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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043796
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】マップ学習方法、及びマップ学習装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240326BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240326BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/46
H02J7/34 J
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J7/34 B
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148987
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木内 寛允
(72)【発明者】
【氏名】村井 謙介
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA03
5G064DA11
5G066AA03
5G066AE09
5G066HA15
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503DA07
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】要求値を満たす指標を探索する時間を削減して制御を高速化する。
【解決手段】電力制御システムは、同報送信された指標値を受信した1又は2以上の充放電要素の各々が指標値に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御し、コントローラが、指標値に対する1又は2以上の充放電要素を含むグループ全体の応答として想定されるグループ全体の充放電電力の想定値を示すマップを用いて、グループ全体の充放電電力を制御する。マップ学習方法は、マップからグループ全体に対して要求される充放電電力の要求値PTiに対応する第1指標値を算出し(S01)、第1指標値Si+1を同報送信し(S02)、第1指標値Si+1に対するグループ全体の充放電電力の第1出力値Pi+1を計測し(S03)、要求値PTi及び第1出力値Pi+1を用いてマップを学習する(S07)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同報送信された指標値を受信した1又は2以上の充放電要素の各々が前記指標値に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御し、コントローラが、前記指標値に対する前記1又は2以上の充放電要素を含むグループ全体の応答として想定される前記グループ全体の充放電電力の想定値を示すマップを用いて、前記グループ全体の充放電電力を制御する電力制御システムにおける、前記マップを学習するマップ学習方法であって、
前記マップから、前記グループ全体に対して要求される充放電電力の要求値に対応する第1指標値を算出し、
前記第1指標値を同報送信し、
前記第1指標値に対する前記グループ全体の充放電電力の第1出力値を計測し、
前記要求値及び前記第1出力値を用いて前記マップを学習する
マップ学習方法。
【請求項2】
前記第1出力値が前記要求値よりも小さい場合、前記マップにおける前記第1指標値より小さい第1の範囲の電力増加率を小さくし、前記マップにおける前記第1指標値より大きい第2の範囲の電力増加率を大きくすることにより前記マップを学習する請求項1記載のマップ学習方法。
【請求項3】
前記第1出力値が前記要求値よりも小さく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも小さい場合、前記第2出力値に対応する前記マップ上の第2指標値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を小さくし、前記第1指標値から前記指標値の最大値までの前記電力増加率を大きくすることにより前記マップを学習する請求項2記載のマップ学習方法。
【請求項4】
前記第1指標値から前記指標値の最大値までの前記電力増加率の平均値が閾値よりも大きい場合、前記指標値の最大値に対する前記想定値を小さくして、再度、前記マップを学習する請求項3記載のマップ学習方法。
【請求項5】
前記第1出力値が前記要求値よりも小さく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも大きい場合、前記指標値の最小値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を小さくし、前記第1指標値から前記第2出力値に対応する前記マップ上の第2指標値までの前記電力増加率を大きくすることにより前記マップを学習する請求項2記載のマップ学習方法。
