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▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043872
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240326BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240326BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 D
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149094
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥耀
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA12
5E070CB02
5E070CB13
5E070CB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層体にクラック等の欠陥が発生しにくく、インピーダンスの取得効率が高い積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向Tに積層され、内部にコイル30Aを内蔵する積層体と、積層体の外表面に設けられ、コイルに電気的に接続された外部電極と、を備える。コイルには、ビア導体V2x~V10yを介して電気的に並列に接続された2層以上のコイル導体CC1~CC10から構成される並列部が含まれる。並列部は、第1の並列部P1a~P1eと、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部P2a~P2dと、を含む。第1の並列部(例えば並列部P1a)を構成するコイル導体(例えばコイル導体CC9)の一部と、第2の並列部(例えば並列部P2a)を構成するコイル導体(例えばコイル導体CC9)の一部とは、同一の絶縁層の同一面上に直接接続する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層方向に積層され、内部にコイルを内蔵する積層体と、
前記積層体の外表面に設けられ、前記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、
前記コイルは、前記絶縁層とともに前記積層方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されることにより構成され、
前記コイルには、ビア導体を介して電気的に並列に接続された2層以上の前記コイル導体から構成される並列部が含まれ、
前記並列部は、第1の並列部と、前記第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含み、
前記第1の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、同一の前記絶縁層である第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
前記第1の絶縁層を挟んで隣り合う前記コイル導体を前記積層方向から見たとき、前記第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、前記第1の絶縁層を挟んで隣り合う前記コイル導体の少なくとも一部が重なっている、積層コイル部品。
【請求項2】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合とが異なる、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記並列部は、前記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第3の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、同一の前記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記並列部は、前記第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含み、
前記第3の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第4の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、同一の前記絶縁層である第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている、請求項3に記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合とが異なり、
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第3の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第4の並列部の経路の割合とが異なる、請求項4に記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第3の並列部の経路の割合とが同じであり、
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第4の並列部の経路の割合とが同じである、請求項5に記載の積層コイル部品。
【請求項7】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第3の並列部の経路の割合とが同じであり、
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第4の並列部の経路の割合とが異なる、請求項5に記載の積層コイル部品。
【請求項8】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第3の並列部の経路の割合とが異なり、
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合と、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第4の並列部の経路の割合とが異なる、請求項5に記載の積層コイル部品。
【請求項9】
前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第1の並列部の経路の割合が0.4以上、0.8以下であり、前記コイルの1ターン分の経路に対する前記第2の並列部の経路の割合が0.1以上、0.4未満である、請求項2、5、6、7又は8に記載の積層コイル部品。
【請求項10】
少なくとも1つの前記ビア導体が前記コイル導体の屈曲部以外の辺に接続されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層コイル部品。
【請求項11】
前記第1の並列部及び前記第2の並列部を含む前記並列部は、各々、2層の前記コイル導体から構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層コイル部品。
【請求項12】
前記積層方向において連続して重なる前記ビア導体の最大数は2である、請求項11に記載の積層コイル部品。
【請求項13】
前記第1の絶縁層の上にない前記第1の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第1の絶縁層の上にない前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、それぞれ別の前記絶縁層の上に配置されている、請求項12に記載の積層コイル部品。
【請求項14】
前記並列部は、前記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第3の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、同一の前記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
前記第2の絶縁層の上にない前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第2の絶縁層の上にない前記第3の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、それぞれ別の前記絶縁層の上に配置されている、請求項13に記載の積層コイル部品。
【請求項15】
前記第1の並列部と前記第2の並列部とは、前記積層方向から見たとき、重なっていない、請求項12に記載の積層コイル部品。
【請求項16】
前記並列部は、前記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
前記第2の並列部を構成する前記コイル導体の一部と、前記第3の並列部を構成する前記コイル導体の一部とは、同一の前記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
前記第2の並列部と前記第3の並列部とは、前記積層方向から見たとき、重なっていない、請求項15に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の絶縁層が積層された積層体と、上記積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、上記積層体に上記複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に上記第1の外部電極と上記第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、上記複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなる第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有しており、上記少なくとも二つの第1の導体パターンは、同一形状であり且つ上記積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が上記第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、上記第2の導体パターンは、一端が上記第2の外部電極に電気的に接続されると共に他端が上記少なくとも二つの第1の導体パターンを介して上記第1の外部電極に電気的に接続されていることを特徴とする積層型インダクタが開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の絶縁体層が積層されて構成されている積層体と、上記積層体に設けられ、かつ、複数のコイル導体が上記絶縁体層を貫通するビア導体により接続されることにより構成されているコイルであって、積層方向に進行しながら周回する螺旋状のコイルと、上記積層体の表面に設けられた外部電極と、を備えており、1つの上記絶縁体層を挟んで隣り合う2つの上記コイル導体の組み合わせの内の少なくとも一部の組み合わせは、積層方向から見て重なり合って周回する並走区間を有し、上記並走区間は、上記ビア導体又は上記外部電極により並列接続され、1つの上記絶縁体層を挟んで隣り合う2つの上記コイル導体の各組み合わせは、上記並走区間及び該コイル導体と上記ビア導体とが接続された接続部分以外において、積層方向から見て、重なっていないこと、を特徴とする電子部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-53368号公報
【特許文献2】特開2014-157919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、少なくとも2個の導体パターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成された積層型インダクタが開示されている。例えば、2個のコイル導体が並列に接続されている特許文献1の図2等に示す構造では、2つの並列部同士が別の絶縁層に設けられている。この場合、積層方向に重なるビア導体の体積が大きくなる分、絶縁層にかかる応力が大きくなるため、積層体にクラック等の欠陥が発生するおそれがある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の電子部品では、1つの絶縁体層を挟んで隣り合う2つのコイル導体の各組み合わせが、並走区間及びコイル導体とビア導体とが接続された接続部分以外において、積層方向から見て、重ならないようにコイル導体が形成される必要がある。この場合、1つの絶縁体層に形成できるコイル導体の長さが制限されるため、1つの絶縁体層あたりのインピーダンスの取得効率が制限される、という問題が生じる。
【0007】
本発明は、積層体にクラック等の欠陥が発生しにくく、インピーダンスの取得効率が高い積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層コイル部品は、複数の絶縁層が積層方向に積層され、内部にコイルを内蔵する積層体と、上記積層体の外表面に設けられ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備える。上記コイルは、上記絶縁層とともに上記積層方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されることにより構成される。上記コイルには、ビア導体を介して電気的に並列に接続された2層以上の上記コイル導体から構成される並列部が含まれる。上記並列部は、第1の並列部と、上記第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。上記第1の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置される。上記第1の絶縁層を挟んで隣り合う上記コイル導体を上記積層方向から見たとき、上記第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、上記第1の絶縁層を挟んで隣り合う上記コイル導体の少なくとも一部が重なっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積層体にクラック等の欠陥が発生しにくく、インピーダンスの取得効率が高い積層コイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。
図3図3は、図2に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
図4-1】図4-1は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
図4-2】図4-2は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
図4-3】図4-3は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
図4-4】図4-4は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
図6図6は、従来の積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。
図8図8は、図7に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
図9-1】図9-1は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
図9-2】図9-2は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
図9-3】図9-3は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
図9-4】図9-4は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。
図11図11は、図10に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
図12-1】図12-1は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
図12-2】図12-2は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
図12-3】図12-3は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
図12-4】図12-4は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
図12-5】図12-5は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
図12-6】図12-6は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2cの経路を模式的に示す平面図である。
図12-7】図12-7は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1dの経路を模式的に示す平面図である。
図12-8】図12-8は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2dの経路を模式的に示す平面図である。
図12-9】図12-9は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1eの経路を模式的に示す平面図である。
