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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043894
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】管理装置、管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20240326BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/00 002Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149126
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 秀男
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC36
5C062AC61
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF15
5C072AA01
5C072BA13
5C072DA02
5C072EA08
5C072FB13
5C072FB23
5C072FB25
5C072LA12
5C072QA16
5C072RA16
5C072UA18
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに要する時間を短くすることである。
【解決手段】管理装置は、画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、前記プロセッサは、
画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知する管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記カメラによって前記原稿台を予め決められた間隔毎に撮像させる、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記カメラによって前記原稿台を撮像させる間隔については、日中と比して、朝夕を短くする、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記読取画像において複数部分の明度の平均を前記読取画像の明度とする、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記読取画像において前記原稿台の四隅側の部分における明度の平均を前記読取画像の明度とする、
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知する管理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像処理装置は、ドキュメントを載置する書画台と、書画台を撮影する撮影部と、輝度分布が基準となる状態での書画台の画像を予め記憶したメモリカードと、撮影部で撮影する書画台の画像とメモリカードで記憶した基準状態での書画台の画像とにより輝度の差分画像を取得し、得た輝度の差分画像に基づいて撮影部で撮影する書画台の画像中の少なくともドキュメント部分の輝度補正を行なう制御部と、制御部で得た画像を出力するUSBインタフェースとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-151871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、原稿台に載せられた原稿をカメラで読み取る書画カメラ等の画像読取装置がある。このような、画像読取装置では、室内光又は屋外からの自然光等によって、原稿が照射されるため、例えば、朝方又は夕方では、原稿に照射される光量が変化してしまう。換言すれば、環境の変化によって、原稿に照射される光量が変化してしまう。
【0005】
このような、画像読取装置では、原稿台に載せられた原稿を撮像し、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる。つまり、原稿に照射される光量が変化することで生じる明度処理については、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて行われる。このため、カメラが原稿台に載せられた原稿を撮像してから品質が確保された読取画像を出力するまでの時間が必要となっていた。
【0006】
本開示の課題は、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る管理装置は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知することを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る管理装置は、第1態様に記載の管理装置において、前記プロセッサは、前記カメラによって前記原稿台を予め決められた間隔毎に撮像させることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3態様に係る管理装置は、第2態様に記載の管理装置において、前記プロセッサは、前記カメラによって前記原稿台を撮像させる間隔については、日中と比して、朝夕を短くすることを特徴とする。
【0010】
本開示の第4態様に係る管理装置は、第1態様に記載の管理装置において、前記プロセッサは、前記読取画像において複数部分の明度の平均を前記読取画像の明度とすることを特徴とする。
【0011】
本開示の第5態様に係る管理装置は、第4態様に記載の管理装置において、前記読取画像において前記原稿台の四隅側の部分における明度の平均を前記読取画像の明度とすることを特徴とする。
【0012】
