(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043859
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 29/00 20060101AFI20240326BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F25D29/00 B
F25D23/02 306M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149073
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菊地 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】草野 慎太郎
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045CA02
3L045NA15
3L045PA01
3L045PA04
3L102JA01
3L102KA10
3L102KB19
3L102KB23
(57)【要約】
【課題】
スイッチの押下及び扉の開閉を磁気変化により検出できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の前面開口を開閉する引き出し式の扉と、前記扉が開くように前記扉に前方への力を加える扉駆動装置と、を有する冷蔵庫であって、前記冷蔵庫本体は、前記貯蔵室の前面開口の周囲に第1の永久磁石又は第1の磁気センサの一方を有し、前記扉は、前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの一方と水平方向で対向するように配置された前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの他方と、スイッチが押されることにより前記第1の磁気センサが検知する前記第1の永久磁石の磁気を弱める磁気検知阻止部と、を有し、前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態に基づいて前記扉に前方への力を加える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の前面開口を開閉する引き出し式の扉と、
前記扉が開くように前記扉に前方への力を加える扉駆動装置と、
を有する冷蔵庫であって、
前記冷蔵庫本体は、前記貯蔵室の前面開口の周囲に第1の永久磁石又は第1の磁気センサの一方を有し、
前記扉は、前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの一方と水平方向で対向するように配置された前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの他方と、スイッチが押されることにより前記第1の磁気センサが検知する前記第1の永久磁石の磁気を弱める磁気検知阻止部と、を有し、
前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態に基づいて前記扉に前方への力を加える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態が検知から未検知に変わった場合に前記扉に前方への力を加える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態が検知から未検知に変わり、さらに所定の時間内に未検知から検知に変わった場合に前記扉に前方への力を加える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記貯蔵室に格納される容器を前記扉の背面に固定する扉枠をさらに有し、
前記扉枠は、第2の永久磁石又は第2の磁気センサの一方を有し、
前記冷蔵庫本体は、前記扉が閉じられた際に前記第2の永久磁石又は前記第2の磁気センサの一方と鉛直方向で対向するように配置された前記第2の永久磁石又は前記第2の磁気センサの他方を有し、
前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態及び前記第2の磁気センサの検知状態に基づいて前記扉が開くように前記扉に前方への力を加える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の冷蔵庫であって、
前記扉駆動装置は、前記第2の磁気センサの検知状態が検知であって、かつ、前記第1の磁気センサの検知状態が検知から未検知に変わった場合に前記扉に前方への力を加える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項4に記載の冷蔵庫であって、
前記スイッチが押されずに前記扉が開かれる過程において、前記第2の磁気センサが前記第1の磁気センサよりも先に未検知になる
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記磁気検知阻止部は、前記スイッチが押されると前記第1の永久磁石と前記第1の磁気センサとの距離を離させる機構を有する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記磁気検知阻止部は、前記スイッチが押されると前記第1の永久磁石と前記第1の磁気センサとの間に磁気遮断板を挿入する機構を有する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載の冷蔵庫であって、
