(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043837
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】シート材巻取装置、シート材巻出し装置及びシート材巻取装置によるシート材巻取方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20240326BHJP
B21C 47/24 20060101ALI20240326BHJP
B65H 19/30 20060101ALI20240326BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20240326BHJP
B65H 16/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H19/12 B
B21C47/24 G
B65H19/30
B65H18/10
B65H16/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149039
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000149619
【氏名又は名称】大野ロール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313015214
【氏名又は名称】森 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箭内 良行
(72)【発明者】
【氏名】森 茂
【テーマコード(参考)】
3F052
3F055
3F064
4E026
【Fターム(参考)】
3F052AA06
3F052AB10
3F052BA10
3F052CA01
3F052DA15
3F055AA09
3F055CA18
3F055DA01
3F055FA17
3F064AA06
3F064BA02
3F064CA02
3F064EB08
3F064EB14
4E026BA07
4E026BA16
(57)【要約】
【課題】コイル状の電極板の自重を受ける電極板受台を必要とせず、電極板の蛇行に対して精緻に対応することができ、製造された電極板に品質的な問題の発生を防止する。
【解決手段】ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ターレットの軸方向への移動動作の制限を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段を備えて、シート材を巻き取るシート材巻取装置又は巻き出すシート材巻出し取装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持しながらドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項2】
シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作し、シート材を巻き取るシート材巻取装置又は巻き出すシート材巻出し取装置において、
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ターレットの軸方向への移動動作の制限を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とすること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置において、
ドラム軸移動手段を、軸移動用モーター、当該軸移動用モーターからの回転駆動力を軸方向直動力に変換する変換手段を備えて構成し、着脱手段を、スプールに対して離脱するクランプ機構及び当該クランプ機構を作動させるエアー駆動装置で構成したこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置において、
ドラム軸回転手段を、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸、当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成し、
ドラム軸とターレットとの間に摺動手段を設けられること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置において、
シート材の蛇行を検出するセンサーを備え、検出した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動量を演算設定し、演算設定された移動量に基づいてドラム軸移動手段の移動を調整する制御装置を備え、
当該ドラム軸移動手段が演算設定された移動量を取得し、シート材巻取装置の巻取りセンターを、シート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し取装置。
【請求項7】
シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板であり、
シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段及びドラム軸を軸方向に移動させるドラム軸の軸移動手段、を備え、
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け
電極板の蛇行を計測する計測手段を備え、
電極板の計測された蛇行量に対応し、当該スプールを軸方向に移動調整制御する制御装置を備えた、
電極板を巻き取る電極板巻取り装置による極板巻取方法又は電極板を巻出す電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法において、
第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、スプールを30mm以内の範囲でシート材センターに一致する方向に動作すること
電極板を巻き取る電極板巻取り装置による極板巻取方法又は電極板を巻出す電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法。
【請求項8】
シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板であり、
シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備えて、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作させ、
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
電極板の蛇行を計測する計測手段、電極板の計測された蛇行量に対応し、当該スプールを軸方向に移動調整制御する制御装置を備えた、
電極板を巻き取る電極板巻取り装置による電極板巻取方法又は電極板を巻出す電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法において、
制御装置が、計測した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動調整量を演算設定し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、スプールを30mm以内の範囲でシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とする電極板巻取装置による電極板巻取方法又は電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材巻取装置又はシート材巻出し取装置、及び電極板巻取方法又は電極板巻出し取方法に関し、特にリチウムイオン電池を構成する活物質が塗工された電極板をプレスするロールプレス機に連続的に電極板を供給するターレット型巻出し装置、及び電極板を巻き取るターレット型巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などリチウムイオン電池を動力源とする機器が増え、電池を構成する電極板を高能率で生産することが求められている。電極板を連続的にプレスするロールプレス設備において、コイルの交換などの生産阻害時間を極力少なく出来るターレット型巻き取り装置が活用されている。このターレット型巻取り、巻出し装置において、電極板の蛇行補正とコイルの着、脱動作を簡便に出来る機構が求められている。
【0003】