【請求項6】
前記第1出力値が前記要求値よりも大きい場合、前記マップにおける前記第1指標値より小さい第3の範囲の電力増加率を大きくし、前記マップにおける前記第1指標値より大きい第4の範囲の電力増加率を小さくすることにより前記マップを学習する請求項1記載のマップ学習方法。
【請求項7】
前記第1出力値が前記要求値よりも大きく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも小さい場合、前記第2出力値に対応する前記マップ上の第2指標値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を大きくし、前記第1指標値から前記指標値の最大値までの前記電力増加率を小さくすることにより前記マップを学習する請求項1記載のマップ学習方法。
【請求項8】
前記第1出力値が前記要求値よりも大きく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも小さい場合、前記第2指標値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を定数にする請求項7記載のマップ学習方法。
【請求項9】
前記第1出力値が前記要求値よりも大きく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも大きい場合、前記指標値の最小値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を大きくし、前記第1指標値から前記第2出力値に対応する前記マップ上の第2指標値までの前記電力増加率を小さくすることにより前記マップを学習する請求項6記載のマップ学習方法。
【請求項10】
前記第1出力値が前記要求値よりも大きく、前記第1指標値を同報送信する前の前記グループ全体の充放電電力の第2出力値が前記要求値よりも大きい場合、前記指標値の最小値から前記第1指標値までの前記マップの電力増加率を定数にする請求項9記載のマップ学習方法。
【請求項11】
学習率k(kは0~1の数)を乗じた学習前の前記マップに、1から前記学習率kを減じた値を乗じた学習後の前記マップを加算することにより、学習後の前記マップを修正する請求項1記載のマップ学習方法。
【請求項12】
地域、季節、月、平日/休日、曜日、又は時間帯区分に応じて異なる前記マップを学習する請求項1記載のマップ学習方法。
【請求項13】
同報送信された指標値を受信した1又は2以上の充放電要素の各々が前記指標値に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御し、コントローラが、前記指標値に対する前記1又は2以上の充放電要素を含むグループ全体の応答として想定される前記グループ全体の充放電電力の想定値を示すマップを用いて、前記グループ全体の充放電電力を制御する電力制御システムにおける、前記マップを学習するマップ学習装置であって、
前記マップから、前記グループ全体に対して要求される充放電電力の要求値に対応する第1指標値を算出する指標値算出部と、
前記第1指標値を同報送信する同報送信部と、
前記第1指標値に対する前記グループ全体の充放電電力の第1出力値を計測する電力計測部と、
前記要求値及び前記第1出力値を用いて前記マップを学習するマップ学習部と、
を有するマップ学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マップ学習方法、及びマップ学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のパワーコンディショナと、これら複数のパワーコンディショナを管理する集中管理装置とを備える電力システムを開示する。集中管理装置は、調整対象電力を検出し、調整対象電力が目標電力となるように、複数のパワーコンディショナそれぞれの個別出力電力を制御するための指標を複数のパワーコンディショナへ送信する。複数のパワーコンディショナは、集中管理装置から送信された指標に基づき、制約付き最適化問題を解くことで自装置の個別目標電力を算出し、自装置の個別出力電力を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/150376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の集中管理装置は、目標電力と調整対象電力との差分電力を定数倍した値を現在の指標に加算することで指標を更新し、差分電力がゼロになるまで、指標の更新及び送信を繰り返す。このため、現在の指標と目標電力を満たす指標との差が大きい場合、指標を探索する時間が長くなり、制御応答性が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、制御目標を満たす指標を探索する時間を削減して制御を高速化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、同報送信された指標値を受信した1又は2以上の充放電要素の各々が指標値に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御し、コントローラが、指標値に対する1又は2以上の充放電要素を含むグループ全体の応答として想定されるグループ全体の充放電電力の想定値を示すマップを用いて、グループ全体の充放電電力を制御する電力制御システムにおけるマップ学習方法である。