(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043913
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】浄水器及びフィルターユニット
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20240326BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240326BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C02F1/28 G
C02F1/28 D
C02F1/44 B
B01D29/04 510B
B01D29/04 510F
B01D29/04 530A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149151
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】502090688
【氏名又は名称】宮坂 義政
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 義政
【テーマコード(参考)】
4D006
4D116
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA07
4D006HA03
4D006HA19
4D006JA13C
4D006JB06
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(57)【要約】
【課題】MF中空糸フィルターの目詰まりを抑え、かつ浄水の供給能力を高めることが可能な浄水器及びフィルターユニットを実現すること。
【解決手段】浄水器1は、原水を貯留する容器10と、蓄圧式ポンプ12と、フィルターユニット15とを有している。フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30、及びプレフィルターユニット30に直列に連結されるポストフィルターユニット31を有している。フィルターユニット15は、吸入開口部33から排出開口部82に向かって順に金網59、第1スポンジシート63、第1不織布64、活性炭フィルター65及びMF中空糸フィルター80が配設されている。吸入開口部33が形成される原水吸入側端面60と第1スポンジシート63との間には、原水が流動可能な隙間Hが設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去対象物を含んだ原水を濾過することにより飲用水又は生活用水を生成する浄水器であって、 前記原水を貯留する容器と、
前記容器の内部を加圧する蓄圧式ポンプと、
前記容器の内部に装着される筒状のフィルターユニットと、を有し、
前記フィルターユニットは、一方の端部に前記原水を吸入する吸入開口部を備えるプレフィルターユニット、及び前記プレフィルターユニットに直列に連結され、濾過後の前記飲用水又は前記生活用水を排出する排出開口部を備えるポストフィルターユニット、を有し、
前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記フィルターユニットは、前記吸入開口部から前記排出開口部に向かって順に配設される金網、第1スポンジシート、第1不織布、活性炭フィルター及びMF中空糸フィルターを有し、
前記活性炭フィルターと前記MF中空糸フィルターとの間には、少なくとも第2スポンジシート、第2不織布又は活性炭シートのいずれかが層状に配置される中間フィルターを有し、
前記吸入開口部が形成される原水吸入側端面と前記金網との間には、前記金網の厚み方向に前記原水が流動可能な隙間が設けられている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水器において、
前記プレフィルターユニットは、前記金網、前記第1スポンジシート、前記第1不織布、前記活性炭フィルター及び前記中間フィルターと、これらを収容する外筒と、を有して構成され、
前記ポストフィルターユニットは、前記MF中空糸フィルターと、該MF中空糸フィルター収容する外筒と、を有して構成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項3】
請求項1に記載の浄水器において、
前記隙間は、前記吸入開口部の周縁から前記金網に向かって周方向に間欠的に突設される突起部によって形成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項4】
請求項1に記載の浄水器において、
前記活性炭フィルターは顆粒の集合であって、前記吸入開口部と前記中間フィルターとの間に粒径が異なる第1活性炭フィルター及び第2活性炭フィルターの2層構造を有し、
前記吸入開口部側に配置される前記第1活性炭フィルターの平均粒径が、前記中間フィルター側に配置される前記第2活性炭フィルターの前記平均粒径より大きい、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項5】
請求項4記載の浄水器において、
前記第1活性炭フィルターと前記第2活性炭フィルターとの間に仕切りフィルターが介在され、
前記仕切りフィルターは、不織布又は活性炭シートで構成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項6】
請求項1に記載の浄水器において、
前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記中間フィルターは、前記ポストフィルターユニットと前記活性炭フィルターとの間で挟持されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項7】
請求項1に記載の浄水器において、