特許文献1には、電極板を乾燥させる目的で、コイル状に巻き取られた電極板を巻出し、乾燥させて再度巻き取る装置が記載される。特許文献1では電極板の巻出し、巻取り両方でドラム軸は固定されていて、複数ドラム軸を配置することが記載される。
【0004】
特許文献2には、巻取り装置であって、スプールを回転駆動させる駆動装置が、スプールの移動する軸心に伴ってリールドラムの周方向及び径方向へ移動自在に構成され、接続用カプリング及び接続部材からなる接続用継手を備えることが記載される。
【0005】
特許文献3には、ウエビング巻取装置がスプールを軸方向に移動させる移動機構を備え得ことが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-107237号公報
【特許文献2】特開2000-255854号公報
【特許文献3】特許第5819255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リチウムイオン電池は、アルミや銅の素材でできた金属箔の表面に電気エネルギーを溜めることが可能なリチウム金属などの活物質を長手方向に塗工して作られている。活物質が塗工された電極板は塗工部が上下プレス用ロールに挟まれ圧縮されるが、このプレス作業をより効率的の行うため、連続的に電極板を巻取りが出来るよう2本の回転可能な巻取り軸を交互に交換しながら巻き取るターレット型巻取り装置が必要となる。
【0008】
電極板が巻き取られる際、コイル端面が一直線に巻かれるよう電極板の蛇行に合わせ、巻取りドラムを軸方向に移動させながら巻き取る必要がある。
【0009】
特許文献1~3に記載されるような従来装置には、固定式のドラム軸は電極板の蛇行に対応するため、該ドラム軸とドラム軸駆動機構一体で軸方向に移動させることが可能な機構を有することが記載される。
【0010】
今後、リチウムイオン電池の材料である電極板の生産性を高めるため、コイル幅や径が大きくなり、巻取り装置全体の重量が増える方向にある。蛇行に追随しドラム軸方向に移動させる機器重量も増加する。
連続的に電極板を巻取り、巻き出しが出来ると共に、シンプルな機構で電極板の蛇行に追随可能なターレット型巻取り、巻き出し装置が求められている。
【0011】
巻き取ったコイル状の電極板をドラム軸から抜出すことが必要である。特許文献1~3に記載されたた発明では、巻き取ったコイル状の電極板をドラム軸と反対側に抜出すことになるため、ドラム軸と巻き取った電極板心棒のコイルコア部の間に隙間を作る必要がある。このため、電極板の重量を支える電極板受台が必要になる。その際、電極板受台でコイル状の電極板の自重を受けることになり、製造された電極板に品質的な問題が発生する。
【0012】
本発明は、係る点に鑑み従来装置に設けられたコイル状の電極板の抜出し時、電極板の自重を受ける電極板受台を設けることを必要とせず、巻取り装置全体の重量の増加に対応し、シンプルな機構で電極板の蛇行に対して精緻に対応することができ、製造された電極板に品質的な問題の発生を防止するこができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段を備えて、シート材を巻き取るシート材巻取装置又は巻き出すシート材巻出し取装置に係る。
【0014】
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持しながらドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作することを特徴とする。
さらに、本発明は、シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレット板(以下、ターレットという)を備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作し、シート材を巻き取るシート材巻取装置又は巻き出すシート材巻出し装置に係る。
【0015】
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ターレットの軸方向への移動動作の制限を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作することを特徴とする。
【0016】
本発明は具体的には、電極板をスプールに巻き取るドラム軸を相対する2枚のターレットに組み込み、該ターレットを公転させ、複数の前記スプールに交互に該電極板を巻取る手段を持つターレット型巻き取り装置に於いて、該電極板の蛇行に対応して、該電極板センターと巻取りセンターを一致させる動作と該ドラム軸による前記スプールの着、脱動作の二つの異なる目的の動作を該ターレットに配置されたドラム軸の軸移動機構を用いて行い、前記ターレットと公転軸を一緒に軸方向に移動させないことを特徴とする電極板用ターレット型巻き取り装置を提案する。
【0017】
本発明は上述された左右のターレットに相対する向きに電極板を巻き取るドラム軸と軸移動手段を配置し、少なくとも一方側の軸移動機構にはモーターの回転力をドラム軸方向の移動力に代える直動化機構を有し、回転方向、回転角の値を前記モーターへ指示することにより、ドラム軸を任意の軸方向位置へ移動可能とする手段を備えたことを特徴とする電極板用ターレット型巻き取り装置を提案する。
【0018】
本発明は上述された電極板を巻き取るドラム軸と前記ドラム軸を回転駆動するモーターを公転するターレット上に配置し、該ドラム軸と該モーター間にスプラインを有するアイドル軸を配置して、該モーターの駆動力により該ドラム軸が連続的に回転しながら同時に該ドラム軸が軸方向移動を可能とすることを特徴とする電極板用ターレット型巻き取り装置を提案する。
【0019】
以上の説明で、電極板の巻取り装置又は電極板の巻出し装置について述べたが、電極板の巻取り装置又は電極板の巻出し装置への適用は、典型的に事例であり、本発明は、シート材、例えば金属製のシート材を巻き取る巻取装置又はシート材を巻き出す巻出し装置にも適用可能である。したがって、本出願明細書で、シート材は、電極板と読み替えることができる。請求項に記載のシート材は、電極板を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロールプレス機の出側に配置された電極板用ターレット型巻取り装置のドラム軸において、シール材巻取りのためのスプールの着脱の動きと電極板の蛇行に追随したドラム軸の動きがドラム軸方向で同じであることを利用し、二つの動きを一つの装置で制御操作することを可能とした。
【0021】
さらに、ドラム軸を動かす装置をターレットに組み合わせた場合、電極板の蛇行に追随して公転軸をターレットと一緒に軸移動させる必要がなくなり、巻取装置又は巻出しの機構を簡素化でき、従来装置で必要とされたコイル状の電極板の抜出し時、電極板の自重を受ける電極板受台を設けることを要せず、電極板の蛇行の発生に対して精緻に蛇行補正することができ、製造された電極板に品質的な問題の発生を防止することができる。これに伴って、装置の製作費用、稼働後のメンテナンス費用の低減を含め大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ターレット型巻取り装置、巻き出し装置を有するロールプレス設備の全体概要を示す図である。
【
図2】従来方式のターレット型巻取り装置の一例を示す図である。
【
図3】活物質をストライプ状に塗工した電極板の構成を示す図である。
【
図4】本発明に実施例になる電極板巻取り装置の一例を示す図である。
【
図5】本発明に実施例になるドラム駆動装置を示す図である。
【
図6】電極板の蛇行とドラム軸移動による巻取りセンター修正を示す平面図である。
【
図7】コイルを巻くスプールからドラム軸の抜き取り、挿入の動きを示す図である。
【
図8】ターレット型巻取り装置から巻き取ったコイルを次工程への移動を示す図である。
【
図9】ターレット型巻き取り装置のシリンダー駆動式軸移動機構を示す図である。
【
図10】ボールネジ504に代わるモーター駆動式軸移動機構を示す図である。
【
図11】特許文献1に記載された公知例の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0024】
図1は、ターレット型巻取り装置又は巻き出し装置を備えた電池用電極板300のロールプレス装置001の全体概要を示す。
【0025】
ターレット型巻取り装置及び巻き出し装置は、同一の構成であり、以下、ターレット型巻取り装置を例に採り説明する。多軸巻取軸を具備し、ターレットを備えて多数の巻取装置を一つの軸周りに公転するように構成された巻取装置はターレット型巻取り装置と呼ばれる。