図12-10】図12-10は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2eの経路を模式的に示す平面図である。
図12-11】図12-11は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1fの経路を模式的に示す平面図である。
図13図13は、本発明の第4実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。
図14図14は、図13に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
図15-1】図15-1は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
図15-2】図15-2は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
図15-3】図15-3は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
図15-4】図15-4は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
図15-5】図15-5は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
図15-6】図15-6は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2cの経路を模式的に示す平面図である。
図15-7】図15-7は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1dの経路を模式的に示す平面図である。
図15-8】図15-8は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2dの経路を模式的に示す平面図である。
図15-9】図15-9は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1eの経路を模式的に示す平面図である。
図15-10】図15-10は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2eの経路を模式的に示す平面図である。
図15-11】図15-11は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1fの経路を模式的に示す平面図である。
図16図16は、本発明の第5実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。
図17図17は、図16に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
図18-1】図18-1は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
図18-2】図18-2は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
図18-3】図18-3は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
図18-4】図18-4は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
図18-5】図18-5は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
図19図19は、本発明のその他の実施形態に係る積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
図20図20は、従来の積層コイル部品を構成するコイルの別の一例を模式的に示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の積層コイル部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
本明細書において、要素間の関係性を示す用語(例えば「垂直」、「平行」、「直交」等)及び要素の形状を示す用語は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
本発明の積層コイル部品では、コイルに含まれる並列部が、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含み、第1の並列部を構成するコイル導体の一部と、第2の並列部を構成するコイル導体の一部とが、同一の絶縁層である第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。このように、第1の並列部を構成するコイル導体の一部と第2の並列部を構成するコイル導体の一部とが同一の絶縁層の上に配置されている構造とすることにより、第1の並列部を構成するコイル導体と第2の並列部を構成するコイル導体とが異なる絶縁層の上に配置されている構造と比べて、積層方向に重なるビア導体の数を少なくできる。そのため、クラック等の欠陥の発生が抑制される。なお、ここでいう「直接接続」には、各並列部を構成するコイル導体同士がランドを介して接続されている場合も含まれる。
【0014】
さらに、本発明の積層コイル部品では、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体を積層方向から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体の少なくとも一部が重なっている。これにより、第1の並列部及び第2の並列部の合計の長さが長くなるようにコイル導体を形成できるため、インピーダンスの取得効率の高いコイルを形成することができる。なお、ここでいう「並列接続されている並列部」には、ランドの部分も含まれる。
【0015】
本発明の積層コイル部品においては、上述のとおり、第1の並列部を構成するコイル導体の一部と第2の並列部を構成するコイル導体の一部とが第1の絶縁層の上に直接接続するように配置されているが、第1の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第1の絶縁層の上にない第1の並列部を構成するコイル導体の一部)と、第2の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第1の絶縁層の上にない第2の並列部を構成するコイル導体の一部)とは、それぞれ別の絶縁層の上に配置されていればよい。
【0016】
本発明の積層コイル部品において、第1の並列部と第2の並列部とは、積層方向から見たとき、重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
【0017】
本発明の積層コイル部品において、第1の並列部及び第2の並列部を含む並列部を構成するコイル導体の数は特に限定されない。第1の並列部及び第2の並列部を含む並列部を構成するコイル導体の数は、同じであることが好ましい。例えば、第1の並列部及び第2の並列部を含む並列部は、各々、2層のコイル導体から構成されてもよい。この場合、積層方向において連続して重なるビア導体の最大数を3から2に減らすことができる。あるいは、第1の並列部及び第2の並列部を含む並列部は、各々、3層のコイル導体から構成されてもよい。この場合、積層方向において連続して重なるビア導体の最大数を5から3に減らすことができる。第1の並列部及び第2の並列部を含む並列部は、各々、4層以上のコイル導体から構成されてもよい。
【0018】
本発明の積層コイル部品では、コイルの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが同じであってもよいが、コイルの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なることが好ましい。
【0019】
後述の実施形態において説明するように、コイルの平面形状が長方形状等の多角形状である場合には、全ての辺の長さが同じ正方形状等の正多角形状であると仮定して第1の並列部又は第2の並列部の経路の割合が計算される。同様に、コイルの平面形状が楕円形状又は長円形状である場合には、円形状であると仮定して第1の並列部又は第2の並列部の経路の割合が計算される。
【0020】
例えば、コイルの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合は、0.4以上、0.8以下である。一方、コイルの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合は、0.1以上、0.4未満である。
【0021】
本発明の積層コイル部品において、コイルに含まれる並列部の数は特に限定されない。すなわち、本発明の積層コイル部品では、並列部は、第1の並列部及び第2の並列部以外の並列部を1つ以上含んでもよい。
【0022】
例えば、並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。
【0023】
並列部が第3の並列部を含む場合、第2の並列部を構成するコイル導体の一部と、第3の並列部を構成するコイル導体の一部とは、同一の絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。すなわち、第1の並列部、第2の並列部及び第3の並列部は、該並列部以外のコイル導体を用いずに、積層方向において連続して接続されていることが好ましい。この場合、第1の並列部、第2の並列部及び第3の並列部は、ランドを介して接続されていてもよい。
【0024】
並列部が第3の並列部を含む場合、第2の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体を積層方向から見たとき、第2の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第2の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体の少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0025】
第2の並列部を構成するコイル導体の一部と第3の並列部を構成するコイル導体の一部とが第2の絶縁層の上に直接接続するように配置されている場合、第2の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第2の絶縁層の上にない第2の並列部を構成するコイル導体の一部)と、第3の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第2の絶縁層の上にない第3の並列部を構成するコイル導体の一部)とは、それぞれ別の絶縁層の上に配置されていればよい。
【0026】
第2の並列部を構成するコイル導体の一部と第3の並列部を構成するコイル導体の一部とが第2の絶縁層の上に直接接続するように配置されている場合、第2の並列部と第3の並列部とは、積層方向から見たとき、重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
【0027】
例えば、コイルの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合は、0.4以上、0.8以下である。
【0028】
また、並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。
【0029】
並列部が第3の並列部及び第4の並列部を含む場合、第3の並列部を構成するコイル導体の一部と、第4の並列部を構成するコイル導体の一部とは、同一の絶縁層である第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。すなわち、第1の並列部、第2の並列部、第3の並列部及び第4の並列部は、該並列部以外のコイル導体を用いずに、積層方向において連続して接続されていることが好ましい。この場合、第1の並列部、第2の並列部、第3の並列部及び第4の並列部は、ランドを介して接続されていてもよい。
【0030】
並列部が第3の並列部及び第4の並列部を含む場合、第3の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体を積層方向から見たとき、第3の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第3の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体の少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0031】
第3の並列部を構成するコイル導体の一部と第4の並列部を構成するコイル導体の一部とが第3の絶縁層の上に直接接続するように配置されている場合、第3の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第3の絶縁層の上にない第3の並列部を構成するコイル導体の一部)と、第4の並列部を構成するコイル導体の残りの部分(第3の絶縁層の上にない第4の並列部を構成するコイル導体の一部)とは、それぞれ別の絶縁層の上に配置されていればよい。
【0032】
第3の並列部を構成するコイル導体の一部と第4の並列部を構成するコイル導体の一部とが第3の絶縁層の上に直接接続するように配置されている場合、第3の並列部と第4の並列部とは、積層方向から見たとき、重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
【0033】
例えば、コイルの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合は、0.1以上、0.4未満である。
【0034】
本発明の積層コイル部品において、コイル導体の平面形状は特に限定されない、コイル導体の平面形状は、例えば、L字状、角U字状(コの字状)等の屈曲部を有する形状でもよく、U字状、C字状等の弧状部を有する形状でもよい。
【0035】
本発明の積層コイル部品において、少なくとも1つのビア導体がコイル導体の屈曲部以外の辺に接続されていてもよい。
【0036】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0037】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0038】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品の一例を模式的に示す斜視図である。
【0039】
図1に示す積層コイル部品1Aは、積層体10Aと、外部電極21及び22と、を備える。積層体10Aは、例えば、6面を有する直方体状又は略直方体形状を有する。図1には示されていないが、積層体10Aは、複数の絶縁層が積層方向に積層されてなり、内部にコイルを内蔵している。外部電極21及び22は、各々、コイルに電気的に接続されている。
【0040】
積層コイル部品1A及び積層体10Aでは、長さ方向、高さ方向及び幅方向を図1におけるL方向、T方向及びW方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは互いに直交する。
【0041】
図1に示す例では、積層体10Aは、長さ方向Lに相対する第1の端面11及び第2の端面12と、高さ方向Tに相対する第1の主面13及び第2の主面14と、幅方向Wに相対する第1の側面15及び第2の側面16と、を有する。
【0042】
図1には示されていないが、積層体10Aは、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。積層体10Aの角部は、積層体10Aの3面が交わる部分であり、積層体10Aの稜線部は、積層体10Aの2面が交わる部分である。
【0043】
外部電極21及び22のうち、一方の外部電極21は、例えば、図1に示すように、積層体10Aの第1の端面11の全部を覆い、かつ、第1の端面11から延伸して第1の主面13の一部、第2の主面14の一部、第1の側面15の一部、及び、第2の側面16の一部を覆っている。
【0044】
外部電極21及び22のうち、他方の外部電極22は、例えば、図1に示すように、積層体10Aの第2の端面12の全部を覆い、かつ、第2の端面12から延伸して第1の主面13の一部、第2の主面14の一部、第1の側面15の一部、及び、第2の側面16の一部を覆っている。
【0045】
以上のように外部電極21及び22が配置されている積層コイル部品1Aを基板上に実装する場合には、積層体10Aの第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面16のいずれかが実装面となる。
【0046】
図2は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。図3は、図2に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
【0047】
図2に示す積層体10Aは、図3に示すコイル30Aを内蔵している。
【0048】
図2に示すように、積層体10Aは、複数の絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10が、積層体10Aの第1の主面13(図1参照)から第2の主面14(図1参照)に向かって、高さ方向Tに積層されることにより構成されている。以下、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10をまとめて絶縁層ILとも記載する。
【0049】
