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特開2024-4388小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法
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  • 特開-小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法 図1
  • 特開-小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法 図2
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  • 特開-小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法 図5
  • 特開-小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004388
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/40 20060101AFI20240109BHJP
   B65H 54/42 20060101ALI20240109BHJP
   B65H 49/24 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H75/40 A
B65H54/42
B65H49/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104033
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】505272618
【氏名又は名称】株式会社タワーライン・ソリューション
(71)【出願人】
【識別番号】304058712
【氏名又は名称】東亜プルサーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康暢
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄大
(72)【発明者】
【氏名】桑原 裕二
【テーマコード(参考)】
3F068
3F109
【Fターム(参考)】
3F068AA12
3F068AA14
3F068BA08
3F068CA06
3F068CA10
3F068DA02
3F068EA02
3F068FA06
3F068GA08
3F068HA03
3F068JA05
3F068JB02
3F109BA04
3F109CA04
3F109CA09
3F109CB06
(57)【要約】
【課題】装置自体を小型化でき、運搬が容易で、作業性のよい小型ワイヤ巻取装置を提供する。
【解決手段】扁平なベース1の上に平行する2つのアンダーローラ2を設け、当該アンダーローラ2は回転駆動源により回転するアンダーローラ式のワイヤ巻取機において、ベース1上に設けた支持フレーム4の上部にアンダーローラ2と平行な往復ネジ軸5が設けられ、この往復ネジ軸5の両端にその一端を夫々回転自在に軸支されたトラバーサアーム6が設けられ、各トラバーサアーム6の先端部に抑えローラ8が回転自在に設けられ、各抑えローラ8の回転を往復ネジ軸5に伝える回転伝達手段が設けられ、抑えローラ8が常時巻取リールBの鍔を押さえるよう付勢するバネ材20が設けられ、当該往復ネジ軸5に、当該往復ネジ軸5に沿って移動するトラバーサガイドローラ12が設けられた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平なベースの上に間隔を開けて平行する2つのアンダーローラを設け、当該アンダーローラは回転駆動源により回転駆動するアンダーローラ式のワイヤ巻取機において、
前記アンダーローラの一方の外側のベース上に、前記アンダーローラと平行な往復ネジ軸が回転自在に設けられ、
この往復ネジ軸の両端にその一端を夫々回転自在に軸支されたトラバーサアームが設けられ、
これらの各トラバーサアームの先端部に、前記アンダーローラの上に載せた巻取リールの両側の各鍔を押さえる抑えローラが回転自在に設けられ、これらの各抑えローラの回転を前記往復ネジ軸に伝える回転伝達手段が設けられ、
前記抑えローラが常時巻取リールの鍔を押さえるよう付勢するバネ材が設けられ、
当該往復ネジ軸には、当該往復ネジ軸の回転によって当該往復ネジ軸に沿って移動するトラバーサガイドローラが設けられたことを特徴とする、小型ワイヤ巻取装置。
【請求項2】
前記往復ネジ軸が前記ベースの上に立設した支持フレームの上部に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置。
【請求項3】
前記回転伝達手段がトラバーサアームに沿って設けたベルトであり、当該ベルトは抑えローラの抑えローラ軸に設けたプーリに一端を、他端を前記往復ネジ軸に設けたプーリに夫々掛けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の小型ワイヤ巻取装置。
