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特開2024-43936半導体記憶装置、および半導体記憶装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043936
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置、および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/50 20230101AFI20240326BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240326BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240326BHJP
   H10B 41/50 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/11556
H01L27/11548
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149186
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 賢史
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA20
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR06
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造性の向上を図ることができる半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置1は、第1積層体40Aと、第2積層体40Bと、介在部50と、柱状体60とを有する。介在部50は、第1積層体40Aと第2積層体40Bとの間に配置されている。柱状体は、第1積層体内40Aを第1方向Zに延びた第1柱状部と、第2積層体40B内を第1方向Zに延びた第2柱状部と、介在部50内に配置されて第1柱状部と第2柱状部とを接続した接続部60Cと、を有する。介在部50の少なくとも一部は、第1絶縁材料を含む第1層51と、第1方向Zで第1層51と第2積層体40Bとの間に配置され、第1絶縁材料を含む第2層52と、第1方向Zで第1層51と第2層52との間に配置され、第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層53と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向からみて第1領域および第2領域に設けられ、複数の第1ゲート電極層と複数の第1絶縁層とが前記第1方向に1層ずつ交互に積層された第1積層体と、
前記第1方向で前記第1積層体とは異なる位置に配置され、複数の第2ゲート電極層と複数の第2絶縁層とが前記第1方向に1層ずつ交互に積層された第2積層体と、
前記第1方向で前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された介在部と、
チャネル層およびメモリ膜を含む柱状体であって、前記第1積層体内を前記第1方向に延びた第1柱状部と、前記第2積層体内を前記第1方向に延びた第2柱状部と、前記介在部内に配置され、前記第2柱状部との間に前記第1方向とは交差した第2方向の幅が異なる段差を有するとともに、前記第1柱状部と前記第2柱状部とを接続した接続部とを有し、前記第1領域に設けられた柱状体と、
前記第2領域に設けられ、前記複数の第1ゲート電極層のうちの1つに接し、前記第1方向に延びた第1コンタクトと、
前記第2領域に設けられ、前記複数の第2ゲート電極層のうちの1つに接し、前記第1方向に延びた第2コンタクトと、
を備え、
前記介在部は、前記第1領域と前記第2領域との両方において、前記第1方向の厚さが前記第1絶縁層と比べて大きく、
前記介在部の少なくとも一部は、
第1絶縁材料を含む第1層と、
前記第1方向で前記第1層と前記第2積層体との間に配置され、前記第1絶縁材料を含む第2層と、
前記第1方向で前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層と、
を有した、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1材料は、前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2絶縁材料は、第1エッチャントに対して前記第1絶縁材料よりもシリコン窒化物に近い特性を有し、前記第1エッチャントとは異なる第2エッチャントに対して前記シリコン窒化物よりも前記第1絶縁材料に近い特性を有する絶縁材料である、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1エッチャントは、炭素およびフッ素を含むエッチャントであり、
前記第2エッチャントは、リン酸を含むエッチャントである、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1絶縁材料は、酸素を含み、
前記第2絶縁材料は、窒素を含む、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2絶縁材料は、炭素および窒素を含む、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1材料は、金属材料である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記金属材料は、前記複数の第1ゲート電極層に含まれる金属材料と同じである、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2領域に設けられ、前記第1方向に延びて前記第3層に接したコンタクトをさらに備える、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第3層は、前記第1領域と前記第2領域とに亘り設けられた、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記介在部は、前記第1領域に位置した第1部分と、前記第2領域に位置した第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記第1層、前記第2層、および前記第3層を含み、
前記第1部分は、前記第1絶縁材料により形成された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1方向から見た場合、前記第3層の前記第2方向の端は、前記複数の第1ゲート電極層に含まれる1つの第1ゲート電極層の前記第2方向の端と、前記複数の第2ゲート電極層に含まれる1つの第2ゲート電極層の前記第2方向の端との間に位置する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第2領域は、前記第3層を前記第1方向に貫通して前記第1積層体の内部に達する2つ以上のコンタクトをさらに含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記介在部の少なくとも一部は、
前記第1方向で前記第2層と前記第2積層体との間に配置され、前記第1絶縁材料を含む第4層と、
前記第1方向で前記第2層と前記第4層との間に配置され、前記第1材料を含む第5層と、
を有した、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
第1積層体と、第2積層体と、介在部とを含む積層体を形成し、
前記第1積層体は、複数の第1膜と複数の第2膜とが第1方向に1層ずつ交互に積層されており、
前記第2積層体は、前記第1方向で前記第1積層体とは異なる位置に配置され、複数の第3膜と複数の第4膜とが前記第1方向に1層ずつ交互に積層されており、
前記介在部は、前記第1方向で前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置され、
前記介在部の少なくとも一部は、第1絶縁材料を含む第1層と、前記第1方向で前記第1層と前記第2積層体との間に配置され、前記第1絶縁材料を含む第2層と、前記第1方向で前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層と、を有し、
前記第3層に達する第1空間部と、前記第1方向の深さが前記第1空間部よりも深くて前記複数の第1膜に含まれる1つの第1膜に達する第2空間部とを一括して加工する、
ことを含む半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置、および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワード線と絶縁層とが交互に積層された積層体と、積層体を貫通したメモリピラーとを有した半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、製造性の向上を図ることができる半導体記憶装置、および半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1積層体と、第2積層体と、介在部と、柱状体と、第1コンタクトと、第2コンタクトとを有する。前記第1積層体は、第1方向からみて第1領域および第2領域に設けられ、複数の第1ゲート電極層と複数の第1絶縁層とが前記第1方向に1層ずつ交互に積層されている。前記第2積層体は、前記第1方向で前記第1積層体とは異なる位置に配置され、複数の第2ゲート電極層と複数の第2絶縁層とが前記第1方向に1層ずつ交互に積層されている。前記介在部は、前記第1方向で前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置されている。前記柱状体は、チャネル層およびメモリ膜を含む柱状体であって、前記第1積層体内を前記第1方向に延びた第1柱状部と、前記第2積層体内を前記第1方向に延びた第2柱状部と、前記介在部内に配置され、前記第2柱状部との間に前記第1方向とは交差した第2方向の幅異なる段差を有するとともに、前記第1柱状部と前記第2柱状部とを接続した接続部とを有する。前記柱状体は、前記第1領域に設けられている。前記第1コンタクトは、前記第2領域に設けられ、前記複数の第1ゲート電極層のうちの1つに接している。前記第2コンタクトは、前記第2領域に設けられ、前記複数の第3ゲート電極層のうちの1つに接している。前記介在部は、前記第1領域と前記第2領域との両方において、前記第1方向の厚さが前記第1絶縁層と比べて大きい。前記介在部の少なくとも一部は、第1絶縁材料を含む第1層と、前記第1方向で前記第1層と前記第2積層体との間に配置され、前記第1絶縁材料を含む第2層と、前記第1方向で前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置の構成の一部を示すブロック図。
図2】第1実施形態のメモリセルアレイの一部の等価回路を示す図。