前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとは、着脱可能に連結されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項8】
請求項1に記載の浄水器において、
前記フィルターユニットは、浄水排出用コックに着脱可能に装着され、前記浄水排出用コックを介して前記容器に着脱可能に装着されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項9】
除去対象物を含んだ原水を吸入する吸入開口部を備えるプレフィルターユニット、及び前記プレフィルターユニットに直列に連結され濾過後の飲用水又は生活用水を排出する排出開口部を備えるポストフィルターユニットで構成され、
前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記吸入開口部から前記排出開口部に向かって順に配設される金網、第1スポンジシート、第1不織布、活性炭フィルター及びMF中空糸フィルターを有し、
前記活性炭フィルターと前記MF中空糸フィルターとの間には、少なくとも活性炭シート、第2不織布又は第2スポンジシートいずれかが層状に配置される中間フィルターを有し、
前記吸入開口部が形成される原水吸入側端面と前記金網との間に、前記金網の厚み方向に前記原水が流動可能な隙間が設けられている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルターユニットにおいて、
前記プレフィルターユニットは、前記金網、前記第1スポンジシート、前記第1不織布、前記活性炭フィルター及び前記中間フィルターと、これらを収容する外筒と、を有して構成され、
前記ポストフィルターユニットは、前記MF中空糸フィルターと、該MF中空糸フィルターを収容する外筒と、を有し、
前記プレフィルターユニットと、前記ポストフィルターユニットとは、着脱可能に連結されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器及びフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
台風や地震などの災害などの非常時においては、水道、電力、ガスなどのライフラインの寸断によって被害者の生活に大きな影響を与えることがある。特に、生活に必要な飲用水や生活用水などの浄水の確保は重要である。災害時の対応手段として、例えば、水道水以外の河川、貯水池又は貯水槽などに溜めた雨水などの原水から生活に必要な浄水を生成するための浄水器を日頃から準備しておくことが重要となる。
【0003】
非常時に使用可能な浄水器としては、原水を駐留する可搬型の容器に浄化器(以降、フィルターと記載する)を接続し、原水を濾過するというものがある。このフィルターは、原水側に活性炭を備えプレフィルターに相当する吸着部、及び、給水側に中空糸フィルターを備えポストフィルターに相当する濾過部で構成されている。吸着部と濾過部は着脱可能であり、フィルターは、容器に対して着脱可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルターのうち、吸着部の原水入り口は、活性炭収容部の内径を縮小した開口部としているため、活性炭の原水入り口側の端面全体に原水が拡がりにくく、原水の供給効率が低下し、その結果、浄水の供給能力が低下するという課題がある。
【0006】
また、吸着部と濾過部との間にはシート状のフィルターを介在させてはいるが、シート状のフィルターだけでは、細かく崩れた微小活性炭が濾過部に流れ出し中空糸フィルターの目詰まりを起こす虞がある。中空糸フィルターの目詰まりは、浄水供給能力の低下を招くことになり、フィルターの使用可能期間の短縮を招くことになる。
【0007】
吸着部は、筒状容器内に粒状又は繊維状の活性炭が収容されている。活性炭は、筒状容器の原水入り口から中空糸フィルターとの間に配置されるが、使用途中で崩れ可搬型の容器内の原水中に流れ出しプレフィルターとしての吸着機能が低下することがある。この濾過部は、筒状容器内に粒状又は繊維状の活性炭を収容しているが、筒状容器内で移動可能であることから粒体の一つひとつが壊れやすいことからも吸着機能が低下する一因となっている。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、中空糸フィルターの目詰まりを抑え、中空糸フィルターの使用可能時間を長く、かつ浄水の供給能力を高めることが可能な浄水器及びフィルターユニットを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の浄水器は、除去対象物を含んだ原水を濾過することにより飲用水又は生活用水を生成する浄水器であって、前記原水を貯留する容器と、前記容器の内部を加圧する蓄圧式ポンプと、前記容器の内部に装着される筒状のフィルターユニットと、を有し、前記フィルターユニットは、一方の端部に前記原水を吸入する吸入開口部を備えるプレフィルターユニット、及び前記プレフィルターユニットに直列に連結され、濾過後の前記飲用水又は前記生活用水を排出する排出開口部を備えるポストフィルターユニット、を有し、前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記フィルターユニットは、前記吸入開口部から前記排出開口部に向かって順に配設される金網、第1スポンジシート、第1不織布、活性炭フィルター及びMF中空糸フィルターを有し、前記活性炭フィルターと前記MF中空糸フィルターとの間には、少なくとも第2スポンジシート、第2不織布又は活性炭シートのいずれかが層状に配置される中間フィルターを有し、前記吸入開口部が形成される原水吸入側端面と前記金網との間には、前記金網の厚み方向に前記原水が流動可能な隙間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
[2]本発明の浄水器においては、前記プレフィルターユニットは、前記金網、前記第1スポンジシート、前記第1不織布、前記活性炭フィルター及び前記中間フィルターと、これらを収容する外筒と、を有して構成され、前記ポストフィルターユニットは、前記MF中空糸フィルターと、該MF中空糸フィルター収容する外筒と、を有して構成されていることが好ましい。
