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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043889
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】凝縮水処理装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 17/00 20060101AFI20240326BHJP
   F02M 26/23 20160101ALI20240326BHJP
   F02M 26/35 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
F28F17/00 501Z
F02M26/23
F02M26/35 C
F02M26/35 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149119
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 克樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 琢也
(72)【発明者】
【氏名】戸市 進之介
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062ED08
3G062ED09
3G062ED10
(57)【要約】
【課題】触媒及び熱交換器が設けられたガスの流路において、熱交換器で生じた凝縮水が触媒に流入することを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】車両に搭載される凝縮水処理装置は、流路部材と、触媒と、熱交換器と、を備える。流路部材は、ガスの流路を形成する。触媒は、流路に設けられる。熱交換器は、流路における触媒よりも下流側においてガスを冷却する。流路部材には、熱交換器と触媒との間に、凝縮水を貯留可能な貯水部が形成される。貯水部は、熱交換器よりも低い位置、且つ、貯水部から触媒までの最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される凝縮水処理装置であって、
ガスの流路を形成する流路部材と、
前記流路に設けられた触媒と、
前記流路における前記触媒よりも下流側において前記ガスを冷却する熱交換器と、
を備え、
前記流路部材には、前記熱交換器と前記触媒との間に、凝縮水を貯留可能な貯水部が形成され、
前記貯水部は、前記熱交換器よりも低い位置、且つ、前記貯水部から前記触媒までの最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している、凝縮水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の凝縮水処理装置であって、
前記流路部材には、前記貯水部と前記触媒との間に、前記貯水部から前記触媒側への凝縮水の流動を阻害する抑制部が設けられている、凝縮水処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部の上端位置は、前記触媒の下端位置よりも高い、凝縮水処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部は、板状であって、前記流路部材の内面における前記触媒と前記貯水部との間の部分から下流側へ延びるように設けられている、凝縮水処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部は、前記流路部材の内面における前記触媒と前記貯水部との間の部分から前記貯水部の上方へ延びるように設けられている、凝縮水処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の凝縮水処理装置であって、
前記流路部材は、前記流路における中心軸が鉛直方向下向きに湾曲した部分を形成する湾曲部を有し、
前記触媒及び前記熱交換器は、前記湾曲部を挟んでそれぞれ上流側及び下流側に設けられ、
前記貯水部は、前記湾曲部における鉛直方向下側の部分により構成される、凝縮水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される凝縮水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される内燃機関に関する技術であって、排気流路から分岐して吸気流路に合流するEGR流路により排ガスを内燃機関へ再循環させる技術が知られている。この種の技術においては、例えば特許文献1に記載のように、EGR流路に触媒及び熱交換器が設けられる場合がある。その場合、熱交換器で生じた凝縮水が触媒に滞留してしまう可能性がある。触媒における凝縮水の滞留は、触媒の劣化等の原因になり得る。
