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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043925
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】探知器
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/12 20060101AFI20240326BHJP
   H02G 3/02 20060101ALI20240326BHJP
   G01V 3/08 20060101ALI20240326BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02G3/12
H02G3/02
G01V3/08 A
G01B7/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149170
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西脇 寿幸
【テーマコード(参考)】
2F063
2G105
5G357
5G361
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063BA30
2F063BB03
2F063BD02
2F063DA01
2F063DA05
2F063DD05
2F063GA52
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH04
5G357CA06
5G357CB02
5G357CC10
5G361AA02
5G361AB05
5G361AE01
(57)【要約】
【課題】被探知磁石の位置を正確に探知できるとともに、楕円孔の穿孔位置及び重合孔の穿孔位置の両方をマーキングできる探知器を提供する。
【解決手段】壁の裏側に配置された配線ボックスの被探知磁石の位置を壁の表側から探知する探知装置は、被探知磁石が発する磁気を検出する4つの磁気センサ32を有している。配線ボックスを壁の表側に露出させるために壁に形成される貫通孔の穿孔位置を壁の表面にマーキングするマーキング部40は、楕円孔の中心の位置をマーキング可能な楕円孔用マーキング部41と、重合孔を構成する各正円孔の中心の位置をマーキング可能な正円孔用マーキング部420を複数有する重合孔用マーキング部42とを有している。4つの磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上に配置されるとともに、重合孔用マーキング部42とは異なる位置に配置されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の配線器具取付部と前記一対の配線器具取付部の対向方向の中間部に配置された被探知磁石とを有し、かつ壁の裏側に配置された配線ボックスの位置を前記壁の表側から探知する探知装置と、
前記一対の配線器具取付部を前記壁の表側に露出させるために前記壁に形成される貫通孔の穿孔位置を前記壁の表面にマーキングするマーキング部と、
を備える探知器であって、
前記探知装置は、前記被探知磁石が発する磁気を検出する4つ以上の磁気センサを有し、
前記マーキング部は、
前記貫通孔としての楕円孔の中心の位置を前記壁の表面にマーキング可能な楕円孔用マーキング部と、
複数の正円孔の一部が重なり合うことによって構成される前記貫通孔としての重合孔の各正円孔の中心の位置を前記壁の表面にマーキング可能な正円孔用マーキング部を複数有する重合孔用マーキング部と、
を有し、
前記4つ以上の磁気センサは、前記楕円孔用マーキング部を中心とした仮想円上に配置されるとともに、前記重合孔用マーキング部とは異なる位置に配置されていることを特徴とする探知器。
【請求項2】
前記探知装置は、4つの前記磁気センサを有し、
前記重合孔用マーキング部は、2つの前記正円孔用マーキング部を有し、
前記楕円孔用マーキング部は、前記2つの正円孔用マーキング部の間に位置し、
前記楕円孔用マーキング部及び2つの前記正円孔用マーキング部を通過する仮想線を第1仮想線とし、前記楕円孔用マーキング部を通過し、かつ前記第1仮想線に対して45度傾斜した2本の仮想線を第2仮想線としたとき、
前記4つの磁気センサのうち、2つの前記磁気センサは、一方の前記第2仮想線上において前記楕円孔用マーキング部の両側に位置し、他の2つの前記磁気センサは、他方の前記第2仮想線上において前記楕円孔用マーキング部の両側に位置している請求項1に記載の探知器。
【請求項3】
前記探知装置は、4つの前記磁気センサを有し、
前記4つの磁気センサは、対角線の交点が前記楕円孔用マーキング部と合致する仮想正方形の4つの頂点に配置され、
前記仮想正方形の第1辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第1センサグループとし、
前記仮想正方形の前記第1辺と平行な第2辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第2センサグループとし、
前記仮想正方形の前記第1辺及び前記第2辺と直交する第3辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第3センサグループとし、
前記仮想正方形の前記第3辺と平行な第4辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第4センサグループとしたとき、
前記探知装置は、
前記第1センサグループに属する前記磁気センサの検出結果と、前記第2センサグループに属する前記磁気センサの検出結果とを比較することによって、前記第3辺及び前記第4辺に平行な方向における前記被探知磁石の位置を探知し、
前記第3センサグループに属する前記磁気センサの検出結果と、前記第4センサグループに属する前記磁気センサの検出結果とを比較することによって、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向における前記被探知磁石の位置を探知する請求項1又は請求項2に記載の探知器。
【請求項4】
前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部はスタンプであり、
前記楕円孔用マーキング部に対する前記重合孔用マーキング部の相対移動が不能な状態で前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部を保持するとともに、前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部のインクが内部に貯留される保持部と、
前記探知装置を収容するケースと、
を備え、
前記保持部は、前記ケースに対して着脱可能である請求項1又は請求項2に記載の探知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探知器に関する。
【背景技術】
【0002】
壁の裏側に配置される配線ボックスは、スイッチやコンセントなどの配線器具を取り付けるための一対の配線器具取付部と、被探知磁石とを有している。一対の配線器具取付部は、対向配置されている。被探知磁石は、配線器具取付部の対向方向の中間部に位置している。壁には、一対の配線器具取付部を壁の表側に露出させるための貫通孔が形成されている。一般に、貫通孔は、被探知磁石を中心とする楕円孔、又は複数の正円孔の一部が重なり合うことによって構成される重合孔である。重合孔を構成する各正円孔の中心は、被探知磁石に対してずれた位置にある。一対の配線器具取付部が貫通孔によって壁の表側に露出することにより、配線器具取付部に対する配線器具の取り付けが可能になる。
【0003】
特許文献1~3には、貫通孔の形成前に被探知磁石の位置を壁の表側から探知する探知装置と、貫通孔の穿孔位置を壁の表面にマーキングするマーキング部とを有する探知器が開示されている。壁の表面に貫通孔の穿孔位置がマーキングされていることによって、作業者が壁に貫通孔を形成する際の作業性が良好になる。
【0004】
特許文献1では、探知装置は、探知磁石を有している。探知装置は、探知磁石が被探知磁石に誘引されることを利用して被探知磁石の位置を探知する。しかしながら、この場合には、探知磁石と被探知磁石とが互いに反発したり、探知磁石が金属製の柱などの被探知磁石以外の物に反応したりすることによって、被探知磁石の位置を正確に探知できないおそれがある。これに対し、特許文献2及び特許文献3では、探知装置は、複数のホール素子を有している。探知装置は、各ホール素子で発生するホール電圧に基づいて被探知磁石の位置を探知する。この場合、被探知磁石の磁極や柱などの配線ボックス周辺の構造物の影響を受けることなく、被探知磁石の位置を正確に探知することができる。
