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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043849
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240326BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240326BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20240326BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/00 Z
H01M8/04014
F24H1/00 631A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149055
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 蓮馬
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 允
(72)【発明者】
【氏名】早川 直
【テーマコード(参考)】
3L122
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA28
3L122AA53
3L122AB23
3L122AD06
5H127AB23
5H127AC03
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE15
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】循環流路内の水抜きを効率よく実施することのできる燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】循環流路(第1熱媒循環ライン30)において、蓄熱タンク3とラジエータ50との間から分岐し、循環流路内の熱媒体を排出する排水流路25と、循環流路のうち蓄熱タンク3から排水流路25の分岐点までを構成する第1流路31を保持する保持部60とを備える。この保持部60は、第1流路31の上流側の高さを第1高さH1以下に規制する第1規制部61と、第1流路31の下流側の高さを第2高さH2(H1>H2)以下に規制する第2規制部62を有している。第1規制部61と第2規制部62を設けることで、第1流路31に高低差を生じさせ、この高低差によって蓄熱タンク3内の熱媒体を排出させることができるため、効率よく水抜きを実施することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セルを備える燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールの排熱と熱媒体とで熱交換を行なう熱交換器と、
前記熱媒体を蓄える蓄熱タンクと、
前記熱媒体と空気との間で熱交換を行うラジエータを備え、前記熱交換器に流れる前記熱媒体を冷却する放熱器と、
前記熱媒体が前記熱交換器と、前記蓄熱タンクと、前記ラジエータとを循環する循環流路と、
前記循環流路において前記蓄熱タンクと前記ラジエータとの間から分岐し、前記循環流路内の前記熱媒体を排出する排水流路と、
前記循環流路のうち、前記蓄熱タンクから前記排水流路の分岐点までを構成する第1流路を保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、前記第1流路の上流側の高さを、第1高さ以下に規制する第1規制部と、前記第1流路の下流側の高さを、前記第1高さよりも低い第2高さ以下に規制する第2規制部を有する燃料電池装置。
【請求項2】
前記第1流路は、前記保持部によって下り勾配に保持される請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1流路が挿通される通路を備え、
前記第1規制部および前記第2規制部は前記通路の挿通口である請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記第1規制部と前記第2規制部との間に、1ないし複数の突出片からなる第3規制部を有する請求項3記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記突出片の少なくとも1つには、前記第1流路を固定する固定部が設けられている請求項4記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記放熱器は、空気流を発生させる放熱ファンと、前記ラジエータと前記放熱ファンとを収容して空気の通路を形成するダクトをさらに備え、
前記保持部は、前記ダクトに形成されている請求項1から5のいずれかに記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記ラジエータは、前記排水流路の分岐点よりも高い位置に配置されており、該分岐点と継手によって接続されている請求項6記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する燃料電池装置が知られている。このような燃料電池装置は、熱媒体を蓄える蓄熱タンクを備えており、燃料電池の発電によって発生した排熱を熱媒体に回収して蓄熱タンクに蓄え、熱媒体を給湯や暖房等に使用している。