本開示の第6態様に係る管理プログラムは、画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第1態様に係る管理装置によれば、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【0014】
本開示の第2態様に係る管理装置によれば、原稿台に照射される光量が時間の経過によって変化しても、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【0015】
本開示の第3態様に係る管理装置によれば、朝夕の間隔が日中と同じ場合と比して、原稿台の明度の変化を効率よく取得することができる。
【0016】
本開示の第4態様に係る管理装置によれば、読取画像の一部分の明度を読取画像の明度とする場合と比して、読取画像の明度の精度を向上させることができる。
【0017】
本開示の第5態様に係る管理装置によれば、矩形状の原稿台の対角線において両端部分の明度の平均を読取画像の明度とする場合と比して、読取画像の明度の精度を向上させることができる。
【0018】
本開示の第6態様に係る管理プログラムによれば、読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施形態に係る管理装置を備えた画像読取システムを示した概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る管理装置によって管理される画像読取装置を示した斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係る管理装置によって管理される画像読取装置のフレーム等を示した斜視図である。
図4】(A)(B)本開示の管理装置のハードウェア構成、及び機能構成を示したブロック図である。
図5】本開示の管理装置による制御の流れを示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態に係る管理装置、及び管理プログラムの一例を図1図5に従って説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。さらに、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、図2図3に示す矢印Hは鉛直方向であって上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって奥行き方向を示す。
【0021】
先ず、管理装置10が用いられる画像読取システム100の概略構成について説明する。
(画像読取システム100)
画像読取システム100は、図1に示されるように、原稿Gの画像を読み取る画像読取装置110と、原稿Gが載せられる原稿台112の明度を管理し、画像読取装置110に対して原稿台112の読取画像の明度を通知する管理装置10とを備えている。
【0022】
〔画像読取装置110〕
画像読取装置110は、所謂書画カメラであって、図2に示されるように、原稿Gが載せられる原稿台112と、原稿台112に載せられた原稿Gを撮像するカメラ120とを備えている。さらに、画像読取装置110は、カメラ120を支持する支持部140(図3参照)と、カメラ120及び支持部140を覆うカバー170と、操作画面180aを有する操作部180と、を備えている。
【0023】
-原稿台112-
原稿台112は、図2に示されるように、平面視において矩形状とされている。本実施形態では、一例として、最大でA3サイズの原稿Gが原稿台112に載せられるようになっている。
【0024】
-支持部140-
支持部140は、金属材料を用いて形成されており、図3に示されるように、奥行き方向において原稿台112の奥側部分で、かつ、幅方向において原稿台112の両側部分が上方へ立ち上がる一対の縦フレーム142を備えている。さらに、支持部140は、一対の縦フレーム142の上端部に掛け渡された横フレーム144を備えている。ここで、奥行き方向とは、画像読取装置110を使用するために画像読取装置110の前に立ったユーザーに対して接離する方向であって、奥行き方向の手前側とは、ユーザーに近接する側であって、奥行き方向の奥側とは、ユーザーから離間する側である。
【0025】
そして、横フレーム144の幅方向の中央部分には、ブラケット144aが設けられ、このブラケット144aにカメラ120が取り付けられている。
【0026】
-カメラ120-
カメラ120は、図2に示されるように、上下方向において原稿台112の上方で、幅方向において原稿台112の中央側部分で、かつ、奥行き方向において原稿台112の中央に対して奥側に配置されている。
【0027】
また、カメラ120の筐体120aの内部には、撮像光学系が設けられており、筐体120aの下面には、撮像される画像を内部に取り込むためのレンズが設けられている。さらに、カメラ120に接続されるハーネスは、横フレーム144及び縦フレーム142を通って操作部180まで延びている。
【0028】
-カバー170-
カバー170は、樹脂材料を用いて形成されており、図2に示されるように、カメラ120、及び支持部140(図3参照)を覆っている。具体的には、カバー170は、カメラ120を上方から覆い、支持部140を奥行き方向の手前側から覆っている。
【0029】
-操作部180-
操作部180は、図2に示されるように、上下方向において、原稿台112とカメラ120との間で、かつ、奥行き方向において原稿台112に対して奥側に配置されている。
【0030】
操作部180は、操作画面180aを有し、操作画面180aは、所謂ユーザーインターフェース(User Interface)であって、画像読取装置110を使用するユーザーが、画像読取装置110との間で情報の受け渡しをする画面である。具体的には、ユーザーが画像読取装置110に対して画像形成動作等を指示する画面であり、かつ、画像読取装置110の稼働状態及び設定状態をユーザーへ知らせる画面である。
【0031】