【0003】
そこで、特許文献1では、吸気流路への合流位置から排気流路からの分岐位置までEGR流路の高さが単調に低下するようにEGR流路を形成することにより、排ガスの流れ方向において熱交換器よりも上流側に位置する触媒に凝縮水が滞留することを抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-240636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、触媒に凝縮水が滞留することを抑制することはできても、触媒に凝縮水が流入することを抑制することは難しかった。例えば触媒における温度均一性の観点から、触媒には凝縮水が流入しないことが好ましい。また、このような問題は、触媒及び熱交換器が設けられた、EGR流路以外のガスの流路においても、同様に生じ得る。
【0006】
本開示の一局面は、触媒及び熱交換器が設けられたガスの流路において、熱交換器で生じた凝縮水が触媒に流入することを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両に搭載される凝縮水処理装置であって、流路部材と、触媒と、熱交換器と、を備える。流路部材は、ガスの流路を形成する。触媒は、流路に設けられる。熱交換器は、流路における触媒よりも下流側においてガスを冷却する。流路部材には、熱交換器と触媒との間に、凝縮水を貯留可能な貯水部が形成される。貯水部は、熱交換器よりも低い位置、且つ、貯水部から触媒までの最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している。
【0008】
このような構成によれば、触媒及び熱交換器が設けられたガスの流路において、熱交換器で生じた凝縮水が触媒に流入することを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、流路部材には、貯水部と触媒との間に、貯水部から触媒側への凝縮水の流動を阻害する抑制部が設けられていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、熱交換器で生じた凝縮水が触媒に流入することを一層抑制することができる。
【0011】
本開示の一態様では、抑制部の上端位置は、触媒の下端位置よりも高くてもよい。
このような構成によれば、貯水部に貯留可能な凝縮水の量を増加させることができる。
【0012】
本開示の一態様では、抑制部は、板状であって、流路部材の内面における触媒と貯水部との間の部分から下流側へ延びるように設けられていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、抑制部によりガスの流れが妨げられることを生じにくくすることができる。
【0014】
本開示の一態様では、抑制部は、流路部材の内面における触媒と貯水部との間の部分から貯水部の上方へ延びるように設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、貯水部において抑制部の下面に接触する高さまで凝縮水が溜まっている状態において、凝縮水の気化を促進することができる。
【0016】
本開示の一態様では、流路部材は、流路における中心軸が鉛直方向下向きに湾曲した部分を形成する湾曲部を有してもよい。触媒及び熱交換器は、湾曲部を挟んでそれぞれ上流側及び下流側に設けられてもよい。貯水部は、湾曲部における鉛直方向下側の部分により構成されてもよい。
このような構成によれば、比較的簡易に貯水部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】凝縮水処理装置が適用されたEGRシステムの模式図である。
図2】凝縮水処理装置を示す模式的な断面図である。
図3図3Aは、貯水部の第1の変形例を説明するための模式的な断面図である。図3Bは、貯水部の第2の変形例を説明するための模式的な断面図である。図3Cは、貯水部の第3の変形例を説明するための模式的な断面図である。図3Dは、貯水部の第4の変形例を説明するための模式的な断面図である。
