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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043944
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】配線体、表示装置、及びアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149195
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】池村 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】張原 康正
(72)【発明者】
【氏名】五井 智之
(72)【発明者】
【氏名】新開 浩
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA11
5J046AB15
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】平坦性を確保しつつ、外部の接続端子との接続性を向上できる配線体、表示装置、及びアンテナを提供する。
【解決手段】電極21は、第1のトレンチ60内に第1の導体層55を有し、端子22は、第2のトレンチ64内に第2の導体層56を有する。このうち、端子22は、外部の接続端子に接続され、当該接続端子と電極21とを電気的に接続する。当該端子22の第2の導体層56は、第2のトレンチ64内に形成されるため、絶縁樹脂部7Aの表面7b上に形成される場合に比して、配線体200の平坦性を確保できる。また、第2の導体層56の表面56cは、絶縁樹脂部7Aの表面7bよりも遠い位置に配置される。従って、第2の導体層56の表面56cが絶縁樹脂部7Aの表面7bと同じ高さ位置に配置される場合に比して、外部の接続端子は、良好に第2の導体層56の表面56cに接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、
端子と、
基材上に設けられた樹脂層と、を備え、
前記樹脂層は、前記電極に対応する第1のトレンチ、及び前記端子に対応する第2のトレンチを有し、
前記電極は、前記第1のトレンチ内に第1の導体層を有し、
前記端子は、前記第2のトレンチ内に第2の導体層を有し、
前記第2の導体層の表面は、前記樹脂層の表面よりも前記基材に対して遠い位置に配置される、配線体。
【請求項2】
前記第2の導体層の前記樹脂層の前記表面からの突出量は、前記第2の導体層の前記第2のトレンチ内における厚みより小さい、請求項1に記載の配線体。
【請求項3】
前記基材と前記第2の導体層との間に、前記樹脂層の樹脂による樹脂膜を有する、請求項1に記載の配線体。
【請求項4】
前記樹脂膜と前記基材との間に、複数の微粒子を含む粒子含有層を有する、請求項3に記載の配線体。
【請求項5】
前記第2の導体層と前記樹脂膜との間に、複数の微粒子が配置される、請求項3に記載の配線体。
【請求項6】
前記第2の導体層の表面の面粗さの最大高さは、1μm以下であり、且つ、算術平均高さが0.5μm以下である、請求項1に記載の配線体。
【請求項7】
前記第2の導体層は、前記第2のトレンチの縁部から前記樹脂層の表面の一部にはみ出した堆積部を有する、請求項1に記載の配線体。
【請求項8】
前記電極は、メッシュ状の導体パターンを有する、請求項1に記載の配線体。
【請求項9】
前記第2のトレンチの平面方向における寸法は、メッシュ状の前記第1のトレンチの幅より大きい、請求項1に記載の配線体。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項に記載の配線体を備える、アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線体、表示装置、及びアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極と、端子と、基材上に設けられた樹脂層と、を備える配線体が知られている(例えば、特許文献1)。端子の導体層は、樹脂層の表面上に配置され、メッシュ構造を含む電極と、コンタクトを介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-518071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の配線体では、端子の導体層が樹脂層の表面上に配置されていることから、導体層の厚み分の段差が生じ、配線体の平坦性が損なわれるという問題がある。これに対して、端子の導体層の周囲を覆うような保護層を樹脂層の上に設けた場合、配線体の厚みが増大するとともに、端子の導体層の表面での外部の接続端子との接続性が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、平坦性を確保しつつ、外部の接続端子との接続性を向上できる配線体、表示装置、及びアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配線体は、電極と、電極に接続される端子と、基材上に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層は、電極に対応する第1のトレンチ、及び端子に対応する第2のトレンチを有し、電極は、第1のトレンチ内に第1の導体層を有し、端子は、第2のトレンチ内に第2の導体層を有し、第2の導体層の表面は、樹脂層の表面よりも基材に対して遠い位置に配置される。