前記磁気検知阻止部は、前記スイッチが離された場合に、前記第1の磁気センサが検知する前記第1の永久磁石の磁気の強さを、前記スイッチが押される前の強さに戻す
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の使いやすさを向上させるために、使用者が冷蔵庫の扉を開ける際に、その開放補助を行う冷蔵庫が存在する。
【0003】
開放補助を行う冷蔵庫として、例えば特許文献1に記載の冷蔵庫がある。特許文献1の段落0018に「ホールICと永久磁石は、始めから、例えば、ホールICを動作させることが出来る距離(磁場内)に位置させておき、磁力遮蔽板の介在により、上記磁場を遮断し、もって、ホールICをONからOFFに、あるいは、OFFからONに切り替えるようにしたものである」こと、段落0016に「ホールIC2のON-OFFの情報を元に、制御装置4は自動扉開放装置5を作動させる。そして、自動扉開放装置5が作動することによって、扉3が自動的に開放される様に働く」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の段落0026及び
図5に「
図5にも示すように、利用者が上記引出扉の引き出す前の状態では、上記磁石6は、その自重によりそのフレ-ム61と共に下方に移動している(即ち、図の例では、一対の作動ピン62、62を中心として右側が下がっている)。なお、この状態では、上記磁石6からの磁力は、磁気遮蔽効果を備えた部材から形成された筐体40の内部に閉じ込められており、ホールIC2に伝わる永久磁石6からの磁力は比較的弱い」ことが記載されている。すなわち、特許文献1に記載の冷蔵庫では、押しボタン等のスイッチが押されていない状態においては常にホールIC2に伝わる永久磁石6からの磁力は比較的弱い。そのため、押しボタン等のスイッチが押されていない状態では、扉の開閉に基づく永久磁石6の磁力の変化はホールIC2に伝わりづらく、引出扉の開閉によってホールIC2のON-OFFが切り替わらない。したがって、押しボタン等のスイッチが押されていない状態では、ホールIC2によって扉の開閉を検知できないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、スイッチの押下及び扉の開閉を磁気変化により検出できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、例えば、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の前面開口を開閉する引き出し式の扉と、前記扉が開くように前記扉に前方への力を加える扉駆動装置と、を有する冷蔵庫であって、前記冷蔵庫本体は、前記貯蔵室の前面開口の周囲に第1の永久磁石又は第1の磁気センサの一方を有し、前記扉は、前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの一方と水平方向で対向するように配置された前記第1の永久磁石又は前記第1の磁気センサの他方と、スイッチが押されることにより前記第1の磁気センサが検知する前記第1の永久磁石の磁気を弱める磁気検知阻止部と、を有し、前記扉駆動装置は、前記第1の磁気センサの検知状態に基づいて前記扉に前方への力を加える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチの押下及び扉の開閉を磁気変化により検出できる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】扉が閉まった状態でスイッチを押したときの冷蔵庫の動作を説明する図である。
【
図3】手動で扉を開く際の磁気センサによる磁気検知の変化を説明する図である。
【
図4】磁気検知阻止部の具体的構成の一例を示す図である。
【
図5】磁気検知阻止部の具体的構成の一例を示す図である。
【
図6】手動で扉を開く際の磁気センサによる磁気検知の変化を説明する図である。
【
図7】扉が閉まった状態でスイッチを押したときの冷蔵庫の動作を説明する図である。
【
図8】各磁気センサの状態を表に整理した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。これらの実施例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、以下の説明において使用する各図面において、共通する各装置、各機器には同一の符号を付しており、すでに説明した各装置、機器および動作の説明を省略する場合がある。
【実施例0011】
図1は、冷蔵庫の全体図の一例である。本実施例に係る冷蔵庫10は、貯蔵室11~15を有する。貯蔵室12及び13は、貯蔵室11の下で左右に並んでいる。
【0012】
冷蔵庫10は、貯蔵室11~15の前面開口を開閉する扉1~5を有する。扉1は、左扉1aと右扉1bとで構成され、それぞれ中央から外側に開く観音開き式の扉であるが、これに限定されない。また、扉2~5は、背面に容器が固定され、各貯蔵室の前面開口を開閉する引き出し式の扉である。なお、これらの貯蔵室及び扉は一例であり、貯蔵室及び扉の個数や配置等の冷蔵庫の構成はこれに限定されない。