図4図4Aは、抑制部の第1の変形例を説明するための模式的な断面図である。図4Bは、抑制部の第2の変形例を説明するための模式的な断面図である。図4Cは、抑制部の第3の変形例を説明するための模式的な断面図である。図4Dは、抑制部の第4の変形例を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1には、凝縮水処理装置100が適用されたEGRシステム1が示されている。EGRは、Exhaust Gas Recirculationの略である。EGRシステム1は、車両に搭載され、当該車両の内燃機関2からの排ガスの一部を内燃機関2へ再循環させるシステムである。内燃機関2としては、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等が挙げられる。
【0019】
なお、以下の説明における鉛直方向及び水平方向は、EGRシステム1が車両に搭載された状態における鉛直方向及び水平方向を意味する。図面では、EGRシステム1が車両に搭載された状態における鉛直方向をV、水平方向をHと表記している。また、以下の説明における高さは、EGRシステム1が車両に搭載された状態における鉛直方向に沿った高さを意味する。
【0020】
EGRシステム1は、吸気流路部材3A、排気流路部材3B、EGR流路部材3C、EGRバルブ4、噴射部5、触媒6、及び熱交換器7を備える。
【0021】
吸気流路部材3A、排気流路部材3B及びEGR流路部材3Cは、ガスの流路を形成する管状の部材である。吸気流路部材3Aは、内燃機関2へ空気を供給する流路である吸気流路F1を形成する。排気流路部材3Bは、内燃機関2からの排ガスを車両の外部へ排出する流路である排気流路F2を形成する。EGR流路部材3Cは、排気流路F2から分岐して吸気流路F1に合流する流路であるEGR流路F3を形成する。本実施形態では、吸気流路部材3Aは樹脂製、排気流路部材3B及びEGR流路部材3Cは金属製である。
【0022】
排気流路F2からEGR流路F3への排ガスの流入量は、EGRバルブ4により調整される。EGRバルブ4は、EGR流路F3における排気流路F2からの分岐部において、EGR流路F3への排ガスの流入量を調整可能に構成された弁体である。
【0023】
噴射部5は、EGR流路F3内に燃料を噴射する。ここでいう燃料は、内燃機関2に対応する燃料であり、例えば、ガソリン燃料、ディーゼル燃料等である。
【0024】
触媒6は、EGR流路F3における噴射部5による燃料の噴射位置よりも下流側に設けられている。触媒6は、内部に担持された触媒成分の作用により、噴射部5により噴射された燃料と排ガス中の水分とから水素を含む改質ガスを生成する。
【0025】
熱交換器7は、EGR流路F3における触媒6よりも下流側に設けられている。熱交換器7は、触媒6を通過した排ガス(つまり改質ガス)を例えば冷媒との熱交換により冷却する。熱交換器7により冷却された排ガスが、EGR流路F3から吸気流路F1に合流して内燃機関2に流入する。
【0026】
凝縮水処理装置100は、EGR流路部材3Cの一部と、触媒6と、熱交換器7と、を含んで構成されている。以下では、説明の便宜上、EGR流路部材3Cにおける凝縮水処理装置100に含まれる範囲を処理流路部材30という。
【0027】
処理流路部材30は、湾曲部31を有する。湾曲部31は、EGR流路F3における中心軸Xが鉛直方向下向きに湾曲した部分を形成する。EGR流路F3における中心軸Xが鉛直方向下向きに湾曲していることとは、EGR流路F3における排ガスの流れが下降して上昇していることを意味する。
【0028】
図2に示すように、触媒6及び熱交換器7は、湾曲部31を挟んでそれぞれ上流側及び下流側に設けられている。具体的には、触媒6は、EGR流路F3における、湾曲部31よりも上流側の部分であって、排ガスの流れが湾曲部31の底Pに向かって下降している部分に設けられている。熱交換器7は、EGR流路F3における、湾曲部31よりも下流側の部分であって、排ガスの流れが湾曲部31の底Pから上昇している部分に設けられている。すなわち、触媒6及び熱交換器7、より詳細にはそれぞれの下端位置Q1,Q2は、いずれも湾曲部31の底Pよりも高い位置に位置している。湾曲部31の底Pは、湾曲部31の内面における鉛直方向に沿って最も低い部分を意味する。触媒6の下端位置Q1は、触媒6における鉛直方向に沿って最も低い位置を意味する。熱交換器7の下端位置Q2は、熱交換器7における鉛直方向に沿って最も低い位置を意味する。
【0029】
なお、図2には、触媒6及び熱交換器7の下端位置Q1,Q2同士が一致している例が示されているが、これら下端位置Q1,Q2は必ずしも一致していなくてもよく、一方が他方よりも高い位置であってもよい。
【0030】
