(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043838
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
F16D 41/064 20060101AFI20240326BHJP
F16D 41/07 20060101ALI20240326BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20240326BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20240326BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20240326BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240326BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20240326BHJP
B60W 10/02 20060101ALI20240326BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240326BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240326BHJP
B60W 20/40 20160101ALI20240326BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240326BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16D41/064
F16D41/07 B
B60K17/12
B60K6/48 ZHV
B60K6/387
B60K6/40
B60K6/26
B60W10/02 900
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/40
B60L15/20 S
H02P5/46 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149040
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】美濃羽 未紗樹
(72)【発明者】
【氏名】寺林 均
【テーマコード(参考)】
3D042
3D202
5H125
5H572
【Fターム(参考)】
3D042AA10
3D042AB01
3D042BE01
3D202AA08
3D202BB08
3D202BB16
3D202DD01
3D202DD05
3D202EE02
3D202EE16
3D202EE23
3D202FF14
5H125AA01
5H125BA04
5H125BE05
5H125CA02
5H125EE52
5H125FF01
5H572AA02
5H572EE03
5H572LL01
5H572MM03
5H572PP01
(57)【要約】
【課題】補助電気モータが最大定格電圧を超えて回転することを防止する。
【解決手段】駆動ユニット100は、駆動源2と、シャフト3と、補助電気モータ4と、クラッチ5とを備える。シャフト3は、駆動源2の出力するトルクを伝達するように構成される。クラッチ5は、シャフト3と補助電気モータ4との間に配置される。クラッチ5は、補助電気モータ4からシャフト3へ正回転及び逆回転の動力を伝達するとともに、シャフト3から補助電気モータ4への正回転及び逆回転のトルク伝達を遮断するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源の出力するトルクを伝達するように構成されるシャフトと、
補助電気モータと、
前記シャフトと前記補助電気モータとの間に配置され、前記補助電気モータから前記シャフトへ正回転及び逆回転の動力を伝達するとともに、前記シャフトから前記補助電気モータへの正回転及び逆回転のトルク伝達を遮断するように構成されるクラッチと、
を備える、駆動ユニット。
【請求項2】
前記駆動源は、主電気モータである、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記補助電気モータは、前記主電気モータに比べて、最大回転速度が低く且つ最大トルクが大きい特性を有する、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記補助電気モータは、前記駆動源と同軸上に配置される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記補助電気モータは、前記駆動源と別軸上に配置される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記駆動源及び前記補助電気モータを制御するように構成される制御部をさらに備え、
前記制御部は、車速が閾値以下のとき、少なくとも前記補助電気モータを駆動させ、車速が前記閾値を超えたとき、前記駆動源を駆動させ且つ前記補助電気モータを停止させる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記駆動源及び前記補助電気モータを制御するように構成される制御部をさらに備え、
