(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043820
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】バスケットボール用スタンド
(51)【国際特許分類】
A63B 63/08 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A63B63/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149020
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】591024214
【氏名又は名称】株式会社舟岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】舟岡 修慈
(57)【要約】
【課題】容易にゴールリングの高さを調整可能なバスケットボール用スタンドを提供する。
【解決手段】第一支承腕5と第二支承腕6を支持する第一支柱3と、第二支承腕6を支持する第二支柱4と、先端部にバックボード71が取り付けられると共に、第二支承腕6と所定の位置で互いに対して回転可能に連結された第一支承腕5と、第二支柱4の所定の位置で軸支された第二支承腕6と、第一支柱3の上方の所定の位置又は下方の所定の位置に、第一支承腕5と第二支承腕6の後端部を着脱可能に係止させる係止手段と、を有するバスケットボール用スタンド1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一支承腕と第二支承腕を支持する第一支柱と、
前記第二支承腕を支持する第二支柱と、
先端部にバックボードが取り付けられると共に、前記第二支承腕と所定の位置で互いに対して回転可能に連結された前記第一支承腕と、
前記第二支柱の所定の位置で軸支された前記第二支承腕と、
前記第一支柱の上方の所定の位置又は下方の所定の位置に、前記第一支承腕と前記第二支承腕の後端部を着脱可能に係止させる係止手段と、を有する、
バスケットボール用スタンド。
【請求項2】
前記第二支承腕は、前記第二支柱によって軸支されている軸支部分と前記第一支柱に係止させられる係止部分の間の長さが直線的な距離よりも長く、当該軸支部分と当該係止部分の間で折曲自在に構成されている、
請求項1記載のバスケットボール用スタンド。
【請求項3】
前記第一支承腕に設けられ、前記第二支柱に前方から当接して前記第一支承腕の後端側への移動を規制する規制部、をさらに有する、
請求項1記載のバスケットボール用スタンド。
【請求項4】
前記第二支柱よりも後端側に設けられ、回動可能に取り付けられた前記第二支承腕から鉛直方向下方に垂下する錘、をさらに有する、
請求項1記載のバスケットボール用スタンド。
【請求項5】
前記第二支承腕の後端部に設けられた把持部、をさらに有する、
請求項1記載のバスケットボール用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴールリングの高さを調整可能なバスケットボール用スタンドに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
バスケットボールでは、一般競技を行う場合、ゴールリングの高さが3050mmに設定される。一方、主に小学生以下を対象としたミニバスケットボールでは、ゴールリングの高さが2600mmに設定される。
【0003】
この点、先行文献1乃至3では、ゴールリングの高さを調整可能な装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-180876号公報
【特許文献2】特開2006-386号公報
【特許文献3】特表平03-503850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献記載の装置はいずれも、ゴールリングに近い位置に高さを調整する機構が設けられているところ、ゴールリングがそもそも高い位置にあるために調整作業が容易でなかった。
【0006】
