(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004383
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置、伝熱管の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 19/04 20060101AFI20240109BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F28F19/04 A
F23J15/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104026
(22)【出願日】2022-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】荒若 宏人
(72)【発明者】
【氏名】中西 環奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇雄
【テーマコード(参考)】
3K070
【Fターム(参考)】
3K070DA03
3K070DA04
3K070DA07
3K070DA16
3K070DA23
3K070DA30
3K070DA48
3K070DA53
(57)【要約】
【課題】バンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、伝熱管の接続方法において、伝熱管の連結作業の作業性の向上を図る。
【解決手段】伝熱管本体と、伝熱管本体と異なる材料で形成されて伝熱管本体における長手方向の端部に溶接により接続される連結管と、伝熱管本体と連結管との接続部の外側を被覆する被覆部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管本体と、
前記伝熱管本体と異なる材料で形成されて前記伝熱管本体における長手方向の端部に溶接により接続される連結管と、
前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する被覆部と、
を備える伝熱管。
【請求項2】
前記連結管は、一端部がヘッダに連結される筒形状をなすスタブであり、前記伝熱管本体の端面と前記スタブにおける他端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項3】
前記連結管は、一端部が一対の前記伝熱管本体の端部同士を連結する湾曲管であり、一対の前記伝熱管本体の端面と前記湾曲管における各端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される、
請求項1または請求項2に記載の伝熱管。
【請求項4】
前記被覆部は、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部を周囲の腐食環境から保護する、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項5】
前記被覆部は、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部から、前記伝熱管本体の長手方向および前記連結管の長手方向に所定長さを有する、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項6】
前記被覆部は、膜厚が400μm以上である、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項7】
排ガス通路を形成するダクトケーシングと、
熱媒体の入口部が設けられる入口ヘッダと、
前記熱媒体の出口部が設けられる出口ヘッダと、
前記排ガス通路に配置されて前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとを連結する請求項1に記載の伝熱管と、
を備える熱交換器。
【請求項8】
排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、
熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、
集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後の前記排ガスを再加熱する請求項7に記載の熱交換器が適用される再加熱器と、
を備える排煙処理装置。
【請求項9】
伝熱管本体の端部と前記伝熱管本体と異なる材料で形成された連結管の端部とを溶接により接続する工程と、
前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する工程と、
を有する伝熱管の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管、熱交換器、排煙処理装置、伝熱管の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備などに設けられる排煙処理装置は、熱回収装置と、電気集塵装置と、脱硫装置と、再加熱装置などから構成される。ボイラから排出される排ガスは、電気集塵装置により含有するばいじんが除去され、脱硫装置により含有する亜硫酸ガスが除去される。このとき、熱回収装置は、排ガスから熱を回収する。再加熱装置は、熱回収装置が回収した熱により脱硫後の排ガスを再加熱し、白煙の排出を抑制する。
【0003】
再加熱装置は、排ガス通路に配置される複数の伝熱管を有する。再加熱装置は、複数の伝熱管内に高温の熱媒体を流動させ、熱媒体と排ガス通路を流れる排ガスとの間で熱交換することで、排ガスを加熱して昇温する。従来の再加熱装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再加熱装置に流入する排ガスは、腐食性不純物含有ミストが含まれる。そのため、再加熱装置の伝熱管は、腐食性不純物含有ミストの付着と蒸発の事象が繰り返し生じ、腐食してしまうおそれがある。そこで、伝熱管の材料として、ステンレス鋼を適用することが考えられる。
【0006】
この場合、炭素鋼で形成されるヘッダにステンレス鋼で形成される伝熱管を溶接により連結する必要がある。ところが、ヘッダを構成する炭素鋼と伝熱管を構成するステンレスとは、異なる材料であることから、電位差により腐食が発生する。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、伝熱管の連結作業の作業性の向上を図る伝熱管、熱交換器、排煙処理装置、伝熱管の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の伝熱管は、伝熱管本体と、前記伝熱管本体と異なる材料で形成されて前記伝熱管本体における長手方向の端部に溶接により接続される連結管と、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する被覆部と、を備える。
【0009】
また、本開示の熱交換器は、排ガス通路を形成するダクトケーシングと、熱媒体の入口部が設けられる入口ヘッダと、前記熱媒体の出口部が設けられる出口ヘッダと、前記排ガス通路に配置されて前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとを連結する前記伝熱管と、を備える。
【0010】
また、本開示の排煙処理装置は、排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、脱硫後の前記排ガスを再加熱する前記熱交換器が適用される再加熱装置と、を備える。
【0011】
また、本開示の伝熱管の接続方法は、伝熱管本体の端部と前記伝熱管本体と異なる材料で形成された連結管の端部とを溶接により接続する工程と、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示のバンドルおよび熱交換器並びに排煙処理装置、伝熱管の接続方法によれば、伝熱管の連結作業の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の再加熱装置を表す概略構成図である。
【
図3】
図3は、再加熱装置を表す概略側面図である。
【
図4】
図4は、再加熱装置を表す概略平面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の伝熱管を表す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の再加熱装置における伝熱管の構成を表す表である。
【
図7】
図7は、高温予熱部を表す概略側面図である。
【
図8】
図8は、高温予熱部を表す概略正面図である。
【
図9】
図9は、連結前のヘッダと伝熱管との関係を表す断面図である。
【
図10】
図10は、連結後のヘッダと伝熱管との連結部を表す断面図である。
【
図11】
図11は、ヘッダに連結される伝熱管の上端部を表す断面図である。
【
図12】
図12は、隣接する伝熱管同士の下端部の連結部を表す断面図である。
【
図13】
図13は、フランジ接手と伝熱管との関係を表すヘッダ周辺部の断面図である。
【
図14】
図14は、フランジ接手と伝熱管との関係を表すヘッダ周辺部の断面図である。
【
図15】
図15は、高温予熱部におけるヘッダと伝熱管の関係を表す概略図である。
【
図16】
図16は、高温予熱部に対する水張状態を表す概略図である。
【
図17】
図17は、伝熱管への水張方法を説明するための概略断面図である。
【
図18】
図18は、高温予熱部の要部を表す概略正面図である。
【
図19】
図19は、高温予熱部の要部を表す水平断面図である。
【
図20】
図20は、高温予熱部における伝熱管の支持部を表す縦断面図である。
【
図21】
図21は、高温予熱部における伝熱管の支持部を表す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0015】
[排煙処理装置]
図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、排煙処理装置100は、各種の発電プラントや工場などにて、ボイラ111から排出される排ガス(排煙)Gが煙突112から放出される過程で、排ガスGに含まれるばいじんや硫黄酸化物(SOx)を除去するものである。
【0017】
排煙処理装置100は、熱回収装置101と、電気集塵装置102と、送風装置(誘引通風機)103と、脱硫装置104と、再加熱装置105と、送風装置(脱硫通風機)106とを備える。送風装置103,106が駆動することで、ボイラ111から排出される排ガスGは、熱回収装置101、電気集塵装置102、脱硫装置104、再加熱装置105を通って煙突112に送られる。なお、熱回収装置101の上流側に脱硝装置を設けてもよい。
【0018】
