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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004389
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ビーコン及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240109BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240109BHJP
   G09B 21/00 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/005
G09B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104034
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】三島 寛之
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181FF21
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】視覚情報を利用できない移動体に通行可能な領域を認識させる。
【解決手段】ビーコンは位置情報及び領域情報を送信する。位置情報は第1領域a1における自身の設置位置を示す。領域情報は少なくとも1つの第2領域a2の第1領域a1における位置を示す。第2領域a2は移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域における自身の設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを送信する
ビーコン。
【請求項2】
請求項1に記載のビーコンにおいて、
前記領域情報は、前記第1領域における前記第2領域の起点位置、前記第1領域の所定の基準方向に対する方向、及び前記第2領域の大きさを含む
ビーコン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のビーコンにおいて、
前記領域情報は、送信時における前記第2領域の通行の可否を示す情報を含む
ビーコン。
【請求項4】
請求項3に記載のビーコンにおいて、
前記第2領域の通行の可否を決定する第1装置から取得する情報に応じて、少なくとも一部の前記第2領域の通行の可否を示す情報が生成される
ビーコン。
【請求項5】
請求項3に記載のビーコンにおいて、
前記領域情報は、前記第2領域の通行の可否の切替までの時間を含む
ビーコン。
【請求項6】
周囲のビーコンから送信される、第1領域における該ビーコンの設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを取得可能な取得部と、
同一の前記第1領域に属する3つ以上のビーコンそれぞれから取得する前記位置情報に基づいて前記ビーコンに対する自身の相対位置を認識し、該相対位置に基づいて自身が通行可能な領域を認定する制御部と、を備える
端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の端末装置において、
目的地へ向かう経路を記憶する記憶部を、更に備え、
前記制御部は、前記経路に従った移動において通行する前記第2領域を認定する
端末装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の端末装置において、
自身の向く方角を検出する方位センサを、更に備え、
前記制御部は、検出した方角と前記相対位置とに基づいて、前記第1領域における通行に関する案内を出力する
端末装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーコン及び端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者、配送ロボットのように視覚情報を用いない対象に、交通情報を与えることが求められている。例えば、信号機から状態情報を通信可能範囲内にある携帯電話端末に送信することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-242846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、視覚情報を用いない対象にとっては、信号機の状態を知るだけでは通行可能な領域を認識することが難しかった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、通行可能な領域を認識させ得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点によるビーコンは、
第1領域における自身の設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを送信する。