【0007】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の配線体を備える。
【0008】
本開示の一側面に係るアンテナは、上述の配線体を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、平坦性を確保しつつ、外部の接続端子との接続性を向上できる配線体、表示装置、及びアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】配線体を備える導電性フィルムの一実施形態を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】変形例に係る導電性フィルムを示す断面図である。
図4】表示装置の一実施形態を示す断面図である。
図5】配線体を備えるアンテナの平面図である。
図6図5のVI-VI線に沿う拡大断面図である。
図7】変形例に係る配線体の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
図1は本開示の一実施形態に係る配線体200を備える導電性フィルムを示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿う断面図である。導電性フィルム20は、アンテナ300を有し、アンテナ300は、配線体200を備える。図1及び図2に示される導電性フィルム20は、フィルム状の光透過性基材1(基材)と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた導電性層5と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた光透過性樹脂層7Bとを備える。導電性層5は、光透過性基材1の主面1Sに沿った方向に延在し複数の開口3aを含むパターンを有する部分を含む導体部3と、導体部3の開口3a内を埋める絶縁樹脂部7Aとを有する。図2では、導電性層5がデフォルメされた状態で示されており、導体部3の幅が強調された状態で示されている。また、各層の厚みもデフォルメされた状態で示されている。各層の厚みの詳細については後述する。また、図1に示す例では、導電性フィルム20の一方の短辺付近に導電性層5が形成されているが、導電性層5が形成される位置は特に限定されず、長辺付近に導電性層5が形成されてもよい。
【0013】
光透過性基材1は、導電性フィルム20が表示装置に組み込まれたときに必要とされる程度の光透過性を有する。具体的には、光透過性基材1の全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性基材1のヘイズが0~5%であってもよい。
【0014】
光透過性基材1は、例えば透明樹脂フィルムであってもよく、その例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)、又はポリイミド(PI)のフィルムが挙げられる。あるいは、光透過性基材1がガラス基板であってもよい。
【0015】
例えば図3に示すように、光透過性基材1は、光透過性の支持フィルム11と、支持フィルム11上に順に設けられた中間樹脂層12及び下地層13とを有する積層体であってもよい。支持フィルム11は上記透明樹脂フィルムであることができる。下地層13は無電解めっき等によって導体部3を形成するために設けられる層である。他の方法によって導体部3を形成する場合、下地層13は必ずしも設けられなくてもよい。支持フィルム11と下地層13との間に中間樹脂層12が設けられていなくてもよい。
【0016】
光透過性基材1又はこれを構成する支持フィルム11の厚みは、10μm以上、20μm以上、又は35μm以上であってよく、500μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0017】
中間樹脂層12が設けられることにより、支持フィルム11と下地層13との間の密着性が向上し得る。下地層13が設けられない場合、中間樹脂層12が支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間に設けられることにより、支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間の密着性が向上し得る。
【0018】
中間樹脂層12は、樹脂及び無機フィラーを含有する層であってもよい。中間樹脂層12を構成する樹脂の例としては、アクリル樹脂が挙げられる。無機フィラーの例としては、シリカが挙げられる。
【0019】
中間樹脂層12の厚みは、例えば5nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0020】
下地層13は、触媒及び樹脂を含有する層であってもよい。樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよい。硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の例としては、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、並びに、不飽和二重結合、環状エーテル、及びビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0021】