そこで、本発明は、容易にゴールリングの高さを調整可能なバスケットボール用スタンドを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るバスケットボール用スタンドは、第一支承腕と第二支承腕を支持する第一支柱と、前記第二支承腕を支持する第二支柱と、先端部にバックボードが取り付けられると共に、前記第二支承腕と所定の位置で互いに対して回転可能に連結された前記第一支承腕と、前記第二支柱の所定の位置で軸支された前記第二支承腕と、前記第一支柱の上方の所定の位置又は下方の所定の位置に、前記第一支承腕と前記第二支承腕の後端部を着脱可能に係止させる係止手段と、を有する。
【0008】
前記第二支承腕は、前記第二支柱によって軸支されている軸支部分と前記第一支柱に係止させられる係止部分の間の長さが直線的な距離よりも長く、当該軸支部分と当該係止部分の間で折曲自在に構成されているものとしてもよい。
【0009】
前記第一支承腕に設けられ、前記第二支柱に前方から当接して前記第一支承腕の後端側への移動を規制する規制部、をさらに有するものとしてもよい。
【0010】
前記第二支柱よりも後端側に設けられ、回動可能に取り付けられた前記第二支承腕から鉛直方向下方に垂下する錘、をさらに有するものとしてもよい。
【0011】
前記第二支承腕の後端部に設けられた把持部、をさらに有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るバスケットボール用スタンドによれば、簡便にゴールリングの高さを一般競技用又はミニバスケットボール用の高さに調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す外観斜視図であって、一般競技仕様の状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す側面図であって、一般競技仕様の状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す部分拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す外観斜視図であって、ミニバスケットボール仕様の状態を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す側面図であって、ミニバスケットボール仕様の状態を示す。
【
図7】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す側面図であって、一般競技仕様とミニバスケットボール仕様に切り替える際の状態の一例を示す。
【
図8】本発明の実施形態に係るバスケットボール用スタンドを示す側面図であって、一般競技仕様とミニバスケットボール仕様に切り替える際の状態の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかるバスケットボール用スタンド1の実施形態について、図を参照して説明する。
本実施形態に係るバスケットボール用スタンド1は、ゴールリング72の高さを一般競技仕様とミニバスケットボール仕様に応じた高さに調整するための機構を有している。この機構により、ゴールリング72の高さが一般競技仕様として規定されている3050mm、あるいはミニバスケットボール仕様として規定されている2600mmとなるようにゴールリング72の高さを調整できる。ただし、本実施形態に係るバスケットボール用スタンド1は、異なる高さに調整可能とすることを特徴としており、適宜な設計によって上記のとおり規定された高さ以外の高さに調整可能に構成できる。
なお、以下の説明においては、ゴールリング72の高さを一般競技仕様に対応した高さに調整した状態のバスケットボール用スタンド1の形態を「第一形態」と称し、ゴールリング72の高さをミニバスケットボール仕様に対応した高さに調整した状態のバスケットボール用スタンド1の形態を「第二形態」と称することがある。
【0015】
●構造
図1乃至
図6は、本実施形態に係るバスケットボール用スタンド1を示しており、このうち、
図1乃至
図4は第一形態、
図5及び
図6は第二形態を示している。なお、以下の説明において、ゴールリング72が設けられている側を前方、その逆側を後方とする。また、水平方向においてこの前後方向と直交する向きを左右方向とする。
バスケットボール用スタンド1は主に、矩形状のフレームからなる基台部2、基台部2上に立設する一対の第一支柱3及び一対の第二支柱4、連動する第一支承腕5及び一対の第二支承腕6によって構成される。