【0007】
第2の観点による端末装置は、
周囲のビーコンから送信される、第1領域における該ビーコンの設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを取得可能な取得部と、
同一の前記第1領域に属する3つ以上のビーコンそれぞれから取得する前記位置情報に基づいて前記ビーコンに対する自身の相対位置を認識し、該相対位置に基づいて自身が通行可能な領域を認定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成された本開示に係るビーコン及び端末装置によれば、視覚情報を利用できない使用者に通行可能な領域が認識され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るビーコンを含む交通支援システムの構成例を示す図である。
図2図1の提供ユニットの概略構成を示すブロック図である。
図3図1の端末装置に含まれる第1の端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図4図1の端末装置に含まれる第2の端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図5図3の制御部が実行する受信制御処理を説明するためのフローチャートである。
図6図4の制御部が実行する受信制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を適用したビーコンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るビーコン10を含む交通支援システム11の構成例を示す。交通支援システム11は、複数の提供ユニット12及び端末装置13を含んで構成される。提供ユニット12は、後述するように、ブロードキャスト通信により情報を発信する。端末装置13は、提供ユニット12から当該情報を受信する。端末装置13は、後述するように、複数の提供ユニット12から受信する情報に基づいて、所定の処理を行う。
【0012】
以下に、交通支援システム11を構成する提供ユニット12及び端末装置13の詳細について説明する。
【0013】
提供ユニット12は、例えば、屋外に設けられる。提供ユニット12は、所定の位置に固定される。図2に示すように、提供ユニット12は、第1装置14及びビーコン10を含む。
【0014】
第1装置14は、例えば、交通を整理するため交通情報を発する機器である。交通情報は視覚的情報又は音声的情報の少なくとも一方を含む。第1装置14は、例えば、交通信号機である。以下において、第1装置14は交通信号機であることを前提として、第1装置14は説明される。第1装置14は、出力部15及び制御部16を含んでよい。
【0015】
出力部15は、視覚的情報又は音声的情報の少なくとも一方を出力してよい。出力部15は、例えば、色の異なる複数の光源を用いて視覚的情報を出力する。又は、出力部15は、スピーカであって音声的情報を出力する。
【0016】
制御部16は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部16は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
【0017】
制御部16は、例えば、定期的、周期的、感応式等の所定の方式により、出力部15に視覚的情報及び音声情報の少なくとも一方を出力させる。制御部16は、第1装置14別に定められる第2領域における通行の可否を示す信号情報を、ビーコン10に付与してよい。制御部16は、周期的又は定期的に、又はビーコン10からの要求に応じて、信号情報をビーコン10に付与してよい。
【0018】
図1に示すように、第2領域a2は、特定の移動体の通行が許可されている領域、又は禁止されている領域の少なくとも一方である。言換えると、第2領域a2は、特定の移動体の通行可又は不可の少なくとも一方が定められた領域である。本願において、通行が許可されているとは、常に許可されていることだけでなく、許可及び禁止が切替えられることも含まれていてよい。通行が許可されている第2領域a2は、例えば、信号機である第1装置14が進行の可否を切替える横断歩道、配送ロボットの通行が認められた領域、車道における直線領域、車道における右折又は左折用の領域等である。通行が禁止されている第2領域a2は、例えば、車道における横断歩道の領域外等である。
【0019】
第1装置14は、複数の第2領域a2を定義していてよい。制御部16は、進行の可否の切替までの時間を信号情報に含めてよい。制御部16は、第2領域a2の通行が定められた特定の移動体を信号情報に含めてよい。
【0020】
図2に示すように、ビーコン10は、通信部17、記憶部18、及び制御部19を含んでよい。ビーコン10は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy、登録商標)ビーコンである。
【0021】