【0026】
本発明は、シート材巻取装置に適用可能で、典型的にはシート材を巻取るようにしたターレット型巻取り装置に適用可能であり、さらに典型的には、シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板で構成されたターレット型の電極板巻取装置に適用可能である。
【0027】
以下、ターレット型の電極板巻取り装置(以下、電極板巻取り装置という)を例に採って説明する。
【0028】
ロールプレス装置001は、ハウジイング103内に配置され、入側の巻き出し装置400から巻き出された電極板300をロールプレス機100のプレスロール101で回転圧縮し、150ミクロン程度に薄くした状態で出側に送り出される。ロールプレス機100からに電極板巻取り装置200まで電極板300が一定の張力で搬送されるようダンサーロール104やガイドロール105が配置されている。
【0029】
指定された径のコイル310になった電極板300を電極板巻取り装置200で一定の張力で巻き取る。電極板巻取り装置200は、中心に公転軸202、所定の距離を置いて巻取のためのドラム軸203、及びターレット201を備える。
【0030】
電極板300が移動方向に対し直角方向へ移動した場合、その移動量を正確に把握するためエッジセンサー102がロールプレス機100の入側、出側に配置される。
【0031】
エッジセンサー102で測定された直角方向への蛇行に伴う移動量(以下、蛇行量という)は巻取り時、電極板300が移動した蛇行量を考慮して、電極板巻取り装置200の巻取りセンターを電極板300の搬送方向と直角方向に移動させる。
【0032】
本実施例では電池用電極板300はリチウムイオン電池を代表例に採って説明する。
【0033】
リチウムイオン電極板以外の電池工場で使われる電極板巻取り装置、電極板巻き出し装置に於いても、本発明は適用される。
【0034】
金属薄板などでは特許文献1に記載有るよう1本のドラム軸で巻き取るのが一般的である。電池製造においてはドラム軸から巻き取ったコイル310を抜き出す際、コイル300の自重を受けることが無いようスプール204の部分を支持する。確実にスプール204で支持できるようにし、次の巻き取り準備のためスプール204のドラム軸203への取付け時間短縮が出来る機構など種々のコイル巻き取り装置が考案されてきた。
【0035】
図2は、従来方式の電極板巻取り装置の一例を示す図である。
【0036】
本発明との比較のために、従来方式の電極板巻取り装置の一例を以下、説明する。
【0037】
リチウムイオン電極板(以下、電極板という)300の巻取り、巻き出し装置として
図2に示すような電極板巻取り装置200が採用された。この装置の特徴は電極板300がスプール204に巻かれ、コイル310を取り出し、スプール204の装着が容易な点にある。以下、巻き出しと巻き取りで機構が同じなので電極板巻取り装置200として説明する。
【0038】
ターレット201が、ドラム軸移動装置及びドラム軸回転駆動装置に固定連結して設けられる。
【0039】
ロールプレス機100から近い、一定の位置で電極板300のコイル先端をドラム軸203に固定されたスプール204の外周に巻き付け始める。巻き取りが終了に近づいた時点で、電極板300を巻取りながらターレット201を公転させる。公転とはターレット201が公転軸202を中心に回転することを意味する。新スプール204は公転前に他方のドラム軸203に取り付け、公転後、ロールプレス機100に近い位置で待機し、次のコイル先端を巻き始める。このように電極板巻取り装置200を用いることで、連続的に電極板300を巻き取ることが可能となる。
【0040】
スプール204はスプール204両端にドラム軸203の先端部が挿入され、クランプ機構2031で固定されている。電極板300の幅長さよりスプール204の長さを長くして、スプール204両端の電極板300が巻かれていない部分を作り、この部分を支持して、コイル310の外周で電極板300の自重を受けることなく電極板巻取り装置200から外へ搬出できる。
【0041】
従来の電極板巻取り装置200は、電極板300を連続的に巻き取るため、巻取りにための2本のドラム軸203を支持するターレット201、ターレット201を固着し支える公転軸202、左右2枚のターレット201をつなぎ一体化して剛構造化するセパレーター2012を備える。
【0042】
公転軸202は、回転自在に支持する軸受け211を備え、摺動ベース206の上に取り付けられた架台210に軸受け211を介して支持される。
【0043】
公転軸202を中心にターレット201を公転させる回転装置218を備え、回転装置218はモーターと減速機からなり公転軸202を遅い速度で回転させる機能を持っている。
【0044】
ドラム軸移動装置は、本例の場合、エアーシリンダー507、ターレット201に固定されたドラム軸203、ベアリングケース502、クランプ機構2013を備えて構成される。外部ケース501とベアリングケース502との間には隙間520が形成される。
【0045】
スプール204と公転軸202とのターレット201による固定状態下、ドラム軸203を介してスプール204を回転させるドラム軸回転駆動装置が設けられた。
【0046】
スプール204と公転軸202とのターレット201による固定状態下、スプール204が公転軸202を中心として公転される。
【0047】
電極板300の蛇行に追随してスムーズに巻取りセンターを移動させるために、固定ベース205と摺動ベース206間に直動ベアリング209が組み込まれている。
【0048】
摺動ベース206に液体シリンダー208を連結し、エッジセンサー102からの信号により、摺動ベース206を移動させるシリンダー208に液体を流し、直動移動量を制御する。液体シリンダー208に代わり、電動アクチュエーターで移動量を制御する方法が採用されてもよい。
【0049】
一般的に電極板巻取り装置200に発生する電極板300の蛇行量は30mm以下である。従来装置の場合、この少ない蛇行量を補正するために、
図2に示されるように巻き取りに必要な種々の機構を載せた摺動ベース206を移動させる必要があり、効率が悪く、精緻性が悪い。
【0050】
さらに運転中に電極板300に塗布された活物質の一部が剥離して、固定ベース205と摺動ベース206間に組み込まれた直動ベアリング209の中に入り込み不具合が生じる可能性が有る。このような不具合が生じた場合、摺動ベース206の上に組み立てられたすべての部品を取り外し直動ベアリング209の清掃や交換が必要となり、設備の不定期なメンテナンスに多くの時間が必要となる。
【0051】
図3は、活物質をストライプ状に塗工した電極板の構成を示す図である。
図3(a)は、活物質をストライプ状に塗工した電極板300の平面を示す図である。
図3(b)は、活物質をストライプ状に塗工した電極板300の断面を示す図である。
【0052】
図3(a)に示すように、帯状の電極板300は幅方向に塗工部302と未塗工部301が有る。このため、プレスロール101により電極板300を加圧すると
図3(b)に示す様に塗工部302と未塗工部301の厚み差により、厚みの有る塗工部302のみが押し力により延伸し、厚みの薄い未塗工部301が伸びないため厚みの有る塗工部302に凹凸の波が発生する。凹凸の波を減らすため、電極板300を出側方向へ高い張力で引っ張る必要があり、巻取り力がより大きくなる。電極板巻取り装置200は電極板300を強いトルクで巻き取る必要があるので、直動ベアリング209に装置の自重だけでなく、トルクに対抗する力が必要となる。この力と機器重量に耐える大きな直動ベアリング209を固定ベース205と摺動ベース206間に組み込む必要がある。従来の電極板巻取り装置200は1軸固定型巻き取り装置に対し多くの利点を持つが、解決すべき課題も有していた。
【0053】
図4は、本発明に実施例になる電極板巻取り装置の一例を示す図である。
【0054】
摺動ベースを必要としない電極板巻取り装置200が構成される。
【0055】
図5は、ドラム駆動機構内に組み込まれたモーター駆動式軸移動機構を示す図である。
【0056】
図4、
図5を用いて、従来装置で必要とされた摺動ベース206、直動ベアリング209を必要としない電極板巻取り装置200を説明する。
【0057】
ターレット201を設け、ターレット201にドラム軸駆動装置500及び回転駆動装置218を固定連結する。
【0058】