図3】第1実施形態のメモリセルアレイの一部を示す断面図。
図4図3に示されたメモリセルアレイの一部のF4-F4線に沿う断面図。
図5図4に示されたメモリセルアレイのF5線で囲まれた領域を示す断面図。
図6図5に示されたメモリセルアレイのF6-F6線に沿う断面図。
図7図3に示されたメモリセルアレイのF7線で囲まれた領域を示す断面図。
図8】第1実施形態の階段領域の形成工程を説明するための断面図。
図9】第1実施形態の階段領域の形成工程を説明するための断面図。
図10】第1実施形態の階段領域の形成工程を説明するための断面図。
図11】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図12】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図13】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図14】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図15】第1実施形態の第1穴に関する工程の詳細を説明するための断面図。
図16】第2実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図17】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図18】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図19】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図20】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図21】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図22】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図23】第3実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図24】第3実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図25】第3実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図26】第3実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図27】第4実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図28】第4実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図29】第4実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図30】実施形態の第1変形例の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図31】実施形態の第2変形例の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図32】実施形態の第3変形例の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図33図32に示された半導体記憶装置のF33-F33線に沿う断面図。
図34図32に示された半導体記憶装置のF34-F34線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。以下の説明において、区別のための数字または英字を末尾に伴う参照符号は、互いに区別されなくてもよい場合、末尾の数字または英字が省略される場合がある。
【0008】
本出願では用語を以下のように定義する。「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合を含み得る。「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含み得る。すなわち「接続」とは、接続対象である2つの要素が直接に接続される場合に限定されず、接続対象である2つの要素が別の要素を間に介在させて接続される場合を含み得る。「隣り合う」とは、2つの要素が接する場合に限定されず、2つの要素が互いに離れた場合(例えば2つの要素の間に別の要素が介在する場合)を含み得る。「層」および「膜」とは、構成要素の区別のために便宜上使い分けられた用語であり、実質的に同じものを意味する。このため以下の説明において「層」および「膜」は、互いに読み替えられてもよい。
【0009】
X方向、Y方向、およびZ方向は、以下のように定義される。X方向は、後述するワード線WL(図3参照)が延びた方向である。Y方向は、X方向とは交差した(例えば直交した)方向である。Y方向は、後述するビット線BL(図4参照)が延びた方向である。Z方向は、X方向およびY方向とは交差した(例えば直交した)方向である。以下の説明では、第1積層体40Aから見て第2積層体40Bが位置する側を「上」、その反対側を「下」と称する場合がある。また以下の説明では、Z方向の位置を「高さ」と称する場合がある。ただしこれら表現は、説明の便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。Z方向は、「第1方向」の一例である。X方向は、「第2方向」の一例である。
【0010】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の構成>
図1は、半導体記憶装置1の構成の一部を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、NAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、例えば、外部のホスト装置と接続可能であり、ホスト装置の記憶空間として使用される。半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルアレイ11、コマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路(シーケンサ)14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17を含む。
【0011】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLK0~BLK(k-1)(kは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLKは、データの消去単位として使用される。メモリセルアレイ11には、複数のビット線および複数のワード線が設けられている。各メモリセルトランジスタは、1本のビット線と、1本のワード線とに関連付けられる。
【0012】
コマンドレジスタ12は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するコマンドCMDを保持する。アドレスレジスタ13は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するアドレス情報ADDを保持する。制御回路14は、半導体記憶装置1の各種動作を制御する回路である。例えば、制御回路14は、コマンドレジスタ12に保持されたコマンドCMDに基づき、データの書き込み動作、読み出し動作、または消去動作などを実行する。
【0013】
ドライバモジュール15は、電圧生成回路を含み、半導体記憶装置1の各種動作で使用される電圧を生成する。ロウデコーダモジュール16は、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたワード線に転送する。センスアンプモジュール17は、書き込み動作において、各ビット線に所望の電圧を印加する。センスアンプモジュール17は、読み出し動作において、各ビット線の電圧に基づいて各メモリセルトランジスタに記憶されたデータ値を判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてホスト装置に転送する。
【0014】
<2.メモリセルアレイの電気的構成>
次に、メモリセルアレイ11の電気的構成について説明する。
図2は、メモリセルアレイ11の一部の等価回路を示す図である。図2は、メモリセルアレイ11に含まれる1つのブロックBLKを示す。ブロックBLKは、複数のストリングユニットSU0~SUQ(Qは1以上の整数)を含む。
【0015】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えば、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTn(nは1以上の整数)、1つ以上のドレイン側選択トランジスタSTD、および1つ以上のソース側選択トランジスタSTSを含む。
【0016】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnは、直列接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートおよび電荷蓄積部を含む。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートは、ワード線WL0~WLnのいずれかに接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、ワード線WLを介して制御ゲートに印加された電圧に応じて電荷蓄積部に電荷が蓄積され、データ値を不揮発に保持する。
【0017】
ドレイン側選択トランジスタSTDのドレインは、当該NANDストリングNSに対応するビット線BLに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDのソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの一端に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、ドレイン側選択ゲート線SGD0~SGDQのいずれかに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、ドレイン側選択ゲート線SGDを介して、ロウデコーダモジュール16と電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、対応するドレイン側選択ゲート線SGDに所定の電圧が印加された場合に、NANDストリングNSとビット線BLとを接続する。
【0018】
ソース側選択トランジスタSTSのドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの他端に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのソースは、ソース線SLに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSは、ソース側選択ゲート線SGSに所定の電圧が印加された場合に、NANDストリングNSとソース線SLとを接続する。
