続される端子であって、電線が電気的に接続される電線接続部と、前記バスバー本体または前記アームに固定されて電気的に接続されるバスバー固定部と、前記端子を前記アームに対して位置合わせする位置合わせ部と、を備え、前記バスバー固定部は、前記電線接続部と前記位置合わせ部との間に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バスバー固定部の固定機能を維持することが可能な端子および端子とバスバーとの接続構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1において、端子とバスバーとを接続してなるバスバーモジュールの平面図である。
【
図2】
図2は、バスバーの要部を拡大した斜視図である。
【
図5】
図5は、位置合わせ部とアームとの接続部分の断面図である。
【
図6】
図6は、バスバー固定部とアームとの接続部分の断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態2において、端子とバスバーとを接続してなるバスバーモジュールの平面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態3において、端子とバスバーとを接続してなるバスバーモジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子は、
(1)バスバー本体からアームが延びているバスバーに接続される端子であって、電線が電気的に接続される電線接続部と、前記バスバー本体または前記アームに固定されて電気的に接続されるバスバー固定部と、前記端子を前記アームに対して位置合わせする位置合わせ部と、を備え、前記バスバー固定部は、前記電線接続部と前記位置合わせ部との間に設けられている。
上記構成によれば、バスバー固定部と電線接続部との間に位置合わせ部が介在しないので、バスバー固定部を電線接続部の近くに位置させることができる。このため、電線の振動等に起因して電線接続部に外力が作用したときに、バスバー固定部に大きな曲げモーメントが発生することを回避できる。よって、電線接続部に外力が作用しても、バスバー固定部の固定機能を維持することができる。また、位置合わせ部がアームに位置合わせされるので、バスバーに対するバスバー固定部の接続位置を適正な位置に定めることができる。
【0010】
(2)前記位置合わせ部は、前記アームに固定されることが好ましい。
上記構成によれば、バスバー固定部の固定機能に、位置合わせ部の固定機能が加わるため、端子をバスバーに安定して固定することができる。
【0011】
(3)前記位置合わせ部は、前記アームの端面と同じ位置に揃う位置合わせ基準部を有しているのが良い。
上記構成によれば、バスバーに端子を接続する際に、位置合わせ基準部の位置に基づいて、バスバーに対する端子の位置合わせを簡単に行うことができる。
【0012】
(4)前記位置合わせ部は、前記アームの端面と接触可能に対向する位置に、位置合わせ基準部を有しているのが良い。
上記構成によれば、バスバーに端子を接続する際に、位置合わせ基準部がアームの端面と突き当たる位置を位置合わせの基準にできるので、バスバーに対する端子の位置合わせを自動的に行うことができる。
【0013】
(5)端子とバスバーとの接続構造であって、上記(1)-(4)のいずれかに記載の端子と、前記バスバーと、を備え、前記アームは、一方の端面から他方の端面にかけて延びるアーム本体と、前記アーム本体の延び方向と交差する方向に延び、前記アーム本体と前記バスバー本体とをつなぐ連結部と、を有し、前記位置合わせ部は、前記アーム本体の前記一方の端面側に配置され、前記バスバー固定部は、前記アーム本体の前記他方の端面側に配置されるのが良い。
上記構成によれば、バスバーに端子を接続する際に、アームに対して位置合わせ部およびバスバー固定部を簡単に配置させることができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<実施形態1>
本開示の実施形態1に係る端子10は、
図1に示すように、バスバー80と電線60との間に介在する端子であって、バスバー80とともにバスバーモジュールを構成している。なお、以下の説明において、前後方向は、
