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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043922
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電磁弁駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F16K31/06 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149167
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA25
3H106EE35
(57)【要約】
【課題】配線の本数を少なくしつつも、複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動制御を、電磁弁の誤動作を生じさせること無く、1つの制御回路で達成すること。
【解決手段】電磁弁駆動制御装置20は、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12それぞれの第1端に共通して電気的に接続され、且つ、制御回路21にも電気的に接続される共通正極配線30を採用している。第1分岐配線61には第1電流遮断素子71が設けられるとともに、第2分岐配線62には第2電流遮断素子72が設けられている。これによれば、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことが回避される。よって、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまうといったこと無い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動を制御する電磁弁駆動制御装置であって、
前記複数の駆動コイルの通電制御を行うとともにグランド端子を1つだけ有する1つの制御回路と、
前記複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられるとともに前記各駆動コイルへの通電のオンオフ制御を行う複数のスイッチング素子と、
前記複数の駆動コイルそれぞれの第1端に共通して電気的に接続され、且つ、前記制御回路にも電気的に接続される共通正極配線と、
前記複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられるとともに前記複数の駆動コイルそれぞれの第2端に電気的に接続される複数の負極配線と、
前記複数の負極配線に対応して1つずつ設けられるとともに前記共通正極配線から前記制御回路へ一定の電圧を印加するために前記共通正極配線と前記各負極配線との間にそれぞれ設けられる複数の定電圧回路と、
前記複数の負極配線に対応して1つずつ設けられるとともに前記グランド端子に電気的に接続され、前記グランド端子に対して分岐して前記複数の負極配線にそれぞれ電気的に接続される複数の分岐配線と、
前記各分岐配線にそれぞれ設けられるとともに前記各負極配線から前記各分岐配線を介して前記分岐配線における前記グランド端子に対する分岐箇所に向けて流れる電流を遮断する電流遮断素子と、を備えている電磁弁駆動制御装置。
【請求項2】
前記電流遮断素子は、ダイオードである請求項1に記載の電磁弁駆動制御装置。
【請求項3】
前記電流遮断素子は、スイッチング素子である請求項1に記載の電磁弁駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動を制御する電磁弁駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動を制御する電磁弁駆動制御装置が、例えば特許文献1に開示されている。このような電磁弁駆動制御装置は、駆動コイルの通電制御を行う制御回路を備えている。制御回路は、複数の駆動コイルの通電制御を行う。例えば、電磁弁が、駆動コイルを2つ備えたダブルソレノイドタイプの電磁弁である場合、制御回路は、2つの駆動コイルに対して交互に通電が行われるように、2つの駆動コイルの通電制御を行う。これにより、電磁弁の弁体が動作して、流体の流路の流れが切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-177818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような電磁弁駆動制御装置においては、電磁弁駆動制御装置の小型化や制御回路の配置スペースの制約等の観点から、複数の駆動コイルに対応して制御回路を1つずつ備えることが困難となっている。したがって、特許文献1のように、1つの制御回路で、複数の駆動コイルの通電制御を行うことが望まれている。また、このような電磁弁駆動制御装置においては、配線の本数を極力少なくしたいという要望がある。