【0019】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WL0~WLnに共通接続されている。各ストリングユニットSU0~SUQ内のドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、それぞれ対応する選択ゲート線SGD0~SGDQに共通接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続されている。メモリセルアレイ11において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有されている。
【0020】
<3.メモリセルアレイの物理的構成>
次に、メモリセルアレイ11の物理的構成について説明する。
図3は、メモリセルアレイ11の一部を示す断面図である。メモリセルアレイ11は、例えば、下部構造体20、積層体30、複数のメモリピラー60、1つ以上の分断部70(図4参照)、メモリピラー用の複数のコンタクト80、導電層用の複数のコンタクト90、支持体HR、および上部配線部100を有する。
【0021】
<3.1 下部構造体>
まず、下部構造体20について説明する。
図4は、図3に示されたメモリセルアレイ11の一部のF4-F4線に沿う断面図である。下部構造体20は、例えば、第1半導体層21、第2半導体層22、第3半導体層23、絶縁層24、および第4半導体層25を含む。
【0022】
第1半導体層21は、ポリシリコンのような半導体材料により形成された層である。第1半導体層21は、不純物を含み、導電性を有する。第1半導体層21は、X方向およびY方向に沿う。
【0023】
第2半導体層22は、第1半導体層21上に設けられている。第2半導体層22は、ポリシリコンのような半導体材料により形成された層である。第2半導体層22は、不純物を含み、導電性を有する。第2半導体層22は、X方向およびY方向に沿う。
【0024】
第3半導体層23は、第2半導体層22上に設けられている。第3半導体層23は、ポリシリコンのような半導体材料により形成された層である。第3半導体層23は、不純物を含み、導電性を有する。第3半導体層23は、X方向およびY方向に沿う。第3半導体層23の厚さは、例えば、第1半導体層21の厚さおよび第2半導体層22の厚さよりも薄い。本実施形態では、第1半導体層21、第2半導体層22、および第3半導体層23により、ソース線SLが形成されている。
【0025】
絶縁層24は、第3半導体層23上に設けられている。絶縁層24は、シリコン酸化物のような絶縁材料により形成された層である。絶縁層24は、X方向およびY方向に沿う。
【0026】
第4半導体層25は、絶縁層24上に設けられている。第4半導体層25は、後述する30に溝が掘られる際にストッパ層として機能する層である。第4半導体層25は、例えば、ポリシリコンのような半導体材料により形成される。なお、第4半導体層25に代えて、絶縁材料により形成されたストッパ層が設けられてもよい。
【0027】
<3.2 積層体>
次に、積層体30について説明する。積層体30は、第1積層体40A、第2積層体40B、介在部50、および絶縁層59を含む。
【0028】
<3.2.1 第1積層体>
まず、第1積層体40Aについて説明する。第1積層体40Aは、下部構造体20上に設けられている。第1積層体40Aは、複数の導電層41Aと、複数の絶縁層42Aとを含む。複数の導電層41Aおよび複数の絶縁層42Aは、Z方向に1層ずつ交互に積層されている。
【0029】
導電層41Aは、X方向およびY方向に沿う層である。導電層41Aは、例えば、タングステンまたはモリブデンのような導電材料により形成されている。導電層41Aは、「第1ゲート電極層」の一例である。
【0030】
絶縁層42Aは、Z方向で隣り合う2つの導電層41Aの間に設けられ、当該2つの導電層41Aを絶縁する層間絶縁膜である。絶縁層42Aは、X方向およびY方向に沿う層である。絶縁層42Aは、シリコン酸化物(SiO)のような絶縁材料により形成されている。絶縁層42Aは、「第1絶縁層」および「第2膜」のそれぞれ一例である。
【0031】
<3.2.2 第2積層体>
次に、第2積層体40Bについて説明する。第2積層体40Bは、Z方向で、第1積層体40Aとは異なる位置に配置されている。本実施形態では、第2積層体40Bは、第1積層体40Aの上方に配置されている。第2積層体40Bは、例えば、複数の導電層41Bと、複数の絶縁層42Bとを含む。複数の導電層41Bおよび複数の絶縁層42Bは、Z方向に1層ずつ交互に積層されている。
【0032】
導電層41Bは、X方向およびY方向に沿う層である。導電層41Bは、例えば、タングステンまたはモリブデンのような導電材料により形成されている。導電層41Bは、「第2ゲート電極層」の一例である。
【0033】
絶縁層42Bは、Z方向で隣り合う2つの導電層41Bの間に設けられ、当該2つの導電層41Bを絶縁する層間絶縁膜である。絶縁層42Bは、X方向およびY方向に沿う層である。絶縁層42Bは、シリコン酸化物のような絶縁材料(SiO)により形成されている。絶縁層42Bは、「第2絶縁層」および「第4膜」のそれぞれ一例である。
【0034】
<3.2.3 介在部>
次に、介在部50について説明する。介在部50は、Z方向で、第1積層体40Aと第2積層体40Bとの間に配置されている。介在部50は、後述するメモリピラー60の接続部60Cが設けられる層である。介在部50は、X方向およびY方向に沿う層である。介在部50のZ方向の厚さT50は、第1積層体40Aの絶縁層42AのZ方向の厚さT42Aよりも大きく、且つ、第2積層体40Bの絶縁層42BのZ方向の厚さT42Bよりも大きい。介在部50の構成については、詳しく後述する。
【0035】
<3.2.4 絶縁層>
絶縁層59は、第2積層体40Bの上方に設けられている。絶縁層59は、例えば、シリコン酸化物(SiO)により形成されている。絶縁層59は、X方向およびY方向に沿う。
【0036】
<3.2.5 積層体の電気的構成>
次に、積層体30の電気的構成について説明する。以下では、第1積層体40Aの導電層41Aと、第2積層体40Bの導電層41Bとを区別しない場合、単に「導電層41」と称する。同様に、第1積層体40Aの絶縁層42Aと、第2積層体40Bの絶縁層42Bとを区別しない場合、単に「絶縁層42」と称する。
【0037】
複数の導電層41のうち下部構造体20から最も離れた1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。ドレイン側選択ゲート線SGDは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラー60に対して共通に設けられている。ドレイン側選択ゲート線SGDと各メモリピラー60のチャネル層62(後述)との交差部分は、上述したドレイン側選択トランジスタSTDとして機能する。
【0038】
複数の導電層41のうち下部構造体20に最も近い1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する。ソース側選択ゲート線SGSは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラー60に対して共通に設けられている。ソース側選択ゲート線SGSと各メモリピラー60のチャネル層62との交差部分は、上述したソース側選択トランジスタSTSとして機能する。
【0039】
複数の導電層41のうちドレイン側選択ゲート線SGDまたはソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層41に挟まれた残りの導電層41は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、X方向およびY方向で並ぶ複数のメモリピラー60に対して共通に設けられている。本実施形態では、ワード線WLと各メモリピラー60のチャネル層62との交差部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリセルトランジスタMTについては、詳しく後述する。
【0040】
<3.2.6 アレイ領域および階段領域>
図3に戻り、積層体30が有するいくつかの領域について説明する。積層体30は、例えば、アレイ領域ARと、一対の階段領域SRa,SRbとを有する。
【0041】
アレイ領域ARは、後述する複数のメモリピラー60が設けられ、データを記憶可能な領域である。アレイ領域ARは、「第1領域」の一例である。
【0042】
階段領域SRa,SRbの各々は、複数の導電層41のX方向の長さが異なり、導電層用の複数のコンタクト90が設けられた領域である。階段領域SRa,SRbは、例えば、アレイ領域ARのX方向の両側に分かれて配置されている。階段領域SRa,SRbでは、複数の導電層41は、下方に位置する導電層41であるほど、X方向の長さが長い。各導電層41のX方向の端部は、例えば、その導電層41よりも上方に位置する他の導電層41と重ならないテラス部41tを有する。階段領域SRa,SRbの各々は、「第2領域」の一例である。
【0043】
例えば、第2積層体40Bの複数の導電層41Bは、X方向の長さが互いに異なる2つ以上の導電層41Bを含む。例えば、複数の導電層41Bは、第1導電層41-1、第2導電層41-2、および第3導電層41-3を含む。第1導電層41-1は、3つの導電層41-1,41-2,41-3のなかで最上位に位置する。第2導電層41-2は、3つの導電層41-1,41-2,41-3のなかで真ん中に位置する。言い換えると、第2導電層41-2は、第1導電層41-1と第1積層体40Aとの間に配置されている。第3導電層41-3は、3つの導電層41-1,41-2,41-3のなかで最下位に位置する。言い換えると、第3導電層41-3は、第2導電層41-2と第1積層体40Aとの間に配置されている。第2導電層41-2のX方向の長さは、第1導電層41-1のX方向の長さよりも長い。第3導電層41-3のX方向の長さは、第2導電層41-2のX方向の長さよりも長い。
【0044】
同様に、第1積層体40Aの複数の導電層41Aは、X方向の長さが互いに異なる2つ以上の導電層41Aを含む。複数の導電層41Aは、第4導電層41-4、第5導電層41-5、および第6導電層41-6を含む。第4導電層41-4は、これら3つの導電層41-4,41-5,41-6のなかで最上位に位置する。第5導電層41-5は、3つの導電層41-4,41-5,41-6のなかで真ん中に位置する。言い換えると、第5導電層41-5は、第4導電層41-4と下部構造体20との間に配置されている。第6導電層41-6は、3つの導電層41-4,41-5,41-6のなかで最下位に位置する。言い換えると、第6導電層41-6は、第5導電層41-5と下部構造体20との間に配置されている。第4導電層41-4のX方向の長さは、第2積層体40Bの第3導電層41-3のX方向の長さよりも長い。第5導電層41-5のX方向の長さは、第4導電層41-4のX方向の長さよりも長い。第6導電層41-6のX方向の長さは、第5導電層41-5のX方向の長さよりも長い。