通信部17は、ブロードキャストの近距離無線により多様な情報を送信する。通信部17は、例えば、BLEビーコン等の規格に対応した通信モジュールである。通信部17は、情報を発信する際に、発信者情報を付加して送信する。発信者情報は、位置情報を含む。
【0022】
位置情報は、第1領域における自身のビーコン10の設置位置を示す情報である。図1に示すように、第1領域a1は、実空間において任意に定められる領域である。第1領域a1は、例えば、自身のビーコン10とともに提供ユニット12を構成する第1装置14が発する交通情報の適用範囲となる領域である。第1領域a1は、例えば、交差点の領域、直線道路上における横断歩道のある領域である。第1領域a1は、実空間において互いに近接する3つ以上の提供ユニット12に共用されてよい。第1領域a1の範囲は、任意の座標系や、領域の形状、大きさを用いて定められてよい。任意の座標系は、実空間における東西方向、南北方向、及び鉛直方向を座標軸として有してよい。
【0023】
記憶部18は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の任意の記憶デバイスを含む。記憶部18は、制御部19を機能させる多様なプログラム及び制御部19が用いる多様な情報を記憶してよい。記憶部18は、例えば、発信者情報を記憶してよい。又、記憶部18は、第2領域a2に関する領域情報を記憶してよい。記憶部18は、複数の異なる第2領域a2別に領域情報を記憶してよい。
【0024】
発信者情報は、位置情報の他に、第1領域a1においてビーコン10を識別する識別子、第1領域a1を共用するグループの識別子、ビーコン10の地上座標位置、ビーコン10に対して定められる第2領域a2の数、並びに第1領域a1の起点位置、第1の領域の方向、及び第1領域a1の広さ等を含んでよい。ビーコン10を識別する識別子には、第1領域a1を共有する複数のビーコンの間で、ユニークな値が付与される。グループの識別子には、同一の第1領域a1を共有する複数のビーコンの間で、同一の値が用いられる。ビーコン10の地上座標位置は、第1領域a1における三次元位置として表されてよい。第2領域a2の数は、第1領域に含まれる第2領域a2の数である。第1領域a1の起点位置は、緯度経度によって表されてよい。第1の領域の方向は、第1領域について設定された任意の方向が東西南北のいずれを向くかによって表現されてよい。第1領域a1の広さは、第1領域a1を例えば矩形とした場合の面積で表されてよい。
【0025】
領域情報は、自身のビーコン10とともに提供ユニット12を構成する第1装置14に対して定められる少なくとも1つの第2領域a2の第1領域a1における位置を少なくとも情報として含む。より具体的には、領域情報は、第2領域a2の位置として、第1領域a1における第2領域a2の起点位置、第1領域a1の基準方向に対する第2領域a2の方向、及び第2領域a2の大きさを情報として含んでよい。第2領域a2の起点位置は第1領域a1における任意の位置であり、第1領域a1における座標で表現されてよい。領域情報は、更に領域識別子、領域種別、制御対象種別、現在状態、次状態遷移時間、次状態等を含んでよい。領域種別は、横断歩道の領域、配送ロボットの通行が認められた領域、車道における直線領域、車道における右折又は左折用の領域等の第2領域a2の種類を意味する。制御対象種別は、例えば、歩行者、車、配送ロボット等の第2領域a2において通行可能な移動体の種類である。現在状態とは、当該領域情報に対応する第2領域a2の通行の可否を示し、例えば当該第2領域a2に関連付いた交通信号機の状態によって変化してよい。次状態遷移時間とは、当該領域情報に対応する第2領域a2の通行の可否の切替までの時間であり、例えば、交通信号機における次の状態に切替わるまでの時間である。
【0026】
制御部19は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けASICを含んでよい。プロセッサは、PLDを含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部16は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC、およびSiPのいずれかであってもよい。
【0027】
制御部19は、第1装置14から取得する信号情報に基づいて、記憶部18に記憶されている領域情報における現在状態、次状態遷移時間、及び次状態を更新してよい。したがって、制御部19は、信号情報に応じて、当該信号情報に対応する第2領域a2の通行の可否を示す情報を生成してよい。
【0028】
制御部19は、定期的又は周期的に領域情報を送信するように通信部17を制御する。制御部19は、第1装置14が信号情報を付与する時に合わせて、現在状態、次状態遷移時間、及び次状態を更新させた領域情報を送信してよい。制御部19は、領域情報を送信する時に合わせて第1装置14に要求して取得する信号情報に基づいて領域情報を更新してよい。したがって、送信される領域情報は、送信時における現在状態、次状態遷移時間、及び次状態を含んでよい。前述のように、通信部17は情報の送信の際に発信者情報を付加するので、ビーコン10は少なくとも位置情報及び領域情報を送信する。