下地層13に含まれる触媒は、無電解めっき触媒であってもよい。無電解めっき触媒は、Pd、Cu、Ni、Co、Au、Ag、Pd、Rh、Pt、In、及びSnから選ばれる金属であってもよく、Pdであってもよい。触媒は、1種類単独若しくは2種類以上の組合せであってもよい。通常、触媒は触媒粒子として樹脂中に分散している。
【0022】
下地層13における触媒の含有量は、下地層13全量を基準として、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であってもよく、50質量%以下、40質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。
【0023】
下地層13の厚みは、10nm以上、20nm以上、又は30nm以上であってもよく、500nm以下、300nm以下、又は150nm以下であってもよい。
【0024】
光透過性基材1は、支持フィルム11の光透過性樹脂層7B及び導体部3とは反対側の主面上に設けられた保護層を更に有していてもよい。保護層が設けられることにより、支持フィルム11の傷付きが抑制される。保護層は、中間樹脂層12と同様の層であることができる。保護層の厚みは、5nm以上、50nm以上、又は500nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0025】
導電性層5を構成する導体部3は、開口3aを含むパターンを有する部分を含む。開口3aを含むパターンは、互いに交差する複数の線状部によって形成された、規則的に配置された複数の開口3aを含むメッシュ状のパターンである。メッシュ状のパターンを有する導体部3は、例えばアンテナ300の放射導体及び給電線路として良好に機能することができる。また、導体部3は、開口3aを有さない平面状のパターンを備える。平面状のパターンを有する導体部3は、後述の端子及びグラウンドパッド部として機能する。なお、導電性層5における導体部3のパターンの構成の詳細については後述する。
【0026】
導体部3は、金属を含んでいてもよい。導体部3は、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよく、銅を含んでいてもよい。導体部3は、めっき法によって形成された金属めっきであってもよい。導体部3は、適切な導電性が維持される範囲で、リン等の非金属元素を更に含んでいてもよい。
【0027】
導体部3は、複数の層から構成される積層体であってもよい。また、導体部3は、光透過性基材1とは反対側の表層部として、黒化層を有していてもよい。黒化層は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の視認性向上に寄与し得る。
【0028】
絶縁樹脂部7Aは、光透過性を有する樹脂によって形成されており、導体部3の開口3aを埋めるように設けられており、通常、絶縁樹脂部7Aと導体部3とで平坦な表面が形成されている。
【0029】
光透過性樹脂層7Bは、光透過性を有する樹脂によって形成されている。光透過性樹脂層7Bの全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性樹脂層7Bのヘイズが0~5%であってもよい。
【0030】
光透過性基材1(又は光透過性基材1を構成する支持フィルムの屈折率)と、光透過性樹脂層7Bの屈折率との差が0.1以下であってもよい。これにより、表示画像の良好な視認性がより一層確保され易い。光透過性樹脂層7Bの屈折率(nd25)は、例えば、1.0以上であってもよく、1.7以下、1.6以下、又は1.5以下であってよい。屈折率は、反射分光膜厚計により測定することができる。光路長の均一性の観点から、導体部3、絶縁樹脂部7A、及び光透過性樹脂層7Bが実質的に同じ厚みを有していてもよい。
【0031】
絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂は、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物)の硬化物であってもよい。絶縁樹脂部7A及び/又は光透過性樹脂層7Bを形成する硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含み、その例としては、アクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、及び不飽和二重結合、並びに、環状エーテル、ビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0032】
絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じであってもよい。同じ樹脂によって形成された絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bは屈折率が等しいことから、導電性フィルム20を透過する光路長の均一性がより一層向上することができる。絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じである場合、例えば1層の硬化性樹脂層からインプリント法等によってパターン形成することによって、絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを容易に一括して形成することができる。
【0033】