【0005】
特許文献2及び特許文献3では、マーキング部は、被探知磁石の位置をマーキングする。この場合、被探知磁石を中心とした楕円孔は形成しやすくなるものの、被探知磁石に対してずれた位置に中心がある正円孔は形成しにくい。これに対し、特許文献1では、マーキング部は、楕円孔の中心の位置、及び重合孔を構成する各正円孔の中心の位置の両方をマーキングする。したがって、作業者は、形成する貫通孔が楕円孔であっても重合孔であっても、容易に貫通孔を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-186289号公報
【特許文献2】特開2000-292549号公報
【特許文献3】特開2007-101451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被探知磁石の位置を正確に探知できるとともに、楕円孔の穿孔位置及び重合孔の穿孔位置の両方をマーキングできる探知器が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための探知器は、対向配置された一対の配線器具取付部と前記一対の配線器具取付部の対向方向の中間部に配置された被探知磁石とを有し、かつ壁の裏側に配置された配線ボックスの位置を前記壁の表側から探知する探知装置と、前記一対の配線器具取付部を前記壁の表側に露出させるために前記壁に形成される貫通孔の穿孔位置を前記壁の表面にマーキングするマーキング部と、を備える探知器であって、前記探知装置は、前記被探知磁石が発する磁気を検出する4つ以上の磁気センサを有し、前記マーキング部は、前記貫通孔としての楕円孔の中心の位置を前記壁の表面にマーキング可能な楕円孔用マーキング部と、複数の正円孔の一部が重なり合うことによって構成される前記貫通孔としての重合孔の各正円孔の中心の位置を前記壁の表面にマーキング可能な正円孔用マーキング部を複数有する重合孔用マーキング部と、を有し、前記4つ以上の磁気センサは、前記楕円孔用マーキング部を中心とした仮想円上に配置されるとともに、前記重合孔用マーキング部とは異なる位置に配置されていることを要旨とする。
【0009】
上記探知器において、前記探知装置は、4つの前記磁気センサを有し、前記重合孔用マーキング部は、2つの前記正円孔用マーキング部を有し、前記楕円孔用マーキング部は、前記2つの正円孔用マーキング部の間に位置し、前記楕円孔用マーキング部及び2つの前記正円孔用マーキング部を通過する仮想線を第1仮想線とし、前記楕円孔用マーキング部を通過し、かつ前記第1仮想線に対して45度傾斜した2本の仮想線を第2仮想線としたとき、前記4つの磁気センサのうち、2つの前記磁気センサは、一方の前記第2仮想線上において前記楕円孔用マーキング部の両側に位置し、他の2つの前記磁気センサは、他方の前記第2仮想線上において前記楕円孔用マーキング部の両側に位置していてもよい。
【0010】
上記探知器において、前記探知装置は、4つの前記磁気センサを有し、前記4つの磁気センサは、対角線の交点が前記楕円孔用マーキング部と合致する仮想正方形の4つの頂点に配置され、前記仮想正方形の第1辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第1センサグループとし、前記仮想正方形の前記第1辺と平行な第2辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第2センサグループとし、前記仮想正方形の前記第1辺及び前記第2辺と直交する第3辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第3センサグループとし、前記仮想正方形の前記第3辺と平行な第4辺の両端に位置する2つの前記磁気センサを第4センサグループとしたとき、前記探知装置は、前記第1センサグループに属する前記磁気センサの検出結果と、前記第2センサグループに属する前記磁気センサの検出結果とを比較することによって、前記第3辺及び前記第4辺に平行な方向における前記被探知磁石の位置を探知し、前記第3センサグループに属する前記磁気センサの検出結果と、前記第4センサグループに属する前記磁気センサの検出結果とを比較することによって、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向における前記被探知磁石の位置を探知してもよい。
【0011】
上記探知器において、前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部はスタンプであり、前記楕円孔用マーキング部に対する前記重合孔用マーキング部の相対移動が不能な状態で前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部を保持するとともに、前記楕円孔用マーキング部及び前記重合孔用マーキング部のインクが内部に貯留される保持部と、前記探知装置を収容するケースと、を備え、前記保持部は、前記ケースに対して着脱可能であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被探知磁石の位置を正確に探知できるとともに、楕円孔の穿孔位置及び重合孔の穿孔位置の両方をマーキングできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】配線ボックスを示す斜視図である。
図2】楕円孔が形成された壁を示す正面図である。
図3】重合孔が形成された壁を示す正面図である。
図4】配線ボックス及び探知器を示す斜視図である。
図5】楕円孔用マーク及び重合孔用マークがマーキングされた壁を示す正面図である。
図6】楕円孔の形成方法を示す斜視図である。
図7】実施形態における探知器を示す正面図である。
図8】実施形態における探知器を示す背面図である。
図9】実施形態における探知器を示す斜視図である。
図10】実施形態におけるマーキングユニットを示す斜視図である。
図11】磁気センサの配置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、探知器を具体化した一実施形態を図1図11にしたがって説明する。
<配線ボックス>
図1に示すように、配線ボックスBは、矩形状の底板100と、底板100の周縁部から立設された第1~第4側板101~104とを有する有底四角筒状である。配線ボックスBは、壁Wの裏側に配置されている。配線ボックスBは、壁Wに向かって開口している。第1側板101と第2側板102は、上下方向Xにおいて対向している。第3側板103と第4側板104は、左右方向Yにおいて対向している。
【0015】
配線ボックスBは、ケーブル挿通孔105を有している。ケーブル挿通孔105は、例えば、第1側板101及び第2側板102に2つずつ形成されている。ケーブル挿通孔105には、ケーブル105aが挿通されている。また、配線ボックスBは、取付孔106を有している。取付孔106は、例えば、第3側板103に複数形成されている。取付孔106には、配線ボックスBを柱Pに取り付けるためのボルト106aが挿通されている。
【0016】
配線ボックスBは、一対のボス部107を有している。一対のボス部107は、図示しない配線器具を配線ボックスBに取り付けるための一対の配線器具取付部である。なお、配線器具とは、コンセント、スイッチ、カードリーダ、インターホン、火災報知器など、配線ボックスBに取り付け可能な器具である。配線器具は、配線ボックスB内に配線されたケーブル105aと接続される。
【0017】
本実施形態では、一方のボス部107は第1側板101の内面から突出するとともに、他方のボス部107は第2側板102の内面から突出している。一対のボス部107は、上下方向Xにおいて対向配置されている。各ボス部107は、壁Wに向かって開口する雌ねじ穴107aを有している。雌ねじ穴107aには、配線器具を配線ボックスBに固定するための図示しないボルトが螺合される。
【0018】
配線ボックスBは、被探知磁石108と、被探知磁石108を支持する円筒状の支持部109とを有している。支持部109は、底板100の内面から突出している。支持部109は、ボス部107の対向方向の中間部に配置されている。すなわち、支持部109は、上下方向Xにおいて一対のボス部107の中間部に配置されている。被探知磁石108は、支持部109の内側に挿入されることによって、支持部109に支持されている。したがって、被探知磁石108も、ボス部107の対向方向の中間部に配置されている。被探知磁石108は、配線ボックスBの開口側に露出している。