【0013】
図2は、扉が閉まった状態でスイッチを押したときの冷蔵庫の動作を説明する図である。
図2は貯蔵室15の右側面図の一例であるが、説明を容易にするために、冷蔵庫1の側面は記載していない。6は貯蔵室に格納される容器を固定する扉枠である。16は貯蔵室14と貯蔵室15との間の仕切りである。20は永久磁石である。21は永久磁石20と水平方向で対向し、永久磁石20の磁気を検知する磁気センサである。なお、磁気センサ21は仕切り16の内部に含まれるので
図2に示す右側面図では見えないものであるが、説明を容易にするために磁気センサ21を点線で記載している。以下、永久磁石20と磁気センサ21との対向する面同士の距離を永久磁石20と磁気センサ21との距離として説明する。そして、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値TH以内であれば、磁気センサ21は磁気を検知するものとする。41はスイッチである。
図2ではスイッチ41が押されると永久磁石20が磁気センサ21から離れる例について説明する。50は扉駆動装置である。
【0014】
図2(a)は、扉5が閉まっており、かつ、スイッチ41が押されていない状態の図である。永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値TH以内なので、磁気センサ21は磁気を検知する。なお、以下では、
図2(a)に示すように、磁気センサ21が磁気を検知している状態である時は、磁気センサ21の検知状態が「検知」であるとし、磁気センサ21を斜線で塗りつぶすこととする。
【0015】
図2(b)は、扉5が閉まっており、かつ、スイッチ41が押された状態の図である。スイッチ41が押されると、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値THよりも大きくなるように永久磁石20が前方(
図5における左方向)に移動する。これにより、扉5が閉まった状態であっても磁気センサ21が磁気を検知しなくなる。なお、以下では、
図2(b)に示すように、磁気センサ21が磁気を検知していない状態である時は、磁気センサ21の検知状態が「未検知」であるとし、磁気センサ21を塗りつぶさないこととする。また、
図2では、原理の理解を容易にするために、永久磁石20が扉5よりも前方に飛び出した図で説明しているが、より現実的な構成については
図4及び
図5を用いて後述する。
【0016】
図2(a)及び(b)に示すように、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値TH以内でスイッチ41が押されると磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わる。このような磁気センサ21の検知状態の変化によってスイッチが押されたことを検知することができる。
【0017】
そして、扉駆動装置50は、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わったことによりスイッチ41が押されたと判断して、扉5に対して前方への力を加える。
図2(c)は、扉駆動装置を説明する図である。扉駆動装置50は、例えば駆動部52が被駆動部51を前方へとスライドさせることで扉5に対して前方への力を加える。例えば、駆動部52がモータと、モータによって回転する第1の篏合部とを有し、被駆動部51が第1の篏合部と篏合し、かつ、回転しない第2の篏合部を有する構成が考えられる。この場合、駆動部52は、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わったことによりスイッチ41が押されたと判断してモータを駆動して第1の篏合部を回転させる。そして、第1の篏合部の回転に伴い、第1の篏合部と篏合する第2の篏合部が前方へ押し出されることで、扉5に対して前方への力を加える。
【0018】
図3は、手動で扉を開く際の磁気センサによる磁気検知の変化を説明する図である。
図3(a)~(b)はいずれもスイッチ41が押されておらず、
図3(a)は扉が完全に閉じている状態、
図3(b)は扉が少し空いている状態、
図3(c)は
図3(b)よりもさらに扉が開いた状態を表す。
図3(a)は、
図2(a)と同一の状態であり、前述のとおり磁気センサ21が磁気を検知する。
図3(b)では、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値THに等しいので、磁気センサ21が磁気を検知する。
図3(c)では、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値THより大きいので、磁気センサ21が磁気を検知しない。
【0019】
このように、スイッチ41が押されていないときは、永久磁石20と磁気センサ21との距離と閾値THとの関係で磁気センサ21の検知状態が変化するので、磁気センサ21の検知状態により扉5の開閉状態を判断することができる。
【0020】
図2に示すように、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値TH以内でスイッチ41が押された場合であっても、