【0016】
なお、基台部2、第一支柱3、第二支柱4、第一支承腕5、及び第二支承腕6などの各部材は、例えば金属製材料を適宜に加工してなり、少なくとも競技時にかかる物理的な外力に耐え得るだけの剛性を有する。
また、第一支承腕5の先端部にはバックボード71が取り付けられている。バックボード71は、矩形の板状からなり、バックボード71の正面の位置には環状のゴールリング72が設けられ、ゴールリング72にはネット73が保持されている。
【0017】
●基台部2
基台部2は、バスケットボール用スタンド1を設置面に安定的に設置するための部分である。本実施形態では矩形状からなるが、バスケットボール用スタンド1を安定的に設置できる限り、その形状は特に限定されない。また、本実施形態において、基台部2の底面側には、矩形形状の四隅に車輪21が設けられており、これによりバスケットボール用スタンド1を所望の位置に移動させられる。なお、車輪21には、所定の位置にバスケットボール用スタンド1を設置した際に回転を規制するブレーキやロック機構といった規制手段を設けてもよい。
なお、本実施形態にかかわらず、基台部2を設けることなく第一支柱3や第二支柱4を設置面に直接、固定してもよく、この場合にはバスケットボール用スタンド1を移動させられないが、ゴールリング72の高さを調整する点において支障はない。
【0018】
●第一支柱3
一対の第一支柱3は、基台部2の後端部であって、幅方向の略中央において立設している。この一対の第一支柱3は、いずれも鉛直方向に長さを有する棒状の部材であり、本実施形態体では角柱状からなる。また、一対の第一支柱3は、左右方向に一定の距離をおいて並んで設けられている。
【0019】
一対の第一支柱3にはそれぞれ、上方の外側に一対の係止孔3a、3bが設けられている。係止孔3a、3bは、上下に離間して設けられ、幅方向に貫通している。なお、上方に設けられているものが係止孔3a、下方に設けられているものが係止孔3bである。一対の第一支柱3それぞれに設けられた上方の係止孔3aは互いに対応する位置に設けられており、一直線上に並ぶ一対の係止孔3aに棒状の係止ピン81を貫挿させられるようになっている。また、同様に、一対の第一支柱3それぞれに設けられた下方の係止孔3bも互いに対応する位置に設けられており、一直線上に並ぶ係止孔3bに棒状の係止ピン81を貫挿させられるようになっている。なお、
図1は、係止孔3aに係止ピン81が貫挿された状態、
図5は係止孔3bに係止ピン81が貫挿された状態を示している。
なお、係止ピン81は、後述する第一支柱3の係止孔3a、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aと共に、第一支柱3に第一支承腕5と第二支承腕6を係止させる第一の係止手段を構成する。また、係止ピン81は、後述する第一支柱3の係止孔3b、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aと共に、、第一支柱3に第一支承腕5と第二支承腕6を係止させる第二の係止手段を構成する。
【0020】
なお、一対の第一支柱3の上端には、幅方向に長さを有し、当該一対の第一支柱3同士を連結する棒状の掛架部材31が掛け渡されている。これにより、後述する第一支承腕5が一対の第一支柱3の間を上方へすり抜けてしまうのを防ぐことができる。
また、一対の第一支柱3の係止孔3bの下方には、幅方向外側に伸びだした棒状の規制部材32が設けられている。これにより、形態の切替作業等において、第二支承腕6が設置面へ落下してしまうのを防ぐことができる。
また、一対の第一支柱3の係止孔3bの下方には、当該一対の第一支柱3同士を連結する棒状の掛架部材33が掛け渡されている。これにより、後述する第一支承腕5が一対の第一支柱3の間を下方へすり抜けてしまうのを防ぐことができる。
【0021】
●第二支柱4
一対の第二支柱4は、基台部2の前端部であって、幅方向の略中央において立設している。この一対の第二支柱4は、第一支柱3と同様、いずれも鉛直方向に長さを有する棒状の部材であり、本実施形態では角柱状からなる。一方、本実施形態において、第二支柱4は第一支柱3よりも相対的に長く、第二支柱4の上端は第一支柱3の上端よりも高い位置にある。
【0022】
一対の第二支柱4の上方にはそれぞれ、幅方向外側に伸びだした支承軸41が設けられている。この支承軸41は、後述する第二支承腕6に設けられた貫通孔61aに貫挿され、第二支承腕6を軸支している。