ボイラ111は、2つの排ガス通路121a,121bが設けられる。排ガス通路121aは、熱回収装置101aと電気集塵装置102aと送風装置103aが設けられ、排ガス通路121bは、熱回収装置101bと電気集塵装置102bと送風装置103bが設けられる。2つの排ガス通路121a,121bは、下流側が排ガス通路121cに合流する。排ガス通路121cは、脱硫装置104と再加熱装置105が設けられる。排ガス通路121cは、下流側が2つの排ガス通路121d,121eに分岐する。排ガス通路121dは、送風装置106aが設けられ、排ガス通路121eは、送風装置106bが設けられる。2つの排ガス通路121d,121eは、下流側が排ガス通路121fに合流する。排ガス通路121fは、煙突112に連結される。また、排ガス通路121cにおける脱硫装置104の上流側と排ガス通路121fとを連結する排ガス通路121gが設けられる。排ガス通路121gは、開閉弁122が設けられる。
【0019】
熱回収装置101(101a,101b)は、ボイラ111から排出された排ガスG(約140℃)と熱媒体(水など)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱回収装置101で熱回収された排ガスG(約90℃)は、電気集塵装置102(102a,102b)に導入される。電気集塵装置102は、排ガスGからばいじんを除去する。
【0020】
電気集塵装置102でばいじんが除去された排ガスGは、脱硫装置104に導入される。脱硫装置104は、石灰石(CaCO3)により、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収除去し、副生成物として石膏(CaSO4.2H2O)を生成する。脱硫装置104は、ミストエリミネータ123を有する。ミストエリミネータ123は、脱硫後の排ガスGからミストを除去する。
【0021】
脱硫装置104により脱硫処理された排ガスG(約50℃)は、ガスガスヒータの再加熱装置105に導入される。再加熱装置105は、熱回収装置101との間で熱媒体を循環する過程で、熱回収装置101により回収された熱により排ガスGを再加熱する。熱回収装置101と再加熱装置105とは、第1熱媒体循環ラインL11および第2熱媒体循環ラインL12により連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131が設けられる。循環ポンプ131を駆動することで、再加熱装置105の熱媒体を第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に戻す。第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。循環ポンプ131により熱回収装置101の熱媒体を第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に供給する。この過程で、必要に応じてヒータ132を作動することで、熱媒体を加熱する。
【0022】
排ガスGは、脱硫装置104で脱硫処理されることで温度が低下し、低温のままでは拡散しにくく白煙になるおそれがある。再加熱装置105は、拡散および白煙低減を目的として排ガスGを再加熱することで昇温(約90℃)させ、煙突112から大気に放出する。
【0023】
[再加熱装置の概略]
図2は、本実施形態の再加熱装置を表す概略構成図である。本実施形態では、熱交換器を、上述した排煙処理装置100における再加熱装置105に適用して説明する。
【0024】
図2に示すように、再加熱装置105は、高温予熱向流方式の熱交換器である。但し、再加熱装置105は、完全向流方式、高温予熱並流方式、中温予熱方式などの他の方式の熱交換器であってもよい。
【0025】
再加熱装置105は、高温加熱部11と、低温加熱部12と、高温予熱部13とを有する。高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13は、排ガス通路(ガスパス)121cに配置される。高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13は、排ガスGの流れ方向の下流側から順に配置される。すなわち、高温加熱部11は、排ガスGの流れ方向の最下流側に位置し、高温予熱部13は、排ガスGの流れ方向の最上流側に位置し、低温加熱部12は、高温加熱部11と高温予熱部13との間に位置する。
【0026】
高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21と、第1ヘッダ22と、第2ヘッダ23とを有する。第1伝熱管21は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に交差する方向に沿って配置される。第1ヘッダ22は、排ガスGの流れ方向の最下流側に位置し、第2ヘッダ23は、第1ヘッダ22より排ガスGの流れ方向の上流側に位置する。第1ヘッダ22は、入口ヘッダであり、第2ヘッダ23は、出口ヘッダである。第1伝熱管21は、長手方向の一端部が第1ヘッダ22に連結され、長手方向の他端部が第2ヘッダ23に連結される。
【0027】
低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31と、第1ヘッダ32と、第2ヘッダ33とを有する。第2伝熱管31は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に交差する方向に沿って配置される。第1ヘッダ32は、高温加熱部11の第2ヘッダ23より排ガスGの流れ方向の上流側に位置し、第2ヘッダ33は、第1ヘッダ32より排ガスGの流れ方向の上流側に位置する。第1ヘッダ32は、入口ヘッダであり、第2ヘッダ33は、出口ヘッダである。第2伝熱管31は、長手方向の一端部が第1ヘッダ32に連結され、長手方向の他端部が第2ヘッダ33に連結される。
【0028】
高温予熱部13は、複数の第3伝熱管41と、第1ヘッダ42と、第2ヘッダ43とを有する。第3伝熱管41は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に交差する方向に沿って配置される。第1ヘッダ42は、低温加熱部12の第2ヘッダ33より排ガスGの流れ方向の上流側に位置し、第2ヘッダ43は、第1ヘッダ42より排ガスGの流れ方向の上流側に位置する。第1ヘッダ42は、出口ヘッダであり、第2ヘッダ43は、入口ヘッダである。第3伝熱管41は、長手方向の一端部が第1ヘッダ42に連結され、長手方向の他端部が第2ヘッダ43に連結される。
【0029】
第2熱媒体循環ラインL12は、流れ方向の上流側の端部が熱回収装置101(
図1参照)に接続され、下流側の端部が高温予熱部13の第2ヘッダ43に接続される。第1熱媒体循環ラインL11は、下流側の端部が熱回収装置101(
図1参照)に接続され、上流側の端部が低温加熱部12の第2ヘッダ33に接続される。高温予熱部13の第1ヘッダ42と高温加熱部11の第1ヘッダ22とは、第1接続ラインL21よりに接続される。高温加熱部11の第2ヘッダ23と低温加熱部12の第1ヘッダ32は、第2接続ラインL22よりに接続される。
【0030】
また、第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131とドレンタンク133が設けられ、第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。そして、蒸気供給源(図示略)からヒータ132、ドレンタンク133に対して蒸気ラインL13が設けられ、ドレンタンク133に蒸気ドレンラインL14が設けられる。そして、蒸気ラインL13は、開閉弁134が設けられる。
【0031】
そのため、熱回収された高温の熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温予熱部13の第2ヘッダ43に供給される。第2ヘッダ43に供給された熱媒体は、複数の第3伝熱管41を通って第1ヘッダ42に流れる。このとき、第3伝熱管41を流れる熱媒体は、排ガスGを高温予熱する。第1ヘッダ42に流れた熱媒体は、第1接続ラインL21により高温加熱部11の第1ヘッダ22に供給される。第1ヘッダ22に供給された熱媒体は、複数の第1伝熱管21を通って第2ヘッダ23に流れる。このとき、第1伝熱管21を流れる熱媒体は、排ガスGを高温加熱する。第2ヘッダ23に流れた熱媒体は、第2接続ラインL22により低温加熱部12の第1ヘッダ32に供給される。第1ヘッダ32に供給された熱媒体は、複数の第2伝熱管31を通って第2ヘッダ33に流れる。このとき、第2伝熱管31を流れる熱媒体は、排ガスGを低温加熱する。第2ヘッダ33に流れた熱媒体は、第1熱媒体循環ラインL11に排出される。
【0032】
[再加熱装置の構成]
図3は、再加熱装置を表す概略側面図、
図4は、再加熱装置を表す概略平面図である。
【0033】
図3および
図4に示すように、再加熱装置105は、高温加熱部11と、低温加熱部12と、高温予熱部13とを有する。高温加熱部11は、第1バンドル51を有し、高温加熱部11は、第2バンドル52を有し、低温加熱部12は、第3バンドル53を有する。排ガス通路121cは、ダクトケーシング60により区画される。ダクトケーシング60は、水平方向に沿った矩形の筒形状をなし、内部に排ガス通路121cが区画され、排ガスGが水平方向に沿って流れる。
【0034】
第1バンドル51と第2バンドル52と第3バンドル53は、ダクトケーシング60の上壁部60aに連結される。第1バンドル51と第2バンドル52と第3バンドル53は、ダクトケーシング60の内部に、排ガスGの流れ方向上流側から下流側に向けて間隔を空けて配置される。
【0035】
すなわち、第1バンドル51は、第1ヘッダ22および第2ヘッダ23がダクトケーシング60の上壁部60aに固定される。第1ヘッダ22および第2ヘッダ23は、複数の第1伝熱管21が下方に延出する。第1バンドル51は、第1ヘッダ22および第2ヘッダ23の下部と複数の第1伝熱管21が排ガス通路121cに位置する。第1バンドル51は、外側に第1ケーシング54が配置される。第1ケーシング54は、上端部が第1ヘッダ22および第2ヘッダ23に固定される。第1ケーシング54は、少なくとも複数の第1伝熱管21の両側に配置され、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する。なお、第1バンドル51は、第1ヘッダ22および第2ヘッダ23の上部がダクトケーシング60の外部に露出し、排ガス通路121cに位置しない。
【0036】
また、第2バンドル52は、第1ヘッダ32および第2ヘッダ33がダクトケーシング60の上壁部60aに固定される。第1ヘッダ32および第2ヘッダ33は、複数の第2伝熱管31が下方に延出する。第2バンドル52は、第1ヘッダ32および第2ヘッダ33の下部と複数の第2伝熱管31が排ガス通路121cに位置する。第2バンドル52は、外側に第2ケーシング55が配置される。第2ケーシング55は、上端部が第1ヘッダ32および第2ヘッダ33に固定される。第2ケーシング55は、少なくとも複数の第2伝熱管31の両側に配置され、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する。なお、第2バンドル52は、第1ヘッダ32および第2ヘッダ33の上部がダクトケーシング60の外部に露出し、排ガス通路121cに位置しない。