マップ学習方法は、マップからグループ全体に対して要求される充放電電力の要求値に対応する第1指標値を算出し、第1指標値を同報送信し、第1指標値に対するグループ全体の充放電電力の第1出力値を計測し、要求値及び第1出力値を用いてマップを学習する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、要求値を満たす指標を探索する時間を削減して制御を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1乃至第3実施形態に係る電力制御システムを構成するコントローラ1及び電気自動車(EV1、EV2、EV3、・・・、以後纏めてEVと呼ぶ)の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1乃至第3実施形態に係るマップ学習方法であって、(a)は図1のコントローラ1が行うマップ学習方法を示すフローチャートであり、(b)は各電気自動車EVが行う充放電制御方法を示すフローチャートである。
図3図3は、第2及び第3実施形態に係るマップ学習方法であって、図2のステップS07に示すマップ学習ステップの具体的な手順の一例を示すフローチャートである(その1)。
図4図4は、第2及び第3実施形態に係るマップ学習方法であって、図2のステップS07に示すマップ学習ステップの具体的な手順の一例を示すフローチャートである(その2)。
図5A図5Aは、図3及び図4に示すマップ学習ステップの説明を補助するための線グラフ(マップの一例)である。
図5B図5Bは、図3及び図4に示すマップ学習ステップの説明を補助するための線グラフ(マップの一例)であって、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも小さい場合の学習例を示す図である(その1)。
図5C図5Cは、図3及び図4に示すマップ学習ステップの説明を補助するための線グラフ(マップの一例)であって、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも小さい場合の学習例を示す図である(その2)。
図6A図6Aは、図3及び図4に示すマップ学習ステップの説明を補助するための線グラフ(マップの一例)であって、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合の学習例を示す図である(その1)。
図6B図6Bは、図3及び図4に示すマップ学習ステップの説明を補助するための線グラフ(マップの一例)であって、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合の学習例を示す図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、実施形態及びその変形例を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して、第1実施形態に係る電力制御システムを構成するコントローラ1(マップ学習装置の一例)及び電気自動車(EV1、EV2、EV3、・・・、以後纏めてEVと呼ぶ)の構成を説明する。電力制御システムは、コントローラ1が1又は2以上の電気自動車EVへ指標値を示す信号を同報送信し、指標値を示す信号を受信した1又は2以上の電気自動車EVの各々が指標値に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御する自律分散型制御システムである。1又は2以上の電気自動車EVは、1つのグループ2を形成している。
【0011】
電気自動車EVの各々は、例えば、電気エネルギーを蓄えるバッテリ22と、指標値に基づいてバッテリ22の充放電電力を制御する電力調整装置21とを備えている。電力調整装置21は、例えば、バッテリ22の現在のSOC(State of Charge:充電率)、充放電後の目標SOC、及び充放電の開始予定時刻及び終了予定時刻を含む自己の状態を示す情報を取得する状態取得部23と、コントローラ1が同報送信した指標値を受信する指標値受信部27と、受信した指標値及び自己の状態に基づいて充放電電力の目標値を算出する充放電電力算出部26と、算出した目標値に沿ってバッテリ22の充放電電力を制御する出力制御部25とを備えている。上記した電気自動車EVの構成は一例であり、電気自動車EVの各々は指標値に基づいて自己の充放電電力を自律分散的に制御する他の構成を有していても構わない。また、電気自動車EVは、充放電要素の一例であって、充放電要素には、電気自動車EV以外にも、充電又は放電の少なくとも一方が可能な、あらゆる機器及び装置が含まれる。
【0012】