したがって、配線の本数を少なくしつつも、複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動制御を、電磁弁の誤動作を生じさせること無く、1つの制御回路で達成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電磁弁駆動制御装置は、複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動を制御する電磁弁駆動制御装置であって、前記複数の駆動コイルの通電制御を行うとともにグランド端子を1つだけ有する1つの制御回路と、前記複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられるとともに前記各駆動コイルへの通電のオンオフ制御を行う複数のスイッチング素子と、前記複数の駆動コイルそれぞれの第1端に共通して電気的に接続され、且つ、前記制御回路にも電気的に接続される共通正極配線と、前記複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられるとともに前記複数の駆動コイルそれぞれの第2端に電気的に接続される複数の負極配線と、前記複数の負極配線に対応して1つずつ設けられるとともに前記共通正極配線から前記制御回路へ一定の電圧を印加するために前記共通正極配線と前記各負極配線との間にそれぞれ設けられる複数の定電圧回路と、前記複数の負極配線に対応して1つずつ設けられるとともに前記グランド端子に電気的に接続され、前記グランド端子に対して分岐して前記複数の負極配線にそれぞれ電気的に接続される複数の分岐配線と、前記各分岐配線にそれぞれ設けられるとともに前記各負極配線から前記各分岐配線を介して前記分岐配線における前記グランド端子に対する分岐箇所に向けて流れる電流を遮断する電流遮断素子と、を備えている。
【0006】
上記電磁弁駆動制御装置において、前記電流遮断素子は、ダイオードであるとよい。
上記電磁弁駆動制御装置において、前記電流遮断素子は、スイッチング素子であるとよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、配線の本数を少なくしつつも、複数の駆動コイルを有する電磁弁の駆動制御を、電磁弁の誤動作を生じさせること無く、1つの制御回路で達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における電磁弁駆動制御装置を説明するための回路図である。
図2】電流の流れを説明するための回路図である。
図3】電流の流れを説明するための回路図である。
図4】第2実施形態における電磁弁駆動制御装置を説明するための回路図である。
図5】電流の流れを説明するための回路図である。
図6】電流の流れを説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、電磁弁駆動制御装置を具体化した第1実施形態を図1図3にしたがって説明する。
【0010】
<電磁弁10>
図1に示すように、電磁弁10は、駆動コイルである第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12を有している。したがって、本実施形態の電磁弁10は、駆動コイルを2つ備えたダブルソレノイドタイプである。そして、電磁弁10は、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12に対して交互に通電が行われることにより、図示しない弁体が動作して、流体の流路の流れを切り換えるように構成されている。このような電磁弁10は既に公知であるため、その詳細な構成の説明を省略する。
【0011】
<電磁弁駆動制御装置20の全体構成>
電磁弁駆動制御装置20は、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12を有する電磁弁10の駆動を制御する。したがって、電磁弁駆動制御装置20は、複数の駆動コイルを有する電磁弁10の駆動を制御する。電磁弁駆動制御装置20は、外部制御機器15からの駆動信号に基づいて、電磁弁10の駆動を制御する。
【0012】
電磁弁駆動制御装置20は、1つの制御回路21を備えている。制御回路21は、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12の通電制御を行う。制御回路21は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)である。制御回路21は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御回路21は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0013】
制御回路21は、電源入力端子22と、第1信号入力端子23と、第2信号入力端子24と、第1信号出力端子25と、第2信号出力端子26と、グランド端子27と、を有している。したがって、制御回路21は、グランド端子27を1つだけ有している。
【0014】
電磁弁駆動制御装置20は、共通正極配線30を備えている。共通正極配線30の第1端は、外部制御機器15の正極端子16に電気的に接続されている。共通正極配線30の第2端は、第1駆動コイル11の第1端及び第2駆動コイル12の第1端に共通して電気的に接続されている。
【0015】
電磁弁駆動制御装置20は、負極配線である第1負極配線31及び第2負極配線32を備えている。第1負極配線31は、第1駆動コイル11に対応して設けられている。第2負極配線32は、第2駆動コイル12に対応して設けられている。
【0016】
第1負極配線31の第1端は、外部制御機器15の第1負極端子17に電気的に接続されている。第1負極配線31の第2端は、第1駆動コイル11の第2端に電気的に接続されている。第2負極配線32の第1端は、外部制御機器15の第2負極端子18に電気的に接続されている。第2負極配線32の第2端は、第2駆動コイル12の第2端に電気的に接続されている。したがって、電磁弁駆動制御装置20は、複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられるとともに複数の駆動コイルそれぞれの第2端に接続される複数の負極配線を備えている。