なお、本実施形態では、一対の第二支柱4は支承軸41によって第二支承腕6を軸支しているが、支承軸41が設けられている位置において当該第二支承腕6を回動可能に支持することができれば、他の構造によってもよく、例えば、第二支承腕6と第二支柱4に互いに対応する凹部又は凸部をそれぞれに設け、当該位置において第二支承腕6が第二支柱4に枢支されるようになっていてもよい。
【0023】
また、後述のとおり、一対の第二支柱4の間には第一支承腕5が通されるところ、第一支承腕5が一定以上、下がることを規制する規制部材として棒状の掛架部材42が一対の第二支柱4の間に設けられている。この掛架部材42は、上方又は下方の所定の位置に固定される第一支承腕5が、下方で固定される場合、即ち第二形態において第一支承腕5がとる位置に対応した位置に設けられており、位置決めの役割も果たせる。
このほか、本実施形態では図示のとおり、第二支柱4には補強部材43が設けられている。補強部材43は、第二支柱4と基台部2それぞれの略中央に斜めに掛け渡された棒状の部材であり、バスケットボールのプレー時に前方からバスケットボール用スタンド1に向かってかかる外力に抗して第二支柱4を支持する。
【0024】
●第一支承腕5
第一支承腕5は、先端部にバックボード71が取り付けられた棒状の部材であり、本実施形態では角柱状からなる。この第一支承腕5は、前後方向に長さを有している。また、第一支承腕5の幅は、一対の第一支柱3の間の距離及び一対の第二支柱4の間の距離のいずれよりも僅かに小さく、第一支承腕5は一対の第一支柱3の間及び一対の第二支柱4の間に通されるように設けられている。また、第一支承腕5は、後述のとおり、上方又は下方の所定の位置で固定されるようになっており、いずれの位置で固定するかによって第一支承腕5の先端部に取り付けられたバックボード71の高さが調整でき、これによりバックボード71に取り付けられているゴールリング72の高さを調整できる。
【0025】
第一支承腕5は、略水平に前方へ伸びだした前腕部51と、前腕部51の後端から屈曲して後方且つ斜め下方へ伸びだした後腕部52とからなる。
【0026】
前腕部51は、一対の第二支柱4の間を通されて前方へ伸びだしている。この前腕部51の先端部にはバックボード71の背面が固定され、これによりバックボード71が第一支承腕5によって支持されている。固定の方法は特に限定されず、ねじ止めや溶接等による。また、バックボード71は、その表面ないしは背面が水平面に対して直角をなすように前腕部51に取り付けられている。
【0027】
前腕部51の中ほどには、幅方向外側に伸びだした支承軸511が設けられている。この支承軸511は、後述する第二支承腕6に設けられた貫通孔61bに貫挿され、第二支承腕6を軸支している。
なお、本実施形態では、第一支承腕5は支承軸511によって第二支承腕6を軸支しているが、支承軸511が設けられている位置において当該第一支承腕5と第二支承腕6が互いに対して回動可能に連結されいれば、他の構造によってもよく、例えば、第一支承腕5と第二支承腕6に互いに対応する凹部又は凸部をそれぞれに設け、当該位置において第一支承腕5と第二支承腕6が互いに対して回動可能に連結されるようになっていてもよい。
【0028】
図4に示すように、前腕部51の後方部分であって、前腕部51が第二支柱4と交差する部分には、第二支柱4に当接する舌片状の当接片512が左右一対で設けられている。一対の当接片512は、前腕部51の幅方向外側へ張り出しており、一対の当接片512が一対の第二支柱4に当接すると、第一支承腕5はそれ以上、後方へ移動することを規制される。この点において、当接片512は、第一支承腕5が後方へ移動をするのを規制する規制部を構成していると言える。なお、当接片512は、第一支承腕5と第二支承腕6が第一支柱3に固定された状態において、後方へ引っ張られるように第二支柱4に強く当接しており、その結果、前腕部51が下がることをも規制している。
【0029】
後腕部52は一対の第一支柱3の間を通され、その後端部は当該一対の第一支柱3よりも後方へ伸びだしている。
後腕部52には、一対の第一支柱3と交差する位置において、幅方向に貫通する係止孔が設けられている。なお、この係止孔は
図1又は