コントローラ1は、指標値に対するグループ2全体の応答として想定されるグループ2全体の充放電電力の想定値(以後、「想定電力」と呼ぶことがある)を示すマップを記憶するメモリ15を有していてもよい。「想定電力」とは、具体的に、指標値をグループ2に含まれる電気自動車EVに対して同報送信した時に、当該指標値を受信したグループ2内の電気自動車EVの各々が充電又は放電する電力、すなわち出力する電力を合算した電力として想定される電力である。マップは、指標値と想定電力との相対関係を示すデータである。メモリ15の代わりに、例えばクラウドサーバーのような他の記憶装置にマップを記憶してもよい。
【0013】
コントローラ1は、マップから、グループ2全体に対して要求される充放電電力の要求値(以後、「要求電力」と呼ぶことがある)に対応する指標値を算出する指標値算出部12と、要求電力を計測する電力計測部11と、算出した指標値を同報送信する同報送信部13とを更に有する。同報送信する指標値は、マップ上の想定電力に要求電力を適用した時の指標値である。要求電力は、例えば電力系統3からグループ2全体に対して要求されるグループ2全体の充放電電力である。電力計測部11は、要求電力の他に、同報送信した指標値に対するグループ2全体の応答であるグループ2全体の充放電電力の出力値(以後、「出力電力」と呼ぶことがある)も計測する。「出力電力」とは、具体的に、指標値を受信したグループ2内の電気自動車EVの各々が実際に充電又は放電した電力、すなわち出力した電力を合算した電力である。出力電力は、電力計測部11を介して、電力系統3へ出力される。つまり、グループ2全体で放電した場合、グループ2全体の放電電力量は、グループ2から電力系統3へ供給される。一方、グループ2全体で充電した場合、グループ2全体の充電電力量は、電力系統3からグループ2へ供給される。
【0014】
電力系統3には、スマートグリッド、スマートコミュニティ、及び、事業所や工場などの限られた範囲でエネルギー供給源から末端消費部分を通信網で管理するマイクログリッド、及びxEMS、EnMS、EMSなどのエネルギー管理システム(Energy Management System)が含まれる。xEMSには、BEMS(ビルエネルギー管理システム)、HEMS(ホームエネルギー管理システム)、MEMS(マンションエネルギー管理システム)、FEMS(工場エネルギー管理システム)、及びCEMS(地域エネルギー管理システム)が含まれる。
【0015】
コントローラ1は、マップを用いてグループ2全体の充放電電力を制御する。具体的に、コントローラ1は、要求電力を満たす指標値をマップ上で探索する。例えば、コントローラ1は、要求電力と出力電力との差分電力を定数倍した値を、前回同報送信した指標値に加算することにより指標値を更新し、更新後の指標値を同報送信する。コントローラ1は、差分電力がゼロになる、つまり、要求電力と出力電力が一致するまで、上記した指標値の更新及び指標値の同報送信を交互に繰り返し行うことにより、要求電力を満たす指標値をマップ上で探索する。詳細は、国際公開第2017/150376号の開示を援用可能である。
【0016】
コントローラ1は、要求電力及び出力電力を用いてマップを学習するマップ学習部14を更に有する。第1実施形態において、マップ学習部14による具体的な学習方法は、特に問わず、グループ2全体の電力制御の応答性を向上させるための種々の方法を用いることができる。具体的に、マップ学習部14は、マップの想定電力(=要求電力)が実際の出力電力に近づくようにマップを補正することにより学習する。例えば、複数の異なる指標値を同報送信して指標値の各々に対する出力電力を計測し、これらの計測値の近似曲線を求めてもよい。一方、第2及び第3実施形態において、具体的な学習方法を特定した実施形態を説明する。
【0017】
図2を参照して、図1のコントローラ1が行うマップ学習方法、及び各電気自動車EVの電力調整装置21が行う充放電制御方法を説明する。図2に示すフローチャートは、予め定めた学習周期で繰り返し実行されてもよい。ステップS01において、電力計測部11は、現在の出力電力(P)、及び要求電力(PTi)を計測する。コントローラ1は、現在の指標値(S)を示す情報を取得する。なお、現在の指標値(S)とは、前回の制御周期(i)のステップS02で算出され、ステップS03で同報送信された指標値に相当する。現在の出力電力(P)は、前回の制御周期(i)のステップS06で計測された出力電力に相当する。
【0018】
ステップS02に進み、指標値算出部12は、マップ(M)から、要求電力(PTi)に対応する指標値(Si+1)を算出する。ステップS03に進み、同報送信部13は、算出した指標値(Si+1)を示す信号をグループ2に属する全ての電気自動車EVに対して同報送信する。
【0019】
ステップS04に進み、各電気自動車EVの指標値受信部27は、同報送信された指標値(Si+1)を示す信号を受信する。ステップS05に進み、各電気自動車EVの電力調整装置21は、指標値(Si+1)に基づいて自己の充放電電力を自律的に制御する。具体的には、状態取得部23が自己の状態を示す情報を取得し、充放電電力算出部26が指標値及び自己の状態を用いた最適化問題に基づいて自己の充放電電力の目標値を算出する。そして、出力制御部25が、算出した目標値に沿ってバッテリ22の充放電電力を制御する。各電気自動車EVの充放電制御の詳細は、国際公開第2017/150376号の個別出力電力の制御を援用可能である。
【0020】