導電性フィルム20は、例えばインプリント法によるパターン形成を含む方法によって製造することができる。導電性フィルム20を製造する方法の一例は、支持フィルムと支持フィルムの一方の主面上に設けられた、中間樹脂層及び触媒を含有する下地層とを有する光透過性基材1を準備することと、光透過性基材1の下地層側の主面1S上に、硬化性樹脂層を形成させることと、凸部を有するモールドを用いたインプリント法により、下地層が露出するトレンチを形成させることと、トレンチを充填する導体部3を、下地層から金属めっきを成長させる無電解めっき法により形成することとを含む。硬化性樹脂層にモールドが押し込まれた状態で硬化性樹脂層を硬化させることにより、モールドの凸部の反転形状を有する開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aと光透過性樹脂層7Bとが一括して形成される。開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aを形成する方法は、インプリント法に限られず、フォトリソグラフィー等の任意の方法を適用できる。
【0034】
以上例示的に説明された導電性フィルムを、例えば平面状の透明アンテナとして表示装置に組み込むことができる。表示装置は、例えば、液晶表示装置、又は有機EL表示装置であってもよい。図4は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の一実施形態を示す断面図である。図4に示される表示装置100は、画像表示領域10Sを有する画像表示部10と、導電性フィルム20と、偏光板30と、カバーガラス40とを備える。導電性フィルム20、偏光板30、及びカバーガラス40は、画像表示部10の画像表示領域10S側において、画像表示部10側からこの順に積層されている。表示装置の構成は図4の形態に限られず、必要により適宜変更が可能である。例えば、偏光板30が画像表示部10と導電性フィルム20との間に設けられてもよい。画像表示部10は、例えば液晶表示部であってもよい。偏光板30及びカバーガラス40として、表示装置において通常用いられているものを用いることができる。偏光板30及びカバーガラス40は、必ずしも設けられなくてもよい。画像表示部10の画像表示領域10Sから出射される画像表示のための光が、導電性フィルム20を含む均一性の高い光路長の経路を通過する。これにより、モワレが抑制された均一性の高い良好な画像表示が可能である。
【0035】
次に、図5を参照して、本開示の実施形態に係る配線体200を備えるアンテナ300の構成について詳細に説明する。アンテナ300は、前述の導電性層5を含んで構成される。図5は、アンテナ300の平面図である。図5は、配線体200を備えるアンテナ300の一部を拡大して示している。なお、以降の説明においては、主面1Sと平行な平面に対してXY座標を設定して、説明を行うものとする。Y軸方向は、主面1Sに沿った方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部と直交する方向に対応する。導電性フィルム20の中央側をY軸方向の正側とし、導電性フィルム20の外周側をY軸方向の負側とする。X軸方向は、主面1Sに沿ってY軸方向と直交する方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部20aが延びる方向に対応する。導電性フィルム20の辺部20aが延びる一方側をX軸方向の正側とし、他方側をX軸方向の負側とする。
【0036】
アンテナ300の導電性層5は、電極21と、給電線路25A,25Bと、端子22A,22Bと、グラウンドパッド部24A,24B,24C(端子)と、を有する。アンテナ300は、Y軸方向に平行な中心線CLに対して線対称な構成を有する。
【0037】
電極21は、アンテナ300として信号を放射する領域である。電極21は、円形状の形状を有する。電極21の中心は、中心線CL上に配置される。電極21は、導電性フィルム20の辺部20aからY軸方向の正側へ離間した位置に配置される。電極21は、直径Rの寸法を有する。
【0038】
給電線路25A,25Bは、電極21に給電を行う線路である。つまり、アンテナ300は、2偏波アンテナとして機能する。例えば、給電線路25Aの傾斜部25bが延びる方向の斜め偏波信号を、給電線路25Aを介して給電し、給電線路25Bの傾斜部25bの延びる方向の斜め偏波信号を、給電線路25Bを介して給電することができる。給電線路25A,25Bは、導電性フィルム20の辺部20aに対して垂直に延びる垂直部25aと、Y軸方向に対して傾斜する傾斜部25bと、を有する。給電線路25Aの垂直部25aは、導電性フィルム20の辺部20a側に形成された端子22AからY軸方向の正側へ延びる。給電線路25Aの垂直部25aは、中心線CLからX軸方向の負側へ離間した位置にて、当該中心線CL(すなわちY軸方向)と平行に延びる。
【0039】
給電線路25Aの傾斜部25bは、垂直部25aのY軸方向の正側の端部から、Y軸方向の正側へ向かうに従って中心線CL側(すなわちX軸方向の正側)へ近付くように傾斜する。傾斜部25bのY軸方向の正側の端部は、電極21の外周縁21aに接続される。給電線路25Aは、垂直部25a及び傾斜部25bにおいて一定の幅寸法W1を有する。また、給電線路25Aは、垂直部25aの長さ寸法と傾斜部25bの長さ寸法の合計寸法である線路長L1を有する。ここで、幅寸法W1は、平面状のアンテナ300の面内方向における垂直部25a及び傾斜部25bの延在方向と直交する方向の寸法であり、線路長L1は、平面状のアンテナ300の面内方向における垂直部25a及び傾斜部25bの延在方向に沿った寸法である。
