(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043842
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149046
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】藤城 大樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】VRで参加するユーザとARで参加するユーザとが行動を共にしやすくする。
【解決手段】実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターの動作を、当該アバターを制御するための制御情報に基づいて制御するVR制御部131と、第2ユーザが使用する第2情報端末3の実空間上の位置を示す位置情報を受信する受信部133と、を有し、VR制御部131は、アバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御し、アバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御しない、情報処理装置1である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターの動作を、当該アバターを制御するための制御情報に基づいて制御するVR(Virtual Reality)制御部と、
第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信する受信部と、を有し、
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
情報処理装置。
【請求項2】
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、の距離が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記距離が閾値以下であるという前記所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記VR制御部は、前記実空間に存在する構造物を示すVRオブジェクトである構造物オブジェクトを、前記構造物の実空間における位置に対応する前記仮想空間の位置に提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記VR制御部は、前記仮想空間における前記アバターの位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、の間に、前記構造物オブジェクトが存在する場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に、
(1)前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御せず、かつ、
(2)前記アバターの移動を停止させ、又は、前記アバターの位置を所定の位置に移動させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受信部は、前記第1ユーザとあらかじめ関連付けられた前記第2ユーザが使用する前記第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、が所定の条件を満たさない場合に、前記第2情報端末に前記アバターと前記第2ユーザとの位置関係に基づく情報を表示させるAR(Augmented Reality)制御部をさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記受信部は、複数の第2ユーザそれぞれが使用する複数の第2情報端末それぞれの実空間上の位置を示す複数の位置情報を受信し、
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記複数の第2ユーザそれぞれの位置に対応する仮想空間上の位置のいずれかと、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
第1ユーザのアバターを制御するための制御情報を取得するステップと、
第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信するステップと、
前記制御情報に基づいて実空間と対応づけられた仮想空間における前記アバターの動作を制御するステップと、
を有し、
前記制御するステップにおいては、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに実行させる、
第1ユーザのアバターを制御するための制御情報を取得するステップと、
第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信するステップと、
前記制御情報に基づいて実空間と対応づけられた仮想空間における前記アバターの動作を制御するステップと、
を有し、