図2においては、絶縁層IL1が積層方向(ここでは高さ方向T)の下側(積層体10Aの第1の主面13側)、絶縁層IL10が積層方向の上側(積層体10Aの第2の主面14側)に配置され、かつ、各々の絶縁層ILの主面のうち、高さ方向Tの負方向側(図2では紙面奥側)の主面が積層方向の下側、高さ方向Tの正方向側(図2では紙面手前側)の主面が積層方向の上側に配置される。
【0050】
各々の絶縁層ILの構成材料としては、例えば、フェライト材料等の磁性材料が挙げられる。
【0051】
図2に示すように、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10には、それぞれ、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9及びCC10が設けられている。以下、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9及びCC10をまとめてコイル導体CCとも記載する。
【0052】
コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9及びCC10は、それぞれ、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10の主面上、具体的には、高さ方向Tの正方向側(図2では紙面手前側)の主面上に設けられている。
【0053】
絶縁層ILとともに積層方向(ここでは高さ方向T)に積層された複数のコイル導体CCが電気的に接続されることにより、図3に示すコイル30Aが構成されている。
【0054】
図2及び図3に示す例では、コイル導体CC1及びCC10を除くコイル導体CCの長さは、コイル30Aの3/4ターンの長さである。一方、コイル導体CC1及びCC10の長さは、コイル30Aの1/2ターンの長さである。
【0055】
10層目L10のコイル導体CC10は、L字状である。10層目L10の絶縁層IL10には、コイル導体CC10の両端にビア導体V10x及びV10yが設けられている。
【0056】
9層目L9のコイル導体CC9は、角U字状(コの字状)である。9層目L9の絶縁層IL9には、コイル導体CC9の一端にビア導体V9xが設けられ、コイル導体CC9の屈曲部にビア導体V9yが設けられている。
【0057】
8層目L8のコイル導体CC8は、角U字状(コの字状)である。8層目L8の絶縁層IL8には、コイル導体CC8の屈曲部にビア導体V8xが設けられ、コイル導体CC8の一端にビア導体V8yが設けられている。
【0058】
7層目L7のコイル導体CC7は、角U字状(コの字状)である。7層目L7の絶縁層IL7には、コイル導体CC7の一端にビア導体V7xが設けられ、コイル導体CC7の屈曲部にビア導体V7yが設けられている。
【0059】
6層目L6のコイル導体CC6は、角U字状(コの字状)である。6層目L6の絶縁層IL6には、コイル導体CC6の屈曲部にビア導体V6xが設けられ、コイル導体CC6の一端にビア導体V6yが設けられている。
【0060】
5層目L5のコイル導体CC5は、角U字状(コの字状)である。5層目L5の絶縁層IL5には、コイル導体CC5の一端にビア導体V5xが設けられ、コイル導体CC5の屈曲部にビア導体V5yが設けられている。
【0061】
4層目L4のコイル導体CC4は、角U字状(コの字状)である。4層目L4の絶縁層IL4には、コイル導体CC4の屈曲部にビア導体V4xが設けられ、コイル導体CC4の一端にビア導体V4yが設けられている。
【0062】
3層目L3のコイル導体CC3は、角U字状(コの字状)である。3層目L3の絶縁層IL3には、コイル導体CC3の一端にビア導体V3xが設けられ、コイル導体CC3の屈曲部にビア導体V3yが設けられている。
【0063】
2層目L2のコイル導体CC2は、角U字状(コの字状)である。2層目L2の絶縁層IL2には、コイル導体CC2の屈曲部にビア導体V2xが設けられ、コイル導体CC2の一端にビア導体V2yが設けられている。
【0064】
1層目L1のコイル導体CC1は、L字状である。
【0065】
以下、ビア導体V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x、V6y、V7x、V7y、V8x、V8y、V9x、V9y、V10x及びV10yをまとめてビア導体Vとも記載する。
【0066】
ビア導体Vは、絶縁層ILを積層方向(ここでは高さ方向T)に貫通するように設けられている。
【0067】
絶縁層ILの主面上には、ビア導体Vと接続されるランドが設けられていることが好ましい。その場合、ランドのサイズは、ランドの部分を除いたコイル導体CCの線幅よりも若干大きいことが好ましい。
【0068】
各々のコイル導体CC(ランドを含む)及び各々のビア導体Vの構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0069】
図2に示すように構成された絶縁層ILが高さ方向Tに積層されると、ビア導体Vを介してコイル導体CCが電気的に接続される。その結果、積層体10A内においては、図3に示すように、高さ方向Tに延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイル30Aが構成される。
【0070】
図2において、10層目L10のコイル導体CC10の端部には、積層体10Aの第1の端面11(図1参照)に露出する引き出し導体41が接続されている。引き出し導体41は、積層体10A内において、外部電極21(図1参照)とコイル導体CC10とを接続する。
【0071】
同様に、1層目L1のコイル導体CC1の端部には、積層体10Aの第2の端面12(図1参照)に露出する引き出し導体42が接続されている。引き出し導体42は、積層体10A内において、外部電極22(図1参照)とコイル導体CC1とを接続する。
【0072】
図2には示されていないが、積層体10Aは、第2の主面14側に、コイル導体CCが設けられていない絶縁層ILを1層以上含むことが好ましい。その場合、引き出し導体41が積層体10Aの第2の主面14に露出してもよい。このように、引き出し導体41が積層体10Aから露出する面は、積層体10Aの第1の端面11である必要はない。同様に、積層体10Aは、第1の主面13側に、コイル導体CCが設けられていない絶縁層ILを1層以上含むことが好ましい。その場合、引き出し導体42が積層体10Aの第1の主面13に露出してもよい。このように、引き出し導体42が積層体10Aから露出する面は、積層体10Aの第2の端面12である必要はない。以下の実施形態においても同様である。
【0073】
高さ方向Tから見たとき、コイル30Aは、図2及び図3に示すような直線部で構成される形状(例えば多角形状)であってもよく、曲線部で構成される形状(例えば円形状又は楕円形状)であってもよく、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。
【0074】
図2及び図3に示す例では、絶縁層ILの積層方向とコイル30Aのコイル軸の方向とは、積層体10Aの実装面(例えば第1の主面13)に直交しているが、絶縁層ILの積層方向とコイル30Aのコイル軸の方向とは、積層体10Aの実装面(例えば第1の主面13)に平行であってもよい。
【0075】
コイル30Aには、ビア導体Vを介して電気的に並列に接続された2層のコイル導体CCから構成される並列部が含まれている。並列部は、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。なお、コイル30Aに含まれる並列部の数は特に限定されない。
【0076】
図3に示す例では、高さ方向Tの負方向から正方向に向かって、並列部P1e、並列部P2d、並列部P1d、並列部P2c、並列部P1c、並列部P2b、並列部P1b、並列部P2a及び並列部P1aが配置されている。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である。なお、第1の並列部は並列部P1aに限定されず、並列部P1a、P1b、P1c及びP1dのいずれかであればよい。
【0077】
並列部P1aは、10層目L10のコイル導体CC10と、9層目L9のコイル導体CC9の一部とが、ビア導体V10x及びV10yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0078】
並列部P2aは、9層目L9のコイル導体CC9の一部と、8層目L8のコイル導体CC8の一部とが、ビア導体V9x及びV9yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0079】
並列部P1bは、8層目L8のコイル導体CC8の一部と、7層目L7のコイル導体CC7の一部とが、ビア導体V8x及びV8yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0080】
並列部P2bは、7層目L7のコイル導体CC7の一部と、6層目L6のコイル導体CC6の一部とが、ビア導体V7x及びV7yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0081】
並列部P1cは、6層目L6のコイル導体CC6の一部と、5層目L5のコイル導体CC5の一部とが、ビア導体V6x及びV6yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0082】
並列部P2cは、5層目L5のコイル導体CC5の一部と、4層目L4のコイル導体CC4の一部とが、ビア導体V5x及びV5yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0083】
並列部P1dは、4層目L4のコイル導体CC4の一部と、3層目L3のコイル導体CC3の一部とが、ビア導体V4x及びV4yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0084】
並列部P2dは、3層目L3のコイル導体CC3の一部と、2層目L2のコイル導体CC2の一部とが、ビア導体V3x及びV3yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0085】
並列部P1eは、2層目L2のコイル導体CC2の一部と、1層目L1のコイル導体CC1とが、ビア導体V2x及びV2yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0086】
図2及び図3に示すように、第1の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0087】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、9層目L9の絶縁層IL9が第1の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1aを構成するコイル導体CC9の一部と、並列部P2aを構成するコイル導体CC9の一部とは、9層目L9の絶縁層IL9の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0088】
また、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCを積層方向(ここでは高さ方向T)から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCの少なくとも一部が重なっている。
【0089】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、第1の絶縁層に相当する9層目L9の絶縁層IL9を挟んで隣り合うコイル導体CC9及びCC8を高さ方向Tから見たとき、絶縁層IL9を挟んで並列接続されている並列部P2a以外においても、並列部P1aを構成するコイル導体CC9の一部と並列部P1bを構成するコイル導体CC8の一部とが重なっている。
【0090】
コイル30Aに含まれる並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、並列部P1bが第3の並列部である。
【0091】
図2及び図3に示すように、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0092】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、8層目L8の絶縁層IL8が第2の絶縁層に相当する。この場合、並列部P2aを構成するコイル導体CC8の一部と、並列部P1bを構成するコイル導体CC8の一部とは、8層目L8の絶縁層IL8の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0093】
コイル30Aに含まれる並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、並列部P2bが第4の並列部である。
【0094】
図2及び図3に示すように、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第4の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0095】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、7層目L7の絶縁層IL7が第3の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1bを構成するコイル導体CC7の一部と、並列部P2bを構成するコイル導体CC7の一部とは、7層目L7の絶縁層IL7の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0096】
図3に示す例では、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なる。
【0097】
以下において説明するように、コイル30Aの平面形状が長方形状である場合、平面形状が正方形状であると仮定して並列部の経路の割合が計算される。
【0098】
図4-1は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
【0099】
並列部P1aは、短辺と長辺とを含むL字状である。並列部P1aの長さは、コイル30Aの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Aの1ターン分の経路に対する並列部P1aの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0100】
図4-2は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
【0101】
並列部P2aは、短辺を含む直線状である。並列部P2aの長さは、コイル30Aの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Aの1ターン分の経路に対する並列部P2aの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0102】
図4-3は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
【0103】
並列部P1bは、長辺と短辺とを含むL字状である。並列部P1bの長さは、コイル30Aの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Aの1ターン分の経路に対する並列部P1bの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0104】
図4-4は、図3に示すコイル30Aに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
【0105】
並列部P2bは、長辺を含む直線状である。並列部P2bの長さは、コイル30Aの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Aの1ターン分の経路に対する並列部P2bの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0106】
以下、並列部P1c、並列部P2c、並列部P1d、並列部P2d及び並列部P1eにおいても同様である。
【0107】
このように、図2及び図3に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(1/2)と、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/4)とが異なる。
【0108】
また、図2及び図3に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(1/2)であり、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Aの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが同じ(1/4)である。
【0109】
図5は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
【0110】
図5に示すように、第1の並列部P1及び第2の並列部P2が各々2層のコイル導体から構成されている場合において、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とが同一の絶縁層(図示せず)の上に配置されていると、積層方向において連続して重なるビア導体Vの最大数は2である。
【0111】
図6は、従来の積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
【0112】
図6に示すように、第1の並列部P1及び第2の並列部P2が各々2層のコイル導体から構成されている場合において、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とが同一の絶縁層(図示せず)の上に配置されていないと、積層方向において連続して重なるビア導体Vの最大数は3である。