この構成において、ユーザーが、原稿台112に原稿Gを載せて、操作画面180aから原稿Gの読み取りを指示すると、カメラ120によって原稿Gが撮像される。これにより、画像読取装置110は、原稿Gを読み取る。
【0032】
-制御部190-
制御部190は、図2に示されるように、カメラ120の内部に設けられ、ユーザーからの指示で原稿Gを撮像して読み取った読取画像の明度を調整する明度調整部、読取画像の色相を調整する色相調整部、及び読取画像の彩度を調整する彩度調整部を有している。
【0033】
この構成において、制御部190は、管理装置10から通知される原稿台112の明度に基づいて、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う。なお、管理装置10から通知される原稿台112の明度については、詳細を後述する。
【0034】
〔管理装置10〕
図1に示す管理装置10は、予め決められた間隔でカメラ120によって撮像されて読み取られた原稿台112の読取画像を受け取り、原稿台112の読取画像の明度を取得し、取得した明度を画像読取装置110の制御部190へ通知する。なお、明度については、一例として、読取画像からRGBを取得し、RGBからLab色空間に変換することで取得される。また、原稿台112の読取画像の明度を取得する工程については、後述する作用と共に説明する。
【0035】
-管理装置10のハードウェア構成-
管理装置10は、図4(A)に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、ストレージ34、及び通信インタフェース(I/F)35を有する。そして、各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
CPU31は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU31は、ROM32またはストレージ34からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32またはストレージ34に記録されているプログラムにしたがって、各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、例えば、ROM32またはストレージ34には、原稿Gが載せられる原稿台112の明度を管理する管理プログラムが格納されている。
【0037】
ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ34は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。通信インタフェース35は、管理装置10が画像読取装置110等と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0038】
上記の管理プログラムを実行する際に、管理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。管理装置10が実現する機能構成について説明する。
【0039】
-管理装置10の機能構成-
管理装置10は、図4(B)に示されるように、撮像指示部42、画像受取部44、取得部46、通知部48、判定部50、及び表示部52を有する。各機能構成は、CPU31がROM32またはストレージ34に記憶された管理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0040】
撮像指示部42は、画像読取装置110のカメラ120を稼動させて原稿Gが載せられていない原稿台112を撮像させる。画像受取部44は、カメラ120によって撮像されて読み取られた原稿台112の読取画像を受け取る。
【0041】
また、取得部46は、原稿台112の読取画像の明度を取得する。通知部48は、原稿台112の読取画像の明度を画像読取装置110の制御部190へ通知する。さらに、判定部50は、詳細は後述するが、最も新しい原稿台112の読取画像の明度と、以前撮像された原稿台112の読取画像の明度との差が予め決められた閾値以上か否かを判定する。表示部52は、原稿台112へ照射される光量変化について画像読取装置110の操作画面180aに表示する。
【0042】
(管理装置10の作用)
次に、管理装置10の作用について、図5に示すフロー図を用いて説明する。
画像読取装置110及び管理装置10の電源がユーザーによってONされると、図5に示すステップS100では、管理装置10の撮像指示部42が、カメラ120を稼動させて原稿Gが載せられていない原稿台112を撮像させる。
【0043】
さらに、ステップS200では、画像受取部44が、カメラ120によって撮像されて読み取られた原稿台112の読取画像を受け取る。
【0044】
また、ステップS300では、取得部46が、原稿台112の読取画像の明度を取得し、通知部48が、取得された明度を画像読取装置110の制御部190へ通知する。ここで、読取画像の明度とは、読取画像において原稿台112の四隅側の部分における明度の平均である。そして、画像読取装置110が原稿台112に載せられた原稿Gを撮像して読み取るときに、画像読取装置110の制御部190は、この通知された原稿台112の読取画像の明度に基づき、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う。
【0045】
さらに、ステップS400では、ステップS300で取得部46によって読取画像の明度が取得されてから予め決められた所定時間が経過すると、ステップS500へ移行する。なお、予め決められた所定時間とは、例えば、0.5時間以上3時間以下であり、1時間以上2時間以下であればより良い。
【0046】
また、所定時間については、日中と比して、朝夕を短くしてもよい。換言すれば、所定時間については、原稿台112を照射する光量変化の小さい時間帯と比して、原稿台112を照射する光量変化の大きい時間帯を短くしてもよい。例えば、午前9時から16時に到達する直前までの日中については、2時間とし、午前4時から午前9時に到達する直前までの朝方、及び16時から19時に到達する直前までの夕方については、1時間としてもよい。