図3に示すように、スイッチ41が押されずに扉5が開かれて永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値THより大きくなった場合であっても、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わる。したがって、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わることを検出する構成である本実施例の冷蔵庫は、スイッチの押下及び扉の開閉を磁気変化により検出することができる。
【0021】
また、実施例1に係る冷蔵庫は、スイッチ41が押されたら扉駆動装置50を動作させる。そのために、扉駆動装置50は、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わることをもってスイッチ41が押されたと判断し、扉5に対して前方への力を加える。しかし、前述したように、スイッチ41が押されずに手動で扉5が開かれていき、永久磁石20と磁気センサ21との距離が閾値THより大きくなる場合でも、磁気センサ21の検知状態が検知から未検知へと変わる。その結果、扉駆動装置50は扉5に対して前方への力を加えることになる。
【0022】
しかしながら、スイッチ41を押す際であっても、手動で扉を開く際であっても、冷蔵庫の使用者は扉が開く動作を期待しており、扉が開くことへの準備ができている。そのため、スイッチ41を押した場合と、手動で扉を開いた場合との両方で扉駆動装置50が扉5に対して前方への力を加えて扉が開いても問題はない。
【0023】
なお、扉5が手動で開かれる場合は、永久磁石20と磁気センサ21との距離がどんどん大きくなるため、磁気センサ21の検知状態は検知から未検知へ不可逆的に変化するのが一般的である。そこで、スイッチ41が押されて離されたときに、すなわち、スイッチ41が押されて磁気センサ21の検知状態が検知から未検知に変わり、さらに所定の時間内にスイッチ41が離されて未検知から検知に変わった場合に、扉駆動装置50はスイッチ41が押されたと判断して扉5に前方への力を加えることで、スイッチ41が押されたときと手動で扉を開いたときとを区別して、扉駆動装置50を動作させることができる。
【0024】
図4及び5は、それぞれ磁気検知阻止部の具体的構成の一例を示す図である。
図4は、扉5の内部に形成された空間400の中に磁気検知阻止部40及び永久磁石20を配置した例を示す。
図4は扉5の内部に設けられた空間400を冷蔵庫の右側から見た図であり、
図4における左右方向が冷蔵庫の前後方向に対応し、
図4における左側が冷蔵庫の前方に対応する。また、
図4において空間400の奥側には扉5が見えていることとする。
【0025】
図4においては、スイッチ41と、移動部材401と、バネ固定ピン402と、バネ403と、ケース404と、連結部材405と、回転ピン406~408と、レール409とが組み合わさって動作することで磁気検知阻止部40として機能する。
【0026】
スイッチ41は、
図4における左から右に押される押しボタンであって、移動部材401と一体となっている。移動部材401は、
図4における左右方向で対向するバネ固定ピン402とバネ403で連結されている。連結部材405は、一端が移動部材401と回転ピン406で結合しており、他端が永久磁石20が挿入されたケース404と回転ピン407で結合している。また、連結部材405は、中心付近を回転ピン408で
図4における奥側の扉5に固定されており、回転ピン408を中心に回転する。回転ピン407は、
図4の奥側に突出している突出部を有し、その突出部は、
図4における左右方向に延びるレール409にはまっている。
【0027】
図4に示す構成である磁気検知阻止部40の動作を説明する。スイッチ41が押されると移動部材401が
図4における右方向に移動する。そして、移動部材401の移動によって、連結部材405が
図4における反時計回りに回転する。この連結部材405の回転に伴い、ケース404がレール409に沿って
図4における左方向に移動する。その結果、ケース404に挿入されていた永久磁石20が
図4における左方向、すなわち、冷蔵庫10の前方向に移動することになり、永久磁石20と磁気センサ21との距離を離すことができる。このようにして磁気検知阻止部40は、磁気センサ21の磁気検知を阻止する。
【0028】
また、スイッチ41が押され、移動部材401が
図4における右方向に移動しているときは、バネ403は縮んでいる。この状態では、バネ403が移動部材401に対して
図4における左方向への力を加えている。そのため、スイッチ41が押されなくなると、バネ403は移動部材401及びスイッチ41を左方向に移動させ、移動部材401及びスイッチ41の位置をスイッチ41が押される前の位置に戻す。この移動部材401の移動に伴い、連結部材405は、回転ピン408を中心にして
図4における時計回りに回転する。この連結部材405の回転に伴い、ケース404がレール409に沿って
図4における右方向に移動する。その結果、ケース404に挿入されていた永久磁石20が