【0017】
共通正極配線30は、第1抵抗R1及び第1ツェナーダイオードZD1を介して第1負極配線31に電気的に接続されている。第1ツェナーダイオードZD1のカソード端子は、第1抵抗R1に電気的に接続されている。第1ツェナーダイオードZD1のアノード端子は、第1負極配線31に電気的に接続されている。第1ツェナーダイオードZD1には、第1コンデンサC1が並列接続されている。
【0018】
第1抵抗R1と第1ツェナーダイオードZD1との中間点には、第1接続線33が電気的に接続されている。第1接続線33の第1端は、第1抵抗R1と第1ツェナーダイオードZD1との中間点に電気的に接続されている。第1接続線33の第2端は、第1ダイオードD1のアノード端子に電気的に接続されている。第1ダイオードD1のカソード端子は、回路電源線34に電気的に接続されている。第1接続線33の途中には、第1信号線35が接続されている。第1信号線35の第1端は、第1接続線33の途中に電気的に接続されている。第1信号線35の第2端は、第1信号入力端子23に電気的に接続されている。
【0019】
第1ツェナーダイオードZD1及び第1コンデンサC1は、共通正極配線30と第1負極配線31との間に設けられる定電圧回路である第1定電圧回路41を構成している。第1定電圧回路41は、共通正極配線30から制御回路21へ一定の電圧を印加するために、共通正極配線30と第1負極配線31との間に設けられている。
【0020】
共通正極配線30は、第2抵抗R2及び第2ツェナーダイオードZD2を介して第2負極配線32に電気的に接続されている。第2ツェナーダイオードZD2のカソード端子は、第2抵抗R2に電気的に接続されている。第2ツェナーダイオードZD2のアノード端子は、第2負極配線32に電気的に接続されている。第2ツェナーダイオードZD2には、第2コンデンサC2が並列接続されている。
【0021】
第2抵抗R2と第2ツェナーダイオードZD2との中間点には、第2接続線36が電気的に接続されている。第2接続線36の第1端は、第2抵抗R2と第2ツェナーダイオードZD2との中間点に電気的に接続されている。第2接続線36の第2端は、第2ダイオードD2のアノード端子に電気的に接続されている。第2ダイオードD2のカソード端子は、回路電源線34に電気的に接続されている。回路電源線34は、電源入力端子22に電気的に接続されている。第2接続線36の途中には、第2信号線37が接続されている。第2信号線37の第1端は、第2接続線36の途中に電気的に接続されている。第2信号線37の第2端は、第2信号入力端子24に電気的に接続されている。
【0022】
第2ツェナーダイオードZD2及び第2コンデンサC2は、共通正極配線30と第2負極配線32との間に設けられる定電圧回路である第2定電圧回路42を構成している。第2定電圧回路42は、共通正極配線30から制御回路21へ一定の電圧を印加するために、共通正極配線30と第2負極配線32との間に設けられている。
【0023】
したがって、複数の定電圧回路は、複数の負極配線に対応して1つずつ設けられている。そして、複数の定電圧回路は、共通正極配線30から制御回路21へ一定の電圧を印加するために共通正極配線30と各負極配線との間にそれぞれ設けられている。
【0024】
電磁弁駆動制御装置20は、スイッチング素子である第1スイッチング素子51及び第2スイッチング素子52を備えている。第1スイッチング素子51は、第1駆動コイル11に対応して設けられている。第2スイッチング素子52は、第2駆動コイル12に対応して設けられている。したがって、スイッチング素子は、複数の駆動コイルに対応して1つずつ設けられている。
【0025】
第1スイッチング素子51は、第1負極配線31に設けられている。第1スイッチング素子51は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)である。第1スイッチング素子51のゲート端子は、第3抵抗R3を介して第1信号出力端子25に電気的に接続されている。第1スイッチング素子51のドレイン端子は、第1駆動コイル11の第2端に電気的に接続されている。第1スイッチング素子51のソース端子は、外部制御機器15の第1負極端子17に電気的に接続されている。なお、第1スイッチング素子51は、第1ボディダイオード51aを有している。
【0026】
第2スイッチング素子52は、第2負極配線32に設けられている。第2スイッチング素子52は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)である。第2スイッチング素子52のゲート端子は、第4抵抗R4を介して第2信号出力端子26に電気的に接続されている。第2スイッチング素子52のドレイン端子は、第2駆動コイル12の第2端に電気的に接続されている。第2スイッチング素子52のソース端子は、外部制御機器15の第2負極端子18に電気的に接続されている。なお、第2スイッチング素子52は、第2ボディダイオード52aを有している。
【0027】