ステップS06に進み、コントローラ1の電力計測部11は、ステップS03で同報送信した指標値(Si+1)に対するグループ2全体の応答である出力電力(Pi+1)を計測する。ステップS07に進み、マップ学習部14は、要求電力(PTi)及び出力電力(Pi+1)を用いてマップ(M)を学習して、学習後のマップ(Mi+1)をメモリ15に記憶する。
【0021】
マップ学習部14が、要求電力及び出力電力を用いてマップを学習することにより、マップの精度が向上する。すなわち、マップ(M)の想定電力と実際の出力電力(P)の誤差を小さくすることができる。よって、コントローラ1が学習後のマップを用いてグループ2全体の充放電電力を制御することにより、要求電力を満たす指標値を探索する時間が短くなり、コントローラ1はグループ2全体の充放電電力を応答性良く制御することができる。これにより、1又は2以上の電気自動車EVへ指標値を同報送信し、指標値を受信した電気自動車EVの各々が自己の充放電電力を自律的に制御する電力制御システムにおけるグループ2全体の電力制御が高速化する。
【0022】
(変形例1)
グループ2に属する電気自動車EVの台数及びSOC等の電気自動車EVの状態は、地域、季節、月、平日/休日、曜日、及び時間帯区分を含む変動要素に応じて異なる一方、これらの変動要素が一致すれば、電気自動車EVの台数や状態は、同じ傾向を示すことがある。例えば、電力系統3が職場やショッピングモールなどの限られた範囲でエネルギー供給源から末端消費部分までを通信網で管理するマイクログリッドである場合、平日/休日に応じて、グループ2に属する電気自動車EVの台数が大きく異なることが想定される。一方で、平日であれば、曜日が異なっても同じ傾向を示すことも想定される。このように、指標値が同じであっても、地域、季節、月、平日/休日、曜日、又は時間帯区分に応じて、グループ2全体の出力電力も異なる。
【0023】
そこで、マップ学習部14は、地域、季節、月、平日/休日、曜日、又は時間帯区分に応じて異なるマップを学習しても構わない。さらに、2以上の変動要素(地域、季節、月、平日/休日、曜日、又は時間帯区分)を組み合わせて、異なるマップを学習してもよい。これにより、共通する1つのマップを用いて電力制御を行う場合に比べて、要求電力に対応する指標値を探索する時間が短くなり、コントローラ1はグループ2全体の充放電電力を応答性良く制御することができる。例えば、日本用/北米用/欧州用マップ、春用/夏用/秋用/冬用マップ、平日用/休日用マップ、通勤時間帯用/業務時間帯用マップ、等を予め別々に用意して学習することができる。また、決まった時刻にグループ2に属する電気自動車EV、決まった時刻に移動する電気自動車EV、優先順位が固定されている複数の電気自動車EV、等のグループ2に属する特定の車両が有する個別具体的な事情があれば、当該事情に応じて個別にマップを作成しても構わない。
【0024】
(第2実施形態)
第2及び第3実施形態において、図2のステップS07(マップ学習ステップ)の詳細な手順を特定した実施形態を説明する。図3及び図4は、第2及び第3実施形態に係るマップ学習方法であって、図2のステップS07に示すマップ学習ステップの具体的な手順の一例を示すフローチャートである。第2及び第3実施形態において、コントローラ1の構成及び各電気自動車EVの構成は図1に示したそれらと同じであり、マップ学習方法の全体構成及び各電気自動車EVが行う充放電制御方法は図2に示したそれらと同じである。
【0025】
第2実施形態では、図3図4図5A図5Bを参照して、想定よりも出力電力が小さいため指標値を大きくする方向へ探索する場合のマップ学習方法を示す。図5Aは、マップ(M)の一例としての線グラフを示す。横軸は指標値(S)を示し、縦軸は想定電力を示す。マップ上の想定電力に要求電力(PTi)を当てはめることにより、対応する指標値(Si+1)を算出することができる。なお、マップには、指標値の最小値(Smin)及び最大値(Smax)が設定され、想定電力の最小値及び最大値(Pmax)がそれぞれ対応している。図5Aでは、マップ(M)の一例として、指標値及び想定電力の最小値と最大値の間を、曲線又は直線からなる線分で結ぶ線グラフを示すが、マップは他の形態であっても構わない。
【0026】
マップ学習部14は、図3及び図4に示す各ステップを実行する。まず、ステップS701において、ステップS01で計測した要求電力(PTi)が、同じステップS01で計測した現在の出力電力(P)よりも大きいか否かを判断する。図5Aは、ステップS701でYESの場合を示す。ステップS701でYESの場合、ステップS702へ進み、ステップS06で計測した出力電力(Pi+1)がステップS01で計測した要求電力(PTi)よりも大きいか否かを判断する。図5Bは、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも小さい場合を示す。ステップS702でNOの場合、マップの想定よりも出力電力(Pi+1)が小さいため、コントローラ1は、指標値を大きくする方向へ探索することになる。この場合、ステップS703へ進み、マップ学習部14は、図5Bに示すように、マップ(M)における指標値(Si+1)より小さい第1の範囲の電力増加率を小さくし、マップ(M)における指標値(Si+1)より大きい第2の範囲の電力増加率を大きくすることによりマップ(M)を学習する。当該マップ学習により、要求電力(PTi)に対応する指標値を大きくすることができる。よって、指標値を大きくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。