【0011】
[3]本発明の浄水器においては、前記隙間は、前記吸入開口部の周縁から前記金網に向かって周方向に間欠的に突設される突起部によって形成されていることが好ましい。
【0012】
[4]本発明の浄水器においては、前記活性炭フィルターは顆粒の集合であって、前記吸入開口部と前記中間フィルターとの間に粒径が異なる第1活性炭フィルター及び第2活性炭フィルターの2層構造を有し、前記吸入開口部側に配置される前記第1活性炭フィルターの平均粒径が、前記中間フィルター側に配置される前記第2活性炭フィルターの前記平均粒径より大きいことが好ましい。
【0013】
[5]本発明の浄水器においては、前記第1活性炭フィルターと前記第2活性炭フィルターとの間に仕切りフィルターが介在され、前記仕切りフィルターは、不織布又は活性炭シートで構成されていることが好ましい。
【0014】
[6]本発明の浄水器においては、前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記中間フィルターは、前記ポストフィルターユニットと前記活性炭フィルターとの間で挟持されていることが好ましい。
【0015】
[7]本発明の浄水器においては、前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとは、着脱可能に連結されていることが好ましい。
【0016】
[8]本発明の浄水器においては、前記フィルターユニットは、浄水排出用コックに着脱可能に装着され、前記浄水排出用コックを介して前記容器に着脱可能に装着されていることが好ましい。
【0017】
[9]本発明のフィルターユニットは、除去対象物を含んだ原水を吸入する吸入開口部を備えるプレフィルターユニット、及び前記プレフィルターユニットに直列に連結され濾過後の飲用水又は生活用水を排出する排出開口部を備えるポストフィルターユニットで構成され、前記プレフィルターユニットと前記ポストフィルターユニットとを連結したときに、前記吸入開口部から前記排出開口部に向かって順に配設される金網、第1スポンジシート、第1不織布、活性炭フィルター及びMF中空糸フィルターを有し、前記活性炭フィルターと前記MF中空糸フィルターとの間には、少なくとも第2スポンジシート、第2不織布又は活性炭シートのいずれかが層状に配置される中間フィルターを有し、前記吸入開口部が形成される原水吸入側端面と前記金網との間に、前記金網の厚み方向に前記原水が流動可能な隙間が設けられていることを特徴とする。
【0018】
[10]本発明のフィルターユニットにおいては、前記プレフィルターユニットは、前記第1スポンジシート、前記第1不織布、前記活性炭フィルター及び前記中間フィルターと、これらを収容する外筒と、を有して構成され、前記ポストフィルターユニットは、前記MF中空糸フィルターと、該MF中空糸フィルターを収容する外筒と、を有し、前記プレフィルターユニットと、前記ポストフィルターユニットとは、着脱可能に連結されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の浄水器は、吸入開口部から排出開口部に向かって順に配設される金網、第1スポンジシート、第1不織布、活性炭フィルター及びMF中空糸フィルターを有するフィルターユニットによって、原水を濾過して飲用水や生活用水を給水することが可能となる。
【0020】
また、吸入開口部が形成される原水吸入側端面と第1スポンジシートとの間に金網を配置し、原水吸入側端面と金網との間に金網(第1スポンジシート)の厚み方向に原水が流動可能な隙間を設けている。この隙間を設けることによって、第1スポンジシートが原水吸入側端面に密着しないため、原水が第1スポンジシートの全体、つまりフィルターユニットの断面方向に拡がり、飲用水又は生活用水(浄水という)の供給効率を高めることが可能となる。なお、金網を設けることによって、フィルターユニット内の圧力上昇に伴う第1スポンジシートの変形を抑え、原水供給を維持することが可能となる。
【0021】
また、ポストフィルターユニットの上流側にあるプレフィルターユニットは、第1スポンジシート、第1不織布、第1活性炭フィルター、第2活性炭フィルター及び中間フィルターを有していることから、MF中空糸フィルターの目詰まりの発生を抑え、MF中空糸フィルターの使用可能時間を長くすることが可能であり、浄水の供給能力を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】濾過器ユニット11の構成を示す斜視図である。
【
図3】濾過器ユニット11の構成を示す組立分解図である。
【
図4】濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を示す部分断面図である。
【
図5】フィルターユニット15の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る浄水器1及びフィルターユニット15について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0024】
(浄水器1の構成)
図1は、浄水器1の概略を示す概観斜視図である。浄水器1は、原水を貯留する容器10、容器10の底部に近い位置に接続される濾過器ユニット11、容器10の上部に配設される蓄圧式ポンプ12、及び容器10内の圧力上昇を制御する安全弁13を有している。なお、原水とは、そのままでは飲用できない水や生活用水として使用できないような除去対象物を含んだ水である。また、生活用水は、飲用水としては適さないが、手や顔を洗ったり、洗濯をしたりすることが可能な水をさす。なお、以降の説明において、原水を濾過して得られる飲用水及び生活用水を総称して浄水と記載することがある。
【0025】
容器10は、一人でも液体を運搬できる軽量の、例えば、通称ポリタンクである。浄水器1は、ポリタンクに限らずもっと大型のタンクや固定式の貯留槽に濾過器ユニット11を取り付ければ適合可能となる。しかし、容器10は、災害などの非常時においては、一人でも運搬可能な可搬型であることがより好ましい。