図1の右側を前側とし、上下方向は、
図4の上側を上側とする。左右方向は、前側から見た場合の左側を左側とする。
図1-
図6の各図において、「前側」、「左側」、「上側」を、それぞれ、符号X、Y、Zで示す。これらの方向の基準は、便宜的なものであり、図示しない車両等に搭載された状態における方向の基準と必ずしも一致しない。
【0016】
(電線)
本実施形態1の電線60は、例えば、図示しない電圧検知装置から延び、前方を向く端末部に端子10を接続させている。電線60は、
図1および
図4に示すように、芯線等からなる導体61の外周を絶縁樹脂からなる被覆62で覆った被覆電線である。電線60の端末部においては、被覆62が除去されて導体61が露出している。
【0017】
(バスバー)
本実施形態1のバスバー80は、図示はしないが、電源装置に設けられた複数の電池から突出する電極端子に溶接されるバスバーを例示している。なお、電源装置としては、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載され、電動モータに電力を供給する電源装置を挙げることができる。
【0018】
バスバー80は、導電金属製の板材であって、
図1に示すように、バスバー本体81と、バスバー本体81から突出するアーム82と、を有している。
バスバー本体81は、矩形の平板状をなし、板面を上下方向に向けて配置されている。バスバー本体81には、上記電極端子の突起部分を通す2つの貫通孔83が形成されている。なお、図示する各貫通孔83は、開口形状を異にしているが、同一の開口形状であっても良い。
【0019】
アーム82は、バスバー本体81より相対的に小さいサイズであって、バスバー本体81から屈曲して長く延びる形状になっている。
図2に示すように、アーム82は、バスバー本体81の一縁(左側縁)との間に間隔を置いて配置され且つバスバー本体81の一縁と平行して前後方向に延びるアーム本体84と、左右方向に延びてバスバー本体81の一縁とアーム本体84とをつなぐ連結部85と、を有している。
【0020】
アーム本体84は、断面U字形をなし、左右方向の中間部で下向きに屈曲する曲げ部86と、曲げ部86の右側(バスバー本体81に近い側)から立ち上がる第1アーム部87と、曲げ部86の左側(バスバー本体81から遠い側)から立ち上がる第2アーム部88と、を有している。
図4に示すように、アーム本体84は、連結部85を介してバスバー本体81より上方に配置されている。
【0021】
図2に示すように、連結部85は、屈曲板状をなし、バスバー本体81の一縁から上方に突出した後、左方向に延び、さらに左端部から下向きに屈曲して第1アーム部87の前端部の上端面に連結されている。
【0022】
(端子)
端子10は、導電金属製の板材であって、前後方向に長く延びる形状になっている。
図1に示すように、端子10は、バスバー本体81の一縁との間に間隔を置いて平行に配置されている。端子10は、前端部(一方の端面側(前端面側)の端部)に位置合わせ部11を有し、後端部(他方の端面側(後端面側)の端部)に電線接続部12を有し、位置合わせ部11と電線接続部12との間にバスバー固定部13を有している。また、
図4に示すように、端子10は、前後方向の全長に亘って延びる基部14を有している。基部14は、位置合わせ部11、電線接続部12およびバスバー固定部13のそれぞれの底壁部分を構成し、後述する圧着によって左右方向の中央部を下向きに湾曲させた形状になる(
図5および
図6を参照)。
【0023】
電線接続部12は、電線60の導体61に圧着によって接続されるワイヤバレル部15と、電線60の被覆62に圧着によって接続されるインシュレーションバレル部16と、を有している。
図1に示すように、ワイヤバレル部15は、インシュレーションバレル部16より前側に、インシュレーションバレル部16と前後方向に並んで配置されている。ワイヤバレル部15およびインシュレーションバレル部16は、それぞれ、基部14の左右両側から互いに対向して立ち上がるバレル片17,18を有している。ワイヤバレル部15の各バレル片17は、電線60の導体61の外周に圧着固定され、導体61に電気的に接続される。インシュレーションバレル部16の各バレル片18は、電線60の被覆62の外周に圧着固定され、被覆62に機械的に接続される。