【0003】
燃料電池装置は、上述の熱媒体が循環する循環流路を備えており、この循環流路上には、燃料電池の排熱と熱媒体とで熱交換を行う熱交換器、熱媒体を循環させる循環ポンプ、蓄熱タンクから送出される高温の熱媒体を冷却する放熱器など、を備えている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-205631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池装置は、発電運転に必要な水を装置内部に貯留している。そのため、長期に亘り燃料電池装置の運転または稼動を停止する場合は、装置内部に貯留された水の凍結に伴う破損を防止するために、水を排出する水抜きを実施する。循環流路には、水抜きのための排水流路が接続されているが、この水抜きを効率よく実施できる構造が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、循環流路内の熱媒体の水抜きを効率よく実施することのできる燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セルを備える燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールの排熱と熱媒体とで熱交換を行なう熱交換器と、
前記熱媒体を蓄える蓄熱タンクと、
前記熱媒体と空気との間で熱交換を行うラジエータを備え、前記熱交換器に流れる前記熱媒体を冷却する放熱器と、
前記熱媒体が前記熱交換器と、前記蓄熱タンクと、前記ラジエータとを循環する循環流路と、
前記循環流路において前記蓄熱タンクと前記ラジエータとの間から分岐し、前記循環流路内の前記熱媒体を排出する排水流路と、
前記循環流路のうち、前記蓄熱タンクから前記排水流路の分岐点までを構成する第1流路を保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、前記第1流路の上流側の高さを、第1高さ以下に規制する第1規制部と、前記第1流路の下流側の高さを、前記第1高さよりも低い第2高さ以下に規制する第2規制部を有する燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、循環流路内の熱媒体の水抜きを効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。
図2】本実施形態の第1熱媒循環ラインを構成する一部分を図示した構造図である。
図3】本実施形態の第1熱媒循環ラインにおける放熱器部分の縦断面図である。
図4】本実施形態のダクトの底面斜視図である。
図5】第1熱媒循環ラインと排水流路との接続部分の拡大図である。
図6】本実施形態の放熱器の分解構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、熱媒体が熱交換器と、蓄熱タンクと、ラジエータとを循環する循環流路を備えた燃料電池装置であって、循環流路において蓄熱タンクとラジエータとの間から分岐し、循環流路内の熱媒体を排出する排水流路と、循環流路のうち蓄熱タンクから排水流路の分岐点までを構成する第1流路を保持する保持部とを備え、この保持部は、第1流路の上流側の高さを第1高さ以下に規制する第1規制部と、第1流路の下流側の高さを第1高さよりも低い第2高さ以下に規制する第2規制部を有している。第1規制部と第2規制部を設けることで、第1流路に高低差を生じさせ、この高低差によって蓄熱タンク内の熱媒体を排出させることができるため、効率よく水抜きを実施することができる。
【0012】
また、第1流路は、保持部によって下り勾配に保持される。第1流路全体を下り勾配に保持することで、水の滞留が抑制されるため水抜きを確実に行うことができる。
【0013】
また、保持部は、第1流路が挿通される通路を備えており、第1規制部および第2規制部は通路の挿通口である。燃料電池装置を組み立てる際には、第1流路を通路に挿通することで、第1流路を下り勾配に保持することができるため、作業性に優れるととともに第1流路が保持部から外れてしまうことも防止される。
【0014】
また、保持部は、第1規制部と第2規制部との間に、1ないし複数の突出片からなる第3規制部を有する。このように第3規制部を設けることで、第1流路を下り勾配に保持することが容易になり、効率よく水抜きを行うことができる。
【0015】
また、突出片の少なくとも1つには、第1流路を固定する固定部が設けられている。固定部を設けることで、より確実に第1流路を下り勾配に保持することができるため、一層効率よく水抜きを行うことができる。
【0016】
また、放熱器は、ラジエータと放熱ファンとを収容して空気の通路を形成するダクトをさらに備えており、保持部はダクトに形成されている。既存の構造に保持部の機能を持たせることで、部品点数の増加を抑制することができる。
【0017】