前記制御部は、車速が第1閾値以下のとき、前記駆動源及び前記補助電気モータを駆動させ、車速が前記第1閾値を超えたとき、前記駆動源を駆動させ且つ前記補助電気モータを停止させ、車速が前記第1閾値よりも低い第2閾値以下であり且つ要求トルクが第3閾値以下の場合、前記駆動源を停止させ且つ前記補助電気モータを駆動させる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記クラッチは、
前記補助電気モータからトルクが入力されるように構成される入力回転部材と、
前記シャフトへトルクを出力するように構成され、前記入力回転部材と径方向において間隔をあけて配置される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置され、前記出力回転部材との間に隙間を有する非係合状態と、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間で噛み合う係合状態とを取り得る伝達部材と、
を有し、
前記入力回転部材が前記伝達部材に対して相対的に回転したとき、前記伝達部材は前記係合状態となる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記クラッチは、前記伝達部材を非係合状態に付勢する付勢部材を有する、
請求項8に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記クラッチは、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置される保持部材を有し、
前記保持部材は、前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転可能に配置され、前記伝達部材を保持する、
請求項8又は9に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気モータ又はエンジンなどの駆動源だけではなく、補助的にトルクを出力する補助電気モータを有する駆動ユニットが提案されている。例えば、特許文献1に開示された駆動装置は、エンジンと補助電気モータとを有し、エンジンを駆動源の主体とし、補助電気モータによってエンジンのトルクのアシストを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような駆動ユニットでは、駆動源が高速で回転した場合、その駆動源の回転が補助電気モータに伝達され、その結果、補助電気モータが高速回転し、補助電気モータの逆起電圧が最大定格電圧を超えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、補助電気モータが最大定格電圧を超えて回転することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る駆動ユニットは、駆動源と、シャフトと、補助電気モータと、クラッチとを備える。シャフトは、駆動源の出力するトルクを伝達するように構成される。クラッチは、シャフトと補助電気モータとの間に配置される。クラッチは、補助電気モータからシャフトへ正回転及び逆回転の動力を伝達するとともに、シャフトから補助電気モータへの正回転及び逆回転のトルク伝達を遮断するように構成される。
【0007】
この構成によれば、駆動源が補助電気モータの最大定格電圧を超えるような回転速度で回転しても、クラッチはその駆動源の回転を補助電気モータへ伝達しない。この結果、補助電気モータが最大定格電圧を超えて回転することを防止することができる。
【0008】
第2態様に係る駆動ユニットは、第1態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。駆動源は、主電気モータである。
【0009】
第3態様に係る駆動ユニットは、第2態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。補助電気モータは、主電気モータに比べて、最大回転速度が低く且つ最大トルクが大きい特性を有する。
【0010】
第4態様に係る駆動ユニットは、第1から第3態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。補助電気モータは、駆動源と同軸上に配置される。
【0011】
第5態様に係る駆動ユニットは、第1から第3態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。補助電気モータは、駆動源と別軸上に配置される。
【0012】
第6態様に係る駆動ユニットは、第1から第5態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、制御部をさらに備える。制御部は、駆動源及び補助電気モータを制御するように構成される。制御部は、車速が閾値以下において、少なくとも補助電気モータを駆動させる。また、制御部は、車速が閾値を超えたとき、駆動源を駆動させ且つ補助電気モータを停止させる。なお、補助電気モータを停止させるとは、補助電気モータへのエネルギー供給を停止させることを意味する。
【0013】