【0029】
端末装置13は、後述するように、ビーコン10から受信する情報に基づいて、自身が通行可能な領域を認定する。端末装置13は、認定した通行可能な領域をデータとして用いる第1の端末装置、及び携行者に対して認定した通行可能な領域に基づいた警告及び案内を行う第2の端末装置を含んでよい。第1の端末装置は、例えば、自動で目的地まで移動する配送ロボットである。第2の端末装置は、例えば、人が携行するスマートフォン又はタブレットである。
【0030】
図3に示すように、第1の端末装置20は、通信部(取得部)21及び制御部22を含んで構成される。第1の端末装置20は、更に、ロボット駆動部23及び記憶部24を含んでよい。
【0031】
通信部21は、ビーコン10の通信部17と同じ通信規格に対応した通信モジュールを含む。通信部21は、周囲のビーコン10から送信される位置情報及び領域情報、より具体的には発信者情報及び領域情報を取得可能である。通信部21は、ビーコン10から送信される位置情報の電界強度を検出してよい。
【0032】
ロボット駆動部23は、第1の端末装置20を3次元空間上で移動させるモータ、アクチュエータ、車輪、脚部等の移動機構と、移動機構の動作を制御する制御装置を含んでよい。ロボット駆動部23は、制御部22の制御に基づいて、第1の端末装置20を移動させてよい。
【0033】
記憶部24は、例えば、RAM、ROM等の任意の記憶デバイスを含む。記憶部24は、制御部22を機能させる多様なプログラム及び制御部22が用いる多様な情報を記憶してよい。記憶部24は、例えば、第1の端末装置20が経路誘導機能を有する構成において、目的地へ向かう経路を記憶する。ここで、経路とは例えば目的地へ向かうために通行する必要のある道、もしくは目的地へ向かうために通過する交差点の順序であってよい。第1の端末装置20における経路誘導機能とは、例えば、現在地から目的地まで移動する場合に、現在地に対する進行方向を示す情報に基づいて、移動体を進行させる制御である。
【0034】
制御部22は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けASICを含んでよい。プロセッサは、PLDを含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部22は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC、およびSiPのいずれかであってもよい。
【0035】
制御部22は、受信する発信者情報及び領域情報を記憶部24に格納する。制御部22は、発信者情報及び領域情報を受信済みのビーコン10から新たに発信者情報及び領域情報を受信する場合、記憶部24に記憶済みの領域情報を更新してよい。
【0036】
制御部22は、複数のビーコン10から位置情報を受信する場合、当該複数の位置情報それぞれが同一の第1領域a1に属する互いに異なるビーコン10から送信されたものであるか否かを判別する。複数のビーコン10から位置情報を受信するとは、受信時点の時間差が、例えばマイクロ秒単位の所定の時間間隔以内に当該位置情報を受信することを意味してよい。制御部22は、例えば、当該位置情報と関連付いた発信者情報に含まれる第1領域a1におけるビーコン10の識別子及び第1領域a1を共用するグループの識別子に基づいて、複数の位置情報が同じ第1領域a1に属する互いに異なるビーコン10から送信された位置情報であるか否かを判別してよい。制御部22は、更に、同一の第1領域a1に属する3つ以上のビーコン10から当該複数の位置情報を受信しているか否かを判別する。
【0037】
制御部22は、同一の第1領域a1に属する3つ以上のビーコン10それぞれから位置情報を受信する場合、当該発信者情報に含まれる位置情報に基づいてビーコン10に対する自身の第1の端末装置20の相対位置を認識する。具体的には、制御部22は、通信部21により検出される位置情報の電界強度に基づいて、ビーコン10から第1の端末装置20までの距離を算出してよい。制御部22は、ビーコン10の位置情報に基づく第1領域a1における設置位置を算出してよい。制御部22は、3つ以上のビーコン10の設置位置と第1の端末装置20までの距離とから、各ビーコン10に対する第1の端末装置20の相対位置を算出してよい。
【0038】
制御部22は、認識した第1の端末装置20の相対位置に基づいて、自身の第1の端末装置20が通行可能な領域を認定する。具体的には、制御部22は、相対位置、及び位置情報とともに受信する領域情報から、自身の第1の端末装置20に対する第2領域a2の位置を算出することにより、通行可能な領域を認定する。より具体的には、制御部22は、第1の端末装置20を利用する移動体の種別が登録されている構成で、当該種別と制御対象種別が合致し且つ通行可である第2領域a2を、通行可能な領域に認定してよい。又は、制御部22は、第1の端末装置20を利用する移動体の種別が登録されている構成で、当該種別と制御対象種別が合致し且つ通行不可である第2領域a2を除く、第1領域を通行可能な領域に認定してよい。