【0113】
図5及び図6の比較より、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とを同一の絶縁層の上に配置することにより、積層方向に重なるビア導体Vの数を少なくすることができる。
【0114】
以下、図1に示す積層コイル部品1Aの製造方法の一例について説明する。
【0115】
<磁性材料の作製工程>
まず、Fe、ZnO、CuO及びNiOを所定の比率になるように秤量する。
【0116】
次に、これらの秤量物、純水等を、PSZ(部分安定化ジルコニア)メディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕する。混合・粉砕時間については、例えば、4時間以上、8時間以下とする。
【0117】
そして、得られた粉砕物を乾燥させた後、仮焼する。仮焼温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼時間については、例えば、2時間以上、5時間以下とする。
【0118】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状の磁性フェライト材料を作製する。
【0119】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0120】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe換算で40mol%以上、49.5mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下含むことが好ましい。
【0121】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物を更に含んでいてもよい。
【0122】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、不可避不純物を更に含んでいてもよい。
【0123】
<グリーンシートの作製工程>
まず、磁性材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。
【0124】
次に、スラリーを、ドクターブレード法等で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製する。グリーンシートの厚みについては、例えば、20μm以上、30μm以下とする。グリーンシートの形状については、例えば、矩形状とする。
【0125】
グリーンシートの材料としては、磁性材料に代えて、ホウケイ酸ガラス材料等の非磁性材料を用いてもよいし、磁性材料及び非磁性材料の混合材料を用いてもよい。
【0126】
<導体パターンの形成工程>
まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成する。
【0127】
次に、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等で、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製する。コイルシートには、図2及び図3に示すコイル導体CC(引き出し導体41及び42を含む)に相当するコイル導体用導体パターンと、図2及び図3に示すビア導体Vに相当するビア導体用導体パターンとが形成される。
【0128】
<積層体ブロックの作製工程>
コイルシートを、図2及び図3に相当する順序で積層方向に(ここでは高さ方向Tの負方向から正方向に向かって)積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0129】
<積層体及びコイルの作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
【0130】
次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。焼成時間については、例えば、2時間以上、4時間以下とする。
【0131】
個片化されたチップを焼成すると、コイルシートのグリーンシートは、絶縁層となる。
【0132】
また、個片化されたチップを焼成すると、コイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体となる。その結果、絶縁層とともに積層された複数のコイル導体がビア導体を介して電気的に接続されたコイルが作製される。
【0133】
以上により、複数の絶縁層が積層方向に積層され、内部にコイルを内蔵する積層体が作製される。
【0134】
積層体に対しては、例えば、バレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0135】
<外部電極の形成工程>
まず、積層体の外表面のうち、コイルが引き出された端面に、Ag及びガラスフリットを含むペースト等の導電性ペーストを塗工することにより、導電性ペースト層を形成する。
【0136】
次に、導電性ペースト層を焼き付けることにより、外部電極の下地電極を形成する。焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。下地電極の厚みについては、例えば、5μmとする。
【0137】
そして、下地電極の表面上に、電解めっき等で、Niめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。これにより、下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を順に有する外部電極が形成される。
【0138】
以上により、積層コイル部品1Aが製造される。
【0139】
積層コイル部品1Aのサイズは、例えば、長さ方向Lの寸法:2.0mm、幅方向Wの寸法:1.25mm、高さ方向Tの寸法:1.25mmである。
【0140】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る積層コイル部品では、少なくとも1つのビア導体がコイル導体の屈曲部以外の辺に接続されている。
【0141】
図7は、本発明の第2実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。図8は、図7に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
【0142】
図7に示す積層体10Bは、図8に示すコイル30Bを内蔵している。
【0143】
図7に示すように、積層体10Bは、図2に示す積層体10Aと同様に、複数の絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10が、積層体10Bの第1の主面から第2の主面に向かって、高さ方向Tに積層されることにより構成されている。以下、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10をまとめて絶縁層ILとも記載する。
【0144】
図7に示すように、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9及びIL10には、それぞれ、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9及びCC10が設けられている。以下、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9及びCC10をまとめてコイル導体CCとも記載する。
【0145】
絶縁層ILとともに積層方向(ここでは高さ方向T)に積層された複数のコイル導体CCが電気的に接続されることにより、図8に示すコイル30Bが構成されている。
【0146】
図7及び図8に示す例では、コイル導体CC1及びCC10を除くコイル導体CCの長さは、コイル30Bの3/4ターンの長さである。一方、コイル導体CC1及びCC10の長さは、コイル30Bの1/2ターンの長さである。
【0147】
10層目L10の絶縁層IL10には、コイル導体CC10の両端にビア導体V10x及びV10yが設けられている。
【0148】
9層目L9の絶縁層IL9には、コイル導体CC9の一端にビア導体V9xが設けられ、コイル導体CC9の辺にビア導体V9yが設けられている。
【0149】
8層目L8の絶縁層IL8には、コイル導体CC8の辺にビア導体V8xが設けられ、コイル導体CC8の一端にビア導体V8yが設けられている。
【0150】
7層目L7の絶縁層IL7には、コイル導体CC7の一端にビア導体V7xが設けられ、コイル導体CC7の辺にビア導体V7yが設けられている。
【0151】
6層目L6の絶縁層IL6には、コイル導体CC6の辺にビア導体V6xが設けられ、コイル導体CC6の一端にビア導体V6yが設けられている。
【0152】
5層目L5の絶縁層IL5には、コイル導体CC5の一端にビア導体V5xが設けられ、コイル導体CC5の辺にビア導体V5yが設けられている。
【0153】
4層目L4の絶縁層IL4には、コイル導体CC4の辺にビア導体V4xが設けられ、コイル導体CC4の一端にビア導体V4yが設けられている。
【0154】
3層目L3の絶縁層IL3には、コイル導体CC3の一端にビア導体V3xが設けられ、コイル導体CC3の辺にビア導体V3yが設けられている。
【0155】
2層目L2の絶縁層IL2には、コイル導体CC2の辺にビア導体V2xが設けられ、コイル導体CC2の一端にビア導体V2yが設けられている。
【0156】
以下、ビア導体V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x、V6y、V7x、V7y、V8x、V8y、V9x、V9y、V10x及びV10yをまとめてビア導体Vとも記載する。
【0157】
図7に示すように構成された絶縁層ILが高さ方向Tに積層されると、ビア導体Vを介してコイル導体CCが電気的に接続される。その結果、積層体10B内においては、図8に示すように、高さ方向Tに延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイル30Bが構成される。
【0158】
図7において、10層目L10のコイル導体CC10の端部には、積層体10Bの第1の端面に露出する引き出し導体41が接続されている。引き出し導体41は、積層体10B内において、一方の外部電極とコイル導体CC10とを接続する。
【0159】
同様に、1層目L1のコイル導体CC1の端部には、積層体10Bの第2の端面に露出する引き出し導体42が接続されている。引き出し導体42は、積層体10B内において、他方の外部電極とコイル導体CC1とを接続する。
【0160】
コイル30Bには、ビア導体Vを介して電気的に並列に接続された2層のコイル導体CCから構成される並列部が含まれている。並列部は、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。なお、コイル30Bに含まれる並列部の数は特に限定されない。
【0161】
図8に示す例では、高さ方向Tの負方向から正方向に向かって、並列部P1e、並列部P2d、並列部P1d、並列部P2c、並列部P1c、並列部P2b、並列部P1b、並列部P2a及び並列部P1aが配置されている。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である。なお、第1の並列部は並列部P1aに限定されず、並列部P1a、P1b、P1c及びP1dのいずれかであればよい。
【0162】
並列部P1aは、10層目L10のコイル導体CC10と、9層目L9のコイル導体CC9の一部とが、ビア導体V10x及びV10yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0163】
並列部P2aは、9層目L9のコイル導体CC9の一部と、8層目L8のコイル導体CC8の一部とが、ビア導体V9x及びV9yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0164】
並列部P1bは、8層目L8のコイル導体CC8の一部と、7層目L7のコイル導体CC7の一部とが、ビア導体V8x及びV8yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0165】
並列部P2bは、7層目L7のコイル導体CC7の一部と、6層目L6のコイル導体CC6の一部とが、ビア導体V7x及びV7yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0166】
並列部P1cは、6層目L6のコイル導体CC6の一部と、5層目L5のコイル導体CC5の一部とが、ビア導体V6x及びV6yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0167】
並列部P2cは、5層目L5のコイル導体CC5の一部と、4層目L4のコイル導体CC4の一部とが、ビア導体V5x及びV5yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0168】
並列部P1dは、4層目L4のコイル導体CC4の一部と、3層目L3のコイル導体CC3の一部とが、ビア導体V4x及びV4yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0169】
並列部P2dは、3層目L3のコイル導体CC3の一部と、2層目L2のコイル導体CC2の一部とが、ビア導体V3x及びV3yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0170】
並列部P1eは、2層目L2のコイル導体CC2の一部と、1層目L1のコイル導体CC1とが、ビア導体V2x及びV2yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0171】
図7及び図8に示すように、第1の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0172】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、9層目L9の絶縁層IL9が第1の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1aを構成するコイル導体CC9の一部と、並列部P2aを構成するコイル導体CC9の一部とは、9層目L9の絶縁層IL9の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0173】
また、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCを積層方向(ここでは高さ方向T)から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCの少なくとも一部が重なっている。
【0174】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、第1の絶縁層に相当する9層目L9の絶縁層IL9を挟んで隣り合うコイル導体CC9及びCC8を高さ方向Tから見たとき、絶縁層IL9を挟んで並列接続されている並列部P2a以外においても、並列部P1aを構成するコイル導体CC9の一部と並列部P1bを構成するコイル導体CC8の一部とが重なっている。
【0175】
コイル30Bに含まれる並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、並列部P1bが第3の並列部である。
【0176】
図7及び図8に示すように、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0177】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、8層目L8の絶縁層IL8が第2の絶縁層に相当する。この場合、並列部P2aを構成するコイル導体CC8の一部と、並列部P1bを構成するコイル導体CC8の一部とは、8層目L8の絶縁層IL8の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0178】
コイル30Bに含まれる並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、並列部P2bが第4の並列部である。
【0179】
図7及び図8に示すように、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第4の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0180】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、7層目L7の絶縁層IL7が第3の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1bを構成するコイル導体CC7の一部と、並列部P2bを構成するコイル導体CC7の一部とは、7層目L7の絶縁層IL7の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0181】
図8に示す例では、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なる。
【0182】
以下において説明するように、コイル30Bの平面形状が長方形状である場合、平面形状が正方形状であると仮定して並列部の経路の割合が計算される。
【0183】
図9-1は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
【0184】