第7態様に係る駆動ユニットは、第1から第5態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、制御部をさらに備える。制御部は、駆動源及び補助電気モータを制御するように構成される。制御部は、車速が第1閾値以下のとき、駆動源及び補助電気モータを駆動させる。また、制御部は、車速が第1閾値を超えたとき、駆動源を駆動させ且つ補助電気モータを停止させる。また、制御部は、車速が第1閾値よりも低い第2閾値以下であり且つ要求トルクが第3閾値以下の場合、駆動源を停止させ且つ補助電気モータを駆動させる。なお、駆動源を停止させるとは、駆動源へのエネルギー供給を停止させることを意味し、駆動源は補助電気モータのトルクによって回転してもよい。
【0014】
第8態様に係る駆動ユニットは、第1から第7態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。クラッチは、入力回転部材、出力回転部材、及び伝達部材を有する。入力回転部材は、補助電気モータからトルクが入力されるように構成される。出力回転部材は、シャフトへトルクを出力するように構成される。出力回転部材は、入力回転部材と径方向において間隔をあけて配置される。伝達部材は、入力回転部材と出力回転部材との間に配置される。伝達部材は、出力回転部材との間に隙間を有する非係合状態と、入力回転部材と出力回転部材との間で噛み合う係合状態とを取り得る。入力回転部材が伝達部材に対して相対的に回転したとき、伝達部材は前記係合状態となる。
【0015】
第9態様に係る駆動ユニットは、第8態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。クラッチは、伝達部材を非係合状態に付勢する付勢部材を有する。
【0016】
第10態様に係る駆動ユニットは、第8又は第9態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。クラッチは、入力回転部材と出力回転部材との間に配置される保持部材を有する。保持部材は、入力回転部材及び出力回転部材と相対回転可能に配置される。保持部材は、伝達部材を保持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、補助電気モータが最大定格電圧を超えて回転することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】主電気モータ及び補助電気モータの特性を示すグラフ。
【
図6】制御部の制御方法の一例を示すフローチャート。
【
図9】変形例に係る制御部の制御方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る駆動ユニットについて図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<駆動ユニット>
図1に示すように、駆動ユニット100は、主電気モータ2(駆動源の一例)、シャフト3、補助電気モータ4、クラッチ5、及び制御部6を有している。駆動ユニット100は、駆動輪(図示省略)を駆動するように構成される。駆動ユニット100は、例えば、電気自動車、又はハイブリッド自動車などに搭載される。
【0021】
<主電気モータ>
主電気モータ2は、駆動輪を駆動するように正回転及び逆回転のトルクを出力するように構成されている。なお、正回転とは、駆動ユニット100が搭載された車両が前進する際の各部材の回転を意味する。すなわち、主電気モータ2が正回転のトルクを出力することで、各部材は正回転し、車両が前進する。また、逆回転とは、駆動ユニット100が搭載された車両が後進する際の各部材の回転を意味する。すなわち、主電気モータ2が逆回転のトルクを出力することで、各部材は逆回転し、車両が後進する。
【0022】
<シャフト>
シャフト3は、回転可能に配置されている。シャフト3は、主電気モータ2に直接又は間接的に取り付けられている。なお、本実施形態では、シャフト3は、主電気モータ2と同軸上に配置されている。シャフト3は、主電気モータ2からのトルクが入力される。そして、シャフト3は、その主電気モータ2からのトルクを駆動輪側へと伝達する。
【0023】
<補助電気モータ>
補助電気モータ4は、正回転及び逆回転のトルクを出力するように構成されている。補助電気モータ4は、ロータ41及びステータ42を有している。ステータ42は、フレームなどに固定されている。補助電気モータ4は、主電気モータ2と同軸上に配置されている。すなわち、補助電気モータ4の回転軸は、主電気モータ2の回転軸と同軸上に配置されている。
【0024】
補助電気モータ4は、シャフト3を介して、正回転及び逆回転のトルクを駆動輪へ出力するように構成されている。
図2は、主電気モータ2及び補助電気モータ4の特性を示すグラフである。
図2の実線が主電気モータ2の特性を示し、破線が補助電気モータ4の特性を示している。
【0025】
図2に示すように、補助電気モータ4は、主電気モータ2に比べて、最大回転速度が低く且つ最大トルクが大きい特性を有している。すなわち、補助電気モータ4は、低速領域において、トルクを出力することに適している。
【0026】
<クラッチ>