図1に例示する浄水器1は、容器10の底部に近い位置に濾過器ユニット11が接続されているために、床や地面に置いた状態で飲用水や生活用水を排出可能としている。
図1に示す濾過器ユニット11は、浄水排出用コック14が外部に取り付けられており、原水を濾過するフィルターユニット15(
図2参照)は、容器10内に挿入される。蓄圧式ポンプ12は、一般に使用されている構造のものを使用できるので説明を省略する。なお、蓄圧式ポンプ12は、ポンプ固定キャップ43によって着脱可能である。
【0026】
(濾過器ユニット11の構成)
図2は、濾過器ユニット11の構成を示す斜視図である。濾過器ユニット11は、浄水排出用コック14及びフィルターユニット15で構成されている。浄水排出用コック14は、フィルターユニット15を接続する接続パイプ部36を備える濾過器接続キャップ17、濾過器接続キャップ17に接続されるキャップ接続パイプ35、キャップ接続パイプ35に直交接続される浄水排出パイプ18、及び、ハンドル部19を有している。濾過器接続キャップ17は、キャップ接続パイプ35に対して回転自在であり、容器10の取付け用突起部50に浄水排出用コック14を取り付けることが可能な構成である。濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造については、
図4を参照して詳しく説明する。
【0027】
フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30(
図3参照)とポストフィルターユニット31とから構成されている。フィルターユニット15は、ポストフィルターユニット31の紙面右側の端部が濾過器接続キャップ17にOリング32(
図3及び
図4参照)を介して圧入される。プレフィルターユニット30の紙面左側端部には、容器10内の原水を導入する吸入開口部33が設けられている。フィルターユニット15は、濾過器接続キャップ17に嵌着する位置以外の大部分が容器10内に配置される。続いて、濾過器ユニット11におけるフィルターユニット15と浄水排出用コック14との組み立て構造、及び、濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0028】
図3は、濾過器ユニット11の構成を示す組立分解図である。既述したように、濾過器ユニット11は、浄水排出用コック14とフィルターユニット15とから構成される。浄水排出用コック14は、濾過器接続キャップ17、ハンドル部19、及び浄水排出パイプ18で構成される。浄水排出パイプ18には、浄水排出パイプ18の軸方向に対して直交するキャップ接続パイプ35が突出されており、キャップ接続パイプ35は、濾過器接続キャップ17の接続パイプ部36にOリング37を介して圧入されている。
【0029】
浄水排出用コック14は、ハンドル部19の回転操作に連動して回転し、浄水排出パイプ18とキャップ接続パイプ35との連通作用及び閉鎖作用を担う開閉部材38を有している。なお、濾過器接続キャップ17は、キャップ接続パイプ35に対して回転させることが可能である。すなわち、濾過器接続キャップ17に対して浄水排出パイプ18の向きを変えることが可能となっている。
【0030】
次に、フィルターユニット15の浄水排出用コック14への装着について説明する。フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30及びポストフィルターユニット31とで構成されている。
図3に示すように、ポストフィルターユニット31の浄水排出用コック14側の端部外周には、2本のOリング32が装着されている。Oリング32の外周はポストフィルターユニット31の外筒39の外周より突出している。フィルターユニット15は、濾過器接続キャップ17に向かって押し込むことによって浄水排出用コック14に連結される。
【0031】
具体的には、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部40内の突き当て部41に外筒39の先端部39a(
図4(a)も参照する)を突き当たるまで押し込む。こうすることでフィルターユニット15を浄水排出用コック14に装着することができる。逆にフィルターユニット15を浄水排出用コック14から引き抜いて取外すことができる。この動作を二点鎖線で表している。この際、Oリング32は濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部40との間で水漏れが発生しないような締め代を有し、かつ、浄水器1の使用中において簡単に外れないような締め代を有している。
【0032】
次いで、浄水排出用コック14の操作について説明する。ハンドル部19を左回転すると、開閉部材38が回転しながら上方に引上げられ浄水排出パイプ18と開閉部材38の間の止水部42に隙間ができ、浄水排出パイプ18からフィルターユニット15で濾過された浄水が排出される。ハンドル部19を右回転すると、開閉部材38が回転しながら押し下げられ止水部42を閉鎖し、浄水の排出が停止される。
【0033】
続いて、濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造について、
図4を参照して説明する。濾過器ユニット11の容器10への着脱は、容器10に原水を貯留する前に行われる。
【0034】
図4は、濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を示す部分断面図である。フィルターユニット15は、浄水排出用コック14に装着されている。容器10は、外側方向に突出する濾過器ユニット11を取り付けるための取付け用突起部50を有している。取付け用突起部50に設けられるフィルターユニット挿通孔51は、フィルターユニット15を容易に挿通させる大きさである。濾過器接続キャップ17の先端突起部52をフィルターユニット挿通孔51に合わせて押し込みながら取付け用突起部50の雄ネジ53に濾過器接続キャップ17の雌ネジ20を螺合させることによって、濾過器ユニット11を容器10に取り付けることができる。