ドラム軸203とドラム回転駆動用モーター207をターレット201に取り付ける。従来装置にように摺動ベース直動ベアリング209を介して公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205に取付けるのではなく、公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205直接的に固定する。
【0059】
ターレット201に取り付けるドラム軸駆動装置500の中にドラム軸203を回転しながら軸方向に移動させることが可能な軸移動機構を持たせ、電極板300の電極板センターと巻取りセンターを一致させる動作を行う。
【0060】
公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205に直接固定する構造が採用した軸移動機構の動作で、従来装置の摺動ベース206を移動させたときと同じ蛇行制御効果を得る。これによって従来装置の摺動ベース206、直動ベアリング209が不要となる。摺動ベース206が必要なくなる。
【0061】
固定ベース205は基礎にしっかり固定される。固定ベース205を用いず、架台210を直接基礎に固定してもよい。
【0062】
エッジセンサー102により、電極板300の端部を測定し、制御装置219へデーターを送り、蛇行量を検出する。蛇行量から制御装置219によりドラム軸203の軸方向の補正移動量を算出する。電極板巻取り装置200を補正移動量に対応して移動する。
【0063】
ドラム回転駆動用モーター207をターレット201に取り付けターレットと一緒に公転する場合、モーター駆動電力を供給するため、公転軸202に取付けられた電力用スリップリング216を経由して電力を供給する。ターレット201の一部に配置された配電盤214へ電力用スリップリング216で受電した電力を送る。
【0064】
配電盤214内にはドラム回転駆動用モーター207とドラム軸移動モーター505を制御する電気機器が配設される。電気機器はターレット201と一緒に回転するので制御信号を固定線では送信出来ない。信号用スリップリング215を公転軸202の端部に配置し、制御装置219からの制御信号を配電盤214へ伝える。
【0065】
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能としている。
【0066】
図5は、本発明に実施例になるドラム駆動装置を示す図である。
【0067】
図5を用いて、ドラム駆動装置500を構成する軸移動装置及びドラム軸回転装置に付いて説明する。
【0068】
ドラム駆動装置500の外部ケース501の内部に軸移動装置及びドラム軸回転装置が組み込まれる。
【0069】
図2に示す従来装置に設けられた装置で、本実施例でも設けられる装置については同一の番号が付されて図示される。
【0070】
図5において、ドラム駆動機構500が上下に配置された例が示される。
【0071】
ドラム軸移動装置は、外部ケース501、軸移動用モーター505を備え、巻き取りドラム軸203を、ベアリングを介して回転自在に支持する軸ケース502、軸ケース502が巻き取りドラム軸203と一緒に軸方向に移動可能とする摺動レール503から成る。
【0072】
軸ケース502には、さらに軸ケース502を軸方向に移動可能とするボールネジ504が組み込まれ、ボールネジ504に軸移動用モーター505の回転力がベルト506を介して伝えられ、ボールネジ504の回転方向により軸ケース502とドラム軸203が一緒に摺動レール503上を前後に移動する直動化機構で構成される。
【0073】
ドラム軸回転装置は、ドラム回転駆動を行う回転駆動装置であるドラム回転駆動モーター207、プーリー軸514、ドラム回転駆動モーター207とプーリー軸514を結ぶベルト508、を備え、プーリー軸514に結合されたスプライン軸509、ドラム回転駆動モーター207とスプライン軸509を結ぶベルト508、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸512、ベアリング513、当該アイドル軸の回転力をドラム軸に伝達するベルト510を備えて構成される。
【0074】
ドラム軸203とドラム回転駆動用モーター207を共にターレット201に取り付けたので、回転力を伝えるために必要とされたベルト510の長さは、従来のものと比べて短縮される。
【0075】
従来の電極板巻き取り200の場合、ドラム回転駆動用モーター207は摺動ベース206近傍に配置されるので、回転するターゲット201からドラム軸203に回転力を伝えるため、ベルト212、213を配設して公転軸202を経由して伝える必要があった。
【0076】
本実施例では、このような経由構造を必要とせず、ドラム軸203の駆動系を大きく簡略化出来、ベルトの損傷などを回避でき、設備の信頼性が大きく向上する。
【0077】
左右のターレット板201に相対する向きに電極板300を巻き取るドラム軸203と軸移動機構を配置し、少なくとも一方側の該軸移動機構にはモーターの回転力をドラム軸方向の移動力に代える直動化機構を有し、回転方向、回転角の値を軸移動用モーター505へ指示することにより、ドラム軸203を任意の軸方向位置へ移動可能とする手段を備えている。
【0078】
ドラム軸203の先端にはスプール204を内側からクランプするクランプ機構2031が組み込まれていて、クランプ機構2031を動かすエアーシリンダー507がドラム軸203のクランプ機構2031と反対側に取り付けられている。エアーシリンダー507の軸方向の力でクランプ機構2031内のリンク機構が動き、クランプ機構2031の外径が拡大してスプール204の内径側と強く接触する。
【0079】
ドラム軸移動機構により、電極板300の蛇行に対応してドラム軸203の軸方向への移動とスプール204着脱時の巻き取りドラム軸203移動が同じ方向への移動なので二つの動きを一つの直動動作機構で行うことが出来る。
【0080】
図10を用いて、ボールネジ504に代わる軸ケース502移動機構を説明する。
【0081】
軸ケース502側面に摺動レール503と平行にラック515を取り付ける。軸移動用モーター505の回転力を、ピニオン516を介してラック515に伝える。ピニオン516の回転によりラック515を取り付けた軸ケース502もピニオン516の回転方向により軸ケース502とドラム軸203が一緒に摺動レール503上を前後に移動する直動化機構で構成されている。
【0082】
上述した二つの動きを一つの直動動作機構で行うこと
図6を用いて以下説明する。
【0083】
図6は、電極板300の蛇行が発生した場合、本発明のドラム軸203の軸方向の動きにより巻き取りセンターを修正する方法を説明する平面図である。
【0084】
図6に示すように、電極板300の蛇行に対応した蛇行制御は電極板センターと巻取りセンターが一致するよう、ドラム軸203を移動させる。電極板巻取り装置200の入側に設置されたエッジセンサー102により、電極板300の端部を測定し、制御装置219へデーターを送り、蛇行量を検出する。検出された電極板センターのずれから制御装置219によりドラム軸203の軸方向の補正移動量を算出する。指令された移動方向と移動量に対応して、軸移動用モーター505が指定された回転方向、回転角度まで回転し、ボールネジ504を介して、軸ケース502とドラム軸203を目的位置に移動させる。左右のターレット板201に軸移動モーター505を有する場合は左右のドラム軸203とスプール204は同じ方向へ移動し、電極板センターと巻取りセンターを一致させる。
【0085】
図7はコイル310を巻くスプール204からドラム軸203の抜き取り、挿入を示す図である。
【0086】
図7に示すように、ドラム軸203は電極板300をコイル状に巻き取るためにコイル310の芯としてスプール204を使う。スプール204をドラム軸203により回転させるため、ドラム軸203の先端部にあるクランプ機構2031をスプール204の内径に差し込む必要がある。
図7(a)はドラム軸203をスプール204に挿入前の状態を示す図である。
図7(b)はドラム軸203をスプール204に挿入後の状態を示す図である。
【0087】
図7(a)から
図7(b)への移動は蛇行制御と同じように、軸移動用モーター505が指定された回転方向、回転角度まで回転し、ボールネジ504により、軸ケース502とドラム軸203を軸方向に移動させる。左右のドラム軸203がスプール204に挿入後、ドラム軸203先端のクランプ機構2031がエアーシリンダー507の力で外径が拡大し、スプール204の内径側を固定しドラム軸203とスプール204が一体化する。
【0088】
クランプ機構2031をスプール204に挿入される方式以外に、三角錐形状のクランプ機構2031がスプール204を左右から押付け、ドラム軸203を支持し、回転力を伝える機構などスプール204の着脱方法は限定されない。どの着脱方法でもドラム軸203を軸方向に移動させることができる。