前記制御するステップにおいては、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VR(Virtual Reality)及びAR(Augmented Reality)に関するコンテンツを提供するサービスが普及しつつある。特許文献1には、第1ユーザに対して仮想世界における所定の場所のVRに関するコンテンツを提供し、第2ユーザに対して第1ユーザのアバターを配置したARに関するコンテンツを提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術を用いることにより、実空間における所定の場所に存在するユーザと、当該所定の場所に存在しないユーザとが仮想空間を介して行動を共にすることができる。しかしながら、これらのユーザは、お互いの実体を直接視認することができず、また、実空間において行動するユーザは、交通事情等の環境の影響を受けることから、VRで参加するユーザとARで参加するユーザ間に距離が生じたり、他のユーザを見失ったりする等の問題が生じ、ユーザが円滑に行動できない問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、VRで参加するユーザとARで参加するユーザとが行動を共にしやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザのアバターの動作を、当該アバターを制御するための制御情報に基づいて制御するVR制御部と、第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信する受信部と、を有し、前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない。
【0007】
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、の距離が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記距離が閾値以下であるという前記所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しなくてもよい。
【0008】
前記VR制御部は、前記実空間に存在する構造物を示すVRオブジェクトである構造物オブジェクトを、前記構造物の実空間における位置に対応する前記仮想空間の位置に提示してもよい。
【0009】
前記VR制御部は、前記仮想空間における前記アバターの位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、の間に、前記構造物オブジェクトが存在する場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しなくてもよい。
【0010】
前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に、(1)前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御せず、かつ、(2)前記アバターの移動を停止させ、又は、前記アバターの位置を所定の位置に移動させてもよい。
【0011】
前記受信部は、前記第1ユーザとあらかじめ関連付けられた前記第2ユーザが使用する前記第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信してもよい。
【0012】
前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置に対応する仮想空間上の位置と、が所定の条件を満たさない場合に、前記第2情報端末に前記アバターと前記第2ユーザとの位置関係に基づく情報を表示させるAR制御部をさらに有してもよい。
【0013】
前記受信部は、複数の第2ユーザそれぞれが使用する複数の第2情報端末それぞれの実空間上の位置を示す複数の位置情報を受信し、前記VR制御部は、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記複数の第2ユーザそれぞれの位置に対応する仮想空間上の位置のいずれかと、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しなくてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、第1ユーザのアバターを制御するための制御情報を取得するステップと、第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信するステップと、前記制御情報に基づいて実空間と対応づけられた仮想空間における前記アバターの動作を制御するステップと、
を有し、前記制御するステップにおいては、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに実行させる、第1ユーザのアバターを制御するための制御情報を取得するステップと、第2ユーザが使用する第2情報端末の実空間上の位置を示す位置情報を受信するステップと、前記制御情報に基づいて実空間と対応づけられた仮想空間における前記アバターの動作を制御するステップと、
を有し、前記制御するステップにおいては、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たす場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御し、前記アバターの仮想空間上の位置と、前記第2ユーザの位置と、が所定の条件を満たさない場合に前記制御情報に基づいて前記アバターの位置を制御しない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、VRで参加するユーザとARで参加するユーザとが行動を共にしやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明する図である。
【
図2】実施形態にかかる情報処理システムSの処理の概要を説明する図である。
【
図3】実施形態にかかる情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図4】記憶部12が記憶するイベント管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】AR制御部132が表示させる画面の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明する図である。情報処理システムSは参加者同士が交流するイベントを開催するためのシステムである。具体的には、情報処理システムSにおいては、実空間における所定の場所(以下、「行動場所」という。)において、実空間における行動場所に存在しない第1ユーザUAと、実空間における行動場所に存在する第2ユーザUBとが仮想空間を介して共に行動するイベントを開催する。一例として、情報処理装置1においては、有名な人物と一般のユーザとが行動場所において散策するイベントが開催される。情報処理システムSにおいては、情報処理装置1、VR端末2(第1情報端末とも言う。)、情報端末3(第2情報端末とも言う。)を有する。VR端末2及び情報端末3はそれぞれ複数であってもよい。