図2に示すように、例えば、外部制御機器15の第1負極端子17がオン状態であって、第2負極端子18がオフ状態であるとする。この場合、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第1抵抗R1、第1ツェナーダイオードZD1、第1負極配線31、及び第1負極端子17の順に電流が流れる。すると、第1接続線33、第1ダイオードD1、及び回路電源線34を介して電源入力端子22に電力が供給される。これにより、制御回路21が駆動する。さらに、第1接続線33、及び第1信号線35を介して第1信号入力端子23に駆動信号が入力される。
【0028】
制御回路21は、第1信号入力端子23に駆動信号が入力されると、第1信号出力端子25から第1スイッチング素子51に信号を出力する。これにより、第1スイッチング素子51がオン状態となる。したがって、第1スイッチング素子51は、第1信号出力端子25から信号が出力されている場合、オン状態となっている。第1スイッチング素子51は、第1信号出力端子25から信号が出力されていない場合、オフ状態となっている。第1信号出力端子25から出力される信号は、PWM制御信号である。
【0029】
第1スイッチング素子51がオン状態となると、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第1駆動コイル11、第1負極配線31、及び第1負極端子17の順に電流が流れる。これにより、第1駆動コイル11への通電が行われる。一方で、第1スイッチング素子51がオフ状態となると、第1駆動コイル11への通電が遮断される。このように、第1スイッチング素子51は、第1駆動コイル11への通電のオンオフ制御を行う。
【0030】
図3に示すように、例えば、外部制御機器15の第1負極端子17がオフ状態であって、第2負極端子18がオン状態であるとする。この場合、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第2抵抗R2、第2ツェナーダイオードZD2、第2負極配線32、及び第2負極端子18の順に電流が流れる。すると、第2接続線36、第2ダイオードD2、及び回路電源線34を介して電源入力端子22に電力が供給される。これにより、制御回路21が駆動する。さらに、第2接続線36、及び第2信号線37を介して第2信号入力端子24に駆動信号が入力される。
【0031】
制御回路21は、第2信号入力端子24に駆動信号が入力されると、第2信号出力端子26から第2スイッチング素子52に信号を出力する。これにより、第2スイッチング素子52がオン状態となる。したがって、第2スイッチング素子52は、第2信号出力端子26から信号が出力されている場合、オン状態となっている。第2スイッチング素子52は、第2信号出力端子26から信号が出力されていない場合、オフ状態となっている。第2信号出力端子26から出力される信号は、PWM制御信号である。
【0032】
第2スイッチング素子52がオン状態となると、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第2駆動コイル12、第2負極配線32、及び第2負極端子18の順に電流が流れる。これにより、第2駆動コイル12への通電が行われる。一方で、第2スイッチング素子52がオフ状態となると、第2駆動コイル12への通電が遮断される。このように、第2スイッチング素子52は、第2駆動コイル12への通電のオンオフ制御を行う。したがって、電磁弁駆動制御装置20は、各駆動コイルへの通電のオンオフ制御を行う複数のスイッチング素子を備えている。
【0033】
<第1分岐配線61及び第2分岐配線62>
図1に示すように、電磁弁駆動制御装置20は、分岐配線である第1分岐配線61及び第2分岐配線62を備えている。第1分岐配線61は、第1負極配線31に対応して設けられている。第1分岐配線61は、グランド端子27に電気的に接続されている。第1分岐配線61は、グランド端子27に対して分岐して第1負極配線31に電気的に接続されている。第2分岐配線62は、第2負極配線32に対応して設けられている。第2分岐配線62は、グランド端子27に電気的に接続されている。第2分岐配線62は、グランド端子27に対して分岐して第2負極配線32に電気的に接続されている。したがって、分岐配線は、複数の負極配線に対応して1つずつ設けられるとともにグランド端子27に電気的に接続され、グランド端子27に対して分岐して複数の負極配線にそれぞれ電気的に接続されている。
【0034】
図2に示すように、例えば、外部制御機器15の第1負極端子17がオン状態であって、第2負極端子18がオフ状態であるとする。この場合、グランド端子27から流れる電流は、第1分岐配線61、及び第1負極配線31を介して外部制御機器15の第1負極端子17に流れる。
【0035】
図3に示すように、例えば、外部制御機器15の第1負極端子17がオフ状態であって、第2負極端子18がオン状態であるとする。この場合、グランド端子27から流れる電流は、第2分岐配線62、及び第2負極配線32を介して外部制御機器15の第2負極端子18に流れる。
【0036】
<第1電流遮断素子71及び第2電流遮断素子72>
図1に示すように、電磁弁駆動制御装置20は、電流遮断素子である第1電流遮断素子71及び第2電流遮断素子72を備えている。第1電流遮断素子71は、第1分岐配線61に設けられている。第1電流遮断素子71は、ダイオードである。第1電流遮断素子71のアノード端子は、グランド端子27に電気的に接続されている。第1電流遮断素子71のカソード端子は、第1負極配線31に電気的に接続されている。第1電流遮断素子71は、グランド端子27から第1分岐配線61を介して第1負極配線31に向けて流れる電流を許容する。一方で、第1電流遮断素子71は、第1負極配線31から第1分岐配線61を介して第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流を遮断する。