【0089】
スプール204内径からクランプ機構2031を抜き出す場合はエアーシリンダー507でクランプ機構2031を収縮させ、スプール204内径とクランプ機構外径間に隙間を作くる。次に、軸移動用モーター505が回転し、クランプ機構2031をスプール204の両端より外側まで移動させ、スプール204からドラム軸203を抜き出す。この様に蛇行制御のため巻き取りセンターと電極板センターを合わせる動きとスプール204へのドラム軸203の着、脱の動きは軸移動用モーター505とボールネジ504により行われ、同じである。
【0090】
以上説明したように、1本の公転軸202に取り付けたターレット201に電池材料となる電極板300を巻き取るドラム軸203を組み込み、ターレット201を公転させ、且つ2本のドラム軸203を交互に使って連続的に巻取りを可能とするターレット型巻き取り装置200に於いて、電極板300の蛇行に対応して、電極板センターと巻取りセンターを一致させる動作とドラム軸203によるスプール204の着、脱動作の二つの異なる目的の動作をターレット201に配置されたドラム軸の軸方向移動機構を用いて行うことで、ターレット201と公転軸202を一緒に軸方向に移動させる必要がない。
【0091】
ドラム軸移動機構は電極板300の蛇行制御の動作とドラム軸203をスプール204へ挿入、抜出の動作を軸移動用モーター505の回転角度、回転速度、回転方向を制御装置219からの指令により制御することで一つの機構で達成することが出来る。軸移動用モーター505にACサーボモーターを用いることで、高い位置決めを精緻に精度を高めることを容易に達成できる。
【0092】
図7に示されるように、ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持しながらドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作することができる。
また、ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ターレットの軸方向への移動動作の制限を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作することができる。
【0093】
電極板の蛇行を検出するセンサーを備え、検出した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動量を演算設定し、演算設定された移動量に基づいて軸移動装置の移動調整する制御装置を備え、
当該ドラム軸駆動装置が制御装置から演算設定された移動量を取得し、当該ドラム軸移動装置が、シート材のシート材センターにシート材巻取装置の巻取りセンターを一致させる方向に動作させることができる。
【0094】
図8はターレット型巻取り装置200から巻き取ったコイル310を次工程への移動方法を示す図である。
【0095】
図8に示すように、巻き取られたコイル310を次の工程へ移動するため、ターレット型巻取り装置200はターレット板201を公転させる回転駆動装置218を使ってコイル310を受け渡しし易い位置まで回転し、停止する。巻き取られたコイル310を次工程へ搬送し易くする送り出し装置601を使い、コイル310の両外側に出たスプール204部を下から支えた状態で、出側方向へ旋回移動する。次にフォークリフト等自走可能な搬送機600で送り出し装置601から受け取り次工程へ搬送する。
【0096】
次に、
図5に戻って、巻き取りドラム軸203の回転駆動装置について述べる。
【0097】
電極板300を巻き取るドラム軸203とドラム駆動モーター207がターレット板201上に配置される。ドラム駆動モーター207の回転力を、ベルト508を介して、プーリー軸514へ伝え、プーリー軸514とスプライン軸509はカップリングで接続され、スプライン軸509にドラム駆動モーター207の回転力が伝わる。アイドル軸512とスプライン軸509はスプラインを介して繋がり、ドラム軸203とスプラインを有するアイドル軸512と二つの軸をつなぐベルト510により、モーター回転トルクがドラム軸203まで伝達される構造になっている。アイドル軸512はベアリング513を介して軸ケース502に回転自在に支持されている。スプライン軸509とアイドル軸512間のスライド機能を利用し、ドラム駆動モーター207の駆動力でドラム軸203が連続的に回転しながら、同時に軸移動用モーター505で巻取りドラム軸203を支える軸ケース502が摺動レール503上をドラム軸203方向に移動可能な構造になっている。
【0098】
電極板300を巻き取るドラム軸203とドラム軸203を回転駆動するドラム駆動モーター207をターレット201上に配置し、ドラム軸203とドラム駆動モーター207間にスプラインを有するアイドル軸512を配置して、モーターの駆動力によりドラム軸203が連続的に回転しながら同時にドラム軸203が軸方向移動を可能とする手段を備えている。
【0099】
図9はドラム駆動機構内に組み込まれたシリンダー駆動式軸移動機構を示す図である。
【0100】
上記説明では軸移動機構は左右に軸移動モーター505を配置して、ドラム軸203の軸移動を制御することを述べた。一方側のドラム軸203のみに軸移動モーター505を配置して、他方側のドラム軸をエアーシリンダー511により軸移動させる機構について、
図9を用いて説明する。
【0101】
エアーシリンダー511側はエアーシリンダー511の単純な押し引き動作により、摺動レール503上の軸ケース502を移動させ、ドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204へ挿入する。また反対方向にシリンダー511を動かし、ドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204から抜出す。ドラム軸203先端が軸方向のどの位置に在るかを常に確認するため、軸ケース502にラック515を取付、ラック515と噛み合うピニオン516を介して回転センサー517に位置を伝える。回転センサー517からの位置信号を制御装置219へ伝える。
【0102】
他方、軸移動モーター505を配置した側のドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204に挿入し、制御信号により正確な位置に停止させる。エアーシリンダー511側のドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204内に挿入する。
【0103】
エアーシリンダー511の押し力でスプール204を介して反対側のドラム軸203を常に軽く押し付け、2本のドラム軸203とスプール204は常に一体で軸方向に移動する。ドラム軸203のスプール204のクランプ機構2013は、
図5に示されるクランプ機構に限定せず、他の手段が用いられてもよい。
【0104】
このように、一方側の軸移動機構のみに軸移動モーター505を設け、左右のドラム軸203の位置を正確に制御することで、蛇行制御を行うことが可能となる。
【0105】
ドラム軸移動手段を、軸移動用モーター、当該軸移動用モーターからの回転駆動力を軸方向直動力に変換する変換手段を備えて構成し、着脱手段を、スプールに対して離脱するクランプ機構及び当該クランプ機構を作動させるエアー駆動装置で構成した特徴がある。
【0106】
ドラム軸回転手段を、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸、当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成し、ドラム軸とターレットとの間に摺動手段を設けられる特徴がある。
【0107】
以上説明したように、
本発明は、シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板を含み、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持しながらドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とする。
【0108】
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、とは、ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を直接的に設けことである。
【0109】
本発明は、さらに