【0045】
<3.3 メモリピラー>
次に、メモリピラー60について説明する。
図3に示すように、複数のメモリピラー60は、アレイ領域ARに設けられている。複数のメモリピラー60は、X方向およびY方向に並べて配置されている。
【0046】
図4に示すように、各メモリピラー60は、Z方向に延び、積層体30、絶縁層24、第3半導体層23、および第2半導体層22を貫通している。各メモリピラー60の下端部は、第1半導体層21に入り込んでいる。メモリピラー60は、「柱状体」の一例である。
【0047】
本実施形態では、各メモリピラー60は、2段構成のピラーであり、下部ピラー60Aと、上部ピラー60Bと、接続部60Cとを含む。下部ピラー60Aは、第1積層体40A内をZ方向に延びている。下部ピラー60Aは、例えば、円柱状または逆円錐台形状である。下部ピラー60Aは、「第1柱状部」の一例である。上部ピラー60Bは、第2積層体40B内をZ方向に延びている。上部ピラー60Bは、例えば、円柱状または逆円錐台形状である。上部ピラー60Bは、「第2柱状部」の一例である。
【0048】
接続部60Cは、介在部50内に配置されている。接続部60Cは、Z方向で下部ピラー60Aと上部ピラー60Bとの間に設けられ、下部ピラー60Aと上部ピラー60Bとを接続する。接続部60Cは、上部ピラー60Bの少なくとも一部(例えば上部ピラー60Bの下端60Be)と比べてX方向およびY方向の幅が大きい。接続部60Cは、上部ピラー60Bとの間にX方向およびY方向の幅が異なる段差69Bを有する。また、接続部60Cは、下部ピラー60Aの少なくとも一部(例えば下部ピラー60Aの上端60Ae)と比べてX方向およびY方向の幅が大きい。接続部60Cは、下部ピラー60Aとの間にX方向およびY方向の幅が異なる段差69Aを有する。
【0049】
次に、メモリピラー60の内部構成について説明する。
図5は、図4に示されたメモリセルアレイ11のF5線で囲まれた領域を示す断面図である。メモリピラー60は、例えば、メモリ膜61、チャネル層62、絶縁コア63、およびキャップ部64を有する。
【0050】
(メモリ膜)
図6は、図5に示されたメモリセルアレイ11のF6-F6線に沿う断面図である。メモリ膜61は、チャネル層62の外周側に設けられている。メモリ膜61は、複数の導電層41とチャネル層62との間に配置されている。メモリ膜61は、環状に形成されるとともに、メモリピラー60の全長(全高)に亘るようにZ方向に延びている。メモリ膜61は、例えば、トンネル絶縁膜67、チャージトラップ膜68、およびブロック絶縁膜69を含む。
【0051】
トンネル絶縁膜67は、チャネル層62とチャージトラップ膜68との間に位置する。トンネル絶縁膜67は、例えばチャネル層62の外周面に沿う環状に形成され、チャネル層62に沿ってZ方向に延びている。トンネル絶縁膜67は、チャネル層62とチャージトラップ膜68との間の電位障壁である。トンネル絶縁膜67は、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。
【0052】
チャージトラップ膜68は、トンネル絶縁膜67の外周側に設けられている。チャージトラップ膜68は、トンネル絶縁膜67とブロック絶縁膜69との間に配置されている。チャージトラップ膜68は、例えばトンネル絶縁膜67の外周面に沿う環状に形成され、トンネル絶縁膜67に沿ってZ方向に延びている。チャージトラップ膜68は、多数の結晶欠陥(捕獲準位)を有し、これら結晶欠陥に電荷を捕獲可能な機能膜である。チャージトラップ膜68は、例えばシリコン窒化物により形成されている。チャージトラップ膜68のなかで各ワード線WLと並ぶ部分68aは、電荷を蓄積することで情報を記憶可能な「電荷蓄積部」の一例である。
【0053】
ブロック絶縁膜69は、チャージトラップ膜68の外周側に設けられている。ブロック絶縁膜69は、複数の導電層41とチャージトラップ膜68との間に配置されている。ブロック絶縁膜69は、例えばチャージトラップ膜68の外周面に沿う環状に形成され、チャージトラップ膜68に沿ってZ方向に延びている。ブロック絶縁膜69は、バックトンネリングを抑制する絶縁膜である。バックトンネリングは、ワード線WLからチャージトラップ膜68へ電荷が注入される現象である。ブロック絶縁膜69は、例えば、シリコン酸化膜または金属酸化物膜などの複数の絶縁膜が積層された積層構造膜である。金属酸化物の一例は、アルミニウム酸化物である。ブロック絶縁膜69は、シリコン窒化物またはハフニウムオキサイドのような高誘電率材料(High-k材料)を含んでもよい。
【0054】
以上のような構成により、各ワード線WLと同じ高さには、メモリピラー60に隣り合うワード線WLの端部、ブロック絶縁膜69、チャージトラップ膜68、トンネル絶縁膜67、およびチャネル層62により、MANOS(Metal-Al-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリセルトランジスタMTが形成されている。なお、メモリ膜61は、電荷蓄積部として、チャージトラップ膜68に代えて、フローティングゲート方式の電荷蓄積部(フローティングゲート電極)を有してもよい。フローティングゲート電極は、例えば、不純物を含むポリシリコンにより形成される。
【0055】
(チャネル層)
チャネル層62は、メモリ膜61の内側に設けられている。チャネル層62は、環状に形成されるとともに、メモリピラー60の全長(全高)に亘るようにZ方向に延びている。本実施形態では、メモリ膜61のなかでソース線SLと同じ高さに位置する部分は除去されている(図5参照)。これにより、チャネル層62の下端部は、ソース線SLに接してソース線SLと接続されている。チャネル層62は、ポリシリコンのような半導体材料で形成されている。チャネル層62は、不純物がドープされていてもよい。チャネル層62は、ワード線WLに電圧が印加される場合に、チャネルを形成してビット線BLとソース線SLとを電気的に接続する。
【0056】
(絶縁コア)
絶縁コア63は、チャネル層62の内側に設けられている。絶縁コア63は、チャネル層62の内部の一部を埋めている。絶縁コア63は、シリコン酸化物のような絶縁材料で形成されている。絶縁コア63は、メモリピラー60の上端部を除いてメモリピラー60の大部分に亘るようにZ方向に延びている。絶縁コア63の一部は、チャネル層62の内周面に沿う環状に形成され、内部に空間部(エアギャップ)Sを有してもよい。
【0057】
(キャップ部)
図5に戻り、キャップ部64について説明する。キャップ部64は、絶縁コア63の上方に設けられている(図5参照)。キャップ部64は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような半導体材料で形成された半導体部である。キャップ部64は、不純物がドープされていてもよい。キャップ部64は、チャネル層62の上端部の内周側に設けられ、チャネル層62と一体に形成されている。キャップ部64は、チャネル層62の上端部とともに、メモリピラー60の上端部を形成している。キャップ部64には、メモリピラー用のコンタクト80がZ方向で接する。
【0058】
<3.4 分断部>
次に図4に戻り、分断部70について説明する。分断部70は、積層体30をY方向に分断する壁部である。複数の分断部70(図4では1つのみ示す)は、Y方向に互いに離間して配置されている。分断部70は、Z方向に延びており、積層体30を貫通している。分断部70は、X方向に沿って延びており、アレイ領域ARを間に挟んで一対の階段領域SRa,SRbに亘る。分断部70は、例えば、絶縁部71と、導電部72とを含む。
【0059】
絶縁部71は、Z方向に延びており、積層体30、絶縁層24、および第3半導体層23を貫通している。絶縁部71は、積層体30に含まれる複数の導電層41の各々をY方向に分断している。絶縁部71は、シリコン酸化物のような絶縁材料により形成されている。
【0060】
導電部72は、絶縁部71の内部に設けられている。導電部72は、Z方向に延び、積層体30、絶縁層24、および第3半導体層23を貫通している。導電部72の下端は、ソース線SLと接続されている。導電部72は、タングステンのような導電材料で形成されている。導電部72は、ソース線SLとメモリセルアレイ11内の配線とを接続する電気接続部である。
【0061】
<3.5 メモリピラー用のコンタクト>
次に図3に戻り、メモリピラー用のコンタクト80について説明する。コンタクト80は、メモリピラー60と上部配線部100に含まれるビット線BLとを接続する電気接続部である。複数のコンタクト80は、上方から見た場合、複数のメモリピラー60に対応する位置に配置されている。各コンタクト80は、Z方向に延びており、ビット線BLとメモリピラー60のキャップ部64とを電気的に接続する。
【0062】
<3.6 導電層用のコンタクト>
次に、導電層用のコンタクト90について説明する。コンタクト90は、導電層41と上部配線部100に含まれる配線101とを接続する電気接続部である。複数のコンタクト90は、階段領域SRa,SRbに設けられている。複数のコンタクト90は、上方から見た場合、複数の導電層41のテラス部41tに対応する位置に配置されている。複数のコンタクト90は、Z方向に延びており、Z方向の長さが互いに異なる。
【0063】
例えば、複数のコンタクト90は、コンタクト90-1と、コンタクト90-2と、コンタクト90-3とを含む。コンタクト90-1は、第1導電層41-1のテラス部41tに対応して設けられ、第1導電層41-1のテラス部41tに接する。コンタクト90-2は、コンタクト90-1よりも下方に長く延びている。コンタクト90-2は、第2導電層41-2のテラス部41tに対応して設けられ、第2導電層41-2のテラス部41tに接する。コンタクト90-3は、コンタクト90-2よりも下方に長く延びている。コンタクト90-3は、第3導電層41-3のテラス部41tに対応して設けられ、第3導電層41-3のテラス部41tに接する。
【0064】
さらに、複数のコンタクト90は、コンタクト90-4と、コンタクト90-5と、コンタクト90-6とを含む。コンタクト90-4は、コンタクト90-3よりも下方に長く延びている。コンタクト90-4は、第4導電層41-4のテラス部41tに対応して設けられ、第4導電層41-4のテラス部41tに接する。コンタクト90-5は、コンタクト90-4よりも下方に長く延びている。コンタクト90-5は、第5導電層41-5のテラス部41tに対応して設けられ、第5導電層41-5のテラス部41tに接する。コンタクト90-6は、コンタクト90-5よりも下方に長く延びている。コンタクト90-6は、第6導電層41-6のテラス部41tに対応して設けられ、第6導電層41-6のテラス部41tに接する。
【0065】
<3.7 支持体>
次に、支持体HRについて説明する。支持体HRは、積層体30内をZ方向に延びた柱状体である。支持体HRは、例えば、絶縁材料で形成されてもよいし、メモリピラー60と同様の構成を有してもよい。複数の支持体HRは、階段領域SRa,SRbに設けられている。支持体HRは、後述する置換工程において犠牲層121が除去された状態で、階段領域SRa,SRbにおいて複数の絶縁層42を支持する支持部である。