【0040】
なお、図5に示す例では、給電線路25Aの垂直部25aは、電極21のX軸方向の負側の端部よりも、X軸方向の負側へ離間した位置に配置される。また、給電線路25Aの垂直部25aのY軸方向の正側の端部(すなわち傾斜部25bとの接続部)は、電極21のY軸方向の負側の端部よりも、Y軸方向の負側へ離間した位置に配置される。ただし、垂直部25a及び傾斜部25bの配置及び形状は、特に限定されるものではない。給電線路25Bは、給電線路25Aと中心線CLを基準として線対称な構造を有する。本実施形態では、給電線路25Aの傾斜部25bと給電線路25Bの傾斜部25bは、給電線路25Aの傾斜部25bを延ばした仮想線と給電線路25Bの傾斜部25bを延ばした仮想線とが直交するように電極21の外周縁21aに接続されている。つまり、給電線路25Aの傾斜部25bを延ばした仮想線と給電線路25Bの傾斜部25bを延ばした仮想線とが成す角度は90度である。
【0041】
端子22A,22Bは、給電線路25A,25Bにそれぞれ接続される端子である。端子22A,22Bは、外部の入出力端子と接続されることで、給電線路25A,25Bを介して電極21に給電する。端子22A,22Bは、導電性フィルム20の辺部20a付近に配置される。端子22A,22Bは、給電線路25A,25Bの垂直部25aのY軸方向の負側の端部から、辺部20aまでY軸方向の負側へ延びる。端子22A,22Bは、一定の幅寸法W2にて、Y軸方向に延びる。端子22A,22Bは、長さ寸法L2にてY軸方向に延びる。ここで、幅寸法W2は、平面状のアンテナ300の面内方向における端子22A,22Bの延在方向と直交する方向の寸法であり、長さ寸法L2は、平面状のアンテナ300の面内方向における端子22A,22Bの延在方向に沿った寸法である。
【0042】
グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、電気的にグラウンド状態となる領域である。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、図示されないグラウンド端子と接続される。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、端子22A,22Bに対して隙間GPを空けて配置されることで、端子22A,22Bと絶縁されている。グラウンドパッド部24Aは、端子22A,22B間の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24Bは、端子22AのX軸方向の負側の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24Cは、端子22BのX軸方向の正側の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、Y軸方向において一定の幅寸法にて、X軸方向に帯状に延びる。グラウンドパッド部24A,24B,24Cの幅寸法は、端子22A,22Bの長さ寸法L2と同じである。
【0043】
上述のように、信号ラインである端子22Aは、X軸方向の両側からグラウンドパッド部24A,24Bに囲まれる構造を有する。信号ラインである端子22Bは、X軸方向の両側からグラウンドパッド部24A,24Cに囲まれる構造を有する。このように、端子22A,22Bは、コプレナー線路である。
【0044】
図5に示すように、アンテナ300は、導体部3として、メッシュ状の導体パターン50を有する。アンテナ300の構成要素のうち、電極21及び給電線路25A,25Bは、当該メッシュ状の導体パターン50を有する。メッシュ状の導体パターン50は、第1の導電線51、及び複数の第2の導電線52を含む。第1の導電線51は、Y軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第1の導電線51は、X軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第1の導電線51は、等ピッチで離間するように配置される。第2の導電線52は、X軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第2の導電線52は、Y軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第2の導電線52は、等ピッチで離間するように配置される。導電線51,52の太さは特に限定されないが、例えば1~3μmに設定されてよい。また、導電線51,52のピッチも特に限定されないが、例えば100~300μmに設定されてよい。なお、第1の導電線51は、Y軸方向に延びていれば、Y軸方向と平行でなくても構わず、第2の導電線52は、X軸方向に延びていれば、X軸方向と平行でなくても構わない。
【0045】
本実施形態では、電極21及び給電線路25A,25Bは、外周縁を構成する端部導電線を有する。電極21は、この端部導電線により形成される形状が円形状となっている。なお、円形状の電極21は、厳密な真円形状に限られず、製造誤差等により生じるばらつきは含まれるものとする。また、電極21の外周縁を構成する端部導電線は、曲線だけで構成されるものだけでなく、一部に直線、波線部分などが含まれていても構わない。さらに、電極21及び給電線路25A,25Bは、端部導電線を含まなくてもよく、この場合、メッシュ状の導体パターン50に含まれる第1の導電線51又は第2の導電線52の先端を結んだ形状が円形状となっていればよい。