【0019】
図2及び図3に示すように、壁Wには、壁Wの裏側に配置された配線ボックスBを壁Wの表側に露出させるための貫通孔Hが形成されている。貫通孔Hは、図2に示すトラック形状の楕円孔H1、及び図3に示す複数の正円孔H20の一部が重なり合うことによって構成された重合孔H2の何れか一方が選択される。本実施形態では、配線ボックスBのうち、一対のボス部107及び一対のボス部107の間に位置する部分が、貫通孔Hによって壁Wの表側に露出している。一対のボス部107の間に位置する部分には、被探知磁石108及び支持部109が含まれている。これにより、作業者は、壁Wの表側から一対のボス部107に対して配線器具を取り付けることができる。
【0020】
図2に示すように、楕円孔H1は、長手方向が上下方向Xと一致し、かつ短手方向が左右方向Yと一致するように壁Wに形成されている。壁Wの表側から見た楕円孔H1の中心H1cの位置は、配線ボックスBの被探知磁石108の位置と一致している。楕円孔H1の長手方向における寸法は、上側に位置するボス部107の上端部と下側に位置するボス部107の下端部との距離よりも長く設定されている。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の重合孔H2は、2つの正円孔H20によって構成されている。2つの正円孔H20は、上下方向Xに並んでいる。壁Wの表側から見たとき、上側に位置する正円孔H20の中心H20cは、上側に位置するボス部107と被探知磁石108との間に位置している。壁Wの表側から見たとき、下側に位置する正円孔H20の中心H20cは、下側に位置するボス部107と被探知磁石108との間に位置している。上側に位置する正円孔H20の下端部と下側に位置する正円孔H20の上端部は、重なり合っている。
【0022】
<貫通孔の形成方法>
壁Wに対する貫通孔Hの形成方法について説明する。
図4は、貫通孔Hが形成される前の壁Wを示す。この状態では、壁Wの表側にいる作業者は、壁Wの裏側に配置された配線ボックスBの位置を把握することができない。したがって、作業者は、探知器10を用いて、壁Wの表側から配線ボックスBの位置を探知する。作業者は、配線ボックスBの位置を探知すると、探知器10を用いて、壁Wの表面Waに対して、貫通孔用マークMをマーキングする。
【0023】
図5に示すように、壁Wの表面Waには、貫通孔用マークMとして、楕円孔用マークM1と重合孔用マークM2とがマーキングされる。
楕円孔用マークM1は、楕円孔H1の中心H1cの位置を示すためのマークである。本実施形態の楕円孔用マークM1は、十字と十字を囲む円からなるマークであるが、他のマークであってもよい。楕円孔用マークM1は、壁Wにおける被探知磁石108と対向する部分にマーキングされている。
【0024】
本実施形態の重合孔用マークM2は、2つの正円孔用マークM20から構成されている。正円孔用マークM20は、正円孔H20の中心H20cの位置を示すためのマークである。本実施形態の正円孔用マークM20は、十字と十字を囲む円からなるマークであるが、他のマークであってもよい。2つの正円孔用マークM20は、上下方向Xにおいて楕円孔用マークM1の両側に位置している。楕円孔用マークM1は、上下方向Xにおいて2つの正円孔用マークM20の中間部に位置している。楕円孔用マークM1よりも上側に位置する正円孔用マークM20は、壁Wにおける被探知磁石108と対向する部分と上側に位置するボス部107と対向する部分との間にマーキングされている。楕円孔用マークM1よりも下側に位置する正円孔用マークM20は、壁Wにおける被探知磁石108と対向する部分と下側に位置するボス部107と対向する部分との間にマーキングされている。
【0025】
そして、図6に示すように、作業者は、壁Wの表面Waにマーキングされた貫通孔用マークMを用いて、壁Wに貫通孔Hを形成する。具体的には、作業者は、ホルソー200を用いて壁Wに貫通孔Hを形成する。ホルソー200は、筒部201と、筒部201の軸中心に位置する軸部202とを有している。筒部201の先端部には、刃201aが設けられている。作業者は、軸部202の先端部を貫通孔用マークMに突き当てた状態でホルソー200の電源を入れた後、筒部201を壁Wの表面Waに押し当てる。これにより、壁Wには、筒部201の形状と同じ形状の貫通孔Hが形成される。
【0026】
図6は、壁Wに楕円孔H1を形成する場合に用いられるホルソー200を示す。筒部201は、軸方向から見た形状がトラック形状である。作業者は、軸部202の先端部を楕円孔用マークM1に突き当てた状態でホルソー200の電源を入れた後、筒部201を壁Wの表面Waに押し当てる。これにより、壁Wには、図6において二点鎖線で示すように、楕円孔用マークM1を中心とした楕円孔H1が形成される。このように楕円孔用マークM1は、作業者が壁Wに楕円孔H1を形成する際に楕円孔H1の穿孔位置を示すガイドとして用いられる。
【0027】
図示は省略するが、壁Wに重合孔H2を形成する場合には、軸方向から見た形状が正円形状の筒部201を有するホルソー200が用いられる。なお、正円形状の筒部201の半径は、楕円孔用マークM1から正円孔用マークM20までの距離よりも長い。作業者は、軸部202の先端部を一方の正円孔用マークM20に突き当てた状態でホルソー200の電源を入れた後、筒部201を壁Wの表面Waに押し当てる。これにより、壁Wには、一方の正円孔用マークM20を中心とした1つ目の正円孔H20が形成される。続いて、作業者は、軸部202の先端部を他方の正円孔用マークM20に突き当てた状態でホルソー200の電源を入れた後、筒部201を壁Wの表面Waに押し当てる。これにより、壁Wには、他方の正円孔用マークM20を中心とした2つ目の正円孔H20が形成される。その結果、壁Wには、2つの正円孔H20の一部が重なり合った重合孔H2が形成される。このように重合孔用マークM2は、作業者が壁Wに重合孔H2を形成する際に重合孔H2の穿孔位置を示すガイドとして用いられる。
【0028】
<探知器>
探知器10について詳述する。
図7図9に示すように、探知器10は、四角箱状のケース11と、一対のパッド12と、探知装置13と、マーキングユニット14と、板状のカバー15とを備えている。
【0029】
<ケース>
本実施形態のケース11は、第1ケース構成体11a及び第2ケース構成体11bによって構成されている。第1ケース構成体11a及び第2ケース構成体11bはそれぞれ、一面に開口する四角箱状である。第1ケース構成体11aと第2ケース構成体11bは、開口同士が対向するように互いに組み付けられている。
【0030】
ケース11は、長方形状の第1壁部21と、長方形状の第2壁部22とを有している。第1壁部21と第2壁部22とは、ケース11の厚さ方向において対をなす壁部である。
図4に示すように、第1壁部21は、探知器10を使用する作業者と対向する壁部である。第2壁部22は、壁Wの表面Waと対向する壁部である。探知器10は、第1壁部21及び第2壁部22の長手方向が上下方向Xと一致し、かつ第1壁部21及び第2壁部22の短手方向が左右方向Yと一致する状態で用いられる。
【0031】
図7に示すように、ケース11は、複数のライト用孔23を有している。本実施形態では、ケース11は、49個のライト用孔23を有している。各ライト用孔23は、第1壁部21を厚さ方向に貫通している。49個のライト用孔23は、7行×7列のマトリックス状に配列されている。上下方向Xに隣り合うライト用孔23間の間隔及び、左右方向Yに隣り合うライト用孔23間の間隔は等しい。また、ケース11は、スイッチ用孔24を有している。スイッチ用孔24は、第1壁部21を厚さ方向に貫通している。
【0032】
図8及び図9に示すように、ケース11は、ケース11の外部に開口する開口部25を有している。開口部25は、第2壁部22に形成されている。開口部25は、第2壁部22の中央に位置している。
【0033】
ケース11は、一対のパッド収容凹部26を有している。パッド収容凹部26は、第2壁部22の外面から凹んでいる。一対のパッド収容凹部26は、左右方向Yにおいて開口部25の両側に位置している。
【0034】