図5において、係止ピン81の軸心上に設けられており、以下では説明の便宜のため「係止孔52a」と指称する。
この係止孔52aは、第一支柱3の係止孔3a、3bと同じ径を有しており、当該第一支柱3の上方に設けられた係止孔3aと後腕部52の係止孔52aとを対応させて、あるいは当該第一支柱3の下方に設けられた係止孔3aと後腕部52の係止孔52aとを対応させて係止ピン81を貫挿させることで、第一支柱3に対して後腕部52を固定させられる。
【0030】
後腕部52の後端部は下方へ屈曲しており、後端部の幅方向外側には一対の棒状部材521が設けられている。この一対の棒状部材521は、第一支承腕5を高い位置又は低い位置に調整する場合に把持する把持部を構成すると共に、第一支承腕5の後端部が一対の第一支柱3の間を通って前方へすり抜けてしまうのを規制する規制部を構成する。
【0031】
●第二支承腕6
第二支承腕6は、一対の第一支柱3及び一対の第二支柱4の幅方向外側に一対で設けられる棒状の部材であり、本実施形態では角柱状からなる。この第二支承腕6は、前後方向に長さを有している。
【0032】
一対の第二支承腕6はいずれも、略水平に前方へ伸びだした前腕部61と、当該前腕部61の後端から屈曲して後方且つ斜め下方へ伸びだした中腕部62と、中腕部62の後端と連結部材60を介して連結され、後方へ伸びだした後腕部63とからなる。
【0033】
前腕部61の先端には、幅方向に貫通する貫通孔61bが設けられており、当該貫通孔61bには第一支承腕5に設けられた支承軸511が貫挿されている。これにより、第一支承腕5と第二支承腕6とは互いに対して回動可能に連結されている。
【0034】
前腕部61の後端部には、幅方向に貫通する貫通孔61aが設けられている。貫通孔61aには第二支柱4の支承軸41が貫挿されており、これにより第二支承腕6が軸支されている。
【0035】
中腕部62の後端部の外側には、幅方向に伸びだした棒状の把持部621が設けられている。バスケットボール用スタンド1の形態を切り替える場合、作業者は当該把持部621を把持して、第二支承腕6を上方へ持ち上げたり、下方へ押し下げたりする。
【0036】
中腕部62の後端は、薄板状の連結部材60を介して後腕部63に連結している。連結部材60は、一端が中腕部62の後端と回動可能に連結し、他端が後腕部63の先端と回動可能に連結している。これにより、中腕部62と後腕部63は連結部材60を支点として回動させられる。なお、本実施形態に関わらず、連結部材60を介すことなく、中腕部62と後腕部63とを互いに対して回動可能に連結してもよい。
【0037】
後腕部63の先端には、鉛直方向下方に垂下する錘82の上端が回動可能に連結されている。これにより、形態の切替によって第二支承腕6の高さが変わり、第二支承腕6と水平面とのなす角が変わったとしても、錘82は常に自重によって鉛直方向に垂下し、安定した状態をとる。
本実施形態において、錘82は、一対の第二支承腕6から下方へ伸びだした一対の板状の保持部材と、一対の保持部材の間に掛け渡すように配設される筒状の重しからなる。重しは、所定数量を上限としつつ任意の数量を配設することができ、これにより錘82の重量を調整できる。その結果、種類によって重量が異なるバックボード71やゴールリング72(一般的にゴールリング72は大きく分けて2種類、バックボード71は3種類ほどあり、それぞれで重量が異なる)に応じて錘82の重量を調整し、バスケットボール用スタンド1を安定させられる。
なお、本実施形態にかかわらず、基台部2や第一支柱3、あるいは第二支柱4等に重しを設けて重量バランスをとることもできる。
【0038】
後腕部63の後端部は、上方へ屈曲しており、後端部の幅方向外側には一対の棒状部材631が設けられている。この一対の棒状部材631は、第二支承腕6を高い位置又は低い位置に動かす場合に作業者が把持する把持部を構成する。また、一対の第二支承腕6の後端の間には、当該一対の第二支承腕6を連結する連結部材632が設けられている。この連結部材632により、第二支承腕6が幅方向外側に開いてしまったり、第二支承腕6の後端が第一支柱3よりも前方へ移動してしまったりするのを規制できる。
また、後腕部63には、第一支柱3と交差する位置において、幅方向に貫通する係止孔63aが設けられている。この係止孔63aは、第一支柱3の係止孔3a、3bと同じ径を有しており、当該第一支柱3の上方に設けられた係止孔3aと後腕部63の係止孔63aとを対応させて、あるいは当該第一支柱3の下方に設けられた係止孔3bと後腕部63の係止孔63bとを対応させて係止ピン81を貫挿させることで、第一支柱3に対して後腕部63を固定させられる。