【0066】
<3.8 上部配線部>
次に、上部配線部100について説明する。上部配線部100は、積層体30の上方に配置された複数の配線101を含む。上部配線部100は、例えば、複数のビット線BLと、複数の配線101とを含む。
【0067】
各ビット線BLは、対応するメモリピラー用のコンタクト80の上に配置されている。ビット線BLは、コンタクト80を介して、メモリピラー60のチャネル層62に接続されている。これにより、ワード線WLとビット線BLとの組み合わせにより、3次元状に配置された複数のメモリセルトランジスタMTのなかから任意のメモリセルトランジスタMTを選択することができる。
【0068】
各配線101は、後述する導電層用のコンタクト90の上に配置されている。配線101は、コンタクト90を介して、導電層41(ワード線WL、ドレイン側選択ゲート線SGD、またはソース側選択ゲート線SGS)に接続されている。これにより、配線101に電圧を印加することで、所望の導電層41に電圧を印加することができる。
【0069】
<4.介在部の構成>
次に、介在部50の構成について説明する。
図7は、図3に示されたメモリセルアレイ11のF7線で囲まれた領域を示す断面図である。なお図7において一点鎖線M11で囲まれた領域の構造は、実際には、図8から図10に示すようなスリミング加工を含む階段領域の形成工程により形成される構造(図10中の(g)において一点鎖線M12で示されるような階段構造)を含む。ただし、図7では、説明の便宜上、一点鎖線M11で囲まれた領域の構造を簡略化して図示している。これは、本実施形態の製造方法を説明するための図13および図14、並びに、第2実施形態以降で示されるいくつかの図でも同様である。
【0070】
本実施形態では、介在部50の少なくとも一部は、第1層51、第2層52、および第3層53を含む。
【0071】
<4.1 第1層>
第1層51は、第1積層体40A上に配置されている。第1層51は、第1絶縁材料を含む絶縁層である。第1絶縁材料は、例えば、酸素を含む。第1絶縁材料は、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)により形成されたシリコン酸化物(SiO)である。第1層51は、X方向およびY方向に沿う。第1層51のZ方向の厚さT51は、例えば、絶縁層42のZ方向の厚さT42よりも大きい。ただし、第1層51のZ方向の厚さT51は、絶縁層42のZ方向の厚さT42と同じでもよく、絶縁層42のZ方向の厚さT42よりも小さくてもよい。
【0072】
<4.2 第2層>
第2層52は、第1層51よりも上方に配置され、第1層51と第2積層体40Bとの間に位置する。第2層52は、上記第1絶縁材料を含む絶縁層である。すなわち、第1層51および第2層52は、同じ絶縁材料で形成されている。第2層52は、X方向およびY方向に沿う。第2層52のZ方向の厚さT52は、例えば、絶縁層42のZ方向の厚さT42よりも大きい。ただし、第2層52のZ方向の厚さT52は、絶縁層42のZ方向の厚さT42と同じでもよく、絶縁層42のZ方向の厚さT42よりも小さくてもよい。
【0073】
<4.3 第3層>
(第3層の構成)
第3層53は、Z方向で第1層51と第2層52との間に配置されている。本実施形態では、第3層53は、第2絶縁材料を含む絶縁層である。第2絶縁材料は、上記第1絶縁材料とは異なる絶縁材料である。すなわち、第3層53は、第1層51および第2層52とは異なる材料で形成されている。
【0074】
第3層53は、X方向およびY方向に沿う。第3層53のZ方向の厚さT53は、例えば、第1層51のZ方向の厚さT51よりも小さく、第2層52のZ方向の厚さT52よりも小さい。例えば、第3層53のZ方向の厚さT53は、第1層51のZ方向の厚さT51よりも、導電層41のZ方向の厚さT41に近い。本実施形態では、第3層53のZ方向の厚さT53は、導電層41のZ方向の厚さT41と同じである。ただし、第3層53のZ方向の厚さT53は、導電層41のZ方向の厚さT41よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
【0075】
第2絶縁材料は、第1エッチャントに対して上記第1絶縁材料よりもシリコン窒化物(SiN)に近い特性を有するとともに、第1エッチャントとは異なる第2エッチャントに対して上記シリコン窒化物(SiN)よりも上記第1絶縁材料に近い特性を有する。例えば、第2絶縁材料は、上記第1エッチャントに対して上記第1絶縁材料よりもシリコン窒化物(SiN)に近い選択比を有するとともに、上記第2エッチャントに対して上記シリコン窒化物(SiN)よりも上記第1絶縁材料に近い選択比を有する。
【0076】
第1エッチャントは、例えば、複数の犠牲層121(後述)および複数の絶縁層42を所望の形状に加工するエッチングを行うためのエッチャントである。第1エッチャントは、例えば、炭素およびフッ素を含むガスである。第1エッチャントは、例えば、Cガスである。ただし、Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数を表す(x≧1、y≧0、z≧1)。y=0の場合、Cはフルオロカーボンであり、y≠0の場合、Cはハイドロフルオロカーボンである。Cガスは、例えば、Cガス、Cガス、またはCHガスなどである。
【0077】
第2エッチャントは、例えば、複数の犠牲層121を複数の導電層41に置換する置換工程において、複数の犠牲層121を除去するために用いられるエッチャントである。第2エッチャントは、例えば、リン酸を含む溶液である。第2エッチャントは、例えば、ホットリン酸(HPO)を含む溶液である。
【0078】
上記特性を有する第2絶縁材料は、例えば、窒素を含む絶縁材料である。例えば、第2絶縁材料は、炭素および窒素を含む絶縁材料である。第2絶縁材料は、例えば、シリコン炭窒化物(SiCN)である。第2絶縁材料は、「第1材料」の一例である。例えば、第3層53がシリコン炭窒化物で形成された場合、後述する階段構造の形成工程において、絶縁層42の加工時には、シリコン酸化物(SiO)である絶縁層42に対して選択比をとることができ、犠牲層121の加工時には、シリコン窒化物(SiN)である犠牲層121と同等のエッチングレートで第3層53を削ることができる。
【0079】
第3層53は、少なくとも階段領域SRa,SRbに設けられている。本実施形態では、第3層53は、アレイ領域ARと、一対の階段領域SRa,SRbとに亘り設けられている。Z方向から見た場合(例えば上方から見た場合)、第3層53のX方向の端53eは、第3導電層41-3のX方向の端41e1と、第4導電層41-4のX方向の端41e2との間に位置する。
【0080】
(第3層の作用)
次に、第3層53の作用について説明する。
図8から図10は、階段領域Sa,Sbの形成工程を説明するための断面図である。本実施形態では、2つ以上(例えば3つ以上)の導電層41のテラス部41tを一括して形成する加工(以下「階段多段加工」と称する)が行われる。例えば、図8から図10は、3つの導電層41のテラス部41tを一括して形成する階段多段加工を示す。
【0081】
まず、積層体110が形成される(図8中の(a)参照)。積層体110は、第1積層体120A、介在部50、第2積層体120B、および絶縁層59を含む。第1積層体120Aは、第1積層体40Aの元になる積層体である。第1積層体120Aでは、複数の犠牲層121Aおよび複数の絶縁層42Aが1層ずつ交互に積層されている。犠牲層121Aは、後に行われる置換工程(後述)において導電層41Aに置換される層である。犠牲層121Aは、例えば、シリコン窒化物(SiN)により形成されている。犠牲層121Aは、「第1膜」の一例である。
【0082】
同様に、第2積層体120Bは、第2積層体40Bの元になる積層体である。第2積層体120Bは、介在部50を間に介在させて、第1積層体120Aの上方に配置される。第2積層体120Bでは、複数の犠牲層121Bおよび複数の絶縁層42Bが1層ずつ交互に積層されている。犠牲層121Bは、後に行われる置換工程において導電層41Bに置換される層である。犠牲層121Bは、例えば、シリコン窒化物(SiN)により形成されている。犠牲層121Bは、「第3膜」の一例である。以下では、犠牲層121Aと、犠牲層121Bとを区別しない場合、単に「犠牲層121」と称する。
【0083】
介在部50は、第1層51、第2層52、および第3層53を有する。介在部50は、第1積層体120Aと、第2積層体120Bとの間に配置される。絶縁層59は、第2積層体120Bの上部に設けられている。
【0084】
次に、積層体110上にレジスト層R1を形成し、パターニングにより積層体110の上面の所定箇所だけを露出させる。次に、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、犠牲層121を1層だけ加工する(図8中の(b)参照)。これにより、それぞれ第1底面Baを持つ複数の窪みHが形成される。
【0085】
ここで、第1エッチャントを用いた異方性エッチングでは、犠牲層121と絶縁層42との界面を目標に窪みHの深さの制御が可能である。以下では、犠牲層121の下面(すなわち絶縁層42の上面)を目標に窪みHの深さの制御が行われる例について説明する。なおこの例に代えて、犠牲層121の上面(すなわち絶縁層42の下面)を目標に窪みHの深さの制御が行われてもよい。
【0086】
次に、レジスト層R1に対して等方性エッチングを行い、レジスト層R1のスリミングを行う。そして、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、絶縁層42および犠牲層121をさらに1層ずつ加工する(図9中の(c)参照)。これにより、それぞれ第1底面Baおよび第2底面Bbを持つ複数の窪みHが形成される。
【0087】
次に、レジスト層R1に対して追加の等方性エッチングを行い、レジスト層R1のスリミングを行う。そして、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、絶縁層42および犠牲層121をさらに1層ずつ加工する(図9中の(d)参照)。これにより、それぞれ第1底面Ba、第2底面Bb、および第3底面Bcを持つ複数の窪みHが形成される。
【0088】
これにより、3つの導電層41を一括して加工するための複数の窪みHが形成される。各窪みHの底部は、1つ以上(例えば2つ以上)の段差Stと、段差Stにより高さが異なる2つ以上の底面(例えば底面Ba,Bb,Bc)とを有する。段差Stは、1層の絶縁層42と1層の犠牲層121の合計の厚さに対応する高さを有する。図8に示す例では、窪みHの底部は、2つの段差Stを有する。
【0089】
積層体110に設けられた複数の窪みHは、例えば、第1窪みH1、第2窪みH2、第3窪みH3、および第4窪みH4を含む。第2窪みH2は、アレイ領域ARから見て第1窪みH1よりも遠くに位置する。第3窪みH3は、アレイ領域ARから見て第2窪みH2よりも遠くに位置する。第4窪みH4は、アレイ領域ARから見て第3窪みH3よりも遠くに位置する。
【0090】