ケース11は、第1カバー収容凹部27と第2カバー収容凹部28とを有している。第1カバー収容凹部27及び第2カバー収容凹部28は、第2壁部22の外面から凹んでいる。第1カバー収容凹部27及び第2カバー収容凹部28は、カバー15と同形状の凹部である。第1カバー収容凹部27は、第2壁部22の中央に位置している。開口部25は、第1カバー収容凹部27の底面において開口している。第2カバー収容凹部28は、第1カバー収容凹部27よりも上側に位置している。
【0035】
<一対のパッド>
一対のパッド12は、一対のパッド収容凹部26内に収容されている。したがって、一対のパッド12は、開口部25の両側に位置している。一対のパッド12は、第2壁部22の外面から突出している。一対のパッド12は、壁Wの表面Waと接触する面である。一対のパッド12は、壁Wの表面Waに対する探知器10の摺動性を良好にするような材料によって形成されている。
【0036】
<探知装置>
図7及び図8に示すように、探知装置13は、ケース11内に収容されている。探知装置13は、センサ基板31と、4つ以上の磁気センサ32と、ライト基板33と、複数のLEDライト34と、電源スイッチ35と、制御部36とを有している。本実施形態では、探知装置13は、4つの磁気センサ32と、49個のLEDライト34とを有している。
【0037】
センサ基板31は、U字状である。センサ基板31は、ケース11の厚さ方向において第2壁部22側に位置している。ライト基板33は、長方形状である。ライト基板33は、ケース11の厚さ方向において第1壁部21側に位置している。
【0038】
図8に示すように、4つの磁気センサ32は、センサ基板31に設けられている。なお、4つの磁気センサ32の配置については後述する。磁気センサ32は、被探知磁石108が発する磁気を検出する。本実施形態の磁気センサ32は、ホール素子である。本実施形態の磁気センサ32は、被探知磁石108の磁束が磁気センサ32を通過することによって発生するホール電圧を検出する。なお、被探知磁石108と磁気センサ32との距離が近いほど、磁気センサ32を通過する磁束は多くなる。また、磁気センサ32を通過する磁束が多いほど、磁気センサ32に発生するホール電圧は大きくなる。したがって、磁気センサ32が検出したホール電圧が大きいほど、被探知磁石108と磁気センサ32との距離は近いといえる。
【0039】
図7に示すように、複数のLEDライト34は、ライト基板33に設けられている。本実施形態では、49個のLEDライト34は、7行×7列のマトリックス状に配列されている。上下方向Xに隣り合うLEDライト34間の間隔及び、左右方向Yに隣り合うLEDライト34間の間隔は等しい。各LEDライト34の位置は、ケース11の各ライト用孔23の位置と対応している。このため、作業者は、ライト用孔23を介してLEDライト34の光を視認可能である。
【0040】
電源スイッチ35は、ライト基板33に設けられている。電源スイッチ35は、ケース11のスイッチ用孔24からケース11の外部に突出している。作業者は、探知器10の使用時に電源スイッチ35を押下操作可能である。
【0041】
制御部36は、ライト基板33に設けられている。制御部36は、探知装置13を制御する。制御部36は、各磁気センサ32と接続されている。制御部36は、各磁気センサ32の検出結果を取得する。制御部36は、磁気センサ32の検出結果に基づいて被探知磁石108の位置を探知する。また、制御部36は、各LEDライト34と接続されている。制御部36は、探知した被探知磁石108の位置に基づいてLEDライト34の点灯及び消灯を制御する。制御部36が行う探知処理の詳細については後述する。
【0042】
<マーキングユニット>
図9及び図10に示すように、マーキングユニット14は、貫通孔Hの穿孔位置を壁Wの表面Waにマーキングするためのマーキング部40を有している。マーキング部40は、楕円孔用マーキング部41と、重合孔用マーキング部42とを有している。
【0043】
楕円孔用マーキング部41は、壁Wの表面Waに対して、楕円孔H1の穿孔位置をマーキング可能である。具体的には、楕円孔用マーキング部41は、壁Wの表面Waに対して、楕円孔H1の中心H1cの位置をマーキング可能である。本実施形態の楕円孔用マーキング部41は、スタンプである。楕円孔用マーキング部41が壁Wの表面Waに接触することによって、壁Wの表面Waには、楕円孔H1の中心H1cの位置を示す楕円孔用マークM1がスタンプされる。
【0044】
重合孔用マーキング部42は、壁Wの表面Waに対して、重合孔H2の穿孔位置をマーキング可能である。重合孔用マーキング部42は、複数の正円孔用マーキング部420から構成されている。本実施形態の重合孔用マーキング部42は、2つの正円孔用マーキング部420から構成されている。正円孔用マーキング部420は、壁Wの表面Waに対して、正円孔H20の中心H20cの位置をマーキング可能である。本実施形態の正円孔用マーキング部420は、スタンプである。正円孔用マーキング部420が壁Wの表面Waに接触することによって、壁Wの表面Waには、正円孔H20の中心H20cの位置を示す正円孔用マークM20がスタンプされる。
【0045】
図10に示すように、本実施形態のマーキングユニット14は、直方体状の保持部43を有している。楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、保持部43の1つの面に固定されている。つまり、楕円孔用マーキング部41、重合孔用マーキング部42、及び保持部43は一体化されている。楕円孔用マーキング部41と2つの正円孔用マーキング部420は、保持部43の長手方向において直線状に並んでいる。楕円孔用マーキング部41は、長手方向において2つの正円孔用マーキング部420の間に位置している。保持部43は、楕円孔用マーキング部41に対する重合孔用マーキング部42の相対移動が不能な状態で楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42を保持している。保持部43の内部には、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42に供給されるインクが貯留されている。保持部43は、2つの取付孔43aを有している。取付孔43aは、保持部43における楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42が固定された面において開口している。取付孔43aは、楕円孔用マーキング部41と正円孔用マーキング部420との間に位置している。
【0046】
マーキングユニット14は、第2壁部22の開口部25からケース11内に収容されている。保持部43の長手方向は、上下方向Xと一致している。保持部43における楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42が固定された面は、開口部25からケース11外に露出している。したがって、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、開口部25からケース11外に露出している。一方の正円孔用マーキング部420、楕円孔用マーキング部41、及び他方の正円孔用マーキング部420は、この順で上下方向Xに並んでいる。
【0047】
壁Wの表面Waにマーキングをしないとき、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、第2壁部22の外面よりも窪んだ位置にある。作業者が探知器10を壁Wの表面Waに対して押し付けると、マーキングユニット14は、壁Wの表面Waに近づくようにケース11の第2壁部22に対して相対移動する。そして、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、一対のパッド12における壁Wの表面Waと対向する面よりも突出した位置まで移動すると、壁Wの表面Waに接触することによってマーキングを行う。
【0048】
本実施形態では、保持部43は、取付孔43aに挿通されたボルト16によって、ケース11に取り付けられている。このため、ボルト16を取り外すことによって、ケース11から保持部43を取り外すことができる。つまり、保持部43は、ケース11に対して着脱可能である。例えば、保持部43は、インクを補充する際にケース11から取り外される。そして、保持部43へのインクの補充が完了すると、保持部43は再びケース11に取り付けられる。
【0049】
<カバー>
図8及び図9に示すように、カバー15は、長方形状の本体部51と、本体部51の長手方向の一端部から短手方向に突出する取付片52とを有している。取付片52は、ピン53によってケース11に取り付けられている。ピン53は、図示しないばねを有する押し付けピンである。ピン53は、カバー15をケース11に向けて付勢している。作業者がピン53による付勢に抗してケース11からカバー15が離れるようにカバー15を持ち上げることによって、カバー15はピン53を回動中心として回動可能になる。