図1に示すように、クラッチ5は、シャフト3と補助電気モータ4との間に取り付けられている。クラッチ5は、補助電気モータ4からシャフト3へ正回転及び逆回転の動力を伝達するとともに、シャフト3から補助電気モータ4への正回転及び逆回転のトルク伝達を遮断するように構成されている。すなわち、クラッチ5は、伝達状態と非伝達状態とを取り得る。
【0027】
図3は、非伝達状態にあるクラッチ5を示す拡大図である。なお、以下の説明において、軸方向とは、クラッチ5の回転軸が延びる方向を意味する。また、径方向とは、クラッチ5の回転軸を中心とした円の径方向を意味し、周方向とは、クラッチ5の回転軸を中心とした円の周方向を意味する。
【0028】
図3に示すように、クラッチ5は、外輪51(入力回転部材の一例)、内輪52(出力回転部材の一例)、複数のローラ53(伝達部材の一例)、複数対の付勢部材54、保持部材55、及びカム機構56を備えている。
【0029】
<外輪>
外輪51は環状である。外輪51は、内輪52に対して径方向外側に配置されている。外輪51は、回転軸を中心に回転可能である。また、外輪51は、内輪52に対して、相対回転可能である。外輪51は、補助電気モータ4からのトルクが入力される。外輪51は、補助電気モータ4側の部材に取り付けられている。なお、外輪51は、補助電気モータ4のロータ41に直接又は間接的に取り付けられている。
【0030】
外輪51の内周面には、複数のカム面512が形成されている。各カム面512は、周方向において間隔をあけて形成されている。好ましくは、各カム面512は、周方向において、等間隔に配置されている。
【0031】
各カム面512は、径方向外側に凹むように構成されている。カム面512の周方向の中央部が最も内輪52の内周面から離れている。また、各カム面512は、周方向の両端部に近付くにつれて、内輪52に近付くように構成されている。具体的には、各カム面512は、軸方向視において、円弧状に形成されている。
【0032】
<内輪>
内輪52は、外輪51と径方向において間隔をあけて配置されている。詳細には、内輪52は、外輪51に対して径方向内側に配置されている。内輪52は、駆動輪側の部材に取り付けられている。詳細には、内輪52は、シャフト3に取り付けられている。内輪52は、シャフト3へとトルクを出力するように構成されている。内輪52は、回転軸を中心に回転可能である。内輪52は、外輪51と相対回転可能である。
【0033】
<保持部材>
保持部材55は、外輪51と内輪52との間に配置されている。保持部材55は、各ローラ53及び各付勢部材54を保持している。保持部材55は、外輪51及び内輪52と相対回転可能に配置されている。
【0034】
<ローラ>
ローラ53は、保持部材55に保持されている。詳細には、ローラ53は、一対の付勢部材54を介して、保持部材55に保持されている。各ローラ53は、軸方向に延びる円筒状である。ローラ53は、径方向において、外輪51と内輪52との間に配置されている。
【0035】
ローラ53は、非係合状態と、係合状態とを取り得る。
図3に示すように、非係合状態とは、ローラ53が内輪52との間に隙間を有している状態を示している。すなわち、ローラ53が非係合状態にあるとき、外輪51と内輪52との間で噛合わない。具体的には、ローラ53は、非係合状態に位置しているとき、周方向においてカム面512の中央部に位置している。
【0036】
図4又は
図5に示すように、係合状態とは、ローラ53が外輪51と内輪52との間で噛合っている位置を意味する。具体的には、ローラ53は、係合状態にあるとき、カム面512の中央部から両端部に移動した位置に位置している。なお、ローラ53が係合状態にあるとき、クラッチ5は伝達状態となる。
【0037】
[付勢部材]
図3に示すように、複数対の付勢部材54は、それぞれローラ53を周方向から挟んで外輪51側に付勢するように構成されている。各付勢部材54は、保持部材55によって保持されている。付勢部材54は、例えば、板バネであってもよいし、コイルスプリングであってもよい。このように、各付勢部材54は、ローラ53が非伝達状態となるようにローラ53を付勢している。
【0038】
[カム機構]
カム機構56は、外輪51が保持部材55と相対回転したときに、ローラ53を内輪52と外輪51との間で噛ませるように構成されている。具体的には、カム機構56は、外輪51の外周面に形成されたカム面512を有する。
【0039】
<制御部>
図1に示すように、制御部6は、主電気モータ2及び補助電気モータ4を制御するように構成されている。制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータ(例えばマイクロコンピュータ)によって構成されている。ROMには、種々の演算をするためのプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。
【0040】
図6は、制御部6による制御方法の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、制御部6は、運転手がアクセル操作をしたとき、車速センサなどから車速に関する車速情報を取得する(ステップS1)。制御部6は、車速情報に基づき、車速が閾値以下か否か判断する(ステップS2)。
【0041】
制御部6は、車速が閾値以下であると判断すると(ステップS2のYes)、主電気モータ2及び補助電気モータ4を駆動させる(ステップS3)。なお、制御部6は、主電気モータ2を駆動させずに、補助電気モータ4のみを駆動してもよい。