図4における右方向、すなわち、冷蔵庫10の後ろ方向に移動することになり、永久磁石20と磁気センサ21との距離をスイッチ41が押される前の距離に戻すことができる。そして、磁気センサ21はスイッチ41が押される前と同様に永久磁石20の磁気を検知することができる。
【0029】
図5は、扉5の内部に形成された空間410の中に磁気検知阻止部40及び永久磁石20を配置した例を示す。
図5は扉5の内部に設けられた空間410を冷蔵庫の右側から見た図であり、
図5における左右方向が冷蔵庫の前後方向に対応し、
図5における左側が冷蔵庫の前方に対応する。また、
図5において空間410の奥側には扉5が見えていることとする。
【0030】
図5においては、スイッチ41と、移動部材411と、バネ固定ピン412と、バネ413と、連結部材414と、回転ピン415と、磁気遮断部材416と、回転ピン417と、ケース418と、固定ピン419とが組み合わさって動作することで磁気検知阻止部40として機能する。
【0031】
スイッチ41は、
図5における左から右に押される押しボタンであって、移動部材411と一体となっている。移動部材411は、
図5における左右方向で対向するバネ固定ピン412とバネ413で連結されている。連結部材414は、一端が移動部材411と回転ピン415で結合しており、他端が磁気遮断部材416と回転ピン417で結合している。磁気遮断部材416は、連結部材414と結合している基部416aと、永久磁石20と磁気センサ21との間に挿入されて磁気を遮断する磁気遮断板416bとを有する。磁気遮断板416bとしては、鉄板等を例示できる。磁気遮断部材416は、空間410の左側の壁に沿って配置されている。ケース418は、永久磁石20が
図5における右方向に露出するように挿入されており、固定ピン419で
図5における空間410の奥側の扉5に固定されている。
【0032】
図5に示す構成である磁気検知阻止部40の動作を説明する。スイッチ41が押されると移動部材411が
図5における右方向に移動する。連結部材414は、移動部材411の右方向への移動に伴って磁気遮断部材416を上方向へ移動させる。その結果、磁気遮断部材416の磁気遮断板416bが永久磁石20の右側に挿入される。これにより、永久磁石20と磁気センサ21との間に磁気遮断部材416の磁気遮断板416bが挿入され、磁気センサ21が検知する永久磁石20の磁気を弱めることができる。このようにして磁気検知阻止部40は、磁気センサ21の磁気検知を阻止する。
【0033】
また、スイッチ41が押され、移動部材411が
図5における右方向に移動しているときは、バネ413は縮んでいる。この状態では、バネ413が移動部材411に対して
図5における左方向への力を加えている。そのため、バネ413は、スイッチ41が押されなくなると、移動部材411及びスイッチ41を左方向に移動させ、移動部材411及びスイッチ41の位置をスイッチ41が押される前の位置に戻す。連結部材414は、移動部材411の左方向への移動に伴って磁気遮断部材416を下方向へ移動させる。その結果、磁気遮断部材416の磁気遮断板416bが永久磁石20の右側に挿入されなくなる。すなわち、永久磁石20と磁気センサ21との間にあった磁気遮断部材416の磁気遮断板416bがなくなり、磁気センサ21はスイッチ41が押される前と同様に永久磁石20の磁気を検知することができる。
【0034】
以上説明したように、
図4又は
図5に示す構成の磁気検知阻止部40は、スイッチ41が離された場合に、磁気センサ21が検知する永久磁石20の磁気の強さを、スイッチ41が押される前の強さに戻すことができる。その結果、扉5が閉じた状態でスイッチ41が離された場合には、磁気センサ21の検知状態が未検知から検知に変化することになるので、磁気センサ21の検知状態の変化に基づいてスイッチ41が離されたことを検知することができる。
【0035】
なお、本実施例では、扉5に永久磁石20を設け、仕切り16の内部に磁気センサ21を設けた例を説明したが、扉5に磁気センサ21を設け、仕切り16の内部に永久磁石20を設けることもできる。この場合、扉5に設けられた磁気検知阻止部40は、
図5に示すような機構により、永久磁石20と磁気センサ21との間に磁気遮断部材を挿入することにより、磁気センサ21が検知する永久磁石20の磁気を弱める。なお、扉5に磁気センサ21を設け、仕切り16の内部に永久磁石20を設ける場合は、磁気検知阻止部40が
図4に示す構成をとることは、磁気センサ21の位置が不安定になり、磁気検知の精度が悪化する可能性があるので、
図5に示す構成をとることが望ましい。
また、永久磁石30及び磁気センサ31は、扉駆動装置50の内部、すなわち、駆動部52と被駆動部51との対向する面に永久磁石30及び磁気センサ31を設けてもよい。
扉駆動装置50は、磁気センサ21の検知状態及び磁気センサ31の検知状態に基づいて扉5が開くように扉5に力を加える。具体的には、扉駆動装置50は、磁気センサ31が検知状態が検知であり、磁気センサ21の検知状態が未検知である場合に、扉5に対して前方への力を加える。
以上から、永久磁石20及び磁気センサ21の組と永久磁石30及び磁気センサ31の組とを用いることで、スイッチが押されたのか、扉が手動で開けられたのかを識別ができる。
本実施例では、扉枠6に永久磁石30を設け、貯蔵室15の内側に磁気センサ31を設けた例を説明したが、扉枠6に磁気センサ31を設け、貯蔵室15の内側に永久磁石30を設けることもできる。