【0037】
また、第3バンドル53は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43がダクトケーシング60の上壁部60aに固定される。第1ヘッダ42および第2ヘッダ43は、複数の第3伝熱管41が下方に延出する。第3バンドル53は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43の下部と複数の第3伝熱管41が排ガス通路121cに位置する。第3バンドル53は、外側に第3ケーシング56が配置される。第3ケーシング56は、上端部が第1ヘッダ42および第2ヘッダ43に固定される。第3ケーシング56は、少なくとも複数の第3伝熱管41の両側に配置され、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する。なお、第3バンドル53は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43の上部がダクトケーシング60の外部に露出し、排ガス通路121cに位置しない。
【0038】
第1バンドル51にて、第1ヘッダ22は、上部にフランジ接手24が固定され、第2ヘッダ23は、上部にフランジ接手25が固定される。フランジ接手24は、円筒形状をなし、第1ヘッダ22の内部に連通する。フランジ接手25は、円筒形状をなし、第2ヘッダ23の内部に連通する。フランジ接手24は、第1ヘッダ22における長手方向の一端部に配置され、フランジ接手25は、第2ヘッダ23における長手方向の他端部に配置される。すなわち、フランジ接手24とフランジ接手25とは、排ガスGの流れ方向に対向しない。
【0039】
第1伝熱管21は、複数の直線部21aと、複数の上部湾曲部21bと、複数の下部湾曲部21cとを有する。複数の直線部21aは、隣接するもの同士の上部が上部湾曲部21bに連結され、隣接するもの同士の下部が下部湾曲部21cにより連結される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向の下流側の直線部21aの上端部が第1ヘッダ22に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側の直線部21aの上端部が第2ヘッダ23に連結される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に沿って配置される。複数の第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向に直交する水平方向に間隔を空けて配置されることで、第1伝熱管群が構成される。
【0040】
第2バンドル52にて、第1ヘッダ32は、上部にフランジ接手34が固定され、第2ヘッダ33は、上部にフランジ接手35が固定される。フランジ接手34は、円筒形状をなし、第1ヘッダ32の内部に連通する。フランジ接手35は、円筒形状をなし、第2ヘッダ33の内部に連通する。フランジ接手34は、第1ヘッダ32における長手方向の一端部に配置され、フランジ接手35は、第2ヘッダ33における長手方向の他端部に配置される。すなわち、フランジ接手34とフランジ接手35とは、排ガスGの流れ方向に対向しない。
【0041】
第2伝熱管31は、複数の直線部31aと、複数の上部湾曲部31bと、複数の下部湾曲部31cとを有する。複数の直線部31aは、隣接するもの同士の上部が上部湾曲部31bに連結され、隣接するもの同士の下部が下部湾曲部31cにより連結される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向の下流側の直線部31aの上端部が第1ヘッダ32に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側の直線部31aの上端部が第2ヘッダ33に連結される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に沿って配置される。複数の第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向に直交する水平方向に間隔を空けて配置されることで、第2伝熱管群が構成される。
【0042】
第3バンドル53にて、第1ヘッダ42は、上部にフランジ接手44が固定され、第2ヘッダ43は、上部にフランジ接手45が固定される。フランジ接手44は、円筒形状をなし、第1ヘッダ42の内部に連通する。フランジ接手45は、円筒形状をなし、第2ヘッダ43の内部に連通する。フランジ接手44は、第1ヘッダ42における長手方向の一端部に配置され、フランジ接手45は、第2ヘッダ43における長手方向の他端部に配置される。すなわち、フランジ接手44とフランジ接手45とは、排ガスGの流れ方向に対向しない。
【0043】
第3伝熱管41は、複数の直線部41aと、複数の上部湾曲部41bと、複数の下部湾曲部41cとを有する。複数の直線部41aは、隣接するもの同士の上部が上部湾曲部41bに連結され、隣接するもの同士の下部が下部湾曲部41cにより連結される。第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向の下流側の直線部41aの上端部が第1ヘッダ42に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側の直線部41aの上端部が第2ヘッダ43に連結される。第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に沿って配置される。複数の第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向に直交する水平方向に間隔を空けて配置されることで、第2伝熱管群が構成される。
【0044】
第2熱媒体循環ラインL12は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第2熱媒体循環ラインL12は、配管のフランジ接手が第3バンドル53における第2ヘッダ43のフランジ接手45に連結される。第1接続ラインL21は、配管により構成され、両端部にそれぞれフランジ接手を有する。第1接続ラインL21は、配管の一端部のフランジ接手が第3バンドル53における第1ヘッダ42のフランジ接手44に連結され、配管の他部のフランジ接手が第1バンドル51における第1ヘッダ22のフランジ接手24に連結される。第2接続ラインL22は、配管により構成され、両端部にそれぞれフランジ接手を有する。第2接続ラインL22は、配管の一端部のフランジ接手が第1バンドル51における第2ヘッダ23のフランジ接手25に連結され、配管の他部のフランジ接手が第2バンドル52における第1ヘッダ32のフランジ接手34に連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第1熱媒体循環ラインL11は、配管のフランジ接手が第2バンドル52における第2ヘッダ33のフランジ接手35に連結される。
【0045】
[再加熱装置の作動]
図1および
図2に示すように、熱回収装置101(101a,101b)は、排ガスGと熱媒体との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱が回収された排ガスGは、電気集塵装置102および脱硫装置104を通って再加熱装置105に流れる。一方、熱を回収した熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に送られる。
【0046】
熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温予熱部13に供給され、第2ヘッダ43から複数の第3伝熱管41に流れる。高温予熱部13は、熱媒体が複数の第3伝熱管41を流れるとき、熱媒体と排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを予熱する。高温予熱部13で排ガスを予熱した熱媒体は、第1ヘッダ42から第1接続ラインL21を通って高温加熱部11に供給され、第1ヘッダ22から複数の第1伝熱管21に流れる。高温加熱部11は、熱媒体が複数の第1伝熱管21を流れるとき、熱媒体と排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。
【0047】
高温加熱部11で加熱された熱媒体は、第2ヘッダ23から第2接続ラインL22を通って低温加熱部12に供給され、第1ヘッダ32から複数の第2伝熱管31に流れる。低温加熱部12は、熱媒体が複数の第2伝熱管31を流れるとき、熱媒体と排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。低温加熱部12で加熱した熱媒体は、第2ヘッダ33から第1熱媒体循環ラインL11に排出され、第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に送られる。
【0048】
[伝熱管の構成]
図5は、本実施形態の伝熱管を表す概略図、
図6は、本実施形態の再加熱装置における伝熱管の構成を表す表である。
【0049】
図5(a)に示すように、高温予熱部13を構成する第3バンドル53に適用される第3伝熱管41は、フィンが設けられていないベアチューブである。第3伝熱管41は、直線部41aと、上部湾曲部41bと、下部湾曲部41c(いずれも
図3参照)とを有する。直線部41aは、素管41a1を有する。素管41a1は、円筒形状をなす配管である。第3伝熱管41は、内部に熱媒体Wが流れ、外部に直線部41aに直交するように排ガスGが流れる。
【0050】
高温予熱部13は、複数の第3伝熱管41が千鳥状に配置される。再加熱装置105に流入する排ガスGは、腐食性不純物含有ミストなどを含む。高温予熱部13は、再加熱装置105の最上流側に配置されることから、排ガスGに含まれる腐食性不純物含有ミストが真っ先に通過するため、腐食環境がよくない。そのため、第3伝熱管41をフィンのないベアチューブとし、伝熱性能を確保するために複数の第3伝熱管41を千鳥状に配置している。
【0051】
図5(b)に示すように、高温加熱部11および低温加熱部12を構成する第1バンドル51および第2バンドル52に適用される第1伝熱管21および第2伝熱管31は、フィンが設けられているフィンチューブである。第1伝熱管21と第2伝熱管31は、ほぼ同形状をなすことから、第2伝熱管31について説明し、第1伝熱管21の説明は省略する。第2伝熱管31は、内部に熱媒体Wが流れ、外部に直線部31aに直交するように排ガスGが流れる。
【0052】
第2伝熱管31は、直線部31aと、上部湾曲部31bと、下部湾曲部31c(いずれも
図3参照)とを有する。直線部31aは、素管31a1と、フィン31a2とを有する。素管31a1は、円筒形状をなす配管である。素管31a1は、外周面にフィン31a2が固定される。フィン31a2は、らせん形状をなすように素管31a1の外周面に固定される。そのため、第2伝熱管31は、フィンチューブとして構成される。第2伝熱管31としてのフィンチューブは、直線部31aの素管31a1だけにフィン31a2が固定される。