【0035】
濾過器接続キャップ17の内側には、ガスケット55が配設されている。取付け用突起部50の先端面56がガスケット55を押圧することによって、濾過器接続キャップ17からの漏水を防ぐことができる。また、フィルターユニット15と濾過器接続キャップ17との間は、Oリング32によって濾過後の浄水の液密性が保たれている。
【0036】
続いて、フィルターユニット15の構成について、
図5を参照して説明する。
【0037】
(フィルターユニット15の構成)
図5は、フィルターユニット15の構成を示す断面図である。
図5(a)は、全体構成を示す断面図であり、
図5(b)は、プレフィルターユニット30の原水吸入側端面60を示す側面図、
図5(c)は、ポストフィルターユニット31の開口部82側から見た側面図であり、
図5(d)は、ポストフィルターユニット31のプレフィルターユニット30側から見たプレフィルター側端面73を示す側面図である。まず、プレフィルターユニット30の構成について
図5(a),(b)を参照して説明する。プレフィルターユニット30は、原水吸入側端面60、ポストフィルターユニット31が嵌着される排出開口部61を備える外筒62、及び外筒62内にフィルター機能を有する各種部材が層状に配設され構成されている。
【0038】
フィルター機能を有する各種部材としては、吸入開口部33側から排出開口部61側に向かって、金網59、第1スポンジシート63、活性炭フィルター65及び中間フィルター68が層状に配置されている。活性炭フィルター65は顆粒(粒状)の集合体であって、吸入開口部33側から順に粒径が異なる第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67の2層構造を有している。吸入開口部33側に配置される第1活性炭フィルター66の平均粒径は、第2活性炭フィルター67の平均粒径より大きい。
【0039】
本例においては、例えば、第1活性炭フィルター66の粒径を0.5mm~1.7mmとし、第2活性炭フィルター67の粒径を0.35mm~0.85mmとしている。つまり、第1活性炭フィルター66の平均粒径を第2活性炭フィルター67の平均粒径の約2倍としている。第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67を用いることは、従来から用いられている沈殿式濾過装置の考え方と同じである。つまり、活性炭フィルター65においては、粒径が大きい第1活性炭フィルター66によって、比較的大きい除去対象物を吸着し、粒径が小さい第2活性炭フィルター67によって、第1活性炭フィルター66が吸着する除去対象物より小さい除去対象物を吸着除去することが可能となっている。なお、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67の容量(重量)割合は、原水の質に対応して適宜設定することができる。
【0040】
中間フィルター68は、第2活性炭フィルター67側から活性炭シート71、第2不織布70、第2スポンジシート69の順に層状に配置されている。中間フィルター68は、プレフィルターユニット30の外筒62にポストフィルターユニット31の外筒39を挿着することによって、第2活性炭フィルター67と、ポストフィルターユニット31を構成するプレフィルター側端面73との間で挟持される。中間フィルター68は、活性炭フィルター65を透過した砂やごみなどの除去対象物を吸着し、ポストフィルターユニット31に流動させないために設けられている。活性炭シート71を第2活性炭フィルター67側に設ける理由は、第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67から発生する細かい粉状となった活性炭をポストフィルターユニット31に流動することを防ぐためである。
【0041】
また、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67との間には仕切りフィルター72が配置されている。仕切りフィルター72は、例えば、第1不織布64又は活性炭シート71を使用することが可能である。なお、第1スポンジシート63と第2スポンジシート69は同じものを使用することが可能であり、第1不織布64と第2不織布70は同じものを使用することが可能である。仕切りフィルター72は、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67とが互いに混ざり合うことを防ぐ機能を有している。ただし、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67が同じ粒径、類似粒径又は混ざり合いにくいことが確認できれば省略することが可能である。
【0042】
また、
図5(a)に示す例において、中間フィルター68は、第2活性炭フィルター67側から、活性炭シート71、第2不織布70、第2スポンジシート69の順に配置しているが、この順番を任意に変えることが可能であり、いずれか一つ、又は二つの組み合わせとすることも可能である。
【0043】
ところで、プレフィルターユニット30において、外筒62の原水吸入側端面60の内側には、金網59及び第1スポンジシート63が配置されている。そして、原水吸入側端面60と金網59との間には、金網59(第1スポンジシート63)の厚み方向に原水が流動可能な隙間Hが設けられている。
図5(a),(b)に示すように、この隙間Hは、吸入開口部33の周縁から金網59に向かって周方向に間欠的に突設される突起部74によって形成される。
【0044】
突起部74の高さ、つまり、突起部74によって形成される隙間Hは1.5mm~3mm程度とすることが好ましい。突起部74がなく、しかも金網59がない場合には、原水吸入側端面60の内面と第1スポンジシート63が密接するため、吸入開口部33から流入した原水が第1スポンジシート63の外周方向に拡がりにくく、原水の吸入効率が低下してしまう。そこで、