次に、第1窪みH1の内部をマスクとなる犠牲体R2で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行う。これにより、第2窪みH2、第3窪みH3、および第4窪みH4の各々について、絶縁層42および犠牲層121をさらに3層ずつ加工する(図9中の(e)参照)。
【0091】
次に、第1窪みH1および第2窪みH2の内部をマスクとなる犠牲体R2で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行う。これにより、第3窪みH3および第4窪みH4の各々について、絶縁層42および犠牲層121をさらに3層ずつ加工する(図10中の(f)参照)。図10に示す例では、第3窪みH3および第4窪みH4は、介在部50を貫通するように深く掘られる。これにより、第3窪みH3および第4窪みH4は、第1積層体40Aの内部に達する。
【0092】
次に、第1窪みH1、第2窪みH2、および第3窪みH3の内部をマスクとなる犠牲体R2で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、第4窪みH4について、絶縁層42および犠牲層121をさらに3層ずつ加工する(図10中の(g)参照)。このような加工を繰り返すことで、3つの導電層41のテラス部41tが一括して形成される階段多段加工が行われる。これにより、導電層41の加工を1層ずつ行う場合と比べて、少ない工程数で階段領域SRa,SRbと形成することができる。
【0093】
ここで本実施形態では、介在部50に第3層53が設けられている。第3層53は、第1エッチャントに対して第1層51および第2層52よりも犠牲層121に近い特性を有する。このため、第3層53は、介在部50に達する窪みHが形成される場合に、犠牲層121と類似した挙動を示す。このため、窪みHが持つ1つの底面(例えば第1から第3の底面Ba,Bb,Bcのいずれか)に対して第3層53がストッパ層のような役割を果たし、窪みHの底部の深さ位置の制御が容易になる。例えば、図10中の(f)に示す例では、第3層53が存在することで、窪みH3および窪みH4の各々の第3底面Bcの高さ位置の精度が向上する。
【0094】
これにより、介在部50の内部において、目標とする深さ位置に窪みHの底部を形成しやすくなる。これにより、多段階段加工を行うための窪みHの一部が介在部50に存在する場合であっても、第1積層体40A、第2積層体40B、および介在部50に亘り、多段階段加工により形成される階段形状の段差のピッチが均一になりやすい。このため、第1積層体40A、第2積層体40B、および介在部50に亘り、多段階段加工を連続して行うことができる。
【0095】
本実施形態では、窪みHのなかで第3底面Bcの上方に位置する空間が「第1空間部S1」の一例である。窪みHのなかで第2底面Bbの上方に位置する空間が「第2空間部S2」の一例である。窪みHのなかで第1底面Baの上方に位置する空間が「第3空間部S3」の一例である。本実施形態では、ある階段多段加工において、第1空間部S1が第3層53に達して第3層53によって深さが制御され、第2空間部S2が1つの犠牲層121Aに達して犠牲層121Aによって深さが制御され、第3空間部S3が別の1つの犠牲層121Aに達して犠牲層121Aによって深さが制御される(図9中の(f)参照)。
【0096】
<5.半導体記憶装置の製造方法>
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図11から図14は、半導体記憶装置1の製造方法を説明するための断面図である。ここで、製造途中の下部構造体20Aは、第2半導体層22に代えて、犠牲層22Aを有する。犠牲層22Aは、例えば公知の方法により後工程で第2半導体層22に置換される。これにより、下部構造体20Aから下部構造体20が形成される(図13中の(i)参照)。
【0097】
本実施形態では、下部構造体20A上に犠牲層121Aと絶縁層42Aとを1層ずつ交互に積層することで第1積層体120Aが形成される。次に、第1積層体120A上に、第1層51、第3層53、第2層52が順に積層されることで介在部50が形成される。次に、第1積層体120Aに対して第1穴131Aおよび第2穴132Aが形成される。第1穴131Aおよび第2穴132Aは、介在部50および第1積層体120A内をZ方向に延びた穴である(図11中の(a)参照)。第1穴131Aは、メモリピラー60の下部ピラー60Aが形成されるための穴である。第2穴132Aは、支持体HRの下部が形成されるための穴である。
【0098】
次に、第1穴131AがマスクM1により塞がれた状態でシリコン酸化物のような絶縁材料が供給され、第2穴132Aの内部を埋める絶縁体135が形成される(図11中の(b)参照)。次に、マスクM1が除去されてカーボンのような犠牲体材料が供給され、第1穴131Aの内部を埋める犠牲体136が形成される。次に、エッチングにより犠牲体136の上部が除去される(図11中の(c)参照)。次に、エッチングにより第1穴131Aの上端部が拡径される(図12中の(d)参照)。
【0099】
図15は、第1穴131Aの上端部を拡径する工程の詳細を説明するための図である。第1穴131Aの上端部を拡径する工程では、まず、ウェットエッチングにより介在部50の第1層51および第2層52が除去される。これにより、第3層53を除く部分で第1穴131Aの上端部が拡径される。次に、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)によりエッチバックを行うことで、第3層53の不要な端部が除去される。これにより、第1穴131Aの上端部を拡径する工程が完了する。
【0100】
図11に戻り、残りの工程について説明する。次に、カーボンのような犠牲体材料が供給され、拡径された第1穴131Aの上端部を埋める犠牲体136が形成される。
【0101】
次に、介在部50上に犠牲層121Bと絶縁層42Bとを1層ずつ交互に積層することで第2積層体120Bが形成される。これにより、第1積層体120A、介在部50、および第2積層体120Bを含む積層体110が形成される。次に、第2積層体120Bに対して第3穴131Bおよび第4穴132Bが形成される。第3穴131Bおよび第4穴132Bは、第2積層体40B内をZ方向に延びた穴である。第3穴131Bは、メモリピラー60の上部ピラー60Bが形成されるための穴である。第3穴131Bは、第1穴131Aに繋がる。第4穴132Bは、支持体HRの上部が形成されるための穴である。第4穴132Bは、第2穴132Aに繋がる。(図12中の(f)参照)。
【0102】
次に、第1穴131Aから犠牲体136が除去され、第1穴131Aおよび第3穴131Bの内部にメモリピラー60が形成される。また、第4穴132Bの内部に絶縁材料が供給されることで、第2穴132Aと第4穴132Bとに亘る支持体HRが形成される。なお以降の図では、図面の見やすさのため、支持体HRは破線で示す。
【0103】
次に、図8から図10を参照して先に説明した階段多段加工により、複数の犠牲層121の端部が階段状に加工される(図13中の(g)参照)。次に、階段領域SRa,SRbに絶縁材料が供給され、複数の犠牲層121の端部を埋める絶縁部141が形成される(図13中の(h)参照)。
【0104】
次に、分断部70を形成するためのスリットSLT(図20参照)が積層体30に形成さ、スリットSLTを通じたエッチング(第2エッチャントを用いたエッチング)により犠牲層121が除去される(図13中の(i)参照)。このとき、第3層53は、第2エッチャントでは除去されず、介在部50の一部として残る。次に、犠牲層121が除去された空間に導電材料が供給され、導電層41が形成される。これにより、複数の犠牲層121が複数の導電層41に置換される置換工程が行われる(図14中の(j)参照)。これにより、積層体30が形成される。
【0105】
次に、複数のコンタクト90を設けるための複数の穴145が積層体30に設けられる(図14中の(k)参照)。次に、複数の穴145の内部に導電材料が供給され、複数のコンタクト90が形成される(図14中の(l)参照)。その後、上部配線部100などが形成され、半導体記憶装置1が完成する。
【0106】
<6.利点>
半導体記憶装置の高密度化においては、メモリセルトランジスタMTを含む積層体の高積層化が有効である。この実現のためには、高積層化された積層体をZ方向に加工するHARH(High Aspect Ratio Hole)エッチング技術が必要になる。しかしながら、HARHエッチングにおいては、(1)高アスペクト化に伴う(イオン供給量の減少による)ホール底のエッチングレートの低下、すなわちスループットの低下、(2)斜め入射イオンのアタックによる最大ホール径の増大などが課題として存在する。
【0107】
HARHエッチングを高アスペクト化せずに、積層体の高積層化する方法としては、Z方向において積層体を複数に分割し、低積層の積層体の形成とHARHエッチングとの組み合わせを繰り返すこと(以下「マルチTier化」とする)により、積層体の高積層化を図ることが可能になる。ただしこの場合、工程数の増加が課題となる。工程数を削減するためには、階段部に含まれる複数の段差を一括して形成する階段多段加工が有効になる。
【0108】
しかしながら、マルチTier化を実現する場合、積層体の分割部分には、メモリピラーの多段構成の柱状体を接続する接続部を設けるための介在部が存在する。このため、積層体の分割部分では、積層体に含まれる導電層41と絶縁層42とのピッチが崩れている(不等ピッチが存在する)。その結果、上述した階段多段加工を行う場合、積層体の分割部分において、階段多段加工のずれが生じてしまい、オーバエッチングに起因する加工不良などを生じる場合がある。このため、半導体記憶装置の製造性の向上が難しい。
【0109】
一方で、本実施形態では、半導体記憶装置1は、第1積層体40Aと第2積層体40Bとの間に配置された介在部50を有する。介在部50の少なくとも一部は、第1絶縁材料を含む第1層51と、Z方向で第1層51と第2積層体40Bとの間に配置され、第1絶縁材料を含む第2層52と、Z方向で第1層51と第2層52との間に配置され、第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層53とを有する。このような構成によれば、積層体30に含まれる犠牲層121と同様に、第3層53がストッパ層のような役割を果たすため、窪みHの底部の深さ位置の制御が容易になる。このため、オーバエッチングに起因する加工不良などの発生を抑制することができる。これにより、半導体記憶装置1の製造性の向上を図ることができる。
【0110】
本実施形態では、上記第1材料は、第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料である。このような構成よれば、メモリピラー60または導電層41に対して第3層53が電気的な影響を与えることを抑制することができる。これにより、電気的特性にも優れた半導体記憶装置1を提供しやすくなる。
【0111】