【請求項4】
前記バネ材はその一端を前記トラバーサアームの上部に固定し、前記往復ネジ軸より下方を通して他端を前記ベース又は前記支持フレームに固定したことを特徴とする、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置。
【請求項5】
上記アンダーローラを回転駆動源から回転フリーに変換する手段を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置。
【請求項6】
上記請求項1の装置を用いてワイヤを巻き取ることを特徴とするワイヤの巻取工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、市街地等の狭隘地での電線架線・張替工事現場等において架線ウインチの後方等に設置して、ワイヤを巻き取る小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市街地を通過する架空送電線の鉄塔敷地は、フェンス等で囲まれており工事用地としての作業面積が狭いため、架線用資機材の配置に制約があり、苦労している。
【0003】
現状は、架線ウインチ後方に従来のリールワインダ等のワイヤ自動巻取り装置の設置スペースがないため、ワイヤロープの巻取り作業を作業員が目的外のリールを使用して手巻き作業をしている。このため、鉄塔等の高所作業と地上作業とで上下作業となり落下物等の危険がある。また、リール巻取作業は、ワイヤがリールに巻き付くと重くなり、作業員二人以上での作業となり重労働である。更に代用している目的外使用のリールは、リール交換できず、別の場所でワイヤの解き線をしなければならず、時間と労力を要する。
【0004】
そこで、狭隘地の作業スペースを考慮し、従来使用しているワイヤ自動巻取装置の搬入を容易にすべく分割可搬型で、リール交換が一人で可能な小型化を図り、高所作業との上下作業による作業員の危険回避への安全策だけでなく、ワイヤを巻き取る作業等の効率化、自動化も合わせて検討することが喫緊の課題であった。
【0005】
前記自動巻取装置は、巻取リール又はドラムにシャフトを通し、当該シャフトの両端を支持フレームで支持して、前記巻取リール又はドラムを地面から浮かせ、当該巻取リール又はドラムを動力で回転させてワイヤを巻き取るものである。
【0006】
この様な巻取り装置は、巻取リール又はドラムを装置に取り付けたり、装置から取り外すのに手間がかかる。そこで、作業の効率化を目的として開発された一例として特許文献1がある。
【0007】
特許文献1のものは、アンダーロール式巻取機であり、両側にドラム鍔を有し、該ドラム鍔間にある胴部にケーブル等の線条体を巻き取る巻取ドラムと、該巻取ドラムを支持できるように間隔を開けて軸方向に平行に設けられ、前記両側のドラム鍔を下方から支持しつつ前記巻取ドラムを回転させる一対のアンダーロールと、前記巻取ドラムの上方に回転自在に設けられ、前記ドラム鍔を弾性的に抑えつつ前記巻取ドラムの回転に伴って回転する弾力性のある回転体と、該回転体を上下動自在に設け、該回転体を下げたとき前記ドラム鍔の上部に当接させて前記巻取ドラムを前記アンダーロール側に押圧するドラム押圧手段と、を備えたアンダーロール式巻取機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6―42863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1のものは、アンダーロール式の巻取機として、巻取ドラムの脱着を容易にし、かつ、巻取ドラムがアンダーロールから外れないように弾力性のある回転体で巻取ドラムの鍔を抑えている。しかしながら、弾力のある回転体で巻取ドラムを押さえる際の圧力調整が必要となり、その調整に手間がかかる。また、巻取ドラムの上から弾力性のある回転体で巻取ドラムを押さえ、さらに当該回転体をフレームの上から吊るす構造のため、装置が大きくなってしまう恐れがあるものである。
【0010】
そこで、この発明は上述の課題を解決するとともに、装置自体を小型化でき、運搬が容易で、作業の自動化も可能な小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、扁平なベースの上に間隔を開けて平行する2つのアンダーローラを設け、当該アンダーローラは回転駆動源により回転駆動するアンダーローラ式のワイヤ巻取機において、前記アンダーローラの一方の外側のベース上に、前記アンダーローラと平行な往復ネジ軸が回転自在に設けられ、この往復ネジ軸の両端にその一端を夫々回転自在に軸支されたトラバーサアームが設けられ、これらの各トラバーサアームの先端部に、前記アンダーローラの上に載せた巻取リールの両側の各鍔を押さえる抑えローラが回転自在に設けられ、これらの各抑えローラの回転を前記往復ネジ軸に伝える回転伝達手段が設けられ、前記抑えローラが常時巻取リールの鍔を押さえるよう付勢するバネ材が設けられ、当該往復ネジ軸には、当該往復ネジ軸の回転によって当該往復ネジ軸に沿って移動するトラバーサガイドローラが設けられた、小型ワイヤ巻取装置とした。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記往復ネジ軸が前記ベースの上に立設した支持フレームの上部に設けられた、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置とした。