図5(b)において二点鎖線の矢印で示すように、隙間Hを設けることによって、吸入開口部33から流入した原水は、突起部74の間から第1スポンジシート63の面全体に拡がる。つまり、外筒62内の断面全体に原水が拡がることで原水吸入効率、及び第1スポンジシート63より下流の原水流動効率を高めることが可能となる。
【0045】
ただし、原水をフィルターユニット15に注入すると、プレフィルターユニット30内の圧力が上昇する。この圧力によって、第1スポンジシート63が突起部74に食い込むように変形し、隙間Hを設ける効果がなくなるおそれがある。そこで、金網59を配置すし、第1スポンジシート63の変形を抑え、原水の供給を維持する。金網59は、メッシュ20とすることが、原水供給に支障がなく、第1スポンジシート63の変形を抑えることに適している。なお、メッシュ20とは、長さ1インチの範囲に目数が20あることをいう。
【0046】
プレフィルターユニット30は、主として原水に含まれる砂や有機物のごみなどの除去対象物を吸着除去する機能を有している。第1スポンジシート63及び第1不織布64は、比較的大きな除去対象物を吸着除去することによって下流側の活性炭フィルター65の詰まりを防ぎ、さらに、顆粒(粒状)の集合である第1活性炭フィルター66が崩れたり、吸入開口部33から漏れ出したりすることを防ぐ機能を有している。なお、金網59、第1スポンジシート63、第1不織布64、仕切りフィルター72及び中間フィルター68の外周面は、外筒62の内周面62aに密接させることが好ましい。
【0047】
続いて、ポストフィルターユニット31の構成について、
図5(a),(c),(d)を参照して説明する。ポストフィルターユニット31は、外筒39と、外筒39の内部に配置されるMF中空糸フィルター80とで構成される。なお、
図5(a)では、MF中空糸フィルター80の図は簡略化して表している。MF中空糸フィルター80は、微小な孔を多数有する膜を中空糸状に形成し、膜の連続した組織の間にある超微細な孔にプレフィルターユニット30を通過した原水を透過させることによって原水の濾過を行うものであり、原水から懸濁質、コロイド粒子及び細菌などを分離し、飲用水にすることが可能である。
【0048】
MF中空糸フィルター80の膜に設けられる孔の大きさは、20nm~100nmのものが飲用水の生成に対応可能である。なお、浄水器1で飲用水に生成できる原水は、例えば、風呂水、期限切れのペットボトルの水、プールの水、貯水タンクの水や谷川の湧水などである。
図5(a)に示すMF中空糸フィルター80は、多数の中空糸を束にしたものを使用しており、プレフィルターユニット30側、つまり、原水が導入される側が緩やかな折り返し部81となっている。
【0049】
MF中空糸フィルター80は、
図5(a),(c)に示すように、開口部82側にMF中空糸フィルター80が束ねられて配置される。MF中空糸フィルター80は、その1本1本の流通孔83が開口部82に露出し、膜の微小な孔を透過した透過水が開口部82から浄水として浄水排出用コック14(
図3、
図4参照)に流出し、浄水排出パイプ18から浄水を給水することが可能となる。
【0050】
MF中空糸フィルター80は、外筒39の内周面85に対してフリーの状態であり、開口部82においてMF中空糸フィルター80の束の外周側面は樹脂などを充填して固められている。この充填範囲は、樹脂充填領域Aで表される(
図5(a)参照)。
【0051】
外筒39のプレフィルター側端面73は、
図5(d)に示すようにプレフィルターユニット30を透過した原水が流通する孔84が設けられている。プレフィルター側端面73は、中間フィルター68を支持するのに必要な面積と、原水が流通しやすい程度の面積の孔84を有する。よって、孔84の形状、大きさ及び配置は、適宜設定することが可能である。
【0052】
フィルターユニット15に原水を透過させるためには、蓄圧式ポンプ12で容器10内を300kPa以上加圧することが好ましい。したがって、容器10の耐圧に余裕があり、さらに安全弁13を設けることによって、容器10を、いわゆるポリタンクとすることが可能であり、軽量化を図ることができる。
【0053】
プレフィルターユニット30は、ポストフィルターユニット31に対して着脱可能に連結されている。具体的は、フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30の外筒62の排出開口部61に、ポストフィルターユニット31の外筒39を挿し込むことによって連結され一体化する。この際、外筒62の外径寸法を基準に、外筒62の排出開口部61の内経寸法を現物合せによって成形することによって、着脱し易く、さらに連結部における原水の漏れを抑えている。プレフィルターユニット30にごみなどの除去対象物が付着しフィルター機能が損なわれる恐れがあると判断した際には、プレフィルターユニット30をポストフィルターユニット31から取外して交換したり、フィルターユニット15を浄水排出用コック14から取外して交換したりすることが可能である。
【0054】
なお、第1スポンジシート63は、吸入開口部33から見て、除去対象物を視覚的に確認しやすい色調にすることが好ましい。このようにすることによって、濾過器ユニット11を容器10から除去対象物の付着具合を見て、交換時期を判断することが可能である。
【0055】
図1に戻って浄水器1の操作について説明する。まず、容器10に濾過器ユニット11を装着し、浄水排出用コック14を閉鎖した後、容器10に固定しているポンプ固定キャップ43を緩めて容器10から蓄圧式ポンプ12を抜き出す。次いで、蓄圧式ポンプ12を抜き出した後の開口部(図示は省略)から原水を容器10に給水する。その後、蓄圧式ポンプ12を容器10内にポンプ固定キャップ43によって容器10に固定する。そして蓄圧式ポンプ12のポンピング動作によって、容器10内を加圧し原水を所定の圧力でフィルターユニット15に送り込む。浄水排出用コック14を解放すると、フィルターユニット15を原水が流動し、フィルターユニット15で濾過された浄水を浄水排出用コック14から排出する。