並列部P1aは、短辺の半分と長辺と短辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1aの長さは、コイル30Bの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Bの1ターン分の経路に対する並列部P1aの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0185】
図9-2は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
【0186】
並列部P2aは、短辺の半分と長辺の半分とを含むL字状である。並列部P2aの長さは、コイル30Bの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Bの1ターン分の経路に対する並列部P2aの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0187】
図9-3は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
【0188】
並列部P1bは、長辺の半分と短辺と長辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1bの長さは、コイル30Bの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Bの1ターン分の経路に対する並列部P1bの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0189】
図9-4は、図8に示すコイル30Bに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
【0190】
並列部P2bは、長辺の半分と短辺の半分とを含むL字状である。並列部P2bの長さは、コイル30Bの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Bの1ターン分の経路に対する並列部P2bの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0191】
以下、並列部P1c、並列部P2c、並列部P1d、並列部P2d及び並列部P1eにおいても同様である。
【0192】
このように、図7及び図8に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(1/2)と、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/4)とが異なる。
【0193】
また、図7及び図8に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(1/2)であり、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Bの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが同じ(1/4)である。
【0194】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る積層コイル部品では、コイルの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じであり、コイルの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが異なる。本発明の第3実施形態に係る積層コイル部品には、上記の関係を満たす第1の並列部、第2の並列部、第3の並列部及び第4の並列部が少なくとも1組含まれていればよい。
【0195】
図10は、本発明の第3実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。図11は、図10に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
【0196】
図10に示す積層体10Cは、図11に示すコイル30Cを内蔵している。
【0197】
図10に示すように、積層体10Cは、図2に示す積層体10Aと同様に、複数の絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12が、積層体10Cの第1の主面から第2の主面に向かって、高さ方向Tに積層されることにより構成されている。以下、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12をまとめて絶縁層ILとも記載する。
【0198】
図10に示すように、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12には、それぞれ、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9、CC10、CC11及びCC12が設けられている。以下、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9、CC10、CC11及びCC12をまとめてコイル導体CCとも記載する。
【0199】
絶縁層ILとともに積層方向(ここでは高さ方向T)に積層された複数のコイル導体CCが電気的に接続されることにより、図11に示すコイル30Cが構成されている。
【0200】
図10及び図11に示す例では、コイル導体CC1、CC6、CC7及びCC12を除くコイル導体CCの長さは、コイル30Cの7/8ターンの長さである。一方、コイル導体CC1及びCC12の長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さであり、コイル導体CC6及びCC7の長さは、コイル30Cの3/4ターンの長さである。
【0201】
12層目L12の絶縁層IL12には、コイル導体CC12の両端にビア導体V12x及びV12yが設けられている。
【0202】
11層目L11の絶縁層IL11には、コイル導体CC11の一端にビア導体V11xが設けられ、コイル導体CC11の屈曲部にビア導体V11yが設けられている。
【0203】
10層目L10の絶縁層IL10には、コイル導体CC10の辺にビア導体V10xが設けられ、コイル導体CC10の一端にビア導体V10yが設けられている。
【0204】
9層目L9の絶縁層IL9には、コイル導体CC9の一端にビア導体V9xが設けられ、コイル導体CC9の辺にビア導体V9yが設けられている。
【0205】
8層目L8の絶縁層IL8には、コイル導体CC8の屈曲部にビア導体V8xが設けられ、コイル導体CC8の一端にビア導体V8yが設けられている。
【0206】
7層目L7の絶縁層IL7には、コイル導体CC7の一端にビア導体V7xが設けられ、コイル導体CC7の屈曲部にビア導体V7yが設けられている。
【0207】
6層目L6の絶縁層IL6には、コイル導体CC6の屈曲部にビア導体V6xが設けられ、コイル導体CC6の一端にビア導体V6yが設けられている。
【0208】
5層目L5の絶縁層IL5には、コイル導体CC5の一端にビア導体V5xが設けられ、コイル導体CC5の屈曲部にビア導体V5yが設けられている。
【0209】
4層目L4の絶縁層IL4には、コイル導体CC4の辺にビア導体V4xが設けられ、コイル導体CC4の一端にビア導体V4yが設けられている。
【0210】
3層目L3の絶縁層IL3には、コイル導体CC3の一端にビア導体V3xが設けられ、コイル導体CC3の辺にビア導体V3yが設けられている。
【0211】
2層目L2の絶縁層IL2には、コイル導体CC2の屈曲部にビア導体V2xが設けられ、コイル導体CC2の一端にビア導体V2yが設けられている。
【0212】
以下、ビア導体V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x、V6y、V7x、V7y、V8x、V8y、V9x、V9y、V10x、V10y、V11x、V11y、V12x及びV12yをまとめてビア導体Vとも記載する。
【0213】
図10に示すように構成された絶縁層ILが高さ方向Tに積層されると、ビア導体Vを介してコイル導体CCが電気的に接続される。その結果、積層体10C内においては、図11に示すように、高さ方向Tに延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイル30Cが構成される。
【0214】
図10において、12層目L12のコイル導体CC12の端部には、積層体10Cの第1の端面に露出する引き出し導体41が接続されている。引き出し導体41は、積層体10C内において、一方の外部電極とコイル導体CC12とを接続する。
【0215】
同様に、1層目L1のコイル導体CC1の端部には、積層体10Cの第2の端面に露出する引き出し導体42が接続されている。引き出し導体42は、積層体10C内において、他方の外部電極とコイル導体CC1とを接続する。
【0216】
コイル30Cには、ビア導体Vを介して電気的に並列に接続された2層のコイル導体CCから構成される並列部が含まれている。並列部は、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。なお、コイル30Cに含まれる並列部の数は特に限定されない。
【0217】
図11に示す例では、高さ方向Tの負方向から正方向に向かって、並列部P1f、並列部P2e、並列部P1e、並列部P2d、並列部P1d、並列部P2c、並列部P1c、並列部P2b、並列部P1b、並列部P2a及び並列部P1aが配置されている。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である。なお、第1の並列部は並列部P1aに限定されず、並列部P1a、P1b、P1c、P1d及びP1eのいずれかであればよい。
【0218】
並列部P1aは、12層目L12のコイル導体CC12と、11層目L11のコイル導体CC11の一部とが、ビア導体V12x及びV12yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0219】
並列部P2aは、11層目L11のコイル導体CC11の一部と、10層目L10のコイル導体CC10の一部とが、ビア導体V11x及びV11yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0220】
並列部P1bは、10層目L10のコイル導体CC10の一部と、9層目L9のコイル導体CC9の一部とが、ビア導体V10x及びV10yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0221】
並列部P2bは、9層目L9のコイル導体CC9の一部と、8層目L8のコイル導体CC8の一部とが、ビア導体V9x及びV9yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0222】
並列部P1cは、8層目L8のコイル導体CC8の一部と、7層目L7のコイル導体CC7の一部とが、ビア導体V8x及びV8yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0223】
並列部P2cは、7層目L7のコイル導体CC7の一部と、6層目L6のコイル導体CC6の一部とが、ビア導体V7x及びV7yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0224】
並列部P1dは、6層目L6のコイル導体CC6の一部と、5層目L5のコイル導体CC5の一部とが、ビア導体V6x及びV6yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0225】
並列部P2dは、5層目L5のコイル導体CC5の一部と、4層目L4のコイル導体CC4の一部とが、ビア導体V5x及びV5yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0226】
並列部P1eは、4層目L4のコイル導体CC4の一部と、3層目L3のコイル導体CC3の一部とが、ビア導体V4x及びV4yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0227】
並列部P2eは、3層目L3のコイル導体CC3の一部と、2層目L2のコイル導体CC2の一部とが、ビア導体V3x及びV3yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0228】
並列部P1fは、2層目L2のコイル導体CC2の一部と、1層目L1のコイル導体CC1とが、ビア導体V2x及びV2yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0229】
図10及び図11に示すように、第1の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0230】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、11層目L11の絶縁層IL11が第1の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1aを構成するコイル導体CC11の一部と、並列部P2aを構成するコイル導体CC11の一部とは、11層目L11の絶縁層IL11の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0231】
また、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCを積層方向(ここでは高さ方向T)から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCの少なくとも一部が重なっている。
【0232】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、第1の絶縁層に相当する11層目L11の絶縁層IL11を挟んで隣り合うコイル導体CC11及びCC10を高さ方向Tから見たとき、絶縁層IL11を挟んで並列接続されている並列部P2a以外においても、並列部P1aを構成するコイル導体CC11の一部と並列部P1bを構成するコイル導体CC10の一部とが重なっている。
【0233】
コイル30Cに含まれる並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、並列部P1bが第3の並列部である。
【0234】
図10及び図11に示すように、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0235】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、10層目L10の絶縁層IL10が第2の絶縁層に相当する。この場合、並列部P2aを構成するコイル導体CC10の一部と、並列部P1bを構成するコイル導体CC10の一部とは、10層目L10の絶縁層IL10の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0236】
コイル30Cに含まれる並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、並列部P2bが第4の並列部である。
【0237】
図10及び図11に示すように、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第4の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0238】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、9層目L9の絶縁層IL9が第3の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1bを構成するコイル導体CC9の一部と、並列部P2bを構成するコイル導体CC9の一部とは、9層目L9の絶縁層IL9の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0239】
図11に示す例では、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なる。
【0240】
以下において説明するように、コイル30Cの平面形状が長方形状である場合、平面形状が正方形状であると仮定して並列部の経路の割合が計算される。
【0241】
図12-1は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
【0242】
並列部P1aは、短辺と長辺とを含むL字状である。並列部P1aの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1aの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0243】
図12-2は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
【0244】
並列部P2aは、短辺と長辺の半分とを含むL字状である。並列部P2aの長さは、コイル30Cの3/8ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P2aの経路の割合は3/8(0.375)である。
【0245】
図12-3は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
【0246】
並列部P1bは、長辺の半分と短辺と長辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1bの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1bの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0247】