【0013】
請求項3の発明は、前記回転伝達手段がトラバーサアームに沿って設けたベルトであり、当該ベルトは抑えローラの抑えローラ軸に設けたプーリに一端を、他端を前記往復ネジ軸に設けたプーリに掛けた、請求項1又は2に記載の小型ワイヤ巻取装置とした。
【0014】
また、請求項4の発明は、前記バネ材はその一端を前記トラバーサアームの上部に固定し、前記往復ネジ軸より下方を通して他端を前記ベース又は前記支持フレームに固定した、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置とした。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記アンダーローラを回転駆動源から回転フリーに変換する手段を設けた、請求項1に記載の小型ワイヤ巻取装置とした。
【0016】
また、請求項6の発明は、上記請求項1の装置を用いてワイヤを巻き取る巻取工法とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び6の各発明によれば、ワイヤ巻取装置を従来のものより小型化でき、運搬が容易である。また、巻取リール又はドラムの装置への装着が、アンダーローラに載せ、トラバーサアームを倒せば、抑えローラがバネ材の力で前記巻取リール又はドラムの鍔を押さえて装着が完了し、また、トラバーサアームをバネ材の力に抗して起こせば、巻取リール又はドラムを2つのアンダーローラから容易に外すことができ、脱着作業が容易である。また、このように、装置本体に対して巻取リール又はドラムが着脱容易であるため、これらの搬入、運搬の際は夫々別体なものとなり小型化し、取り扱が容易となる。それ故、1人の作業員でもリール交換が可能である。また、巻き取り作業中は巻取リール又はドラムが前記バネ材の力によりトラバースアームに押さえられて、むやみに外れることがない。
【0018】
また、前記トラバースアームの抑えローラは巻取リール又はドラムの鍔を押さえているため、巻取リール又はドラムがワイヤの巻き取りにより回転すると、この回転が回転伝達手段により往復ネジ軸に伝わり、トラバーサガイドローラが往復ネジ軸上を移動するため、巻き取るワイヤを整列させて巻取リール又はドラムに巻き取ることができる。この様にこの装置を用いれば、狭隘地での工事現場において、ウインチから送り出されるワイヤの巻取り作業が自動で行え、作業員の労力を軽減でき、省力化できる。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、往復ネジ軸及びこれに軸支されたトラバーサアームの基端部が支持フレームの上部に設けられているので、トラバーサアームの長さを短くできると共にベースの長さも短くでき、装置の小型化に寄与する。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、前記回転伝達手段がトラバーサアームに沿って設けたベルトであり、当該ベルトは抑えローラの抑えローラ軸に設けたプーリに一端を、他端を前記往復ネジ軸に設けたプーリに掛けているため、抑えローラの回転がベルトを介して往復ネジ軸に確実に伝達され、また、ベルトはトラバーサアームに沿って設けられている作業の邪魔になったりしない。また、前記ベルトの両端が抑えローラ軸のプーリと往復ネジ軸のプーリに巻き回されているため、これらのプーリの径比を調整すれば、ワイヤの巻取速度に合わせてトラバーサを動かすことができる。
【0021】
また、請求項4の発明によれば、前記バネ材により常時前記抑えローラが巻取リール又はドラムの鍔を押圧する構成となっているため、アンダーローラに載った巻取リール又はドラムはワイヤ巻き取り作業の際、外れる恐れがない。さらに、巻取リール又はドラムを装置から外した際、バネ材の力に抗してトラバースアームを外側に倒すとバネ材が反転してこの状態が維持され、トラバースアームがむやみにアンダーローラ側に倒れ込んだりしない。
【0022】
また、請求項5の発明によれば、アンダーローラを回転駆動源から回転フリーに変換する手段を設けているため、当該装置を電線張替工事現場で電線の繰り出し側に設置し、ワイヤを巻き付けたリールを装着し、延線車を介して前記ワイヤを当該装置から繰り出すことができる。即ち、当該装置はワイヤの繰り出しにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置の正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置の平面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置の拡大左側面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置のトラバーサガイドローラの正面断面図ある。