【0050】
カバー15は、図8に示すマーキングユニット14を覆う第1位置と、図9に示すマーキングユニット14を覆わない第2位置とで移動可能である。カバー15が第1位置にあるとき、カバー15は、第1カバー収容凹部27内に収容されている。なお、第1カバー収容凹部27の深さはカバー15の厚さよりも大きく設定されている。このため、カバー15は、第1カバー収容凹部27内に収容された状態において、第2壁部22の外面から突出しない。カバー15が第2位置にあるとき、カバー15は、第2カバー収容凹部28内に収容されている。なお、第2カバー収容凹部28の深さはカバー15の厚さよりも大きく設定されている。このため、カバー15は、第2カバー収容凹部28内に収容された状態において、第2壁部22の外面から突出しない。
【0051】
<磁気センサの配置>
磁気センサ32の配置について、図11を用いて詳述する。なお、図11では、説明の便宜上、第2壁部22の図示を省略している。
【0052】
図11に示すように、4つの磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上において円周方向に等間隔に配置されている。つまり、本実施形態では、4つの磁気センサ32は、仮想円C上において90度ずつずれた位置に配置されている。また、4つの磁気センサ32は、重合孔用マーキング部42とは異なる位置に配置されている。
【0053】
本実施形態では、4つの磁気センサ32は、対角線D1,D2の交点Qが楕円孔用マーキング部41と合致する仮想正方形Sの4つの頂点P1~P4に配置されている。4つの磁気センサ32を区別するため、第1磁気センサ32a、第2磁気センサ32b、第3磁気センサ32c、第4磁気センサ32dとする。第1磁気センサ32aは、仮想正方形Sの第1頂点P1に配置されている。第2磁気センサ32bは、仮想正方形Sの第2頂点P2に配置されている。第3磁気センサ32cは、仮想正方形Sの第3頂点P3に配置されている。第4磁気センサ32dは、仮想正方形Sの第4頂点P4に配置されている。
【0054】
仮想正方形Sは、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、及び第4辺S4を有している。第2辺S2は、第1辺S1と平行な辺である。本実施形態では、第1辺S1及び第2辺S2は、左右方向Yに沿って延びている。第3辺S3は、第1辺S1及び第2辺S2と直交する辺である。第4辺S4は、第3辺S3と平行な辺である。本実施形態では、第3辺S3及び第4辺S4は、上下方向Xに沿って延びている。
【0055】
第1頂点P1及び第2頂点P2は、第1辺S1の両端に位置している。本実施形態では、第1頂点P1は、第1辺S1の左端に位置し、第2頂点P2は、第1辺S1の右端に位置している。第3頂点P3及び第4頂点P4は、第2辺S2の両端に位置している。本実施形態では、第3頂点P3は、第2辺S2の左端に位置し、第4頂点P4は、第2辺S2の右端に位置している。第1頂点P1及び第3頂点P3は、第3辺S3の両端に位置している。本実施形態では、第1頂点P1は、第3辺S3の上端に位置し、第3頂点P3は、第3辺S3の下端に位置している。第2頂点P2及び第4頂点P4は、第4辺S4の両端に位置している。本実施形態では、第2頂点P2は、第4辺S4の上端に位置し、第4頂点P4は、第4辺S4の下端に位置している。
【0056】
仮想正方形Sの第1辺S1の両端に位置する第1磁気センサ32a及び第2磁気センサ32bを第1センサグループとする。仮想正方形Sの第2辺S2の両端に位置する第3磁気センサ32c及び第4磁気センサ32dを第2センサグループとする。仮想正方形Sの第3辺S3の両端に位置する第1磁気センサ32a及び第3磁気センサ32cを第3センサグループとする。仮想正方形Sの第4辺S4の両端に位置する第2磁気センサ32b及び第4磁気センサ32dを第4センサグループとする。
【0057】
上述したように、本実施形態では、楕円孔用マーキング部41は、2つの正円孔用マーキング部420の間に位置している。楕円孔用マーキング部41及び2つの正円孔用マーキング部420を通過する仮想線を第1仮想線L1とする。また、楕円孔用マーキング部41を通過するとともに第1仮想線L1に対して45度傾斜した2本の仮想線を第2仮想線L2とする。本実施形態では、第2仮想線L2は、対角線D1,D2と一致している。第1磁気センサ32a及び第4磁気センサ32dは、一方の第2仮想線L2上において楕円孔用マーキング部41の両側に位置している。第2磁気センサ32b及び第3磁気センサ32cは、他方の第2仮想線L2上において楕円孔用マーキング部41の両側に位置している。
【0058】
<探知処理>
探知装置13の制御部36が行う探知処理について詳述する。
本実施形態の制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1と、第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2とを比較することによって、第3辺S3及び第4辺S4に平行な方向における被探知磁石108の位置を探知する。第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1は、第1磁気センサ32aの検出結果V1と第2磁気センサ32bの検出結果V2の和V1+V2である。第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2は、第3磁気センサ32cの検出結果V3と第4磁気センサ32dの検出結果V4の和V3+V4である。本実施形態では、第3辺S3及び第4辺S4に平行な方向は、上下方向Xである。
【0059】
制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1が第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2よりも大きい場合、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも上側に位置していると判定する。また、制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1と第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2との差|Vg1-Vg2|を算出する。制御部36は、算出した差|Vg1-Vg2|と所定の値Vu1,Vu2とを比較することによって、上から1~3行目のLEDライト34のうち、何行目のLEDライト34を点灯させるかを判断する。なお、値Vu2は、値Vu1よりも大きい。制御部36は、0<|Vg1-Vg2|<Vu1の場合、上から3行目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vu1≦|Vg1-Vg2|≦Vu2の場合、上から2行目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vu2<|Vg1-Vg2|の場合、上から1行目のLEDライト34を点灯させる。
【0060】
制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1が第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2よりも小さい場合、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも下側に位置していると判定する。また、制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1と第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2との差|Vg1-Vg2|を算出する。制御部36は、算出した差|Vg1-Vg2|と所定の値Vd1,Vd2とを比較することによって、上から5~7行目のLEDライト34のうち、何行目のLEDライト34を点灯させるかを判断する。なお、値Vd2は、値Vd1よりも大きい。制御部36は、0<|Vg1-Vg2|<Vd1の場合、上から5行目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vd1≦|Vg1-Vg2|≦Vd2の場合、上から6行目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vd2<|Vg1-Vg2|の場合、上から7行目のLEDライト34を点灯させる。