図12-4は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
【0248】
並列部P2bは、長辺の半分と短辺とを含むL字状である。並列部P2bの長さは、コイル30Cの3/8ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P2bの経路の割合は3/8(0.375)である。
【0249】
図12-5は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
【0250】
並列部P1cは、長辺と短辺とを含むL字状である。並列部P1cの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1cの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0251】
図12-6は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2cの経路を模式的に示す平面図である。
【0252】
並列部P2cは、長辺を含む直線状である。並列部P2cの長さは、コイル30Cの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P2cの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0253】
図12-7は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1dの経路を模式的に示す平面図である。
【0254】
並列部P1dは、短辺と長辺とを含むL字状である。並列部P1dの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1dの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0255】
図12-8は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2dの経路を模式的に示す平面図である。
【0256】
並列部P2dは、短辺と長辺の半分とを含むL字状である。並列部P2dの長さは、コイル30Cの3/8ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P2dの経路の割合は3/8(0.375)である。
【0257】
図12-9は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1eの経路を模式的に示す平面図である。
【0258】
並列部P1eは、長辺の半分と短辺と長辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1eの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1eの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0259】
図12-10は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P2eの経路を模式的に示す平面図である。
【0260】
並列部P2eは、長辺の半分と短辺とを含むL字状である。並列部P2eの長さは、コイル30Cの3/8ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P2eの経路の割合は3/8(0.375)である。
【0261】
図12-11は、図11に示すコイル30Cに含まれる並列部P1fの経路を模式的に示す平面図である。
【0262】
並列部P1fは、長辺と短辺とを含むL字状である。並列部P1fの長さは、コイル30Cの1/2ターンの長さである。つまり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する並列部P1fの経路の割合は1/2(0.5)である。
【0263】
このように、図10及び図11に示す例では、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(1/2)と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(3/8)とが異なる。並列部P1b、P1d又はP1eが第1の並列部である場合も同様である。
【0264】
一方、図10及び図11に示す例では、並列部P1cが第1の並列部であり、並列部P2cが第2の並列部である場合、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(1/2)と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/4)とが異なる。
【0265】
また、図10及び図11に示す例では、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(1/2)であり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが同じ(3/8)である。並列部P1dが第1の並列部であり、並列部P2dが第2の並列部であり、並列部P1eが第3の並列部であり、並列部P2eが第4の並列部である場合も同様である。
【0266】
一方、図10及び図11に示す例では、並列部P1bが第1の並列部であり、並列部P2bが第2の並列部であり、並列部P1cが第3の並列部であり、並列部P2cが第4の並列部である場合、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(1/2)であり、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Cの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが異なる(3/8及び1/4)。並列部P1cが第1の並列部であり、並列部P2cが第2の並列部であり、並列部P1dが第3の並列部であり、並列部P2dが第4の並列部である場合も同様である。
【0267】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る積層コイル部品では、コイルの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが異なり、コイルの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイルの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが異なる。本発明の第4実施形態に係る積層コイル部品には、上記の関係を満たす第1の並列部、第2の並列部、第3の並列部及び第4の並列部が少なくとも1組含まれていればよい。
【0268】
図13は、本発明の第4実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。図14は、図13に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
【0269】
図13に示す積層体10Dは、図14に示すコイル30Dを内蔵している。
【0270】
図13に示すように、積層体10Dは、図2に示す積層体10Aと同様に、複数の絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12が、積層体10Dの第1の主面から第2の主面に向かって、高さ方向Tに積層されることにより構成されている。以下、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12をまとめて絶縁層ILとも記載する。
【0271】
図13に示すように、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11及びIL12には、それぞれ、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9、CC10、CC11及びCC12が設けられている。以下、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9、CC10、CC11及びCC12をまとめてコイル導体CCとも記載する。
【0272】
絶縁層ILとともに積層方向(ここでは高さ方向T)に積層された複数のコイル導体CCが電気的に接続されることにより、図14に示すコイル30Dが構成されている。
【0273】
図13及び図14に示す例では、コイル導体CC1、CC2、CC5、CC8、CC11及びCC12を除くコイル導体CCの長さは、コイル30Dの7/8ターンの長さである。一方、コイル導体CC1及びCC12の長さは、コイル30Dの5/8ターンの長さであり、コイル導体CC2、CC5、CC8及びCC11の長さは、コイル30Dの3/4ターンの長さである。
【0274】
12層目L12の絶縁層IL12には、コイル導体CC12の両端にビア導体V12x及びV12yが設けられている。
【0275】
11層目L11の絶縁層IL11には、コイル導体CC11の一端にビア導体V11xが設けられ、コイル導体CC11の辺にビア導体V11yが設けられている。
【0276】
10層目L10の絶縁層IL10には、コイル導体CC10の屈曲部にビア導体V10xが設けられ、コイル導体CC10の一端にビア導体V10yが設けられている。
【0277】
9層目L9の絶縁層IL9には、コイル導体CC9の一端にビア導体V9xが設けられ、コイル導体CC9の屈曲部にビア導体V9yが設けられている。
【0278】
8層目L8の絶縁層IL8には、コイル導体CC8の辺にビア導体V8xが設けられ、コイル導体CC8の一端にビア導体V8yが設けられている。
【0279】
7層目L7の絶縁層IL7には、コイル導体CC7の一端にビア導体V7xが設けられ、コイル導体CC7の屈曲部にビア導体V7yが設けられている。
【0280】
6層目L6の絶縁層IL6には、コイル導体CC6の屈曲部にビア導体V6xが設けられ、コイル導体CC6の一端にビア導体V6yが設けられている。
【0281】
5層目L5の絶縁層IL5には、コイル導体CC5の一端にビア導体V5xが設けられ、コイル導体CC5の辺にビア導体V5yが設けられている。
【0282】
4層目L4の絶縁層IL4には、コイル導体CC4の屈曲部にビア導体V4xが設けられ、コイル導体CC4の一端にビア導体V4yが設けられている。
【0283】
3層目L3の絶縁層IL3には、コイル導体CC3の一端にビア導体V3xが設けられ、コイル導体CC3の屈曲部にビア導体V3yが設けられている。
【0284】
2層目L2の絶縁層IL2には、コイル導体CC2の辺にビア導体V2xが設けられ、コイル導体CC2の一端にビア導体V2yが設けられている。
【0285】
以下、ビア導体V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x、V6y、V7x、V7y、V8x、V8y、V9x、V9y、V10x、V10y、V11x、V11y、V12x及びV12yをまとめてビア導体Vとも記載する。
【0286】
図13に示すように構成された絶縁層ILが高さ方向Tに積層されると、ビア導体Vを介してコイル導体CCが電気的に接続される。その結果、積層体10D内においては、図14に示すように、高さ方向Tに延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイル30Dが構成される。
【0287】
図13において、12層目L12のコイル導体CC12の端部には、積層体10Dの第1の端面に露出する引き出し導体41が接続されている。引き出し導体41は、積層体10D内において、一方の外部電極とコイル導体CC12とを接続する。
【0288】
同様に、1層目L1のコイル導体CC1の端部には、積層体10Dの第2の端面に露出する引き出し導体42が接続されている。引き出し導体42は、積層体10D内において、他方の外部電極とコイル導体CC1とを接続する。
【0289】
コイル30Dには、ビア導体Vを介して電気的に並列に接続された2層のコイル導体CCから構成される並列部が含まれている。並列部は、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。なお、コイル30Dに含まれる並列部の数は特に限定されない。
【0290】
図14に示す例では、高さ方向Tの負方向から正方向に向かって、並列部P1f、並列部P2e、並列部P1e、並列部P2d、並列部P1d、並列部P2c、並列部P1c、並列部P2b、並列部P1b、並列部P2a及び並列部P1aが配置されている。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である。なお、第1の並列部は並列部P1aに限定されず、並列部P1a、P1b、P1c、P1d及びP1eのいずれかであればよい。
【0291】
並列部P1aは、12層目L12のコイル導体CC12と、11層目L11のコイル導体CC11の一部とが、ビア導体V12x及びV12yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0292】
並列部P2aは、11層目L11のコイル導体CC11の一部と、10層目L10のコイル導体CC10の一部とが、ビア導体V11x及びV11yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0293】
並列部P1bは、10層目L10のコイル導体CC10の一部と、9層目L9のコイル導体CC9の一部とが、ビア導体V10x及びV10yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0294】
並列部P2bは、9層目L9のコイル導体CC9の一部と、8層目L8のコイル導体CC8の一部とが、ビア導体V9x及びV9yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0295】
並列部P1cは、8層目L8のコイル導体CC8の一部と、7層目L7のコイル導体CC7の一部とが、ビア導体V8x及びV8yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0296】
並列部P2cは、7層目L7のコイル導体CC7の一部と、6層目L6のコイル導体CC6の一部とが、ビア導体V7x及びV7yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0297】
並列部P1dは、6層目L6のコイル導体CC6の一部と、5層目L5のコイル導体CC5の一部とが、ビア導体V6x及びV6yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0298】
並列部P2dは、5層目L5のコイル導体CC5の一部と、4層目L4のコイル導体CC4の一部とが、ビア導体V5x及びV5yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0299】
並列部P1eは、4層目L4のコイル導体CC4の一部と、3層目L3のコイル導体CC3の一部とが、ビア導体V4x及びV4yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0300】
並列部P2eは、3層目L3のコイル導体CC3の一部と、2層目L2のコイル導体CC2の一部とが、ビア導体V3x及びV3yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0301】
並列部P1fは、2層目L2のコイル導体CC2の一部と、1層目L1のコイル導体CC1とが、ビア導体V2x及びV2yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0302】
図13及び図14に示すように、第1の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0303】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、11層目L11の絶縁層IL11が第1の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1aを構成するコイル導体CC11の一部と、並列部P2aを構成するコイル導体CC11の一部とは、11層目L11の絶縁層IL11の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0304】
また、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCを積層方向(ここでは高さ方向T)から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCの少なくとも一部が重なっている。
【0305】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、第1の絶縁層に相当する11層目L11の絶縁層IL11を挟んで隣り合うコイル導体CC11及びCC10を高さ方向Tから見たとき、絶縁層IL11を挟んで並列接続されている並列部P2a以外においても、並列部P1aを構成するコイル導体CC11の一部と並列部P1bを構成するコイル導体CC10の一部とが重なっている。
【0306】
コイル30Dに含まれる並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、並列部P1bが第3の並列部である。
【0307】