図5】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置のトラバーサガイドローラの左側面断面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置のトラバーサガイドローラの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の小型ワイヤ巻取装置及び当該装置を用いた巻取工法を図1図6に基づいて説明する。
【0025】
この小型ワイヤ巻取装置Aは、送電線工事現場等に地面に置く、略四角形の扁平なフレームから成るベース1が設けられている。当該ベース1上の左右に、略水平で平行な2つのアンダーローラ2、2が夫々設けられている。これらのアンダーローラ2、2はこれらの回転軸の一端相互を駆動ベルト3で連結して回転が伝達され、これら2つのアンダーローラ2、2に巻取リールBの鍔を載せた際、2つのアンダーローラ2、2の回転により巻取リールBを回転させる構成となっている。
【0026】
これらのアンダーローラ2、2の内の一方のアンダーローラ2の外側のベース1の前部、後部に前板及び後板を有する箱形の支持フレーム4が立設されており、この支持フレーム4の上部に設けた軸受け4a、4aに両端を回転自在に支持された往復ネジ軸5が設けられている。
【0027】
この往復ネジ軸5の前後端に夫々、一端が回転自在に支持されたトラバーサアーム6、6が設けられ、各トラバーサアーム6の先端部で抑えローラ軸7が回転自在に支持され、当該抑えローラ軸7の内側端部に抑えローラ8が、当該抑えローラ軸7と一体に回転するように軸支されている。これらの2個の抑えローラ8、8は、前記アンダーローラ2、2に載せた巻取リールBの両側の鍔に夫々押圧できるように構成されている。
【0028】
また、前記往復ネジ軸5の、前記各トラバーサアーム6が回転自在に支持された外側には夫々大径プーリ9が一体に設けられ、また、前記抑えローラ軸7の外側端部には小径プーリ10が夫々一体に設けられ、これらの大径プーリ9と小径プーリ10とがタイミングベルト11で連結され、前記抑えローラ8の回転がタイミングベルルト11を介して前記往復ネジ軸5に伝達され、回転する。
【0029】
また、前記往復ネジ軸5にはトラバーサガイドローラ12が被冠されている。このトラバーサガイドローラ12は、横穴内周に雌ネジ13aが設けられた下部基体13とその下部基体13の上面に立設した上部フレーム14から成り、下部基体13の横穴に前記往復ネジ軸5が挿入されて、前記雌ネジ13aが前記往復ネジ軸5の外周ネジに螺着されている。
【0030】
また、前記上部フレーム14には上下に離れた横ローラ15及び左右に離れた前縦ローラ16から成る四面ローラが設けられ、さらに、前記横ローラ15の後方に、前記下部基体13の上面から立設した、左右に離れた後縦ローラ17が設けられている。これらの左右の前縦ローラ16、上下の横ローラ15及び左右の後縦ローラ17で囲まれた中をワイヤが通過する。
【0031】
また、前記上部フレーム14は上下に2分割されて各端部の耳突片14aでネジ14bにより締め付け固定され、ネジ14bを緩めて上部フレーム14の上部を回転させて開き、前記ワイヤを各ローラの間に通した後上部フレーム14を閉じて前記ネジ14bで締め付け固定する。これらのネジ14bの一方は蝶ネジとなっている。
【0032】
また、前記下部基体13の下面の前後(ただし、図4では左右)にガイドローラ18、18が垂下し、当該ガイドローラ18、18が前記往復ネジ軸5の下方に当該往復ネジ軸5と平行に設けられたガイドバー19の前後を当接回転自在に挟持する構成となっている。また、前記ガイドバー19は前記支持フレーム4の上面にその両端が支持されている。
【0033】
これにより、前記往復ネジ軸5が回転するとトラバーサガイドローラ12は下部基体13がガイドバー19に回転を阻止され、前記往復ネジ軸5に沿って前後方向に移動する。
【0034】
また、前記各トラバーサアーム6の上部から水平に突出する突出アーム6aに一端を固定し、他端を、前記往復ネジ軸5の下方の支持フレーム4から水平に突出した突出アーム4bに固定したバネ材20が設けられている。当該バネ材20は前記トラバーサアーム6を前記往復ネジ軸5を中心に下方に回転するよう付勢しており、前記アンダーローラ2、2に巻取リールBを載せて巻取リールBを回転させる際、巻取リールBの鍔を抑えローラ8が押圧するように構成されている。
【0035】
そして、当該装置から前記巻取リールBを取り外す際は、各トラバーサアーム6を当該バネ材20の力に抗して図1において往復ネジ軸5を中心に反時計方向に回転させて、2点鎖線で示す位置までトラバーサアーム6を倒すと、バネ材20が前記往復ネジ軸5を通過して反対側に位置して、バネ材20の付勢力でトラバーサアーム6はその状態を維持する。