【0061】
制御部36は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1と第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2とが同じである場合、上下方向Xにおける被探知磁石108の位置が4つの磁気センサ32の中心Oと一致していると判定する。制御部36は、上から4行目のLEDライト34を点灯させる。
【0062】
同様に、制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3と、第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4とを比較することによって、第1辺S1及び第2辺S2に平行な方向における被探知磁石108の位置を探知する。第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3は、第1磁気センサ32aの検出結果V1と第3磁気センサ32cの検出結果V3の和V1+V3である。第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4は、第2磁気センサ32bの検出結果V2と第4磁気センサ32dの検出結果V4の和V2+V4である。本実施形態では、第1辺S1及び第2辺S2に平行な方向は、左右方向Yである。
【0063】
制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3が第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4よりも大きい場合、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも左側に位置していると判定する。また、制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3と第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4との差|Vg3-Vg4|を算出する。制御部36は、算出した差|Vg3-Vg4|と所定の値Vl3,Vl4とを比較することによって、左から1~3列目のLEDライト34のうち、何列目のLEDライト34を点灯させるかを判断する。なお、値Vl2は、値Vl1よりも大きい。制御部36は、0<|Vg3-Vg4|<Vl1の場合、左から3列目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vl1≦|Vg3-Vg4|≦Vl2の場合、左から2列目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vl2<|Vg3-Vg4|の場合、左から1列目のLEDライト34を点灯させる。
【0064】
制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3が第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4よりも小さい場合、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも右側に位置していると判定する。また、制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3と第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4との差|Vg3-Vg4|を算出する。制御部36は、算出した差|Vg3-Vg4|と所定の値Vr3,Vr4とを比較することによって、左から5~7列目のLEDライト34のうち、何列目のLEDライト34を点灯させるかを判断する。なお、値Vr2は、値Vr1よりも大きい。制御部36は、0<|Vg3-Vg4|<Vr2の場合、左から5列目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vr1≦|Vg3-Vg4|≦Vr2の場合、左から6列目のLEDライト34を点灯させる。制御部36は、Vr2<|Vg3-Vg4|の場合、左から7列目のLEDライト34を点灯させる。
【0065】
制御部36は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3と第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4とが同じである場合、左右方向Yにおける被探知磁石108の位置が4つの磁気センサ32の中心Oと一致していると判定する。制御部36は、左から4列目のLEDライト34を点灯させる。
【0066】
<探知器の使用方法>
探知器10の使用方法について説明する。
使用前の探知器10において、カバー15は第1位置に位置している。カバー15は、第1位置にあるとき、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42を覆っている。このため、作業者は、まず、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42をケース11の外部に露出させるため、カバー15を第1位置から第2位置に移動させる。上述したように、カバー15は、ピン53によってケース11に向けて付勢されている。このため、作業者は、ピン53による付勢力に抗してカバー15をケース11から離れるように持ち上げることによって、ピン53を回動軸としてカバー15を回動させる。カバー15は、第2壁部22における第1カバー収容凹部27と第2カバー収容凹部28との間に位置する部分を乗り越えて第2位置に移動される。そして、カバー15は、第2位置まで移動すると、第2カバー収容凹部28内に収容される。これにより、カバー15によって覆われていた楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、ケース11の外部に露出する。
【0067】
続いて、作業者は、電源スイッチ35を押下操作することによって、探知器10の電源を入れる。そして、作業者は、ケース11の第2壁部22の外面が壁Wの表面Waと対向するように、壁Wの表面Waに対して探知器10を沿わせて配置する。作業者は、壁Wに沿わせた状態で探知器10を移動させる。このとき、一対のパッド12は、壁Wの表面Waに対して摺動する。
【0068】
探知装置13は、被探知磁石108の探知処理を行う。具体的には、被探知磁石108が発する磁気を磁気センサ32が検出すると、制御部36は、磁気センサ32の中心Oに対する被探知磁石108の位置を探知する。そして、制御部36は、探知した被探知磁石108の位置に応じてLEDライト34を点灯させることによって、被探知磁石108の位置を作業者に知らせる。
【0069】
作業者は、中央に位置するLEDライト34、すなわち上から4行目かつ左から4列目のLEDライト34が点灯するまで、壁Wに沿わせた状態で探知器10を移動させる。例えば、上から2行目かつ左から2列目のLEDライト34が点灯している場合、作業者は、磁気センサ32の中心Oに対して被探知磁石108が左上に位置しているとして、探知器10を左上に移動させる。
【0070】
そして、作業者は、中央に位置するLEDライト34が点灯した位置において探知器10を壁Wの表面Waに対して押し付ける。すると、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42が壁Wの表面Waに押し付けられることによって、壁Wの表面Waには楕円孔用マークM1及び重合孔用マークM2がマーキングされる。
【0071】
作業者は、探知器10による壁Wの表面Waへのマーキングが完了したら、探知器10を壁Wの表面Waから離す。そして、第2位置にあるカバー15を第1位置に戻す。なお、カバー15の移動方法については上述しているため、説明を省略する。カバー15が第1位置に戻されることによって、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、カバー15によって覆われる。