【0024】
図1および
図3に示すように、位置合わせ部11は、アーム本体84の前端部に対応して配置されている。位置合わせ部11の前端面は、アーム82の前端面、詳細にはアーム本体84の前端面および連結部85の前端面と同じ位置に揃うように配置されている。本実施形態1の場合、位置合わせ部11の前端面は、バスバー80に対して端子10を位置合わせする際の基準となる位置合わせ基準部19を構成している。
【0025】
図5に示すように、位置合わせ部11は、基部14の左側から立ち上がる位置合わせ片21を有している。位置合わせ部11の基部14は、アーム本体84の曲げ部86の下面に対向して配置されている。位置合わせ片21の上端部を除く部分は、第2アーム部88の左側面に対向して配置されている。位置合わせ片21の上端部は、圧着によって右向きに屈曲させられ、第2アーム部88の前端部の上端面に対向して配置されている。本実施形態1の場合、位置合わせ部11の上端部は、第2アーム部88の前端部の上端面に接触し、基部14との間に、アーム本体84の前端部を上下方向に挟み込むように配置されている。
【0026】
図5に示すように、位置合わせ部11は、全体として湾曲状に曲げ形成されている。位置合わせ部11の周方向の両端間は、連結部85と第1アーム部87との連結部分が入り込む逃げ空間22を構成している。
【0027】
図1および
図3に示すように、バスバー固定部13は、アーム本体84の後端部(以下、被固定部89と称する)に対応して配置されている。バスバー固定部13は、基部14の左右両側から互いに対向して立ち上がる固定片23を有している。
【0028】
図6に示すように、各固定片23は、圧着によって湾曲状に曲げられ、曲げの先端面を下向きとして、端子10の左右中間部で互いに突き合わさるように対向して配置される。各固定片23の曲げの先端面は、被固定部89における第1アーム部87および第2アーム部88のそれぞれを巻き込むように接触し、基部14との間に被固定部89を上下方向に挟み込むように配置されている。
【0029】
(作用)
バスバー80に端子10を接続させる際は、まず、アーム本体84の被固定部89の下方にバスバー固定部13の基部14を配置させ、且つアーム本体84の前端部の下方に位置合わせ部11の基部14を配置させる。そして、アーム本体84の被固定部89の左右両側に、圧着前の上方に起立した各固定片23を配置させ、第2アーム部88の前端部の左側に、圧着前の上方に起立した位置合わせ片21を配置させる。そして、視覚または治具等を用いて、位置合わせ基準部19を、アーム82の前端面(アーム本体84の前端面または連結部85の前端面)と同じ前後位置に揃える(
図3を参照)。
【0030】
続いて、アーム本体84の被固定部89にバスバー固定部13を圧着させ、且つアーム本体84の前端部に位置合わせ部11を圧着させる。本実施形態1においては、これらバスバー固定部13および位置合わせ部11の各圧着作業を、位置合わせ基準部19で位置合わせした状態で、同時にまたは別々に行うことができる。これにより、アーム本体84の被固定部89に各固定片23を適正位置で圧着固定することができ、且つアーム本体84の前端部に位置合わせ片21を適正位置で圧着固定することができる。
【0031】
また、上記バスバー固定部13および位置合わせ部11の圧着作業と前後し、好ましくはこれら圧着作業よりも前に、電線接続部12のワイヤバレル部15およびインシュレーションバレル部16にそれぞれ電線60の端末部における導体61および被覆62を接続させる。
【0032】
ところで、電線60の取り回し時や配索時に、電線60が引っ張られたり振動したりして、電線60から端子10に前後方向と交差する方向の外力が作用すると、電線接続部12からバスバー固定部13に外力が伝搬し、バスバー固定部13に曲げモーメントが発生することがある。ここで、バスバー固定部13に大きな曲げモーメントが発生すると、バスバー固定部13が変形する懸念がある。しかるに、本実施形態1の場合、
図1に示すように、バスバー固定部13と電線接続部12とが位置合わせ部11を介さずに互いに隣接して並んで配置されている。このため、上記外力が作用しても、バスバー固定部13に発生する曲げモーメントを小さく抑えることができる。その結果、バスバー固定部13が変形するのを回避でき、バスバー80に対するバスバー固定部13の固定機能を維持することができる。