【0053】
低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31が格子状に配置される。低温加熱部12は、再加熱装置105の中段に配置されることから、高温予熱部13に比べて腐食環境がよい。そのため、第2伝熱管31をフィンのあるフィンチューブとし、複数の第2伝熱管31を格子状に配置している。なお、高温加熱部11も、低温加熱部12と同様に、第1伝熱管21をフィンチューブとし、格子状に配置している。
【0054】
また、上述したように高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13は、温度や腐食環境が相違することから、素管やフィンの材質を異ならせている。
【0055】
図6に示すように、高温予熱部13は、排ガスGが最初に流入することから、腐食環境が最も悪い。そのため、第3伝熱管41をベアチューブとし、直線部41aを6段配置する。第3伝熱管41にて、直線部41aの素管41a1は、二相ステンレス鋼により形成される。素管41a1は、二相ステンレス鋼における汎用二相鋼より形成されることが好ましい。二相ステンレス鋼は、リーン二相鋼と、汎用二相鋼と、スーパー二相鋼などに分類される。汎用二相鋼は、耐海水腐食性に優れる。汎用二相鋼としては、例えば、SUS329J4Lが最も好ましいが、SUS329J1やSUS329J3Lなどであってもよい。また、スーパー二相鋼としては、例えば、SUS327L1などがある。
【0056】
また、第3伝熱管41にて、上部湾曲部41bおよび下部湾曲部41cは、オーステナイト系ステンレス鋼により形成される。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS316Lが好ましい。
【0057】
低温加熱部12は、高温予熱部13の次に排ガスGが流入することから、腐食環境が高温予熱部13よりも良い。そのため、第2伝熱管31をフィンチューブとし、直線部31aを12段配置する。そして、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向に対して、上流段と中流段と下流段とに3分割する。但し、分割数は、3段限らず、2段でも、4段以上であってもよい。上流段と中流段と下流段は、同じ段数である。但し、上流段と中流段と下流段は、異なる段数であってもよい。なお、低温加熱部12を構成する第2バンドル52は、排ガスGの流れ方向の上流側から見て、Z方向の高さおよびY方向の幅は、3.3m~3.5mである。
【0058】
第2伝熱管31の上流段(1~3段)にて、直線部31aの素管31a1は、二相ステンレス鋼として、例えば、SUS329J4L、SUS329J1、SUS329J3Lなどにより形成される。なお、直線部31aの素管31a1は、炭素鋼であるSTB340により形成されてもよい。一方、第2伝熱管31の上流段にて、直線部31aのフィン31a2は、オーステナイト系ステンレス鋼により形成される。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS316Lが好ましい。また、第2伝熱管31の上流段にて、上部湾曲部31bおよび下部湾曲部31cは、オーステナイト系ステンレス鋼により形成される。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS316Lが好ましい。
【0059】
また、第2伝熱管31の中流段(4~8段)にて、直線部31aの素管31a1は、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。一方、第2伝熱管31の中流段にて、直線部31aのフィン31a2は、オーステナイト系ステンレス鋼として、例えば、SUS316Lにより形成される。また、第2伝熱管31の中流段にて、上部湾曲部31bおよび下部湾曲部31cは、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。
【0060】
さらに、第2伝熱管31の下流段(9~12段)にて、直線部31aの素管31a1は、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。一方、第2伝熱管31の下流段にて、直線部31aのフィン31a2は、炭素鋼として、例えば、S-TEN1により形成される。また、第2伝熱管31の下流段にて、上部湾曲部31bおよび下部湾曲部31cは、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。
【0061】
高温加熱部11は、熱媒体が高温予熱部13から流入することから、熱媒体の温度が中で、排ガスGが最後に流入することから、腐食環境が最も良い。そのため、第1伝熱管21をフィンチューブとし、直線部21aを14段配置する。そして、高温加熱部11にて、直線部21aの素管21a1は、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。一方、第1伝熱管21にて、直線部21aのフィン21a2は、炭素鋼として、例えば、S-TEN1により形成される。また、第1伝熱管21にて、上部湾曲部21bおよび下部湾曲部21cは、炭素鋼として、例えば、STB340により形成される。
【0062】
近年、排煙処理装置100(
図1参照)では、処理する排ガス量が増加すると共に、排ガス温度が上昇している。しかし、排ガスは、脱硫装置104の下流では、腐食性不純物含有ミストが含まれることから、再加熱装置105で使用される伝熱管の早期腐食が課題となる。そして、再加熱装置105は、耐久性の向上が求められる。伝熱管の早期腐食を抑制するため、伝熱管を耐腐食性の高い材料で形成することが考えられる。しかし、伝熱管を耐腐食性の高い材料で形成すると、材料コストが増加してしまう。
【0063】
そこで、本実施形態にて、最も腐食環境の悪い高温予熱部13にて、第3伝熱管41の素管13a1を二相ステンレス鋼により形成する。二相ステンレス鋼としては、特に、SUS329J4Lが最適である。
【0064】
また、低温加熱部12は、最も腐食環境の悪い高温予熱部13と腐食環境の良い高温加熱部11との間に配置されることから、排ガスG逃れ方向で腐食環境が相違する。そのため、低温加熱部12が構成される複数の第2伝熱管31から構成される管群を、上流段を構成する第1管群と、中流段を構成する第2管群と、下流段を構成する第3管群とに分割し、各管群における第2伝熱管31の素管31a1とフィン31a2の材質を異ならせる。
【0065】
低温加熱部12にて、第1管群の第2伝熱管31は、フィン31a2より素管31a1の方が耐食性の高い材料により形成される。また、第2管群の第2伝熱管31は、素管31a1よりフィン31a2の方が耐食性の高い材料により形成される。さらに、第3管群における第2伝熱管31のフィン31a2は、第2管群における第2伝熱管31のフィン31a2より耐食性が低い材料により形成される。そして、第3管群の第2伝熱管31は、素管31a1よりフィン31a2の方が耐食性の高い材料により形成される。
【0066】
具体的には、上述したように、第1管群の第2伝熱管31は、素管31a1が二相ステンレス鋼により形成され、フィン31a2がオーステナイト系ステンレス鋼により形成される。第2管群の第2伝熱管31は、素管31a1が炭素鋼により形成され、第2管群の第2伝熱管31は、フィン31a2がオーステナイト系ステンレス鋼により形成される。
【0067】
一般的な鉄鋼材料は、腐食環境下で錆のような腐食が発生して進行する。一方、ステンレス鋼などは、表面に極めて薄い腐食膜ができることで腐食の進行が抑制される。鉄鋼材料は、引張応力と腐食環境の相互作用で、材料にき裂が発生し、亀裂が時間と共に進行する。このような現象を応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)と呼ぶ。ここで、耐食性とは、耐SCC性と言い換えることができる。
【0068】
つまり、低温加熱部12にて、腐食環境の良くない第1管群の第2伝熱管31は、素管31a1の腐食による漏水を考慮し、フィン31a2より素管31a1の耐食性を高くする。一方、第1管群より腐食環境の良い第2管群の第2伝熱管31は、素管31a1の腐食による漏水よりフィン31a2の伝熱性を考慮し、素管31a1よりフィン31a2の耐食性を高くする。また、第1管群および第2管群より腐食環境の良い第3管群の第2伝熱管31のフィン31a2を、第2管群の第2伝熱管31のフィン31a2より耐食性を低くする。そして、第3管群の第2伝熱管31は、素管31a1よりフィン31a2の耐食性を高くする。
【0069】
[高温予熱部の構成]
図7は、高温予熱部を表す概略側面図、
図8は、高温予熱部を表す概略正面図である。なお、以下の説明にて、鉛直方向をZ方向、Z方向の直交する水平方向である排ガスGの流れ方向をX方向、Z方向およびX方向に直交する水平方向である排ガスGの流れの幅方向をY方向として説明する。
【0070】
図7および
図8に示すように、高温予熱部13は、第3バンドル53を有する。第3バンドル53は、外側に第3ケーシング56が配置される。第3ケーシング56は、複数の第1支持部材61と、複数の第2支持部材62とを有する。第1支持部材61は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43における長手方向であるY方向の両側で第3伝熱管41に対向するように鉛直方向であるZ方向に沿って4個配置される。4個の第1支持部材61は、Z方向に長い板形状をなす。2個の第1支持部材61は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の一方側に配置され、上端部が第1ヘッダ42および第2ヘッダ43の一端部側の下部に固定される。2個の第1支持部材61は、X方向に間隔を空けて配置され、Z方向における複数の位置で連結部材63により連結される。また、2個の第1支持部材61は、X方向に隙間がカバー(図示略)により被覆される。
【0071】
また、2個の第1支持部材61は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の他方側に配置され、上端部が第1ヘッダ42および第2ヘッダ43の他端部側の下部に固定される。2個の第1支持部材61は、X方向に間隔を空けて配置され、Z方向における複数の位置で連結部材63により連結される。また、2個の第1支持部材61は、X方向に隙間がカバー(図示略)により被覆される。
【0072】
第2支持部材62は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の一方側に配置される第1支持部材61と、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の他方側に配置される第1支持部材61とを連結する。第1支持部材61は、Y方向に沿って配置されると共に、X方向に間隔を空けて複数配置される。第2支持部材62は、排ガスGの流れ方向(X方向)の上流側と下流側で一対の第1支持部材61を連結する。そのため、第3ケーシング56は、排ガスGの流れ方向の上流側と下流側が開口する枠形状をなす。