熱交換器7において排ガス中の水分が凝縮して凝縮水が生じた場合、凝縮水は、重力の影響を受けて熱交換器7から処理流路部材30の内面を湾曲部31の底P側へ伝い、湾曲部31における鉛直方向下側の部分に溜まる。すなわち、湾曲部31における鉛直方向下側の部分が、凝縮水を貯留可能な貯水部32として機能する。貯水部32は、鉛直方向下向きに凹んだ形状であって、仮想水平面Rにより閉塞された場合に触媒6から離隔した密閉空間Sが形成される形状である。仮想水平面Rは、熱交換器7の下端位置Q2よりも鉛直方向下側において水平方向に広がる仮想的な平面である。
【0031】
貯水部32は、熱交換器7の下端位置Q2よりも低い位置、且つ、貯水部32から触媒6までの最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している。貯水部32から触媒6までの最下経路は、EGR流路F3において排ガスに接する面である排ガス接触面に沿って貯水部32から触媒6まで連続する経路であって、鉛直方向における最高位置が最も低い経路である。以下では、貯水部32から触媒6までの最下経路を、単に最下経路という。後述するように、本実施形態では、処理流路部材30に抑制部33が設けられるため、排ガス接触面には、処理流路部材30の内面に加えて抑制部33の表面も含まれる。また、本実施形態では、抑制部33の上端位置Tが触媒6の下端位置Q1よりも低いため、触媒6の下端位置Q1が最下経路における最高位置に該当する。つまり、本実施形態の貯水部32は、熱交換器7の下端位置Q2よりも低い位置、且つ、触媒6の下端位置Q1よりも低い位置に位置している。
【0032】
貯水部32に凝縮水が溜まっている状態において、この凝縮水は、車両の振動や傾き等の影響により、貯水部32内で静止しているのではなく多少は流動する。そこで、処理流路部材30には、貯水部32と触媒6との間に、貯水部32から触媒6側への凝縮水の流動を阻害する抑制部33が設けられている。
【0033】
本実施形態では、抑制部33は、平板状である。また、抑制部33は、金属製である。抑制部33は、処理流路部材30の内面における触媒6と貯水部32との間の部分から下流側へ延びるように設けられている。より詳細には、抑制部33は、処理流路部材30の内面における触媒6と貯水部32との間の部分から、水平方向に沿って、貯水部32の上方へ延びるように設けられている。本実施形態のように抑制部33が処理流路部材30と別体の部材として構成される場合、抑制部33は、例えば溶接により処理流路部材30の内面に接合される。また、本実施形態では、抑制部33の上端位置Tは、触媒6及び熱交換器7それぞれの下端位置Q1,Q2よりも低い。抑制部33の上端位置Tは、抑制部33における鉛直方向に沿って最も高い位置を意味する。
【0034】
[2.作用]
熱交換器7において排ガス中の水分が凝縮して凝縮水が生じた場合、凝縮水は、重力の影響を受けて処理流路部材30の内面を貯水部32側へ伝う。貯水部32が最下経路における最高位置(本実施形態では触媒6の下端位置Q1)よりも低い位置に位置していることから、貯水部32まで至った凝縮水は、貯水部32から触媒6側へ流動しにくい。つまり、凝縮水は、貯水部32に溜まる。
【0035】
貯水部32に溜まった凝縮水は、排ガスの熱を受けて気化する。貯水部32において抑制部33の下面に接触する高さまで凝縮水が溜まっている状態においては、排ガスにより熱せられた抑制部33から凝縮水へ熱が伝わり、凝縮水の気化が促進される。そして、気化した水分は、排ガスと共にEGR流路F3を下流側へ流れる。
【0036】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)凝縮水処理装置100では、処理流路部材30に貯水部32が形成されている。貯水部32は、熱交換器7の下端位置Q2よりも低い位置、且つ、最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している。
【0037】
仮に、熱交換器7で生じた凝縮水が触媒6へ流入した場合、触媒6において温度の高い部分と低い部分とが生じ、触媒6の割れ等の原因になり得ることが考えられる。しかし、上記のような構成によれば、熱交換器7で生じた凝縮水を貯水部32に溜めることができる。このため、凝縮水が触媒6に流入することを抑制することができる。
【0038】
(3b)処理流路部材30には抑制部33が設けられている。このような構成によれば、貯水部32に溜まっている凝縮水を触媒6側へ流動させにくくすることができる。このため、凝縮水が触媒6に流入することを一層抑制することができる。
【0039】
(3c)抑制部33は、板状であって、処理流路部材30の内面における触媒6と貯水部32との間の部分から下流側へ延びるように設けられている。このような構成によれば、抑制部33により排ガスの流れが妨げられることを生じにくくすることができる。