【0027】
より詳細には、マップ学習部14は、ステップS03で指標値(Si+1)を同報送信する前の出力電力(P)に対応するマップ上の指標値(S)から指標値(Si+1)までのマップ(M)の電力増加率(微分値)すなわち線グラフの傾きを小さくし、指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率を大きくする。この時、指標値(S)から指標値(Si+1)までの電力増加率を一律に小さくしてもよい。指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率を一律に大きくしてもよい。マップ(M)上の指標値(Si+1)に対応する想定電力を出力電力(Pi+1)と一致させてもよい。マップ(M)上の指標値(S)及び指標値の最大値(Smax)に対応する各想定電力は変更しなくてもよい。指標値(S)及び指標値(Si+1)において電力増加率を連続させてもよい。ステップS703により、図5Bに示す学習後のマップ(Mi+1)が得られる。
【0028】
図5Bに示す学習後のマップ(Mi+1)によれば、要求電力(PTi)に対応する指標値として、指標値(Si+1)よりも大きな指標値(Si+2)を算出することができるようになる。よって、指標値を大きくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。
【0029】
ステップS704に進み、マップ学習部14は、図5Bに示すように、指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率の平均値32aが閾値よりも大きいか否かを判断する。閾値は、マップ(M)における電力増加率(傾き)の最大値βを基準に設定される。電力増加率(傾き)が大きい程、より高い密度の電気自動車EVの存在を示している。例えば、最大値βの1.2倍の値を閾値とすることにより、指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの間に、電気自動車EVの最大密度の1.2倍より多い電気自動車EVを想定しているか否かを判断できる。ステップS704でYESの場合、指標値の最大値(Smax)に対する想定電力の最大値(P’max)を電気自動車EV1台分の電力だけ小さくして、ステップS703に戻り、再度、マップ(Mi+1)を学習する。図5Cに示すように、マップ学習部14は、指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率の平均値32bが閾値以下になるまで、ステップS703~S705を繰り返し実施する。ステップS704及びS705によれば、マップの電力増加率(傾き)を電気自動車EVの最大密度の想定内に収めることができる。よって、指標値を大きくする方向へ探索する時の探索時間がさらに短くなり、グループ2全体の電力制御が高速化する。ステップS704でNOの場合、ステップS709に進む。
【0030】
なお、ステップS703の後に、ステップS704及びステップS705を実施する例を示したが、ステップS704及びステップS705を実施せずに、ステップS709へ進んでも構わない。
【0031】
ステップS709において、マップ学習部14は、学習率k(kは0~1の数)を乗じた学習前のマップ(M)に、1から学習率kを減じた値を乗じた学習後のマップ(Mi+1)を加算することにより、学習後のマップ(Mi+1)を修正する。図2の学習サイクルにおいて、学習前のマップ(M)全体を学習後のマップ(Mi+1)で置換した場合、イベントなどが開催され、通常よりも多くの電力が消費された特殊な日の後の制御が低速化する恐れがある。そこで、学習率(k)を用いて、学習前のマップ(M)と学習後のマップ(Mi+1)とを合成することにより、特殊な日によるノイズの影響を除去しつつマップを学習することができる。また、変形例1に述べたように複数のマップを個別に学習する場合、マップごとに学習率kを変更してもよい。
【0032】
一方、ステップS701でNOの場合、図4のS710へ進み、ステップS702と同様にして、ステップS06で計測した出力電力(Pi+1)がステップS01で計測した要求電力(PTi)よりも大きいか否かを判断する。ステップS710でNOの場合、マップの想定よりも出力電力(Pi+1)が小さいため、コントローラ1は、指標値を大きくする方向へ探索することになる。この場合、ステップS711へ進み、ステップS703と同様にして、マップ学習部14は、マップ(M)における指標値(Si+1)より小さい第1の範囲の電力増加率を小さくし、マップ(M)における指標値(Si+1)より大きい第2の範囲の電力増加率を大きくすることによりマップ(M)を学習する。当該マップ学習により、要求電力(PTi)に対応する指標値を大きくすることができる。よって、指標値を大きくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。