【0039】
このような第二支承腕6は、中腕部62と後腕部63をまっすぐにした場合、第二支柱4によって軸支されている軸支部分と第一支柱3に係止させられる係止部分の間の長さが、当該軸支部分と係止部分の直線的な距離よりも長い。この点、第二支承腕6は、当該軸支部分と係止部分の間に設けられる連結部材60が中腕部62又は後腕部63と連結する箇所において折曲自在に構成されている。その結果、第二支承腕6は、第一形態では中腕部62と後腕部63が連結部材60を介して連結する中間部分が、上方に持ち上がるように折曲して、また第二形態では当該中間部分が下方に垂れ下がるように折曲して第一支承腕5を支持する。
【0040】
このような構成からなるバスケットボール用スタンド1において、先端にバックボード71が取り付けられている第一支承腕5の前腕部51は、基台部2の前端に設けられた第二支柱4よりも前方へ十分な長さだけ張り出している。これにより、ゴールリング72の下方において、プレーヤーは支障なく安全にプレーを行える。
また、本実施形態にかかわらず、基台部2の上方はカバーで覆ってもよい。これにより、プレーヤーや作業者などが意図せず第一支承腕5や第二支柱4などに接触してケガをするといった事態を防げると共に見栄えもよくなる。
【0041】
●一般競技仕様(第一形態)
上述したバスケットボール用スタンド1について、
図1及び
図2は第一形態、即ち一般競技仕様でバスケットボール用スタンド1を用いる場合の構造を示している。
第一形態では、第一支柱3の上方に設けられた係止孔3a、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aを一直線上に並べた状態で係止ピン81が貫挿されている。また、第一支承腕5は第二支承腕6の上方にあり、第二支承腕6によって上方に支持されている。このときの第一支承腕5の位置は、第二形態における位置よりも高く、ゴールリング72の高さが一般競技用に定められた高さとなっている。
【0042】
●ミニバスケットボール仕様(第二形態)
一方、
図5及び
図6は第二形態、即ちミニバスケットボール仕様でバスケットボール用スタンド1を用いる場合の構造を示している。
第二形態では、第一支柱3の下方に設けられた係止孔3b、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aを一直線上に並べた状態で係止ピン81が貫挿されている。また、第一支承腕5は第二支承腕6の下方にあり、第二支承腕6によって上方から吊り下げられるように支持されている。このときの第一支承腕5の位置は、第一形態における位置よりも低く、ゴールリング72の高さがミニバスケットボール用に定められた高さとなっている。
【0043】
●高さ調整工程
バスケットボール用スタンド1の形態を第一形態と第二形態の相互に切り替え、ゴールリング72の高さを調整する工程について説明する。
まず、第一形態から第二形態に切り替える場合について、
図1の状態から、作業者は係止ピン81を引き抜き、第一支承腕5の後腕部52と第一支柱3の連結、及び第二支承腕6の後腕部63と第一支柱3の連結を解除する。このとき、作業者は第一支承腕5の棒状部材521や第二支承腕6の棒状部材631、さらには把持部621を適宜に把持する。そして、
図7に示すように、棒状部材631を後方へ倒すようにして後腕部63の前端部を持ち上げると、連結部材60によって後腕部63に連結された中腕部62の後端部が持ち上げられていき、第二支承腕6が上方へ持ち上げられる。また、これと同時に、棒状部材521を押し下げるようにして後腕部52を下げ、第一支承腕5を下ろしていく。
【0044】
このように第一支承腕5と第二支承腕6を動かしていくと、
図8に示すように、第一支承腕5と第二支承腕6の位置が交差して入れ替わり、第一支承腕5が第二支承腕6の下方にくる。このまま、一対の第一支柱3それぞれに設けられた下方の係止孔3b、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aが一直線上に並ぶように第一支承腕5と第二支承腕6を配置する。