【0040】
(3d)特に本実施形態では、抑制部33は、貯水部32の上方へ延びるように設けられている。このような構成によれば、貯水部32において抑制部33の下面に接触する高さまで凝縮水が溜まっている状態において、排ガスにより熱せられた抑制部33から凝縮水へ熱が伝わり、凝縮水の気化を促進することができる。
【0041】
(3e)貯水部32は、湾曲部31における鉛直方向下側の部分により構成されている。このような構成によれば、処理流路部材30における触媒6と熱交換器7との間の部分に湾曲部31を設けることにより貯水部32を形成することができる。このため、比較的簡易に貯水部32を形成することができる。
【0042】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0043】
(4a)図3Aに示すように、処理流路部材30aが湾曲部31を有する場合に、湾曲部31の内面における鉛直方向に沿って最も低い部分に、鉛直方向下向きに窪んだ窪み部311aが形成されてもよい。この場合、窪み部311aを含む、湾曲部31の鉛直方向下側の部分が、貯水部32aとして機能する。すなわち、貯水部32aは、窪み部311aを含む、湾曲部31の鉛直方向下側の部分により構成されてもよい。このような構成によれば、湾曲部31に窪み部311aが形成されていない構成と比較して、貯水部32aに貯留可能な凝縮水の量を増加させることができる。
【0044】
なお、窪み部の形状は特に限定されない。例えば、図3Aに示すように、窪み部311aは底面が平面状であってもよいし、図3Bに示すように、窪み部311bは底面が曲面状であってもよい。
【0045】
(4b)上記実施形態では、触媒6は、EGR流路F3における、湾曲部31よりも上流側の部分であって、排ガスの流れが湾曲部31の底Pに向かって下降している部分に設けられている。また、熱交換器7は、EGR流路F3における、湾曲部31よりも下流側の部分であって、排ガスの流れが湾曲部31の底Pから上昇している部分に設けられている。しかし、EGR流路F3における触媒6及び熱交換器7の位置は、特に限定されない。
【0046】
例えば、図3Cに示すように、触媒6が、EGR流路F3における、排ガスが水平方向に流れる部分に設けられてもよい。また例えば、図3Dに示すように、触媒6及び熱交換器7の双方が、EGR流路F3における、排ガスが水平方向に流れる部分に設けられてもよい。このような構成においては、処理流路部材30b,30cの内面における、触媒6及び熱交換器7との間の部分且つ鉛直方向に沿って最も低い部分に、貯水部32bとして、鉛直方向下向きに窪んだ窪み部を形成することが考えられる。
【0047】
ただし、上記実施形態のように、熱交換器7は排ガスの流れが上昇している部分に設けられた方が、凝縮水を貯水部へ集めやすくすることができる。また、上記実施形態のように、触媒6は排ガスの流れが下降している部分に設けられた方が、貯水部に溜まっている凝縮水を触媒6側へ流動させにくくすることができる。
【0048】
(4c)上記実施形態では、抑制部33は、処理流路部材30の内面における触媒6と貯水部32との間の部分から、水平方向に沿って、貯水部32の上方へ延びるように設けられている。しかし、抑制部は、処理流路部材の内面から、必ずしも水平方向に沿って延びるように設けられなくてもよい。例えば、図4Aに示すように、抑制部33aは、処理流路部材30dの内面から、水平方向に対して斜め上方へ延びるように設けられてもよい。
【0049】
(4d)上記実施形態では、抑制部33は平板状であるが、抑制部の形状は特に限定されない。例えば、図4Bに示すように、抑制部33bは、先端部が鉛直方向上側に折れ曲がった形状であってもよい。また例えば、抑制部は、先端部が鉛直方向上側に湾曲した形状であってもよい。
【0050】
(4e)また例えば、抑制部に少なくとも1つの貫通孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、貯水部に溜まっている凝縮水に貫通孔を通して排ガスが当たるため、抑制部により凝縮水を触媒6側へ流動させにくくしつつ、凝縮水を気化させやすくすることができる。
【0051】
(4f)上記実施形態では、抑制部33は、処理流路部材30と別体の部材として構成されている。しかし、抑制部は、処理流路部材と一体の部材として構成されてもよい。例えば、図4Cに示すように、抑制部33cは、処理流路部材30eの内面における鉛直方向に沿った最も低い部分に設けられた突出部であってもよい。
【0052】
(4g)上記実施形態では、抑制部33の上端位置Tは、触媒6の下端位置Q1よりも低い。しかし、抑制部33の上端位置Tと触媒6の下端位置Q1との高さ関係は、特に限定されない。