【0046】
端子22は、当該端子22の略全域に平面状に広がる第2の導体層56を有する。なお、「端子22」と称した場合、端子22Aと端子22Bを区別せず両方を指しているものとする。図5においては、端子22全域に第2の導体層56が形成されているが、第2の導体層56の面積は特に限定されない。例えば、第2の導体層56の面積は、端子22全体の面積に対する95%以上の面積であってよい。端子22のうち、第2の導体層56以外の箇所は、導体パターン50が存在していてよい。なお、グラウンドパッド部24A,24B,24Cも、第2の導体層56を有する。ただし、グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、メッシュ状の導体パターン50を有する構成であってもよい。
【0047】
次に、図6を参照して、配線体200の断面構造について説明する。図6は、図5に示すVI-VI線に沿った拡大断面図である。図6に示すように、配線体200は、電極21及び端子22が設けられる前述の光透過性基材1と、光透過性基材1上に設けられる前述の絶縁樹脂部7A(樹脂層)と、を更に備える。
【0048】
絶縁樹脂部7Aは、電極21に対応する第1のトレンチ60、及び端子22に対応する第2のトレンチ64を有する。絶縁樹脂部7Aは、メッシュ状の第1のトレンチ60を有する。第1のトレンチ60は、絶縁樹脂部7Aと、隣の絶縁樹脂部7Aとの間の溝部61のパターンによって構成される。溝部61は、電極21の導体パターン50のメッシュ構造に対応するパターンにて形成される。従って、第1のトレンチ60のメッシュパターンと、電極21の導体パターン50とは、一致している。溝部61の底部は、後述の下地層67の表面まで達している。
【0049】
第2のトレンチ64は、端子22に対応する形状及び大きさを有する溝部65によって構成される。第2のトレンチ64の平面方向(XY平面が広がる方向)における寸法は、メッシュ状の第1のトレンチ60の幅W1より大きい。第2のトレンチ64のY軸方向の寸法W2は、第1のトレンチ60の幅W1より大きい。第2のトレンチ64のX軸方向の寸法(不図示)は、第1のトレンチ60の幅W1より大きい。第2のトレンチ64のY軸方向の寸法W2は、長方形状の第2の導体層56の短辺56a(図5参照)の長さと略等しくてよい。第2のトレンチ64のX軸方向の寸法は、長方形状の第2の導体層56の長辺56b(図5参照)の長さと略等しくてよい。第1のトレンチ60の幅W1は、第2の導電線52の延在方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)の長さと略等しくてよい。溝部65の底部65aは、絶縁樹脂部7Aの裏面7aよりも上方に離間した位置に配置される。
【0050】
電極21は、第1のトレンチ60内に第1の導体層55を有する。また、端子22は、第2のトレンチ64内に第2の導体層56を有する。電極21の第1の導体層55は、メッシュ状の導体パターン50の導電線51,52によって構成される。第2の導電線52は、第1のトレンチ60の溝部61のうち、X軸方向に延びる溝部61の内部に導電性の材料を充填することによって形成される。なお、第1の導電線51も、トレンチ60の溝部61のうち、Y軸方向に延びる溝部61(不図示)の内部に導電性の材料を充填することによって形成される。第1の導体層55の表面55aは、絶縁樹脂部7Aの表面7bと略同一の高さ位置に配置される。
【0051】
第2の導体層56は、第2のトレンチ64の溝部65の内部に導電性の材料を充填することによって形成される。第2の導体層56の材料は特に限定されず、導体パターン50と同様の材料を採用してよいし、異なる材料を採用してもよい。第2の導体層56の表面56cは、絶縁樹脂部7Aの表面7bよりも光透過性基材1に対して遠い位置に配置される。第2の導体層56の絶縁樹脂部7Aの表面7bからの突出量H2は、第2の導体層56の第2のトレンチ64内における厚みH1より小さい。厚みH1は特に限定されないが、厚みH1に対する突出量H2の比(H2/H1)が0.05~0.35となるように突出量H2が設定されてよい。なお、第2の導体層56の表面56cが絶縁樹脂部7Aの表面7bよりも光透過性基材1に対して近い位置に配置される部分を含んでいてもよい。
【0052】
配線体200は、光透過性基材1と第2の導体層56との間に、絶縁樹脂部7Aの樹脂による樹脂膜66を有する。樹脂膜66は、第2のトレンチ64の溝部65の底部65aと、後述の下地層67の表面との間に形成される。
【0053】
配線体200は、絶縁樹脂部7Aの裏面7aと光透過性基材1の主面1Sとの間に、下地層67を有する。下地層67は、電極21及び端子22の両方に対応する位置に形成される。配線体200は、第2の導体層56と樹脂膜66との間に、下地層68を有する。下地層68は、溝部65の底部65a上に配置される。下地層67,68の材質は特に限定されないが、例えば、下地層13を同様の材料を採用してよい。
【0054】
次に、本実施形態に係る配線体200、及び表示装置100の作用・効果について説明する。
【0055】