【0042】
このように制御部6が補助電気モータ4を駆動させると、前進時では、補助電気モータ4が正回転のトルクを出力し、外輪51が正回転する。ここで、保持部材55は慣性によって外輪51よりも回転速度が遅くなるため、外輪51は、保持部材55に対して相対的に正回転する。すると、
図4に示すように、ローラ53が非係合状態から係合状態に遷移し、ローラ53が外輪51と内輪52との間で噛合う。この結果、外輪51と内輪52とは一体的に正回転する。すなわち、外輪51から各ローラ53を介して内輪52へとトルクが伝達される。したがって、クラッチ5は、補助電気モータ4からシャフト3へと正回転のトルクを伝達する。
【0043】
なお、後進時では、制御部6が補助電気モータ4を駆動させると、補助電気モータ4が逆回転のトルクを出力し、外輪51は逆回転する。ここで、保持部材55は慣性によって外輪51よりも回転速度が遅くなるため、外輪51は、保持部材55に対して相対的に逆回転する。すると、
図5に示すように、ローラ53が非係合状態から係合状態に遷移し、ローラ53が外輪51と内輪52との間で噛合う。この結果、外輪51と内輪52とは一体的に逆回転する。すなわち、外輪51から各ローラ53を介して内輪52へとトルクが伝達される。したがって、クラッチ5は、補助電気モータ4からシャフト3へと逆回転のトルクを伝達する。
【0044】
次に、制御部6は、車速が閾値を超えると判断すると(ステップS2のNo)、主電気モータ2を駆動させ、補助電気モータ4を停止させる(ステップS4)。このように主電気モータ2を駆動させて補助電気モータ4を停止させると、
図3に示すように、ローラ53は非係合状態に遷移し、外輪51と内輪52との間での噛合いが解除される。このため、例えば、主電気モータ2からのトルクによりシャフト3が正回転又は逆回転しても、内輪52のみが回転し、外輪51は回転しない。すなわち、クラッチ5によって、シャフト3から補助電気モータ4へのトルク伝達を遮断する。この結果、補助電気モータ4が高速で回転することを防止し、補助電気モータ4の逆起電圧が最大定格電圧を超えてしまうことを防止することができる。
【0045】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0046】
(a)上記実施形態では、駆動源として電気モータを例示したが、駆動源は電気モータ以外であってもよく、例えばエンジンなどであってもよい。
【0047】
(b)上記実施形態では、補助電気モータ4は主電気モータ2と同軸上に配置されているが、補助電気モータ4の配置はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように補助電気モータ4は、主電気モータ2と別軸上に配置されていてもよい。すなわち、補助電気モータ4の回転軸は、主電気モータ2の回転軸と別軸上に配置されている。この場合、補助電気モータ4は、ギア、チェーン、又はベルトと、クラッチ5と、を介して、シャフト3へトルクを伝達する。
【0048】
(c)上記実施形態では、クラッチ5はシャフト3に直接取り付けられているが、クラッチ5の配置はこれに限定されない。クラッチ5は、シャフト3と補助電気モータ4との間に配置されていればよく、例えば、
図8に示すように、クラッチ5は、シャフト3とは異なるシャフト7などに取り付けられていてもよい。
【0049】
(d)制御部6における制御方法は、上記実施形態において説明した制御方法に限定されない。
図9は、変形例に係る制御部6の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御部6は、車速情報を取得する(ステップS11)。そして、制御部6は、その車速情報に基づき、車速が第1閾値以下か否か判断する(ステップS12)。制御部6は、車速が第1閾値以下でないと判断すると(ステップS12のNo)、主電気モータ2を駆動し、補助電気モータ4を停止する。(ステップS13)。
【0050】
一方、制御部6は、第1閾値以下であると判断すると(ステップS12のYes)、次に、車速が第2閾値以下であるか否か判断する(ステップS14)。制御部6は、車速が第2閾値以下でないと判断すると(ステップS14のNo)、主電気モータ2及び補助電気モータ4を駆動させる(ステップS15)。
【0051】
制御部6は、車速が第2閾値以下であると判断すると(ステップS14のYes)、要求トルク情報を取得する(ステップS16)。なお、要求トルク情報とは、要求トルクに関する情報であり、例えば、アクセルペダルの踏み込み量などである。制御部6は、この要求トルク情報に基づき、要求トルクが第3閾値以下か否か判断する(ステップS17)。
【0052】
制御部6は、要求トルクが第3閾値以下でないと判断すると(ステップS17のNo)、上記ステップS15の処理を実行する。一方、制御部6は、要求トルクが第3閾値以下であると判断すると(ステップS17のYes)、主電気モータ2を停止させ、補助電気モータ4を駆動する(ステップS18)。
【符号の説明】
【0053】
2 :主電気モータ
3 :シャフト
4 :補助電気モータ
5 :クラッチ
51 :外輪
52 :内輪
53 :ローラ
54 :付勢部材
55 :保持部材
6 :制御部
7 :シャフト
100 :駆動ユニット