【0053】
例えば、図4Dに示すように、抑制部33bの上端位置Tは、触媒6の下端位置Q1よりも高くてもよい。図4Dに示す例では、触媒6は、EGR流路F3における、排ガスが水平方向に流れる部分に設けられている。そして、抑制部33bは、処理流路部材30fの内面から水平方向に沿って貯水部32cの上方へ延びるように設けられ、且つ、先端部が鉛直方向上側に折れ曲がっている。この場合、抑制部33bにおける先端部の端面の位置が、抑制部33bの上端位置Tに該当する。また、抑制部33bの上端位置Tが、最下経路の最高位置に該当する。
【0054】
このような構成によれば、貯水部32cには、触媒6の下端位置Q1を超えて抑制部33dの上端位置Tの高さまで、凝縮水を貯留することができる。すなわち、貯水部32cに貯留可能な凝縮水の量を増加させることができる。
【0055】
(4h)上記実施形態では、処理流路部材30に抑制部33が設けられている。しかし、図3C及び図3Dに示すように、抑制部は必ずしも設けられなくてもよい。なお、図3C及び図3Dに示す例は、処理流路部材30b,30cの内面における鉛直方向に沿って最も低い部分に形成された窪み部が貯水部32bとして機能する構成であるが、上記実施形態のように処理流路部材の湾曲部における鉛直方向下側の部分が貯水部として機能する構成においても同様に、必ずしも抑制部が設けられなくてもよい。
【0056】
(4i)上記実施形態では、凝縮水処理装置100は、EGR流路F3に適用されている。しかし、凝縮水処理装置100が適用される排ガスの流路は、特に限定されない。例えば、凝縮水処理装置100は、排気流路に適用されてもよい。例えば、排ガスを浄化する触媒と、当該触媒よりも下流側において排ガスの熱を回収する排熱回収装置と、が設けられた排気流路において、これらの間に貯水部が設けられてもよい。
【0057】
(4j)また例えば、凝縮水処理装置100は、排ガス以外のガスの流路に適用されてもよい。例えば、凝縮水処理装置100は、排ガス以外のガスが流れる吸気流路に適用されてもよい。
【0058】
(4k)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0059】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車両に搭載される凝縮水処理装置であって、
ガスの流路を形成する流路部材と、
前記流路に設けられた触媒と、
前記流路における前記触媒よりも下流側において前記ガスを冷却する熱交換器と、
を備え、
前記流路部材には、前記熱交換器と前記触媒との間に、凝縮水を貯留可能な貯水部が形成され、
前記貯水部は、前記熱交換器よりも低い位置、且つ、前記貯水部から前記触媒までの最下経路における最高位置よりも低い位置に位置している、凝縮水処理装置。
【0060】
[項目2]
項目1に記載の凝縮水処理装置であって、
前記流路部材には、前記貯水部と前記触媒との間に、前記貯水部から前記触媒側への凝縮水の流動を阻害する抑制部が設けられている、凝縮水処理装置。
【0061】
[項目3]
項目2に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部の上端位置は、前記触媒の下端位置よりも高い、凝縮水処理装置。
【0062】
[項目4]
項目2又は項目3に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部は、板状であって、前記流路部材の内面における前記触媒と前記貯水部との間の部分から下流側へ延びるように設けられている、凝縮水処理装置。
【0063】
[項目5]
項目4に記載の凝縮水処理装置であって、
前記抑制部は、前記流路部材の内面における前記触媒と前記貯水部との間の部分から前記貯水部の上方へ延びるように設けられている、凝縮水処理装置。
【0064】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の凝縮水処理装置であって、
前記流路部材は、前記流路における中心軸が鉛直方向下向きに湾曲した部分を形成する湾曲部を有し、
前記触媒及び前記熱交換器は、前記湾曲部を挟んでそれぞれ上流側及び下流側に設けられ、
前記貯水部は、前記湾曲部における鉛直方向下側の部分により構成される、凝縮水処理装置。
【符号の説明】
【0065】
1…EGRシステム、2…内燃機関、3A…吸気流路部材、3B…排気流路部材、3C…EGR流路部材、30…処理流路部材、31…湾曲部、32…貯水部、33…抑制部、4…EGRバルブ、5…噴射部、6…触媒、7…熱交換器、100…凝縮水処理装置。
図1
図2
図3
図4