【0033】
また、アーム82の前端面と端子10の位置合わせ基準部19とを同じ前後位置に揃えることにより、圧着作業を行う前に、バスバー80に対して端子10を位置合わせすることができる。その結果、バスバー80に対する端子10の接続位置(圧着位置)を適正に定めることができる。
【0034】
さらに、本実施形態1の場合、バスバー固定部13に加えて位置合わせ部11もバスバー80に対する固定機能を備えるため、端子10をバスバー80に安定して固定することができる。
【0035】
<実施形態2>
図7-
図9に示す本開示の実施形態2は、端子10Aの位置合わせ部11の構造が上記実施形態1のものとは異なる。その他は、上記実施形態1と同様である。なお、以下の説明において、上記実施形態1と同様な機能を有する部位(同様な形状に限らない)には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図7-
図9において、符号X、Y、Zは、それぞれ「前側」、「左側」、「上側」を示す。
【0036】
図7に示すように、位置合わせ部11は、基部14の左側から立ち上がる位置合わせ片21と、位置合わせ片21よりも前方に配置される止め部25と、を有している。
図9に示すように、止め部25は、基部14の左右両側から互いに対向して立ち上がる止め片26を有している。各止め片26は、基部14から連続して湾曲状に曲げられ、曲げの先端面を下向きとして、端子10Aの左右中間部を挟んだ位置に対向して配置されている。各止め片26の断面形状は、バスバー固定部13の各固定片23の断面形状と同様である。もっとも、各止め片26は、バスバー80に圧着される形状ではなく、各止め片26の内側は中空である。
【0037】
図7に示すように、各止め片26の後端面は、アーム本体84の前端面に前側から接触可能に対向する位置合わせ基準部19として構成される。
【0038】
バスバー80に端子10Bを接続させるのに先立ち、予め止め部25を上記の形状に曲げ加工しておく。その状態で、アーム本体84の被固定部89の下方にバスバー固定部13の基部14を配置させ、且つアーム本体84の前端部の下方に位置合わせ部11の基部14を配置させる。そして、アーム本体84の被固定部89の左右両側に、圧着前の上方に起立した各固定片23を配置させ、アーム本体84の前端部の左側に、圧着前の上方に起立した位置合わせ片21を配置させる。このとき、止め部25の位置合わせ基準部19をアーム本体84の前端面より前方に配置させる。次いで、アーム本体84に対して端子10Aを後方に移動させる。すると、止め部25の位置合わせ基準部19が第1アーム部87および第2アーム部88のそれぞれの前端面に突き当たり、アーム本体84に対する端子10Aの移動操作が停止される(
図7および
図8を参照)。これにより、その後の圧着工程で、アーム本体84の被固定部89にバスバー固定部13の各固定片23を適正位置で圧着固定することができ、且つアーム本体84の前端部に位置合わせ部11の位置合わせ片21を適正位置で圧着固定することができる。
【0039】
本実施形態2の場合、バスバー固定部13が電線接続部12に隣接して並んで配置されているので、上記実施形態1と同様、電線接続部12に外力が作用したときに、バスバー固定部13に発生する曲げモーメントを小さく抑えることができる。その結果、バスバー80に対するバスバー固定部13の固定機能を維持することができる。
【0040】
また、本実施形態2によれば、バスバー80に端子10Aを接続する際に、位置合わせ基準部19がアーム82の前端面と突き当たる位置を位置合わせの基準にできるので、バスバー80に対する端子10Aの位置合わせを自然に行うことができる。
【0041】
<実施形態3>
図10に示す本開示の実施形態3は、端子10Bの位置合わせ部11およびバスバー80のそれぞれの構造が上記実施形態1とは異なる。なお、以下の説明において、上記実施形態1と同様な機能を有する部位(同様な形状に限らない)には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図10において、符号X、Y、Zは、それぞれ「前側」、「左側」、「上側」を示す。