【0019】
第1ユーザUAは、例えば、行動場所を案内するガイド、芸能人、インフルエンサー等である。第1ユーザUAは、例えば、イベントを企画又は管理する事業者からの依頼に応じてイベントに参加するユーザである。
【0020】
第2ユーザUBは、第1ユーザUAとは異なるユーザである。第2ユーザUBは例えば、第1ユーザUAと行動することを希望してイベントに参加するユーザである。なお、第1ユーザUA及び第2ユーザUBはそれぞれ複数であってもよい。
【0021】
VR端末2は、第1ユーザUAが利用する表示デバイスである。VR端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ又はヘッドマウントディスプレイ等である。VR端末2は、VRオブジェクトを表示する。VR端末2は、ユーザの操作を受け付けるためのタッチパネル、キーボード若しくはコントローラ等の操作部、音声を取得するためのマイク等の集音部、音声を出力するためのスピーカ並びに情報を表示するための液晶ディスプレイ等の出力部を有する。VR端末2は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0022】
情報端末3は、第2ユーザUBが利用する表示デバイスである。情報端末3は、例えば、スマートフォン又はタブレット等である。情報端末3は、ARオブジェクトを表示する。情報端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネル、キーボード若しくはコントローラ等の操作部、音声を取得するためのマイク等の集音部、音声を出力するためのスピーカ及び情報を表示するための液晶ディスプレイ等の出力部並びに情報を読み取るためのカメラ等の撮像部を有する。情報端末3は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0023】
情報処理装置1は、参加者同士が交流するイベントを開催するための装置である。情報処理装置1は、例えばサーバである。情報処理装置1は、ネットワークを介してVR端末2及び情報端末3と通信可能である。
【0024】
情報処理装置1は、行動場所を仮想空間上に再現して表示させるためのVRオブジェクトであって、第1ユーザUAに関する情報(例えば第1ユーザUAのアバター)と行動場所において行動する第2ユーザUBに関する情報(例えば第2ユーザUBのアバター)とを含むVRオブジェクトをVR端末2に表示させる(
図1の左側)。一例として、
図1においては第1ユーザUA(ユーザA)及び第2ユーザUB(ユーザB)それぞれのアバター及び情報を示すVRオブジェクトがVR端末2に表示されている。VR情報における仮想空間上の第2ユーザUBの位置は、第2ユーザUBの実空間における位置と対応している。
【0025】
情報処理装置1は、第1ユーザUAに関する情報を、第1ユーザUAの仮想空間上の位置に実空間において対応する位置に重畳して表示させるためのARオブジェクトを、情報端末3に表示させる(
図1の右側)。一例として、
図1においては、第1ユーザUAのアバター及び第1ユーザUAの情報が情報端末3に表示されている。
【0026】
情報処理装置1は、ユーザが円滑に行動できるよう、第1ユーザUA及び第2ユーザUBの位置関係に基づいて、第1ユーザUAの仮想空間における位置を制御する。
【0027】
図2は、実施形態にかかる情報処理システムSの処理の概要を説明する図である。VR端末2は、制御情報を情報処理装置1に送信する(
図2における(1))。制御情報は、第1ユーザUAの移動する方向、移動量若しくは移動先又は第1ユーザUAのアバターの動作、しぐさ若しくは表情等を示す情報である。情報処理装置1は、制御情報に含まれる移動量又は移動先の位置に基づいて第1ユーザUAの位置を決定する。情報端末3は、位置情報を情報処理装置1に送信する(
図2における(2))。位置情報は、第2ユーザUBの実空間における位置を示す情報である。
【0028】
情報処理装置1は、ユーザ同士の位置関係が所定の条件を満たすかを判定する(
図2における(3))。一例として、情報処理装置1は、ユーザ同士の距離が所定の閾値以内である場合、制御情報に基づいて第1ユーザUAの位置を更新し、ユーザ同士の距離が所定の閾値以内ではない場合、制御情報に基づいて第1ユーザUAの位置を更新しない。具体的には、ユーザ同士の距離が所定の閾値以内ではない場合、情報処理装置1は、第1ユーザUAの移動を停止させ、又は、第1ユーザUAを仮想空間上の所定の位置(例えばイベント開始時の位置)に移動させる。なお、ユーザ同士の位置関係は、仮想空間上、実空間上又はAR空間上のいずれの位置に基づいて特定されてもよい。ユーザ同士が異なる空間にいる場合、情報処理装置1は、いずれかの空間における位置に換算してユーザ同士の位置関係を特定してもよい。情報処理装置1は、異なる空間の位置同士の位置関係を特定してもよい。
【0029】
情報処理装置1は、表示制御情報をVR端末2に送信する(
図2における(4))。情報処理装置1は、表示制御情報を情報端末3に送信する(
図2における(5))。表示制御情報は、情報処理装置1が生成したVRオブジェクト又はARオブジェクトをVR端末2又は情報端末3に表示させるための情報である。
【0030】