【0047】
そして、取得部46による明度の取得から所定時間が経過すると、ステップS500では、撮像指示部42が、カメラ120を稼動させて原稿Gが載せられていない原稿台112を撮像させる。
【0048】
さらに、ステップS600では、画像受取部44が、カメラ120によって撮像されて読み取られた原稿台112の読取画像を受け取る。
【0049】
また、ステップS700では、取得部46が、受け取った原稿台112の読取画像の明度を取得し、判定部50が、原稿台112の読取画像の明度(以下「最新明度」と記載することがある)と、画像読取装置110の制御部190に通知した読取画像の明度(以下「前回明度」と記載することがある)とを比較する。ここで、原稿台112の読取画像の明度とは、ステップS300で記載したように、矩形状の原稿台112の四隅側の部分の明度の平均である。
【0050】
そして、判定部50は、最新明度と前回明度との差が予め決められた閾値以上か否かを判定する。ここで、最新明度と前回明度との差は、原稿台112へ照射される光量の変化に起因して生じる。つまり、原稿台112へ照射される光量変化が大きいと、最新明度と前回明度との差が大きくなる。一方、原稿台112へ照射される光量変化が小さいと、最新明度と前回明度との差が小さくなる。
【0051】
最新明度と前回明度との差が閾値以上の場合には、ステップS800へ移行し、明度の差が閾値未満の場合には、ステップS810へ移行する。
【0052】
そして、ステップS800では、表示部52が、原稿台112へ照射される光量に変化が生じたことを画像読取装置110の操作画面180aに表示する。
【0053】
さらに、ステップS900では、通知部48が、最新明度を画像読取装置110の制御部190へ通知する。そして、画像読取装置110が原稿台112に載せられた原稿Gを撮像して読み取るときに、画像読取装置110の制御部190は、この通知された最新明度に基づき、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う。
【0054】
また、通知部48が取得された最新明度を画像読取装置110の制御部190へ通知すると、ステップS810へ移行する。なお、ステップS700で、最新明度と前回明度との差が閾値未満の場合にも、ステップS810へ移行する。
【0055】
ステップS810では、ステップS700で取得部46によって読取画像の明度が取得されてから予め決められた所定時間が経過すると、ステップS500へ移行して、ステップS500では、前述したように、撮像指示部42が、カメラ120を稼動させて原稿Gが載せられていない原稿台112を撮像させる。換言すれば、撮像指示部42は、カメラ120によって原稿台112を予め決められた間隔毎に撮像させる。なお、予め決められた所定時間とは、ステップS400で説明した所定時間と同様である。
【0056】
そして、電源がOFFされることで前述した一連の工程が終了する。
【0057】
(まとめ)
以上説明したように、管理装置10においては、最新明度が、予め取得された前回明度に対して閾値以上異なる場合には、最新明度を画像読取装置110の制御部190へ通知する。そして、画像読取装置110が原稿台112に載せられた原稿Gを撮像して読み取るときに、画像読取装置110の制御部190は、この通知された最新明度に基づき、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う。これにより、原稿Gを読み取った読取画像の明度に基づいて原稿Gの読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う時間が短くなることで、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間が短くなる。
【0058】
また、管理装置10においては、撮像指示部42は、カメラ120によって原稿台112を所定時間毎に撮像させる。これにより、原稿台112に照射される光量が時間の経過によって変化しても、原稿Gを読み取った読取画像の明度に基づいて原稿Gの読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間が短くなる。
【0059】
また、管理装置10においては、原稿台112を撮像させる間隔については、日中と比して、朝夕を短くする。このように、単位時間当たりの光量変化が大きい朝夕については、原稿台112を撮像させる間隔を短くする。これにより、朝夕の間隔が日中の間隔と同じ場合と比して、原稿台112の明度の変化が効率よく取得される。
【0060】
また、管理装置10においては、原稿台112の読取画像の複数部分の明度の平均を撮像画像の明度とする。このため、原稿台112の読取画像の一部分の明度を読取画像の明度とする場合と比して、原稿台112の読取画像の明度の精度が向上する。
【0061】
また、管理装置10においては、原稿台112の読取画像において原稿台112の四隅側の部分の明度の平均を読取画像の明度とする。このため、原稿台112の対角線の両端部分における明度の平均を読取画像の明度とする場合と比して、原稿台112の読取画像の明度の精度が向上する。
【0062】
また、管理プログラムにおいては、原稿Gを読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、原稿Gの読取画像に対する明度処理を行う時間が短くなることで、品質が確保された読取画像を出力するのに要する時間が短くなる。
【0063】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態のステップS400では、特に説明しなかったが、19時から午前4時に到達する直前までの夜中の間隔については、光量変化が小さいため、日中の間隔(2時間間隔)と同様としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、画像読取装置110が、原稿台112に載せられた原稿Gに光を照射する照射部を備えてもよい。この場合には、画像読取装置110の制御部190は、管理装置10から通知された明度と、照射部による光量とを考慮して、原稿Gを読み取った読取画像に対する明度処理を行う。