本実施形態の配線体200によれば、電極21は、第1のトレンチ60内に第1の導体層55を有し、端子22は、第2のトレンチ64内に第2の導体層56を有する。このうち、端子22は、外部の接続端子に接続され、当該接続端子と電極21とを電気的に接続する。当該端子22の第2の導体層56は、第2のトレンチ64内に形成されるため、絶縁樹脂部7Aの表面7b上に形成される場合に比して、配線体200の平坦性を確保できる。また、第2の導体層56の表面56cは、絶縁樹脂部7Aの表面7bよりも光透過性基材1に対して遠い位置に配置される。従って、第2の導体層56の表面56cが絶縁樹脂部7Aの表面7bと同じ高さ位置に配置される場合に比して、外部の接続端子は、良好に第2の導体層56の表面56cに接続される。以上より、平坦性を確保しつつ、外部の接続端子との接続性を向上できる。
【0056】
第2の導体層56の絶縁樹脂部7Aの表面7bからの突出量H2は、第2の導体層56の第2のトレンチ64内における厚みH1より小さくてよい。この場合、第2の導体層56が絶縁樹脂部7Aの表面7bから必要以上に突出することを抑制し、配線体200の平坦性を確保することができる。
【0057】
配線体200は、光透過性基材1と第2の導体層56との間に、絶縁樹脂部7Aの樹脂による樹脂膜66を有してよい。この場合、端子22における第2の導体層56の底面側の絶縁性を確保することで、下地層側に電流が流れることによる損失を抑制できる。
【0058】
電極は、メッシュ状の導体パターンを有してよい。この場合、電極においては導電性を確保しつつ、高い透過性を実現できる。
【0059】
第2のトレンチの平面方向における寸法は、メッシュ状の第1のトレンチの幅より大きくてよい。この場合、第2の導体層の平面方向のサイズを大きくすることで、外部の接続端子との接続性を確保できる。
【0060】
本開示の一側面に係る表示装置100は、上述の配線体200を備える。
【0061】
上述の表示装置100によれば、上述の配線体200と同様な作用・効果を得ることができる。
【0062】
本開示の一側面に係るアンテナ300は、上述の配線体200を備える。
【0063】
上述のアンテナ300によれば、上述の配線体200と同様な作用・効果を得ることができる。
【0064】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、図7に示す配線体200が採用されてもよい。図7に示す配線体200は、樹脂膜66と光透過性基材1との間に、複数の微粒子69を含む下地層67を有する。本実施形態では、下地層67は、微粒子69を含有する粒子含有層として機能する。この場合、光透過性基材1に対する樹脂膜66と光透過性基材1との間の密着性を向上できる。
【0066】
第2の導体層56と樹脂膜66との間に、複数の微粒子69が配置される。微粒子69は、下地層68に含まれる。この場合、第2の導体層56と樹脂膜66との間の密着性を向上できる。なお、下地層67,68に含まれる微粒子69の材料として、例えば、前述の下地層13に含まれる触媒と同じ材料を採用してよい。また、微粒子69の直径は2nm以上、50nm以下としてよい。
【0067】
第2の導体層の表面粗さは所定の値に設定されてよい。例えば、第2の導体層56の表面56cの面粗さの最大高さは、1μm以下であり、且つ、算術平均高さが0.5μm以下であってよい。この場合、第2の導体層の外部の接続端子との接続性を確保できる。なお、算術平均高さは、例えば、ISO25178で規定される面粗さパラメータの1つであって、測定面における山高さ及び谷深さの絶対値の平均値で表される算術平均高さSaである。また、最大高さは、例えば、ISO25178で規定される面粗さパラメータの1つであって、測定面における最も高い点から最も低い点までの距離で表される最大高さSzである。この算術平均高さSa及び最大高さSzは、例えば、VK-250X(キーエンス社)を用いて非接触方式にて測定できる。
【0068】
第2の導体層56は、第2のトレンチ64の縁部64aから絶縁樹脂部7Aの表面7bの一部にはみ出した堆積部56dを有してよい。この場合、第2の導体層56の剥がれを抑制できる。
【0069】
例えば、図5に示す構成は導電性層5の構成の一例に過ぎず、電極21、及び端子22及びグラウンド部23の形状を適宜変更してもよい。
【0070】
図1は導電性フィルムの全体構成の一例に過ぎず、導電性フィルムの中で導電性層をどのような範囲、形状で形成してもよい。
【0071】
導電性フィルムの適用装置として表示装置を例示したが、他の装置に導電性フィルムを適用してもよい。例えば、建物や自動車等のガラスなどに導電性フィルムを適用してもよい。
【0072】
上述の実施形態では、端子22は、第2のトレンチ64内の第2の導体層56を有していた。これに加えて、外部のグラウンド端子と接続されるグラウンドパッド部24A,24B,24Cには、第2のトレンチ64及び第2の導体層56と同趣旨の構成が採用されてよい。すなわち、グラウンドパッド部24A,24B,24Cに対して、第2のトレンチ64内に形成されて平面状に広がる第2の導体層56が形成されてもよい。これにより、グラウンドパッド部24A,24B,24Cについても上述の実施形態における作用・効果と同様の作用・効果を得ることができる。配線体は、端子22に対する第2の導体層56のみを有してもよく、グラウンドパッド部24A,24B,24Cに対する第2の導体層56のみを有してもよく、あるいは、端子22に対する導体層56及びグラウンドパッド部24A,24B,24Cに対する導体層56の両方を有してもよい。グラウンドパッド部24A,24B,24Cも請求項における「端子」に該当してよい。
【0073】
上述の実施形態ではアンテナとして用いられる配線体を例示したが、配線体の構造の用途は限定されず、例えばタッチセンサなどに適用されてもよい。