【0073】
また、ダクトケーシング60は、第3ケーシング56における各第1支持部材61の外側で、Y方向に沿って一対の架構梁64が設けられる。第3バンドル53は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の両端部が一対の架構梁64上に載置され、吊り下げ支持される。
【0074】
第1ヘッダ42と第2ヘッダ43は、X方向およびY方向に沿う水平な連結フランジ65により連結される。第1ヘッダ42におけるX方向の一側部と第2ヘッダ43におけるX方向の一側部とは、連結フランジ65により連結される。そして、第1ヘッダ42は、X方向の他側部にX方向およびY方向に沿う水平な取付フランジ66a固定される。第2ヘッダ43は、X方向の他側部にX方向およびY方向に沿う水平な取付フランジ66bが固定される。
【0075】
ダクトケーシング60は、上壁部60aの所定の位置に取付開口部60bが形成される。第3バンドル53は、取付開口部60bを通してダクトケーシング60の内部に挿入される。そして、第3バンドル53は、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43におけるY方向の各端部が取付開口部60bの内周部に溶接により固定されると共に、連結フランジ65および各取付フランジ66a,66bが取付開口部60bの内周部に溶接により固定される。
【0076】
この場合、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43は、円筒形状をなし、Z方向の中間位置に連結フランジ65および取付フランジ66a,66bが固定される。なお、連結フランジ65および取付フランジ66a,66bは、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43におけるZ方向の上部や下部に固定されていてもよい。そのため、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43は、下部がダクトケーシング60の内部である排ガス通路121cに位置し、上部がダクトケーシング60の外部に露出し、排ガス通路121cに位置しない。
【0077】
第1ヘッダ42は、上部にフランジ接手44が固定され、第2ヘッダ43は、上部にフランジ接手45が固定される。フランジ接手44は、円筒部44aと、フランジ部44bとを有し、円筒部44aが第1ヘッダ42の内部に連通する。フランジ接手45は、円筒部45aと、フランジ部45bとを有し、円筒部45aが第2ヘッダ43の内部に連通する。第2熱媒体循環ラインL12は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第2熱媒体循環ラインL12の配管は、フランジ接手が第2ヘッダ43のフランジ接手45にボルト45cにより締結される。また、第1接続ラインL21は、配管により構成され、端部にフランジ接手を有する。第1接続ラインL21の配管は、フランジ接手が第1ヘッダ42のフランジ接手44にボルト44cにより締結される。
【0078】
また、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43は、Y方向の一端部と他段部にそれぞれ吊具67が固定される。吊具67は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の一端部側で、下端部が第1ヘッダ42と第2ヘッダ43と連結フランジ65に固定される。また、吊具67は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43におけるY方向の他端部側で、下端部が第1ヘッダ42と第2ヘッダ43と連結フランジ65に固定される。
【0079】
なお、ここでは、高温予熱部13の第3バンドル53の構成について説明したが、高温加熱部11の第1バンドル51および低温加熱部12の第2バンドル52も、伝熱管の段数が相違する以外の部分でほぼ同様の構成となっている。
【0080】
[二重拡管構造]
図9は、連結前のヘッダと伝熱管との関係を表す断面図、
図10は、連結後のヘッダと伝熱管との連結部を表す断面図である。
【0081】
高温予熱部13の第3バンドル53は、複数の第3伝熱管41を有する。第3伝熱管41は、長手方向の各端部が第1ヘッダ42と第2ヘッダ43に固定される。このとき、第3伝熱管41は、各端部が拡管により第1ヘッダ42と第2ヘッダ43に固定される。なお、第3伝熱管41の各端部と第1ヘッダ42および第2ヘッダ43との連結構造は、ほぼ同様であり、以下では、第3伝熱管41の一端部と第1ヘッダ42との連結構造について説明し、第3伝熱管41の他端部と第2ヘッダ43との連結構造についての説明は省略する。
【0082】
図9に示すように、第3伝熱管41は、一端部が第1ヘッダ42に対して二重拡管により連結される。第1ヘッダ42は、下部に連結孔42aを有し、第3伝熱管41は、上端部に拡管部46を有する。第3伝熱管41は、拡管部46により第1ヘッダ42の連結孔42aに連結される。
【0083】
すなわち、第1ヘッダ42は、水平な円筒形状をなし、Z方向の下部にZ方向に沿って連結孔42aが形成される。連結孔42aは、円柱形状をなし、内周面に複数(本実施形態では、2個)の溝部42b,42cが形成される。複数の溝部42b,42cは、連結孔42aの周方向に連続するリング形状をなし、同形状をなす。複数の溝部42b,42cは、連結孔42aの軸方向、つまり、Z方向に間隔を空けて設けられる。第1溝部42bは、第1ヘッダ42の厚さ方向の中心に対して、第1ヘッダ42の内周面側に形成され、第2溝部42cは、第1ヘッダ42の厚さ方向の中心に対して、第1ヘッダ42の外周面側に形成される。
【0084】
ここで、溝部42b,42cは、連結孔42aの軸方向(Z方向)の長さG1,G2が、溝部42b,42c同士の間隔の長さS1の長さより短い。また、溝部42b,42cは、連結孔42aの軸方向の長さG1,G2が、溝部42b,42cと第1ヘッダ42の内面との間隔の長さS1より短い。溝部42b,42cは、連結孔42aの軸方向の長さG1,G2が、溝部42b,42cと第1ヘッダ42の外面との間隔の長さS2より短い。間隔の長さS0と間隔の長さS1と間隔の長さS2は、同じ長さである。そして、溝部42b,42cは、連結孔42aの軸方向の長さG1,G2が、第3伝熱管41の厚さの0.9倍から1.1倍である。
【0085】
また、第1溝部42bは、連結孔42aの内周面に対して凹部形状をなす。第1溝部42bは、連結孔42aの軸方向に平行な底面42b1と、連結孔42aの径方向に平行な一対の側面42b2,42b3と、底面42b1と一対の側面42b2,42b3とを接続する一対の湾曲面42b4,42b5とを有する。第2溝部42cも、第1溝部42bと同様の形状をなす。
【0086】
第3伝熱管41は、外径が第1ヘッダ42の連結孔42aの内径より若干小さい。第3伝熱管41は、一端部が連結孔42aに挿入される。このとき、第3伝熱管41の端面が第1ヘッダ42の内周面と段差なく連続することが好ましい。ここで、第1ヘッダ42は、連結孔42aの溝部42b,42cが第3伝熱管41の外周面に覆われる。この状態で、図示しない拡管用工具を第3伝熱管41に挿入し、加圧部を連結孔42aに挿入された第3伝熱管41の端部の内側に位置させる。ここで、加圧部により第3伝熱管41の端部を拡径させることで、第3伝熱管41の端部に拡径部46が形成される。
【0087】
図10に示すように、第3伝熱管41は、端部の一部が外方に突出され、連結孔42aの溝部42b,42cに対向する位置に拡径部46としての突起部46a,46bが形成される。すなわち、第3伝熱管41は、端部における第1溝部42bに対向する部分が外方に膨張して拡径し、第1溝部42bに係止する第1突起部46aが形成される。また、第3伝熱管41は、端部における第2溝部42cに対向する部分が外方に膨張して拡径し、第2溝部42cに係止する第2突起部46bが形成される。第1突起部46aおよび第2突起部46bは、第1溝部42bおよび第2溝部42cとほぼ同じ形状をなす。第3伝熱管41は、端部に形成された第1突起部46aおよび第2突起部46bが連結孔42aの第1溝部42bおよび第2溝部42cに係止することで、第1ヘッダ42に連結される。その後、第3伝熱管41は、端部が第1ヘッダ42の内周面にシール溶接42dが施される。
【0088】
なお、第1ヘッダ42の連結孔42aに2個の溝部42b,42cを設けたが、3個以上設けてもよい。また、第1ヘッダ42の連結孔42aに形成された溝部42b,42cと、第3伝熱管41の端部に形成された突起部46a,46bを、周方向に連続したリング形状としたが、周方向に断続したリング形状でもよく、リング形状でなくてもよい。
【0089】
なお、ここでは、高温予熱部13の第3バンドル53にて、第3伝熱管41の二重拡管構造について説明したが、高温加熱部11の第1バンドル51および低温加熱部12の第2バンドル52も、第1伝熱管21および第2伝熱管31は、ほぼ同様の二重拡管構造となっている。
【0090】
[伝熱管の連結構造]
図11は、ヘッダに連結される伝熱管の上端部を表す断面図、
図12は、隣接する伝熱管同士の下端部の連結部を表す断面図である。
【0091】
図11に示すように、第3伝熱管41は、長手方向(Z方向)の一端部(上端部)が第1ヘッダ42に拡管により固定される。この場合、第3伝熱管41は、フィンのないベアチューブであり、二相ステンレス鋼として、例えば、SUS329J4Lにより形成される。一方、第1ヘッダ42は、炭素鋼により形成される。二相ステンレス鋼である第3伝熱管41と、炭素鋼である第1ヘッダ42との接続は、異材接続となる。
【0092】
そのため、第3伝熱管41を、直線部(伝熱管本体)41aと、直線部41aの上端部に設けられる連結部(連結管)41dを有するものとし、直線部41aを二相ステンレス鋼とし、連結部41dを第1ヘッダ42と同じ炭素鋼とし、二相ステンレス鋼である直線部41aと、炭素鋼である連結部41dとを異材溶接により連結する。そして、直線部41aと連結部41dとの溶接部71の外側を被覆部72により被覆する。
【0093】
連結部41dは、上端部が第1ヘッダ42に直接連結される筒形状をなすスタブであり、炭素鋼により形成される。すなわち、連結部41dは、上端部が二重拡管構造により第1ヘッダ42に連結される。直線部41aは、二相ステンレス鋼(例えば、SUS329J4L)により形成される。直線部41aと連結部41dは、外径および内径が同じ寸法の円筒形状をなす。直線部41aの上端面と連結部41dの下端面は、互いに接触した状態で溶接により接続される。この場合、直線部41aの上端面と連結部41dの下端面とは、合金材料などを介すことなく直接連続するように接触した状態で、全周溶接される。
【0094】