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ターレットの軸方向への移動動作の制限を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とする。
【0110】
上述の説明で、非拘束にして連結の典型的な例は、軸方向にフリーで、例えば摺動して固定されず、回転方向に固着されることである。
【0111】
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、とは、ターレットは介在材として設けられ、回転駆動手段が介在材を介して、間接的にドラム軸に結合される。
【0112】
したがって、ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を直接的に設けられ、回転駆動手段が、介在材を介して、間接的にドラム軸に結合され、ドラム軸移動手段の移動時に、回転駆動手段が、軸方向の位置が固定され、回転方向の回転が許容される。
【0113】
シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作するとは、シート材巻取装置の巻取りセンターがシート材センターに一致することを含む。
【0114】
図3において、一般的に巻取り装置200の場所で発生する電極板300の蛇行量は30mm以下であることを示した。
【0115】
発明者は、電極板巻取方法又は電極板巻き出し方法で電極板を巻取、巻き出す場合の課題を解決する方法として、摺動ベース206と直動ベアリング209を用いないで、コイル310を支持する巻取りドラム軸203を軸方向に移動して蛇行制御することを考えた。
【0116】
蛇行に追随して巻取りドラム軸203が上述したように、左右に動作し、電極板300を正しい巻き姿になるよう巻き取り制御を行う手段を採用し、次に示す発明で解決する。
【0117】
シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板であり、
シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段及びドラム軸を軸方向に移動させるドラム軸の軸移動手段、を備え、
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
電極板の蛇行を計測する計測手段を備え、
電極板の計測された蛇行量に対応し、当該スプールを軸方向に移動調整制御する制御装置を備えた、
電極板を巻き取る電極板巻取り装置による極板巻取方法又は電極板を巻出す電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法が係る。
【0118】
第1のドラム軸の軸方向に移動で、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、スプールを30mm以内の範囲でシート材センターに一致する方向に動作する。
また、シート材を巻き取るスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備えて、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作させ、
ドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ターレットをドラム軸に、回転方向に拘束して連結し、ドラム軸の軸方向移動に対して非拘束にして連結し、
電極板の蛇行を計測する計測手段、電極板の計測された蛇行量に対応し、当該スプールを軸方向に移動調整制御する制御装置を備えた、
電極板を巻き取る電極板巻取り装置による電極板巻取方法又は電極板を巻出す電極板巻き出し装置による電極板巻き出し方法に係る。
【0119】
制御装置が、計測した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動調整量を演算設定し、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持してドラム軸を軸方向に移動動作し、スプールを30mm以内の範囲でシート材センターに一致する方向に動作することを特徴とする。
【0120】
上記では、ターレット型巻取り装置200に付いて説明してきたが、プレスロール100の入側に配置された巻出し装置400に於いても、ターレット型巻取り装置200と同じ機構で電極板300の巻き出しを行うことが出来る。又、電池を製造する設備に於いては多くの設備でロールプレス機の電極板300巻き取り巻き出しと同じ様な機能が求められる。電池製造に関係した設備に於いて使われるターレット型巻き取り、巻き出し装置は本発明の範囲である。
【符号の説明】
【0121】
001…ロールプレス装置、100…ロールプレス機、101…プレスロール 102…エッジセンサー、105…ガイドロール、200…ターレット型巻取り装置(電極板巻取り装置)、201…ターレット板(ターレット)、202…公転軸、203…ドラム軸、2031…クランプ機構、204…スプール、205…固定ベース、206…摺動ベース、207…ドラム軸回転駆動用モーター、209…直動ベアリング、210…架台、211…軸受、214…配電盤、215…信号用スリップリング、216…電力用スリップリング、218…回転駆動装置(回転駆動手段)、219…制御装置、300…電極板、310…コイル、400…巻き出し装置、500… ドラム駆動装置(ドラム駆動手段)、501…外部ケース、502…軸ケース、503…摺動レール、504…ボールネジ、505…ドラム軸移動モーター、506…ベルト、507…エアーシリンダー、508…ベルト、509…スプライン軸、510…ベルト、511…エアーシリンダー、512…アイドル軸、513…ベアリング、514…プーリー軸、515…ラック、516…ピニオン、517…回転センサー、600…搬送装置、601…送り出し装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の巻取り、又は巻き出しのためのスプール、当該スプールに連結したドラム軸、当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作するシート材巻取装置又はシート材巻出し装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動で、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作し、
ドラム軸回転手段を、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成したこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置。
【請求項2】
幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板の巻取り、又は巻き出しのためのスプールに連結したドラム軸及び当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作する電極板巻取装置又は電極板巻出し装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、電極板に蛇行が発生したとき、ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動で、ドラム軸が、電極板巻取装置の巻取りセンターを電極板センターに一致する方向に動作し、
ドラム軸回転手段を、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成したこと
を特徴とする電極板巻取装置又は電極板巻出し装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置において、
ドラム軸とターレットとの間に摺動手段を設けたこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置において、
ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動が第1のドラム軸の軸方向の移動と第2ドラム軸の軸方向の移動とからなり、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向の移動を行なってドラム軸の先端部をスプールに挿入し、着脱手段によってドラム軸及びスプールの間の固定状態を形成し、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向の移動で、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置において、