また、ラジエータは、排水流路の分岐点よりも高い位置に配置されており、この分岐点と継手によって接続されている。これにより、水抜きの際にはラジエータからの排水も確実に実施することができる。
【実施例0018】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0019】
図1は本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1を含み、燃料電池モジュール1を作動させるための、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、凝縮水タンク4、放熱器5、空気供給装置14、燃料供給装置15、改質水供給装置16等の複数の補機が筐体50内に納められている。筐体50内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、第1熱交換器2や蓄熱タンク3を筐体50の外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0020】
燃料電池モジュール1は、箱状の収納容器10の内部に、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池11と、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12と、を収容して構成される。
【0021】
燃料電池11の構成については特に限定はしないが、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成される。
【0022】
改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する。改質器12には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置15と、改質水を供給する改質水供装置16が接続されており、原燃料ガスと改質水は加熱された改質器12で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0023】
燃料電池11には、改質器12で生成された燃料ガスと、空気供給装置14によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスは、燃料電池セル内を通過するときに酸素含有ガスと反応して発電が行われる。発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスは、燃料電池11の上部で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、改質器12はこの熱によって加熱される。このようにして燃料電池モジュール1内で生じた排ガスは、第1熱交換器2に供給される。
【0024】
第1熱交換器2には配管を介して、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1および放熱器5が接続され、第1熱媒循環ライン30が形成されている。この第1熱媒循環ライン30には熱媒体が導入されており、第1熱交換器2ではこの熱媒体と前述の排ガスとで熱交換が行われて熱媒体が加熱される。熱媒体としては水などを用いることができ、蓄熱タンク3は熱交換により温度が上昇した熱媒体を蓄える。蓄熱タンク3に蓄えられた熱媒体は、放熱器5に送られて冷却され、再び第1熱交換器2で排ガスと熱交換を行った後、蓄熱タンク3に還流する。これにより、蓄熱タンク3には上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0025】
放熱器5は、熱媒体が流通するラジエータ50と、燃料電池装置100外部の空気を取り込んでラジエータ50に冷却用の空気として送風する放熱ファン51を備えており、熱媒体と空気との間で熱交換を行い熱媒体を冷却する。
【0026】
第1熱媒循環ライン30には、排水流路25が接続されている。長期間にわたって燃料電池装置を運転しない場合などには、装置内部の水が凍結してしまうことを防止するため、排水流路25を介して第1熱媒循環ライン30内の熱媒体を筐体40の外部に排出することができるようになっている。排水流路25は、蓄熱タンク3とラジエータ50とを繋ぐ流路の途中から分岐して設けられている。蓄熱タンク3とラジエータ50とを繋ぐ流路は、この分岐点30aを境に、蓄熱タンク3側を構成する第1流路31と、ラジエータ50側を構成する第2流路32とに分けられる。また、排水流路25には水抜栓25aが設けられており、水抜栓25aを開状態にすることで第1熱媒循環ライン30から熱媒の排出が行われる。
【0027】
また、第1熱交換器2には、凝縮水回収路20を介して凝縮水タンク4が接続されている。燃料電池モジュール1で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路20を通って凝縮水タンク4に回収される。凝縮水タンク4では、イオン交換器(図示せず)などを経て、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として使用される。一方で、水分が取り除かれた気体は、排気流路21を通ってから筐体50の外に排出される。