被覆部72は、直線部41aと連結部41dとの溶接部71を周囲の腐食環境から保護する。被覆部72は、溶接部71を全周にわたって隙間なく被覆する。被覆部72は、ライニングであり、溶接部71の外表面を電位差腐食から守るために、溶接部71の外表面を直線部41aや連結部41dと異なる材料により所定の厚さだけ被覆するものである。被覆部72としてのライニングを設ける方法は、例えば、塗覆装がある。ライニングの材料としては、例えば、耐食FRP(強化プラスチック)、樹脂(例えば、王子ゴム化成株式会社のHF281など)、ゴムシート(硬質ゴム、クロロプレンなど)、ガラス、フッ素樹脂などが適用される。
【0095】
被覆部72は、直線部41aと連結部41dとの溶接部71だけを被覆するものではなく、溶接部71から直線部41aにおける所定の長さまで被覆すると共に、溶接部71から連結部41dにおける所定の長さ、例えば、連結部41dと第1ヘッダ42との連結部まで被覆することが好ましい。被覆膜厚は、400μm以上とすることが好ましい。
【0096】
なお、第3伝熱管41は、隣接する第3伝熱管41同士の各上端部が上部湾曲部41bにより連結され、各下端部が下部湾曲部41cにより連結される。このとき、直線部41aと上部湾曲部41bとが異材であるとき、また、直線部41aと下部湾曲部41cとが異材であるとき、直線部41aと上部湾曲部41bとの溶接部、また、直線部41aと下部湾曲部41cとの溶接部に対して被覆部を設けることが好ましい。
【0097】
図12に示すように、第3伝熱管41を、直線部41aと、直線部41aの下端部に設けられる下部湾曲部41cを有するものとし、直線部41aと下部湾曲部41cを異なる材質とし、異材溶接により連結する。このとき、直線部41aと下部湾曲部41cとの溶接部73の外側を被覆部74により被覆する。直線部41aと下部湾曲部41cは、外径および内径が同じ寸法の円筒形状をなす。直線部41aの下端面と下部湾曲部41cの上端面は、互いに接触した状態で溶接により接続される。
【0098】
被覆部74は、直線部41aと下部湾曲部41cとの溶接部73を周囲の腐食環境から保護する。被覆部74は、溶接部71を全周にわたって隙間なく被覆する。被覆部74は、ライニングであり、溶接部71の外表面を電位差腐食から守るために、溶接部73の外表面を直線部41aや下部湾曲部41cと異なる材料により所定の厚さだけ被覆するものである。
【0099】
また、第3伝熱管41は、主に、直線部41aだけが伝熱領域範囲であり、直線部41aに対してZ方向の上方や下方は、非伝熱領域である。すなわち、第3バンドル53は、第3ケーシング56により排ガス通路121cが区画されており、第3伝熱管41の上部湾曲部41b、下部湾曲部41c、連結部41dは、排ガス通路121cより外方に配置される。そのため、直線部41aと連結部41dとの溶接部71に設けられた被覆部72と、直線部41aと上部湾曲部41bとの溶接部(図示略)、直線部41aと下部湾曲部41cとの溶接部73は、排ガス通路121cの外側に位置する。溶接部71,73に被覆部72,74を設けたとしても、第3伝熱管41の伝熱性能に影響を与えることはほとんどない。
【0100】
なお、ここでは、高温予熱部13の第3バンドル53にて、第3伝熱管41の連結構造について説明したが、高温加熱部11の第1バンドル51および低温加熱部12の第2バンドル52も、伝熱管21,31の異材溶接が必要な部分では、ほぼ同様の連結構造となっている。
【0101】
[ヘッダのメンテナンス構造]
図13は、フランジ接手と伝熱管との関係を表すヘッダ周辺部の断面図、
図14は、フランジ接手と伝熱管との関係を表すヘッダ周辺部の断面図である。
【0102】
図13および
図14に示すように、第3バンドル53は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43から複数の第3伝熱管41の連結部に対してメンテナンスを実施可能となっている。この場合、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43は、複数の第3伝熱管41の連結部に対するメンテナンス構造が同様であることから、第1ヘッダ42のメンテナンス構造について説明し、第2ヘッダ43のメンテナンス構造についての説明は省略する。
【0103】
第1ヘッダ42は、上部のフランジ接手44に第1接続ラインL21の配管のフランジ接手がボルト44cにより締結される。第1ヘッダ42は、下部の複数の連結孔42aに複数の第3伝熱管41の直線部41aの上端部がそれぞれ固定される。第1ヘッダ42は、連結孔42aと第3伝熱管41の直線部41aとの連結部81が長手方向であるY方向に間隔を空けて連結部81が設けられる。
【0104】
第1ヘッダ42は、上部に複数の作業孔82が設けられ、複数の作業孔82は、それぞれ複数のプラグ83が設けられ、開閉可能である。複数の作業孔82は、フランジ接手44を除く位置に長手方向であるY方向に間隔を空けて設けられる。第1ヘッダ42にて、複数の作業孔82と複数の連結部81は、Z方向に対向する。複数のプラグ83は、複数の作業孔82に対して、例えば、ねじにより着脱自在である。
【0105】
そのため、第1ヘッダ42の作業孔82からプラグ83を取り外すことで、作業者は、補修治具を用いて作業孔82から第3伝熱管41の連結部81にアクセスすることができる。
【0106】
高温予熱部13は、第3バンドル51における複数の第3伝熱管41に対して排ガスGが接触する。すると、長期の使用により第3伝熱管41が腐食して損傷し、熱媒体の漏洩が発生することがある。そのため、例えば、再加熱装置105の運転を停止した定期検査時に、複数の第3伝熱管41のリーク検査を実施する。そして、リーク検査では、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43と複数の第3伝熱管41から熱媒体を排出する。そして、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43の作業孔82からプラグ83を取り外し、1本の第3伝熱管41ごとに、リーク検査を実施する。
【0107】
リーク検査でリークがあると判断された第3伝熱管41に対して、所定の領域を隔離して使用不能とする。すなわち、リークがある第3伝熱管41に対して、作業者は、図示しない工具を用いて第1ヘッダ42の作業孔82から第3伝熱管41の連結部81に止栓を固定すると共に、第2ヘッダ43の作業孔から第3伝熱管41の連結部に止栓を固定する。
【0108】
なお、第1ヘッダ42は、フランジ接手44が設けられている部分に作業孔82とプラグ83が設けられていない。そのため、フランジ接手44の下方に対向する第3伝熱管41の連結部81に対しては、フランジ接手44から第1接続ラインL21の配管のフランジ接手を取り外すことで、作業者は、フランジ接手44から第3伝熱管41の連結部81にアクセス可能となる。
【0109】
なお、ここでは、高温予熱部13の第3バンドル53のメンテナンス構造について説明したが、高温加熱部11の第1バンドル51および低温加熱部12の第2バンドル52も、同様のメンテナンス構造となっている。
【0110】
[伝熱管の水張方法]
図15は、高温予熱部におけるヘッダと伝熱管の関係を表す概略図、
図16は、高温予熱部に対する水張状態を表す概略図、
図17は、伝熱管への水張方法を説明するための概略断面図である。
【0111】
再加熱装置105は、上述したように、定期検査時に、高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13から熱媒体を排出する。そして、定期検査が終了すると、高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13から熱媒体を供給して水張作業を実施する。再加熱装置105は、熱媒体が高温予熱部13、高温加熱部11、低温加熱部12の順に流れることから、水張作業は、熱媒体を高温予熱部13、高温加熱部11、低温加熱部12の順に供給して実施される。
【0112】
例えば、
図15に示すように、高温予熱部13は、第1ヘッダ42と第2ヘッダ43との間に複数の第3伝熱管41が連結されて構成される。そして、第2ヘッダ43は、熱媒体を供給するフランジ接手45が長手方向の一端部に位置し、第1ヘッダ42は、熱媒体を排出するフランジ接手44が長手方向の他端部に位置する。そして、熱媒体を第2ヘッダ43のフランジ接手45に供給すると、熱媒体が第2ヘッダ43を長手方向に流れて各第3伝熱管41に順に流れ込む。そして、熱媒体は、複数の第3伝熱管41を介して第1ヘッダ42に到達し、水張が完了する。
【0113】
ところが、第2ヘッダ43に供給された熱媒体は、第2ヘッダ43の長手方向に流れてから各第3伝熱管41に順に流れ込むため、各第3伝熱管41は、端部に供給される熱媒体の圧力が変動する。すると、複数の第3伝熱管41のうち、熱媒体の流れる抵抗の大きい第3伝熱管41は、熱媒体が第1ヘッダ42に到達することが困難となる。例えば、
図16に示すように、熱媒体は、フランジ接手45から第2ヘッダ43に供給され、第2ヘッダ43を流れてから第3伝熱管41に流れ込む。このとき、第3伝熱管41は、直線部41aが鉛直方向(Z方向)に沿って配置されていることから、熱媒体の供給圧が低くても、熱媒体は、直線部41aおよび下部湾曲部41cには流れる。しかし、下部湾曲部41cに流れた熱媒体は、下部湾曲部41cに続く次の直線部41aを上昇することができず、全ての第3伝熱管41に対して水張を行うことが困難となる。
【0114】
そのため、本実施形態では、複数の第3伝熱管41のうち、熱媒体の供給圧の流れる抵抗が大きくて熱媒体が供給不足である第3伝熱管41に対して、第2ヘッダ43の作業孔から熱媒体を直接供給する。すなわち、供給不足である第3伝熱管41に対しては、水張治具を用いて熱媒体を直接供給する。
【0115】
図17に示すように、水張治具201は、本体202と、ノズル203と、ホース204とを有する。本体202は、例えば、内部に開閉弁を有し、第2ヘッダ43の上部に載置可能である。本体202は、下部にノズル203が連結される。ノズル203は、先端部が第3伝熱管41における直線部41aの上端部に挿入可能である。本体202は、上部にホース204が連結される。ホース204は、熱媒体の供給源(例えば、ポンプなど)に連結される。
【0116】
そのため、作業者は、まず、熱媒体が供給不足である第3伝熱管41の連結部81に対向する作業孔82のプラグ83(
図14参照)を取り外す。次に、作業孔82に対して水張治具201を載置する。そして、ノズル203の先端部を第3伝熱管41における直線部41aの上端部に挿入する。ここで、ノズル203の先端部から第3伝熱管41における直線部41aに所定圧力で熱媒体を供給する。すると、熱媒体は、第3伝熱管41の全域に供給され、第1ヘッダ42まで到達する。熱媒体が第3伝熱管41の全域に供給されると、水張治具201を取り外し、作業孔82をプラグ83により閉止して作業を終了する。
【0117】
なお、ここでは、高温予熱部13に対する水張作業について説明したが、高温加熱部11および低温加熱部12の水張作業も同様である。
【0118】
[ガイド部材の構成]
図18は、高温予熱部の要部を表す概略正面図、
図19は、高温予熱部の要部を表す水平断面図である。
【0119】
図18および