ドラム軸移動手段を、軸移動用モーター、当該軸移動用モーターからの回転駆動力を軸方向直動力に変換する変換手段を備えて構成し、着脱手段を、スプールに対して離脱するクランプ機構及び当該クランプ機構を作動させるエアー駆動装置で構成したこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載されたシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置において、
シート材又は電極板の蛇行を検出するセンサーを備え、検出した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動量を演算設定し、演算設定された移動量に基づいてドラム軸移動手段の移動を調整する制御装置を備え、
当該ドラム軸移動手段が演算設定された移動量を取得し、シート材巻取装置又は電極板巻取装置のシート材又は電極板の巻取りセンター、又はシート材巻出し装置又は電極板巻出し装置の巻出しセンターを、シート材センター又は電極板センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置、又は電極板巻取装置又は電極板巻出し装置。
【請求項7】
シート材をシート材巻取装置又はシート材巻出し装置によって巻き取る、又は巻き出す方法において、
当該シート材巻取装置又はシート材巻出し装置が、シート材を巻き取る、又は巻き出すスプール、当該スプールに連結したドラム軸、当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作する電極板を巻き取り、又は巻き出すものであって、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動で、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンター、又はシート材巻出し装置の巻出しセンターをシート材センターに一致する方向に動作し、
ドラム軸回転手段を、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成して、ターレットに取り付けた回転駆動手段によってドラム軸の回転駆動を行い、
ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動が第1のドラム軸の軸方向の移動と第2ドラム軸の軸方向の移動とから形成し、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向の移動を行なってドラム軸の先端部をスプールに挿入し、着脱手段によってドラム軸及びスプールの間の固定状態を形成し、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向の移動で電極板センターに一致する方向に動作すること
を特徴とするシート材を巻き取るシート材巻取装置によるシート材巻取方法又はシート材を巻き出すシート材巻出し装置によるシート材巻出し方法。
【請求項8】
幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板を電極板巻取装置又は電極板巻出し装置によって巻き取る、又は巻き出す方法において、
当該電極板巻取装置又は電極板巻出し装置が、幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板を巻き取る、又は巻き出すスプール、当該スプールに連結したドラム軸、当該ドラム軸を回転させる軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作する電極板を巻き取り、又は巻き出すものであって、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、電極板に蛇行が発生したとき、ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動で、ドラム軸が、電極板巻取装置の巻取りセンターを電極板センターに一致する方向に動作し、
ドラム軸回転手段を、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成して、ターレットに取り付けた回転駆動手段によってドラム軸の回転駆動を行い、
ドラム軸移動手段によるドラム軸の軸方向の移動が第1のドラム軸の軸方向の移動と第2ドラム軸の軸方向の移動とから形成し、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向の移動を行なってドラム軸の先端部をスプールに挿入し、着脱手段によってドラム軸及びスプールの間の固定状態を形成し、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向の移動で電極板センターに一致する方向に動作すること
を特徴とする電極板巻取装置による電極板巻取方法又は電極板巻出し装置による電極板巻出し方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
金属薄板などでは特許文献1に記載されているように1本のドラム軸で巻き取るのが一般的である。電池製造においてはドラム軸から巻き取ったコイル310を抜き出す際、コイル300の自重を受けることが無いようスプール204の部分を支持する。確実にスプール204で支持できるようにし、次の巻き取り準備のためスプール204のドラム軸203への取付け時間短縮が出来る機構など種々のコイル巻き取り装置が考案されてきた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
従来の電極板巻取り装置200は、電極板300を連続的に巻き取るため、巻取りのための2本のドラム軸203を支持するターレット201、ターレット201を固着し支える公転軸202、左右2枚のターレット201をつなぎ一体化して剛構造化するセパレーター2012を備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
ドラム軸203とドラム回転駆動用モーター207をターレット201に取り付ける。従来装置のように摺動ベース直動ベアリング209を介して公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205に取付けるのではなく、公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205に直接的に固定する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
公転軸202、ターレット201、架台210を固定ベース205に直接固定する構造を採用した軸移動機構の動作で、従来装置の摺動ベース206を移動させたときと同じ蛇行制御効果を得る。これによって従来装置の摺動ベース206、直動ベアリング209が不要となる。摺動ベース206が必要なくなる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
スプール204内径からクランプ機構2031を抜き出す場合はエアーシリンダー507でクランプ機構2031を収縮させ、スプール204内径とクランプ機構外径間に隙間を作る。次に、軸移動用モーター505が回転し、クランプ機構2031をスプール204の両端より外側まで移動させ、スプール204からドラム軸203を抜き出す。この様に蛇行制御のため巻き取りセンターと電極板センターを合わせる動きとスプール204へのドラム軸203の着、脱の動きは軸移動用モーター505とボールネジ504により行われる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
エアーシリンダー511側はエアーシリンダー511の単純な押し引き動作により、摺動レール503上の軸ケース502を移動させ、ドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204へ挿入する。また反対方向にエアーシリンダー511を動かし、ドラム軸203先端のクランプ機構2031をスプール204から抜出す。ドラム軸203先端が軸方向のどの位置に在るかを常に確認するため、軸ケース502にラック515を取付、ラック515と噛み合うピニオン516を介して回転センサー517に位置を伝える。回転センサー517からの位置信号を制御装置219へ伝える。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