【0028】
改質器12に原燃料を供給する燃料供給装置15は、燃料の供給源から繋がる原燃料流路22上に、第1電磁弁150、圧力センサ151、脱硫器152、ガス流量計153、燃料ポンプ154、第2電磁弁155等の補機が設けられている。改質器12に改質水を供給する改質水供給装置16は、凝縮水タンク4から繋がる改質水流路23上に改質水ポンプ160等の補機が設けられている。燃料電池モジュール1に酸素含有ガスを供給する空気供給装置14は、酸素含有ガス流路24上に、エアフィルタ140、空気流量計141、ブロワ142等の補機が設けられている。なお、ここに挙げた補機は一例であって、この他の補機を備える構成としてもよい。
【0029】
さらに、燃料電池装置100には、各種機器の動作を制御する制御装置7が設けられているほか、燃料電池モジュール1にて発電された直流電力を交流電力に変換し、変換された電気の外部負荷への供給量を調整するための供給電力調整部(パワーコンディショナ)8を備えている。
【0030】
また、燃料電池装置100は、第2熱交換器6、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2熱媒循環ライン36を備えていてもよい。第2熱媒循環ライン36では、外部から供給流路27を介して供給された水道水を、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒体を用いて第2熱交換器6で加温する。加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路28を介して送給することができる。
【0031】
図2は、本実施形態の第1熱媒循環ラインを構成する一部分を図示した構造図である。図では、蓄熱タンク3と、放熱器5と、第1熱媒循環ライン30のうち蓄熱タンク3と放熱器5とを繋ぐ流路(第1流路31および第2流路32)と、排水流路25と、を示しており、その他の構成については図示を省略している。図中の実線矢印は熱媒の循環方向を示し、破線矢印は排水方向を示している。第1流路31は、蓄熱タンク3の底部に接続され、放熱器5の下を通って紙面左方向の分岐点30aへ向かって延びている。ラジエータ50は、熱媒の流入口501と流出口502を有し、流入口501には分岐点30aから延びる第2流路32が接続されている。分岐点30aから左側は排水流路25になっていて、筐体40の外部に接続されている。
【0032】
放熱器5は、空気の通路を形成するダクト52を有している。ダクト52は、一端側に空気を取り入れる空気取入口521、他端側に空気を排出する空気排出口522を備え、空気取入口521および空気排出口522は筐体40の外部と連通している。また、ダクト52内には、ラジエータ50と放熱ファン51とが収容されており、放熱ファン51の回転によってダクト52内に筐体40外部の空気を取り入れ、取り入れた空気とラジエータ50を流通する熱媒体との間で熱交換を行い熱媒体を冷却する。
【0033】
図3は、本実施形態の第1熱媒循環ラインにおける放熱器部分の縦断面図である。ダクト52は、第1流路31を保持する保持部60を有しており、この保持部60によって第1流路31の高さが規定される。具体的には、保持部60として、ダクト52の底面52aから下方に延びる第1規制部61と第2規制部62が設けられている。第1規制部61は第1流路31の上流側の高さを、第1高さH1以下に規制し、第2規制部62は第1流路31の下流側の高さを、第1高さH1よりも低い第2高さH2以下に規制している。このように、第1規制部61と第2規制部62とを設けることにより、第1流路31に高低差を生じさせ、この高低差によって第1流路31内の熱媒体は上流から下流に向かって流れやすくなる。したがって、水抜きの実施時には、蓄熱タンク3から流出した熱媒体は、速やかに第1流路31を通って排水流路25に流れ込むこととなり、効率よく水抜きを行うことができる。
【0034】
本実施形態においては、ダクト52が保持部60(第1規制部61、第2規制部62)を形成している例を示している。しかしながら、保持部60は第1流路31の高さを規定するものであればよく、ダクト52によって形成されるものに限らない。例えば、補機を保持するためのフレームを有している場合には、このフレームに保持部を形成してもよいし、放熱器5以外の補機に保持部の役割を持たせることもできる。
【0035】
さらに、保持部60に関しては、第1規制部61および第2規制部62を設ける位置や、第1高さH1および第2高さH2は、適宜設定することができるが、第1流路31全体を上流から下流に向かって下り勾配に保持することで、水の滞留が抑制されるため水抜きを確実に行うことができる。
【0036】
ダクト52には、第1流路31が挿通される通路64が形成されている。そして、第1規制部61および第2規制部62は、この通路64に第1流路31を挿通するための挿通口となる。第1流路31は、第1規制部61の下を通り、通路64を通過した後、第2規制部62の下を通って通路64の外に出る。このように、燃料電池装置100を組み立てる際には、第1流路31を通路64に挿通するだけで、第1流路31を下り勾配に保持することができるため、作業性に優れる。さらには、第1流路31が保持部60から外れてしまうことも容易に防止することができる。