【0042】
端子10Bは、左右方向に延びる形状であって、右端側の端部に位置合わせ部11を有し、左端側の端部に電線接続部12を有し、左右中間部にバスバー固定部13を有している。端子10Bは、左右方向の全長に亘って延びる基部14を有している。基部14は、位置合わせ部11、電線接続部12およびバスバー固定部13のそれぞれの底壁部分を構成している。
【0043】
位置合わせ部11は、基部14の右端側の前側から立ち上がる板片27を有している。本実施形態3の位置合わせ部11は、バスバー80に対して固定される機能を有していない。
【0044】
バスバー本体81は、そのバスバー本体81の一縁側に、延出形状の被固定部89を有している。アーム82は、被固定部89より前方に配置されている。アーム82は、平面視L字形の板片状をなし、バスバー本体81の一縁から左側に突出し、さらに左端側から後方に延びる形状をなしている。アーム82の後端面は、被固定部89に間隔を置いて近接して配置されている。アーム82の後端面には、板片27を受け入れる凹部91が切り欠くように形成されている。
【0045】
実施形態3の場合、バスバーに端子10Bを接続させるのに先立ち、予め板片27を起立して形成しておく。その状態で、被固定部89の左端部の下方にバスバー固定部13の基部14を配置させ、且つ被固定部89の右端部の下方に位置合わせ部11の基部14を配置させる。そして、被固定部89の左端部の前後両側に、圧着前の上方に起立した各固定片23を配置させる。そして、板片27をアーム82の凹部91の内側に嵌合させる。これにより、バスバー80に対する端子10Bの接続位置(圧着位置)を定めることができる。その後、バスバー本体81の被固定部89にバスバー固定部13の各固定片23を圧着させる。
【0046】
実施形態3の場合、バスバー固定部13をアーム82ではなくバスバー本体81に固定することができる。また、固定機能を有さない簡単な形状の位置合わせ部11によってアーム82に対する端子10Bの位置合わせを行うことができる。
【0047】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1-3はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1-3の場合、電線接続部は、電線の導体に電気的に接続されるワイヤバレル部と、電線の被覆に機械的に接続されるインシュレーションバレル部と、に分れて構成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、電線接続部は、電線の導体に電気的および機械的に接続される共通のバレル部で構成されていても良い。
上記実施形態1-3の場合、バスバー固定部は、一対の固定片を有してバスバーに圧着固定されていた。これに対し、他の実施形態によれば、バスバー固定部は、バスバーに溶接等して固定されても良く、その形状が特に限定されない。
上記実施形態1、2の場合、位置合わせ部は、一つの位置合わせ片を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、位置合わせ部は、バスバーに対する端子の位置合わせが可能な形状であれば特に限定されず、例えば、一対の位置合わせ片で構成されていても良い。
上記実施形態2の場合、止め部は、一対の止め片を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、止め部は、端子の移動を停止可能な形状であれば特に限定されず、例えば、一つの止め片のみで構成されていても良い。
【符号の説明】
【0048】
10,10A,10B…端子
11…位置合わせ部
12…電線接続部
13…バスバー固定部
14…基部
15…ワイヤバレル部
16…インシュレーションバレル部
17…(ワイヤバレル部の)バレル片
18…(インシュレーションバレル部の)バレル片
19…位置合わせ基準部
21…位置合わせ片
22…逃げ空間
23…固定片
25…止め部
26…止め片
27…板片
60…電線
61…導体
62…被覆
80…バスバー
81…バスバー本体
82…アーム
83…貫通孔
84…アーム本体
85…連結部
86…曲げ部
87…第1アーム部
88…第2アーム部
89…被固定部
91…凹部