情報処理システムSにおいては、上記のようにユーザ同士の距離が所定の位置関係にない場合に、ユーザの位置を制御情報に基づいて制御しないようにすることで、VRで参加するユーザとARで参加するユーザとが離れにくくなり、行動を共にしやすくなるという効果を奏する。
【0031】
[情報処理装置1の構成]
図3は、実施形態にかかる情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、VR制御部131、AR制御部132、受信部133及び送信部134を有する。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0033】
記憶部12は、イベント管理テーブルを記憶する。
図4は、記憶部12が記憶するイベント管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すイベント管理テーブルにおいては、イベントID(Identification)と、開始日時と、開始場所と、VR参加者と、AR参加者とを関連付けて記憶している。
【0034】
開始日時は、イベントが開始される日時である。開始場所は、イベントが開始される場所である。VR参加者は、VRでイベントに参加する第1ユーザUAを示す情報であり、例えば、第1ユーザUAのユーザIDで示される。AR参加者は、ARでイベントに参加する一以上の第2ユーザUBを示す情報であり、例えば、第2ユーザUBのユーザIDで示される。
【0035】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、VR制御部131、AR制御部132、受信部133及び送信部134として機能する。
【0036】
VR制御部131は、実空間と対応づけられた仮想空間における第1ユーザUAのアバターの動作を制御するための制御情報を取得する。VR制御部131は、取得した制御情報に基づいて第1ユーザUAの仮想空間上の位置を制御する。VR制御部131は、制御情報が示す第1ユーザUAの動作、移動量等に基づいて第1ユーザUAのアバターの位置や動作内容を決定する。VR制御部131は、決定した第1ユーザUAの位置や動作内容に基づいて、第1ユーザUAのアバターを仮想空間上に表示させるためのVRオブジェクトを生成する。
【0037】
VR制御部131は、受信部133が取得した第2ユーザUBの実空間上の位置に基づいて、第2ユーザUBの仮想空間上の位置を決定し、第2ユーザUBのアバターを仮想空間上に表示させるためのVRオブジェクトを生成する。送信部134は、VR制御部131が生成したVRオブジェクトを表示制御情報としてVR端末2に送信する。
【0038】
AR制御部132は、VR制御部131が仮想空間上の位置や動作を特定した第1ユーザUAのアバターを、第2ユーザUBが使用する情報端末3に表示させるためのARオブジェクトを生成する。送信部134は、AR制御部132が生成したARオブジェクトを表示制御情報として情報端末3に送信する。
【0039】
受信部133は、第2ユーザUBが使用する情報端末3の実空間上の位置を示す位置情報を受信する。VR制御部131は、取得した位置情報に基づいて第2ユーザUBの位置情報を更新する。受信部133は、所定の間隔で位置情報を取得する。なお、受信部133は、情報端末3が撮像した画像データを取得し、画像データに含まれる特徴点に基づいて情報端末3の位置を特定してもよい。一例として、受信部133は、VPS(Visual Positioning Service)により情報端末3の位置を特定する。
【0040】
VR制御部131は、アバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザUBの位置と、が所定の条件を満たす場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御し、アバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザUBの位置と、が所定の条件を満たさない場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御しない。例えば、VR制御部131は、第1ユーザUAの位置と第2ユーザUBの位置とが所定の条件を満たさない場合に、第1ユーザUAのアバターの移動を停止させる。
【0041】
より具体的には、VR制御部131は、アバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザUBの位置に対応する仮想空間上の位置と、の距離が所定の条件を満たすか否かに基づいてアバターの位置を制御する。所定の条件は、イベントを円滑に進行させるために必要な範囲に基づいて定められる。所定の条件は一例として、第1のユーザUAの仮想空間上の位置と、第2のユーザUBの実空間の位置に対応する仮想空間上の位置と、の距離が所定の閾値以内であることである。所定の閾値は一例として、実空間上の距離に換算して50メートルである。なお、VR制御部131は、第1ユーザUAの仮想空間上の位置に実空間において対応する位置と、第2ユーザUBの実空間上の位置と、に基づいて所定の条件を判定してもよい。また、所定の条件は、制御情報に基づいて第1ユーザのアバターを移動させた場合に第1ユーザUAの仮想空間上の位置と第2ユーザUBの仮想空間上の位置とが所定の閾値を超えないことであってもよい。
【0042】
VR制御部131は、第1ユーザUAの位置と第2ユーザUBの位置とが所定の条件を満たさない場合に、制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターの位置を制御せず、所定の位置に第1ユーザUAのアバターを移動させてもよい。所定の位置は例えばイベントの開始地点でもよいし、第2ユーザUBの位置の付近であってもよい。
【0043】
ところで、行動場所をリアルに再現した情報を、VRで参加する第1ユーザUAが使用するVR端末2に提示するよう情報処理装置1が構成されることで、VRでイベントに参加するユーザの体験を向上させることができ、それによりARで参加するユーザの体験も間接的に向上することが期待できる。