図13及び図14に示すように、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0308】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、10層目L10の絶縁層IL10が第2の絶縁層に相当する。この場合、並列部P2aを構成するコイル導体CC10の一部と、並列部P1bを構成するコイル導体CC10の一部とは、10層目L10の絶縁層IL10の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0309】
コイル30Dに含まれる並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、並列部P2bが第4の並列部である。
【0310】
図13及び図14に示すように、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第4の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0311】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、9層目L9の絶縁層IL9が第3の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1bを構成するコイル導体CC9の一部と、並列部P2bを構成するコイル導体CC9の一部とは、9層目L9の絶縁層IL9の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0312】
図14に示す例では、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なる。
【0313】
以下において説明するように、コイル30Dの平面形状が長方形状である場合、平面形状が正方形状であると仮定して並列部の経路の割合が計算される。
【0314】
図15-1は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
【0315】
並列部P1aは、長辺と短辺と長辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1aの長さは、コイル30Dの5/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1aの経路の割合は5/8(0.625)である。
【0316】
図15-2は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
【0317】
並列部P2aは、長辺の半分を含む直線状である。並列部P2aの長さは、コイル30Dの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P2aの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0318】
図15-3は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
【0319】
並列部P1bは、短辺と長辺と短辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1bの長さは、コイル30Dの3/4ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1bの経路の割合は3/4(0.75)である。
【0320】
図15-4は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
【0321】
並列部P2bは、長辺の半分を含む直線状である。並列部P2bの長さは、コイル30Dの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P2bの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0322】
図15-5は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
【0323】
並列部P1cは、長辺の半分と短辺と長辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1cの長さは、コイル30Dの5/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1cの経路の割合は5/8(0.625)である。
【0324】
図15-6は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2cの経路を模式的に示す平面図である。
【0325】
並列部P2cは、短辺を含む直線状である。並列部P2cの長さは、コイル30Dの1/4ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P2cの経路の割合は1/4(0.25)である。
【0326】
図15-7は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1dの経路を模式的に示す平面図である。
【0327】
並列部P1dは、長辺と短辺と長辺の半分とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1dの長さは、コイル30Dの5/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1dの経路の割合は5/8(0.625)である。
【0328】
図15-8は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2dの経路を模式的に示す平面図である。
【0329】
並列部P2dは、長辺の半分を含む直線状である。並列部P2dの長さは、コイル30Dの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P2dの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0330】
図15-9は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1eの経路を模式的に示す平面図である。
【0331】
並列部P1eは、短辺と長辺と短辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1eの長さは、コイル30Dの3/4ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1eの経路の割合は3/4(0.75)である。
【0332】
図15-10は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P2eの経路を模式的に示す平面図である。
【0333】
並列部P2eは、長辺の半分を含む直線状である。並列部P2eの長さは、コイル30Dの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P2eの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0334】
図15-11は、図14に示すコイル30Dに含まれる並列部P1fの経路を模式的に示す平面図である。
【0335】
並列部P1fは、長辺の半分と短辺と長辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1fの長さは、コイル30Dの5/8ターンの長さである。つまり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する並列部P1fの経路の割合は5/8(0.625)である。
【0336】
このように、図13及び図14に示す例では、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(5/8)と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/8)とが異なる。並列部P1dが第1の並列部である場合も同様である。
【0337】
一方、図13及び図14に示す例では、並列部P1bが第1の並列部であり、並列部P2bが第2の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(3/4)と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/8)とが異なる。並列部P1eが第1の並列部である場合も同様である。
【0338】
さらに、図13及び図14に示す例では、並列部P1cが第1の並列部であり、並列部P2cが第2の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(5/8)と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/4)とが異なる。
【0339】
また、図13及び図14に示す例では、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが異なり(5/8及び3/4)、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが同じ(1/8)である。並列部P1dが第1の並列部であり、並列部P2dが第2の並列部であり、並列部P1eが第3の並列部であり、並列部P2eが第4の並列部である場合も同様である。
【0340】
一方、図13及び図14に示す例では、並列部P1bが第1の並列部であり、並列部P2bが第2の並列部であり、並列部P1cが第3の並列部であり、並列部P2cが第4の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが異なり(3/4及び5/8)、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが異なる(1/8及び1/4)。
【0341】
さらに、図13及び図14に示す例では、並列部P1cが第1の並列部であり、並列部P2cが第2の並列部であり、並列部P1dが第3の並列部であり、並列部P2dが第4の並列部である場合、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(5/8)であり、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Dの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが異なる(1/4及び1/8)。
【0342】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る積層コイル部品は、本発明の第2実施形態に係る積層コイル部品の変形例である。
【0343】
図16は、本発明の第5実施形態に係る積層コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す平面図である。図17は、図16に示す積層体に内蔵されているコイルの分解斜視図である。
【0344】
図16に示す積層体10Eは、図17に示すコイル30Eを内蔵している。
【0345】
図16に示すように、積層体10Eは、図2に示す積層体10Aと同様に、複数の絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5及びIL6が、積層体10Eの第1の主面から第2の主面に向かって、高さ方向Tに積層されることにより構成されている。以下、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5及びIL6をまとめて絶縁層ILとも記載する。
【0346】
図16に示すように、絶縁層IL1、IL2、IL3、IL4、IL5及びIL6には、それぞれ、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5及びCC6が設けられている。以下、コイル導体CC1、CC2、CC3、CC4、CC5及びCC6をまとめてコイル導体CCとも記載する。
【0347】
絶縁層ILとともに積層方向(ここでは高さ方向T)に積層された複数のコイル導体CCが電気的に接続されることにより、図17に示すコイル30Eが構成されている。
【0348】
図16及び図17に示す例では、コイル導体CC1及びCC6を除くコイル導体CCの長さは、コイル30Eの7/8ターンの長さである。一方、コイル導体CC1及びCC6の長さは、コイル30Eの3/4ターンの長さである。
【0349】
6層目L6の絶縁層IL6には、コイル導体CC6の両端にビア導体V6x及びV6yが設けられている。
【0350】
5層目L5の絶縁層IL5には、コイル導体CC5の一端にビア導体V5xが設けられ、コイル導体CC5の屈曲部にビア導体V5yが設けられている。
【0351】
4層目L4の絶縁層IL4には、コイル導体CC4の辺にビア導体V4xが設けられ、コイル導体CC4の一端にビア導体V4yが設けられている。
【0352】
3層目L3の絶縁層IL3には、コイル導体CC3の一端にビア導体V3xが設けられ、コイル導体CC3の辺にビア導体V3yが設けられている。
【0353】
2層目L2の絶縁層IL2には、コイル導体CC2の屈曲部にビア導体V2xが設けられ、コイル導体CC2の一端にビア導体V2yが設けられている。
【0354】
以下、ビア導体V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x及びV6yをまとめてビア導体Vとも記載する。
【0355】
図16に示すように構成された絶縁層ILが高さ方向Tに積層されると、ビア導体Vを介してコイル導体CCが電気的に接続される。その結果、積層体10E内においては、図17に示すように、高さ方向Tに延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイル30Eが構成される。
【0356】
図16において、6層目L6のコイル導体CC6の端部には、積層体10Eの第1の端面に露出する引き出し導体41が接続されている。引き出し導体41は、積層体10E内において、一方の外部電極とコイル導体CC6とを接続する。
【0357】
同様に、1層目L1のコイル導体CC1の端部には、積層体10Eの第2の端面に露出する引き出し導体42が接続されている。引き出し導体42は、積層体10E内において、他方の外部電極とコイル導体CC1とを接続する。
【0358】
コイル30Eには、ビア導体Vを介して電気的に並列に接続された2層のコイル導体CCから構成される並列部が含まれている。並列部は、第1の並列部と、第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含む。なお、コイル30Eに含まれる並列部の数は特に限定されない。
【0359】
図17に示す例では、高さ方向Tの負方向から正方向に向かって、並列部P1c、並列部P2b、並列部P1b、並列部P2a及び並列部P1aが配置されている。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である。なお、第1の並列部は並列部P1aに限定されず、並列部P1a及びP1bのいずれかであればよい。
【0360】
並列部P1aは、6層目L6のコイル導体CC6と、5層目L5のコイル導体CC5の一部とが、ビア導体V6x及びV6yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0361】
並列部P2aは、5層目L5のコイル導体CC5の一部と、4層目L4のコイル導体CC4の一部とが、ビア導体V5x及びV5yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0362】
並列部P1bは、4層目L4のコイル導体CC4の一部と、3層目L3のコイル導体CC3の一部とが、ビア導体V4x及びV4yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0363】
並列部P2bは、3層目L3のコイル導体CC3の一部と、2層目L2のコイル導体CC2の一部とが、ビア導体V3x及びV3yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0364】
並列部P1cは、2層目L2のコイル導体CC2の一部と、1層目L1のコイル導体CC1とが、ビア導体V2x及びV2yを介して電気的に並列に接続されることにより構成される。
【0365】
図16及び図17に示すように、第1の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0366】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、5層目L5の絶縁層IL5が第1の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1aを構成するコイル導体CC5の一部と、並列部P2aを構成するコイル導体CC5の一部とは、5層目L5の絶縁層IL5の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0367】
また、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCを積層方向(ここでは高さ方向T)から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体CCの少なくとも一部が重なっている。
【0368】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、第1の絶縁層に相当する5層目L5の絶縁層IL5を挟んで隣り合うコイル導体CC5及びCC4を高さ方向Tから見たとき、絶縁層IL5を挟んで並列接続されている並列部P2a以外においても、並列部P1aを構成するコイル導体CC5の一部と並列部P1bを構成するコイル導体CC4の一部とが重なっている。
【0369】