【0033】
より詳細には、マップ学習部14は、指標値の最小値(Smin)から指標値(Si+1)までのマップ(M)の電力増加率を小さくし、指標値(Si+1)からステップS03で指標値(Si+1)を同報送信する前の出力電力(P)に対応するマップ上の指標値(S)までの電力増加率を大きくする。この時、最小値(Smin)から指標値(Si+1)までの電力増加率を一律に小さくしてもよい。指標値(Si+1)から指標値(S)までの電力増加率を一律に大きくしてもよい。マップ上の指標値(Si+1)に対応する想定電力を出力電力(Pi+1)と一致させてもよい。マップ上の最小値(Smin)及び指標値(S)に対応する各想定電力は変更しなくてもよい。指標値(S)及び指標値(Si+1)において電力増加率を連続させてもよい。ステップS711により、学習後のマップ(Mi+1)が得られる。ステップS711の後、処理は図3のステップS709へ進む。
【0034】
ステップS711で学習した後のマップ(Mi+1)によれば、要求電力(PTi)に対応する指標値として、指標値(Si+1)よりも大きな指標値を算出することができるようになる。よって、指標値を大きくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。
【0035】
(第3実施形態)
第3実施形態では、図3図4図6A、及び図6Bを参照して、想定よりも出力電力が大きいため指標値を小さくする方向へ探索する場合のマップ学習方法を示す。出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合、電力系統3に対する過放電又は過充電が発生し、商用電源の周波数低下、逆潮流、システム不具合、等、電力系統3に対して様々な影響を与えてしまうため、コントローラ1は、電力系統3に対する過放電又は過充電を直ちに解消する必要がある。
【0036】
図6Aは、図3のステップS702でYESの場合、すなわち、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合を示す。この場合、マップ(M)の想定よりも出力電力(Pi+1)が大きいため、コントローラ1は、指標値を小さくする方向へ探索することになる。ステップS706へ進み、マップ学習部14は、図6Aに示すように、マップ(M)における指標値(Si+1)より小さい第3の範囲の電力増加率を大きくし、マップ(M)における指標値(Si+1)より大きい第4の範囲の電力増加率を小さくすることによりマップ(M)を学習する。当該マップ学習により、要求電力(PTi)に対応する指標値を小さくすることができる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電又は過充電を直ちに解消することができる。
【0037】
より詳細には、マップ学習部14は、ステップS03で指標値(Si+1)を同報送信する前の出力電力(P)に対応するマップ(M)上の指標値(S)から指標値(Si+1)までのマップ(M)の電力増加率を大きくし、指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率を小さくする。この時、指標値(S)から指標値(Si+1)までの電力増加率を一律に大きくしてもよい。指標値(Si+1)から指標値の最大値(Smax)までの電力増加率を一律に小さくしてもよい。マップ(M)上の指標値(Si+1)に対応する想定電力を出力電力(Pi+1)と一致させてもよい。マップ(M)上の指標値(S)及び指標値の最大値(Smax)に対応する各想定電力は変更しなくてもよい。指標値(S)及び指標値(Si+1)において電力増加率を連続させてもよい。ステップS706により、図6Aに示す学習後のマップ(Mi+1)が得られる。
【0038】
図6Aの学習後のマップ(Mi+1)によれば、要求電力(PTi)に対応する指標値として、指標値(Si+1)よりも小さな指標値(Si+2)を算出することができるようになる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電又は過充電を直ちに解消することができる。
【0039】
ステップS707に進み、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合に損失が発生するか否かを判断する。出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合とは、具体的には、電力系統3に対して、過放電又は過充電が発生している場合であり、直ちに過放電又は過充電を解消するため、指標値を早急に下げる必要がある。そこで、ステップS707において、過放電又は過充電により損失が発生しているか否かを判断する。損失が発生している場合(ステップS707でYES)、ステップS708に進み、損失が発生していない場合(ステップS707でNO)、ステップS708をスキップして、ステップS709へ進む。
【0040】