【0037】
また、第1規制部61と第2規制部62との間には、1ないし複数の突出片631からなる第3規制部63を設けることができる。本実施形態においては、第1規制部61と第2規制部62との間には、ダクト52の底面52aから突出する複数の突出片631が設けられており、突出片631は第1規制部61から第2規制部62に向かって徐々に突出長が長くなるように形成されている。これにより、第1流路31を第3規制部63に突き当てることで、第1流路31を下り勾配に保持することができ、効率よく水抜きを行うことができる。
【0038】
そして、突出片631の少なくとも1つには、第1流路31を固定する固定部65を設けるようにしてもよい。図4は、ダクトの底面斜視図である。図に示すように、ダクト52の底面52aからは、複数の突出片631が延びているが、このうちの2箇所に固定部65が設けられていて、第1流路31をダクト52に固定している。固定部65の構造については、特に限定はしない。例えば図のようにナイロンクリップなどの部品を用い、ねじによってダクト52の底面に取り付けてもよいし、突出片631の先端に鉤状の係止部を設けて第1流路31を係止させてもよい。
【0039】
図5は、第1熱媒循環ラインと排水流路との接続部分の拡大図である。第1流路31はホース70からなり、ホース70の下流端には流路を2方向に分岐させる分岐継手71が取り付けられている。この分岐継手71によって、第1流路31は第2流路32と排水流路25とに枝分かれする。枝分かれした分岐継手71の第2流路32側には、さらにラジエータ接続継手72が取り付けられ、ラジエータ50の流入口501に接続されている。他方、分岐継手71の排水流路25側には排水ホース73が接続されていて、排水ホース73は筐体40の外に繋がっている。
【0040】
第1流路31はラジエータ50の下を通過し、加えて下り勾配に保持されているため、排水流路25の始点(分岐点30a)はラジエータ50よりも低い位置に配置されている。つまり、水抜き時にラジエータ50からの水が排出される第2流路32も、排水流路25に向かって下り勾配を有している。また、ラジエータ50の流入口501と分岐点30aとが継手によって直線的に接続されていることにより、ラジエータ50内の水を速やかに排水流路25に流すことができ、効率よく水抜きを行うことができる。なお、分岐継手71とラジエータ接続継手72は一体化しても構わない。
【0041】
ラジエータ50から排出される水と、蓄熱タンク3から排出される水は、分岐点30aで合流する。蓄熱タンク3の水抜きがラジエータ50の水抜きよりも先に完了してしまうと、分岐点30aに空気が入り込み、ラジエータ50からはそれ以上水を抜くことができなくなってしまう。よって、ラジエータ50の水抜きが蓄熱タンク3の水抜きよりも先に完了するよう、各部の構造および配置を検討することで、水抜きをより確実に実施することができる。例えば、ラジエータ50の高さを調整してもよいし、蓄熱タンク3から排水流路25へ向かう水の流れを阻害するようなトラップ部を第1流路31に設けてもよい。
【0042】
図6は、本実施形態の放熱器の分解構成図である。放熱器5のダクト52は、下部ダクト523、第1上部ダクト524、第2上部ダクト525、の3つのパーツに分解可能な構造を有している。下部ダクト523は、ダクト52の下半分を構成し、放熱ファン51が取り付けられるとともに、ラジエータ50の載置部523aを有している。この載置部523aは第1流路31を保持する保持部60も兼ねる。第1上部ダクト524と第2上部ダクト525はダクト52の上半分を構成する。第1上部ダクト524は、ラジエータ50の上方を覆い、下部ダクト523とでラジエータ50を挟み込んで固定する。第2上部ダクト525は、放熱ファン51の上方を覆う。このように、ダクト52を分解可能にすることで、放熱器5のメンテナンス性を向上させることができる。
【0043】
また、メンテナンス性をさらに向上させるため、第1上部ダクト524および第2上部ダクト525は、下部ダクト52に対してねじ止めをせずに取り付けられるようになっている。具体的には、第1上部ダクト524、第2上部ダクト525に設けられた係止部524a、525aと、下部ダクト523に設けられた被係止部523bとを係止させて、第1上部ダクト524と第2上部ダクト525を、下部ダクト523に固定している。さらに、第2上部ダクト525と下部ダクト523はプッシュリベットを用いて固定するリベット固定部526を有している。これにより、着脱の作業性が向上するとともに、ねじを落下させてしまう問題も回避することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 燃料電池モジュール
2 第1熱交換器(熱交換器)
3 蓄熱タンク
5 放熱器
30 第1熱媒循環ライン(循環流路)
30a 分岐点
31 第1流路
25 排水流路
50 ラジエータ
51 放熱ファン
52 ダクト
60 保持部
61 第1規制部
62 第2規制部
63 第3規制部
631 突出片
64 通路
65 固定部
71 分岐継手(継手)
72 ラジエータ接続継手(継手)
図1
図2
図3
図4
図5
図6