【0044】
VR制御部131は、実空間に存在する構造物を示すVRオブジェクトである構造物オブジェクトを、構造物の実空間における位置に対応する仮想空間の位置に提示する。構造物は例えば、ビル、橋、信号、標識、看板、ランドマーク等である。一例として記憶部12は、実空間に存在する構造物に対応する構造物のVRオブジェクト情報を記憶する。構造物のVRオブジェクト情報は、オブジェクトの形状、色又は表示される位置(実空間において当該構造物が存在する位置に仮想空間において対応する位置)を含む。VR制御部131は、記憶部12に記憶された構造物のVRオブジェクト情報を参照し、構造物のVRオブジェクトを当該VRオブジェクトに関連付けられた位置に表示させる。
【0045】
ところで、第1ユーザUAから見て第2ユーザUBのアバターが構造物のVRオブジェクトで遮蔽されている場合は、実空間において第2ユーザUBが第1ユーザUAを見失っている可能性が高い。そこで、第2ユーザUBのアバターが構造物オブジェクトで遮蔽されることを所定の条件とするよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
具体的には、VR制御部131は、仮想空間における第1ユーザUAのアバターの位置と、第2ユーザUBの位置に対応する仮想空間上の位置と、の間に、構造物オブジェクトが存在する場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御しない。まず、VR制御部131は、受信部133が所定の間隔で情報端末3の位置情報を取得するごとに、仮想空間における第1ユーザUAの位置と第2ユーザUBの位置との間に構造物オブジェクトが存在するか否かを判定する。そして、VR制御部131は、仮想空間における第1ユーザUAの位置と第2ユーザUBの位置との間に構造物オブジェクトが存在すると判定した場合に、制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターの位置を制御しない。VR制御部131は、仮想空間における第1ユーザUAの位置と第2ユーザUBの位置との間に構造物オブジェクトが存在すると判定した場合に、第1ユーザUAのアバターの移動を停止してもよいし、所定の位置に第1ユーザUAのアバターを移動させてもよい。
【0047】
同一のイベントに参加するユーザ同士の位置関係を判定し、第1ユーザUAの位置を制御するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0048】
受信部133は、第1ユーザUAとあらかじめ関連付けられた第2ユーザUBが利用する情報端末3の実空間上の位置を示す位置情報を受信する。受信部133は、記憶部12が記憶するイベント管理テーブルにおいて同一のイベントにおいて第1ユーザUAと関連付けられている第2ユーザUBが使用する情報端末3の位置情報を受信する。
【0049】
VR制御部131は、第1ユーザUAの仮想空間上の位置と、イベント管理テーブルにおいて同一のイベントにおいて第1ユーザUAと関連付けられた第2ユーザUBの情報端末3の位置情報と、が所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、VR制御部131は、第1ユーザUAと第2ユーザUBの位置関係が所定の条件を満たす場合、制御情報に基づいて第1ユーザUAの仮想空間上の位置を制御する。VR制御部131は、第1ユーザUAと第2ユーザUBとの位置関係が所定の条件を満たさない場合、制御情報に基づいて第1ユーザUAの仮想空間上の位置を制御しない。
【0050】
ところで、第1ユーザUAと第2ユーザUBとの位置関係が所定の条件を満たさない場合には、第2ユーザUBが使用する情報端末3に注意を促す情報を表示させてもよい。このように情報処理装置1が構成されることでユーザに注意を促し、イベントを円滑に運営することができる。
【0051】
AR制御部132は、第1ユーザUAのアバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザUBの位置に対応する仮想空間上の位置と、が所定の条件を満たさない場合に、情報端末3にアバターと第2ユーザUBとの位置関係に基づく情報を表示させる。
図5は、AR制御部132が表示させる画面の一例を示す図である。
図5に示す画面においては、第2ユーザUBに、第1ユーザUAとの距離が離れていることに注意を促すメッセージであるVRオブジェクトが表示されている。具体的には、AR制御部132は、第2ユーザUBと第1ユーザUAとの位置関係が所定の条件を満たさない場合に、ユーザに注意を促すメッセージを表示させるためのARオブジェクトを表示させることを決定する、送信部134は、決定したARオブジェクトを表示させる指示を情報端末3へ送信する。
【0052】
なお、注意を促すメッセージを表示させるか否かを判定する条件と、第1ユーザUAのアバターを制御するか否かを判定するための条件とは異なる条件が設定されてもよい。一例として、第1ユーザUAのアバターを制御するか否かを判定するための条件をユーザ同士の距離が50メートル以内であることと設定した場合、注意を促すメッセージを表示させる条件は、ユーザ同士の距離が30メートル以内であることと設定される。このようにすることで、第2ユーザUBに対して距離が離れすぎる前に注意を促すことが可能となる。
【0053】
なお、第1ユーザUAのアバターの仮想空間上の位置と、第2ユーザUBの位置に対応する仮想空間上の位置と、が所定の条件を満たさない場合に、VR制御部131が第1ユーザUAと第2ユーザUBとの位置関係に基づく情報をVR端末2に表示させてもよい。
【0054】