ステップS708において、図6Bに示すように、ステップS03で指標値(Si+1)を同報送信する前の出力電力(P)に対応するマップ(Mi+1)上の指標値(S)から指標値(Si+1)までのマップ(M)の電力増加率を定数とする。ステップS708により、図6Bに示す学習後のマップ(M’i+1)が得られる。図6Bの学習後のマップ(M’i+1)によれば、マップ(M’i+1)に比べて、指標値(Si+2)を更に小さくすることができる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電状態又は過充電状態を直ちに解消することができる。
【0041】
なお、ステップS706の後に、ステップS707又はステップS707及びステップS708を実施せずに、ステップS709へ直接進んでも構わない。或いは、ステップS706の後に、S707で損失の有無を判断せずに、ステップS708へ直接進んでも構わない。
【0042】
一方、図4のステップS710でYESの場合、すなわち、ステップS06で計測した出力電力(Pi+1)がステップS01で計測した要求電力(PTi)よりも大きい場合、コントローラ1は、指標値を小さくする方向へ探索することになる。この場合、ステップS712へ進み、マップ学習部14は、マップ(M)における指標値(Si+1)より小さい第3の範囲の電力増加率を大きくし、マップ(M)における指標値(Si+1)より大きい第4の範囲の電力増加率を小さくすることによりマップ(M)を学習する。当該マップ学習により、要求電力(PTi)に対応する指標値を小さくすることができる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電又は過充電を直ちに解消することができる。
【0043】
より詳細には、マップ学習部14は、指標値の最小値(Smin)から指標値(Si+1)までのマップ(M)の電力増加率を大きくし、指標値(Si+1)からステップS03で指標値(Si+1)を同報送信する前の出力電力(P)に対応するマップ(M)上の指標値(S)までの電力増加率を小さくする。この時、指標値の最小値(Smin)から指標値(Si+1)までの電力増加率を一律に大きくしてもよい。指標値(Si+1)から指標値(S)までの電力増加率を一律に小さくしてもよい。マップ(M)上の指標値(Si+1)に対応する想定電力を出力電力(Pi+1)と一致させてもよい。指標値(S)及び指標値(Si+1)において電力増加率を連続させてもよい。ステップS712により、学習後のマップ(Mi+1)が得られる。
【0044】
ステップS712で学習した後のマップ(Mi+1)によれば、要求電力(PTi)に対応する指標値として、指標値(Si+1)よりも小さな指標値を算出することができるようになる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電又は過充電を直ちに解消することができる。
【0045】
ステップS713に進み、ステップS707と同様にして、出力電力(Pi+1)が要求電力(PTi)よりも大きい場合に損失が発生するか否かを判断する。損失が発生している場合(ステップS713でYES)、ステップS714に進み、損失が発生していない場合(ステップS713でNO)、ステップS714をスキップして、図3のステップS709へ進む。
【0046】
ステップS714において、指標値の最小値(Smin)から指標値(Si+1)までのマップ(Mi+1)の電力増加率を定数とする。ステップS714により、学習後のマップ(M’i+1)が得られる。ステップS708によるマップ(M’i+1)によれば、ステップS712によるマップ(Mi+1)に比べて、指標値(Si+2)を更に小さくすることができる。よって、指標値を小さくする方向へ探索する時間が短くなり、制御が高速化する。電力系統3に対する過放電状態又は過充電状態を直ちに解消することができる。
【0047】
コントローラ1は、CPU(中央処理装置)、メモリ15、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータをコントローラ1として機能させるためのコンピュータプログラム(マップ学習プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、コントローラ1が備える複数の情報処理部(11~14)として機能する。ソフトウェアによってコントローラ1を実現する代わりに、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意してもよい。専用のハードウェアには、上記した実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置が含まれる。また、複数の情報処理部(11~14)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 コントローラ(マップ学習装置)
2 グループ
3 電力系統
11 電力計測部
12 指標値算出部
13 同報送信部
14 マップ学習部
EV1,EV2、EV3、・・・、EV 電気自動車(充放電要素)
Ti 要求電力(要求値)
出力電力(第2出力値)
i+1 出力電力(第1出力値)
i+1 指標値(第1指標値)
max 指標値の最大値
min 指標値の最小値
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B