図19に示すように、高温予熱部13の第3バンドル53は、複数の第3伝熱管41における各直線部41aが千鳥状に配置される。すなわち、複数の第3伝熱管41における最上流列(1列目)の複数の直線部41a-1は、Y方向の一方側(
図19の右方側)に寄り、最上流から2列目の複数の直線部41a-2は、Y方向の他方側(
図19の左方側)に寄り、最上流から3列目の複数の直線部41a-3は、Y方向の一方側(
図19の右方側)に寄っている。
【0120】
すると、複数の第3伝熱管41における最上流列(1列目)の複数の直線部41a-1は、Y方向の他方側(
図19の左方側)で、第3ケーシング56の第1支持部材61との間に大きな隙間が形成されてしまう。この隙間は、Y方向に隣接する直線部41aの間隔より大きい。すると、X方向に流れる排ガスGは、抵抗の小さい第1支持部材61と最上流列の直線部41a-1との隙間に流れてしまい、熱交換効率が低下してしまう。
【0121】
そこで、第1支持部材61と最上流列の直線部41a-1との隙間を塞ぐと共に、排ガスGを直線部41a-1側に案内するガイド部材91を設ける。ガイド部材91は、複数の第3伝熱管41より排ガスGの流れ方向の最上流側で、第3ケーシング56(ダクトケーシング60)から第3伝熱管41の最上流列の直線部41a-1側に延出される。
【0122】
ガイド部材91は、板形状をなすガイド板92を有する。ガイド板92は、排ガスGの流れ方向(X方向)に対向する面内方向であるY方向(配置方向)および鉛直方向であるZ方向に沿って配置される。ガイド板92は、Y方向における一端部が第1支持部材61に固定され、Y方向における他端部が最上流列の直線部41a-1側に延出される。ガイド板92は、Z方向における上端部が第3支持部材66に固定され、Z方向における他端部も第3支持部材66に固定される。ガイド板92は、Y方向の長さに対してZ方向の長さが長い。ガイド板92は、例えば、アスペクト比が50:550から50:1400であることが好ましい。
【0123】
ガイド板92は、表面部92aが排ガスGの流れに対向する。ガイド板92は、Y方向における一端部の裏面部92bが第1支持部材61の前面部61aに接するように、例えば、溶接により固定される。ガイド板92は、第3ケーシング56からY方向の長さL1が、第3ケーシング56からY方向に隣接する最上流列の直線部41a-1の中心までの長さL2より短いかまたは同じ長さになる。つまり、第3バンドル53を排ガスGの流れ方向の上流側から見たとき、ガイド板92と最上流列の直線部41a-1とが重なってもよい。
【0124】
また、ガイド板92と排ガスGの流れ方向の最上流列の直線部41a-1との距離L3は、0mmから50mmである。
【0125】
ガイド部材91(ガイド板92)は、第1支持部材61と最上流列の直線部41a-1との隙間を塞ぐように、第1支持部材61および直線部41a-1より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。高温予熱部13の第3バンドル53に流れ込む排ガスGは、複数の第3伝熱管41に接触する。このとき、Y方向の他方側で、第1支持部材61側を流れる排ガスGは、ガイド部材91に当接して直線部41a-1側に案内され、複数の第3伝熱管41に接触する。すなわち、第1支持部材61と最上流列の直線部41a-1との間に大きな隙間が形成されているものの、この隙間の上流側にガイド部材91が位置するため、排ガスGがこの隙間に流れることが抑制される。そのため、複数の第3伝熱管41による熱交換効率の低下が抑制される。
【0126】
なお、上述の説明では、ガイド部材91は、第3ケーシング56に固定し、第3ケーシング56から第3伝熱管41の最上流列の直線部41a-1側に延出したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、ガイド部材91をダクトケーシング60に固定し、ダクトケーシング60から第3伝熱管41の最上流列の直線部41a-1側に延出してもよい。すなわち、第3バンドル53をダクトケーシング60に固定したとき、ダクトケーシング60と第3ケーシング56は、ほぼ一体の構造物になる。そのため、ガイド部材91は、第3バンドル53とダクトケーシング60のいずれかに固定すればよい。
【0127】
また、ガイド部材91は、高温予熱部13にて、排ガスGの流れ方向の最上流列に位置する第3伝熱管の直線部41a-1のうち、第3ケーシング56(ダクトケーシング60)に最も近い第3伝熱管の直線部41a-1に対してだけ設けられる。排ガスGの流れ方向の最上流から2列目以降に位置する第3伝熱管の直線部41aのうち、第3ケーシング56(ダクトケーシング60)に最も近い第3伝熱管の直線部41aに対してガイド部材91を設ける必要はない。
【0128】
また、高温加熱部11および低温加熱部12は、伝熱管21,31が千鳥状ではなく、格子状に配置されており、ガイド部材を設ける必要はない。但し、高温加熱部11および低温加熱部12にて、伝熱管21,31を千鳥状に配置した場合、ガイド部材を設けてもよい。
【0129】
[伝熱管支持部材の構成]
図20は、高温予熱部における伝熱管の支持部を表す縦断面図、
図21は、高温予熱部における伝熱管の支持部を表す水平断面図である。
【0130】
図20および
図21に示すように、第3バンドル53は、外側に第3ケーシング56が配置され、第3ケーシング56は、上端部が第1ヘッダ42および第2ヘッダ43(
図8参照)に支持される。第3ケーシング56は、Y方向の両側に配置されてZ方向に長い複数の第1支持部材61と、X方向の両側に配置されてY方向に長い複数の第2支持部材62とを有する。第3ケーシング56は、複数の第1支持部材61と複数の第2支持部材62と枠形状をなすように組付けられて構成される。
【0131】
複数の第3伝熱管41は、第1ヘッダ42および第2ヘッダ43から吊り下げられ、第3ケーシング56の内側に配置される。複数の第3伝熱管41は、長手方向の各上端部が第1ヘッダ42および第2ヘッダ43に連結されることから、片持ち支持となり、不安定である。そのため、第3ケーシング56は、内側に複数の第3伝熱管41を支持する複数の支持板96が配置される。
【0132】
支持板96は、外縁部が第3ケーシング56を構成する第1支持部材61と第2支持部材62に支持される。支持板96は、X方向およびY方向に沿った水平をなし、所定の厚さを有する板材である。支持板96は、第3伝熱管41の直線部41aが挿通される複数の貫通孔97が形成される。支持板96は、平面視が矩形状をなし、X方向に対向する一対の外縁部96aが第2支持部材62におけるZ方向の上面部62aに固定される。また、支持板96は、Y方向に対向する一対の外縁部96bが第1支持部材61におけるY方向の内壁部61bに固定される。すなわち、支持板96は、外縁部96aの下面が第2支持部材62の上面部62aに載置された状態で溶接により固定される。支持板96は、外縁部96bの端面が第1支持部材61の内壁部61bに接触した状態で溶接により固定される。なお、支持板96は、矩形状をなし、X方向およびY方向の長さが2.5m~2.7mの範囲にある。
【0133】
また、支持板96は、複数の貫通孔97に隣接して複数の水抜き孔98が設けられる。複数の水抜き孔98は、複数の貫通孔97より小径である。また、複数の水抜き孔98は、支持板96に対して適正な位置に形成される。
【0134】
支持板96は、第3ケーシング56の内側で、Z方向に間隔を空けて複数配置される。複数の支持板96は、ほぼ同形状をなす。但し、Z方向に隣接する支持板96は、貫通孔97の位置がX方向とY方向の少なくともいずれか一方に所定距離だけずれて形成される。すなわち、第3伝熱管41の直線部41aは、貫通孔97に挿通されることから、貫通孔97の内径は、直線部41aの外径より若干大きい。Z方向に隣接する支持板96の貫通孔97がX方向またはY方向にずれると、第3伝熱管41の直線部41aが貫通孔97に挿通された状態で、直線部41aの外周面が貫通孔97の内周面に接触しやすくなる。すると、第3伝熱管41は、直線部41aが貫通孔97に接触することで、振動が抑制される。なお、Z方向に隣接する支持板96の貫通孔97のずれ量(所定距離)は、貫通孔97の内径と直線部41aの外径の差以下とすることが好ましい。
【0135】
支持板96は、X方向に対向する一対の外縁部96aが第2支持部材62におけるZ方向の上面部62aに固定される。高温予熱部13の第3バンドル53に流れ込む排ガスGは、腐食性不純物含有ミストなどを含んである。排ガスGが複数の第3伝熱管41に衝突すると、液化して落下し、支持板96上に溜まる。このとき、支持板96上の腐食性不純物含有流体は、支持板96上を流れて外縁部96a側から第2支持部材62を超えて落下する。また、支持板96上の腐食性不純物含有流体は、支持板96上を流れて水抜き孔98から落下する。そのため、腐食性不純物含有流体は、支持板96上に滞留することがなく、支持板96の腐食が抑制される。
【0136】
なお、ここでは、高温予熱部13の第3バンドル53について説明したが、高温加熱部11の第1バンドル51および低温加熱部12の第2バンドル52も同様の構成である。
【0137】
上述した本実施形態の再加熱装置105にて、高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13を構成する第1バンドル51と第2バンドル52と第3バンドル53は、既設のバンドルに対して交換可能である。従来の再加熱装置は、例えば、ダクトケーシングの内部に高温予熱部を構成するバンドルが配置されていた。つまり、従来は、ダクトケーシングの内部に入口ヘッダと出口ヘッダと複数の伝熱管が配置されていた。そのため、本実施形態では、ダクトケーシングの内部に配置されていた既設のバンドルを取り出し、本実施形態の新規のバンドルを挿入して固定する。
【0138】
以下では、高温予熱部13におけるバンドルの交換方法について説明する。なお、高温加熱部11や低温加熱部12においても同様である。
【0139】
図7および
図8に示すように、まず、ダクトケーシング60にて、排ガス通路121cに配置された既設のバンドルの上方に対向する上壁部60aの所定箇所を切断し、上壁部60aに取付開口部60bを形成する。次に、排ガス通路121cに配置された既設のバンドルを吊り上げ、取付開口部60bからダクトケーシング60の外部に抜き出す。なお、事前に、既設のバンドルに連結されていた熱媒体の各種配管を取り外しておく。
【0140】
続いて、本実施形態の新規の第3バンドル53を吊り上げ、取付開口部60bの上方まで移動する。そして、新規の第3バンドル53を吊り下ろすことで、取付開口部60bからダクトケーシング60内の排ガス通路121cに挿入する。このとき、第3バンドル53は、ヘッダ42,43がダクトケーシング60の架構梁64上に載置する。そして、ダクトケーシング60に対して、第3バンドル53の位置調整を行う。
【0141】
その後、第3バンドル53におけるヘッダ42,43と取付開口部60bの周縁部、取付フランジ66a,66bと取付開口部60bの周縁部とを溶接により連結することで、取付開口部60bを閉止する。そして、第3バンドル53の各ヘッダ42,43に熱媒体の各種配管を連結する。