情報処理システムSにおいて開催されるイベントには複数の第2ユーザUBが参加してもよい。この場合、情報処理装置1は、イベントに参加する複数の第2ユーザUBそれぞれの位置情報を取得し、管理する。具体的には、受信部133は、複数の第2ユーザUBそれぞれが使用する複数の情報端末3それぞれの実空間上の位置を示す複数の位置情報を受信する。
【0055】
VR制御部131は、アバターの仮想空間上の位置と、複数の第2ユーザUBそれぞれの位置に対応する仮想空間上の位置のいずれかと、が所定の条件を満たさない場合に制御情報に基づいてアバターの位置を制御しない。換言すれば、VR制御部131は、イベントに参加する第2ユーザUBそれぞれとの位置関係において所定の条件を判定し、いずれかのユーザとの位置関係において所定の条件を満たさない場合に、第1ユーザUAのアバターの移動を停止させ、又は第1ユーザUAのアバターを所定の位置へ移動させるよう制御する。
【0056】
なお、VRで複数のユーザが参加できるよう、複数の第1ユーザそれぞれと第2ユーザの位置関係を判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0057】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6におけるフローチャートは、情報処理装置1においてイベントを開始する処理が実施された時点から開始している。開始処理において第1ユーザUAの仮想空間上の位置が決定される。開始時点における第1ユーザUAの位置は、イベントの開始地点又はその付近である。
【0058】
VR制御部131は、制御情報を取得する(S01)。受信部133は、第2ユーザUBの位置情報を情報端末3から取得する(S02)。VR制御部131は、ユーザ同士の距離が第1の閾値以内か否かを判定する。(S03)。
【0059】
ユーザ同士の距離が第1の閾値以内である場合(S03におけるYES)、ユーザ同士の距離が第2の閾値以内か否かを判定する。(S04)。ユーザ同士の距離が第2の閾値以内ではない場合(S04におけるNO)、AR制御部132は、第2ユーザUBに注意を促すメッセージを表示させ(S05)、VR制御部131は、制御情報に基づいて第1ユーザUAの位置を更新し(S06)、S07に進む。
【0060】
ユーザ同士の距離が第2の閾値以内である場合(S04におけるYES)、VR制御部131は、制御情報に基づいて第1ユーザUAの位置を更新し(S06)、表示制御情報をVR端末2及び情報端末3に送信する(S07)。
【0061】
ユーザ同士の距離が第1の閾値以内ではない場合(S03におけるNO)、VR制御部131は、取得した制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターの位置を更新せず、第1ユーザUAに注意を促すメッセージをVR端末2に表示させる(S08)。
【0062】
VR制御部131は、終了条件を満たすか否かを判定する(S09)。終了条件は、一例として、イベントが終了する操作を受付けたことである。終了条件を満たさない場合(S09におけるNO)、S01に戻り処理を繰り返す。終了条件を満たす場合(S09におけるYES)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0063】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、情報処理装置1においては、VRで参加するユーザとARで参加するユーザとが行動を共にしやすくなるという効果を奏する。
【0064】
<変形例>
なお、上記の例においては、第1ユーザUAが使用するVR端末2から取得した制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターの位置を決定する例について説明したが、情報処理装置1においては、第1ユーザUAのアバターの動作が予めプログラムされており、プログラムされた動作に基づいて第1ユーザUAのアバターが制御されるよう構成されてもよい。
【0065】
この場合、記憶部12は、動作予定情報を記憶する。動作予定情報は、第1ユーザUAが進行する仮想空間上のルート、ルート上の地点に到達する時刻又滞在する時間、第1ユーザUAが進行する速度等を含む。
【0066】
VR制御部131は、記憶部12に記憶された動作予定情報と、仮想空間上の第1ユーザUAのバターの位置又は時刻、とに基づいて、第1ユーザUAのアバターを制御するため制御情報を生成する。VR制御部131は、生成した制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターの仮想空間上の位置を制御する。VR制御部131は、第1ユーザUAの仮想空間上の位置と受信部133が取得した第2ユーザUBの位置情報とが所定の条件を満たさない場合、制御情報に基づいて第1ユーザUAのアバターを制御しない。この場合において、送信部134は、第1ユーザUAが使用するVR端末2に対して、手動でアバターを制御するよう促すメッセージを表示させてもよい。
【0067】
[変形例による効果]
変形例によっては、第1ユーザUAのアバターを予めプログラムされた通りに動作させることが可能となり、その結果、第1ユーザUAは仮想空間上でアバターを動作させる操作から解放させることが可能となり、第1ユーザUAは第2ユーザUBとの交流に注力することが可能となる。
【0068】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。一例として、情報処理装置1は、VRオブジェクトを表示させるための装置とARオブジェクトを表示させるための装置とが連携するよう構成されてもよい。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0070】
1 情報処理装置
2 VR端末
3 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 VR制御部
132 AR制御部
133 受信部
134 送信部