【0037】
第2電流遮断素子72は、第2分岐配線62に設けられている。第2電流遮断素子72は、ダイオードである。第2電流遮断素子72のアノード端子は、グランド端子27に電気的に接続されている。第2電流遮断素子72のカソード端子は、第2負極配線32に電気的に接続されている。第2電流遮断素子72は、グランド端子27から第2分岐配線62を介して第2負極配線32に向けて流れる電流を許容する。一方で、第2電流遮断素子72は、第2負極配線32から第2分岐配線62を介して第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流を遮断する。したがって、電流遮断素子は、各分岐配線にそれぞれ設けられるとともに各負極配線から各分岐配線を介して分岐配線におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流を遮断する。なお、「分岐箇所63」は、第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所であって、且つ、第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所でもある。
【0038】
[第1実施形態の作用]
次に、第1実施形態の作用について説明する。
ここで、制御回路21を1つだけ備えている電磁弁駆動制御装置20においては、制御回路21は、グランド端子27を1つだけ有している構成の場合が一般的である。このとき、電磁弁駆動制御装置20から引き出される配線の本数を少なくするためには、グランド端子27を第1負極配線31及び第2負極配線32それぞれに電気的に接続する必要がある。このため、電磁弁駆動制御装置20は、第1分岐配線61及び第2分岐配線62を備えた構成とする必要がある。
【0039】
ここで、例えば、第2分岐配線62に第2電流遮断素子72が設けられていない場合を考える。この場合、外部制御機器15の第2負極端子18がオフ状態であっても、図2において破線の矢印で示すように、電流が回り込んで流れてしまう。具体的には、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第2抵抗R2、第2定電圧回路42、第2負極配線32、第2分岐配線62、第1分岐配線61、第1負極配線31、及び第1負極端子17の順に電流が流れてしまう。
【0040】
すると、第2負極端子18がオフ状態であるにもかかわらず、第2接続線36、及び第2信号線37を介して第2信号入力端子24に駆動信号が入力されて、第2スイッチング素子52がオン状態になってしまう。その結果、第2駆動コイル12への通電が行われてしまい、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまう。
【0041】
また、例えば、第1分岐配線61に第1電流遮断素子71が設けられていない場合を考える。この場合、外部制御機器15の第1負極端子17がオフ状態であっても、図3において破線の矢印で示すように、電流が回り込んで流れてしまう。具体的には、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第1抵抗R1、第1定電圧回路41、第1負極配線31、第1分岐配線61、第2分岐配線62、第2負極配線32、及び第2負極端子18の順に電流が流れてしまう。
【0042】
すると、第1負極端子17がオフ状態であるにもかかわらず、第1接続線33、及び第1信号線35を介して第1信号入力端子23に駆動信号が入力されて、第1スイッチング素子51がオン状態になってしまう。その結果、第1駆動コイル11への通電が行われてしまい、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまう。
【0043】
そこで、第1分岐配線61に第1電流遮断素子71が設けられるとともに、第2分岐配線62に第2電流遮断素子72が設けられている。これによれば、第1電流遮断素子71によって、第1負極配線31から第1分岐配線61を介して第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流が遮断される。また、第2電流遮断素子72によって、第2負極配線32から第2分岐配線62を介して第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流が遮断される。したがって、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことが回避されている。その結果、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまうといったことが無い。
【0044】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)電磁弁駆動制御装置20は、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12それぞれの第1端に共通して電気的に接続され、且つ、制御回路21にも電気的に接続される共通正極配線30を採用している。このため、例えば、正極配線を第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12に対応して1つずつ設けるとともに、さらには、制御回路21に対しても正極配線を別途設ける場合に比べて、配線の本数を少なくすることができる。