【0039】
制御部22は、経路誘導機能を実行させている場合、記憶部24に記憶している経路に沿った移動において通行する第2領域a2を認定してよい。例えば、第1の端末装置20を利用する移動体が第1領域a1に接近した状況において、当該移動体が経路に沿った移動において通行する第2領域a2を、通行可能な領域として認定してよい。制御部22は、通行可能な領域を認定する場合、当該領域の現在状態、次状態遷移時間、次状態を記憶部24から読出してよい。制御部22は、読出した現在状態、次状態遷移時間、次状態を通行可能な領域に関する情報に含めてよい。
【0040】
制御部22は、通行可能な領域の認定に基づいて、第1の端末装置20を制御してよい。具体的には、制御部22は、端末装置13の相対位置に対する通行可能な領域を示す情報に基づいて、当該通行可能な領域を通行するようにロボット駆動部23を制御してよい。
【0041】
図4に示すように、第2の端末装置25は、通信部(取得部)26及び制御部27を含んで構成される。第2の端末装置25は、更に、方位センサ28、出力部29、及び記憶部30を含んでよい。第2の端末装置25の通信部26の構造及び機能は第1の端末装置20の通信部21と同じであってよい。
【0042】
方位センサ28は、地磁気の変化に基づいて方角を検出してよい。方位センサ28は、例えば、磁気センサである。
【0043】
出力部29は、後述するように、第2の端末装置25の携行者の通行に関する案内を出力してよい。出力部29は、例えば、音声情報又は警告音を発するスピーカを含む。
【0044】
記憶部30は、例えば、RAM、ROM等の任意の記憶デバイスを含む。記憶部30は、制御部27を機能させる多様なプログラム及び制御部27が用いる多様な情報を記憶してよい。記憶部30は、例えば、第2の端末装置25が経路誘導機能を有する構成において、目的地へ向かう経路を記憶する。第2の端末装置25における経路誘導機能は、現在地から目的地に向かう経路のディスプレイへの表示、分岐点において進む方向の示唆の表示若しくは音声出力等の視覚情報又は音声情報を用いた誘導であってよい。
【0045】
制御部27は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けASICを含んでよい。プロセッサは、PLDを含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部27は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC、およびSiPのいずれかであってもよい。
【0046】
第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、同一の第1領域a1に属する3つ以上のビーコン10から当該複数の位置情報を受信しているか否かを判別する。又、第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、同一の第1領域a1に属する3つ以上のビーコン10それぞれから位置情報を受信する場合、当該位置情報に基づいてビーコン10に対する自身の第2の端末装置25の相対位置を認識する。又、第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、認識した第1の端末装置20の相対位置に基づいて、自身の第1の端末装置20が通行可能な領域を認定する。
【0047】
第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、経路誘導機能を実行させている場合、記憶部30に記憶している経路に沿った移動において通行する第2領域a2を認定してよい。又、第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、通行可能な領域を認定する場合、当該領域の現在状態、次状態遷移時間、次状態を記憶部30から読出してよい。又、第2の端末装置25の制御部27は、第1の端末装置20の制御部22と同じく、読出した現在状態、次状態遷移時間、次状態を通行可能な領域に関する情報に含めてよい。
【0048】
制御部27は、方位センサ28が検出した方角と、第2の端末装置25の相対位置とに基づいて、第1領域a1における通行に関する案内情報を生成してよい。具体的には、制御部27は、検出した方角に基づいて第2の端末装置25を携行する移動体が向いている方角を算出する。制御部27は、相対位置からの移動体の向く方角に、当該移動体の通行可能な領域が位置するかを判別する。制御部27は、当該方角に通行可能な領域が位置しない場合、警告を発する警告情報、通行可能な領域に向けて案内する音声情報等の通行に関する案内情報として生成してよい。
【0049】
制御部27は、通行可能な領域の認定に基づいて、第2の端末装置25を携行する移動体に、通行可能な領域に関する情報を付与してよい。具体的には、制御部27は、案内情報を出力するように出力部29を制御してよい。
【0050】