【0056】
以上説明した本発明の浄水器1は、容器10、蓄圧式ポンプ12及びフィルターユニット15で構成される。フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31で構成され、第1スポンジシート63、第1不織布64、活性炭フィルター65、MF中空糸フィルター80などの各種フィルターを有している。
【0057】
このような各種フィルターを使用することによって、第1スポンジシート63及び第1不織布64によって、比較的大きなごみなどの除去対象物を吸着除去した原水を活性炭フィルター65で濾過し、さらに中間フィルター68によって活性炭フィルター65を透過した原水から除去対象物を吸着除去する。フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30の下流側にMF中空糸フィルター80を有し、MF中空糸フィルター80によって懸濁質、コロイド粒子及び細菌などを分離し飲用水に浄化する。このような構成にすることによって、MF中空糸フィルター80の目詰まりを防ぎ、原水から飲用水や生活用水などの浄水の供給能力を高め、さらに、他のフィルター部材より高価なMF中空糸フィルター80の使用可能時間を長くすることが可能となる。
【0058】
また、吸入開口部33が形成される原水吸入側端面60と第1スポンジシート63との間に、第1スポンジシート63の厚み方向に原水が流動可能な隙間Hが設けられている。原水吸入側端面60と第1スポンジシート63との間には、金網59が介在されている。吸入開口部33から流入した原水は、隙間Hを通って第1スポンジシート63の面全体に拡がる。つまり、外筒62内の断面全体に原水が拡がることで原水吸入効率、及び第1スポンジシート63より下流の原水流動効率を高めることが可能となる。その結果、MF中空糸フィルター80の目詰まりを抑えること合わせて、浄水の供給能力を高めることが可能となる。また、原水吸入側端面60と第1スポンジシート63との間に金網59を設けることによって、プレフィルターユニット30内の圧力によって、第1スポンジシート63が変形して隙間Hが縮小してしまうことを防止し、原水の供給を維持することが可能となる。
【0059】
また、プレフィルターユニット30は、金網59、第1スポンジシート63、第1不織布64、活性炭フィルター65及び中間フィルター68と、これらを収容する外筒62とから構成される。一方、ポストフィルターユニット31は、MF中空糸フィルター80と、MF中空糸フィルター80収容する外筒39とから構成される。
【0060】
このように構成されるフィルターユニット15は、プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31とに分けて構成しているために、原水の除去対象物の含有状態によって、上記フィルターを有する各部材の構成を変えたり、組み合わせを変えたりすることが容易に可能となる。
【0061】
また、原水吸入側端面60の内面と、第1スポンジシート63との間の隙間Hは、吸入開口部33の周縁から金網59(第1スポンジシート63)に向かって周方向に間欠的に突設される突起部74によって形成される。したがって、突起部74を別部品で用意するよりも容易に形成することが可能となる。なお、突起部74の形状は、原水の流動性を高めることが可能であれば、略四角柱以外に円柱や三角柱など任意形状にしてもよい。
【0062】
また、活性炭フィルター65は顆粒の集合であって、吸入開口部33(原水吸入側端面60)から68中間フィルターとの間に粒径が異なる第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67の2層構造を有し、吸入開口部33側に配置される第1活性炭フィルター66の平均粒径が、中間フィルター68側の第2活性炭フィルター67の平均粒径より大きい。
【0063】
上流側の第1活性炭フィルター66では、比較的大きな除去対象物を吸着し、さらに下流側の第2活性炭フィルター67では、それより小さな除去対象物を吸着除去する。このような構成にすることによって、第2活性炭フィルター67の目詰まりを抑えながら、微小ごみなどを吸着除去することが可能となる。
【0064】
また、プレフィルターユニット30は、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67との間に仕切りフィルター72を介在している。仕切りフィルター72を設けることによって、第1活性炭フィルター66と第2活性炭フィルター67とが互いに混ざり合うことを防ぎ、第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67各々の吸着特性を維持することが可能となる。
【0065】
プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31とを連結したときに、中間フィルター68は、ポストフィルターユニット31と活性炭フィルター65(第2活性炭フィルター67)との間で挟持されている。中間フィルター68は、このようにすることによって、形状の崩れや位置ずれがなく初期状態を維持することが可能となる。また、中間フィルター68は、第2活性炭フィルター67側から活性炭シート71、第2不織布70、第2スポンジシート69の順に層状に配置されている。活性炭フィルター65側に配置される活性炭シート71は、第1活性炭フィルター66及び第2活性炭フィルター67から発生する細かい粉状となった活性炭を第2不織布70、第2スポンジシート69の手前で吸着し、ポストフィルターユニット31に流動することを防ぐ。
【0066】
また、浄水器1においては、プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31とは、着脱可能に連結可能に構成されている。このように構成することによって、プレフィルターユニット30にごみなどの除去対象物が付着しフィルター機能が損なわれるおそれがあると判断した際には、プレフィルターユニット30をポストフィルターユニット31から取外して交換することが可能となる。逆に、ポストフィルターユニット31の機能が損なわれたと判断した際には、ポストフィルターユニット31のみを交換することが可能となる。