この一連の動作では、第一支承腕5の当接片512が第二支柱4から離れ、第一支承腕5は前方へ一旦膨らんでから後方へ戻るように弧状の軌跡をたどる。そして、第一支柱3の係止孔3b、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aが一直線上に並ぶように第一支承腕5と第二支承腕6が配設された状態では、再び当接片512が第二支柱4に当接し、第一支承腕5の後方への移動が規制される。また、このとき、第一支承腕5の前腕部51の下面側が掛架部材42に当接し、第一支承腕5の下方への移動も規制される。
【0045】
そして、一直線上に並んだ係止孔3b、52a、63aに係止ピン81を貫挿させると、第一支承腕5と第二支承腕6が完全に固定され、バスケットボール用スタンド1は、ゴールリング72の高さがミニバスケットボール用の高さに調節された第二形態となる。
【0046】
第二形態から第一形態に切り替える場合には、上述した第一形態から第二形態へ切り替える工程と逆の工程を経る。即ち、
図5の状態から、作業者は係止ピン81を引き抜き、第一支承腕5の後腕部52と第一支柱3の連結、及び第二支承腕6の後腕部63と第一支柱3の連結を解除する。このとき、作業者は第一支承腕5の棒状部材521や第二支承腕6の棒状部材631、さらには把持部621を適宜に把持する。そして、
図8に示すように、棒状部材631を上方へ押し上げるようにして後腕部63の前端部を下げると、連結部材60によって後腕部63に連結された中腕部62の後端部が押し下げられていき、第二支承腕6が下げられる。また、これと同時に、棒状部材521を持ち上げるようにして後腕部52を持ち上げ、第一支承腕5を上げていく。
【0047】
このように第一支承腕5と第二支承腕6を動かしていくと、
図7に示すように、第一支承腕5と第二支承腕6の位置が交差して入れ替わり、第一支承腕5が第二支承腕6の上方にくる。このまま、一対の第一支柱3それぞれに設けられた上方の係止孔3a、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aが一直線上に並ぶように第一支承腕5と第二支承腕6を配置する。
この一連の動作では、第一支承腕5の当接片512が第二支柱4から離れ、第一支承腕5は前方へ一旦膨らんでから後方へ戻るように弧状の軌跡をたどる。そして、第一支柱3の係止孔3b、第一支承腕5の係止孔52a、及び第二支承腕6の係止孔63aが一直線上に並ぶように第一支承腕5と第二支承腕6が配設された状態では、再び当接片512が第二支柱4に当接し、第一支承腕5の後方への移動が規制される。
【0048】
そして、一直線上に並んだ係止孔3a、52a、63aに係止ピン81を貫挿させると、第一支承腕5と第二支承腕6が完全に固定され、バスケットボール用スタンド1は、ゴールリング72の高さが一般競技用の高さに調節された第一形態となる。
【0049】
以上の本実施形態に係るバスケットボール用スタンド1によれば、容易にゴールリング72の高さを一般競技用又はミニバスケットボール用の高さに調整できる。特に脚立などを用意しなくとも調整作業が行えるし、バックボード71は常に水平面に対して直角に保持されるためバックボード71の傾きを調整する必要ない。また、ゴールリング72下のスペースも広く確保され、ゴールリング72下におけるプレーにも支障がない。
【符号の説明】
【0050】
1 :バスケットボール用スタンド
2 :基台部
21 :車輪
3 :第一支柱
3a :係止孔
3b :係止孔
31 :掛架部材
32 :規制部材
33 :掛架部材
4 :第二支柱
41 :支承軸
42 :掛架部材
43 :補強部材
5 :第一支承腕
51 :前腕部
511 :支承軸
512 :当接片
52 :後腕部
52a :係止孔
521 :棒状部材
6 :第二支承腕
60 :連結部材
61 :前腕部
61a :貫通孔
61b :貫通孔
62 :中腕部
621 :把持部
63 :後腕部
63a :係止孔
63b :係止孔
631 :棒状部材
632 :連結部材
71 :バックボード
72 :ゴールリング
73 :ネット
81 :係止ピン
82 :錘
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記第二支柱よりも後端側に設けられ、前記第二支承腕に取り付けられた錘、をさらに有する、
請求項1記載のバスケットボール用スタンド。