【0045】
第1分岐配線61には第1電流遮断素子71が設けられるとともに、第2分岐配線62には第2電流遮断素子72が設けられている。これによれば、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことが回避される。よって、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまうといったこと無い。以上により、配線の本数を少なくしつつも、複数の駆動コイルを有する電磁弁10の駆動制御を、電磁弁10の誤動作を生じさせること無く、1つの制御回路21で達成することができる。
【0046】
(1-2)第1電流遮断素子71及び第2電流遮断素子72は、ダイオードである。ダイオードは、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことを回避するために用いられる電流遮断素子として好適である。
【0047】
(1-3)第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12を別々のタイミングで通電する際に、第1スイッチング素子51及び第2スイッチング素子52それぞれのオンオフで第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12の駆動を制御することができる。このため、共通正極配線30を採用した構成であっても、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12それぞれに対する消費電力を抑えることができる。したがって、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12への起動電流が不足したり、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12に対する通電時間が長くなってしまったりするといった問題を回避することができる。
【0048】
[第2実施形態]
以下、電磁弁駆動制御装置を具体化した第2実施形態を図4図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。第2実施形態では、電流遮断素子の構成が、第1実施形態とは異なる。
【0049】
<第1電流遮断素子81及び第2電流遮断素子82>
図4に示すように、電磁弁駆動制御装置20は、電流遮断素子である第1電流遮断素子81及び第2電流遮断素子82を備えている。第1電流遮断素子81は、第1分岐配線61に設けられている。第1電流遮断素子81は、スイッチング素子である。具体的には、第1電流遮断素子81は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)である。第1電流遮断素子81のゲート端子は、第1信号線35に電気的に接続されている。第1電流遮断素子81のドレイン端子は、第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に電気的に接続されている。第1電流遮断素子81のソース端子は、第1負極配線31に接続されている。
【0050】
第1電流遮断素子81は、第1信号線35からの信号がゲート端子に入力されるとオン状態になる。第1電流遮断素子81は、第1信号線35からの信号がゲート端子に入力されていない場合、オフ状態になっている。したがって、外部制御機器15の第1負極端子17がオン状態となると、第1電流遮断素子81はオン状態となる。第1電流遮断素子81がオン状態となると、グランド端子27から第1分岐配線61を介して第1負極配線31に向けて流れる電流を許容する。一方で、第1電流遮断素子81がオフ状態になると、第1負極配線31から第1分岐配線61を介して第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流を遮断する。
【0051】
第2電流遮断素子82は、第2分岐配線62に設けられている。第2電流遮断素子82は、スイッチング素子である。具体的には、第2電流遮断素子82は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)である。第2電流遮断素子82のゲート端子は、第2信号線37に電気的に接続されている。第2電流遮断素子82のドレイン端子は、第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に電気的に接続されている。第2電流遮断素子82のソース端子は、第2負極配線32に接続されている。
【0052】
第2電流遮断素子82は、第2信号線37からの信号がゲート端子に入力されるとオン状態になる。第2電流遮断素子82は、第2信号線37からの信号がゲート端子に入力されていない場合、オフ状態になっている。したがって、外部制御機器15の第2負極端子18がオン状態となると、第2電流遮断素子82はオン状態となる。第2電流遮断素子82がオン状態となると、グランド端子27から第2分岐配線62を介して第2負極配線32に向けて流れる電流を許容する。一方で、第2電流遮断素子82がオフ状態になると、第2負極配線32から第2分岐配線62を介して第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流を遮断する。
【0053】
[第2実施形態の作用]