【0072】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)探知器10は、壁Wの表側から被探知磁石108の位置を探知する探知装置13と、壁Wの表面Waに対して貫通孔Hの穿孔位置をマーキングするマーキング部40とを備えている。探知装置13は、4つの磁気センサ32を有している。磁気センサ32は、配線ボックスBの被探知磁石108が発する磁気を検出する。マーキング部40は、楕円孔用マーキング部41と、重合孔用マーキング部42とを有している。楕円孔用マーキング部41は、楕円孔H1の中心H1cの位置をマーキング可能である。重合孔用マーキング部42は、重合孔H2を構成する各正円孔H20の中心H20cの位置をマーキング可能な2つの正円孔用マーキング部420を有している。磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上において円周方向に等間隔に配置されるとともに、重合孔用マーキング部42とは異なる位置に配置されている。
【0073】
この構成では、探知装置13は、探知磁石ではなく4つの磁気センサ32を用いて被探知磁石108の位置を探知する。このため、探知装置13は、被探知磁石108の磁極や柱Pなどの配線ボックスB周辺の構造物の影響を受けることなく、被探知磁石108の位置を正確に探知できる。また、マーキング部40は、楕円孔用マーキング部41と、重合孔用マーキング部42とを有している。このため、マーキング部40は、楕円孔H1の穿孔位置及び重合孔H2の穿孔位置の両方をマーキングできる。さらに、磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上において円周方向に等間隔に配置されるとともに、重合孔用マーキング部42とは異なる位置に配置されている。このため、探知装置13が複数の磁気センサ32を有し、かつマーキング部40が2種類のマーキング部41,42を有する構成であっても、磁気センサ32とマーキング部41,42とが干渉しないように配置できる。
【0074】
(2)楕円孔用マーキング部41は、2つの正円孔用マーキング部420の間に位置している。楕円孔用マーキング部41及び2つの正円孔用マーキング部420を通過する仮想線を第1仮想線L1とする。楕円孔用マーキング部41を通過し、かつ第1仮想線L1に対して45度傾斜した2本の仮想線を第2仮想線L2とする。4つの磁気センサ32のうち、2つの磁気センサ32は、一方の第2仮想線L2上において楕円孔用マーキング部41の両側に位置している。また、他の2つの磁気センサ32は、他方の第2仮想線L2上において楕円孔用マーキング部41の両側に位置している。
【0075】
この構成では、楕円孔用マーキング部41と正円孔用マーキング部420との間に磁気センサ32が配置されない。このため、楕円孔用マーキング部41と正円孔用マーキング部420とが近設されている場合であっても、磁気センサ32を配置しやすい。また、楕円孔用マーキング部41と正円孔用マーキング部420との間に磁気センサ32を配置し、かつ楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上に磁気センサ32を配置する場合、磁気センサ32間の間隔が狭くなる。磁気センサ32間の間隔が狭いと、磁気センサ32の誤検出が発生するおそれがある。これに対し、上記構成では、磁気センサ32同士の間隔を確保しやすいため、磁気センサ32の誤検出を抑制できる。
【0076】
(3)4つの磁気センサ32は、対角線D1,D2の交点Qが楕円孔用マーキング部41と合致する仮想正方形Sの4つの頂点P1~P4に配置されている。仮想正方形Sの第1辺S1の両端に位置する2つの磁気センサ32を第1センサグループとする。仮想正方形Sの第1辺S1と平行な第2辺S2の両端に位置する2つの磁気センサ32を第2センサグループとする。仮想正方形Sの第1辺S1及び第2辺S2と直交する第3辺S3の両端に位置する2つの磁気センサ32を第3センサグループとする。仮想正方形Sの第3辺S3と平行な第4辺S4の両端に位置する2つの磁気センサ32を第4センサグループとする。探知装置13は、第1センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg1と、第2センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg2とを比較することによって、第3辺S3及び第4辺S4に平行な方向における被探知磁石108の位置を探知する。探知装置13は、第3センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg3と、第4センサグループに属する磁気センサ32の検出結果Vg4とを比較することによって、第1辺S1及び第2辺S2と平行な方向における被探知磁石108の位置を探知する。
【0077】
この構成では、探知装置13は、2つの磁気センサ32から構成されるセンサグループ同士の検出結果を比較することによって、被探知磁石108の位置を探知する。したがって、探知装置13が1つの磁気センサ32同士を比較することによって、被探知磁石108の位置を探知する場合よりも、探知精度を上げることができる。
【0078】
(4)マーキングユニット14は、スタンプである楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42に加えて保持部43を有している。保持部43は、楕円孔用マーキング部41に対する重合孔用マーキング部42の相対移動が不能な状態で楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42を保持している。保持部43の内部には、楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42のインクが貯留されている。保持部43は、探知装置13を収容するケース11に対して着脱可能である。この構成では、インクの補充時にケース11に対して保持部43を着脱しても、楕円孔用マーキング部41に対する重合孔用マーキング部42の相対位置がずれることを回避できる。
【0079】
(5)探知器10は、マーキング部40を覆う第1位置と、マーキング部40を覆わない第2位置とに移動可能なカバー15を有している。このため、探知器10を使用していないときには、カバー15を第1位置に位置させることによって、マーキング部40のインクが乾燥しにくくなる。また、マーキング部40のインクが作業者の手や探知器10周辺の物を汚しにくくなる。
【0080】
(6)ケース11は、カバー15が第1位置にあるときにカバー15が収容される第1カバー収容凹部27と、カバー15が第2位置にあるときにカバー15が収容される第2カバー収容凹部28とを有している。このため、カバー15が第2壁部22の外面から突出しにくくなる。
【0081】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0082】
○ 探知装置13が有する磁気センサ32の数は、4つ以上であれば適宜変更されてもよい。
○ 重合孔用マーキング部42を構成する正円孔用マーキング部420の数は、2つに限定されない。重合孔用マーキング部42は、例えば、4つの正円孔用マーキング部420によって構成されていてもよい。4つの正円孔用マーキング部420は、例えば、楕円孔用マーキング部41の左上、右上、左下、右下に配置される。この場合、磁気センサ32は、例えば、楕円孔用マーキング部41の真上、真下、真左、真右に配置される。
【0083】
○ 磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上に配置されていれば、仮想円Cの円周方向において等間隔に配置されていなくてもよい。
○ 磁気センサ32は、楕円孔用マーキング部41を中心Oとした仮想円C上に配置されるとともに、重合孔用マーキング部42とは異なる位置に配置されるのであれば、例えば、次のように配置されていてもよい。
【0084】
1つ目の磁気センサ32は、上下方向Xにおいて上側の正円孔用マーキング部420と楕円孔用マーキング部41との間に位置する。2つ目の磁気センサ32は、上下方向Xにおいて楕円孔用マーキング部41と下側の正円孔用マーキング部420との間に位置する。つまり、楕円孔用マーキング部41、2つの正円孔用マーキング部420、及び2つの磁気センサ32は、一直線上に並ぶ。そして、3つ目の磁気センサ32及び4つ目の磁気センサ32は、左右方向Yにおいて楕円孔用マーキング部41の両側に位置する。つまり、楕円孔用マーキング部41及び2つの磁気センサ32は、一直線上に並ぶ。
【0085】