【0036】
また、前記一方のアンダーローラ2の外側で、前記支持フレーム4内のベース1上に電動モータ21が設けられている。この電動モータ21の回転軸にはスリップクラッチ22が設けられ、当該スリップクラッチ22に設けた歯車22aと、前記一方のアンダーローラ2の回転軸の外周に設けた歯車2aとを駆動チェーン23が連結している。また、前記ベース1の正面に操作ボックス24が設けられている。
【0037】
この小型ワイヤ巻取装置Aは以上の構成であり、当該小型ワイヤ巻取装置Aを用いてワイヤを巻き取るには、まず、各トラバーサアーム6を図1の一点鎖線に示す状態に倒し、この状態で巻取リールBを、その鍔を2つのアンダーローラ2、2の上に載せて装置に装着する。
【0038】
そして、前記各トラバーサアーム6をバネ材20の力に抗して、前記往復ネジ軸5を中心に時計方向に回転させて、図1の実線で示すように、各先端の押さえローラ8を巻取リールBの両側の各鍔に当接させる。この状態ではバネ材20が往復ネジ軸5の下方に位置し、各トラバーサアーム6の先端の押さえローラ8を巻取リールBの各鍔に押圧するよう付勢する。
【0039】
そして、この状態で操作ボックス24により前記電動モータ21を回転させ、駆動チェーン23を介して各アンダーローラ2に回転が伝わり、アンダーローラ2、2上の巻取リールBが回転しワイヤを巻き取る。
【0040】
そして、巻取リールBの回転により、各トラバーサアーム6の先端の抑えローラ8が回転し、この回転が小径プーリ10、タイミングベルト11、大径プーリ9を介して往復ネジ軸5に伝達され.往復ネジ軸5の回転によりトラバーサガイドローラ12が往復ネジ軸5に沿って移動し、これに伴って当該トラバーサガイドローラ12を通ったワイヤが巻取リールBの胴部の一端から他端、他端から一端に順に並んで巻かれていく。
【0041】
また、このようにして、巻取リールBにワイヤが巻き終わると、前記操作ボックス24により前記電動モータ21の回転を止め、ワイヤの端部を巻取リールBに固定し、各トラバーサアーム6を、バネ材20の力に抗して持ち上げ、前記往復ネジ軸5を中心に、図1の反時計方向に回転させて、2点鎖線の位置まで倒す。これにより、バネ材20の力で各トラバーサアーム6はこの状態を維持し、巻取リールBの上方は開放される。
【0042】
そこで、巻取リールBを当該小型ワイヤ巻取装置Aから外し、ワイヤの巻かれていない巻取リールBを当該小型ワイヤ巻取装置Aに装着する。そして、ワイヤの巻取り作業を再開する。
【0043】
このようにして、当該小型ワイヤ巻取装置Aを用いてワイヤの巻取作業を自動的にすることが出来、作業員の労力が軽減される。
【0044】
また、当該小型ワイヤ巻取装置Aは上述のように、電動モータ21にスリップクラッチ22及び駆動チェーン23を介してアンダーローラ2に回転が伝達されるが、スリップクラッチ22のクラッチを開放すれば、電動モータ21からアンダーローラ2がフリーとなる。それ故、当該小型ワイヤ巻取装置Aを電線延線側に設置し、ワイターが巻き付けられた巻取リールBを装着して、当該ワイヤの先端を延線車に接続して当該小型ワイヤ巻取装置Aからワイヤを繰り出すことができる。
【0045】
なお、上記実施の形態例1ではトラバーサアーム6は支持フレーム4の上部に軸受け4aを介して設けた往復ネジ軸5にその基端部を軸支しているが、これに限らず、ベース1上に往復ネジ軸5を軸支し、この往復ネジ軸5にトラバーサアーム6の基端部を回転自在に軸支することもできる。その場合、トラバーサアーム6の長さ及びベース1の長さを長くしなければならない。また、バネ材20の下端をベース1に固定する。
【0046】
また、前記タイミングベルト11等の回転伝達手段やトラバーサガイドローラ12の構成等はこの実施の形態例1のものに限らず、他の適宜のものでよい。また、この実施の形態例1では、アンダーローラ2の回転駆動源を電動モータ21としたが、当該電動モータ21の電源は商用電源でも、バッテリー、ポータブル発電機、EV車の電源等、種々の電源を用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
A 小型ワイヤ巻取装置 B 巻取リール

1 ベース 2 アンダーローラ
2a 歯車 3 駆動ベルト
4 支持フレーム 4a 軸受け
4b 突出アーム 5 往復ネジ軸
6 トラバーサアーム 6a 突出アーム
7 抑えローラ軸 8 抑えローラ
9 大径プーリ 10 小径プーリ
11 タイミングベルト 12 トラバーサガイドローラ
13 下部基体 13a 雌ネジ
14 上部フレーム 14a 耳突片
14b ネジ 15 横ローラ
16 前縦ローラ 17 後縦ローラ
18 ガイドローラ 19 ガイドバー
20 バネ材 21 電動モータ
22 スリップクラッチ 23 駆動チェーン
24 操作ボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6