本実施形態では、上記第2絶縁材料は、第1エッチャントに対して第1絶縁材料よりもシリコン窒化物に近い特性を有し、第1エッチャントとは異なる第2エッチャントに対してシリコン窒化物よりも第1絶縁材料に近い特性を有する。このような構成によれば、階段部の加工時には、第3層53が積層体110内の犠牲層121と同じ役割を果たすことができるとともに、犠牲層121が導電層41に置換される置換工程において、第3層53が導電材料に置換されずに残ることができる。これにより、上述したように電気的特性にも優れた半導体記憶装置1を提供しやすくなる。
【0112】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第3層53が階段領域SRa,SRbのみに設けられた点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。なお本実施形態の図面では、説明の便宜上、X方向に沿う断面図に分断部70を図示する。
【0113】
図16は、第2実施形態の半導体記憶装置1Aの一部を示す断面図である。本実施形態では、介在部50は、第1部分151と、第2部分152とを有する。
【0114】
第1部分151は、介在部50のなかでアレイ領域ARに含まれる部分である。第1部分151は、1つの絶縁層161により形成されている。絶縁層161は、Z方向で、第1積層体40Aと第2積層体40Bとの間に配置されている。絶縁層161は、X方向およびY方向に沿う。絶縁層161は、上記第1絶縁材料により形成されている。
【0115】
第2部分152は、介在部50のなかで階段領域SRa,SRbに含まれる部分である。第2部分152は、第1層51、第2層52、および第3層53を含む。すなわち、本実施形態では、第3層53は、階段領域SRa,SRbのみに設けられ、アレイ領域ARには設けられていない。本実施形態では、第3層53は、第3層53のアレイ領域AR側の端に、上方に向けて起立した起立部53sを有する。
【0116】
次に、半導体記憶装置1Aの製造方法について説明する。
図17から図21は、半導体記憶装置1Aの製造方法を説明するための断面図である。まず、下部構造体20上に犠牲層121Aと絶縁層42Aとを1層ずつ交互に積層することで第1積層体120Aが形成される。次に、第1積層体120A上に、絶縁層171および絶縁層172が順に形成される(図17中の(a)参照)。絶縁層171および絶縁層172は、アレイ領域ARと階段領域SRa,SRbとに亘り設けられる。
【0117】
次に、アレイ領域AR上にマスクM2が設けられた状態、階段領域SRa,SRbにおいて絶縁層171および絶縁層172が除去される。これにより、第1積層体40Aには段差173が形成される(図17中の(b)参照)。次に、段差173が形成された第1積層体120A上に、第1層51A、第3層53A、第2層52A、および絶縁層174が順に形成される(図17中の(c)参照)。
【0118】
次に、階段領域SRa,SRbにマスクM3が設けられた状態で、アレイ領域ARに設けられた第1層51A、第3層53A、第2層52A、および絶縁層174が除去される。これにより、第1層51A、第3層53A、第2層52Aは、階段領域SRa,SRbのみに残り、第1層51、第3層53、第2層52となる(図18中の(d)参照)。次に、絶縁材料が供給され、不要な窪みなどを埋める絶縁部175が形成される(図18中の(e)参照)。次に、絶縁部175の不要部分が除去される(図18中の(f)参照)。その後、第1実施形態の図12から14の工程に対応する図19から図21の工程が行われる。これにより、半導体記憶装置1Aが製造される。
【0119】
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、半導体記憶装置1Aの製造性の向上を図ることができる。また本実施形態では、介在部50は、アレイ領域ARに位置した第1部分151と、階段領域SRa,SRbに位置した第2部分152とを含む。第2部分152は、第1層51、第2層52、および第3層53を有する。第1部分151は、第1絶縁材料により形成されている。このような構成によれば、アレイ領域ARに第3層53が存在しないため、メモリピラー60を設けるための第1穴131Aの上端部を拡径する工程(図12中の(d)および図15参照)において、第3層53の影響を小さくすることができる。第1穴131Aの上端部を拡径する加工を容易に行うことができる。
【0120】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第3層53が導電材料により形成された点で、第2実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第2実施形態と同じである。
【0121】
図23は、第3実施形態の半導体記憶装置1Bの一部を示す断面図である。本実施形態では、第3層53は、第2実施形態と同様に、階段領域SRa,SRbのみに設けられている。本実施形態では、第3層53は、金属材料により形成されている。金属材料は、例えば、導電層41に含まれる金属材料と同じである。第3層53を形成する金属材料は、例えば、タングステンまたはモリブデンである。
【0122】
本実施形態では、メモリセルアレイ11は、コンタクト180を有する。コンタクト180は、Z方向に延びて第3層53に接続されている。コンタクト180は、コンタクト180の上方に設けられたコンタクト181を介して半導体記憶装置1Bのグラウンドに電気的に接続されている。これにより、第3層53は、グラウンド電位となる。
【0123】
次に、半導体記憶装置1Bの製造方法について説明する。
図24から図26は、半導体記憶装置1Bの製造方法を説明するための図である。本実施形態では、第2実施形態における図17中の(a)から図19中の(i)と同じ工程により、積層体200が形成される(図24中の(a)参照)。ただし、本実施形態では、積層体300は、シリコン炭窒化物(SiCN)である第3層53に代えては、犠牲層201を含む。犠牲層201は、犠牲層121と同じ材料であるシリコン窒化物(SiN)により形成されている。
【0124】
その後、第2実施形態の図20中の(j)、図20中の(k)、図21中の(l)の工程に対応する図24中の(b)、図24中の(c)、図25中の(d)の工程が行われる。本実施形態では、上述した置換工程により、犠牲層121とともに犠牲層201が除去される(図25中の(e)参照)。そして、犠牲層121および犠牲層201が除去された空間に導電材料(例えばタングステンのような金属材料)が供給されることで導電層41および第3層53が形成される(図25中の(f)参照)。
【0125】
その後、第2実施形態の図21中の(o)および図22中の(p)の工程に対応する図26中の(g)および図26中の(h)の工程が行われる。これにより、半導体記憶装置1Bが製造される。
【0126】
このような構成によれば、犠牲層121と同じ材料の犠牲層201を用いて積層体200を形成することができるため、製造性の向上を図ることができる場合がある。
【0127】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、メモリセルアレイ11が階段領域SRa,SRbに代えてコンタクト領域CRを有する点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0128】
図27は、第4実施形態の半導体記憶装置1Cの一部を示す断面図である。本実施形態では、複数の導電層41のX方向の長さは、互いに同じである。例えば、6つの導電層41-1,41-2,41-3,41-4,41-5,41-6のX方向の長さは、互いに同じである。また本実施形態では、複数の絶縁層42のX方向の長さは、互いに同じである。また、介在部50の第1層51、第2層52、および第3層53のX方向の長さは、互いに同じである。
【0129】
本実施形態の半導体記憶装置1Cは、導電層用のコンタクトとして、コンタクト90に代えて、コンタクト210を有する。コンタクト210は、導電層41と上部配線部100に含まれる配線101とを接続する電気接続部である。複数のコンタクト210は、コンタクト領域CRに設けられている。複数のコンタクト210は、X方向の位置が互いに異なる。複数のコンタクト210は、Z方向に延びており、Z方向の長さが互いに異なる。例えば、複数のコンタクト210は、アレイ領域ARから遠くに位置するコンタクト210であるほど、Z方向に深く延びている。各コンタク210の下端は、対応する導電層41に接続されている。本実施形態では、複数のコンタクト210に含まれる2つ以上のコンタクト210は、介在部50の第3層53をZ方向に貫通して第1積層体40Aの内部に達する。
【0130】
例えば、複数のコンタクト210は、コンタクト210-1と、コンタクト210-2と、コンタクト210-3とを含む。コンタクト210-1は、第1導電層41-1の上面まで延びており、第1導電層41-1の上面に接する。コンタクト210-2は、コンタクト210-1よりも下方に長く延びている。例えば、コンタクト210-2は、第1導電層41-1をZ方向に貫通して第2導電層42-1の上面まで延びて、第2導電層41-2の上面に接する。コンタクト210-3は、コンタクト210-2よりも下方に長く延びている。例えば、コンタクト210-3は、第1および第2の導電層41-1,41-2をZ方向に貫通して第3導電層42-3の上面まで延びて、第3導電層41-3の上面に接する。
【0131】
さらに、複数のコンタクト210は、コンタクト210-4と、コンタクト210-5と、コンタクト210-6とを含む。コンタクト210-4は、コンタクト210-3よりも下方に長く延びている。コンタクト210-4は、第1から第3の導電層41-1~41-3および介在部50をZ方向に貫通して第4導電層41-4の上面まで延びており、第4導電層41-4の上面に接する。コンタクト210-5は、コンタクト210-4よりも下方に長く延びている。コンタクト210-5は、第1から第4の導電層41-1~41-4および介在部50をZ方向に貫通して第5導電層41-5の上面まで延びており、第5導電層41-5の上面に接する。コンタクト210-6は、コンタクト210-5よりも下方に長く延びている。コンタクト210-6は、第1から第5の導電層41-1~41-5および介在部50をZ方向に貫通して第6導電層41-6の上面まで延びており、第6導電層41-6の上面に接する。
【0132】
本実施形態では、各コンタクト210は、表層211と、導電部212とを有する。表層211は、環状であり、コンタクト210の表面に位置する。表層211は、シリコン酸化物(SiO)のような絶縁材料で形成され、絶縁性を有する。表層211は、コンタクト210が貫通する導電層41と、コンタクト210の導電部212との間を電気的に遮断する。導電部212は、表層211の内部に設けられている。導電部212は、例えば、タングステンのような導電材料により形成され、導電性を有する。導電部212の下端は、接続対象の導電層41の上面に接し、接続対象の導電層41に接続されている。
【0133】
本実施形態では、コンタクト領域CRは、少なくとも1つの柱状体220を有する。柱状体220は、Z方向に延びている。柱状体220は、第1から第3の導電層41-1~41-3および介在部50の第2層52をZ方向に貫通して介在部50の第3層53の上面まで延びており、第3層53の上面に接している。柱状体220は、例えば、コンタクト210と同じ構成を有する。すなわち、柱状体220は、表層211と、導電部212とを有する。柱状体220は、例えば、柱状体220の上方に設けられたコンタクト181を介して半導体記憶装置1Cのグラウンドに電気的に接続される。