○ 壁Wに形成する貫通孔Hが楕円孔H1であることが予め分かっている場合には、壁Wの表面Waには楕円孔用マークM1のみをマーキングしてもよい。同様に、壁Wに形成する貫通孔Hが重合孔H2であることが予めわかっている場合には、壁Wの表面Waには重合孔用マークM2のみをマーキングしてもよい。この場合、探知器10は、楕円孔用マーキング部41用の第1のカバーと、重合孔用マーキング部42用の第2のカバーとをそれぞれ有する。そして、楕円孔用マークM1のみをマーキングする場合には、楕円孔用マーキング部41をケース11の外部に露出させるとともに、第2のカバーによって重合孔用マーキング部42を覆う。重合孔用マークM2のみをマーキングする場合には、第1のカバーによって楕円孔用マーキング部41を覆うとともに、重合孔用マーキング部42をケース11の外部に露出させる。
【0086】
なお、楕円孔用マークM1及び重合孔用マークM2は、貫通孔Hの形成時に壁Wから切断される部分に含まれている。したがって、壁Wに形成する貫通孔Hが楕円孔H1及び重合孔H2の何れか一方であることが予め分かっている場合であっても、壁Wの表面Waに楕円孔用マークM1及び重合孔用マークM2の両方をマーキングしてもよい。
【0087】
○ 楕円孔用マーキング部41は、スタンプでなくてもよい。楕円孔用マーキング部41は、例えば、ケース11を厚さ方向に貫通する貫通孔であってもよい。この場合、作業者は、ペンなどの筆記具を楕円孔用マーキング部41に挿通することによって、壁Wの表面Waに対して楕円孔H1の中心H1cの位置をマーキングする。同様に、正円孔用マーキング部420は、スタンプでなくてもよい。正円孔用マーキング部420は、例えば、ケース11を厚さ方向に貫通する貫通孔であってもよい。作業者は、ペンなどの筆記具を正円孔用マーキング部420に挿通することによって、壁Wの表面Waに対して正円孔H20の中心H20cの位置をマーキングする。この場合、カバー15は省略されてもよい。
【0088】
○ 楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、ケース11に対して個別に取り付けられていてもよい。この場合、楕円孔用マーキング部41又は重合孔用マーキング部42をケース11から取り外した後、再度ケース11に取り付けた場合には、楕円孔用マーキング部41に対する正円孔用マーキング部420の相対位置がずれていないことを確認するのが好ましい。
【0089】
○ 楕円孔用マーキング部41及び重合孔用マーキング部42は、ケース11に対して直接固定されていてもよい。
○ 制御部36は、第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第2磁気センサ32bの検出結果V2の何れか一方と、第3磁気センサ32cの検出結果V3及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方とを比較することによって、上下方向Xにおける被探知磁石108の位置を探知してもよい。
【0090】
具体的には、第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第2磁気センサ32bの検出結果V2の何れか一方が、第3磁気センサ32cの検出結果V3及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方よりも大きい場合、制御部36は、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも上側に位置していると判定する。第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第2磁気センサ32bの検出結果V2の何れか一方が、第3磁気センサ32cの検出結果V3及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方よりも小さい場合、制御部36は、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも下側に位置していると判定する。第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第2磁気センサ32bの検出結果V2の何れか一方と、第3磁気センサ32cの検出結果V3及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方と同じ場合、制御部36は、上下方向Xにおける被探知磁石108の位置が4つの磁気センサ32の中心Oと一致していると判定する。
【0091】
○ 制御部36は、第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第3磁気センサ32cの検出結果V3の何れか一方と、第2磁気センサ32bの検出結果V2及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方とを比較することによって、左右方向Yにおける被探知磁石108の位置を探知してもよい。
【0092】
具体的には、第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第3磁気センサ32cの検出結果V3の何れか一方が、第2磁気センサ32bの検出結果V2及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方よりも大きい場合、制御部36は、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも左側に位置していると判定する。第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第3磁気センサ32cの検出結果V3の何れか一方が、第2磁気センサ32bの検出結果V2及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方よりも小さい場合、制御部36は、被探知磁石108が4つの磁気センサ32の中心Oよりも右側に位置していると判定する。第1磁気センサ32aの検出結果V1及び第3磁気センサ32cの検出結果V3の何れか一方と、第2磁気センサ32bの検出結果V2及び第4磁気センサ32dの検出結果V4の何れか一方と同じ場合、制御部36は、左右方向Yにおける被探知磁石108の位置が4つの磁気センサ32の中心Oと一致していると判定する。
【0093】
○ 被探知磁石108の位置を作業者に知らせるための方法は、マトリックス状に配列されたLEDライト34の点灯及び消灯に限定されない。一例として、表示画面に被探知磁石108の位置を表示することによって、被探知磁石108の位置を作業者に知らせてもよい。他の例として、ブザーを作動させることによって、被探知磁石108の位置を作業者に知らせてもよい。この場合、ブザーの音量や作動頻度を変化させることによって、磁気センサ32の中心Oに対する被探知磁石108の位置を作業者に知らせる。なお、複数の方法を併用して被探知磁石108の位置を作業者に知らせてもよい。
【0094】
○ 制御部36が被探知磁石108の位置を探知する方法は、上記実施形態の方法に限定されない。
○ 一方のセンサグループに属する磁気センサ32の検出結果が他方のセンサグループに属する磁気センサ32の検出結果よりも大きい又は小さい場合において、一方のセンサグループに属する磁気センサ32の検出結果と他方のセンサグループに属する磁気センサ32の検出結果との差と比較される所定の値の数は2つに限定されない。所定の値の数は、LEDライト34の数に応じて適宜変更されてもよい。
【0095】
○ 配線ボックスBは、一対のボス部107及び一対のボス部107の間に位置する部分だけでなく、他の部分も貫通孔Hによって壁Wの表側に露出していてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…探知器、11…ケース、13…探知装置、32…磁気センサ、40…マーキング部、41…楕円孔用マーキング部、42…重合孔用マーキング部、43…保持部、107…配線器具取付部としてのボス部、108…被探知磁石、420…正円孔用マーキング部、B…配線ボックス、C…仮想円、D1,D2…対角線、H…貫通孔、H1…楕円孔、H1c…楕円孔の中心、H2…重合孔、H20…正円孔、H20c…正円孔の中心、L1…第1仮想線、L2…第2仮想線、O…仮想円の中心、P1~P4…頂点、Q…交点、S…仮想正方形、S1…第1辺、S2…第2辺、S3…第3辺、S4…第4辺、W…壁、Wa…表面。
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