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図5において破線の矢印で示すように、例えば、第2分岐配線62に第2電流遮断素子82が設けられていない場合、外部制御機器15の第2負極端子18がオフ状態であっても、電流が回り込んでしまう。具体的には、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第2抵抗R2、第2定電圧回路42、第2負極配線32、第2分岐配線62、第1分岐配線61、第1負極配線31、及び第1負極端子17の順に電流が流れてしまう。
【0054】
すると、第2負極端子18がオフ状態であるにもかかわらず、第2接続線36、及び第2信号線37を介して第2信号入力端子24に駆動信号が入力されて、第2スイッチング素子52がオン状態になってしまう。その結果、第2駆動コイル12への通電が行われてしまい、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまう。
【0055】
図6において破線の矢印で示すように、例えば、第1分岐配線61に第1電流遮断素子81が設けられていない場合、外部制御機器15の第1負極端子17がオフ状態であっても、電流が回り込んで流れてしまう。具体的には、外部制御機器15の正極端子16から共通正極配線30、第1抵抗R1、第1定電圧回路41、第1負極配線31、第1分岐配線61、第2分岐配線62、第2負極配線32、及び第2負極端子18の順に電流が流れてしまう。
【0056】
すると、第1負極端子17がオフ状態であるにもかかわらず、第1接続線33、及び第1信号線35を介して第1信号入力端子23に駆動信号が入力されて、第1スイッチング素子51がオン状態になってしまう。その結果、第1駆動コイル11への通電が行われてしまい、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまう。
【0057】
そこで、第1分岐配線61に第1電流遮断素子81が設けられるとともに、第2分岐配線62に第2電流遮断素子82が設けられている。これによれば、例えば、第1負極端子17がオフ状態であれば、第1電流遮断素子81がオフ状態となる。その結果、第1電流遮断素子81によって、第1負極配線31から第1分岐配線61を介して第1分岐配線61におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流が遮断される。また、例えば、第2負極端子18がオフ状態であれば、第2電流遮断素子82がオフ状態となる。その結果、第2電流遮断素子82によって、第2負極配線32から第2分岐配線62を介して第2分岐配線62におけるグランド端子27に対する分岐箇所63に向けて流れる電流が遮断される。したがって、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことが回避されている。その結果、第1駆動コイル11及び第2駆動コイル12が同時にオン状態になって電磁弁10の誤動作が生じてしまうといったことが無い。
【0058】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)及び(1-3)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0059】
(2-1)第1電流遮断素子81及び第2電流遮断素子82は、スイッチング素子である。スイッチング素子は、第1負極配線31と第2負極配線32とが第1分岐配線61及び第2分岐配線62を介して導通してしまうことを回避するために用いられる電流遮断素子として好適である。
【0060】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・上記各実施形態において、電磁弁10は、駆動コイルを3つ以上備えていてもよい。この場合、負極配線は、駆動コイルの数に対応して1つずつ設けられていればよい。そして、スイッチング素子も駆動コイルの数に対応して1つずつ設けられている。さらに、分岐配線が、負極配線の数に対応して1つずつ設けられている。そして、電流遮断素子が、各分岐配線にそれぞれ設けられている。
【0062】
・上記各実施形態において、第1スイッチング素子51及び第2スイッチング素子52は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)に限定されるものではない。
【0063】
・上記各実施形態において、第1定電圧回路41及び第2定電圧回路42の構成は特に限定されるものではない。
・第2実施形態において、第1電流遮断素子81及び第2電流遮断素子82であるスイッチング素子は、n型チャネルのMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
10…電磁弁、11…駆動コイルである第1駆動コイル、12…駆動コイルである第2駆動コイル、20…電磁弁駆動制御装置、21…制御回路、27…グランド端子、30…共通正極配線、31…負極配線である第1負極配線、32…負極配線である第2負極配線、41…定電圧回路である第1定電圧回路、42…定電圧回路である第2定電圧回路、51…スイッチング素子である第1スイッチング素子、52…スイッチング素子である第2スイッチング素子、61…分岐配線である第1分岐配線、62…分岐配線である第2分岐配線、63…分岐箇所、71,81…電流遮断素子である第1電流遮断素子、72,82…電流遮断素子である第2電流遮断素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6