次に、本実施形態において第1の端末装置20の制御部22が実行する、受信制御処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。受信制御処理は、例えば、周囲のビーコン10から、発信者情報及び領域情報を受信後に開始する。
【0051】
ステップS100において、制御部22は、発信者情報を送信したビーコン10が属する第1領域a1と同一の第1領域a1に属する他の2つのビーコン10から発信者情報を取得しているか否かを判別する。判別は、記憶部24に記憶している発信者情報に基づいて行われてよい。なお、近くに第1領域a1が複数存在する場合には、第1の端末装置20は異なる第1領域a1に関する情報を含む発信者情報を受信することがある。この場合、制御部22は、発信者情報に含まれる位置情報に基づいて、自身が現在属している第1領域a1に関する情報を含む発信者情報を、他の2つのビーコン10から取得しているか否かを判別する。同一の第1領域a1に属する他の2つのビーコン10から発信者情報を取得していない場合、プロセスはステップS100に戻る。当該発信者情報を取得している場合、プロセスはステップS101に進む。
【0052】
ステップS101では、制御部22は、ステップS100において確認された3つの異なるビーコン10の発信者情報に含まれる位置情報に基づいて、相対位置を認識する。認識後、プロセスはステップS102に進む。
【0053】
ステップS102では、制御部22は、記憶部24に記憶した経路が第1領域a1を通過するか否かを判別する。第1領域a1を通過しない場合、受信制御処理は終了する。第1領域a1を通過する場合、プロセスはステップS103に進む。
【0054】
ステップS103では、制御部22は、受信処理制御を開始する直前に受信した領域情報に基づいて第2領域a2を認定する。認定後、プロセスはステップS104に進む。
【0055】
ステップS104では、制御部22は、受信処理制御を開始する直前に受信した領域情報に基づいて、ステップS103において認定した第2領域a2が現在、通行可能であるか否かを判別する。通行不可である場合、受信制御処理は終了する。通行可能である場合、プロセスはステップS105に進む。
【0056】
ステップS105では、制御部22は、ステップS103において認定した通行可能な領域を通過するように、ロボット駆動部23を制御する。制御後、受信制御処理は終了する。
【0057】
次に、本実施形態において第2の端末装置25の制御部27が実行する、受信制御処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。受信制御処理は、例えば、周囲のビーコン10から、発信者情報及び領域情報を受信後に開始する。
【0058】
ステップS200からS204において、制御部27は第1の端末装置20の制御部22が実行する受信制御処理におけるステップS100からS104と同じ動作を実行する。ステップS204において通行可能である場合、プロセスはステップS205に進む。
【0059】
ステップS205では、制御部27は、ステップS201において認識した相対位置、ステップS203において認定した通行可能な領域、及び方位センサ28が検出した方位に基づいて、案内情報を生成する。生成後、プロセスはステップS206に進む。
【0060】
ステップS206では、制御部27は、ステップS205において生成した案内情報を出力するように出力部29を制御する。出力後、受信制御処理は終了する。
【0061】
以上のような構成の本実施形態のビーコン10は、第1領域a1における自身の設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域a2の第1領域a1における位置を示す領域情報とを送信する。このような構成により、ビーコン10は、位置情報及び領域情報を受信する端末装置13に、ビーコン10に対する相対位置を認識させ得、且つ通行可能な領域を認定させ得る。したがって、ビーコン10は、視覚情報を利用できない移動体に、通行可能な領域を認識させ得る。
【0062】
又、ビーコン10では、領域情報は送信時における第2領域a2の通行の可否を示す情報を含む。このような構成により、ビーコン10は、信号機のように特定の領域の通行の可否を切替える構成において、端末装置13に現在の通行の可否を通知し得る。
【0063】
又、ビーコン10では、第2領域a2の通行の可否を決定する第1装置14から取得する情報に応じて、少なくとも一部の前記第2領域a2の通行の可否を示す情報が生成される。このような構成により、ビーコン10は、多様な第1装置14と組合せて、第2領域a2の通行の可否を決定し得る。
【0064】
又、ビーコン10では、領域情報は第2領域a2の通行の可否の切替までの時間を含む。このような構成により、ビーコン10は、端末装置13に通行可能になるまでの待ち時間、又は通行不可能になるまでの時間を通知し得る。したがって、ビーコン10は、端末装置13を利用する移動体に、安全な第2領域a2の通行のための情報を提供し得る。
【0065】