【0067】
浄水器1において、フィルターユニット15は、浄水排出用コック14に着脱可能に装着され、浄水排出用コック14を介して容器10に着脱可能に装着される。浄水排出用コック14は、耐久性があり長期間にわたって使用することが可能である。しかし、フィルターユニット15は原水の濾過機能が劣化することがある。そこで、浄水排出用コック14にフィルターユニット15を着脱可能とすることによって、フィルターユニット15の交換を容易に行うことが可能なる。なお、フィルターユニット15と浄水排出用コック14とは、Oリング32の反発力で連結されているため、誰でも容易に装着したり、取外したりすることができる。
【0068】
また、フィルターユニット15は、浄水排出用コック14を介して容器10に取り付けることができる。具体的には、フィルターユニット15が浄水排出用コック14の装着された濾過器ユニット11を濾過器接続キャップ17によって、容器10の取付け用突起部50に螺合させる。したがって、容器10に濾過器ユニット11を取り付ければ、浄水器1を使用可能な状態とすることができ、容器10から濾過器ユニット11を取り外せば、フィルターユニット15の交換が可能となる。
【0069】
また、以上説明したフィルターユニット15は、除去対象物を含んだ原水を吸入する吸入開口部33を備えるプレフィルターユニット30、及びプレフィルターユニット30に直列に連結され、濾過後の飲用水又は生活用水などの浄水を排出する排出開口部61を備えるポストフィルターユニット31を有している。プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31とを連結したときに、フィルターユニット15は、吸入開口部33から排出開口部61に向かって順に配設される金網59、第1スポンジシート63、第1不織布64、活性炭フィルター65及びMF中空糸フィルター80を有し、活性炭フィルター65とMF中空糸フィルター80との間には、少なくとも活性炭シート71、第2不織布70又は第2スポンジシート69のいずれかが層状に配置される中間フィルター68を有している。吸入開口部33が形成される原水吸入側端面60と金網59との間には、第1スポンジシート63の厚み方向に原水が流動可能な隙間Hが設けられている。
【0070】
このように構成されるフィルターユニット15は、第1スポンジシート63及び第1不織布64によって、比較的大きなごみなどの除去対象物を吸着除去した原水を活性炭フィルター65で濾過し、中間フィルター68によって活性炭フィルター65を透過した原水から除去対象物をさらに吸着除去する。フィルターユニット15は、プレフィルターユニット30の下流側にMF中空糸フィルター80を有し、MF中空糸フィルター80によって懸濁質、コロイド粒子及び細菌などを分離し飲用水に浄化する。このような構成にすることによって、MF中空糸フィルター80の目詰まりを防ぎ、原水から飲用水や生活用水などの浄水の供給能力を高めることが可能となる。
【0071】
また、吸入開口部33が形成される原水吸入側端面60と金網59との間に、金網59(第1スポンジシート63)の厚み方向に原水が流動可能な隙間Hが設けられている。吸入開口部33から流入した原水は、隙間Hを通って第1スポンジシート63の面全体に拡がる。つまり、外筒62内の断面全体に原水が拡がることで原水吸入効率、及び第1スポンジシート63より下流の原水流動効率を高めることが可能となる。その結果、MF中空糸フィルター80の目詰まりを抑えることに合わせて、浄水の供給能力を高めることが可能となる。また、金網59を設けることによって、第1スポンジシート63の変形を防止することが可能となる。
【0072】
また、プレフィルターユニット30は、金網59、第1スポンジシート63、第1不織布64、活性炭フィルター65及び中間フィルター68と、これらを収容する外筒62と、を有して構成され、ポストフィルターユニット31は、MF中空糸フィルター80と、MF中空糸フィルター80を収容する外筒39と、を有し、プレフィルターユニット30と、ポストフィルターユニット31とは、着脱可能に連結されている。
【0073】
このように構成されるフィルターユニット15は、プレフィルターユニット30とポストフィルターユニット31とに分けて構成しているために、原水の除去対象物の含有状態によって、上記フィルター機能を有する各部材の構成を変えたり、組み合わせを変えたりすることを容易に行うことが可能となる。また、プレフィルターユニット30にごみなどの除去対象物が付着しフィルター機能が損なわれる恐れがあると判断した際には、プレフィルターユニット30をポストフィルターユニット31から取外して交換することが可能となる。逆に、ポストフィルターユニット31の機能が損なわれたと判断した際には、ポストフィルターユニット31のみを交換することが可能となる。
【0074】
以上説明した浄水器1及びフィルターユニット15によれば、MF中空糸フィルター80の目詰まりの発生を抑え、高価なMF中空糸フィルター80の使用可能時間を長く、かつ浄水の供給能力を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1…浄水器、10…容器、11…濾過器ユニット、12…蓄圧式ポンプ、14…浄水排出用コック、15…フィルターユニット、17…濾過器接続キャップ、18…浄水排出パイプ、30…プレフィルターユニット、31…ポストフィルターユニット、33…吸入開口部、39,62…外筒、59…金網、60…原水吸入側端面、61…排出開口部、62…外筒、63…第1スポンジシート、64…第1不織布、65…活性炭フィルター、66…第1活性炭フィルター、67…第2活性炭フィルター、68…中間フィルター、69…第2スポンジシート、70…第2不織布、71…活性炭シート、72…仕切りフィルター、73…プレフィルター側端面、74…突起部、80…MF中空糸フィルター、82…開口部、H…隙間