【0142】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る伝熱管は、直線部(伝熱管本体)21a,31a,41aと、直線部21a,31a,41aと異なる材料で形成されて直線部21a,31a,41aにおける長手方向の端部に溶接により接続される連結管と、直線部21a,31a,41aと連結管との接続部の外側を被覆する被覆部72,74とを備える。
【0143】
第1の態様に係る伝熱管によれば、直線部21a,31a,41aと連結管との溶接部71,73は、被覆部72,74により被覆されることとなり、溶接部71,73の電位差による腐食が抑制される。そして、直線部21a,31a,41aと連結管との間に合金などの異種金属を介在させる必要がなく、溶接作業が複雑なものとはならず、作業コストも増加しない。その結果、伝熱管21,31,41の連結作業の作業性の向上を図ることができる。
【0144】
第2の態様に係る伝熱管は、第1の態様に係る伝熱管であって、さらに、連結管は、一端部がヘッダ42,43に連結される筒形状をなすスタブとしての連結部41dであり、直線部41aの端面と連結部41dにおける他端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される。これにより、直線部41aと連結部41dとの溶接部71が被覆部72により被覆されることとなり、溶接部71の電位差による腐食を抑制することができる。
【0145】
第3の態様に係る伝熱管は、第2態様に係る伝熱管であって、さらに、連結管は、一端部が一対の直線部41aの端部同士を連結する湾曲管41b,41cであり、一対の直線部41aの端面と湾曲管41b,41cにおける各端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される。これにより、直線部41aと湾曲管41b,41cとの溶接部73が被覆部74により被覆されることとなり、溶接部71の電位差による腐食を抑制することができる。
【0146】
第4の態様に係る伝熱管は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る伝熱管であって、さらに、被覆部72,74は、直線部41aと連結管との接続部を周囲の腐食環境から保護する。これにより、溶接部71,73が被覆部72,74により被覆するだけで、溶接部71,73を腐食環境から保護することができる。
【0147】
第5の態様に係る伝熱管は、第4の態様に係る伝熱管であって、さらに、被覆部72,74は、直線部41aと連結管との接続部から、直線部41aの長手方向および連結管の長手方向に所定長さを有する。これにより、溶接部71,73が所定長さにわたって被覆部72,74により被覆されることで、溶接部71,73の腐食を適切に抑制することができる。
【0148】
第6の態様に係る伝熱管は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係る伝熱管であって、さらに、被覆部72,74は、膜厚が400μm以上である。これにより、被覆部72,74により溶接部71,73を安定して被覆ことができる。
【0149】
第7の態様に係る熱交換器は、排ガス通路121cを形成するダクトケーシング60と、熱媒体の入口部が設けられる入口側のヘッダ22,33,43と、熱媒体の出口部が設けられる出口側のヘッダ23,32,42と、排ガス通路121cに配置されてヘッダ22,33,43とヘッダ23,32,42とを連結する伝熱管21,31,41とを備える。これにより、直線部21a,31a,41aと連結管との溶接部71,73は、被覆部72,74により被覆されることとなり、溶接部71,73の電位差による腐食が抑制される。そして、直線部21a,31a,41aと連結管との間に合金などの異種金属を介在させる必要がなく、溶接作業が複雑なものとはならず、作業コストも増加しない。その結果、伝熱管21,31,41の連結作業の作業性の向上を図ることができる。
【0150】
第8の態様に係る排煙処理装置は、排ガスGの熱の一部を回収する熱回収装置101と、熱回収後の排ガスGに含まれるばいじんを除去する電気集塵装置102と、集塵後の排ガスGに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置104と、脱硫後の排ガスGを再加熱する再加熱装置105とを備える。これにより、再加熱装置105にて、直線部21a,31a,41aと連結管との溶接部71,73は、被覆部72,74により被覆されることとなり、溶接部71,73の電位差による腐食が抑制される。そして、直線部21a,31a,41aと連結管との間に合金などの異種金属を介在させる必要がなく、溶接作業が複雑なものとはならず、作業コストも増加しない。その結果、伝熱管21,31,41の連結作業の作業性の向上を図ることができる。
【0151】
第9の態様に係る伝熱管の接続方法は、直線部41aの端部と直線部41aと異なる材料で形成された連結管の端部とを溶接により接続する工程と、直線部41aと連結管との接続部の外側を被覆する工程とを有する。これにより、直線部21a,31a,41aと連結管との溶接部71,73は、被覆部72,74により被覆されることとなり、溶接部71,73の電位差による腐食を抑制することができると共に、伝熱管21,31,41の連結作業の作業性の向上を図ることができる。
【0152】
なお、上述した実施形態にて、再加熱装置105は、高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13を備える。この場合、第1伝熱管21、第2伝熱管31、第3伝熱管41の長さや本数は、使用形態に応じて適宜設定すればよいものである。また、再加熱装置105を、高温加熱部11と高温予熱部13とから構成してもよい。
【0153】
また、上述した実施形態にて、再加熱装置105が第1バンドル51と第2バンドル52と第3バンドル53を備え、高温加熱部11により第1バンドル51を構成し、低温加熱部12により第2バンドル52を構成し、高温予熱部13により第3バンドル53を構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、低温加熱部12と高温予熱部13を共用のバンドルにより構成してもよい。
【0154】
また、上述した実施形態では、本発明の熱交換器を排煙処理装置100の再加熱装置105に適用して説明したが、別の熱交換器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0155】
11 高温加熱部
12 低温加熱部
13 高温予熱部
21 第1伝熱管
22 第1ヘッダ
23 第2ヘッダ
24,25 フランジ接手
31 第2伝熱管
32 第1ヘッダ
33 第2ヘッダ
34,35 フランジ接手
41 第3伝熱管
42 第1ヘッダ
43 第2ヘッダ
44,45 フランジ接手
46 拡径部
51 第1バンドル
52 第2バンドル
53 第3バンドル
54 第1ケーシング
55 第2ケーシング
56 第3ケーシング
60 ダクトケーシング
61 第1支持部材
62 第2支持部材
63 連結部材
64 架構梁
65 連結フランジ
66a,66b 取付フランジ
67 吊具
71,73 溶接部
72,74 被覆部
81 連結部
82 作業孔
83 プラグ
91 ガイド部材
92 ガイド板
96 支持板
97 貫通孔
98 水抜き孔
100 排煙処理装置
101,101a,101b 熱回収装置
102,102a,102b 電気集塵装置
103,103a,103b 送風装置
104 脱硫装置
105 再加熱装置
106,106a,106b 送風装置
111 ボイラ
112 煙突
121a,121b,121c,121d,121e,121f,121g 排ガス通路
122 開閉弁
123 ミストエリミネータ
131 循環ポンプ
132 ヒータ
133 ドレンタンク
134 開閉弁
L11 第1熱媒体循環ライン
L12 第2熱媒体循環ライン
L13 蒸気ライン
L14 蒸気ドレンライン
L21 第1接続ライン
L22 第2接続ライン
G 排ガス
W 熱媒体
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスパスに配置される伝熱管本体と、
前記ガスパスに配置されて前記伝熱管本体と異なる材料で形成されて前記伝熱管本体における長手方向の端部に溶接により接続される連結管と、
前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する被覆部と、
を備え、
前記接続部は、前記ガスパスに配置される、
伝熱管。
【請求項2】
前記連結管は、一端部がヘッダに連結される筒形状をなすスタブであり、前記伝熱管本体の端面と前記スタブにおける他端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項3】
前記連結管は、一端部が一対の前記伝熱管本体の端部同士を連結する湾曲管であり、一対の前記伝熱管本体の端面と前記湾曲管における各端部の端面とが接触した状態で溶接により接続される、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項4】
前記被覆部は、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部を周囲の腐食環境から保護する、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項5】
前記被覆部は、前記伝熱管本体と前記連結管との接続部から、前記伝熱管本体の長手方向および前記連結管の長手方向に所定長さを有する、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項6】
前記被覆部は、膜厚が400μm以上である、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項7】
排ガス通路を形成するダクトケーシングと、
熱媒体の入口部が設けられる入口ヘッダと、
前記熱媒体の出口部が設けられる出口ヘッダと、
前記排ガス通路に配置されて前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとを連結する請求項1に記載の伝熱管と、
を備える熱交換器。
【請求項8】
排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、
熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、
集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後の前記排ガスを再加熱する請求項7に記載の熱交換器が適用される再加熱器と、
を備える排煙処理装置。
【請求項9】
ガスパスに配置される伝熱管本体の端部と前記ガスパスに配置されて前記伝熱管本体と異なる材料で形成された連結管の端部とを溶接により接続する工程と、
前記伝熱管本体と前記連結管との接続部の外側を被覆する工程と、
を有し、
前記接続部を前記ガスパスに配置する、
伝熱管の製造方法。