【0134】
次に、第4実施形態の半導体記憶装置1Cの製造方法について説明する。
図28および図29は、半導体記憶装置1Cの製造方法を説明するための断面図である。まず、第1実施形態と同様に、積層体110が形成される(図28中の(a)参照)。
【0135】
次に、積層体110上に不図示のレジスト層を形成してパターニングにより積層体110の上面の任意の箇所だけを露出させることと、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことを繰り返すことで、複数の穴群HGを形成する。複数の穴群HGは、例えば、第1穴群HG1、第2穴群HG2、第3穴群HG3、および第4穴群HG4を含む(図28中の(b)参照)。
【0136】
各穴群HGは、互いに深さが異なる複数の穴230を有する。1つの穴群HGに含まれる複数の穴230は、例えば、第1穴231、第2穴232、および第3穴233を含む。第2穴232は、第1穴231と比べて、1層の絶縁層42と1層の犠牲層121の合計の厚さに対応する深さ分、下方に長く延びている。第3穴233は、第2穴232と比べて、1層の絶縁層42と1層の犠牲層121の合計の厚さに対応する深さ分、下方に長く延びている。
【0137】
次に、第1穴群HG1の複数の穴230の内部をマスクとなる犠牲体R11で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、第2穴群HG2、第3穴群HG3、および第4穴群HG4に含まれる複数の穴230を、絶縁層42および犠牲層121を3層ずつ加工して下方に延伸させる(図28中の(c)参照)。すなわち本実施形態では、各穴群HGに含まれる第1穴231、第2穴232、および第3穴233は、一括して加工される。
【0138】
次に、第1穴群HG1および第2穴群HG2の複数の穴230の内部をマスクとなる犠牲体R11で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、第3穴群HG3および第4穴群HG4に含まれる複数の穴230を、絶縁層42および犠牲層121を3層ずつ加工して下方に延伸させる(図29中の(d)参照)。図29に示す例では、第3穴群HG3および第4穴群HG4の各々の第1穴231は、介在部50の第2層52を貫通するとともに、第3層53に達する。この加工において、第3穴群HG3および第4穴群HG4の各々の第1穴231の底部の位置は、第3層53によって規制される。
【0139】
次に、第1穴群HG1、第2穴群HG2、および第3穴群HG3の複数の穴230の内部をマスクとなる犠牲体R11で埋めた状態で、積層体110に対して第1エッチャントを用いた異方性エッチングを行うことで、第4穴群HG4に含まれる複数の穴230を、絶縁層42および犠牲層121を3層ずつ加工して下方に延伸させる(図29中の(e)参照)。これにより、コンタクト210および柱状体220が形成される複数の穴230が積層体110に形成される。
【0140】
すなわち本実施形態では、介在部50に第3層53が設けられている。第3層53は、第1エッチャントに対して第1層51および第2層52よりも犠牲層121に近い特性を有する。このため、第3層53は、介在部50に達する穴230が形成される場合に、犠牲層121と類似した挙動を示す。このため、穴230の底部に対して第3層53がストッパ層のような役割を果たし、穴230の底部の深さ位置の制御が容易になる。例えば、図29中の(d)に示す例では、第3層53が存在することで、第3穴群HG3および第4穴群HG4の各々の第1穴231の底面の高さ位置の精度が向上する。
【0141】
これにより、介在部50の内部において、目標とする深さ位置に複数の穴230の底部を形成しやすくなる。これにより、互いに深さが異なる複数の穴230を一括加工する場合において、当該複数の穴230に含まれる1つの穴230が介在部50に存在する場合であっても、複数の穴230の深さの差が均一になりやすい。このため、第1積層体40A、第2積層体40B、および介在部50に亘り、複数の穴群HGを一括して加工することができる。
【0142】
本実施形態では、第3穴群HG3に含まれる第1穴231が「第1空間部S1」の一例である。第3穴群HG3に含まれる第2穴232が「第2空間部S2」の一例である。第3穴群HG3に含まれる第3穴233が「第3空間部S3」の一例である。
【0143】
その後、各穴群HGに含まれる複数の穴230には、犠牲体240が埋められる(図29中の(f)参照)。その後、第1実施形態で説明した置換工程(図13中の(i)および図14中の(j)参照)が行われる。その後、犠牲体240が除去され、複数の穴230に導電材料が供給されることで、コンタクト210および柱状体220が形成される。
【0144】
このような構成でも、第1実施形態と同様に、製造性の向上を図ることができる。
【0145】
(変形例)
次に、いくつかの変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は、上述した第1から第4の実施形態のうちいずれの構成と組み合わされて実施されてもよい。
【0146】
(第1変形例)
図30は、第1変形例の半導体記憶装置1の一部を示す断面図である。本変形例では、介在部50の少なくとも一部は、第1から第3層51,52,53に加えて、第4層54と、第5層55とを有する。
【0147】
第4層54は、第2層52よりも上方に配置され、第2層52と第2積層体40Bとの間に位置する。第4層54は、X方向およびY方向に沿う。第4層54は、上記第1絶縁材料(例えばシリコン酸化物)を含む絶縁層である。すなわち、第4層54は、第1層51および第2層52と同じ絶縁材料で形成されている。
【0148】
第5層55は、Z方向で第2層52と第4層54との間に配置されている。第5層55は、X方向およびY方向に沿う。第5層55は、例えば、第1および第2実施形態と同様に、上記第2絶縁材料(例えばシリコン炭窒化物)を含む絶縁層である。すなわち、第5層55は、第3層53と同じ材料により形成されている。これに代えて、第5層は、第3実施形態と同様に、金属材料により形成されてもよい。以下では、第3層53および第5層55を区別しない場合、「ストッパ層53P」と称する。また以下では、第1層51、第2層52、および第4層54を区別しない場合、「絶縁層51P」と称する。
【0149】
本実施形態の構成によれば、介在部50が厚い場合でも、複数のストッパ層53Pが設けられることで、多段階段加工(第1から第3の実施形態)や、複数の穴230の一括加工(第4実施形態)において、介在部50の影響を小さくすることができる。これにより、製造性の向上を図ることができる。
【0150】
なお、ストッパ層53Pは、介在部50において、3層以上設けられてもよい。例えば、各絶縁層51PのZ方向の厚さが絶縁層42のZ方向の厚さと同じなるように、複数のストッパ層53Pが設けられてもよい。
【0151】
(第2変形例)
図31は、第2変形例の半導体記憶装置1の一部を示す断面図である。本変形例では、階段領域SRa,SRbには、絶縁層250が設けられている。絶縁層250は、複数の導電層41のテラス部41tに沿って階段状に形成されている。絶縁層250は、例えば、シリコン窒化物(SiN)のような絶縁材料により形成されている。絶縁層250は、コンタクト90を形成するための穴145を加工する際に、ストッパ層として機能する。
【0152】
このような構成によれば、絶縁層250が設けられているため、コンタクト90を形成するための穴145の加工を行う際に、穴145の底の位置を制御しやすくなる。これにより、製造性のさらなる向上を図ることができる。
【0153】
(第3変形例)
図32は、第3変形例の半導体記憶装置1の一部を示す断面図である。本変形例では、Z方向で隣り合う2つの導電層41(以下「導電層41S」と称する場合がある)は、X方向で同じ長さを有する。
【0154】
図33は、図32に示された半導体記憶装置1のF33-F33線に沿う断面図である。本変形例では、階段領域SRa,SRbにおいて、X方向で同じ長さを有する2つの導電層41Sは、Y方向の長さが異なる。これにより、Y方向の段差部SYが形成されている。本実施形態では、Y方向の段差部SYが形成されることで、Z方向で隣り合う2つの導電層41Sのうち下層側の導電層41Sのテラス部41tが形成されている。
【0155】
図34は、図32に示された半導体記憶装置1のF34-F34線に沿う断面図である。本変形例では、階段領域SRa,SRbにおいて、第2層52および第3層53は、第1層51に対して、Y方向の長さが異なる。すなわち、第2層52および第3層53は、第1層51に対してY方向の段差部SYを有する。言い換えると、本変形例では、第1実施形態と同様に、第1積層体40A、第2積層体40B、および介在部50に亘る多段階段加工が行われ、第3層53がストッパ層となることで、介在部50にもY方向の段差部SYが形成されている。
【0156】
このような構成によれば、Y方向に段差部SYを有する階段構造においても、第3層53が設けられることで、上述した実施形態と同様に、製造性の向上を図ることができる。
【0157】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。例えば、メモリピラー60は、2段構成のメモリピラーに代えて、2つ以上の接続部60Cを有した3段構成以上のメモリピラーでもよい。この場合、積層体30は、それぞれ第1層51、第2層52、および第3層53を含む複数の介在部50を有する。
【0158】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、半導体記憶装置は、第1積層体と、第2積層体と、介在部と、柱状体とを有する。介在部は、第1積層体と第2積層体との間に配置されている。柱状体は、第1積層体内を第1方向に延びた第1柱状部と、第2積層体内を第1方向に延びた第2柱状部と、介在部内に配置され、第1柱状部と第2柱状部とを接続した接続部とを有する。介在部の少なくとも一部は、第1絶縁材料を含む第1層と、第1方向で第1層と第2積層体との間に配置され、第1絶縁材料を含む第2層と、第1方向で第1層と第2層との間に配置され、第1絶縁材料とは異なる第1材料を含む第3層とを有する。このような構成によれば、製造性の向上を図ることができる。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
1…半導体記憶装置、40A…第1積層体、40B…第2積層体、41A…導電層(第1ゲート電極層)、41B…導電層(第2ゲート電極層)、42A…絶縁層(第1絶縁層)、42B…絶縁層(第2絶縁層)、50…介在部、51…第1層、52…第2層、53…第3層、60…メモリピラー(柱状体)、60A…下部ピラー(第1柱状部)、60B…上部ピラー(第2柱状部)、60C…接続部、90…コンタクト、210…コンタクト、AR…アレイ領域(第1領域)、SRa,SRb…階段領域(第2領域)。
図1
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