【0065】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、画像読取装置110が、管理装置10を備えていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、原稿台112を白色としてもよい。これにより、原稿台が黒色の場合と比して、原稿台112の明度の精度が向上する。
【0067】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、原稿台112を撮像し、読取画像から明度を読み取る部分のみを白色としてもよい。これにより、黒色の場合と比して、明度の精度が向上する。
【0068】
また、上記実施形態では、読取画像において矩形状の原稿台112の四隅側の部分の明度の平均を原稿台112の明度としたが、原稿台全体の平均値、領域毎の平均値、又は格子点のサンプリング値等によって、原稿台の明度が取得されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、ステップS800で、原稿台112へ照射される光量の変化が操作画面180aに表示された場合に、明度の差分も表示して、ユーザーに手動補正を促してもよく、明度の差分を考慮し画像入力時に明度調整/コントラスト調整/ガンマ調整等をユーザーに手動補正を促してもよく、日中であれば、赤や黄を鮮やかに感じ、青や緑は黒ずむ特色の彩度調整を促してもよく、また、夕方であれば、青や緑が鮮やかに感じ、赤や黄が暗く感じる特色の彩度調整を促してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、画像読取装置110が、プリンターに備えられていてもよい。
【0071】
また、上記各実施形態でCPU31がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、モード変更処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0072】
また、上記各実施形態では、プログラムがROM32またはストレージ34に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0073】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、例えばCPU( Central Processing Unit)等の汎用的なプロセッサや、例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable GateArray)、及びプログラマブル論理デバイス等の専用のプロセッサを含むものである。
【0074】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0075】
(((1)))
プロセッサを含み、前記プロセッサは、
画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知する管理装置。
【0076】
上記構成によれば、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【0077】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記カメラによって前記原稿台を予め決められた間隔毎に撮像させる、
(((1)))に記載の管理装置。
【0078】
上記構成によれば、原稿台に照射される光量が時間の経過によって変化しても、原稿を読み取った読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【0079】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記カメラによって前記原稿台を撮像させる間隔については、日中と比して、朝夕を短くする、
(((2)))に記載の管理装置。
【0080】
上記構成によれば、朝夕の間隔が日中と同じ場合と比して、原稿台の明度の変化を効率よく取得することができる。
【0081】
(((4)))
前記プロセッサは、
前記読取画像において複数部分の明度の平均を前記読取画像の明度とする、
(((1)))~(((3)))の何れか1に記載の管理装置。
【0082】
上記構成によれば、読取画像の一部分の明度を読取画像の明度とする場合と比して、読取画像の明度の精度を向上させることができる。
【0083】
(((5)))
前記プロセッサは、
前記読取画像において前記原稿台の四隅側の部分における明度の平均を前記読取画像の明度とする、
(((4)))に記載の管理装置。
【0084】
上記構成によれば、矩形状の原稿台の対角線において両端部分の明度の平均を読取画像の明度とする場合と比して、読取画像の明度の精度を向上させることができる。
【0085】
(((6)))
コンピュータに、
画像読取装置のカメラによって原稿が載せされる原稿台を撮像して読み取らせ、前記原稿台を読み取った読取画像の明度が、予め取得された明度に対して閾値以上異なる場合には、前記読取画像の明度を前記画像読取装置へ通知する管理プログラム。
【0086】
上記構成によれば、読取画像の明度に基づいて読取画像に対する明度処理が行われる場合と比して、品質が確保された読取画像を出力するのに必要とする時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0087】
10 管理装置
100 画像読取システム
110 画像読取装置
112 原稿台
120 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5