【0074】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0075】
本開示の一側面に係る配線体は、電極と、端子と、基材上に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層は、電極に対応する第1のトレンチ、及び端子に対応する第2のトレンチを有し、電極は、第1のトレンチ内に第1の導体層を有し、端子は、第2のトレンチ内に第2の導体層を有し、第2の導体層の表面は、樹脂層の表面よりも基材に対して遠い位置に配置される。
【0076】
上述の配線体によれば、電極は、第1のトレンチ内に第1の導体層を有し、端子は、第2のトレンチ内に第2の導体層を有する。このうち、端子は、外部の接続端子に接続され、当該接続端子と電極とを電気的に接続する。当該端子の第2の導体層は、第2のトレンチ内に形成されるため、樹脂層の表面上に形成される場合に比して、配線体の平坦性を確保できる。また、第2の導体層の表面は、樹脂層の表面よりも遠い位置に配置される。従って、第2の導体層の表面が樹脂層の表面と同じ高さ位置に配置される場合に比して、外部の接続端子は、良好に第2の導体層の表面に接続される。以上より、平坦性を確保しつつ、外部の接続端子との接続性を向上できる。
【0077】
第2の導体層の樹脂層の表面からの突出量は、第2の導体層の第2のトレンチ内における厚みより小さくてよい。この場合、第2の導体層が樹脂層の表面から必要以上に突出することを抑制し、配線体の平坦性を確保することができる。
【0078】
配線体は、基材と第2の導体層との間に、樹脂層の樹脂による樹脂膜を有してよい。この場合、端子における第2の導体層の底面側の絶縁性を確保することで、下地層側に電流が流れることによる損失を抑制できる。
【0079】
配線体は、樹脂膜と基材との間に、複数の微粒子を含む粒子含有層を有してよい。この場合、基材に対する樹脂膜と基材との間の密着性を向上できる。
【0080】
第2の導体層と樹脂膜との間に、複数の微粒子が配置されてよい。この場合、第2の導体層と樹脂膜との間の密着性を向上できる。
【0081】
第2の導体層の表面の面粗さの最大高さは、1μm以下であり、且つ、算術平均高さが0.5μm以下であってよい。この場合、第2の導体層の外部の接続端子との接続性を確保できる。
【0082】
第2の導体層は、第2のトレンチの縁部から樹脂層の表面の一部にはみ出した堆積部を有してよい。この場合、第2の導体層の外部の接続端子との接続性を確保できる。
【0083】
電極は、メッシュ状の導体パターンを有してよい。この場合、電極の導体量を低減できる。
【0084】
第2のトレンチの平面方向における寸法は、メッシュ状の第1のトレンチの幅より大きくてよい。この場合、第2の導体層の平面方向のサイズを大きくすることで、外部の接続端子との接続性を確保できる。
【0085】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の配線体を備える。
【0086】
上述の表示装置によれば、上述の配線体と同様な作用・効果を得ることができる。
【0087】
[形態1]
電極と、
端子と、
基材上に設けられた樹脂層と、を備え、
前記樹脂層は、前記電極に対応する第1のトレンチ、及び前記端子に対応する第2のトレンチを有し、
前記電極は、前記第1のトレンチ内に第1の導体層を有し、
前記端子は、前記第2のトレンチ内に第2の導体層を有し、
前記第2の導体層の表面は、前記樹脂層の表面よりも前記基材に対して遠い位置に配置される、配線体。
[形態2]
前記第2の導体層の前記樹脂層の前記表面からの突出量は、前記第2の導体層の前記第2のトレンチ内における厚みより小さい、形態1に記載の配線体。
[形態3]
前記基材と前記第2の導体層との間に、前記樹脂層の樹脂による樹脂膜を有する、形態1又は2に記載の配線体。
[形態4]
前記樹脂膜と前記基材との間に、複数の微粒子を含む粒子含有層を有する、形態3に記載の配線体。
[形態5]
前記第2の導体層と前記樹脂膜との間に、複数の微粒子が配置される、形態3又は4に記載の配線体。
[形態6]
前記第2の導体層の表面の面粗さの最大高さは、1μm以下であり、且つ、算術平均高さが0.5μm以下である、形態1~5の何れか一項に記載の配線体。
[形態7]
前記第2の導体層は、前記第2のトレンチの縁部から前記樹脂層の表面の一部にはみ出した堆積部を有する、形態1~6の何れか一項に記載の配線体。
[形態8]
前記電極は、メッシュ状の導体パターンを有する、形態1~7の何れか一項に記載の配線体。
[形態9]
前記第2のトレンチの平面方向における寸法は、メッシュ状の前記第1のトレンチの幅より大きい、形態1~8の何れか一項に記載の配線体。
[形態10]
形態1~9の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
[形態11]
形態1~9の何れか一項に記載の配線体を備える、アンテナ。
【符号の説明】
【0088】
1…光透過性基材(基材)、1S…基材の主面、7A…絶縁樹脂部(樹脂層)、21…電極、22…端子、50…導体パターン、55…第1の導体層、56…第2の導体層、60…第1のトレンチ、64…第2のトレンチ、67…下地層(粒子含有層)、68…下地層、69…微粒子、100…表示装置、200…配線体、300…アンテナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7