以上説明したように、
本発明は、シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板を含み、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を固定して設けて、ドラム軸の軸方向移動を可能とし、
ドラム軸を軸方向に移動してドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段を設け、
当該ドラム軸移動手段による第1のドラム軸の軸方向に移動し、前記着脱手段によるドラム軸及びスプールの間の着脱を行い、
着脱手段によってドラム軸及びスプールの間が固定状態にあって、シート材に蛇行が発生したとき、当該ドラム軸移動手段による第2のドラム軸の軸方向に移動で、前記固定状態を保持しながらドラム軸を軸方向に移動動作し、ドラム軸が、シート材巻取装置の巻取りセンターをシート材センターに一致する方向に動作すること
を特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の巻取りのためのスプール、当該スプールに連結するドラム軸、当該ドラム軸を回転させるドラム軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作するシート材巻取装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
ドラム軸回転手段が、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成され、
ドラム軸がスプールに連結し回転しつつドラム軸移動手段によってドラム軸をドラム軸方向に移動させること
を特徴とするシート材巻取装置。
【請求項2】
シート材の巻き出しのためのスプール、当該スプールに連結するドラム軸、当該ドラム軸を回転させるドラム軸回転手段、ドラム軸及びスプールの間の着脱を行う着脱手段、ドラム軸に平行に配設した公転軸、及びドラム軸と公転軸との間に両者を連結するターレットを備え、公転軸を中心にしてターレット及びスプールを公転動作するシート材巻出し装置において、
ドラム軸に、ドラム駆動源を持ったドラム軸移動手段を設けて、ドラム軸のドラム駆動源に対する軸方向移動を可能とし、
ドラム軸回転手段が、ターレットに取り付けた、ドラム軸の回転駆動を行う回転駆動手段、当該回転駆動手段によって回転駆動されるスプライン軸、当該スプライン軸上に設けたアイドル軸及び当該アイドル軸とドラム軸との間に設けたベルトを備えて構成され、
ドラム軸がスプールに連結し回転しつつドラム軸移動手段によってドラム軸をドラム軸方向に移動させること
を特徴とするシート材巻出し装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたシート材巻取装置又は請求項2に記載されたシート材巻出し装置において、
シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板であり、
ドラム軸がスプールに連結し、回転しつつドラム軸移動手段によってドラム軸をドラム軸方向に移動させること
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたシート材巻取装置又は請求項2に記載されたシート材巻出し装置において、
ドラム軸とターレットとの間に摺動手段を設けたこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたシート材巻取装置において、
当該シート材巻取装置の左右に、スプール、ドラム軸、ドラム軸回転手段及び着脱手段を設け、
双方のドラム軸移動手段によって、各ドラム軸を軸方向に移動して当該ドラム軸の先端部を各スプールに挿入し、各着脱手段によって二つのドラム軸及び二つのスプールの間の各固定状態を形成し、
また、双方のドラム軸移動手段によって、各ドラム軸を軸方向に移動して、シート材巻取装置の巻き取りセンターを、シート材センター方向に移動させること
を特徴とするシート材巻取装置。
【請求項6】
請求項1に記載されたシート材巻取装置又は請求項2に記載されたシート材巻出し装置において、
ドラム軸移動手段を、軸移動用モーター、当該軸移動用モーターからの回転駆動力を軸方向直動力に変換する変換手段を備えて構成し、着脱手段を、外形が拡大してスプールの内径側と接触するクランプ機構及び当該クランプ機構を作動させるエアー駆動装置で構成したこと
を特徴とするシート材巻取装置又はシート材巻出し装置。
【請求項7】
請求項1に記載されたシート材巻取装置において、
シート材又は電極板の蛇行を検出するセンサーを備え、検出した蛇行量を入力し、入力蛇行量に基づいてドラム軸の移動量を演算設定し、演算設定された移動量に基づいてドラム軸移動手段の移動を調整する制御装置を備え、
当該ドラム軸移動手段が、演算設定された移動量を取得し、ドラム軸を軸方向に移動して、シート材巻取装置の巻き取りセンターを、シート材センター方向に移動させること
を特徴とするシート材巻取装置。
【請求項8】
請求項1に記載されたシート材を巻き取るシート材巻取装置によるシート材巻取方法において、
スプールに連結したドラム軸を回転しつつドラム軸移動手段によってドラム軸を軸方向に移動して、シート材巻取装置の巻き取りセンターを、シート材センター方向に移動させること
を特徴とするシート材を巻き取るシート材巻取装置によるシート材巻取方法。
【請求項9】
請求項1に記載されたシート材を巻き取るシート材巻取装置によるシート材巻取方法において、
シート材が幅方向に塗工部と未塗工部を持つ電極板であり、
スプールに連結したドラム軸を回転しつつドラム軸移動手段によってドラム軸を軸方向に移動して、シート材巻取装置の巻き取りセンターを、シート材センター方向に移動させること
を特徴とするシート材を巻き取るシート材巻取装置によるシート材巻取方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
従来の電極板巻き取り200の場合、ドラム回転駆動用モーター207は摺動ベース206近傍に配置されるので、回転するターレット201からドラム軸203に回転力を伝えるため、ベルト212、213を配設して公転軸202を経由して伝える必要があった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
左右のターレット201に相対する向きに電極板300を巻き取るドラム軸203と軸移動機構を配置し、少なくとも一方側の該軸移動機構にはモーターの回転力をドラム軸方向の移動力に代える直動化機構を有し、回転方向、回転角の値を軸移動用モーター505へ指示することにより、ドラム軸203を任意の軸方向位置へ移動可能とする手段を備えている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
図8に示すように、巻き取られたコイル310を次の工程へ移動するため、ターレット型巻取り装置200はターレッ
ト201を公転させる回転駆動装置218を使ってコイル310を受け渡しし易い位置まで回転し、停止する。巻き取られたコイル310を次工程へ搬送し易くする送り出し装置601を使い、コイル310の両外側に出たスプール204部を下から支えた状態で、出側方向へ旋回移動する。次にフォークリフト等自走可能な搬送機600で送り出し装置601から受け取り次工程へ搬送する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
電極板300を巻き取るドラム軸203とドラム駆動モーター207がターレット201上に配置される。ドラム駆動モーター207の回転力を、ベルト508を介して、プーリー軸514へ伝え、プーリー軸514とスプライン軸509はカップリングで接続され、スプライン軸509にドラム駆動モーター207の回転力が伝わる。アイドル軸512とスプライン軸509はスプラインを介して繋がり、ドラム軸203とスプラインを有するアイドル軸512と二つの軸をつなぐベルト510により、モーター回転トルクがドラム軸203まで伝達される構造になっている。アイドル軸512はベアリング513を介して軸ケース502に回転自在に支持されている。スプライン軸509とアイドル軸512間のスライド機能を利用し、ドラム駆動モーター207の駆動力でドラム軸203が連続的に回転しながら、同時に軸移動用モーター505で巻取りドラム軸203を支える軸ケース502が摺動レール503上をドラム軸203方向に移動可能な構造になっている。