コイル30Eに含まれる並列部は、第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、並列部P1bが第3の並列部である。
【0370】
図16及び図17に示すように、第2の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0371】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、4層目L4の絶縁層IL4が第2の絶縁層に相当する。この場合、並列部P2aを構成するコイル導体CC4の一部と、並列部P1bを構成するコイル導体CC4の一部とは、4層目L4の絶縁層IL4の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0372】
コイル30Eに含まれる並列部は、第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含んでもよい。例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部である場合、並列部P2bが第4の並列部である。
【0373】
図16及び図17に示すように、第3の並列部を構成するコイル導体CCの一部と、第4の並列部を構成するコイル導体CCの一部とは、同一の絶縁層ILである第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されていることが好ましい。
【0374】
例えば、並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、3層目L3の絶縁層IL3が第3の絶縁層に相当する。この場合、並列部P1bを構成するコイル導体CC3の一部と、並列部P2bを構成するコイル導体CC3の一部とは、3層目L3の絶縁層IL3の同一面上に直接接続するように配置されている。
【0375】
図17に示す例では、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合とが異なる。
【0376】
以下において説明するように、コイル30Eの平面形状が長方形状である場合、平面形状が正方形状であると仮定して並列部の経路の割合が計算される。
【0377】
図18-1は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1aの経路を模式的に示す平面図である。
【0378】
並列部P1aは、短辺と長辺と短辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1aの長さは、コイル30Eの3/4ターンの長さである。つまり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する並列部P1aの経路の割合は3/4(0.75)である。
【0379】
図18-2は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P2aの経路を模式的に示す平面図である。
【0380】
並列部P2aは、長辺の半分を含む直線状である。並列部P2aの長さは、コイル30Eの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する並列部P2aの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0381】
図18-3は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1bの経路を模式的に示す平面図である。
【0382】
並列部P1bは、長辺の半分と短辺と長辺と短辺の半分とを含む形状である。並列部P1bの長さは、コイル30Eの3/4ターンの長さである。つまり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する並列部P1bの経路の割合は3/4(0.75)である。
【0383】
図18-4は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P2bの経路を模式的に示す平面図である。
【0384】
並列部P2bは、短辺の半分を含む直線状である。並列部P2bの長さは、コイル30Eの1/8ターンの長さである。つまり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する並列部P2bの経路の割合は1/8(0.125)である。
【0385】
図18-5は、図17に示すコイル30Eに含まれる並列部P1cの経路を模式的に示す平面図である。
【0386】
並列部P1cは、長辺と短辺と長辺とを含む角U字状(コの字状)である。並列部P1cの長さは、コイル30Eの3/4ターンの長さである。つまり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する並列部P1cの経路の割合は3/4(0.75)である。
【0387】
このように、図16及び図17に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部である場合、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合(3/4)と、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合(1/8)とが異なる。
【0388】
また、図16及び図17に示す例では、例えば並列部P1aが第1の並列部であり、並列部P2aが第2の並列部であり、並列部P1bが第3の並列部であり、並列部P2bが第4の並列部である場合、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第1の並列部の経路の割合と、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第3の並列部の経路の割合とが同じ(3/4)であり、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第2の並列部の経路の割合と、コイル30Eの1ターン分の経路に対する第4の並列部の経路の割合とが同じ(1/8)である。
【0389】
[その他の実施形態]
本発明の積層コイル部品は、第1の並列部を構成するコイル導体の一部と第2の並列部を構成するコイル導体の一部とが同一の絶縁層である第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されるとともに、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体を積層方向から見たとき、第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、第1の絶縁層を挟んで隣り合うコイル導体の少なくとも一部が重なっている限り、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、積層コイル部品の構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0390】
図19は、本発明のその他の実施形態に係る積層コイル部品を構成するコイルの一例を模式的に示す展開図である。
【0391】
図19に示すように、第1の並列部P1及び第2の並列部P2が各々3層のコイル導体から構成されている場合において、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とが同一の絶縁層(図示せず)の上に配置されていると、積層方向において連続して重なるビア導体Vの最大数は3である。
【0392】
図20は、従来の積層コイル部品を構成するコイルの別の一例を模式的に示す展開図である。
【0393】
図20に示すように、第1の並列部P1及び第2の並列部P2が各々3層のコイル導体から構成されている場合において、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とが同一の絶縁層(図示せず)の上に配置されていないと、積層方向において連続して重なるビア導体Vの最大数は5である。
【0394】
図19及び図20の比較より、第1の並列部P1を構成するコイル導体CCの一部と、第2の並列部P2を構成するコイル導体CCの一部とを同一の絶縁層の上に配置することにより、積層方向に重なるビア導体Vの数を少なくすることができる。
【0395】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0396】
<1>
複数の絶縁層が積層方向に積層され、内部にコイルを内蔵する積層体と、
上記積層体の外表面に設けられ、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、
上記コイルは、上記絶縁層とともに上記積層方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されることにより構成され、
上記コイルには、ビア導体を介して電気的に並列に接続された2層以上の上記コイル導体から構成される並列部が含まれ、
上記並列部は、第1の並列部と、上記第1の並列部に電気的に直列に接続された第2の並列部とを含み、
上記第1の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第1の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
上記第1の絶縁層を挟んで隣り合う上記コイル導体を上記積層方向から見たとき、上記第1の絶縁層を挟んで並列接続されている並列部以外においても、上記第1の絶縁層を挟んで隣り合う上記コイル導体の少なくとも一部が重なっている、積層コイル部品。
【0397】
<2>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合とが異なる、<1>に記載の積層コイル部品。
【0398】
<3>
上記並列部は、上記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第3の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている、<1>又は<2>に記載の積層コイル部品。
【0399】
<4>
上記並列部は、上記第3の並列部に電気的に直列に接続された第4の並列部をさらに含み、
上記第3の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第4の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第3の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置されている、<3>に記載の積層コイル部品。
【0400】
<5>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合とが異なり、
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第3の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第4の並列部の経路の割合とが異なる、<4>に記載の積層コイル部品。
【0401】
<6>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第3の並列部の経路の割合とが同じであり、
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第4の並列部の経路の割合とが同じである、<5>に記載の積層コイル部品。
【0402】
<7>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第3の並列部の経路の割合とが同じであり、
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第4の並列部の経路の割合とが異なる、<5>に記載の積層コイル部品。
【0403】
<8>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第3の並列部の経路の割合とが異なり、
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合と、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第4の並列部の経路の割合とが異なる、<5>に記載の積層コイル部品。
【0404】
<9>
上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第1の並列部の経路の割合が0.4以上、0.8以下であり、上記コイルの1ターン分の経路に対する上記第2の並列部の経路の割合が0.1以上、0.4未満である、<2>、<5>、<6>、<7>又は<8>に記載の積層コイル部品。
【0405】
<10>
少なくとも1つの上記ビア導体が上記コイル導体の屈曲部以外の辺に接続されている、<1>~<9>のいずれか1つに記載の積層コイル部品。
【0406】
<11>
上記第1の並列部及び上記第2の並列部を含む上記並列部は、各々、2層の上記コイル導体から構成される、<1>~<10>のいずれか1つに記載の積層コイル部品。
【0407】
<12>
上記積層方向において連続して重なる上記ビア導体の最大数は2である、<1>~<11>のいずれか1つに記載の積層コイル部品。
【0408】
<13>
上記第1の絶縁層の上にない上記第1の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第1の絶縁層の上にない上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、それぞれ別の上記絶縁層の上に配置されている、<1>~<12>のいずれか1つに記載の積層コイル部品。
【0409】
<14>
上記並列部は、上記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第3の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
上記第2の絶縁層の上にない上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第2の絶縁層の上にない上記第3の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、それぞれ別の上記絶縁層の上に配置されている、<13>に記載の積層コイル部品。
【0410】
<15>
上記第1の並列部と上記第2の並列部とは、上記積層方向から見たとき、重なっていない、<1>~<14>のいずれか1つに記載の積層コイル部品。
【0411】
<16>
上記並列部は、上記第2の並列部に電気的に直列に接続された第3の並列部をさらに含み、
上記第2の並列部を構成する上記コイル導体の一部と、上記第3の並列部を構成する上記コイル導体の一部とは、同一の上記絶縁層である第2の絶縁層の同一面上に直接接続するように配置され、
上記第2の並列部と上記第3の並列部とは、上記積層方向から見たとき、重なっていない、<15>に記載の積層コイル部品。
【実施例0412】
以下、本発明の積層コイル部品をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0413】
実施例の試料として、図7に示す構造を有する積層コイル部品を作製した。
【0414】
比較例の試料として、図6に示す構造を有する積層コイル部品を作製した。
【0415】
実施例及び比較例の試料を各々100個、幅方向W及び高さ方向Tに沿った面(WT面)が露出するように垂直になるように立てて、試料の周りを樹脂で固めた。その後、研磨機を用いて、試料の長さ方向Lの略中央部まで研磨を行った。研磨により得られた断面をデジタルマイクロスコープで観察することにより、クラックの発生の有無を確認した。
【0416】
素体表面(サイドギャップ方向)に向かって進展するクラックが確認された個数は、比較例の試料では100個/100個であったのに対して、実施例の試料では0個/100個であった。
【符号の説明】
【0417】
1A 積層コイル部品
10A、10B、10C、10D、10E 積層体
11 第1の端面
12 第2の端面
13 第1の主面
14 第2の主面
15 第1の側面
16 第2の側面
21、22 外部電極
30A、30B、30C、30D、30E コイル
41、42 引き出し導体
CC、CC1、CC2、CC3、CC4、CC5、CC6、CC7、CC8、CC9、CC10、CC11、CC12 コイル導体
IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12 絶縁層
V、V2x、V2y、V3x、V3y、V4x、V4y、V5x、V5y、V6x、V6y、V7x、V7y、V8x、V8y、V9x、V9y、V10x、V10y、V11x、V11y、V12x、V12y ビア導体
P1 第1の並列部
P2 第2の並列部
P1a、P1b、P1c、P1d、P1e、P1f、P2a、P2b、P2c、P2d、P2e 並列部
L 長さ方向
T 高さ方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図12-4】
図12-5】
図12-6】
図12-7】
図12-8】
図12-9】
図12-10】
図12-11】
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図15-4】
図15-5】
図15-6】
図15-7】
図15-8】
図15-9】
図15-10】
図15-11】
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図18-3】
図18-4】
図18-5】
図19
図20