以上のような構成の本実施形態の端末装置13は、周囲のビーコン10から送信される、第1領域a1における当該ビーコン10の設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域a2の第1領域a1における位置を示す領域情報とを取得可能な通信部21、26と、同一の第1領域a1に属する3つ以上のビーコン10それぞれから取得する位置情報に基づいてビーコン10に対する自身の相対位置を認識し、当該相対位置に基づいて自身が通行可能な領域を認定する制御部22、27とを備える。このような構成により、端末装置13は、位置情報及び領域情報を送信するビーコン10から当該情報を受信することにより、当該端末装置13を利用する移動体に通行可能な領域を付与させ得る。したがって、端末装置13は、視覚情報を利用できない移動体に、通行可能な領域を認識させ得る。
【0066】
又、端末装置13は、目的地へ向かう経路を記憶する記憶部24、30を備え、制御部22、27は、経路に従った移動において通行する第2領域a2を認定する。このような構成により端末装置13は、経路誘導機能を有する構成において、全体経路が第1領域a1を通過する場合に第1領域a1内で通行する領域を移動体に認識させ得る。
【0067】
又、端末装置13は、方角を検出する方位センサ28を備え、制御部27は検出した方角と相対位置とに基づいて第1領域a1における通行に関する案内を出力する。このような構成により、端末装置13は、当該端末装置13を利用する移動体が視覚情報を把握できず且つ通行可能な領域のデータでは当該領域がいずこかを把握できない場合でも、当該領域を把握させ得る。
【0068】
一実施形態において、(1)のビーコンは、
第1領域における自身の設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを送信する。
【0069】
(2)上記(1)のビーコンでは、
前記領域情報は、前記第1領域における前記第2領域の起点位置、前記第1領域の所定の基準方向に対する方向、及び前記第2領域の大きさを含む。
【0070】
(3)上記(1)又は(2)のビーコンでは、
前記領域情報は、送信時における前記第2領域の通行の可否を示す情報を含む。
【0071】
(4)上記(3)のビーコンでは、
前記第2領域の通行の可否を決定する第1装置から取得する情報に応じて、少なくとも一部の前記第2領域の通行の可否を示す情報が生成される。
【0072】
(5)上記(3)又は(4)のビーコンでは、
前記領域情報は、前記第2領域の通行の可否の切替までの時間を含む。
【0073】
一実施形態において、(6)の端末装置は、
周囲のビーコンから送信される、第1領域における該ビーコンの設置位置を示す位置情報と、移動体が通行可又は不可の少なくとも一方が定められた少なくとも1つの第2領域の前記第1領域における位置を示す領域情報とを取得可能な取得部と、
同一の前記第1領域に属する3つ以上のビーコンそれぞれから取得する前記位置情報に基づいて前記ビーコンに対する自身の相対位置を認識し、該相対位置に基づいて自身が通行可能な領域を認定する制御部と、を備える。
【0074】
(7)上記(6)の端末装置では、
目的地へ向かう経路を記憶する記憶部を、更に備え、
前記制御部は、前記経路に従った移動において通行する前記第2領域を認定する。
【0075】
(8)上記(6)又は(7)の端末装置では、
自身の向く方角を検出する方位センサを、更に備え、
前記制御部は、検出した方角と前記相対位置とに基づいて、前記第1領域における通行に関する案内を出力する。
【0076】
以上、ビーコン10及び端末装置13の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0077】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【0078】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0079】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0080】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0081】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0082】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1領域は、第2領域と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0083】
10 ビーコン
11 交通支援システム
12 提供ユニット
13 端末装置
14 第1装置
15 出力部
16 制御部
17 通信部
18 記憶部
19 制御部
20 第1の端末装置
21 通信部(取得部)
22 制御部
23 ロボット駆動部
24 記憶部
25 第2の端末装置
26 通信部
27 制御部
28 方位センサ
29 出力部
30 記憶部
a1 第1領域
a2 第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6